特許第6797516号(P6797516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797516
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】3
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2015-162894(P2015-162894)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-38799(P2017-38799A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年7月3日
【審判番号】不服2019-16036(P2019-16036/J1)
【審判請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100206656
【弁理士】
【氏名又は名称】林 修身
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕行
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 英樹
【合議体】
【審判長】 瀬津 太朗
【審判官】 鷲崎 亮
【審判官】 蔵野 いづみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−19743(JP,A)
【文献】 特開2013−146412(JP,A)
【文献】 特開2014−195577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技が可能な遊技機であって、
移動可能に設けられた演出部と、
前記演出部を第1位置と該第1位置と異なる第2位置との間で移動させるための移動機構部と、
発光手段と、
前記演出部及び前記移動機構部の前側に設けられ、前記発光手段の光が入射されることにより発光表示が可能な導光板と、
を備え、
前記移動機構部は、前記演出部が少なくとも移動しているときに遊技者から視認可能な視認可能部を有し、
前記演出部の移動に応じて前記視認可能部の視認を困難にする視認困難手段を備え、
前記視認困難手段は、
前記演出部が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動を開始するタイミングから前記導光板の発光表示により前記視認可能部の視認が困難となるように前記発光手段を発光させる発光制御を行う第1視認困難手段と、
前記演出部が前記第2位置に移動したときに、前記視認可能部の前側に重畳することにより該視認可能部を隠蔽する隠蔽部材からなる第2視認困難手段と、
を含み、
前記導光板の発光表示により前記視認可能部の視認が困難となるように前記発光手段を発光させる発光制御は、前記演出部が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動を開始するタイミングから開始され、該演出部が前記第2位置に移動して前記視認可能部が前記隠蔽部材により隠蔽された後に終了する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1視認困難手段による視認困難態様を複数種類のうちからいずれかに決定する態様決定手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
を備え、
前記態様決定手段は、前記有利状態制御手段により前記有利状態に制御されるか否かに応じて視認困難態様を決定し、
前記第1視認困難手段は、前記態様決定手段が決定した視認困難態様にて前記視認可能部の視認を困難にする
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
特定表示が可能な表示装置を備え、
前記演出部は、少なくとも移動しているときにおいて前記表示装置と重畳するように設けられ、
前記視認困難手段が前記視認可能部の視認を困難にすることにより、前記表示装置に表示される特定表示の視認は困難にならない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技が可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機にあっては、モータ等の駆動源により第1位置から該第1位置とは異なる第2位置へ移動する演出部を備えるもの等が提案されている。
【0003】
この種の演出部を備える遊技機として、例えば、演出部が、駆動機構により上下方向に移動可能に設けられた左右のスライダに連結部材を介して支持されているもの等があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−221102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の遊技機では、演出部は遊技者から視認可能に設けられ、左右のスライダは遊技者から視認困難に設けられているが、演出部とスライダとを連結する連結部材は、演出部が第1位置にあるときは視認困難であるが、演出部が第1位置から第2位置へ移動する際に遊技者から視認可能となるため、美観が損われてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、演出部の美観が損われることを抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、
遊技が可能な遊技機であって、
移動可能に設けられた演出部と、
前記演出部を第1位置と該第1位置と異なる第2位置との間で移動させるための移動機構部と、
発光手段と、
前記演出部及び前記移動機構部の前側に設けられ、前記発光手段の光が入射されることにより発光表示が可能な導光板と、
を備え、
前記移動機構部は、前記演出部が少なくとも移動しているときに遊技者から視認可能な視認可能部を有し、
前記演出部の移動に応じて前記視認可能部の視認を困難にする視認困難手段を備え、
前記視認困難手段は、
前記演出部が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動を開始するタイミングから前記導光板の発光表示により前記視認可能部の視認が困難となるように前記発光手段を発光させる発光制御を行う第1視認困難手段と、
前記演出部が前記第2位置に移動したときに、前記視認可能部の前側に重畳することにより該視認可能部を隠蔽する隠蔽部材からなる第2視認困難手段と、
を含み、
前記導光板の発光表示により前記視認可能部の視認が困難となるように前記発光手段を発光させる発光制御は、前記演出部が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動を開始するタイミングから開始され、該演出部が前記第2位置に移動して前記視認可能部が前記隠蔽部材により隠蔽された後に終了する
ことを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
前記第1視認困難手段による視認困難態様を複数種類のうちからいずれかに決定する態様決定手段と、
遊技者にとって有利な有利状態に制御することが可能な有利状態制御手段と、
を備え、
前記態様決定手段は、前記有利状態制御手段により前記有利状態に制御されるか否かに応じて視認困難態様を決定し、
前記第1視認困難手段は、前記態様決定手段が決定した視認困難態様にて前記視認可能部の視認を困難にする
ことを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の遊技機は、請求項1または2に記載の遊技機であって、
特定表示が可能な表示装置を備え、
前記演出部は、少なくとも移動しているときにおいて前記表示装置と重畳するように設けられ、
前記視認困難手段が前記視認可能部の視認を困難にすることにより、前記表示装置に表示される特定表示の視認は困難にならない
ことを特徴としている。
本発明の手段1の遊技機は、
遊技が可能な遊技機(例えば、パチンコ遊技機1)であって、
移動可能に設けられた演出部(例えば、第1演出部411A、第2演出部411B,411D、第3演出部411C/演出部603/第1演出部652、第2演出部662)と、
前記演出部を第1位置(例えば、第2待機位置/上方位置)と該第1位置とは異なる第2位置(例えば、第2進出位置/下方位置)との間で移動させるための移動機構部(例えば、第1可動ベース410A、第2可動ベース410B、第3可動ベース410C/支持部材602L,602R/支持部材651/支持部材661)と、
を備え、
前記移動機構部は、前記演出部が少なくとも移動しているときに遊技者から視認可能な視認可能部(例えば、第2可動ベース410Bにおける機構部分E/支持部材651において演出表示装置5と重畳する部分)を有し、
前記演出部の移動に応じて前記視認可能部の視認を困難化する視認困難化手段を備える(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行うことで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。また、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置し、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。/演出制御用CPU120は、演出部603が上方位置(第1位置)から下方位置(第2位置)へ移動するとき及び下方位置において、演出表示装置5にてフラッシュ画像等を表示することで、遊技者から視認可能となる支持部材602L,602Rの視認を困難化する)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、演出部の移動に応じて移動機構部の視認可能部が遊技者から視認可能となっても視認困難化手段により視認を困難化できるため、演出部の美観が損われることを抑制できる。
【0008】
本発明の手段2の遊技機は、手段1に記載の遊技機であって、
前記視認困難化手段は、前記演出部が前記第1位置にあるときは駆動せず、前記演出部の移動に応じて駆動して前記視認可能部の視認を困難化する(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行せず、かつ、可動体302Lを第1進出位置へ移動させず、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動するときには導光板装置500による発光表示演出を実行し、可動体302Lを第1進出位置に配置する。図20図21参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、視認可能部の視認の困難化が不要なときは駆動しないため、視認困難化手段により演出部の美観が損われることを抑制できる。
【0009】
本発明の手段3の遊技機は、手段1または2に記載の遊技機であって、
前記視認困難化手段は、
前記演出部が前記第1位置から前記第2位置へ移動する際に前記視認可能部の視認を困難化する第1視認困難化手段(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行うことで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。)と、
前記演出部が前記第2位置にあるときに前記視認可能部の視認を困難化する第2視認困難化手段(例えば、演出制御用CPU120は、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置し、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。)と、
を含む
ことを特徴としている。
この特徴によれば、演出部の状況に応じて好適な視認困難化手段で視認可能部の視認を困難化することができる。
【0010】
本発明の手段4の遊技機は、手段3に記載の遊技機であって、
前記第1視認困難化手段は、発光手段(例えば、導光板装置500の導光板LED502)である
ことを特徴としている。
この特徴によれば、発光手段を発光させる簡単な制御で視認可能部の視認を困難化することができる。
【0011】
本発明の手段5の遊技機は、手段3または4に記載の遊技機であって、
前記第2視認困難化手段は、前記視認可能部(例えば、第2可動ベース410Bにおける機構部分E)を隠蔽可能な隠蔽部材(例えば、可動体302L,302R)である
ことを特徴としている。
この特徴によれば、第2位置において視認可能部を確実に隠すことができる。
【0012】
本発明の手段6の遊技機は、手段1〜5のいずれかに記載の遊技機であって、
前記視認困難化手段は、所定の演出に用いることが可能である(例えば、導光板装置500、可動体302L,302R、演出表示装置5は、大当り予告演出を含む種々の演出等において用いられる)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、視認困難化手段の用途が増えるので興趣を高めることができる。
【0013】
本発明の手段7の遊技機は、手段1〜6のいずれかに記載の遊技機であって、
前記視認困難化手段による視認困難化態様を複数種類のうちからいずれかに決定する態様決定手段(例えば、演出制御用CPU120は、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定する)と、
遊技者にとって有利な有利状態(例えば、大当り遊技状態)に制御することが可能な有利状態制御手段(例えば、CPU103は、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行し、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。)と、
を備え、
前記態様決定手段は、前記有利状態制御手段により前記有利状態に制御されるか否かに応じて視認困難化態様を決定し(例えば、演出制御用CPU120は、変動表示結果が大当り表示結果となるか否かに応じて、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定する)、
前記視認困難化手段は、前記態様決定手段が決定した視認困難化態様にて前記視認可能部の視認を困難化する(例えば、演出制御用CPU120は、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定した後、該決定した発光表示態様にて、発光表示演出を実行する)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、視認困難化態様の種別に応じて有利状態に制御される期待度を異ならせることができるため、視認困難化手段により興趣を向上させることができる。
【0014】
本発明の手段8の遊技機は、手段1〜7のいずれかに記載の遊技機であって、
特定表示(例えば、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5U)が可能な表示装置(例えば、演出表示装置5)を備え、
前記演出部(例えば、第1演出部411A、第2演出部411B,411D、第3演出部411C)は、少なくとも移動しているときにおいて前記表示装置と重畳するように設けられ、
前記視認困難化手段による前記視認可能部の視認の困難化により、前記表示装置に表示される特定表示の視認は困難化されない(例えば、演出制御用CPU120は、演出図柄がリーチ状態になりスーパーリーチ演出に発展する前では、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uを演出図柄表示エリア5L,5C,5Rの下方、つまり、第2視認困難化手段を構成する反射部506に対応する位置に表示させているが、図20(B)に示すように、導光板装置500による発光表示演出を実行する際には、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uの表示位置を変更し、反射部506に対応しない位置に表示させる。図20(A)(B)参照)
ことを特徴としている。
この特徴によれば、視認困難化手段により特定表示の視認性が低下することを抑制できる。
【0015】
尚、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであっても良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。
図2】主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1演出ユニット及び第2演出ユニットを示す正面図である。
図4】(A)は第1演出ユニットを示す正面図、(B)は第1演出ユニットを示す背面図である。
図5】第1演出ユニットの構成を斜め前から見た状態を示す分解斜視図である。
図6】第1演出ユニットの構成を斜め後ろから見た状態を示す分解斜視図である。
図7】(A)は駆動ユニットを示す正面図、(B)は駆動ユニットを示す背面図である。
図8】(A)は駆動ベースを示す正面図、(B)は回動部材を示す正面図である。
図9】(A)〜(C)は駆動ユニットの作用を示す説明図である。
図10】(A)(B)は同じく駆動ユニットの作用を示す説明図である。
図11】(A)は第2演出ユニットを示す正面図、(B)は第2演出ユニットを示す背面図である。
図12】第2演出ユニットの構成を斜め前から見た状態を示す分解斜視図である。
図13】第2演出ユニットの構成を斜め後ろから見た状態を示す分解斜視図である。
図14】(A)は可動体が第2待機位置にあるときの各可動ベースを示す概略図、(B)は可動体が第2進出位置へ向けて移動を開始したときの各可動ベースを示す概略図である。
図15】(A)は可動体が第2進出位置へ向けて移動しているときの各可動ベースを示す概略図、(B)は可動体が第2進出位置に停止したときの各可動ベースを示す概略図である。
図16】(A)は可動体が第2待機位置にあるときの各演出部を示す概略図、(B)は可動体が第2進出位置へ向けて移動を開始したときの各演出部を示す概略図である。
図17】可動体が第2進出位置に停止したときの各演出部を示す概略図である。
図18】(A)は可動体が第2待機位置にあるときの第2演出部を示す背面図、(B)は可動体が第2進出位置へ移動を開始したときの第2演出部を示す背面図である。
図19】(A)は導光板装置を示す正面図、(B)は(A)のA−A断面図、(C)は(A)のB−B断面図である。
図20】(A)は演出表示装置による演出態様、(B)は第1演出ユニット、第2演出ユニット及び導光板装置による演出態様を示す説明図である。
図21】(A)は第1演出ユニット、第2演出ユニット及び導光板装置による演出態様、(B)は演出表示装置、第1演出ユニット及び第2演出ユニットによる演出態様を示す説明図である。
図22】(A)(B)は本発明の変形例1としての視認困難化手段を説明するための図である。
図23】(A)(B)は本発明の変形例2としての視認困難化手段を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る遊技機を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0018】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、以下において、図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
【0019】
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤2(ゲージ盤ともいう)と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球が打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。遊技盤2は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透光性を有する合成樹脂材にて正面視略四角形状に形成され、前面である遊技盤面に障害釘(図示略)やガイドレール2b等が設けられた盤面板(図示略)と、該盤面板の背面側に一体的に取付けられるスペーサ部材(図示略)と、から主に構成されている。
【0020】
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
【0021】
遊技盤2における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
【0022】
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)を導出表示する。
【0023】
演出表示装置5は、遊技盤2よりも背面側に配設され、該遊技盤2に形成された開口2cを通して視認できるようになっている。尚、遊技盤2における開口2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。また、遊技盤2の背面と演出表示装置5との間には、後述する第1演出ユニット300と第2演出ユニット400とが設けられている。また、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方には、導光板装置500が設けられている。
【0024】
演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
【0025】
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
【0026】
第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの上方位置には、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示し、第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
【0027】
演出表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図2に示す普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
【0028】
第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。また、第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ22Bによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
【0029】
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図2に示すソレノイド82によって開閉駆動される大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できない(または通過(進入)しにくい)遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。
【0030】
大入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示すカウントスイッチ23によって検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0031】
第2保留表示器25Bの上方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
【0032】
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車及び多数の障害釘が設けられている。また、遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、さらに遊技領域10の周辺部には、演出用LED9が設けられている。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
【0033】
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、発射装置(図示略)へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿90から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿91が設けられている。下皿91を形成する部材に取付けられたスティックコントローラ31Aの傾倒操作はコントローラセンサユニット35Aにて検出され、上皿90を形成する部材に設けられたプッシュボタン31Bに対してなされた押下動作はプッシュセンサ35Bにて検出される。
【0034】
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1には、例えば図2に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、LED制御基板14、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
【0035】
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、スイッチ回路110、ソレノイド回路111などが搭載されている。
【0036】
図2に示すように、主基板11には、通過ゲート41を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。また、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
【0037】
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
【0038】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM101(ReadOnlyMemory101)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM102(RandomAccessMemory102)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103(CentralProcessingUnit103)と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O105(Input/Outputport105)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
【0039】
図2に示すように、演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び演出用LED9、第1演出用モータ311L,311R、第2演出用モータ425、第1位置センサ329、第2位置センサ432及び導光板LED502(導光板発光ダイオード502)といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。
【0040】
演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。一例として、演出制御基板12では、演出制御用CPU120がROM121から読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。
【0041】
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を遊技球が通過したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過し、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となり、普通可変入賞球装置6Bの拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
【0042】
遊技球が第1始動入賞口に入賞したことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、遊技球が第2始動入賞口に入賞したことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
【0043】
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
【0044】
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
【0045】
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「16」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。
【0046】
演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。リーチ状態とは、演出表示装置5の表示領域にて停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄については変動が継続している表示状態、あるいは、全部または一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。
【0047】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「非確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。時短制御は、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、変動表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。
【0048】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せ(「確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。この確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。確変制御は、大当り遊技状態の終了後に変動表示結果が「大当り」となって再び大当り遊技状態に制御されるという条件が成立したとき、大当り遊技状態の終了後に所定回数(例えば時短回数と同じ100回)の特図ゲームが実行されたとき、大当り遊技状態の終了後に特図ゲームが開始されるごとに実行される確変転落抽選にて確変制御を終了させる「確変転落あり」の決定がなされたとき、などに終了すればよい。
【0049】
時短制御が行われるときには、普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御、高開放制御)が行われる。これにより、第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に変動表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。
【0050】
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
【0051】
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
【0052】
特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
【0053】
また、CPU103は、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPU103は、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
【0054】
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
【0055】
次に、演出制御基板12の動作を説明する。先ず、演出制御用CPU120は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理においてタイマ割込が発生すると、コマンド解析処理、演出制御プロセス処理、演出用乱数更新処理を実行する。
【0056】
演出制御プロセス処理では、演出表示装置5の第1保留記憶表示エリア5D及び第2保留記憶表示エリア5Uでの保留記憶表示を、保留記憶バッファの記憶内容に応じた表示に更新する保留表示更新処理を実行する。次いで、演出制御プロセスフラグの値に応じて、遊技制御用マイクロコンピュータ100から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する変動パターン指定コマンド受信待ち処理、演出図柄の変動が開始されるように制御する演出図柄変動開始処理、演出図柄変動開始処理にてセットされたプロセスデータに応じて変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等の制御や変動時間の終了を監視するとともに、演出表示装置5の表示制御、スピーカ8L,8Rからの音出力、演出用LED9の発光及び演出ユニット300L,300Rの駆動制御等を行う演出図柄変動中処理、演出図柄の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う演出図柄変動停止処理を行う。
【0057】
大当り表示処理においては、変動時間の終了後、演出表示装置5に大当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。大当り遊技中処理においては、大当り遊技中の制御を行う。大当り終了演出処理においては、演出表示装置5において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。
【0058】
このように演出制御用CPU120は、遊技制御用マイクロコンピュータ100から送信された演出制御コマンド(制御情報)に基づいて、演出図柄の変動表示制御や予告演出といった遊技に関連する各種演出を実行可能とされている。
【0059】
尚、演出制御用CPU120が演出図柄の変動表示中において実行する予告演出としては、例えば、第1演出ユニット300や第2演出ユニット400の可動体が動作する可動予告や、導光板装置500が発光表示を行う導光板予告や、遊技者がスティックコントローラ31Aまたはプッシュボタン31Bを操作したことを条件に実行される操作予告といった大当りの可能性を示唆する大当り予告演出や、リーチになるか否かを示唆するリーチ予告、停止図柄を予告する停止図柄予告、遊技状態が確率変動状態であるか否か(潜伏しているか否か)を予告する潜伏予告といったように、可変表示開始時やリーチ成立時において実行される複数の予告を含む。また、第1演出ユニット300、第2演出ユニット400や導光板装置500は、上記予告以外の各種演出の実行中においても演出を行うことが可能とされている。
【0060】
次に、図3に基づいて、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400について説明する。図3は、第1演出ユニット及び第2演出ユニットを示す正面図である。
【0061】
図3に示すように、ベース枠200は、略四角枠状に形成され、遊技盤2の背面における開口2cに対応する位置に取付けられる。ベース枠200の背面には、該ベース枠200に形成された略四角形状の開口201を閉鎖するように演出表示装置5が取付けられる。また、ベース枠200の上辺部には第1演出ユニット300が設けられ、下辺部には第2演出ユニット400が設けられている。尚、本実施例では、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400は一のベース枠200に設けられているが、それぞれ別個のベース体に設けられていてもよい。
【0062】
第1演出ユニット300は、ベース枠200の上辺部に取付けられるベース部材301と、ベース部材301に対し上方の第1待機位置(図3において実線で示す位置)と下方の第1進出位置(図3において2点鎖線で示す位置)との間で斜め上下方向に移動可能に設けられた可動体302L,302Rと、を有する。第2演出ユニット400は、ベース枠200の下辺部に取付けられるベース体401と、ベース体401に対し上方の第2待機位置(図3において実線で示す位置)と上方の第2進出位置(図3において2点鎖線で示す位置)との間で移動可能に設けられた第1可動部402A、第2可動部402B及び第3可動部402Cからなる可動体402と、を有する。
【0063】
第1演出ユニット300の可動体302L,302Rは、第1待機位置において一部が演出表示装置5の表示画面(開口201)に重畳し、第1進出位置において全体が演出表示装置5の表示画面(開口201)に重畳する。一方、可動体402は、第2待機位置において一部が演出表示装置5の表示画面(開口201)に重畳し、第2進出位置において全体が演出表示装置5の表示画面(開口201)に重畳する。また、可動体302L,302Rは、第1進出位置へ移動したときに、第2進出位置へ移動した可動体402の左右側に配置されるようになっている。また、本実施例では、第1待機位置及び第2待機位置がそれぞれの駆動初期位置とされている。
【0064】
次に、第1演出ユニット300について、図4図10に基づいて説明する。図4は、(A)は第1演出ユニットを示す正面図、(B)は第1演出ユニットを示す背面図である。図5は、第1演出ユニットの構成を斜め前から見た状態を示す分解斜視図である。図6は、第1演出ユニットの構成を斜め後ろから見た状態を示す分解斜視図である。図7は、(A)は駆動ユニットを示す正面図、(B)は駆動ユニットを示す背面図である。図8は、(A)は駆動ベースを示す正面図、(B)は回動部材を示す正面図である。図9は、(A)〜(C)は駆動ユニットの作用を示す説明図である。図10は、(A)(B)は同じく駆動ユニットの作用を示す説明図である。
【0065】
図4に示すように、第1演出ユニット300のベース部材301は、上辺部301Aと、上辺部301Aの左端から下方に垂下する左辺部301Bと、上辺部301Aの右端から下方に垂下する右辺部301Cと、から略下向きコ字形に形成されている。可動体302L,302Rは、ベース部材301の前面側において、第1進出位置に向けて互いに左右に離れるように斜め上下方向移動可能に設けられ、第1待機位置において上辺部301Aの前面側に配置される。第1待機位置においては、可動体302L,302Rそれぞれの内側斜辺が互いに当接するように並設される。また、上辺部301Aにおける可動体302L,302Rの上方には、発光可能な装飾部303が左右方向に向けて延設されている。尚、これら可動体302L,302R及び装飾部303は、例えば、前面に当該パチンコ遊技機1の機種名(タイトル)等が表示されるタイトルパネル部として利用されることが多い。
【0066】
ベース部材301は、透光性を有する合成樹脂材にて形成されており、背面側に設けられる各種の基板304A,304B,304Cの前面に設けられる発光ダイオード(LED(図示略))からの光により前面が発光するようになっている。また、可動体302L,302R及び装飾部303も、前面が透光性を有する合成樹脂材にて形成されるカバー体にて覆われており、背面側に設けられる各種の基板304A,304D,304Eの前面に設けられる発光ダイオード(LED(図示略))からの光により前面が発光するようになっている。尚、これら各基板304A〜304Eは、非透光性を有する合成樹脂材からなる。
【0067】
ベース部材301の左辺部301B及び右辺部301Cの背面には、可動体302L,302Rを駆動させる駆動ユニット305L,305Rが設けられている。駆動ユニット305L,305Rは、ベース部材301の左辺部301B及び右辺部301Cの背面に取付けられる駆動ベース310L,310Rと、駆動ベース310L,310Rに取付けられるステッピングモータからなる第1演出用モータ311L,311Rと、第1演出用モータ311L,311Rの動力を可動体302L,302Rへ伝達する動力伝達手段を構成する第1〜第4ギヤ312A〜312D及び回動部材313L,313Rと、を備える。
【0068】
また、ベース部材301における左辺部301B及び右辺部301Cの背面には、固定レール350L,350Rがそれぞれの内側辺に沿って取付けられており、該固定レール350L,350Rには、可動体302L,302Rに取付けられる摺動レール351L,351Rが摺動可能に設けられている。よって、可動体302L,302Rは、背面視略ハの字形に設けられた固定レール350L,350Rに対し摺動する摺動レール351L,351Rにより斜め上下方向に移動案内されている。尚、特に詳細な図示はしないが、摺動レール351L,351Rは固定レール350L,350Rの背面に摺動可能に設けられているが、可動体302L,302Rの前面はベース部材301の前面側に配置されている。また、可動体302L,302Rの背面には、回動部材313L,313Rに連結されるロック板306L,306Rが左右方向にスライド移動可能に取付けられている。
【0069】
次に、駆動ユニット305L,305Rの詳細について説明する。尚、左右の駆動ユニット305L,305Rはほぼ同様に構成されているので、以下においては、左側の駆動ユニット305Lについて説明し、右側の駆動ユニット305Rについての詳細な説明は省略することとする。
【0070】
図5図7に示すように、駆動ベース310Lの背面には、第1演出用モータ311Lが取付けられている。第1演出用モータ311Lの駆動軸311aは駆動ベース310Lを挿通して前面側に突出されており、該駆動軸311aの先端には、第1ギヤ312Aが固着されている。駆動ベース310Lの背面には、前後方向を向く回動軸320B,320C,320Dが突設されており、回動軸320Bには第1ギヤ312Aに噛合する第2ギヤ312Bが回動可能に軸支され、回動軸320Cには第2ギヤ312Bに噛合する第3ギヤ313Bが回動可能に軸支され、回動軸320Dには第3ギヤ312Cに噛合する第4ギヤ312Dが回動可能に軸支されている。
【0071】
第4ギヤ312Dの背面周縁部所定箇所からは、連結片321が回動中心から離れる方向に延設されており、該連結片321の背面には、回動部材313Lに連結するための連結軸322が後側に向けて突設されている。
【0072】
図8(A)に示すように、駆動ベース310Lには、ロック板306Lを移動案内する案内溝323が形成されている。案内溝323は、固定レール350Lに対し略平行となるように左斜め下方に向けて延設される案内部323Aと、案内部323Aの上端から左方に向けてフック状に屈曲する規制部323Bと、から構成され、この案内溝323には、後述するロック板306Lの被案内軸342が挿入されている。尚、案内部323Aと規制部323Bとの連接部は湾曲状に形成され、被案内軸342が円滑に案内部323Aと規制部323Bとを行き来できるようになっている。
【0073】
図8(B)に示すように、回動部材313Lの左端部には軸受孔325が形成されており、該軸受孔325に駆動ベース310Lの背面に突設された前後方向を向く回動軸324が挿入されることで、回動部材313Lは、駆動ベース310Lの背面側において、回動軸324を中心として回動可能に軸支されている。軸受孔325の近傍からは、第1長孔326が軸受孔325から離れる方向に向けて直線状に延設されており、該第1長孔326には、第4ギヤ312Dの連結軸322が摺動可能に挿入される。
【0074】
第1長孔326の左端部近傍からは、第2長孔327が軸受孔325から離れる方向に向けて円弧状に延設されており、該第2長孔327には、後述するロック板306Lの被案内軸342が摺動可能に挿入されている。第2長孔327の右端部は、第1長孔326の左端部に下方に配置され、第2長孔327は第1長孔326に対し若干傾斜するように設けられている。
【0075】
また、第1長孔326の上方には、駆動ベース310Lの背面に設けられた第1位置センサ329により検出される検出片328が形成されている。本実施例では、可動体302Lが第1待機位置にあるときに第1位置センサ329により検出片328が検出されるようになっている。
【0076】
ロック板306Lは、正面視略台形状に形成され、下部には左右方向を向くガイド孔340A,340Bが左右に並設されている。そしてガイド孔340A,340Bには、可動体302Lの背面に突設された左右のガイド軸341A,341Bがそれぞれ挿入されており、これによりロック板306Lは、背面側の駆動ベース310Lと前面側の可動体302Lとの間で、該可動体302Lに対して左右方向にスライド移動可能に設けられている。
【0077】
また、ロック板306Lの背面には、円柱状の被案内軸342が突設されている。この被案内軸342は、駆動ベース310Lの案内溝323を挿通して、さらにその背面側の回動部材313Lの第2長孔327に挿入される。
【0078】
このように構成された駆動ユニット305Lは、第1演出用モータ311Lの駆動軸311aが回転すると、この回転力が第1ギヤ312A、第2ギヤ312B、第3ギヤ312C、第4ギヤ312Dから回動部材313Lに伝達され、さらに回動部材313Lからロック板306Lに伝達されることで、該ロック板306Lが設けられた可動体302Lが第1待機位置と第1進出位置との間で移動する。つまり、これら第1ギヤ312A、第2ギヤ312B、第3ギヤ312C、第4ギヤ312D、回動部材313L、ロック板306Lは、第1演出用モータ311Lの動力を可動体302Lへ伝達する動力伝達機構を構成している。
【0079】
そして、図7(A)(B)に示すように、可動体302Lが第1待機位置にあるときには、連結軸322が第1長孔326の回動軸324側の端部に当接していることで、回動部材313Lは背面視において左斜め上方に傾斜した状態で維持されている。一方、被案内軸342は、案内溝323の上方の規制部323Bに配置されている。この状態において、連結軸322が第1長孔326の回動軸324側の端部に当接することで、回動部材313Lの背面視反時計回りの回動が規制されている。
【0080】
詳しくは、可動体302Lが第1待機位置にあるときにおいて、第4ギヤ312Dの回動軸320Dと回動部材313Lの回動軸324とは左右に配置され、連結軸322は、回動軸320Dの直上位置より回動軸324側であって、回動軸320Dと回動軸324との間の上方位置に配置されている。そして連結軸322は、第1長孔326の回動軸324側の端部に当接することにより背面視時計回りの回動が規制され、これにより、回動部材313Lの背面視反時計回りの回動が規制されている。つまり、第4ギヤ312Dの連結軸322と回動部材313Lの第1長孔326とは、可動体302Lが第1待機位置にあるときに回動部材313Lの正面視時計回りの回動を規制する第1ロック機構(セルフロック機構)を構成している。
【0081】
また、被案内軸342が規制部323Bに配置されることで、被案内軸342の下方への移動が規制されているとともに、第1ロック機構により回動部材313Lの正面視時計回りの回動が規制されていることで、第2長孔327の左斜め下方への移動が規制されるため、被案内軸342の案内部323A側への移動が規制される。
【0082】
詳しくは、可動体302Lに設けられたロック板306Lは、被案内軸342が略水平な規制部323Bに配置されていることで、該ロック板306L及び可動体302Lの荷重が全て規制部323Bの下辺にて受支されるため、案内溝323の上部位置にて維持されている。また、回動部材313Lの第2長孔327が略水平な規制部323Bに対し縦向きに交差するように配置されていることで、被案内軸342の規制部323Bから案内部323A側への移動が規制されるため、振動などの要因により被案内軸342が規制部323Bから案内部323A側へ移動することが防止される。
【0083】
つまり、駆動ベース310Lにおける案内溝323の規制部323Bと、ロック板306Lの被案内軸342と、被案内軸342に作用して該被案内軸342の規制部323Bから案内部323A側への移動を規制する第2長孔327とは、可動体302Lが第1待機位置にあるときにロック板306L及び可動体302Lの下方への移動を規制する第2ロック機構(セルフロック機構)を構成している。
【0084】
ここで、駆動ユニット305Lの駆動状況を図9及び図10に基づいて説明すると、まず、図9(A)に示すように、可動体302Lが第1待機位置にある状態において、第1演出用モータ311Lを駆動すると、駆動軸311aの回転力が第1ギヤ312A、第2ギヤ312B、第3ギヤ312C、第4ギヤ312Dに伝達される。
【0085】
そして、第4ギヤ312Dの連結軸322が背面視反時計回りに回転することで、図9(B)に示すように、回動部材313Lは回動軸324を中心として背面視反時計回りの回動を開始する。これにより、第2長孔327が背面視左斜め下方に移動するので、被案内軸342を案内部323A側へ移動させる。連結軸322が第4ギヤ312Dの回動軸320Dの直上付近まで回動すると、第1ロック機構による回動部材313Lの回動規制状態が解除されるとともに、被案内軸342の規制部323Bから案内部323Aへの移動規制が解除され、これにより第2ロック機構による被案内軸342の下方への移動規制が解除されるため、可動体302Lの下方への移動規制状態が解除される。
【0086】
尚、被案内軸342が規制部323Bを移動する際にはほぼ左方向へ移動するだけなので、可動体302Lに対しロック板306Lは背面視左側へスライドするものの、可動体302Lはほぼ下降しないため、ロック及びロック解除動作により可動体302Lが不自然に微動することが防止される。
【0087】
次いで、図9(C)に示すように、連結軸322が第4ギヤ312Dの回動軸320Dの直上位置より案内溝323側へ移動すると、被案内軸342が案内部323Aに進入し、可動体302Lが第1待機位置から第1進出位置側へ向けて移動可能となる。そして、図10(A)に示すように、連結軸322が背面視反時計回りに回動することにより、被案内軸342が第2長孔327により下方に押され案内溝323に沿って右斜め下方へ移動することで、可動体302Lは固定レール350Lに沿って右斜め下方へ移動する。
【0088】
そして、図10(B)に示すように、連結軸322が案内部323Aの下端に位置することで回動部材313Lの回動が規制され、第1演出用モータ311Lが非通電状態となることで、可動体302Lは自重により下方の第1進出位置にて保持される。
【0089】
また、可動体302Lを第1進出位置から第1待機位置まで上昇させる場合は、第1演出用モータ311Lの駆動軸311aを下降の際と逆方向に駆動させる。これにより、回動部材313Lが回動軸320Dを中心として背面視時計回りに回動することで、被案内軸342が第2長孔327により上方に押されて案内溝323に沿って左斜め上方へ移動する。そして、被案内軸342が案内部323Aの上端に到達して規制部323Bへ移動することで、第2ロック機構により被案内軸342の下方への移動が規制されるとともに、連結軸322が第1長孔326の回動軸324側の端部に当接することで、第1ロック機構により回動部材313Lの背面視反時計回りの回動が規制される。
【0090】
また、第2長孔327は、直線状ではなく円弧状に形成されていることで、例えば、図9(C)に示すように、被案内軸342が案内部323A上部付近にあるときにおいて、第2長孔327が案内部323Aに対し平行にならずに交差するようになっている。
【0091】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、駆動源である第1演出用モータ311L,311Rにより第1待機位置と該第1待機位置とは異なる第2待機位置との間で移動する可動体302L,302Rと、第1演出用モータ311L,311Rの動力を可動体302L,302Rに伝達する駆動力伝達手段(例えば、第1〜第4ギヤ312A〜312D、回動部材313L,313R)と、第1待機位置において可動体302L,302Rが第2待機位置側へ移動することを規制する第1ロック機構(例えば、第4ギヤ312Dの連結軸322、回動部材313Lの第1長孔326)及び第2ロック機構(例えば、案内溝323の規制部323B、ロック板306Lの被案内軸342、第2長孔327)と、を備え、前記駆動力伝達手段は、第1演出用モータ311L,311Rにより動作する特定伝達部材として回動部材313L,313Rを少なくとも含み、回動部材313L,313Rには、第1ロック機構及び第2ロック機構各々の一部(例えば、第1長孔326と第2長孔327)が設けられている。
【0092】
このようにすることで、2つのロック機構により可動体302L,302Rの第2待機位置への移動を十分に規制することができるとともに、一の回動部材313L,313Rを2つのロック機構各々の規制に利用することができるので、構造を簡素化して製造コストを低減することができる。
【0093】
また、第1ロック機構としての第4ギヤ312Dの連結軸322及び回動部材313L,313Rの第1長孔326は、可動体302L,302Rが第1待機位置にあるときに回動部材313L,313Rの回動を規制し、第2ロック機構としての案内溝323の規制部323B、ロック板306Lの被案内軸342及び第2長孔327は、可動体302L,302Rが第1待機位置にあるときに可動体302L,302Rの下降を規制することで、回動部材313L,313Rと可動体302L,302Rとがそれぞれ異なるロック機構により規制されるので、可動体302L,302Rの移動を好適に規制することができる。
【0094】
このように、第1待機位置にて可動体302L,302Rを2つのロック機構により保持することで規制するものではなく、一の第2ロック機構により可動体302L,302Rを直接的に保持し、他の第1ロック機構により第1演出用モータ311L,311Rの動力を可動体302L,302Rへ伝達する特定伝達部材としての回動部材313L,313Rを介して可動体302L,302Rを間接的に保持するので、一のロック機構にかかる負荷を分散化することができる。
【0095】
詳しくは、本実施例では、可動体302L,302Rは、第1待機位置にあるときに第1ロック機構と第2ロック機構とにより第1待機位置から第1進出位置側への移動が規制されるが、可動体302L,302Rの荷重は基本的に被案内軸342を介して規制部323Bの下辺にて受支され、回動部材313L,313Rに可動体302L,302Rの荷重がかかりにくくなっている。よって、第1ロック機構を構成する連結軸322を回動させて規制状態としたり解除したりする際における連結軸322と第1長孔326の周縁との間に生じる摩擦抵抗が小さくなるので、第1ロック機構を規制状態と解除状態とに変化させる第1演出用モータ311L,311Rにかかる負荷を極力軽減することができる。
【0096】
尚、本実施例では、第1ロック機構と第2ロック機構とは、それぞれ対象となる部材を規制状態とする機構部の構成や構造が異なるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1ロック機構と第2ロック機構とを同構造にしてもよい。
【0097】
また、回動部材313L,313Rは、第1ロック機構を構成する第1機構部としての第1長孔326と、該第1機構部とは別個に設けられ第2ロック機構を構成する第2機構部としての第2長孔327と、を有することで、第1機構部としての第1長孔326を移動する連結軸322と第2機構部としての第2長孔327を移動する被案内軸342とが接触して破損するなど不具合が生じることを回避できる。
【0098】
また、可動体302L、302Rが第1待機位置にある状態において、第1演出用モータ311L,311Rを駆動し、連結軸322が第4ギヤ312Dの回動軸320Dの直上付近まで回動すると、第1ロック機構による回動部材313L,313Rの回動規制状態が解除されるとともに、被案内軸342の規制部323Bから案内部323Aへの移動規制が解除され、これにより第2ロック機構による被案内軸342の下方への移動規制が解除されるため、可動体302L,302Rの下方への移動規制状態が解除される。このようにすることで、各ロック機構のための駆動源をそれぞれ別個に設けることなく、可動体302L、302Rを移動させるための第1演出用モータ311L,311Rを利用して2つのロック機構各々の規制及び解除を行うことができるので、構造を簡素化して製造コストを低減することができる。
【0099】
また、図7(B)に示すように、可動体302L,302Rが第1待機位置にあるとき、第1ロック機構としての第4ギヤ312Dの連結軸322及び回動部材313L,313Rの第1長孔326は、第2ロック機構としての案内溝323の規制部323B、ロック板306Lの被案内軸342及び第2長孔327よりも下方位置に配置されていることで、可動体302L,302Rを第1待機位置で好適に移動規制することができる。
【0100】
また、第2ロック機構は、可動体302L,302Rに設けられる被案内軸342と、該被案内軸342を移動案内する案内溝323の案内部323Aと、該案内部323Aに連設され可動体302L,302Rが第1待機位置にあるときに被案内軸342の移動を規制する規制部323Bと、被案内軸342に作用して該被案内軸342を案内部323A(規制解除位置)と規制部323B(規制位置)との間で移動させる作用部としての第2長孔327と、を機構部として有し、回動部材313L,313Rは第2長孔327を有することで、回動部材313L,313Rの動作により第2長孔327が被案内軸342を移動させることで、第2ロック機構を規制状態と解除状態とに変化させることができる。
【0101】
つまり、第1ロック機構は、可動体302L,302Rを移動させる第1演出用モータ311L,311Rにより連結軸322を回動させることで、回動部材313L,313Rを回動規制状態と解除状態とに変化させるロック機構であるのに対し、第2ロック機構は、第1ロック機構による規制状態が解除された回動部材313L,313Rの動作(回動)を利用して可動体302L,302Rを規制状態と解除状態とに変化するロック機構であるため、それぞれのロック機構を別個の駆動源により規制状態と解除状態とに変化させることなく、可動体302L,302Rを移動させる一の駆動源の動力を利用して規制状態と解除状態とに変化させることが可能となる。
【0102】
そして、これら第1ロック機構と第2ロック機構の一部が一の回動部材313L,313Rに形成されているため、駆動ユニット305L,305Rの構造を簡素化できるとともに、製造コストを低減することができる。
【0103】
また、前記実施例では、可動体302L,302Rは、第1待機位置と第1進出位置との間で斜め上下方向に移動可能に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、垂直方向、左右方向や前後方向に移動可能に設けられていてもよい。また、第1待機位置は第1進出位置よりも上方に設けられていたが、第1進出位置よりも下方に設けられていてもよい。さらに、直線的に移動するものでなくてもよく、例えば、回動するものであってもよい。
【0104】
また、前記実施例では、可動体302L,302Rは、駆動力伝達手段としての第1〜第4ギヤ312A〜312Dと回動部材313L,313Rにより斜め上下方向へ移動するようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動力伝達手段は、上記のような回動ギヤやラックとピニオンとから構成されるギヤ機構等で構成されていてもよいし、回動部材313L,313Rのようなアーム機構で構成されていてもよい。
【0105】
また、前記実施例では、第1ロック機構と第2ロック機構とは、連結軸と長孔とにより構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら以外の構造部にて構成されていてもよい。
【0106】
また、前記実施例では、駆動力伝達手段としての第1〜第4ギヤ312A〜312Dと回動部材313L,313Rとのうち回動部材313L,313Rに第1ロック機構及び第2ロック機構各々の一部が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1〜第4ギヤ312A〜312D等の他の構成部に第1ロック機構及び第2ロック機構各々の一部が形成されていてもよい。
【0107】
また、前記実施例では、回動部材313L,313Rに第1長孔326と第2長孔327とが形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、回動部材313L,313Rに連結軸が形成されていてもよい。
【0108】
また、前記実施例では、可動体302L,302Rは、第1待機位置において2つのロック機構(第1ロック機構と第2ロック機構)により第1進出位置への移動が規制されるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3以上のロック機構により第1進出位置への移動が規制されるようにしてもよい。さらに、回動部材313L,313Rに第1ロック機構と第2ロック機構とのうち少なくとも一方を構成する構成部が2以上形成されていてもよい。
【0109】
次に、第2演出ユニット400について、図11図18に基づいて説明する。図11は、(A)は第2演出ユニットを示す正面図、(B)は第2演出ユニットを示す背面図である。図12は、第2演出ユニットの構成を斜め前から見た状態を示す分解斜視図である。図13は、第2演出ユニットの構成を斜め後ろから見た状態を示す分解斜視図である。図14は、(A)は可動体が第2待機位置にあるときの各可動ベースを示す概略図、(B)は可動体が第2進出位置へ向けて移動を開始したときの各可動ベースを示す概略図である。図15は、(A)は可動体が第2進出位置へ向けて移動しているときの各可動ベースを示す概略図、(B)は可動体が第2進出位置に停止したときの各可動ベースを示す概略図である。図16は、(A)は可動体が第2待機位置にあるときの各演出部を示す概略図、(B)は可動体が第2進出位置へ向けて移動を開始したときの各演出部を示す概略図である。図17は、可動体が第2進出位置に停止したときの各演出部を示す概略図である。図18は、(A)は可動体が第2待機位置にあるときの第2演出部を示す背面図、(B)は可動体が第2進出位置へ移動を開始したときの第2演出部を示す背面図である。
【0110】
図11図13に示すように、第2演出ユニット400のベース体401は、可動体402を移動可能に支持するベース部材401Aと、ベース部材401Aの前面側に取付けられる装飾部材401Bと、ベース部材401Aの背面側に取付けられ、ベース枠200の下辺部に取付けられる取付部材401Cと、から構成されている。これらベース部材401Aと装飾部材401Bと取付部材401Cとは、それぞれ互いに離間して配置されている。
【0111】
ベース体401に対し移動可能に設けられる可動体402は、ベース部材401Aと取付部材401Cとの間に回動可能に配設される第1可動部402Aと、ベース部材401Aと取付部材401Cとの間に上下方向に移動可能に配設される第2可動部402Bと、ベース部材401Aと装飾部材401Bとの間に回動可能に配設される第3可動部402Cと、から構成されている。
【0112】
第1可動部402Aは、第1可動ベース410Aと、該第1可動ベース410Aの前面側に取付けられ該第1可動ベース410Aを被覆する第1演出部411Aと、から構成されている。第2可動部402Bは、第2可動ベース410Bと、該第2可動ベース410Bの前面側に取付けられ該第2可動ベース410Bを被覆する第2演出部411Bと、該第2演出部411Bに対し回動可能に設けられた第2演出部411Dと、から構成されている。第3可動部402Cは、第3可動ベース410Cと、該第3可動ベース410Cの前面側に取付けられ該第3可動ベース410Cを被覆する第3演出部411Cと、から構成されている。
【0113】
第1可動部402Aの第1可動ベース410Aは、ベース部材401Aの背面右側に突設された回動軸420が挿入される軸受孔421が右端部に形成されており、軸受孔421に挿入される回動軸420を中心として、左右方向を向く水平位置(図14(A)参照)と左斜め上方に傾斜する傾斜位置(図15(B)参照)との間で回動可能に軸支されている。第1可動ベース410Aにおける軸受孔421の背面側には、ベース部材401Aに取付けられる軸受カバー422が配設されており、回動軸420からの逸脱が規制されている。また、第1可動ベース410Aと軸受カバー422との間には、一端が第1可動ベース410Aに係止され、他端が軸受カバー422に係止されたトーションバネ423が設けられており、該トーションバネ423により第1可動ベース410Aは常時傾斜位置方向へ回動付勢されている。
【0114】
ベース部材401Aの前面右側には第2演出用モータ425が取付けられている。第2演出用モータ425の駆動軸425aは、ベース部材401Aを挿通して背面側に突出され、該突出した駆動軸425aの先端には第1ギヤ426が固着されている。第1ギヤ426には、ベース部材401Aの背面側に突設された回動軸430を中心として回動可能に設けられた第2ギヤ427が噛合されている。
【0115】
第2ギヤ427の背面周縁部所定箇所からは、連結片428が回動中心から離れる方向に延設されており、該連結片428の背面には、第1可動ベース410Aに連結するための連結軸429が後側に向けて突設されている。この連結軸429は、第1可動ベース410Aにおける軸受孔421の右側に形成された長孔424に摺動可能に挿入されている。よって、第2演出用モータ425の駆動軸425aが回転し、第1ギヤ426及び第2ギヤ427を介して連結片428の連結軸429が回動することで、第1可動ベース410Aが回動軸420を中心として回動するようになっている。
【0116】
第1可動ベース410Aの左端部には、第2可動ベース410Bに対し動力を伝達するための連結軸431が前方に向けて突設されている。また、ベース部材401Aの背面における回動軸420の近傍には第2位置センサ432が設けられており、第1可動ベース410Aの所定箇所に設けられた検出部(図示略)を検出する。本実施例では、第1可動部402Aが第2待機位置にあるときに第2位置センサ432により検出部(図示略)が検出されるようになっている。
【0117】
第2可動ベース410Bは、特に図14(B)に示すように、左から右に向けてやや下方に傾斜する円弧状の連結溝440が左右方向に向けて延設されており、該連結溝440には、第1可動ベース410Aの連結軸431が摺動可能に挿入されている。また、連結溝440の右端部下方位置には、第3可動ベース410Cに対し動力を伝達するための連結軸441が前方に向けて突設されている。
【0118】
第2可動ベース410Bにおける連結溝440の下方には、ベース部材401Aと連結するためのガイド部445が設けられている。詳しくは、ベース部材401Aの前面には、上下方向を向く固定レール442が固定されており、該固定レール442には、摺動レール443A,443Bが上下方向に摺動可能に取付けられている。摺動レール443Aの右側方には上下方向を向くガイド棒444が並設されており、ガイド部445は、このガイド棒444に対し上下方向に摺動可能に嵌挿されている。
【0119】
つまり、第2可動ベース410Bは、固定レール442に対し摺動レール443A,443Bが上下方向に移動するとともに、ガイド部445がガイド棒444に対し上下方向に移動することで、装飾部材401Bの背面に隠蔽される下方位置(図14(A)参照)と下方位置よりも上方の上方位置(図15(B)参照)との間で、ベース部材401Aに対し上下方向に移動案内されるようになっている。
【0120】
第3可動ベース410Cは、ベース部材401Aの前面左側に突設された回動軸450が挿入される軸受孔451が左端部に形成されており、軸受孔451に挿入される回動軸450を中心として、左右方向を向く水平位置(図14(A)参照)と右斜め上方に傾斜する傾斜位置(図15(B)参照)との間で回動可能に軸支されている。また、第3可動ベース410Cの左端部からは、ガイド片452が回動中心から離れる方向に延設されており、該ガイド片452の背面にはガイド軸453が突設されている。ガイド軸453は、ベース部材401Aにおける回動軸450を中心とする円弧状に形成されたガイド溝454に摺動可能に挿入され、これにより第3可動ベース410Cの回動範囲を規定する。
【0121】
また、第3可動ベース410Cには、右端部から中央部に向けて下方に傾斜する円弧状の連結溝455が形成されており、該連結溝455には、第2可動ベース410Bの連結軸441が摺動可能に挿入されている。
【0122】
このように、第1可動ベース410Aの連結軸431が第2可動ベース410Bの連結溝440に摺動可能に挿入されることで第1可動ベース410Aと第2可動ベース410Bとが連結され、第2可動ベース410Bの連結軸441が第3可動ベース410Cの連結溝455に摺動可能に挿入されることで第2可動ベース410Bと第3可動ベース410Cとが連結されている。つまり、第1可動ベース410Aと第3可動ベース410Cとは第2可動ベース410Bを介して連結されている。
【0123】
次に、可動体402を構成する第1可動ベース410A、第2可動ベース410B及び第3可動ベース410Cの動作態様について、図14及び図15に基づいて説明する。
【0124】
図14(A)に示すように、可動体402が第2待機位置にあるときには、第1可動ベース410A及び第3可動ベース410Cは水平位置にあり、第2可動ベース410Bは下方位置にある。具体的には、第1可動ベース410Aの回動軸420と第3可動ベース410Cの回動軸450とは左右に離れて配置され、第1可動ベース410Aと第3可動ベース410Cとのうち一方は他方の回動軸側に傾倒するように配置される。また、このとき、連結軸431は連結溝440の左端部に配置され、連結軸441は連結溝455の左端部に配置されている。また、ガイド部445はガイド棒444の下方位置に配置され、摺動レール443A,443Bも固定レール442の前面に配置されている。
【0125】
ここで、図14(B)に示すように、第2演出用モータ425の駆動軸425aが回転し、第1ギヤ426及び第2ギヤ427を介して連結片428の連結軸429が正面視時計回りに回動することで、第1可動ベース410Aが回動軸420を中心として正面視時計回りに回動する。そして、第1可動ベース410Aの回動に応じて連結軸431が上方へ移動することで、連結軸431は連結溝440を押し上げながら右側へ摺動するため、第2可動ベース410Bが上昇する。第2可動ベース410Bは、ガイド部445がガイド棒444により移動案内されることで、略鉛直上方に向けて移動する。
【0126】
そして、第2可動ベース410Bの上昇に応じて連結軸441が上方へ移動することで、連結軸441は連結溝455を押し上げながら上側へ摺動するため、第3可動ベース410Cが正面視反時計回りに回動する。つまり、第1可動ベース410Aの回動に応じて第2可動ベース410Bと第3可動ベース410Cとが連動する。
【0127】
次いで、ガイド部445がガイド棒444の上端に到達すると、図15(A)に示すように、摺動レール443A,443Bが固定レール442に対し上方へスライド移動することで、第2可動ベース410Bを上方へ移動案内する。
【0128】
そして、図15(B)に示すように、連結軸431が連結溝440の右端部に到達するとともに、連結軸441が連結溝455の上端部に到達すると、第1可動ベース410A及び第3可動ベース410Cは傾斜位置に配置され、第2可動ベース410Bは上方位置に配置される。このように可動体402が第2進出位置へ移動した状態において、第1可動ベース410Aの先端と第3可動ベース410Cの先端とが近接して正面視略逆V字形をなすように配置される。
【0129】
また、図15(B)に示すように可動体402が第2進出位置にある状態において、第2演出用モータ425の駆動軸425aを逆回転させることで、第1可動ベース410Aが正面視反時計回りに回動し、これに応じて第2可動ベース410Bが下降することで第3可動ベース410Cが正面視時計回りに回動する。そして、第1可動ベース410A及び第3可動ベース410Cが水平位置に配置され、第2可動ベース410Bが下方位置に配置されることで、可動体402は第2待機位置に配置される。
【0130】
次に、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cについて説明する。
【0131】
第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cは、それぞれ前面に装飾などが施された非透光性を有する演出部材からなり、第2待機位置から第2進出位置へはそれぞれ別個に移動し、第2進出位置へ移動したときに合体して所定の形態(例えば、図17参照)を構成するようになっている。このように、可動体402を構成する第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cは、遊技者に注目される部分であるが、これら第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを第2待機位置と該第2待機位置とは異なる第2進出位置との間で移動させるための移動機構部が必要となる。
【0132】
移動機構部とは、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを所定態様で動作させるために必要となる機構部であり、例えば、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを動作可能に支持する第1可動ベース410A、第2可動ベース410B及び第3可動ベース410Cを含む。より具体的には、第1可動ベース410Aに形成される連結軸431、第2可動ベース410Bに形成される連結溝440や連結軸441、第3可動ベース410Cに形成される連結溝455など、各可動ベースを連結する連結部や、他の部材へ第2演出用モータ425の動力を伝達する動力伝達部(例えば、ギヤ部など)等を含む。
【0133】
これら移動機構部は、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを所定態様で動作させるために形成されるものであって、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cに比べて見栄えが悪い。よって、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの美観が損われることがないように、これら第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cにより、第1可動ベース410A、第2可動ベース410B及び第3可動ベース410Cの前面を被覆している。
【0134】
但し、図11(A)及び図12に示すように、第2演出部411B,411Dは、第2可動ベース410Bの前面における略右側部分は被覆しているが、左側の機構部分E(図11(A)、図17において白色の領域参照)は被覆されていない。すなわち、この機構部分Eは、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを動作させるために必要となる機構部であるが、第2進出位置において第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cが所定形態となるときに不要な部位となっている。
【0135】
図16(A)(B)及び図17には、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動する際の第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの動作態様が示されている。
【0136】
図16(A)に示すように、可動体402が第2待機位置にあるとき、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cは、ベース体401の装飾部材401B(図中斜線で示される部分)などにより前面側が被覆されて遊技者から視認困難な状態とされている。図16(B)に示すように、可動体402が第2待機位置から第2進出位置への移動を開始すると、各第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cにおいてベース体401の上方に移動した部分が遊技者から視認可能となる。
【0137】
ここで、第2演出部411Dについて、図18(A)(B)に基づいて簡単に説明する。図18(A)に示すように、第2演出部411Dは、第2演出部411Bの前面側において、前後方向を向く回動軸460を介して傾倒位置と起立位置との間で回動可能に軸支されている。第2演出部411Dの背面には、回動軸460を中心として回動する回動部材461が一体的に固定されており、該回動部材461の周縁には連結軸462が突設されている。
【0138】
一方、第2演出部411Bには、スライド板463が上下方向に移動可能に設けられ、該スライド板463の上端に形成された連結長孔464に挿入されている。スライド板463は、回動軸460の周囲に環装されたトーションバネ465により常時下方に向けて付勢されており、可動体402が第2待機位置に位置しているときには、図18(A)に示すように、下端がベース部材401Aの所定箇所に当接することで上方位置に配置される。また、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上方へ移動すると、図18(B)に示すように、下端がベース部材401Aの所定箇所から離れるため、トーションバネ465により下方に付勢されて下方位置へ移動する。
【0139】
これにより、連結軸462が下側に向けて回動するため、第2演出部411Dは、可動体402の第2待機位置から第2進出位置へ向けて移動を開始した直後に、傾倒位置から起立位置へ移動する(図16(B)参照)。尚、特に図示しないが、可動体402が第2進出位置から第2待機位置へ移動すると、スライド板463の下端がベース部材401Aの所定箇所に当接し、トーションバネ465の付勢力に抗して上方位置へ移動されるため、第2演出部411Dは、可動体402が第2待機位置へ戻る直前に起立位置から傾倒位置へ移動する。
【0140】
図16(B)に示すように、可動体402が第2待機位置から第2進出位置への移動を開始し、第2可動ベース410Bが上昇すると、第2可動ベース410Bにおける機構部分Eが遊技者から視認可能となる。そして、図17に示すように、可動体402が第2進出位置にて停止したときも、第2可動ベース410Bにおける機構部分Eは遊技者から視認可能となる。
【0141】
前述したように、第2進出位置において第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cが図17に示す所定形態となるとき、第2可動ベース410Bの機構部分Eは不要な部位であるため、第2演出部411Bを機構部分Eを被覆するために拡張することができない。しかし、本実施例では、図16(B)に示すように、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときや、図17に示すように、可動体402が第2進出位置に停止しているときに、第2可動ベース410Bの機構部分Eは遊技者から視認可能となる。つまり、機構部分Eは、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときや第2進出位置に停止しているときに遊技者から視認可能となる視認可能部とされている。
【0142】
このように、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときや第2進出位置に停止しているときに、第2可動ベース410Bの機構部分Eが遊技者から視認可能となると美観が損われるため、本実施例では、以下に説明するように、導光板装置500や第1演出ユニット300の可動体302L,302Rを利用して、第2可動ベース410Bの機構部分Eを遊技者から視認困難とするようにしている。
【0143】
次に、導光板装置500について、図19に基づいて説明する。図19は、(A)は導光板装置を示す正面図、(B)は(A)のA−A断面図、(C)は(A)のB−B断面図である。
【0144】
導光板装置500は、遊技盤2における開口2cを閉鎖するように設けられた導光板501と、該導光板501の右端面501aに光を入射するための導光板LED502が複数搭載されたLED基板503と、導光板LED502からの光を導光板501の右端面501aに向けて集光するための集光レンズ504と、導光板501とLED基板503とを一体にするための枠部材505と、を主に有する。尚、導光板装置500は、遊技盤2の背面に固定されてもよいし、センター飾り枠51に固定されてもよい。
【0145】
導光板501は、所定の前後幅寸法(板厚=約5mm)を有するアクリルやポリカーボネートなどの透明な合成樹脂等の材質で形成された板部材であって、図19(B)に示すように、演出表示装置5、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方に配置されている。
【0146】
また、導光板501は、右端面501aから内部に入射された導光板LED502からの光を反射して前方側に出射させる反射部506を有する。本実施例では、導光板501のほぼ全域に設けられ、後述するように、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ移動する際の移動軌跡と、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動する際の移動軌跡と、に対応した領域に設けられている。
【0147】
図19(C)に示すように、反射部506は、右端面501aから内部に入射された導光板LED502からの入射光を誘導して前面から出射させるように微細な凹凸状態(粗面)に背面側に形成されている。具体的には、反射部506は、光の進行方向を側方から見たときの断面視で一定ピッチの略半円形状をなす凹凸状態(粗面)に形成されている。図19(C)では、理解を助けるために、凹凸状態(粗面)を拡大して図示しているが、実際の反射部506は、肉眼で確認することが困難な大きさの微細な凹凸状態となっている。
【0148】
導光板501の右端面501aから内部に光が入射されると、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像(静止画像)が表示される(図19(A)における網点領域や図20(B)において白色領域参照)。また、導光板501により表示可能とする表示情報として、所定の画像(絵柄)が例示されているが、これら以外にも、文字、記号、図柄、あるいは模様等の装飾も含む他の表示情報を表示可能としても良い。
【0149】
尚、導光板501の右端面501aから光が入射されていない状態では、反射部506の部分を含む導光板501全体は無色透明の状態となり、後方の演出表示装置5の表示画像、可動体302L,302R及び可動体402を前面側から視認可能となる。また、導光板501の右端面501aから光が入射された状態では、反射部506の部分は発光されるが、反射部506以外の部分は、無色透明の状態が維持される。
【0150】
尚、本実施例では、反射部506が略半円形状をなす凹凸状態に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、反射部506をスタンパーやインジェクションにより導光板501の背面(後面)に凹凸部をつける成型方式にて構成しても良い。また、アクリル板に白色インクで反射ドットを印刷したシルク印刷方式や、アクリル板と反射板とをドット状の粘着材で貼り付けた貼着ドット方式や、溝加工方式等により反射部を構成しても良い。
【0151】
尚、本実施例では、導光板501の背面(後面)における反射部506の各凹凸の形状が断面視で略半円形状となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら反射部506の各凹凸の断面形状を略三角形状等、光を正面(前面)に向けて反射可能な反射面を構成するものであれば種々に変形可能である。
【0152】
次に、演出表示装置5、第1演出ユニット300、第2演出ユニット400及び導光板装置500を用いた演出の一例を、図20及び図21に基づいて説明する。図20は、(A)は演出表示装置による演出態様、(B)は第1演出ユニット、第2演出ユニット及び導光板装置による演出態様を示す説明図である。図21は、(A)は第1演出ユニット、第2演出ユニット及び導光板装置による演出態様、(B)は演出表示装置、第1演出ユニット及び第2演出ユニットによる演出態様を示す説明図である。
【0153】
図20(A)には、第1演出ユニット300、第2演出ユニット400及び導光板装置500による演出が行われておらず、演出表示装置5により演出図柄の変動表示が実行されている状態が示されている。
【0154】
ここで、図20(B)に示すように、例えば、演出図柄がリーチ状態になりスーパーリーチ演出に発展したことに基づいて、演出制御用CPU120が、第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400による可動演出と、導光板装置500による発光表示演出とを実行すると、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1待機位置から第1進出位置へ向けて下降を開始するとともに、第2演出ユニット400の可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ向けて上昇を開始する。また、導光板装置500の導光板LED502が発光することで、反射部506のドットパターンによって導光板501に所定の画像(静止画像)が表示される。
【0155】
図20(B)に示すように、導光板501に所定の画像(静止画像)が発光表示されると、導光板501は第1演出ユニット300及び第2演出ユニット400の前方に配設されていることから、導光板501から前方、つまり遊技者側に出射される光により、遊技者からは導光板501の後方にある第1演出ユニット300の可動体302L,302Rや第2演出ユニット400の可動体402を視認し難くなる。よって、第2演出ユニット400における第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eは、第2待機位置から第2進出位置へ向けて移動する際に遊技者から視認可能となるが、導光板501から前方に出射される光により遊技者から視認困難となる。すなわち、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行うことで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する第1視認困難化手段を構成している。
【0156】
また、図21(A)に示すように、第2演出ユニット400の可動体402が第2進出位置に到達する直前において、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rは、第2演出ユニット400における第2演出部411Bの左右側に互いに離間するように移動してくる。特に左側の可動体302Lは、第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの前面側に重畳するように移動する。
【0157】
そして、図21(B)に示すように、第1演出ユニット300の可動体302L,302Rが第1進出位置に停止し、第2演出ユニット400の可動体402が第2進出位置に停止したときには、可動体302L,302Rが第2演出部411Bの左右側に互いに離間して配置され、特に左側の可動体302Lは、第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの前面側に重畳する位置に配置されるので、可動体302Lによって機構部分Eが隠蔽されて遊技者から視認不能となる。また、導光板LED502が消灯して導光板装置500による発光表示演出が終了し、演出表示装置5の表示画像により前方の可動体302L,302Rと可動体402とが演出される。
【0158】
よって、導光板LED502が消灯して導光板装置500による発光表示演出が終了しても、可動体302Lによって機構部分Eが隠蔽されて遊技者から視認困難となる。すなわち、演出制御用CPU120は、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置し、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する第2視認困難化手段を構成している。
【0159】
また、図20(A)に示すように、演出制御用CPU120は、演出図柄がリーチ状態になりスーパーリーチ演出に発展する前では、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uを演出図柄表示エリア5L,5C,5Rの下方、つまり、第2視認困難化手段を構成する反射部506に対応する位置に表示させているが、図20(B)に示すように、導光板装置500による発光表示演出を実行する際には、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uの表示位置を変更し、反射部506に対応しない位置に表示させる。
【0160】
このようにすることで、視認困難化手段である導光板装置500による発光表示演出により第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uの視認性が低下することを抑制できる。
【0161】
また、演出制御用CPU120は、導光板装置500の導光板LED502の発光態様(例えば、発光色、点滅速度、輝度など)を変化させることで、複数種類の発光表示態様にて発光表示演出を実行することが可能である。
【0162】
また、このようにする場合、演出制御用CPU120は、図柄の変動表示結果が大当り表示結果となるか否かに応じて、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定し、該決定した発光表示態様にて発光表示演出を実行するようにしてもよい。例えば、導光板LED502を黄色、緑色、赤色にて発光させることを可能とし、図柄の変動表示結果が大当り表示結果となる場合、はずれ表示結果となる場合よりも高い割合で赤色にて発光させるようにすることで、遊技者は、導光板装置500により赤色の発光表示演出が実行されることで、黄色や緑色の発光表示演出が実行される場合よりも大当り表示結果が導出されることを期待できるため、遊技の興趣が向上する。
【0163】
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、移動可能に設けられた第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cと、これら第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを第2待機位置と第2進出位置との間で移動させるための移動機構部(例えば、第1可動ベース410A、第2可動ベース410B、第3可動ベース410C)と、を備え、移動機構部は、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cが少なくとも移動しているときに遊技者から視認可能な視認可能部である第2可動ベース410Bにおける機構部分Eを有し、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行ったり、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置したりすることで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する。
【0164】
このようにすることで、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの移動に応じて移動機構部の機構部分Eが遊技者から視認可能となっても、導光板装置500による発光表示演出や可動体402が第2進出位置に配置され機構部分Eを隠蔽することにより視認を困難化できるため、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの美観が損われることを抑制できる。
【0165】
また、本実施例では、機構部分Eの視認を困難化する視認困難化手段としての導光板装置500の反射部506は、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの移動軌跡に対応する領域に対応して設けられていることで、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動して停止した後、導光板装置500による発光表示演出が終了したとき、可動体402が既に第2進出位置に配置されている。つまり、可動体402の移動態様が導光板装置500による発光表示演出により遊技者から見えにくくなるので、発光表示演出が終了したときに遊技者に意外性を与えることができる。
【0166】
また、演出制御用CPU120は、可動体402が第2待機位置にあるときには導光板装置500による発光表示演出を実行せず、かつ、可動体302Lを第1進出位置へ移動させず、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動するときには導光板装置500による発光表示演出を実行し、可動体302Lを第1進出位置に配置する。このようにすることで、機構部分Eの視認の困難化が不要なときは、可動体302Lを第1進出位置へ移動させたり、導光板装置500による発光表示演出を実行させない、つまり、新困難化手段を駆動しないため、可動体402が第2待機位置にあるときに視認困難化手段により第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cの美観が損われたり、演出表示装置5の表示画面の視認性が低下することを抑制できる。
【0167】
また、前記実施例では、第2演出部411B,411Dが移動しているときは導光板装置500により機構部分Eの視認が困難化され、第2演出部411B,411Dが第2進出位置に停止しているときは可動体302Lにより機構部分Eが視認不能とされている。このように、視認困難化の対象となる機構部分Eが移動しているときは発光表示を用いることで、機構部分Eに対し構造物を追従させて隠蔽するなどすることなく、動く機構部分Eの視認性を簡単な構成で困難化できるとともに、機構部分Eが停止したときには隠蔽部材(構造物)により機構部分Eの視認性を確実に困難化することができる。
【0168】
さらに、可動体302Lは第2演出部411B,411Dとは別個に設けられた演出部であることで、機構部分Eの視認性を困難化しつつ、第2演出部411B,411Dの近傍位置に配置されて該第2演出部411B,411Dが装飾されるため、演出効果が向上する。
【0169】
また、前記実施例では、可動体402が第2進出位置に停止したときに可動体302Lが機構部分Eの前面側に重畳するように配置されることで該機構部分Eが視認不能となるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、可動体402が第2進出位置に停止したときに可動体302Lが機構部分Eの背面側に重畳するように配置されることで、機構部分Eがその背面周囲に配置される可動体302Lの前面装飾に同化することで視認が困難化されるようにしてもよい。
【0170】
さらに、前記実施例では、可動体402が第2進出位置に停止したときに他の可動体302L(演出部)により視認が困難化される形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、可動体402が第2進出位置に停止したときに他の可動体の移動機構部が重畳して配置されることにより視認が困難化されるようにしてもよい。
【0171】
また、機構部分Eを透光性を有する透過部材等により形成することで、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動する際に導光板装置500の発光表示演出が実行されたときの機構部分Eの視認性をより困難化することができるとともに、演出表示装置5の表示画面に表示された表示内容の視認性が低下することを抑制することができる。
【0172】
また、前記実施例では、視認困難化手段としての可動体302Lは、可動体402の第2待機位置(下方)と反対側の第1待機位置(上方)から移動してきて機構部分Eの視認性を困難化するようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、可動体402の移動に追従するように同方向へ移動するものであってもよいし、交差する方向へ移動するものであってもよい。
【0173】
また、視認困難化手段は、可動体402が第2待機位置から第2進出位置へ移動しているときに導光板装置500による発光表示演出を行うことで、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する第1視認困難化手段と、可動体402が第2進出位置にあるときに可動体302Lを第1進出位置に配置し、遊技者から視認可能となる第2可動ベース410Bの一部である機構部分Eの視認を困難化する第2視認困難化手段と、を含むことで、第1演出部411A、第2演出部411B,411D、第3演出部411Cの移動状況や配置位置に応じて好適な視認困難化手段で機構部分Eの視認を困難化することができる。
【0174】
また、第1視認困難化手段は、発光表示演出を行う導光板装置500の導光板LED502であることで、発光手段を発光させる簡単な制御で機構部分Eの視認を困難化することができる。
【0175】
尚、このように第1視認困難化手段として導光板LED502のような発光手段を用いることで、例えば、発光態様を変化させる(例えば、発光輝度や発光色を変化させる)ことにより、困難化の度合いを容易に変化させることが可能となる。また、構造物などで視認を困難化する場合に比べて、簡単な構成で視認を困難化することができる。
【0176】
また、第2視認困難化手段は、第2可動ベース410Bにおける機構部分Eを隠蔽可能な隠蔽部材としての可動体302L,302Rであることで、第2待機位置において機構部分Eを確実に隠すことができる。
【0177】
また、視認困難化手段である導光板装置500、可動体302L,302R、演出表示装置5は、前述した大当り予告演出を含む種々の演出等において用いられる演出装置であることで、可動体402の可動演出において機構部分Eの視認を困難化するときだけでなく、種々の演出に用いることが可能であり、これにより用途が増えるので興趣を高めることができる。
【0178】
尚、本実施例では、視認困難化手段として他の演出に用いられる演出装置を利用していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、機構部分Eの視認を困難化するためにのみ用いられる装置を適用してもよい。
【0179】
また、演出制御用CPU120は、導光板装置500の導光板LED502の発光態様(例えば、発光色、点滅速度、輝度など)を変化させることで、複数種類の発光表示態様にて発光表示演出を実行することが可能であり、このようにする場合、演出制御用CPU120は、図柄の変動表示結果が大当り表示結果となるか否かに応じて、導光板装置500の発光表示態様を複数種類のうちからいずれかに決定し、該決定した発光表示態様にて発光表示演出を実行するようにしてもよい。例えば、導光板LED502を黄色、緑色、赤色にて発光させることを可能とし、図柄の変動表示結果が大当り表示結果となる場合、はずれ表示結果となる場合よりも高い割合で赤色にて発光させるようにすることで、遊技者は、導光板装置500により赤色の発光表示演出が実行されることで、黄色や緑色の発光表示演出が実行される場合よりも大当り表示結果が導出されることを期待できるため、遊技の興趣が向上する。
【0180】
また、図20(A)に示すように、演出制御用CPU120は、前記実施例において、演出図柄がリーチ状態になりスーパーリーチ演出に発展する前では、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uを演出図柄表示エリア5L,5C,5Rの下方、つまり、第2視認困難化手段を構成する反射部506に対応する位置に表示させているが、図20(B)に示すように、導光板装置500による発光表示演出を実行する際には、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uの表示位置を変更し、反射部506に対応しない位置に表示させる。このようにすることで、視認困難化手段である導光板装置500による発光表示演出により第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uの視認性が低下することを抑制できる。
【0181】
尚、上記では、導光板装置500による発光表示演出を実行する際には、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uの表示位置を反射部506に対応しない位置に変更させていたが、導光板装置500による発光表示演出を実行するときに第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uの表示を消去するようにしてもよい。
【0182】
尚、本実施例では、特定表示の一例として、第1保留記憶表示エリア5Dや第2保留記憶表示エリア5Uを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、演出図柄とは別個に表示される第4図柄や、スーパーリーチ演出への発展に応じて演出図柄を縮小表示してなる縮小演出図柄や、遊技球の推奨する打ち方を報知する右打ち表示や、時短回数を示す表示や、大当り遊技におけるラウンド回数を示す表示等、その他の種々の表示を含む。
【0183】
次に、本発明の変形例1,2について、図22及び図23に基づいて説明する。図22は、(A)(B)は本発明の変形例1としての視認困難化手段を説明するための図である。図23は、(A)(B)は本発明の変形例2としての視認困難化手段を説明するための図である。
【0184】
前記実施例では、第2演出ユニット400において、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを第2待機位置と第2進出位置との間で移動させるための移動機構部として、第1可動ベース410A、第2可動ベース410B及び第3可動ベース410Cを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所定の回動軸を中心として回動可能に設けられた部材ではなく、例えば、図22(A)(B)に示すように、左右に並設された上下方向を向くガイド部601L,601Rにより移動案内され、演出部603を左右側方から支持する支持部材602L,602R等であってもよい。
【0185】
このような移動機構部としての支持部材602L,602Rにおいて、例えば、演出部603が上方位置(第1位置)から下方位置(第2位置)へ移動するとき及び下方位置において演出表示装置5と重畳する部分は、遊技者から視認可能な視認可能部である。このような場合、演出部603の左右幅寸法は演出表示装置5の左右幅寸法よりも短寸であるため、支持部材602L,602Rが露呈してしまうが、前記実施例のように、支持部材602L,602Rの前方にある導光板501にて表示を行うことで、演出部603が上方位置から下方位置へ移動しているとき及び下方位置において遊技者から視認可能となる支持部材602L,602Rの視認を困難化することができる。
【0186】
また、前記実施例では、移動機構部における視認可能部の視認を困難化する視認困難化手段として、移動機構部の前方に設けられる導光板装置500を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図22(B)に示すように、移動機構部である支持部材602L,602Rの後方に設けられる液晶表示器からなる演出表示装置5であってもよい。この場合、演出表示装置5にてフラッシュ画像等を表示することで、演出表示装置5からの光は遊技者から見て逆光となり、前方にある支持部材602L,602Rの周囲の方が明るくなって遊技者からの視認性が低下するので、視認が困難となる。すなわち、演出制御用CPU120は、演出部603が上方位置(第1位置)から下方位置(第2位置)へ移動するとき及び下方位置において、演出表示装置5にてフラッシュ画像等を表示することで、遊技者から視認可能となる支持部材602L,602Rの視認を困難化する視認困難化手段を構成している。
【0187】
また、図23(A)(B)に示すように、一端が回動可能に支持される支持部材651により、演出表示装置5から退避した第1位置と演出表示装置5の表示画面に重畳する第2位置との間で回動可能に設けられる第1演出部652と、一端が回動可能に支持される支持部材661により、演出表示装置5から退避した第1位置と演出表示装置5の表示画面に重畳する第2位置との間で回動可能に設けられる第2演出部662と、を備えたパチンコ遊技機1において、一方の第1演出部652が第1位置から第2位置へ移動しているとき及び第2位置において遊技者から視認可能となる支持部材651の視認を、他方の第2演出部662により困難化することも可能である。
【0188】
また、前記実施例では、第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを移動させる第1可動部402A、第2可動部402B及び第3可動部402Cからなる可動体402は、第2待機位置と該第2待機位置よりも上方の第2進出位置との間で上下方向に移動可能に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、左右方向や前後方向に移動可能に設けられていてもよい。また、第2待機位置は第2進出位置よりも下方に設けられていたが、第2進出位置よりも上方に設けられていてもよい。さらに、回動するものでなくてもよく、例えば、直線的に移動するものであってもよい。
【0189】
また、前記実施例では、可動体402は複数の第1可動部402A、第2可動部402B及び第3可動部402Cとこれらに対応する複数の第1演出部411A、第2演出部411B,411D及び第3演出部411Cを有していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも一の演出部を有していればよい。
【0190】
また、前記実施例では、移動機構部としての第2可動部402Bの機構部分Eは、第2演出部411B,411Dが第2待機位置と第2進出位置との間を移動しているとき及び第2進出位置に停止しているときに遊技者から視認可能な視認可能部として例示されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、視認可能部は、少なくとも演出部が少なくとも移動しているときに遊技者から視認可能なものであれば、第2待機位置や第2進出位置において遊技者から視認困難とされていてもよい。
【0191】
また、前記実施例では、第2演出部411B,411Dの移動に応じて、導光板装置500により機構部分Eの視認が困難化されていたが、視認が困難化されるとは、例えば、導光板装置500の発光表示演出が実行されたときに、導光板装置500の発光表示演出が実行されていないときよりも機構部分Eの視認が困難となれば、機構部分Eが完全に視認できない状態とならなくてもよいし、機構部分Eが視認できる状態であってもよい。
【0192】
また、前記実施例では、第2演出部411B,411Dが移動しているときは導光板装置500により機構部分Eの視認が困難化され、第2演出部411B,411Dが第2進出位置に停止しているときは可動体302Lにより機構部分Eが視認不能とされていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2演出部411B,411Dが移動しているときに可動体302Lにより機構部分Eの視認が困難化され、第2演出部411B,411Dが第2進出位置に停止しているときに導光板装置500により機構部分Eの視認が困難化されるようにしてもよい。
【0193】
また、第2演出部411B,411Dが移動しているとき及び第2進出位置に停止しているときの双方において、導光板装置500と可動体302Lとのうちいずれか一方により視認が困難化されてもよいし、導光板装置500及び可動体302L双方により視認が困難化されてもよい。
【0194】
また、前記実施例では、第2演出部411B,411Dの機構部分Eは複数の視認困難化手段(例えば、導光板装置500及び可動体302L)にて視認が困難化されるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、一の視認困難化手段により困難化されるようにしてもよい。
【0195】
また、前記実施例では、演出部の一の視認可能部(機構部分E)の視認が視認困難化手段により困難化されるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、演出部の複数の視認可能部の視認が視認困難化手段により困難化されるようにしてもよい。
【0196】
また、前記実施例及び変形例1,2では、視認困難化手段として、導光板装置500、可動体302L、演出表示装置5を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、導光板装置500に代えて透過型液晶表示器や透過型EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置等を適用してもよい。
【0197】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0198】
例えば、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用された遊技球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。尚、これら封入式遊技機においては遊技球ではなく得点やポイントが遊技者に付与されるので、これら付与される得点やポイントが遊技価値に該当する。
【0199】
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状の遊技球(パチンコ球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えば、メダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
【0200】
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な変動表示装置に変動表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該変動表示装置に導出された変動表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。
【符号の説明】
【0201】
1 パチンコ遊技機
120 演出制御用CPU
300 第1演出ユニット
302L,302R 可動体
400 第2演出ユニット
401 ベース体
402A〜C 第1〜3可動部
410A〜C 第1〜3可動ベース
411A〜D 第1〜3演出部
425 第2演出用モータ
500 導光板装置
501 導光板
502 導光板LED
E 機構部分
図1
図2
図3
図4
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