(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797518
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】合成樹脂製の管の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 11/12 20060101AFI20201130BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20201130BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20201130BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20201130BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20201130BHJP
E03B 7/09 20060101ALI20201130BHJP
E03F 3/04 20060101ALI20201130BHJP
E04B 1/72 20060101ALI20201130BHJP
F16L 11/118 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
F16L11/12 Z
B32B1/08 Z
B32B27/18 Z
B32B27/32 Z
B32B27/34
E03B7/09
E03F3/04 Z
E04B1/72
F16L11/118
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-196752(P2015-196752)
(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公開番号】特開2017-67263(P2017-67263A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年6月7日
【審判番号】不服2019-12459(P2019-12459/J1)
【審判請求日】2019年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】安田 真之
【合議体】
【審判長】
平城 俊雅
【審判官】
山田 裕介
【審判官】
槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−113959(JP,A)
【文献】
特開2008−255092(JP,A)
【文献】
特開平5−174635(JP,A)
【文献】
特開平9−213137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L11/12, B32B1/08, B32B27/18, B32B27/32, B32B27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層、内層および中間層を有する管壁を備え、前記中間層を除く前記外層および前記内層のみが、有害生物を防除する防除層からなる、合成樹脂製の管の製造方法であって、
前記中間層を、合成樹脂材料により成形するとともに、
前記外層を、有害生物を防除する防除剤を含有する合成樹脂材料により成形し、かつ、
それら中間層および外層を除いた前記内層のみを塗布液が硬化した被膜とし、その被膜を、前記中間層の内面に、有害生物を防除する防除剤を含有する塗布液を塗布してその塗布液を硬化させることで形成し、その内層の肉厚を、前記中間層の肉厚より薄くした、合成樹脂製の管の製造方法。
【請求項2】
前記外層および前記内層は、前記防除層としての防蟻層からなり、
前記外層における前記防除剤は、防蟻剤であり、
前記内層における前記防除剤は、防蟻剤である、請求項1に記載の合成樹脂製の管の製造方法。
【請求項3】
外層、内層および中間層を有する管壁を備え、前記中間層を除く前記外層および前記内層のみが、有害生物を防除する防除層からなり、かつ、前記外層および前記内層が、前記防除層としての防蟻層からなる、合成樹脂製の管の製造方法であって、
前記中間層を、合成樹脂材料により成形するとともに、
前記外層を、ナイロン樹脂によって形成し、あるいは、ポリオレフィン系樹脂に滑剤を添加して形成し、かつ、
それら中間層および外層を除いた前記内層のみを塗布液が硬化した被膜とし、その被膜を、前記中間層の内面に、有害生物を防除する防除剤としての防蟻剤を含有する塗布液を塗布してその塗布液を硬化させることで形成し、その内層の肉厚を、前記中間層の肉厚より薄くした、合成樹脂製の管の製造方法。
【請求項4】
前記外層の肉厚は、前記中間層の肉厚と同一またはそれより薄くなっている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の合成樹脂製の管の製造方法。
【請求項5】
前記中間層は、複数層からなる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の合成樹脂製の管の製造方法。
【請求項6】
前記外層には、カーボンが含有されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の合成樹脂製の管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有害生物による被害を防ぐことができる合成樹脂製の管
の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、有害生物を防除する防除剤としての防蟻剤が混入された、合成樹脂製の波付管(管)があった(例えば、特許文献1参照)。この波付管は、単層構造であったり、外層と内層との二層構造であったりした。そして、単層構造の合成樹脂に、あるいは、二層構造における外層の合成樹脂に、防蟻剤としての、有機リン系化合物とか有機酸金属塩とかが混入された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6−46989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の合成樹脂製の波付管(管)にあっては、単層構造の場合には、その単層構造の合成樹脂に混入された防除剤としての防蟻剤が、管全体に広がることから、その濃度を一定以上に保つだけの十分な量の防蟻剤を必要とし、コスト高となっていた。また、波付管が二層構造の場合には、その外層の合成樹脂に防蟻剤が混入されたが、内層の合成樹脂には防蟻剤が混入されないことから、波付管の内側に侵入した白蟻に対しては防蟻の効果を発揮することはできなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、製造コストを下げることができ、かつ、管の内外において有害生物を防除することができる、合成樹脂製の管
の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法は、外層、内層および中間層を有する管壁を備
え、前記中間層を除く前記外層および前記内層のみが、有害生物を防除する防除層からなる
、合成樹脂製の管の製造方法である。この製造方法は、前記中間層
を、合成樹脂材料により成形
するとともに、前記外層を、有害生物を防除する防除剤を含有する合成樹脂材料により成形し、かつ、それら中間層および外層を除いた前記内層
のみを塗布液が硬化した被膜とし、その被膜を、前記中間層の内面に、有害生物を防除する防除剤を含有する塗布液
を塗布してその塗布液を硬化させることで形成し、その
内層の肉厚
を、前記中間層の肉厚より薄く
した。
【0007】
この合成樹脂製の管
の製造方法によると、外層と内層が、有害生物を防除する防除層からなることで、管の内外において有害生物を防除することができる。そして、中間層が、防除層でないことから、管におけるコスト高となる防除層の領域を減らすことができる。
【0008】
【0009】
【0010】
また、請求項2に記載の発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法は、請求項1に記載の合成樹脂製の管
の製造方法において、前記外層および前記内層は、前記防除層としての防蟻層からなる。ここで、前記外層
における前記防除剤は、防蟻剤
である。そして、前記内層における前記防除剤は、防蟻剤である。こうして、外層および内層が、防蟻剤を含有して形成されることで、白蟻が、管の外面とか内面伝いに進行して家屋等に侵入したり、管の外層や内層を食い破ったりするのを防ぐことができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法は、
外層、内層および中間層を有する管壁を備え、前記中間層を除く前記外層および前記内層のみが、有害生物を防除する防除層からなり、かつ、前記外層および前記内層
が、前記防除層としての防蟻層からなる
、合成樹脂製の管の製造方法である。この製造方法は、前記中間層を、合成樹脂材料により成形するとともに、前記外層
を、ナイロン樹脂によって形成
し、あるいは、ポリオレフィン系樹脂に滑剤を添加して形成
し、かつ、それら中間層および外層を除いた前記内層
のみを塗布液が硬化した被膜とし、その被膜を、前記中間層の内面に、有害生物を防除する防除剤
としての防蟻剤
を含有する塗布液を塗布してその塗布液を硬化させることで形成し、その内層の肉厚を、前記中間層の肉厚より薄くした。
この合成樹脂製の管の製造方法によると、外層と内層が、有害生物を防除する防除層からなることで、管の内外において有害生物を防除することができる。そして、中間層が、防除層でないことから、管におけるコスト高となる防除層の領域を減らすことができる。また、外層は、防除層としての防蟻層からなるが、その外層が、ナイロン樹脂によって形成され
た場合は、その外層は、硬く、白蟻がその外層を容易には食い破ることができず、
その外層が、ポリオレフィン系樹脂に滑剤を添加して形成され
た場合は、その外層の表面は、滑り易く、白蟻がその外層を容易には食い破ることができない。そして、内層が、防蟻剤を含有して形成されることで、白蟻が、管の内面伝いに進行して家屋等に侵入したり、管の内層を食い破ったりするのを防ぐことができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の合成樹脂製の管
の製造方法において、前記外層の肉厚は、前記中間層の肉厚と同一またはそれより薄くなっている。こうして、防除層からなる外層の肉厚を制限することで、管における防除層の領域を確実に減らすことができる。
【0013】
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の合成樹脂製の管
の製造方法において、前記中間層は、複数層からなる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の合成樹脂製の管
の製造方法において、前記外層には、カーボンが含有されている。これにより、管は、耐紫外線特性が向上し、管が、外光下に配設された場合であっても、その管の劣化を防いで、外層における有害生物を防除す防除効果の低下を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法によれば、中間層を除く外層および内層のみが、有害生物を防除する防除層からなることで、管におけるコスト高となる防除層の領域を減らして製造コストを下げることができ、かつ、管の内外において有害生物を防除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の一実施の形態の、管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る合成樹脂製の管
の製造方法の一実施の形態を示す。図中符号1は、有害生物を防除する防除性を備える合成樹脂製の管を示す。
【0020】
この管1は、例えば、配線・配管材(配線材または配管材)を収容保護する管であって、地中に埋設されたり、コンクリート構造物内に埋設されたり、あるいは露出して配設されたりする。ここで、管1は、外層2、内層3および中間層4を有する管壁を備える。そして、管1は、中間層4を除く外層2および内層3のみが、有害生物を防除する防除層からなる。
【0021】
ここで、外層2の肉厚と内層3の肉厚は、それぞれ、中間層4の肉厚と同一またはそれより薄くなっている。詳細には、内層3の肉厚は、中間層4の肉厚と同一またはそれより薄く、外層2の肉厚は、内層3の肉厚と同一またはそれより薄くなっている。すなわち、内層3は、管1に配線・配管材を挿通する際の内面の擦り傷の深さが中間層4に達することがないだけの肉厚を有すればよく、その肉厚は、中間層4の肉厚と同一またはそれより薄くて構わない。そして、管1の外面(外層2の表面)は、内面(内層3の表面)ほどは傷付くことはなく、このため、外層2の肉厚は、内層3の肉厚と同一またはそれより薄くて構わない。
【0022】
具体的には、管1は、可撓性を備える波付管からなる。そして、管1は、管壁が、外層2と内層3と中間層4との三層からなる。
【0023】
外層2および内層3(つまり、防除層)は、有害生物を防除する防除剤を含有して形成される。詳細には、外層2と内層3は、それぞれ、有害生物を防除する防除剤が、例えばマイクロカプセルに封入されて、ベースとなる塩化ビニル樹脂とかポリエチレン樹脂等の合成樹脂材料とともに混練されて成形される。そして、外層2には、カーボンが含有される。一方、中間層4は、有害生物を防除する防除剤を含有することなく、塩化ビニル樹脂とかポリエチレン樹脂等の合成樹脂材料により成形される。
【0024】
ところで、外層2および内層3における前記防除剤は、白蟻の食害を防ぐための防虫剤、つまり防蟻剤であって、その防蟻剤の成分は、例えば、クロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物であったり、また、ピレスロイド系化合物、有機リン剤、カーバメート剤、ホウ素化合物、あるいはフッ素化合物等であったりする。すなわち、外層2および内層3は、防除層としての防蟻層からなり、それら防蟻層は、防蟻剤を含有して形成される。
【0025】
次に、以上の構成からなる合成樹脂製の管1の作用効果について説明する。この合成樹脂製の管1によると、外層2と内層3が、有害生物を防除する防除層からなることで、管1の内外において有害生物を防除することができる。そして、中間層4が、防除層でないことから、管1におけるコスト高となる防除層の領域を減らすことができる。すなわち、この合成樹脂製の管1によれば、中間層4を除く外層2および内層3のみが、有害生物を防除する防除層からなることで、管1におけるコスト高となる防除層の領域を減らして製造コストを下げることができ、かつ、管1の内外において有害生物を防除することができる。
【0026】
また、外層2および内層3が、防除剤としての防蟻剤を含有して形成されることで、白蟻が、管1の外面とか内面伝いに進行して家屋等に侵入したり、管1の外層2や内層3を食い破ったりするのを防ぐことができる。
【0027】
また、外層2および内層3の肉厚は、それぞれ、中間層4の肉厚と同一またはそれより薄くなっていたり、内層3の肉厚は、中間層4の肉厚と同一またはそれより薄く、外層2の肉厚は、内層3の肉厚と同一またはそれより薄くなっている。こうして、防蟻層(防除層)からなる外層2および内層3の肉厚を制限することで、管1におけるコスト高となる防蟻層(防除層)の領域を確実に減らすことができる。
【0028】
また、外層2には、カーボンが含有される。このため、管1は、耐紫外線特性が向上し、管1が、外光下に配設された場合であっても、その管1の劣化を防いで、外層2における白蟻を防除する防蟻効果(有害生物を防除する防除効果)の低下を防止することができる。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、外層2および内層3における防除剤は、有害生物を防除するものであればよく、防蟻剤に限らず、防虫剤であったり、例えばカプサイシン類等を成分とする防鼠剤、その他の薬剤であってもよい。すなわち、防除層は、防蟻層でなくとも、防虫層であったり防鼠層等であったりしてもよい。
【0030】
また、外層2と内層3(つまり、防除層)は、それぞれ、有害生物を防除する防除剤が、ベースとなる合成樹脂材料とともに混練されて成形されるが、その他に、外層2と内層3の両方、あるいはいずれか一方は、中間層4の外面とか内面に、防除剤を含有する塗布液が塗布されてその塗布液が硬化して被膜化されて形成されてもよい。ここで、塗布液は、例えば合成樹脂等に防除剤を混合したもの、詳細には、バインダー樹脂と揮発性溶剤と防除剤とを含むものであって、塗布後に、揮発性溶剤が揮発することで、塗布液は、硬化して被膜化される。そして、この合成樹脂製の管1の製造にあたっては、中間層4を含む管本体を、ブロー成形により形成し、そのブロー成形時に、前記塗布液を外部とか内部に噴出することにより、塗布液を管本体の外面とか内面に塗布して、外層2とか内層3を形成することができる。
【0031】
また、外層2および内層3は、防除層としての防蟻層からなるが、これら防蟻層は、ナイロン樹脂によって形成されてもよい。すなわち、ナイロン樹脂によって形成された外層2および内層3は、硬く、白蟻がこの外層2や内層3を容易には食い破ることができない。ここで、仮に、管1の外側から、白蟻が外層2と中間層4とを食い破ることができたとしても、その内側にある内層3が防蟻層であることから、白蟻によるさらなる侵食をくい止めることができる。こうして、外層2と内層3が、白蟻(有害生物)を防除する防蟻層(防除層)からなることで、管1の内外において白蟻を防除することができる。そして、中間層4が、防蟻層(防除層)でないことから、管1におけるコスト高となる防蟻層の領域を減らすことができる。すなわち、この合成樹脂製の管1によれば、中間層4を除く外層2および内層3のみが、白蟻(有害生物)を防除する防蟻層(防除層)からなることで、管1におけるコスト高となる防蟻層の領域を減らして製造コストを下げることができ、かつ、管1の内外において白蟻を防除することができる。また、外層2および内層3のみがナイロン樹脂によって形成されることで、管1の全体がナイロン樹脂で形成される場合よりも、管1の可撓性を高めることができる。また、外層2となる防蟻層(防除層)が、防蟻剤(防除剤)を含有しなければ、その防蟻剤(防除剤)が土壌等に溶け出す虞がない。
【0032】
また、外層2および内層3となる防蟻層は、ポリオレフィン系樹脂に滑剤を添加して形成されてもよい。すなわち、ポリオレフィン系樹脂に滑剤を添加して形成された外層2および内層3の表面は、滑り易く、白蟻がこの外層2や内層3を容易には食い破ることができない。ここで、仮に、管1の外側から、白蟻が外層2と中間層4とを食い破ることができたとしても、その内側にある内層3が防蟻層であることから、白蟻によるさらなる侵食をくい止めることができる。こうして、外層2と内層3が、白蟻(有害生物)を防除する防蟻層(防除層)からなることで、管1の内外において白蟻を防除することができる。そして、中間層4が、防蟻層(防除層)でないことから、管1におけるコスト高となる防蟻層の領域を減らすことができる。すなわち、この合成樹脂製の管1によれば、中間層4を除く外層2および内層3のみが、白蟻(有害生物)を防除する防蟻層(防除層)からなることで、管1におけるコスト高となる防蟻層の領域を減らして製造コストを下げることができ、かつ、管1の内外において白蟻を防除することができる。また、外層2となる防蟻層(防除層)が、防蟻剤(防除剤)を含有しなければ、その防蟻剤(防除剤)が土壌等に溶け出す虞がない。ここで、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂とかポリプロピレン樹脂等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。そして、滑剤としては、例えば、フッ素系とかシリコーン系とか、あるいは脂肪酸アミド系等の滑剤が挙げられるが、それらに限定されるものではないのは勿論である。
【0033】
また、外層2となる防蟻層は、ナイロン樹脂によって形成され、あるいは、ポリオレフィン系樹脂に滑剤を添加して形成され、内層3となる防蟻層は、防蟻剤を含有して形成されてもよい。こうして、ナイロン樹脂によって形成された外層2の場合は、その外層2は、硬く、白蟻がその外層2を容易には食い破ることができず、ポリオレフィン系樹脂に滑剤を添加して形成された外層2の場合は、その外層2の表面は、滑り易く、白蟻がその外層2を容易には食い破ることができない。そして、内層3が、防蟻剤を含有して形成されることで、白蟻が、管1の内面伝いに進行して家屋等に侵入したり、管1の内層3を食い破ったりするのを防ぐことができる。ここで、仮に、管1の外側から、白蟻が外層2と中間層4とを食い破ることができたとしても、その内側にある内層3が防蟻層であることから、白蟻によるさらなる侵食をくい止めることができる。こうして、外層2と内層3が、白蟻(有害生物)を防除する防蟻層(防除層)からなることで、管1の内外において白蟻を防除することができる。そして、中間層4が、防蟻層(防除層)でないことから、管1におけるコスト高となる防蟻層の領域を減らすことができる。すなわち、この合成樹脂製の管1によれば、中間層4を除く外層2および内層3のみが、白蟻(有害生物)を防除する防蟻層(防除層)からなることで、管1におけるコスト高となる防蟻層の領域を減らして製造コストを下げることができ、かつ、管1の内外において白蟻を防除することができる。また、内層3が防蟻剤(防除剤)を含有するものの、その防蟻剤は、中間層4に遮られて、外部の土壌等に溶け出す虞がない。つまり、中間層4が、防蟻剤(防除剤)の流出を防止する流出防止層となる。
【0034】
また、外層2および内層3における、上述した種々の防蟻層(防除層)は、その組み合わせは任意であり、上述した組み合わせに限定されるものではない。
【0035】
また、外層2および内層3の肉厚は、上述した範囲に限定されるものではないのは勿論である。
【0036】
また、外層2には、カーボンが含有されるが、このカーボンは、含有されなくともよい。
【0037】
また、中間層4は、単層でなくとも、材料の異なる複数層からなっていてもよい。
【0038】
また、管1は、配線・配管材を収容保護するものでなくとも、管内に水を流すドレンホース等であってもよい。また、管1は、波付管からなるが、この波付管は、その波を構成する凹部および凸部が、リング状に形成される以外に、螺旋状に形成されてもよい。また、この管1は、波付管でなくとも、平滑管であってもよい。また、管1は、可撓性を備えるが、この可撓性を備えなくともよい。
【符号の説明】
【0039】
1 管
2 外層
3 内層
4 中間層