【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような構成の刃物研磨装置を提供する。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記する場合があるが、本発明の各構成要素はこれらの具体的な構成に限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
刃物の刃先を研磨する刃物研磨装置(100)であって、
回転軸を回転させるモータ(4)と、
それぞれ円錐台形状の第1部分(51)と第2部分(52)とがそれぞれの頂面を対向させて貼り合わされた形状であるとともに、前記回転軸に直接連結された研磨体(5)と、
前記モータ及び前記研磨体を支持する支持体(3)と、
前記支持体の下方に位置する土台(1)と、
前記支持体と前記土台との間に配置された弾性部材(81、82、83)と、
前記回転軸に対して前記研磨体の一方側に配置され、かつ前記刃先と接する第1接点(61a1、61b1)を有する第1ガイド部(61)と、
前記回転軸に対して前記研磨体の他方側に配置され、かつ前記刃先と接する第2接点(62a1、62b1)を有する第2ガイド部(62)と、
前記第1接点と前記第2接点とを結ぶ線上に前記刃先をガイドするスリット(21)を有し、前記土台と連結して前記研磨体、前記モータ、及び前記支持体を覆うよう配置されたカバー(2)と、を備え、
前記第1接点と前記第2接点とを含む面上に前記研磨体の前記第1部分の円錐面と前記第2部分の円錐面とが位置しており、
前記弾性部材は、前記刃先が前記第1接点、前記第2接点、前記第1部分の円錐面、及び前記第2部分の円錐面に接する状態になったときに、前記第1接点及び前記第2接点から離れる方向の付勢力を前記刃先に与えるよう設けられ、
前記第2ガイド部は、それぞれ前記研磨体より細かい粒度の2本の柱状の研磨材(62a、62b)が鋭角状に交差するよう配置されて形成されている、
刃物研磨装置である。
【0007】
上記の刃物研磨装置では、第1ガイド部と第2ガイド部とによって、刃先を所定の進行方向に沿って移動させやすくすることができる。これにより、刃先を安定して研磨することができる。また、第2ガイド部が研磨体より細かい粒度の研磨材で形成されている。そのため、第2ガイド部が刃先に対する仕上げ砥石として機能し、研磨体で比較的粗く研磨された刃先を、より細かく研磨することができる。また、第2ガイド部が刃先に確実に当接するため、仕上げ研磨を確実に行うことができる。また、スリット内の所定の直線方向に沿って刃先が進行し、その移動経路内に研磨体、及び仕上げ砥石として機能する第2ガイド部が位置するため、刃先に対する粗い研磨と仕上げ研磨とを一連の動作で完了させることができる。また、研磨体を、円錐台形状の帳面を貼り合わせた形状にすることで、1つの研磨体で刃先の両側面を研磨することができる。これにより、複数の研磨体を備える構成とする必要がなくなり、コンパクトな刃物研磨装置にすることができる。また、第1ガイド部と第2ガイド部とが、刃先が必要以上に下側に押し込まれないようにするストッパとして機能し、研磨体に対して過度な圧力で刃先が押し付けられることを防止することができる。また、上記の刃物研磨装置では、刃物の刃先が第1接点、第2接点、第1部分の円錐面、及び第2部分の円錐面に接する状態になったときに、第1接点及び第2接点から離れる方向、すなわち上向きの付勢力を刃先に与える構成としている。これにより、研磨される刃先に対して適度な付勢力を与えることができるため、使用者にかかわらず、刃先を効果的に研磨することができる。上記の刃物研磨装置では、このような構成により、刃先を効果的に研磨することができる。
【0008】
一般的に、刃先を研磨する際、比較的粗い研磨を行った後に、細かい研磨を行うことで、刃先をより良い状態に研磨することができる。ここで、先に行う粗い研磨は、研磨時の仕事量(加工量)が大きくなるのに対して、後に行う細かい研磨は、研磨時の仕事量(加工量)が少なくなる。よって、後者の細かい研磨は手動でも比較的簡単に行うことができるものの、前者の粗い研磨は手動よりも電動で行ったほうが好ましい。上記の刃物研磨装置では、進行方向に沿って刃先を動かすと、研磨体により電動で刃先を粗く研磨した後、第2ガイド部により手動で刃先を細かく研磨することができる。この構成により、仕上げ研磨を電動で行う構成と比較すると、より小型の装置にしつつ、効率のよい研磨を行うことが可能となる。
【0009】
上記刃物研磨装置において、好ましくは、
前記刃先が前記第1接点、前記第2接点、前記第1部分の円錐面(51a)、及び前記第2部分の円錐面(52a)に接する状態になったときに、前記研磨体が前記刃先に与える付勢力が0.2〜4.0Nである。
【0010】
上記の刃物研磨装置では、研磨体から刃先に対して、研磨に最適な付勢力を与えることができる。これにより、より効果的な刃先の研磨を行うことができる。さらに、刃先から研磨体に対して過度な圧力が与えられることがないため、モータの回転が停止することを防止することができる。
【0011】
上記刃物研磨装置において、好ましくは、
前記刃物を研磨する際に発する音が80dB以下である。
【0012】
上記の刃物研磨装置では、モータの回転軸に直接研磨体が連結され、かつ刃先に過度な圧力が与えられない構成とすることなどによって、使用時に発生する騒音が80dB以下に抑制されている。これにより、騒音の少ない刃物研磨装置にすることができる。また、騒音の原因となる振動も抑制されるため、使用者に安心感を与える刃物研磨装置にすることができる。
【0013】
上記刃物研磨装置において、好ましくは、
前記弾性部材は、上方から見たときに、
前記研磨体に対して前記モータ側の、前記回転軸の延長線に対して一方側及び他方側にそれぞれ配置された第1弾性部材(81)及び第2弾性部材(82)と、
前記研磨体に対して前記モータとは逆側の、前記回転軸の延長線上に配置された第3弾性部材(83)と、を含む。
【0014】
上記の刃物研磨装置では、第1弾性部材、第2弾性部材、及び第3弾性部材により支持体を弾性的に支持する構成とすることで、より安定的に支持体を支持可能な構成とすることができる。また、モータを有する構成としているため、モータを有さない構成と比較すると重量が増加し、かつモータが配置された側に重心が偏るが、モータの両側に弾性部材を配置した構成となっているため、支持体全体を安定的に支持しやすい構成となっている。
【0015】
上記刃物研磨装置において、好ましくは、
前記第1弾性部材、前記第2弾性部材、及び前記第3弾性部材が同一形状である。
【0016】
上記の刃物研磨装置では、3つの弾性部材により発生する付勢力を均一にすることができるため、支持体全体を安定的に支持することができる。また、研磨体を介して刃先に与えられる付勢力を、ばらつきなく均一にすることができる。
【0017】
上記刃物研磨装置において、好ましくは、
前記モータは、前記第1ガイド部から前記第2ガイド部に向かう方向とは逆方向に前記研磨体が前記刃先に摺接する方向に前記回転軸を回転させる。
【0018】
上記の刃物研磨装置では、研磨対象の刃物の刃先が進行方向に移動する際に減速させることができ、これにより効果的に刃先の研磨を行うことができる。
【0019】
また、本発明の一の手段の刃物研磨装置は、
刃物の刃先を研磨する刃物研磨装置(100)であって、
回転軸を回転させるモータ(4)と、
前記回転軸に直接連結された研磨体(5)と、
前記回転軸に対して前記研磨体の一方側に配置され、かつ前記刃先と接する第1接点(61a1、61b1)を有する第1ガイド部(61)と、
前記回転軸に対して前記研磨体の他方側に配置され、かつ前記刃先と接する第2接点(62a1、62b1)を有する第2ガイド部(62)と、を備え、
前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部の少なくとも一方が研磨材で形成された構成としてもよい。
【0020】
上記の刃物研磨装置では、第1ガイド部及び第2ガイド部の少なくとも一方が、刃先の向きを安定させて刃先の角度を一定に保つためのガイド機能と研磨機能とを兼ねているため、ガイド機能を有する部材と研磨機能を有する部材とを別々に設ける構成と比較して部品点数を少なくし、コンパクトな構成にすることができる。また、上記刃物研磨装置では、研磨体に加え、第1ガイド部及び第2ガイド部の少なくとも一方により刃先を研磨することができるため、目的に応じた態様で刃先を効果的に研磨することが可能となる。例えば、研磨体により研磨した後に刃先が当接する第2ガイド部を研磨材で形成した場合には、第2ガイド部を仕上げ砥石として機能させ、刃先をより鋭利に研磨しやすい構成にすることができる。また、研磨体により研磨する前に刃先が当接する第1ガイド部を研磨材で形成した場合には、第1ガイド部により比較的粗く研磨した後に、研磨体により細かく研磨することなどが可能となる。また、第1ガイド部及び第2ガイド部の双方を研磨材で形成した場合には、例えば、第1ガイド部、研磨体、第2ガイド部の順に粒度が小さくなる構成にしておけば、刃先をより鋭利に研磨しやすい構成にすることができる。
【0021】
また、本発明の一の手段の刃物研磨装置は、
刃物の刃先を研磨する刃物研磨装置(100)であって、
回転軸を回転させるモータ(4)と、
前記回転軸に直接連結された研磨体(5)と、
前記モータ及び前記研磨体を支持する支持体(3)と、
前記支持体の下方に位置する土台(1)と、
前記支持体と前記土台との間に配置された弾性部材(81、82、83)と、
前記回転軸に対して前記研磨体の一方側に配置され、かつ前記刃先と接する第1接点(61a1、61b1)を有する第1ガイド部(61)と、
前記回転軸に対して前記研磨体の他方側に配置され、かつ前記刃先と接する第2接点(62a1、62b1)を有する第2ガイド部(62)と、を備え、
前記弾性部材は、前記刃先が前記第1接点、前記第2接点、前記第1部分の円錐面、及び前記第2部分の円錐面に接する状態になったときに、前記第1接点及び前記第2接点から離れる方向の付勢力を前記刃先に与えるよう設けられた構成としてもよい。
【0022】
上記の刃物研磨装置では、第1ガイド部と第2ガイド部とが、刃先が必要以上に下側に押し込まれないようにするストッパとして機能し、研磨体に対して過度な圧力で刃先が押し付けられることを防止することができる。
【0023】
上記刃物研磨装置において、前記第1ガイド部及び前記第2ガイド部の少なくとも一方が研磨材で形成された構成としてもよい。このような構成によれば、第1ガイド部及び第2ガイド部がストッパとして機能するのに加え、第1ガイド部及び第2ガイド部の少なくとも一方は研磨機能を兼ねる。つまり、第1ガイド部及び第2ガイド部の少なくとも一方は、刃先を研磨する際、刃先の向きを安定させて刃先の角度を一定に保つためのガイド機能と、刃先が必要以上に下側に押し込まれて刃先に過度な圧力がかかることを抑制するストッパ機能と、研磨機能とを1つの部材で兼用することができる。これにより、刃物研磨装置の部品点数を少なくし、コンパクトな構成にすることができる。