特許第6797330号(P6797330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797330
(24)【登録日】2020年11月19日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】レーダ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/02 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   G01S7/02 216
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2020-527144(P2020-527144)
(86)(22)【出願日】2018年6月29日
(86)【国際出願番号】JP2018024897
(87)【国際公開番号】WO2020003513
(87)【国際公開日】20200102
【審査請求日】2020年8月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】特許業務法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 孝行
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 道生
【審査官】 田中 純
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5160932(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0273574(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0156056(US,A1)
【文献】 米国特許第5444451(US,A)
【文献】 中国特許出願公開第105242274(CN,A)
【文献】 特開2002−090438(JP,A)
【文献】 特開2002−267733(JP,A)
【文献】 特開2008−122246(JP,A)
【文献】 特開2009−069982(JP,A)
【文献】 特開2003−244052(JP,A)
【文献】 特開平11−352208(JP,A)
【文献】 特開平10−268028(JP,A)
【文献】 特開平07−260918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 − G01S 7/42
G01S 13/00 − G01S 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
短波帯の電波を放射する電波源の位置を用いて、前記短波帯の電波を反射する電離層の高度を算出する高度算出部と、
前記高度算出部により算出された高度における短波帯の電波の位相速度を算出し、前記位相速度を用いて、前記電離層に対する前記短波帯の電波の入射角度を推定する位相速度算出部と、
前記位相速度算出部により算出された位相速度、前記入射角度及び地上における短波帯の電波の位相速度から、短波帯の電波のビーム指向方向を算出するビーム指向方向算出部と、
送信アンテナから放射される短波帯の電波の方向及び受信アンテナにより受信される短波帯の電波の方向のそれぞれを前記ビーム指向方向算出部により算出されたビーム指向方向に設定するビーム指向方向設定部と
を備えたレーダ装置。
【請求項2】
前記高度算出部は、前記電波源から放射された短波帯の電波のうち、前記電離層に反射されていない直接波の電波の受信時刻と、前記電離層に反射された電波の受信時刻との時刻差を算出し、前記時刻差と前記電波源の位置とを用いて、前記電離層の高度を算出することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記ビーム指向方向算出部は、前記位相速度算出部により算出された位相速度v、前記入射角度θ、前記地上における短波帯の電波の位相速度v、前記送信アンテナから放射される短波帯の電波のビーム幅θとを以下の算出式に代入することで、短波帯の電波のビーム指向方向θを算出することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
[算出式]
【請求項4】
前記送信アンテナから短波帯の電波が放射されたのち、前記受信アンテナにより受信された短波帯の電波の受信信号から、目標までの距離及び前記目標の速度のそれぞれを算出する距離速度算出部を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記送信アンテナから放射される短波帯の電波の送信信号と、前記受信アンテナにより受信された短波帯の電波の受信信号との相関を判定する相関判定部を備え、
前記距離速度算出部は、前記相関判定部により相関があると判定されたとき、前記受信信号から、前記目標までの距離及び前記目標の速度のそれぞれを算出することを特徴とする請求項4記載のレーダ装置。
【請求項6】
短波帯の電波を放射する電波源が複数あり、
前記高度算出部は、それぞれの電波源の位置を用いて、前記電離層のそれぞれの高度を算出し、
前記位相速度算出部は、前記高度算出部により算出されたそれぞれの高度における短波帯の電波の位相速度を算出し、
前記ビーム指向方向算出部は、前記位相速度算出部により算出されたそれぞれの位相速度を用いて、短波帯の電波のそれぞれのビーム指向方向を算出し、
前記ビーム指向方向算出部により算出された複数のビーム指向方向の間を補間するビーム指向方向補間部を備えたことを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記送信アンテナから放射される短波帯の電波の方向を調整する送信デジタルビームフォーミング部と、
前記受信アンテナにより受信される短波帯の電波の方向を調整する受信デジタルビームフォーミング部とを備え、
前記ビーム指向方向設定部は、前記ビーム指向方向算出部により算出されたビーム指向方向に従って前記送信デジタルビームフォーミング部における電波の方向の調整を制御するとともに、前記ビーム指向方向に従って前記受信デジタルビームフォーミング部における電波の方向の調整を制御することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナのそれぞれは、ダイポールアンテナであることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項9】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナのそれぞれは、モノポールアンテナであることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナのそれぞれは、アンテナ素子長が調整されることで、ビーム指向方向が可変されるアンテナであることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
【請求項11】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナのそれぞれは、
複数のアンテナ素子と、
前記複数のアンテナ素子の間の接続状態を切り替えるスイッチとを備えており、
前記ビーム指向方向設定部によって、前記スイッチが制御されることで、前記アンテナ素子長が調整されることを特徴とする請求項10記載のレーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、短波帯の電波のビーム指向方向を設定するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地上から放射された短波(HF:High Frequency)帯の電波は、電離層内で屈折されて、見通し外の遠方まで伝搬されることが知られている。
目標を検出するレーダ装置が、電離層に反射された短波帯の電波を利用すれば、見通し外の遠方に存在している目標を検出することが可能である。
【0003】
以下の特許文献1には、電離層における電子密度と高さの関係を示すデータを参照して、短波帯の電波の屈折角を求めることで、電波の伝搬経路を算出している伝搬経路計算装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−69982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレーダ装置は、特許文献1に開示されている伝搬経路計算装置を用いることが可能であるとすれば、短波帯の電波の伝搬経路を得ることができる。
しかし、特許文献1に開示されている伝搬経路計算装置は、短波帯の電波の伝搬経路から、短波帯の電波の放射方向を算出するものではない。
したがって、従来のレーダ装置は、特許文献1に開示されている伝搬経路計算装置を用いることが可能であるとしても、目標を検出する上で適正な電波の放射方向を算出することができない。つまり、所望の領域に存在している目標に電波を照射して、目標を検出できないことがあるという課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、所望の領域に存在している目標を検出することができるレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るレーダ装置は、短波帯の電波を放射する電波源の位置を用いて、短波帯の電波を反射する電離層の高度を算出する高度算出部と、高度算出部により算出された高度における短波帯の電波の位相速度を算出し、位相速度を用いて、電離層に対する短波帯の電波の入射角度を推定する位相速度算出部と、位相速度算出部により算出された位相速度、入射角度及び地上における短波帯の電波の位相速度から、短波帯の電波のビーム指向方向を算出するビーム指向方向算出部と、送信アンテナから放射される短波帯の電波の方向及び受信アンテナにより受信される短波帯の電波の方向のそれぞれをビーム指向方向算出部により算出されたビーム指向方向に設定するビーム指向方向設定部とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、位相速度算出部により算出された位相速度、入射角度及び地上における短波帯の電波の位相速度から、短波帯の電波のビーム指向方向を算出するビーム指向方向算出部を設け、ビーム指向方向設定部が、送信アンテナから放射される短波帯の電波の方向及び受信アンテナにより受信される短波帯の電波の方向のそれぞれをビーム指向方向算出部により算出されたビーム指向方向に設定するように、レーダ装置を構成した。したがって、この発明に係るレーダ装置は、所望の領域に存在している目標を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図2図1に示すレーダ装置の信号処理装置20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図3】信号処理装置20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
図4】信号処理装置20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合の処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1によるレーダ装置の相関判定部21を示す構成図である。
図6】実施の形態1によるレーダ装置の高度算出部22を示す構成図である。
図7】実施の形態2によるレーダ装置を示す構成図である。
図8図7に示すレーダ装置の信号処理装置20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図9】レーダ装置から複数の電波源1への直線距離Rdとビーム指向方向θの対応関係、及び補間処理後の直線距離Rdとビーム指向方向θとの関係を示す補間データを示す説明図である。
図10】実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図である。
図11図10に示すレーダ装置の信号処理装置20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図12】アンテナ素子長が調整されることで、ビーム指向方向が可変される送信アンテナ6−n(n=1,2,・・・,N)を示す構成図である。
図13】アンテナ素子長が調整されることで、ビーム指向方向が可変される受信アンテナ7−m(m=1,2,・・・,M)を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図2は、図1に示すレーダ装置の信号処理装置20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図1において、電波源1は、図1に示すレーダ装置から直線距離でRdだけ離れている位置に設置されており、短波帯の電波を放射する。短波帯の電波の周波数は、3〜30MHzである。
電波源1から放射される短波帯の電波の周波数f及び直線距離Rdは、図1に示すレーダ装置において既知である。
【0012】
送信器2は、送信信号としてレーダ信号を生成し、レーダ信号を分配器3及びアナログデジタル変換器(以下、「A/D変換器」と称する)13に出力する。
分配器3は、送信器2から出力されたレーダ信号をN(Nは1以上の整数)個に分配し、分配後のそれぞれのレーダ信号を位相制御部4に出力する。
【0013】
位相制御部4は、N個の移相器4−1〜4−Nを備えている。
移相器4−1〜4−Nは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って分配器3から出力されたそれぞれのレーダ信号の位相を調整し、位相調整後のそれぞれのレーダ信号を可変利得アンプ5−1〜5−Nに出力する。
振幅制御部5は、N個の可変利得アンプ5−1〜5−Nを備えている。
可変利得アンプ5−1〜5−Nは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って、移相器4−1〜4−Nから出力されたそれぞれのレーダ信号の振幅を調整し、振幅調整後のそれぞれのレーダ信号を送信アンテナ6−1〜6−Nに出力する。
送信アレイアンテナ6は、N個の送信アンテナ6−1〜6−Nを備えている。
送信アンテナ6−1〜6−Nは、可変利得アンプ5−1〜5−Nからそれぞれのレーダ信号を受けると、レーダ波として、短波帯の電波を空間に放射する。
送信アンテナ6−1〜6−Nとしては、ダイポールアンテナ又はモノポールアンテナなどを用いることができる。
【0014】
受信アレイアンテナ7は、M(Mは1以上の整数)個の受信アンテナ7−1〜7−Mを備えている。
受信アンテナ7−1〜7−Mは、電離層に反射された短波帯の電波を受信し、電波の受信信号を可変利得アンプ8−1〜8−Mに出力する。
受信アンテナ7−1〜7−Mとしては、ダイポールアンテナ又はモノポールアンテナなどを用いることができる。
振幅制御部8は、M個の可変利得アンプ8−1〜8−Mを備えている。
可変利得アンプ8−1〜8−Mは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って、受信アンテナ7−1〜7−Mから出力されたそれぞれの受信信号の振幅を調整し、振幅調整後のそれぞれの受信信号を移相器9−1〜9−Mに出力する。
位相制御部9は、M個の移相器9−1〜9−Mを備えている。
移相器9−1〜9−Mは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って可変利得アンプ8−1〜8−Mから出力されたそれぞれの受信信号の位相を調整し、位相調整後のそれぞれの受信信号を合成器10に出力する。
合成器10は、移相器9−1〜9−Mから出力されたM個の受信信号を合成し、合成した受信信号である合成信号を受信器12に出力する。
【0015】
受信アンテナ11は、電波源1から放射された短波帯の電波の直接波を受信し、直接波の受信信号を受信器12に出力する。
受信アンテナ11としては、ダイポールアンテナ又はモノポールアンテナなどを用いることができる。
受信器12は、合成器10から出力された合成信号を復調し、復調後の合成信号をA/D変換器13に出力する。
また、受信器12は、受信アンテナ11から出力された直接波の受信信号を復調し、復調後の受信信号をA/D変換器13に出力する。
A/D変換器13は、送信器2から出力されたレーダ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を送信データTxとして相関判定部21に出力する。
また、A/D変換器13は、受信器12から出力された合成信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を合成データRxとして相関判定部21に出力する。
さらに、A/D変換器13は、受信器12から出力された受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を受信データRxとして相関判定部21に出力する。
【0016】
信号処理装置20は、相関判定部21、高度算出部22、位相速度算出部23、ビーム指向方向算出部24、ビーム指向方向設定部25及び距離速度算出部26を備えている。
相関判定部21は、例えば、図2に示す相関判定回路31によって実現される。
相関判定部21は、A/D変換器13から出力された送信データTxと、A/D変換器13から出力された合成データRxとの相関を判定する。
相関判定部21は、送信データTxと合成データRxとの間に相関があれば、合成データRxを距離速度算出部26に出力する。
相関判定部21は、送信データTxと合成データRxとの間に相関がなければ、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを高度算出部22に出力する。
【0017】
高度算出部22は、例えば、図2に示す高度算出回路32によって実現される。
高度算出部22は、電波源1から放射された短波帯の電波のうち、電離層に反射されていない直接波の電波の受信時刻と、電離層に反射された電波の受信時刻との時刻差Δtを算出する。
即ち、高度算出部22は、相関判定部21から出力された受信データRxを時間方向に遅延させながら、当該受信データRxと合成データRxとの間で相関が認められる遅延時間tを探索することで、双方の受信時刻の時刻差Δtを算出する。
高度算出部22は、時刻差Δtと電波源1の位置とを用いて、電離層の高度hを算出し、電離層の高度hを位相速度算出部23に出力する。
【0018】
位相速度算出部23は、例えば、図2に示す位相速度算出回路33によって実現される。
位相速度算出部23は、IRI(International Reference Ionosphere)モデルを参照して、高度算出部22から出力された高度hにおける電離層の電子密度edを推定し、電子密度edから高度hにおける短波帯の電波の位相速度vを算出する。
また、位相速度算出部23は、IRIモデルを参照して、高度hよりも、1つ上の高度(h+1)における電離層の電子密度edh+1を推定し、電子密度edh+1から高度(h+1)における短波帯の電波の位相速度vh+1を算出する。
高度hよりも1つ上の高度(h+1)は、IRIモデルのモデル分解能において、1つ上の高度である。
位相速度算出部23は、高度hにおける短波帯の電波の位相速度vと、高度(h+1)における短波帯の電波の位相速度vh+1とから、電離層に対する短波帯の電波の入射角度θを推定する。
位相速度算出部23は、電波の位相速度v及び入射角度θのそれぞれをビーム指向方向算出部24に出力する。
【0019】
ビーム指向方向算出部24は、例えば、図2に示すビーム指向方向算出回路34によって実現される。
ビーム指向方向算出部24は、位相速度算出部23から出力された電波の位相速度v及び入射角度θと、地上における短波帯の電波の位相速度vとから、短波帯の電波のビーム指向方向θを算出する。
ビーム指向方向算出部24は、短波帯の電波のビーム指向方向θをビーム指向方向設定部25に出力する。
【0020】
ビーム指向方向設定部25は、例えば、図2に示すビーム指向方向設定回路35によって実現される。
ビーム指向方向設定部25は、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、移相器4−1〜4−Nの移相量及び可変利得アンプ5−1〜5−Nの利得のそれぞれを制御する。
また、ビーム指向方向設定部25は、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、可変利得アンプ8−1〜8−Nの利得及び移相器9−1〜9−Nの移相量のそれぞれを制御する。
【0021】
距離速度算出部26は、例えば、図2に示す距離速度算出回路36によって実現される。
距離速度算出部26は、相関判定部21より出力された合成データRxから、目標までの距離L及び目標の速度Vのそれぞれを算出する。
【0022】
図1では、信号処理装置20の構成要素である相関判定部21、高度算出部22、位相速度算出部23、ビーム指向方向算出部24、ビーム指向方向設定部25及び距離速度算出部26のそれぞれが、図2に示すような専用のハードウェアで実現されるものを想定している。即ち、信号処理装置20が、相関判定回路31、高度算出回路32、位相速度算出回路33、ビーム指向方向算出回路34、ビーム指向方向設定回路35及び距離速度算出回路36で実現されるものを想定している。
ここで、相関判定回路31、高度算出回路32、位相速度算出回路33、ビーム指向方向算出回路34、ビーム指向方向設定回路35及び距離速度算出回路36のそれぞれは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、又は、これらを組み合わせたものが該当する。
【0023】
信号処理装置20の構成要素は、専用のハードウェアで実現されるものに限るものではなく、信号処理装置20がソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現されるものであってもよい。
ソフトウェア又はファームウェアは、プログラムとして、コンピュータのメモリに格納される。コンピュータは、プログラムを実行するハードウェアを意味し、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)が該当する。
図3は、信号処理装置20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合のコンピュータのハードウェア構成図である。
信号処理装置20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合、相関判定部21、高度算出部22、位相速度算出部23、ビーム指向方向算出部24、ビーム指向方向設定部25及び距離速度算出部26の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムがメモリ41に格納される。そして、コンピュータのプロセッサ42がメモリ41に格納されているプログラムを実行する。
図4は、信号処理装置20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0024】
また、図2では、信号処理装置20の構成要素のそれぞれが専用のハードウェアで実現される例を示し、図3では、信号処理装置20がソフトウェア又はファームウェアなどで実現される例を示しているが、信号処理装置20における一部の構成要素が専用のハードウェアで実現され、残りの構成要素がソフトウェア又はファームウェアなどで実現されるものであってもよい。
【0025】
図5は、実施の形態1によるレーダ装置の相関判定部21を示す構成図である。
図5において、相関処理部21aは、A/D変換器13から出力された送信データTx、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを取得する。
相関処理部21aは、送信データTxと合成データRxとの相関処理を実施し、相関処理結果を相関判定処理部21bに出力する。
相関処理部21aは、送信データTx、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを相関判定処理部21bに出力する。
相関判定処理部21bは、相関処理部21aから出力された相関処理結果が、送信データTxと合成データRxが相関している旨を示していれば、合成データRxを距離速度算出部26に出力する。
相関判定処理部21bは、相関処理部21aから出力された相関処理結果が、送信データTxと合成データRxが相関していない旨を示していれば、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを高度算出部22に出力する。
【0026】
図6は、実施の形態1によるレーダ装置の高度算出部22を示す構成図である。
図6において、相関処理部22aは、相関判定部21から出力された受信データRxを時間方向に遅延させながら、当該受信データRxと合成データRxとの相関処理を実施し、相関処理結果を時刻差算出部22bに出力する。
時刻差算出部22bは、相関処理部22aから出力された相関処理結果が、受信データRxと合成データRxが相関している旨を示す受信データRxの遅延時間tを探索する。
時刻差算出部22bは、電離層に反射されていない直接波の電波の受信時刻と、電離層に反射された電波の受信時刻との時刻差Δtとして、遅延時間tを距離算出部22cに出力する。
【0027】
距離算出部22cは、時刻差算出部22bより出力された遅延時間tから、受信アレイアンテナ7での受信距離と直線距離Rdとの差の距離drを算出し、距離drを反射高度算出部22dに出力する。
反射高度算出部22dは、電波源1の位置として、図1に示すレーダ装置と電波源1との間の直線距離Rdを保持している。
反射高度算出部22dは、直線距離Rdと、距離算出部22cから出力された距離drとを用いて、電離層の高度hを算出し、電離層の高度hを位相速度算出部23に出力する。
【0028】
次に、図1に示すレーダ装置の動作について説明する。
図1に示すレーダ装置からの直線距離Rdが既知である電波源1が複数存在しており、複数の電波源1からそれぞれ放射される短波帯の電波の周波数fが、レーダ装置において既知であるものとする。
図1に示すレーダ装置では、例えば、レーダ装置からの直線距離が100km付近の目標を検出する場合、レーダ装置からの直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射される電波を利用して、ビーム指向方向を設定する。
また、図1に示すレーダ装置では、例えば、レーダ装置からの直線距離が200km付近の目標を検出する場合、レーダ装置からの直線距離Rdが約200kmの電波源1から放射される電波を利用して、ビーム指向方向を設定する。
【0029】
受信アンテナ11は、電波源1から放射される短波帯の電波の直接波(電離層に反射されていない電波)を受信できるように、ビーム指向方向が概ね水平方向(仰角が約0度の方向)に設定されている。
受信アンテナ7−1〜7−Mは、電波源1から放射されたのち、電離層に反射された短波帯の電波を受信できるように、ビーム指向方向が概ね垂直方向(仰角が約90度の方向)に設定されている。
【0030】
ここでは、説明の便宜上、図1に示すレーダ装置が、レーダ装置からの直線距離が100km付近の目標を検出するものとする。
受信器12は、受信アンテナ11が複数の電波源1から放射された電波の直接波を受信すると、複数の直接波の中から、直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射された電波の直接波を抽出する。
受信器12には、複数の電波源1からそれぞれ放射される電波の周波数fが登録されているため、受信器12は、複数の直接波の中から、直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射された電波の直接波を抽出することができる。
受信器12は、直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射される電波の直接波を抽出すると、抽出した直接波の受信信号を復調し、復調後の受信信号をA/D変換器13に出力する。
A/D変換器13は、受信器12から受信信号を受けると、受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を受信データRxとして相関判定部21に出力する。
【0031】
受信アンテナ7−1〜7−Mは、電波源1から放射されたのち、電離層に反射された短波帯の電波を受信する。
可変利得アンプ8−1〜8−Mは、受信アンテナ7−1〜7−Mが電離層に反射された短波帯の電波を受信すると、それぞれの電波の受信信号の振幅を調整し、振幅調整後のそれぞれの受信信号を移相器9−1〜9−Mに出力する。
移相器9−1〜9−Mは、可変利得アンプ8−1〜8−Mからそれぞれの受信信号を受けると、それぞれの受信信号の位相を調整し、位相調整後のそれぞれの受信信号を合成器10に出力する。
合成器10は、移相器9−1〜9−Mからそれぞれの受信信号を受けると、それぞれの受信信号の中から、直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射された電波の受信信号を抽出する。
合成器10には、複数の電波源1からそれぞれ放射される電波の周波数fが登録されているため、合成器10は、受信信号の中から、直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射された電波の受信信号を抽出することができる。
合成器10は、抽出したM個の受信信号を合成し、合成した受信信号である合成信号を受信器12に出力する。
受信器12は、合成器10から合成信号を受けると、合成信号を復調し、復調後の合成信号をA/D変換器13に出力する。
A/D変換器13は、受信器12から合成信号を受けると、合成信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を合成データRxとして相関判定部21に出力する
【0032】
送信器2は、レーダ信号を生成し、レーダ信号を分配器3及びA/D変換器13のそれぞれに出力する。
A/D変換器13は、送信器2からレーダ信号を受けると、レーダ信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を送信データTxとして相関判定部21に出力する。
ここでは、送信器2が、レーダ信号を分配器3及びA/D変換器13のそれぞれに出力している。しかし、現段階では、ビーム指向方向設定部25が、ビーム指向方向θを設定していないため、ビーム指向方向設定部25が、ビーム指向方向θを設定するまでの間、送信器2が、レーダ信号を出力しないようにしてもよい。
【0033】
相関判定部21の相関処理部21aは、A/D変換器13から送信データTxを受けると、送信データTxと、A/D変換器13から出力された合成データRxとの相関処理を実施し、相関処理結果を相関判定処理部21bに出力する(図4のステップST1)。
送信データTxと合成データRxとの相関処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
また、相関処理部21aは、送信データTx、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを相関判定処理部21bに出力する。
相関処理部21aは、A/D変換器13から送信データTxを受けていなければ、相関処理を実施していない旨を相関判定処理部21bに通知する。
また、相関処理部21aは、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを相関判定処理部21bに出力する。
【0034】
相関判定処理部21bは、相関処理部21aから出力された相関処理結果が、送信データTxと合成データRxが相関している旨を示していれば(図4のステップST2:YESの場合)、合成データRxを距離速度算出部26に出力する。
相関判定処理部21bは、相関処理部21aから出力された相関処理結果が、送信データTxと合成データRxが相関していない旨を示していれば(図4のステップST2:NOの場合)、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを高度算出部22に出力する。
また、相関判定処理部21bは、相関処理部21aから相関処理を実施していない旨の通知を受けていれば、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを高度算出部22に出力する。
【0035】
高度算出部22の相関処理部22aは、相関判定処理部21bから合成データRx及び受信データRxのそれぞれを受けると、受信データRxを時間方向に遅延させながら、当該受信データRxと合成データRxとの相関処理を実施する(図4のステップST3)。
受信データRxと合成データRxとの相関処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
相関処理部22aは、それぞれの遅延時間tでの相関処理結果を時刻差算出部22bに出力する。
【0036】
時刻差算出部22bは、相関処理部22aからそれぞれの遅延時間tでの相関処理結果を受けると、それぞれの遅延時間tでの相関処理結果を参照して、受信データRxと合成データRxが相関している遅延時間tを探索する(図4のステップST4)。
時刻差算出部22bは、電離層に反射されていない直接波の電波の受信時刻と、電離層に反射された電波の受信時刻との時刻差Δtとして、遅延時間tを距離算出部22cに出力する。
【0037】
距離算出部22cは、時刻差算出部22bから遅延時間tを受けると、以下の式(1)に示すように、遅延時間tから、受信アレイアンテナ7での受信距離と直線距離Rdとの差の距離drを算出する(図4のステップST5)。
式(1)において、cは、電波の伝搬速度である。
距離算出部22cは、距離drを反射高度算出部22dに出力する。
【0038】
反射高度算出部22dは、以下の式(2)に示すように、レーダ装置と電波源1との間の直線距離Rdと、距離算出部22cから出力された距離drとを用いて、電離層の高度hを算出し、電離層の高度hを位相速度算出部23に出力する(図4のステップST6)。
【0039】
位相速度算出部23は、反射高度算出部22dから電離層の高度hを受けると、例えば、IRIモデルを参照して、高度hにおける電離層の電子密度edを推定する。IRIモデルは、高度hと電子密度edの対応関係を示すデータベースである。IRIモデルは、位相速度算出部23が保持していてもよいし、レーダ装置の外部の装置が保持していてもよい。
位相速度算出部23は、電子密度edを推定すると、以下の式(3)に示すように、電子密度edから高度hにおける短波帯の電波の位相速度vを算出する(図4のステップST7)。
式(3)において、ωは、電離層の電子密度edによって決まるプラズマ振動数、kは、波数である。
【0040】
位相速度算出部23は、例えば、IRIモデルを参照して、高度hよりも、1つ上の高度(h+1)における電離層の電子密度edh+1を推定し、電子密度edh+1から高度(h+1)における短波帯の電波の位相速度vh+1を算出する。
高度hよりも1つ上の高度(h+1)は、IRIモデルのモデル分解能において、1つ上の高度である。
位相速度算出部23は、高度hにおける短波帯の電波の位相速度vと、高度(h+1)における短波帯の電波の位相速度vh+1とから、電離層に対する短波帯の電波の入射角度θを推定する。
即ち、位相速度算出部23は、位相速度v及び位相速度vh+1を以下の式(4)に代入し、式(4)が成立する電波の入射角度θを探索する。
短波帯の電波は、式(4)が成立する入射角度θであるときに電離層によって反射される。
位相速度算出部23は、電波の位相速度v及び入射角度θのそれぞれをビーム指向方向算出部24に出力する。
【0041】
ビーム指向方向算出部24は、以下の式(5)に示すように、位相速度算出部23から出力された位相速度v及び入射角度θと、地上における短波帯の電波の位相速度vとから、短波帯の電波のビーム指向方向θを算出する(図4のステップST8)。
地上における短波帯の電波の位相速度vは、既知である。ここでの地上は、受信アンテナ7−1〜7−Mが設置されている高度に対応する。
式(5)において、θは、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波のビーム幅である。
ビーム指向方向算出部24は、短波帯の電波のビーム指向方向θをビーム指向方向設定部25に出力する。
【0042】
ビーム指向方向設定部25は、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、移相器4−1〜4−Nの移相量及び可変利得アンプ5−1〜5−Nの利得のそれぞれを制御する(図4のステップST9)。
また、ビーム指向方向設定部25は、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、可変利得アンプ8−1〜8−Nの利得及び移相器9−1〜9−Nの移相量のそれぞれを制御する(図4のステップST9)。
即ち、ビーム指向方向設定部25は、電波の方向をビーム指向方向θに設定するためのレーダ信号の振幅及び位相を算出する。
そして、ビーム指向方向設定部25は、当該振幅を示す制御信号Cを可変利得アンプ5−1〜5−N及び可変利得アンプ8−1〜8−Nのそれぞれに出力する。
また、ビーム指向方向設定部25は、当該位相を示す制御信号Cを移相器4−1〜4−N及び移相器9−1〜9−Nのそれぞれに出力する。
ビーム指向方向θに対応する振幅及び位相の算出処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0043】
分配器3は、送信器2からレーダ信号を受けると、レーダ信号をN個に分配し、分配後のそれぞれのレーダ信号を移相器4−1〜4−Nに出力する。
移相器4−1〜4−Nは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って分配器3から出力されたそれぞれのレーダ信号の位相を調整し、位相調整後のそれぞれのレーダ信号を可変利得アンプ5−1〜5−Nに出力する。
可変利得アンプ5−1〜5−Nは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って、移相器4−1〜4−Nから出力されたそれぞれのレーダ信号の振幅を調整し、振幅調整後のそれぞれのレーダ信号を送信アンテナ6−1〜6−Nに出力する。
【0044】
送信アンテナ6−1〜6−Nは、可変利得アンプ5−1〜5−Nからそれぞれのレーダ信号を受けると、レーダ波として、短波帯の電波を空間に放射する。
送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される電波のビーム指向方向θは、レーダ装置からの直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射される電波を利用して設定されているため、直線距離が100km付近の目標に電波を照射することが可能である。
【0045】
受信アンテナ7−1〜7−Mは、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射されたのち、目標に反射されて戻ってきた短波帯の電波を受信し、電波の受信信号を可変利得アンプ8−1〜8−Mに出力する。
受信アンテナ7−1〜7−Mにより受信される電波のビーム指向方向θは、レーダ装置からの直線距離Rdが約100kmの電波源1から放射される電波を利用して設定されているため、直線距離が100km付近の目標に反射された電波を受信することが可能である。
なお、ビーム指向方向算出部24により算出されているビーム指向方向θは、仰角方向であり、方位角方向ではない。
したがって、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される電波の方位角方向は、事前に設定されている方向であってもよいし、0〜360度の範囲で回転するものであってもよい。
また、受信アンテナ7−1〜7−Mにより受信される電波の方位角方向は、事前に設定されている方向であってもよいし、0〜360度の範囲で回転するものであってもよい。
ただし、送信アンテナ6−1〜6−Nについての電波の方位角方向と、受信アンテナ7−1〜7−Mについての電波の方位角方向との間で同期がとれている必要がある。
【0046】
可変利得アンプ8−1〜8−Mは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って、受信アンテナ7−1〜7−Mから出力されたそれぞれの受信信号の振幅を調整し、振幅調整後のそれぞれの受信信号を移相器9−1〜9−Mに出力する。
移相器9−1〜9−Mは、ビーム指向方向設定部25から出力された制御信号Cに従って可変利得アンプ8−1〜8−Mから出力されたそれぞれの受信信号の位相を調整し、位相調整後のそれぞれの受信信号を合成器10に出力する。
【0047】
合成器10は、移相器9−1〜9−Mからそれぞれの受信信号を受けると、M個の受信信号を合成し、合成した受信信号である合成信号を受信器12に出力する。
受信器12は、合成器10から合成信号を受けると、合成信号を復調し、復調後の合成信号をA/D変換器13に出力する。
A/D変換器13は、受信器12から合成信号を受けると、合成信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を合成データRxとして相関判定部21に出力する
【0048】
相関判定部21の相関処理部21aは、A/D変換器13から出力された送信データTxと、A/D変換器13から出力された合成データRxとの相関処理を実施し、相関処理結果を相関判定処理部21bに出力する(図4のステップST1)。
また、相関処理部21aは、送信データTx、合成データRx及び受信データRxのそれぞれを相関判定処理部21bに出力する。
【0049】
相関判定処理部21bは、相関処理部21aから出力された相関処理結果が、送信データTxと合成データRxが相関している旨を示していれば(図4のステップST2:YESの場合)、合成データRxを距離速度算出部26に出力する。
ここでは、受信アンテナ7−1〜7−Mが、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射されたのち、目標に反射されて戻ってきた短波帯の電波を受信しているため、送信データTxと合成データRxは相関している。
【0050】
距離速度算出部26は、相関判定部21から合成データRxを受けると、合成データRxから、目標までの距離L及び目標の速度Vのそれぞれを算出する(図4のステップST10)。
合成データRxから、目標までの距離L及び目標の速度Vを算出する処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
【0051】
以上の実施の形態1は、位相速度算出部23により算出された位相速度、位相速度算出部23により推定された入射角度及び地上における短波帯の電波の位相速度から、短波帯の電波のビーム指向方向を算出するビーム指向方向算出部24を設け、ビーム指向方向設定部25が、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向及び受信アンテナ7−1〜7−Mにより受信される短波帯の電波の方向のそれぞれをビーム指向方向算出部24により算出されたビーム指向方向に設定するように、レーダ装置を構成した。したがって、実施の形態1のレーダ装置は、所望の領域に存在している目標を検出することができる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態2では、複数の電波源1から放射される電波を利用して、電波のビーム指向方向θを設定するレーダ装置について説明する。
【0053】
図7は、実施の形態2によるレーダ装置を示す構成図である。
図8は、図7に示すレーダ装置の信号処理装置20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図7及び図8において、図1及び図2と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
ビーム指向方向補間部27は、例えば、図8に示すビーム指向方向補間回路37によって実現される。
ビーム指向方向補間部27は、ビーム指向方向算出部24により算出された複数のビーム指向方向の間を補間する。
【0054】
次に、図7に示すレーダ装置の動作について説明する。
図7に示すレーダ装置では、相関判定部21、高度算出部22、位相速度算出部23及びビーム指向方向算出部24が、実施の形態1と同様に、1つの電波源1から放射される電波を利用して、電波のビーム指向方向θを算出する。
また、図7に示すレーダ装置では、相関判定部21、高度算出部22、位相速度算出部23及びビーム指向方向算出部24が、上記の電波源1と異なる1つの電波源1から放射される電波を利用して、電波のビーム指向方向θを算出する。
図7に示すレーダ装置では、相関判定部21、高度算出部22、位相速度算出部23及びビーム指向方向算出部24が、複数の電波源1から放射される電波をそれぞれ利用して、電波のビーム指向方向θをそれぞれ算出する。
【0055】
ビーム指向方向算出部24は、電波源1から放射される電波を利用して、電波のビーム指向方向θを算出する毎に、当該電波源1への直線距離Rdとビーム指向方向θの組をビーム指向方向補間部27に出力する。
図9は、レーダ装置から複数の電波源1への直線距離Rdとビーム指向方向θの対応関係、及び補間処理後の直線距離Rdとビーム指向方向θとの関係を示す補間データを示す説明図である。
図9では、電波源1への直線距離Rdとビーム指向方向θの組として、4つの組を例示している。
【0056】
ビーム指向方向補間部27は、ビーム指向方向算出部24から、電波源1への直線距離Rdとビーム指向方向θの組を複数取得すると、離散的に求められている複数のビーム指向方向θの間を補間する補間処理を実施する。
ビーム指向方向補間部27が、補間処理を実施することで、2つの直線距離Rdの中間の距離に対応するビーム指向方向θを特定することが可能になる。
補間処理としては、最小二乗法又はスプライン補間などの処理を用いることができる。
ビーム指向方向補間部27は、補間処理後の直線距離Rdとビーム指向方向θとの関係を示す補間データをビーム指向方向設定部25に出力する。
【0057】
ビーム指向方向設定部25は、レーダ装置からの直線距離がX付近の目標を検出する場合、ビーム指向方向補間部27から出力された補間データを参照して、直線距離Xに対応するビーム指向方向θを特定する。
ビーム指向方向設定部25は、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、移相器4−1〜4−Nの移相量及び可変利得アンプ5−1〜5−Nの利得のそれぞれを制御する。
また、ビーム指向方向設定部25は、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、可変利得アンプ8−1〜8−Nの利得及び移相器9−1〜9−Nの移相量のそれぞれを制御する。
【0058】
以上の実施の形態2は、ビーム指向方向算出部24により算出された複数のビーム指向方向の間を補間するビーム指向方向補間部27を備えるように、レーダ装置を構成した。したがって、実施の形態2のレーダ装置は、2つの直線距離Rdの中間の距離に存在している目標に電波を照射して、当該目標を検出することができる。
【0059】
実施の形態3.
実施の形態1,2のレーダ装置は、ビーム指向方向を可変するために、振幅制御部5,8及び位相制御部4,9を備えている。
実施の形態3では、ビーム指向方向を可変するために、送信デジタルビームフォーミング部53及び受信デジタルビームフォーミング部54を備えるレーダ装置について説明する。
【0060】
図10は、実施の形態3によるレーダ装置を示す構成図である。
図11は、図10に示すレーダ装置の信号処理装置20のハードウェアを示すハードウェア構成図である。
図10及び図11において、図1図2図7及び図8と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
信号生成部51は、例えば、図11に示す信号生成回路61によって実現される。
信号生成部51は、図1に示すA/D変換器13から出力される送信データTxに相当する送信データを生成し、送信データを送信デジタルビームフォーミング部53及び相関判定部21に出力する。
【0061】
ビーム指向方向設定部52は、例えば、図11に示すビーム指向方向設定回路62によって実現される。
ビーム指向方向設定部52は、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、送信デジタルビームフォーミング部53における電波の方向の調整を制御する。
また、ビーム指向方向設定部52は、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、受信デジタルビームフォーミング部54における電波の方向の調整を制御する。
【0062】
送信デジタルビームフォーミング部53は、例えば、図11に示す送信デジタルビームフォーミング回路63によって実現される。
送信デジタルビームフォーミング部53は、信号生成部51から出力された送信データをN個に分配する。
送信デジタルビームフォーミング部53は、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに調整するため、ビーム指向方向設定部52から出力された制御信号に従って、分配後のそれぞれの送信データを制御する。
送信デジタルビームフォーミング部53は、制御後のそれぞれの送信データをデジタルアナログ変換器(以下、「D/A変換器」と称する)55−1〜55−Nに出力する。
【0063】
受信デジタルビームフォーミング部54は、例えば、図11に示す受信デジタルビームフォーミング回路64によって実現される。
受信デジタルビームフォーミング部54は、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに調整するため、ビーム指向方向設定部52から出力された制御信号に従って、A/D変換器56−1〜56−Mから出力されたそれぞれの受信データを制御する。
受信デジタルビームフォーミング部54は、制御後のそれぞれの受信データを合成し、受信データの合成データを、図1に示すA/D変換器13から出力される合成データRxに相当するデータとして、相関判定部21に出力する。
【0064】
デジタルアナログ変換部55は、N個のD/A変換器55−1〜55−Nを備えている。
D/A変換器55−1〜55−Nは、送信デジタルビームフォーミング部53から出力されたそれぞれの送信データをデジタル信号からアナログ信号に変換し、それぞれのアナログ信号をレーダ信号として、送信アンテナ6−1〜6−Nに出力する。
アナログデジタル変換部56は、M個のA/D変換器56−1〜56−Mを備えている。
A/D変換器56−1〜56−Mは、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信されたそれぞれの受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、それぞれのデジタル信号を受信データとして、受信デジタルビームフォーミング部54に出力する。
A/D変換器57は、受信アンテナ11から出力された直接波の受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を、図1に示すA/D変換器13から出力される受信データRxに相当するデータとして、相関判定部21に出力する。
【0065】
次に、図10に示すレーダ装置の動作について説明する。
ただし、信号生成部51、ビーム指向方向設定部52、送信デジタルビームフォーミング部53、受信デジタルビームフォーミング部54、デジタルアナログ変換部55、アナログデジタル変換部56及びA/D変換器57以外は、実施の形態1,2と同様である。
ここで、実施の形態1,2と相違する部分のみを説明する。
【0066】
信号生成部51は、図1に示すA/D変換器13から出力される送信データTxに相当する送信データを生成し、送信データを送信デジタルビームフォーミング部53及び相関判定部21に出力する。
ビーム指向方向設定部52は、ビーム指向方向補間部27から電波のビーム指向方向θを受けると、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、送信デジタルビームフォーミング部53における電波の方向の調整を制御する。
また、ビーム指向方向設定部52は、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに設定するため、受信デジタルビームフォーミング部54における電波の方向の調整を制御する。
【0067】
送信デジタルビームフォーミング部53は、信号生成部51から送信データを受けると、送信データをN個に分配する。
送信デジタルビームフォーミング部53は、送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに調整するため、ビーム指向方向設定部52から出力された制御信号に従って、分配後のそれぞれの送信データを制御する。
送信アンテナ6−1〜6−Nから放射される短波帯の電波の方向をビーム指向方向θに調整するために、分配後のそれぞれの送信データを制御する処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
送信デジタルビームフォーミング部53は、制御後のそれぞれの送信データをD/A変換器55−1〜55−Nに出力する。
D/A変換器55−1〜55−Nは、送信デジタルビームフォーミング部53から出力されたそれぞれの送信データをデジタル信号からアナログ信号に変換し、それぞれのアナログ信号をレーダ信号として、送信アンテナ6−1〜6−Nに出力する。
【0068】
A/D変換器56−1〜56−Mは、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信されたそれぞれの受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、それぞれのデジタル信号を受信データとして、受信デジタルビームフォーミング部54に出力する。
A/D変換器57は、受信アンテナ11から出力された直接波の受信信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、デジタル信号を、図1に示すA/D変換器13から出力される受信データRxに相当するデータとして、相関判定部21に出力する。
【0069】
受信デジタルビームフォーミング部54は、受信アンテナ7−1〜7−Nにより受信される電波の方向をビーム指向方向θに調整するため、ビーム指向方向設定部52から出力された制御信号に従って、A/D変換器56−1〜56−Mから出力されたそれぞれの受信データを制御する。
受信デジタルビームフォーミング部54は、制御後のそれぞれの受信データを合成し、受信データの合成データを、図1に示すA/D変換器13から出力される合成データRxに相当するデータとして、相関判定部21に出力する。
【0070】
以上の実施の形態3のレーダ装置は、ビーム指向方向を可変するために、送信デジタルビームフォーミング部53及び受信デジタルビームフォーミング部54を備えている。
送信デジタルビームフォーミング部53及び受信デジタルビームフォーミング部54を備えるレーダ装置についても、図1及び図7に示すレーダ装置と同様に、所望の領域に存在している目標を検出することができる。
【0071】
実施の形態4.
実施の形態1では、送信アンテナ6−1〜6−N及び受信アンテナ7−1〜7−Nとして、ダイポールアンテナ又はモノポールアンテナを用いている。
実施の形態4では、送信アンテナ6−1〜6−N及び受信アンテナ7−1〜7−Nのそれぞれが、アンテナ素子長が調整されることで、ビーム指向方向が可変されるアンテナであるレーダ装置について説明する。
【0072】
図12は、アンテナ素子長が調整されることで、ビーム指向方向が可変される送信アンテナ6−n(n=1,2,・・・,N)を示す構成図である。
図12において、アンテナ素子71−1〜71−6は、送信アンテナ6−nに含まれている素子である。
アンテナ素子71−1は、基端側の素子であり、可変利得アンプ5−nと接続されている。
アンテナ素子71−6は、先端側の素子である。
図12では、送信アンテナ6−nが、6つのアンテナ素子71−1〜71−6を含んでいる。しかし、これは一例に過ぎず、送信アンテナ6−nが、2つ以上5つ以下のアンテナ素子を含んでいるものであってもよいし、7つ以上のアンテナ素子を含んでいるものであってもよい。
【0073】
スイッチ72−1は、アンテナ素子71−1とアンテナ素子71−2との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ72−2は、スイッチ72−1がアンテナ素子71−1とアンテナ素子71−2との間を接続しているとき、アンテナ素子71−2とアンテナ素子71−3との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ72−3は、スイッチ72−2がアンテナ素子71−2とアンテナ素子71−3との間を接続しているとき、アンテナ素子71−3とアンテナ素子71−4との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ72−4は、スイッチ72−3がアンテナ素子71−3とアンテナ素子71−4との間を接続しているとき、アンテナ素子71−4とアンテナ素子71−5との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ72−5は、スイッチ72−4がアンテナ素子71−4とアンテナ素子71−5との間を接続しているとき、アンテナ素子71−5とアンテナ素子71−6との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ72−1〜72−5における接続状態の切り換えの制御は、ビーム指向方向設定部25によって行われる。
【0074】
図13は、アンテナ素子長が調整されることで、ビーム指向方向が可変される受信アンテナ7−m(m=1,2,・・・,M)を示す構成図である。
図13において、アンテナ素子81−1〜81−6は、受信アンテナ7−mに含まれている素子である。
アンテナ素子81−1は、基端側の素子であり、可変利得アンプ8−mと接続されている。
アンテナ素子81−6は、先端側の素子である。
図13では、受信アンテナ7−mが、6つのアンテナ素子81−1〜81−6を含んでいる。しかし、これは一例に過ぎず、受信アンテナ7−mが、2つ以上5つ以下のアンテナ素子を含んでいるものであってもよいし、7つ以上のアンテナ素子を含んでいるものであってもよい。
【0075】
スイッチ82−1は、アンテナ素子81−1とアンテナ素子81−2との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ82−2は、スイッチ82−1がアンテナ素子81−1とアンテナ素子81−2との間を接続しているとき、アンテナ素子81−2とアンテナ素子81−3との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ82−3は、スイッチ82−2がアンテナ素子81−2とアンテナ素子81−3との間を接続しているとき、アンテナ素子81−3とアンテナ素子81−4との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ82−4は、スイッチ82−3がアンテナ素子81−3とアンテナ素子81−4との間を接続しているとき、アンテナ素子81−4とアンテナ素子81−5との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ82−5は、スイッチ82−4がアンテナ素子81−4とアンテナ素子81−5との間を接続しているとき、アンテナ素子81−5とアンテナ素子81−6との間の接続状態を切り換える素子である。
スイッチ82−1〜82−5における接続状態の切り換えの制御は、ビーム指向方向設定部25によって行われる。
【0076】
次に動作について説明する。
送信アンテナ6−nのアンテナ素子長は、ビーム指向方向設定部25が、スイッチ72−1のみをON(接続状態)にして、スイッチ72−2〜72−5をOFF(非接続状態)に制御する場合に最も短くなる。
送信アンテナ6−nのアンテナ素子長は、ビーム指向方向設定部25が、スイッチ72−1〜72−5の全てをONに制御する場合に最も長くなる。
ビーム指向方向設定部25が、スイッチ72−1〜72−5のON/OFFを制御することで、送信アンテナ6−nのアンテナ素子長が変化する。
送信アンテナ6−1〜6−Nのアンテナ素子長が短いときの送信アンテナ6−1〜6−Nのビーム指向方向を示す仰角は、送信アンテナ6−1〜6−Nのアンテナ素子長が長いときの送信アンテナ6−1〜6−Nのビーム指向方向を示す仰角よりも小さくなる。
したがって、ビーム指向方向設定部25が、スイッチ72−1〜72−5のON/OFFを制御することで、送信アンテナ6−1〜6−Nのビーム指向方向を可変することができる。
【0077】
受信アンテナ7−mのアンテナ素子長は、ビーム指向方向設定部25が、スイッチ82−1のみをONにして、スイッチ82−2〜82−5をOFFに制御する場合に最も短くなる。
受信アンテナ7−mのアンテナ素子長は、ビーム指向方向設定部25が、スイッチ82−1〜82−5の全てをONに制御する場合に最も長くなる。
ビーム指向方向設定部25が、スイッチ82−1〜82−5のON/OFFを制御することで、受信アンテナ7−mのアンテナ素子長が変化する。
受信アンテナ7−1〜7−Mのアンテナ素子長が短いときの受信アンテナ7−1〜7−Mのビーム指向方向を示す仰角は、受信アンテナ7−1〜7−Mのアンテナ素子長が長いときの受信アンテナ7−1〜7−Mのビーム指向方向を示す仰角よりも小さくなる。
したがって、ビーム指向方向設定部25が、スイッチ82−1〜82−5のON/OFFを制御することで、受信アンテナ7−1〜7−Mのビーム指向方向を可変することができる。
【0078】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明は、短波帯の電波のビーム指向方向を設定するレーダ装置に適している。
【符号の説明】
【0080】
1 電波源、2 送信器、3 分配器、4 位相制御部、4−1〜4−N 移相器、5 振幅制御部、5−1〜5−N 可変利得アンプ、6 送信アレイアンテナ、6−1〜6−N 送信アンテナ、7 受信アレイアンテナ、7−1〜7−M 受信アンテナ、8 振幅制御部、8−1〜8−M 可変利得アンプ、9 位相制御部、9−1〜9−M 移相器、10 合成器、11 受信アンテナ、12 受信器、13 A/D変換器、20 信号処理装置、21 相関判定部、21a 相関処理部、21b 相関判定処理部、22 高度算出部、22a 相関処理部、22b 時刻差算出部、22c 距離算出部、22d 反射高度算出部、23 位相速度算出部、24 ビーム指向方向算出部、25 ビーム指向方向設定部、26 距離速度算出部、27 ビーム指向方向補間部、31 相関判定回路、32 高度算出回路、33 位相速度算出回路、34 ビーム指向方向算出回路、35 ビーム指向方向設定回路、36 距離速度算出回路、37 ビーム指向方向補間回路、41 メモリ、42 プロセッサ、51 信号生成部、52 ビーム指向方向設定部、53 送信デジタルビームフォーミング部、54 受信デジタルビームフォーミング部、55 デジタルアナログ変換部、55−1〜55−N D/A変換器、56 アナログデジタル変換部、56−1〜56−M A/D変換器、57 A/D変換器、61 信号生成回路、62 ビーム指向方向設定回路、63 送信デジタルビームフォーミング回路、64 受信デジタルビームフォーミング回路、71−1〜71−6 アンテナ素子、72−1〜72−5 スイッチ、81−1〜81−6 アンテナ素子、82−1〜82−5 スイッチ。
図1
図2
図3
図4
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図10
図11
図12
図13