(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベクトル情報生成部は、複数の前記座標情報のうち、前記ベクトル情報を構成し得ない座標情報が存在する場合、当該座標情報の前記検知位置情報と、前記二次元マップに含まれる前記座標情報の数とに基づいて、当該座標情報に関連する前記タイヤ検知信号が誤検知であるか否かを判断する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車軸数検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る車軸数検知装置について、
図1〜6を参照しながら説明する。
【0021】
(車軸数検知装置の全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る車軸数検知装置の全体構成を示す図である。
本実施形態に係る車軸数検知装置1は、車線Lを有する高速道路の料金所に設置されている。車軸数検知装置1は、車線Lを通過する車両Aの車軸数を検知するための装置である。
【0022】
図1に示すように、車軸数検知装置1は、車両検知器10と、踏板20と、制御装置30とを備えている。
車両検知器10は、車線Lの両側に投受光一対設けられている。車両検知器10は、高さ方向(
図1のZ方向)に配列された不図示の受光センサにより投光された光を、車線Lに進入した車両Aが遮ることで、車両A一台ごとの進入及び通過を検出可能な車両検知信号を制御装置30へ出力する。
【0023】
踏板20は、車線方向(
図1のX方向)における車両検知器10が設置されている位置と同じ位置の車線Lの路面上に、車線幅方向(
図1のY方向)に延びるように(車線幅方向にわたって;その長手方向が車線幅方向に沿うように)設置されている。
踏板20は、内部に複数の踏圧検知センサを有しており、当該踏圧検知センサを通じて車線Lに進入した車両Aのタイヤによる踏圧(押圧)に応じたタイヤ検知信号を制御装置30へ出力する。
【0024】
図1に示すように、制御装置30は、車線Lの路側であって、車両検知器10の近傍に設置されている。制御装置30は、車両検知器10及び踏板20と有線で接続されている。
制御装置30は、車両検知器10から受信した車両検知信号と、踏板20から受信したタイヤ検知信号とに基づいて、車線Lを通過する車両Aの車軸数を特定する。
【0025】
(車軸数検知装置の機能構成)
図2は、第1の実施形態に係る車軸数検知装置の機能構成を示す図である。
図3は、第1の実施形態に係る踏板の構成を示す図である。
図2に示すように、車軸数検知装置1は、車両検知器10と、踏板20と、制御装置30とを備えている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、踏板20は踏圧検知センサとして、四つの接点200a、200b、200c、200dを有している。本実施形態において各接点200a〜200dは、車線方向手前側(
図3の−X方向)から奥側(
図3の+X側)に向かって接点200a、200b、200c、200dの順に並べて配置されている。
踏板20の各接点200a〜200dには、路面上方側(
図1の+Z側)と路面下方側(
図1の−Z側)とに、不図示の電極が一つずつ設けられている。各接点200a〜200dが車線L上を通過する車両Aのタイヤにより踏み付けられると、各接点200a〜200dに設けられた路面上方側の電極と路面下方側の電極とが接触する。各接点200a〜200dは、二つの電極の接触による通電の有無を検知することで、踏み付けの有無を検知する。踏板20は、接点200a〜200dが規定の順序、即ち、車線方向手前側から奥側に向かって順に踏み付けられたことを検知した場合、当該踏み付けは、踏板20上を通過する車両Aのタイヤによる踏み付けであると判断して、タイヤ検知信号を制御装置30へ出力する。
【0027】
図2に示すように、車軸数検知装置1の制御装置30は、検知時刻情報取得部300と、車軸判定部301と、車軸数特定部302とを備えている。
検知時刻情報取得部300は、車両Aが車線Lの両側に配置された車両検知器10の間を通過中の期間、即ち、車両検知器10から車両検知信号が出力されている間に、踏板20から出力されたタイヤ検知信号の検知時刻情報を取得する。なお、本実施形態において、タイヤ検知信号の検知時刻情報とは、検知時刻情報取得部300が車両検知信号の出力を開始した時点から何秒後にタイヤ検知信号が出力されたかを示す情報である。
なお、検知時刻情報として、車軸数検知装置1を起動したタイミング等、規定のタイミングからの経過時刻等を用いてもよい。また、検知時刻情報として、料金所が設置されている地点の現地時刻(地域標準時)等を用いてもよい。
【0028】
ここで、二つの車軸を有する普通自動車である車両Aが車両検知器10を通過したケースについて
図4〜5を参照しながら説明する。
図4は、第1の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第1の図である。
図5は、第1の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第2の図である。
図4に示すように、車両Aは、車体の最も前方(
図4の+X側)に配置されている第一車軸にタイヤTR1及びTR2を有しており、第一車軸よりも車体の後方(
図4の−X側)に配置されている第二車軸にタイヤTR3及びTR4を有している。
図4に示すように、例えば、車両Aが踏板20に対して斜めに進入した場合(
図4に示す進行方向に沿って進入した場合)、車両Aの各タイヤは、TR1、TR2、TR3、TR4の順に踏板20上を通過する。踏板20のは、車両Aの各タイヤTR1〜TR4による踏み付けを検知する度に、タイヤ検知信号を制御装置30に出力する。
制御装置30の検知時刻情報取得部300は、車両検知器10から車両Aの車両検知信号が出力されている期間において、踏板20から出力された車両Aのタイヤ検知信号の検知時刻情報を取得する。そして、検知時刻情報取得部300は、
図5に示すように、取得した各タイヤ検知信号を検知時刻情報の示す検知時刻順に並べて検知パターンDを生成し、車軸判定部301へ出力する。
【0029】
図5に示すように、検知パターンDの縦軸(第一軸)は、タイヤ検知信号の検知時刻情報が示す検知時刻を表している。検知パターンDには、車両検知器10が車両Aの車両検知信号の出力を開始した時点(
図5のt0)から車両検知信号の出力を停止した時点(
図5のtn)までの期間において、踏板20から出力された車両Aのタイヤ検知信号が検知時刻別に並べて記録されている。
図4及び
図5の例では、車両Aの検知パターンDには、タイヤTR1に関連するタイヤ検知信号p1の検知時刻t1と、タイヤTR2に関連するタイヤ検知信号p2の検知時刻t2と、タイヤTR3に関連するタイヤ検知信号p3の検知時刻t3と、タイヤTR4に関連するタイヤ検知信号p4の検知時刻t4とが記録されている。
【0030】
車軸判定部301は、車両Aの検知パターンDに記録されたタイヤ検知信号p1〜p4の検知時刻情報に基づいて、各タイヤ検知信号が同一の車軸に取り付けられたタイヤのタイヤ検知信号であるか否かを判定する。
具体的には、車軸判定部301は、検知パターンDに記録された複数のタイヤ検知信号p1〜p4から、検知時刻順に二つのタイヤ検知信号を選択する。そして、車軸判定部301は、選択された二つのタイヤ検知信号の検知時刻の時間差が予め設定された許容時間内であるか否かを判断する。本実施形態において、許容時間は、踏板20の車線Lに対する設置角度、車両Aが車線Lに対して取り得る走行角度の範囲、及び、車両Aが車線Lを走行する際に想定される車速等に基づいて設定されている。
選択された二つのタイヤ検知信号の検知時刻の時間差が許容時間内である場合、車軸判定部301は、これら二つのタイヤ検知信号は、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。一方、選択された二つのタイヤ検知信号の検知時刻の時間差が許容時間を超える場合、車軸判定部301は、これら二つのタイヤ検知信号は、「異なる車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
なお、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤ」とは、車軸の一端側及び他端側にタイヤが二つずつ取り付けられているダブルタイヤの場合には、車軸の一端側又は他端側に取り付けられた二つのタイヤを「一つのタイヤ」としてカウントする。
【0031】
図5の例では、車軸判定部301は、まず、タイヤ検知信号p1とタイヤ検知信号p2とを選択する。そして、タイヤ検知信号p1の検知時刻t1とタイヤ検知信号p2の検知時刻t2との時間差Δt1−2が許容時間内であるか否かを判断する。車軸判定部301は、Δt1−2が許容時間内であると判断すると、タイヤ検知信号p1とタイヤ検知信号p2とは、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
次に、車軸判定部301は、タイヤ検知信号p2とタイヤ検知信号p3とを選択する。そして、車軸判定部301は、タイヤ検知信号p2の検知時刻t2とタイヤ検知信号p3の検知時刻t3との時間差Δt2−3が許容時間を超えると判断すると、タイヤ検知信号p2とタイヤ検知信号p3とは、「異なる車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
また、車軸判定部301は、タイヤ検知信号p3とタイヤ検知信号p4とを選択する。そして、車軸判定部301は、タイヤ検知信号p3の検知時刻t3とタイヤ検知信号p4の検知時刻t4との時間差Δt3−4が許容時間内である判断すると、タイヤ検知信号p3とタイヤ検知信号p4とは、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
車軸判定部301は、このように全てのタイヤ検知信号について、検知時刻が前後するタイヤ検知信号と同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であるか否かを判定し、当該判定結果を車軸数特定部302へ出力する。
【0032】
車軸数特定部302は、車軸判定部301から取得した判定結果に基づいて、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定されたタイヤ検知信号の対の数を求める。そして、車軸数特定部302は、タイヤ検知信号の対の数を車両Aの車軸数として特定する。
図5の例では、車軸判定部301から取得した判定結果には、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判断された、タイヤ検知信号p1及びp2の対と、タイヤ検知信号p3及びp4の対とが含まれている。このため、車軸数特定部302は、当該判定結果に基づいて、車両Aのタイヤ検知信号の対の数は「2」であると判断する。そして、車軸数特定部302は、車両Aの車軸数は「2」であると特定する。
【0033】
(車軸数検知装置の処理フロー)
図6は、第1の実施形態に係る車軸数検知装置の処理フローを示す図である。
図6に示すように、制御装置30の検知時刻情報取得部300は、車両検知器10から車両Aの車両検知信号が出力されている期間において、踏板20から出力された車両Aのタイヤ検知信号の検知時刻情報を取得する(ステップS100)。
【0034】
次に、検知時刻情報取得部300は、取得したタイヤ検知信号を検知時刻順に並べて、車両Aの検知パターンDを生成する(ステップS101)。検知時刻情報取得部300は、生成した車両Aの検知パターンDを車軸判定部301へ出力する。
【0035】
次に、車軸判定部301は、検知パターンDに記録された複数のタイヤ検知信号のうち、検知時刻順に二つのタイヤ検知信号を選択する(ステップS102)。本実施形態においては、車軸判定部301は、検知時刻が古い方から順に二つのタイヤ検知信号を選択する。
【0036】
次に、車軸判定部301は、選択した二つのタイヤ検知信号の検知時刻の時間差が予め設定された許容時間内であるか否かを判断する(ステップS103)。
車軸判定部301は、選択した二つのタイヤ検知信号の検知時刻の時間差が予め設定された許容時間内であると判断した場合(ステップS103:YES)、当該二つのタイヤ検知信号は「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判断する(ステップS104)。
一方、車軸判定部301は、選択した二つのタイヤ検知信号の検知時刻の時間差が予め設定された許容時間を超えると判断した場合(ステップS103:NO)、当該二つのタイヤ検知信号は「異なる車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する(ステップS105)。
【0037】
次に、車軸判定部301は、検知パターンDに記録された全てのタイヤ検知信号について、判定を行ったか否かを判断する(ステップS106)。車軸判定部301は、未判定のタイヤ検知信号があると判断した場合(ステップS106:NO)、ステップS102に戻って同一の処理を繰り返す。一方、車軸判定部301は、未判定のタイヤ検知信号がないと判断した場合(ステップS106:YES)、判定結果を車軸数特定部302に出力して、次のステップに進む。
【0038】
次に、車軸数特定部302は、車軸判定部301から取得した判定結果に基づいて、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定されたタイヤ検知信号の対の数を求める。そして、車軸数特定部302は、タイヤ検知信号の対の数を車両Aの車軸数として特定する(ステップS107)。
【0039】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る車軸数検知装置1は、走行する車両Aのタイヤの踏み付けに応じてタイヤ検知信号を出力する踏板20と、タイヤ検知信号が出力された時刻を示す検知時刻情報を取得する検知時刻情報取得部300と、検知時刻情報に基づいて、二つの前記タイヤ検知信号が、車両Aの同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であるか否かを判定する車軸判定部301と、同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であると判定された二つのタイヤ検知信号の対の数を、車両Aの車軸数として特定する車軸数特定部302とを備えている。
このようにすることで、車軸判定部301は、踏板20から出力されたタイヤ検知信号のうち、二つタイヤ検知信号が同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であるか否かを、各タイヤ検知信号の検知時刻情報に基づいて判定する。これにより、車両Aが踏板20に対して斜めに進入する等、同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤ(例えば
図4のタイヤTR1とタイヤTR2)が異なるタイミングで踏板20を踏み付けた場合であっても、車軸判定部301は、踏板20から出力された異なる検知時刻情報を有する二つのタイヤ検知信号が「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定することができる。従って、車軸数検知装置1は、車軸数の誤判断を抑制して、高い精度で車軸数を検知することができる。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る車軸数検知装置について、
図7〜9を参照しながら説明する。
なお、第1の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0041】
(車軸数検知装置の機能構成)
図7は、第2の実施形態に係る車軸数検知装置の機能構成を示す図である。
図8は、第2の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第1の図である。
図9は、第2の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第2の図である。
本実施形態は、車軸数検知装置1の制御装置30が車速推定部303を更に有する点において、第1の実施形態と相違している。
【0042】
本実施形態に係る制御装置30の検知時刻情報取得部300は、踏板20から出力されたタイヤ検知信号の検知時刻情報を取得する。本実施形態において、タイヤ検知信号の検知時刻情報には、踏板20の各接点200a〜200bが踏み付けを検知した検知時刻(4つの検知時刻)が含まれている。そして、検知時刻情報取得部300は、
図8に示すように、取得した各タイヤ検知信号g1〜g4を検知時刻順に並べて検知パターンDを生成する。
また、検知時刻情報取得部300は、このように生成した検知パターンDを車軸判定部301及び車速推定部303へ出力する。
【0043】
車速推定部303は、車両Aの検知パターンDに記録されているタイヤ検知信号の検知時刻情報に基づいて、車両Aの車速を推定する。
図8の例では、車速推定部303は、タイヤ検知信号g1〜g4のタイヤ検知信号の検知時刻情報に含まれる各接点200a〜200dのそれぞれの検知時刻と、踏板20の各接点200a〜200d間の距離とに基づいて、車両Aのタイヤが踏板20上を通過したときの車速を推定する。例えば、車速推定部303は、タイヤ検知信号g1の検知時刻情報のうち、接点200aが踏み付けを検知した検知時刻(最も早い検知時刻)と、接点200dが踏み付けを検知した検知時刻(最も遅い検知時刻)との時間差を求める。そして、車速推定部303は、接点200a及び接点200dの間の距離と、接点200a及び接点200dの検知時刻の時間差とに基づいて、車両Aの車速を推定する。また、同様に、車速推定部303は、各タイヤ検知信号g2〜g4の検知時刻情報に基づいて、タイヤ検知信号g2〜g4が検知されたタイミングにおける車両Aの車速をそれぞれ推定する。
車速推定部303は、推定した車速を車軸判定部301へ出力する。
【0044】
車軸判定部301は、車両Aの検知パターンDに記録されたタイヤ検知信号g1〜g4の検知時刻情報に基づいて、各タイヤ検知信号g1〜g4が同一の車軸に取り付けられたタイヤのタイヤ検知信号であるか否かを判定する。
車軸判定部301は、検知パターンDに記録された複数のタイヤ検知信号g1〜g4から、検知時刻順に二つのタイヤ検知信号を選択する。そして、選択された二つのタイヤ検知信号の検知時刻の時間差が許容時間内であるか否かを判断する。
本実施形態において、車軸判定部301は、予め定められた基準時間Tに係数αを乗じて求められた値を、許容時間として設定する。また、係数αは、車速推定部303が推定した車両Aの車速に応じて変化する可変値である。車軸判定部301は、車両Aの車速が早いほど係数αが小さい値となり、車両Aの車速が遅いほど係数αが大きい値となるように、係数αの値を設定する。なお、車軸判定部301は、車両Aの車速別に係数αの値を予め定めたテーブルを参照するようにしてもよい。
車軸判定部301は、抽出された各タイヤ検知信号の検知時刻t1〜t4の時間差Δt1−2、Δt2−3、Δt3−4が、上記のように求めた許容時間内であるか否かを判断し、各タイヤ検知信号g1〜g4が同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であるか否かを判定する。具体的には、二つのタイヤ検知信号の時間差が許容時間内である場合、車軸判定部301は、これら二つのタイヤ検知信号は同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であると判断する。一方、二つのタイヤ検知信号の時間差が許容時間を超える場合、車軸判定部301は、これら二つのタイヤ検知信号は異なる車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であると判断する。
なお、係数αを設定する際に用いられる車速は、例えば、タイヤ検知信号別に推定された車速の平均値である。また、タイヤ検知信号別に異なる車速を用いてもよい。この場合、例えば、
図8のタイヤ検知信号g1とタイヤ検知信号g2との時間差が許容時間内であるか否かを判断する場合、車軸判定部301は、タイヤ検知信号g1に基づいて推定された車速に応じて係数αを設定する。そして、タイヤ検知信号g2とタイヤ検知信号g3との時間差が許容時間内であるか否かを判断する場合、車軸判定部301は、タイヤ検知信号g2に基づいて推定された車速に応じて係数αを設定する。
【0045】
また、車軸判定部301は、車両Aの検知パターンDに記録された各タイヤ検知信号g1〜g4の検知時刻情報と、車速推定部303が推定した車速とに基づいて、各タイヤ検知信号(車両Aの各タイヤ)の車線方向(
図4のX方向)における推定距離を求めてもよい。この場合、車軸判定部301は、
図9に示すように、当該推定距離順にタイヤ検知信号g1〜g4を並べた検知パターンD’を生成する。
検知パターンD’の縦軸(第一軸)は、車軸判定部301が各タイヤ検知信号の検知時刻情報に基づいて求めた、各タイヤの推定距離を表している。推定距離は、例えば、車両検知器10が車両Aの車両検知信号の出力を開始した時点を起点(推定距離d0=0)として、当該起点からの推定距離が用いられる。具体的には、タイヤ検知信号g1の推定距離d1は、起点d0からタイヤ検知信号g1を検知するまでの経過時刻と、車両Aの車速とを積算することにより求められる。また、タイヤ検知信号g2の推定距離d1は、タイヤ検知信号g1を検知してからタイヤ検知信号g2を検知するまでの経過時刻と、車両Aの車速とを積算することにより求められる。以降のタイヤ検知信号についても、同様に、タイヤ検知信号間の経過時刻と、車両Aの車速とを積算することにより求められる。
なお、推定距離を求めるに用いられる車速は、例えば、タイヤ検知信号別に推定された車速の平均値である。また、タイヤ検知信号別に異なる車速を用いてもよい。この場合、例えば、
図9のタイヤ検知信号g1の推定距離d1を求める場合、車軸判定部301は、タイヤ検知信号g1に基づいて推定された車速を用いる。そして、タイヤ検知信号g2の推定距離d2を求める場合、車軸判定部301は、タイヤ検知信号g2に基づいて推定された車速を用いる。
車軸判定部301は、車両Aの検知パターンD’に記録されたタイヤ検知信号g1〜g4の検知時刻情報と、推定距離d1〜d4とに基づいて、各タイヤ検知信号g1〜g4が同一の車軸に取り付けられたタイヤのタイヤ検知信号であるか否かを判定する。
車軸判定部301は、検知パターンD’に記録された複数のタイヤ検知信号g1〜g4から、検知時刻順に二つのタイヤ検知信号を選択する。そして、選択された二つのタイヤ検知信号の推定距離の差が許容範囲内であるか否かを判断する。
本実施形態において、車軸判定部301は、予め定められた距離(例えば1m以内)を許容範囲として設定する。車軸判定部301は、抽出された各タイヤ検知信号の推定距離d1〜d4の差Δd1−2、Δd2−3、Δd3−4が、許容範囲内であるか否かを判断し、各タイヤ検知信号g1〜g4が同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であるか否かを判定する。具体的には、二つのタイヤ検知信号の推定距離の差が許容範囲内である場合、車軸判定部301は、これら二つのタイヤ検知信号は同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であると判断する。一方、二つのタイヤ検知信号の推定距離の差が許容範囲を超える場合、車軸判定部301は、これら二つのタイヤ検知信号は異なる車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であると判断する。
【0046】
(作用効果)
例えば、車線L上を走行する車両Aの車速が遅い場合は、車両AのタイヤTR1(
図4)が踏板20を踏み付けてから、タイヤTR1と同一の車軸に取り付けられたタイヤTR2(
図4)が踏板20を踏み付けるまでの期間(
図8の検知時刻の時間差Δt1−2)が長くなる可能性がある。このとき、第1の実施形態のように許容時間を固定値にしている場合、車軸判定部301は、タイヤTR1とタイヤTR2との検知時刻の時間差Δt1−2が許容時間を超えると判断して、当該タイヤTR1とタイヤTR2とは「異なる車軸に取り付けられたタイヤである」と誤判断する可能性がある。
しかしながら、上述した車軸数検知装置1によれば、車速推定部303は、踏板20から出力されたタイヤ検知信号に基づいて、車両Aのタイヤが踏板20上を通過するときの車両Aの車速を求める。また、車軸判定部301は、車両Aの車速に応じて、各タイヤ検知信号g1〜g4が同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であるか否かを判定するための許容時間を変化させる。この結果、上記の例のように、車両Aの車速が遅く、タイヤTR1とタイヤTR2との検知時刻の時間差Δt1−2が長くなった場合には、車軸判定部301は許容時間を車両Aの車速に応じて長く設定するため、車軸判定部301は当該タイヤTR1及びTR2のタイヤ検知信号g1及びg2が「同一の車軸に取り付けられたタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と正しい判定を行うことができる。これにより、本実施形態の車軸数検知装置1は、車軸数の検知を一層高い精度で行うことができる。
また、車軸判定部301が各タイヤ検知信号の推定距離を求め、検知パターンD’を生成する場合であっても、同様の効果を得ることが可能である。
【0047】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る車軸数検知装置について、
図10〜15を参照しながら説明する。
なお、第1及び第2の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0048】
(車軸数検知装置の機能構成)
図10は、第3の実施形態に係る車軸数検知装置の機能構成を示す図である。
図10に示すように、本実施形態に係る車軸数検知装置1の踏板20は、接点200a、200b、200c、200dに代えて、位置検知用接点201a、201b、201c、201dを有している。本実施形態に係る各位置検知用接点201a〜201dは、接点200a〜200dと同様に、車線方向手前側(
図3の−X方向)から奥側(
図3の+X側)に向かって位置検知用接点201a、201b、201c、201dの順に並べて配置されている。
踏板20の位置検知用接点201a〜201dには、路面上方側(
図1の+Z側)と路面下方側(
図1の−Z側)とに、不図示の電極が一つずつ設けられている。位置検知用接点201a〜201dが車線L上を通過する車両Aのタイヤにより踏み付けられると、路面上方側の電極と路面下方側の電極とが接触する。位置検知用接点201a〜201dは、二つの電極の接触による通電の有無を検知するとともに、電気抵抗値を計測することで、踏み付けの有無、及び、車線幅方向における踏み付け位置を検知する。踏板20は、各位置検知用接点201a〜201dが規定の順序、即ち、車線方向手前側から奥側に向かって順に踏み付けられたことを検知した場合、当該踏み付けは、踏板20上を通過する車両Aのタイヤによる踏み付けであると判断して、車線幅方向の踏み付け位置を検知可能なタイヤ検知信号を制御装置30へ出力する。
【0049】
図10に示すように、本実施形態に係る車軸数検知装置1の制御装置30は、第1及び第2の実施形態の検知時刻情報取得部300と、車軸判定部301と、車軸数特定部302と、車速推定部303とに加え、検知位置情報取得部305と、座標情報生成部306と、ベクトル情報生成部307と、例外処理部308とを有している。
【0050】
検知位置情報取得部305は、車両検知器10から車両Aの車両検知信号が出力されている間に踏板20から出力されたタイヤ検知信号に基づいて、車両Aのタイヤが踏板20を踏み付けた車線幅方向の空間的位置(検知位置)を示す検知位置情報を取得する。
【0051】
図11は、第3の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第1の図である。
図12は、第3の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第2の図である。
図13は、第3の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第3の図である。
図14は、第3の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第4の図である。
座標情報生成部306は、各タイヤ検知信号から検知時刻情報取得部300が取得した検知時刻情報と、検知位置情報取得部305が取得した検知位置情報とを関連付けた座標情報を生成する。
そして、座標情報生成部306は、
図11に示すように、生成した複数の座標情報を検知時刻順及び検知位置順に並べた時空間マップM(二次元マップ)を生成し、ベクトル情報生成部307へ出力する。
図11に示すように、時空間マップMは、縦軸(第一軸)がタイヤ検知信号の検知時刻を表し、横軸(第二軸)がタイヤ検知信号の検知位置を表している。時空間マップMには、車両検知器10が車両Aの車両検知信号の出力を開始した時点(
図11のt0)から車両検知信号の出力を停止した時点(
図11のtn)までの期間において、踏板20が出力した車両Aのタイヤ検知信号に関連する座標情報が、検知時刻順及び検知位置順に記録されている。
【0052】
図4及び
図11の例では、車両Aの時空間マップMには、車両Aの各タイヤの座標情報(検知時刻、検知位置)として、タイヤTR1に関連するタイヤ検知信号の座標情報c1(t1、y1)と、タイヤTR2に関連するタイヤ検知信号の座標情報c2(t2、y2)と、タイヤTR3に関連するタイヤ検知信号の座標情報c3(t3、y3)と、タイヤTR4に関連するタイヤ検知信号の座標情報c4(t4、y4)とが記録されている。
例えば、
図4に示すように、車両Aが踏板20に対して斜め方向となる進行方向に向かって直進していると想定した場合、第一車軸に取り付けられたタイヤTR1及びTR2のタイヤ検知信号は、時空間マップM上において、検知時刻(縦軸)に対して傾斜した二点(
図11の座標情報c1及びc2)として表される。同様に、第二車軸に取り付けられたタイヤTR3及びTR4のタイヤ検知信号は、時空間マップM上において、検知時刻に対して傾斜した二点(
図11の座標情報c3及びc4)として表される。
ここで、車両Aの各車軸、例えば、
図4のタイヤTR1及びTR2を有する第一車軸と、タイヤTR3及びTR4を有する第二車軸とは、平行、つまり同一の傾きを有して設けられている。このため、車両Aが等速で踏板20上を通過した場合、タイヤTR1及びTR2のタイヤ検知信号に関連する座標情報c1及びc2を結んだ線と、タイヤTR3及びTR4のタイヤ検知信号に関連する座標情報c3及びc4を結んだ線とは、実際の車両Aの第一車軸及び第二車軸のように、略同一の傾きを有する。なお、車両Aが踏板20を通過中に車速が変化する場合がある。この場合、座標情報c1及びc2を結んだ線と、座標情報c3及びc4を結んだ線とは傾きが一致しない。このため、本実施形態では、座標情報c1及びc2を結んだ線の傾きと、座標情報c3及びc4を結んだ線の傾きとの差が所定の範囲内であれば、「略同一の傾きを有する」と判断される。
また、車両Aが、踏板20に対する進入角度を一定に保った状態で踏板20上を通過した場合、車両Aの車体の幅方向の一端側(
図4の−Y側)に配置されたタイヤTR1及びTR3は、時空間マップM上において、略同一の検知位置に表される。同様に、車両Aの車体の幅方向の他端側(
図4の+Y側)に配置されたタイヤTR2及びTR4は、時空間マップM上において、略同一の検知位置に表される。なお、車両Aが踏板20を通過中にハンドル操作を行う等により、踏板20に対する進入角度が変化する場合がある。この場合、タイヤTR1及びTR3の検知位置、及び、タイヤTR2及びTR4の検知位置が一致しない。このため、本実施形態では、各タイヤの車線幅方向(
図4のY方向)における検知位置の差が所定の範囲内であれば、「略同位置の検知位置である」と判断される。
このため、
図4の例のように踏板20に対して斜め方向に進入した車両Aの時空間マップMは、
図11に示すように、同一車軸に取り付けられたタイヤに関連する二つの座標情報を繋ぐ斜辺と、車両Aの車体の幅方向における同側に配置されたタイヤに関連する二つの座標情報を繋ぐ線とにより、略平行四辺形を形成する。
【0053】
ベクトル情報生成部307は、座標情報生成部306が生成した時空間マップM上の座標情報のうち、二つの座標情報を選択して組み合わせて構成されるベクトル情報を生成する。
まず、ベクトル情報生成部307は、時空間マップM上に座標情報が二つ以上含まれるか否かを判断する。ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報が一つである場合、当該座標情報はベクトル情報を構成し得ないものであると判断する。そして、ベクトル情報生成部307は、当該時空間マップMは車線Lを走行する車両から想定される時空間マップのパターンではないとして、当該座標情報に関連するタイヤ検知信号は誤検知等による異常であると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力する。
一方、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報が二つ以上である場合、当該時空間マップMが車両Aのタイヤの座標情報を含むと判断する。
【0054】
ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報が二つ以上である場合、座標情報を第一の群と第二の群とに分類する。
ベクトル情報生成部307は、例えば、当該時空間マップMに含まれる座標情報から、検知位置の最小値y_min及び最大値y_maxを抽出し、その中間の値である中間値y_midを求める。
そして、ベクトル情報生成部307は、中間値y_mid以下となる検知位置の値を有する座標情報を第一の群に分類し、中間値y_maxより大きい検知位置の値を有する座標情報を第二の群に分類する。このようにすることで、車両Aの車体の幅方向の一端側に配置されたタイヤに関連する座標情報は第一の群に分類され、他端側に配置されたタイヤに関連する座標情報は第二の群に分類されるようになる。
なお、ベクトル情報生成部307は、最小値y_min及び最大値y_maxが同一の値であり、時空間マップMに含まれる座標情報が二つのみである場合、当該時空間マップMは「二輪自動車」の時空間マップのパターンを示すものであると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、例外処理部308へ「二輪自動車」を示す状態情報を出力する。なお、ベクトル情報生成部307は、車両Aの運転者の操作等により車両Aの進行方向(
図4)が踏板20上を通過中に変化する場合を想定して、最小値y_min及び最大値y_maxの差が一定範囲内であれば、同一の値であると判断する。
【0055】
次に、ベクトル情報生成部307は、第一の群から検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択するとともに、第二の群から検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択する。そして、ベクトル情報生成部307は、選択した二つの座標情報を組み合わせてベクトル情報S1を生成し、車軸判定部301へ出力する。
また、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて、第一の群及び第二の群のそれぞれに一つ以上の座標情報が存在するか否かを判断する。
ベクトル情報生成部307は、第一の群に一つ以上の座標情報が存在し、且つ、第二の群に一つ以上の座標情報が存在すると判断した場合、第一の群及び第二の群のそれぞれから、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて検知時刻が最も早い座標情報を一つずつ選択する。そして、ベクトル情報生成部307は、選択した二つの座標情報を組み合わせてベクトル情報S2を生成し、車軸判定部301へ出力する。また、ベクトル情報生成部307は、生成したベクトル情報を構成する座標情報を除いて、第一の群及び第二の群のそれぞれに座標情報が更に一つ以上存在する場合は、同様の処理を繰り返してベクトル情報を生成し、車軸判定部301へ出力する。
一方、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて、第一の群及び第二の群の何れか一方に座標情報が存在せず、第一の群及び第二の群のうち何れか他方に座標情報が一つ存在する場合、当該時空間マップMに含まれる座標情報は三つであり、ベクトル情報S1を構成する座標情報以外の座標情報(三つ目の座標情報)と対となる座標情報が存在しないと判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、当該時空間マップMは「側車付き二輪自動車」の時空間マップのパターンを示すものであると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、例外処理部308へ「側車付き二輪自動車」を示す状態情報を出力する。
また、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて、第一の群及び第二の群の何れにも座標情報が存在しない場合、当該時空間マップMは車線Lを走行する車両から想定される時空間マップのパターンではないとして、ベクトル情報S1を構成する座標情報に関連するタイヤ検知信号は、誤検知等による異常であると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力する。
なお、「二輪自動車」及び「側車付き二輪自動車」を除き、車線Lを走行する車両は、各車軸の一端側及び他端側にそれぞれ一つのタイヤが配置されていることが想定される。このため、ベクトル情報生成部307は、「二輪自動車」及び「側車付き二輪自動車」であると判断した場合を除き、第一の群の座標情報と第二の群の座標情報とのうち何れか一方にのみ座標情報が存在する場合(時空間マップMに含まれる座標情報が四つ以上であって、第一の群と第二の群とで座標情報の数が一致しない場合)は、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMにベクトル情報を構成し得ない座標情報が含まれていると判断する。ベクトル情報生成部307は、このように時空間マップMにベクトル情報を構成し得ない座標情報が含まれる場合は、当該時空間マップMは車線Lを走行する車両から想定される時空間マップのパターンではないとして、当該座標情報に関連するタイヤ検知信号は誤検知等による異常であると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力する。
【0056】
図11の例では、ベクトル情報生成部307は、座標情報c1〜c4から検知位置の最小値y_min(y1、y3)及び最大値y_max(y2、y4)を抽出して、中間値y_midを求める。
そして、ベクトル情報生成部307は、中間値y_mid以下となる検知位置の値を有する座標情報c1及びc3を第一の群に分類し、中間値y_midより大きい検知位置の値を有する座標情報c2及びc4を第二の群に分類する。
次に、ベクトル情報生成部307は、第一の群と、第二の群とのそれぞれから、検知時刻の順に一つずつ座標情報を選択する。具体的には、ベクトル情報生成部307は、第一の群から最も早い検知時刻の値を有する座標情報c1(t1、y1)を選択し、第二の群から最も早い検知時刻の値を有する座標情報c2(t2、y2)を選択する。ベクトル情報生成部307は、このように選択した座標情報c1(t1、y1)及び座標情報c2(t2、y2)を組み合わせて、ベクトル情報S1を生成し、車軸判定部301へ出力する。
また、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する座標情報c1及びc2を除いて、第一の群から最も早い検知時刻の値を有する座標情報c3(t3、y3)を選択し、第二の群から最も早い検知時刻の値を有する座標情報c4(t4、y4)を選択する。ベクトル情報生成部307は、このように選択した座標情報c3(t3、y3)及び座標情報c4(t4、y4)を組み合わせて、ベクトル情報S2を生成し、車軸判定部301へ出力する。
【0057】
また、
図12の例のように、座標情報c1〜c6が六つ存在する場合も、ベクトル情報生成部307は、
図11の例と同様に座標情報c1〜c6を第一及び第二の群に分類するとともに、第一の群及び第二の群のそれぞれから検知時刻順に一つずつ座標情報を選択して組み合わせたベクトル情報S1(座標情報c1、c2)、S2(座標情報c3、c4)、S3(座標情報c5、c6)を生成し、車軸判定部301へ出力する。
【0058】
また、
図13の例のように、時空間マップMに座標情報c1(t1、y1)及び座標情報c2(t2、y2)の二つのみが含まれており、且つ、座標情報c1及びc2の最小値y_min及び最大値y_maxが同一の値、即ち、座標情報c1及びc2が同一の検知位置(y1=y2)を有する場合、ベクトル情報生成部307は、当該時空間マップMは「二輪自動車」の時空間マップのパターンを示すものであると判断する。そして、ベクトル情報生成部307は、「二輪自動車」を示す状態情報を例外処理部308へ出力する。
【0059】
また、
図14の例のように、時空間マップMに座標情報c1(t1、y1)、座標情報c2(t2、y2)及び座標情報c3(t3、y3)の三つが含まれている場合、ベクトル情報生成部307は、第一の群及び第二の群のそれぞれから検知時刻が最も早い座標情報c1及びc2を選択して組み合わせたベクトル情報S1を生成する。そして、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する座標情報c1及びc2を除いて、第一の群及び第二の群のそれぞれに一つ以上の座標情報が存在するか否かを判断する。
図14の例では、ベクトル情報S1を構成する座標情報c1及びc2を除いて、第一の群に座標情報c3が存在するが、第二の群に座標情報が存在しないため、当該時空間マップMに含まれる座標情報は三つであり、ベクトル情報S1を構成する座標情報c1及びc2以外の座標情報c3と対となる座標情報が存在しないと判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、当該時空間マップMは「側車付き二輪自動車」の時空間マップのパターンを示すものであると判断する。このため、ベクトル情報生成部307は、車両Aは「側車付き二輪自動車」であると判断し、「側車付き二輪自動車」を示す状態情報を例外処理部308へ出力する。
【0060】
車軸判定部301は、ベクトル情報生成部307から取得したベクトル情報に基づいて、当該ベクトル情報を構成する座標情報に関連する二つのタイヤ検知情報が、同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号であるか否かを判定する。
まず、車軸判定部301は、検知時刻が最も早い座標情報で構成されているベクトル情報S1の傾きが、予め定められた許容角度以内であるか否かを判断する。本実施形態において、許容角度は、踏板20の車線Lに対する設置角度、車両Aが車線Lに対して取り得る走行角度の範囲、及び、車両Aが車線Lを走行する際に想定される車速等に基づいて設定された基準角度θに、係数βを乗じて求められた値が設定される。また、係数βは、車速推定部303が推定した車両Aの車速に応じて変化する可変値である。車軸判定部301は、車両Aの車速が早いほど係数βが小さい値となり、車両Aの車速が遅いほど係数βが大きい値となるように、係数βの値を設定する。なお、車軸判定部301は、車両Aの車速別に係数βの値を予め定めたテーブルを参照するようにしてもよい。
車軸判定部301は、ベクトル情報S1の傾きが予め定められた許容角度以内であると判断した場合、当該ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報に関連するタイヤ検知信号は、「同一の車軸(第一車軸)に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
一方、車軸判定部301は、ベクトル情報S1の傾きが許容角度よりも大きいと判断した場合、当該時空間マップMは車線Lを走行する車両から想定される時空間マップのパターンではないとして、当該時空間マップMに含まれる座標情報に関連するタイヤ検知信号は誤検知等による異常であると判断する。この場合、車軸判定部301は、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力する。
【0061】
また、車軸判定部301は、ベクトル情報S1の次に検知時刻が早い座標情報で構成されているベクトル情報S2の傾き(時空間マップM内における方向)が、ベクトル情報S1の傾き(時空間マップM内における方向)と一致するか否かを判断する。
上述のように、車両Aの各車軸同士は同一の傾きを有して設けられているため、ベクトル情報S2の傾きが第一車軸に関連するベクトル情報S1の傾きと同一である場合は、車軸判定部301は、当該ベクトル情報S2を構成する二つの座標情報に関連するタイヤ検知信号は、「同一の車軸(第二車軸)に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
一方、車軸判定部301は、ベクトル情報S2の傾きがベクトル情報S1の傾きと異なると判断した場合、当該時空間マップMは車線Lを走行する車両から想定される時空間マップのパターンではないとして、当該時空間マップに含まれる座標情報に関連するタイヤ検知信号は誤検知等による異常であると判断する。この場合、車軸判定部301は、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力する。
なお、車軸判定部301は、車両Aの運転者の操作等により車両Aの進行方向(
図4)、車速等が踏板20上を通過中に変化する場合を想定して、ベクトル情報S1の傾き及びベクトル情報S2の傾きの差が一定範囲内であれば、二つのベクトル情報の傾き(時空間マップM内における方向)が一致すると判断する。
【0062】
車軸判定部301は、ベクトル情報生成部307から取得した全てのベクトル情報について同様の判断を行う。判定対象となるベクトル情報Snの傾きが、当該ベクトル情報Snの一つ前の(検知時刻が早い方の)ベクトル情報Sn
−1の傾きと同一である場合は、車軸判定部301は、当該ベクトル情報Snを構成する二つの座標情報に関連するタイヤ検知信号は、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。車軸判定部301は、全てのベクトル情報の判定が完了すると、判定結果を車軸数特定部302へ出力する。
一方、車軸判定部301は、ベクトル情報Snの傾きがベクトル情報Sn
−1の傾きと異なると判断した場合、当該時空間マップMは車線Lを走行する車両から想定される時空間マップのパターンではないとして、当該時空間マップMに含まれる座標情報に関連するタイヤ検知信号は誤検知等による異常であると判断する。この場合、車軸判定部301は、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力する。
【0063】
例外処理部308は、ベクトル情報生成部307又は車軸判定部301から状態情報を取得した場合、当該状態情報に応じた処理を行う。
例外処理部308は、ベクトル情報生成部307から「二輪自動車」を示す状態情報を取得した場合、時空間マップMに含まれる各座標情報に関連するタイヤ検知信号を、「異なる車軸のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。例外処理部308は、「二輪自動車」を示す状態情報とともに、当該判定結果を車軸数特定部302に出力する。
また、例外処理部308は、ベクトル情報生成部307から「側車付き二輪自動車」を示す状態情報を取得した場合、時空間マップMに含まれる各座標情報に関連するタイヤ検知信号を、「異なる車軸のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。例外処理部308は、「側車付き二輪自動車」を示す状態情報とともに、当該判定結果を車軸数特定部302に出力する。
更に、例外処理部308は、ベクトル情報生成部307又は車軸判定部301から「異常」を示す状態情報を取得した場合、当該「異常」を示す状態情報を車軸数特定部302に出力する。
【0064】
車軸数特定部302は、車軸判定部301から判定結果を取得すると、当該判定結果に含まれる「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定されたタイヤ検知信号の対の数を求める。そして、車軸数特定部302は、タイヤ検知信号の対の数を車両Aの車軸数として特定する。
図11の例では、車軸判定部301が判定した判定結果には、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判断されたタイヤ検知信号の座標情報c1及びc2の対と、タイヤ検知信号の座標情報c3及びc4の対とが含まれている。このため、車軸数特定部302は、当該判定結果に基づいて、車両Aのタイヤ検知信号の対の数は「2」であると判断する。そして、車軸数特定部302は、車両Aの車軸数は「2」であると特定する。
【0065】
また、車軸数特定部302は、例外処理部308から「二輪自動車」又は「側車付き二輪自動車」を示す状態情報とともに判定結果を取得した場合は、当該判定結果に含まれる時空間マップMに含まれる各座標情報に関連するタイヤ検知信号を、「異なる車軸のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定されたタイヤ検知信号の数を計数する。そして、車軸数特定部302は、計数したタイヤ検知信号の数を車両Aの車軸数として特定する。
更に、車軸数特定部302は、例外処理部308から車軸の判定ができなかったことを通知された場合、車両Aの車軸数の特定を行わず処理を終了する。
【0066】
(車軸数検知装置の処理フロー)
図15は、第3の実施形態に係る車軸数検知装置の処理フローを示す図である。
図15に示すように、制御装置30の座標情報生成部306は、各タイヤ検知信号から検知時刻情報取得部300が取得した検知時刻情報と、検知位置情報取得部305が取得した検知位置情報とを関連付けた座標情報を生成する(ステップS200)。そして、座標情報生成部306は、生成した複数の座標情報を検知時刻順及び検知位置順に並べた時空間マップM(
図11〜14)を生成し、ベクトル情報生成部307へ出力する。
【0067】
次に、ベクトル情報生成部307は、座標情報生成部306から取得した時空間マップMに座標情報が二つ以上含まれているか否かを判断する(ステップS201)。
ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報が一つ以下である場合(ステップS201:NO)、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力し、ステップS220へ進む。
一方、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報が二つ以上である場合(ステップS201:YES)、当該時空間マップMが車両Aのタイヤの座標情報を含むと判断して、次のステップS202へ進む。
【0068】
次に、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報から、検知位置の最小値y_min及び最大値y_maxを抽出し、最小値y_min及び最大値y_maxが同一の値であるか否かを判断する(ステップS202)。ベクトル情報生成部307は、座標情報の最小値y_min及び最大値y_maxが同一の値であると判断した場合(ステップS202:YES)であって、且つ、時空間マップMに含まれる座標情報が二つである場合、車両Aは「二輪自動車」であると判断する(ステップS203)。この場合、ベクトル情報生成部307は、例外処理部308へ「二輪自動車」を示す状態情報を出力する。また、「二輪自動車」を示す状態情報を取得した例外処理部308は、時空間マップMに含まれる各座標情報に関連するタイヤ検知信号を、「異なる車軸のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。例外処理部308は、「二輪自動車」を示す状態情報とともに、当該判定結果を車軸数特定部302に出力して、次のステップS219へ進む。
一方、ベクトル情報生成部307は、座標情報の最小値y_min及び最大値y_maxが同一の値ではないと判断した場合(ステップS202:NO)、当該最小値y_min及び最大値y_maxから中間値y_midを求める。そして、ベクトル情報生成部307は、中間値y_midを基準として座標情報を二つの群に分類する(ステップS204)。具体的には、ベクトル情報生成部307は、中間値y_mid以下となる検知位置の値を有する座標情報を第一の群に分類し、中間値y_maxより大きい検知位置の値を有する座標情報を第二の群に分類する。
なお、本実施形態においては、ベクトル情報生成部307が座標情報の最小値y_min及び最大値y_maxから中間値y_midを求め、当該中間値y_midを基準として座標情報を二つの群に分類する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態においては、例えば、時空間マップMに含まれる全ての座標情報から回帰直線を求め、当該回帰直線を基準として座標情報を二つの群に分類するようにしてもよい。
【0069】
次に、ベクトル情報生成部307は、第一の群から検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択するとともに、第二の群から検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択する。そして、ベクトル情報生成部307は、選択した二つの座標情報を組み合わせてベクトル情報S1を生成し(ステップS205)、車軸判定部301へ当該ベクトル情報S1を出力する。
また、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて、第一の群及び第二の群のそれぞれに一つ以上の座標情報が存在するか否かを判断する(ステップS206)。
ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて、第一の群に一つ以上の座標情報が存在し、且つ、第二の群に一つ以上の座標情報が存在すると判断した場合(ステップS206:YES)、次のステップS209へ進む。
一方、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて、第一の群及び第二の群の何れか一方に座標情報が一つ以上存在せず(ステップS206:NO)、第一の群及び第二の群のうち何れか一方に座標情報が一つ存在する場合(ステップS207:YES)、車両Aは「側車付き二輪自動車」であると判断する(ステップS208)。そして、ベクトル情報生成部307は、例外処理部308へ「側車付き二輪自動車」を示す状態情報を出力する。また、「側車付き二輪自動車」を示す状態情報を取得した例外処理部308は、時空間マップMに含まれる各座標情報に関連するタイヤ検知信号を、「異なる車軸のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。例外処理部308は、「側車付き二輪自動車」を示す状態情報とともに、当該判定結果を車軸数特定部302に出力し、次のステップS219へ進む。
また、第一の群及び第二の群の何れにも他の座標情報が存在しない場合(ステップS206:NO、且つ、ステップS207:NO)、ベクトル情報生成部307は例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力し、次のステップS220へ進む。
【0070】
次に、車軸判定部301は、ベクトル情報生成部307から取得したベクトル情報S1の傾きが、許容角度以内であるか否かを判断する(ステップS209)。
車軸判定部301は、ベクトル情報S1の傾きが許容角度よりも大きいと判断した場合(ステップS209:NO)、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力し、次のステップS220へ進む。
一方、車軸判定部301は、ベクトル情報S1の傾きが許容角度以内であると判断した場合(ステップS209:YES)、当該ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報に関連するタイヤ検知信号は、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する(ステップS210)。
【0071】
次に、ベクトル情報生成部307は、ベクトル情報S1を構成する二つの座標情報を除いて、第一の群から検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択するとともに、第二の群から検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択する。そして、ベクトル情報生成部307は、選択した二つの座標情報を組み合わせてベクトル情報S2を生成し(ステップS211)、車軸判定部301へ当該ベクトル情報S2を出力する。
【0072】
次に、車軸判定部301は、ベクトル情報生成部307から取得したベクトル情報S2の傾きが、ベクトル情報S1の傾きと同一であるか否かを判断する(ステップS212)。
車軸判定部301は、ベクトル情報S2の傾きがベクトル情報S1の傾きと同一であると判断した場合(ステップS212:YES)、当該ベクトル情報S2を構成する二つの座標情報に関連するタイヤ検知信号は、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する(ステップS213)。
一方、車軸判定部301は、ベクトル情報S2の傾きがベクトル情報S1の傾きと同一ではないと判断した場合(ステップS212:NO)、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力し、次のステップS220へ進む。
【0073】
次に、ベクトル情報生成部307は、既に生成したベクトル情報を構成する座標情報を除いて、第一の群及び第二の群のそれぞれに一つ以上の座標情報が存在するか否かを判断する(ステップS214)。
ベクトル情報生成部307は、既に生成したベクトル情報を構成する座標情報を除いて、第一の群及び第二の群の何れか一方に座標情報が一つ以上存在せず(ステップS214:NO)、第一の群及び第二の群のうち何れか一方に座標情報が一つ存在する場合(ステップS215:YES)、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力する。
また、既に生成したベクトル情報を構成する座標情報を除いて、第一の群及び第二の群の何れにも座標情報が存在しない場合(ステップS214:NO、且つ、ステップS215:NO)、ベクトル情報生成部307は処理を終了して次のステップS219へ進む。
一方、ベクトル情報生成部307は、既に生成したベクトル情報を構成する座標情報を除いて、第一の群に一つ以上の座標情報が存在し、且つ、第二の群に一つ以上の座標情報が存在すると判断した場合(ステップS214:YES)、第一の群の座標情報のうち検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択するとともに、第二の群の座標情報のうち検知時刻が最も早い座標情報を一つ選択する。そして、ベクトル情報生成部307は、選択した二つの座標情報を組み合わせてベクトル情報Snを生成し(ステップS216)、車軸判定部301へ当該ベクトル情報Snを出力する。
【0074】
次に、車軸判定部301は、ベクトル情報生成部307から取得したベクトル情報Snの傾きが、ベクトル情報Sn
−1の傾きと同一であるか否かを判断する(ステップS217)。
車軸判定部301は、ベクトル情報Snの傾きがベクトル情報Sn
−1の傾きと同一であると判断した場合(ステップS217:YES)、当該ベクトル情報Snを構成する二つの座標情報に関連するタイヤ検知信号は、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する(ステップS218)。そして、ステップS214の処理に戻る。
一方、車軸判定部301は、ベクトル情報Snの傾きがベクトル情報Sn
−1の傾きと同一ではないと判断した場合(ステップS217:NO)、例外処理部308へ「異常」を示す状態情報を出力し、次のステップS220へ進む。
【0075】
車軸数特定部302は、車軸判定部301から全てのベクトル情報の判定結果を取得すると、当該判定結果に含まれる「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定されたタイヤ検知信号の対の数を求める。そして、車軸数特定部302は、タイヤ検知信号の対の数を車両Aの車軸数として特定する(ステップS219)。
また、車軸数特定部302は、例外処理部308から「二輪自動車」又は「側車付き二輪自動車」を示す状態情報とともに判定結果を取得した場合(ステップS203、ステップS208)は、当該判定結果に含まれる時空間マップMに含まれる各座標情報に関連するタイヤ検知信号を、「異なる車軸のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定されたタイヤ検知信号の数を計数する。そして、車軸数特定部302は、計数したタイヤ検知信号の数を車両Aの車軸数として特定する(ステップS219)。
【0076】
また、車軸数特定部302は、例外処理部308から車軸の判定ができなかったことを通知された場合(ステップS201:NO、ステップS207:NO、ステップS209:NO、ステップS212:NO、ステップS215:YES)、車両Aの車軸数の特定を行わず処理を終了する(ステップS220)。
【0077】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る車軸数検知装置1は、タイヤ検知信号に基づいて、車線幅方向におけるタイヤの踏み付けを検知した位置を示す検知位置情報を取得する検知位置情報取得部305と、検知時刻情報と検知位置情報とに基づいて、前記タイヤ検知信号の各々について、第一軸を検知時刻とし、第二軸を車線幅方向の検知位置とした時空間マップM内における位置を示す座標情報を生成する座標情報生成部306と、複数の座標情報のうちの二つを検知時刻順に選択して組み合わせたベクトル情報を生成するベクトル情報生成部307と、を更に備える。
ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報のうち二つの座標情報を選択して組み合わせて構成されるベクトル情報を生成する。
車軸判定部301は、ベクトル情報生成部307が生成したベクトル情報S1の傾き(時空間マップM内における方向)が許容角度以内である場合、及び、ベクトル情報S2(又はベクトル情報Sn)の傾きがベクトル情報S1(又はベクトル情報Sn
−1)の傾きと同一である場合は、当該ベクトル情報S2を構成する二つの座標情報が「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
これにより、車軸判定部301は、車両Aが踏板20に対して斜めに進入した場合であっても、傾きが一致するベクトル情報を参照することにより、複数のタイヤ検知信号のうち、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号」を精度よく判定することができる。
【0078】
また、本実施形態に係るベクトル情報生成部307は、複数の座標情報を、検知位置情報に基づいて第一の群と第二の群とに分類し、第一の群から選択された座標情報と、第二の群から選択された座標情報とを組み合わせてベクトル情報を生成する。
このようにすることで、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる複数の座標情報を、検知位置情報に基づいて、車両Aの車線幅方向(
図4のY方向)における一端側のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号の座標情報と、他端側のタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号の座標情報とに分類することができる。このため、ベクトル情報生成部307は、同一の車軸に取り付けられたタイヤに関連する二つの座標情報を、迅速且つ精度よく選択してベクトル情報を生成することができる。
【0079】
また、本実施形態に係るベクトル情報生成部307は、第一の群と、第二の群とのそれぞれから、検知時刻情報に示される検知時刻の順に一つずつ座標情報を選択する。
このようにすることで、ベクトル情報生成部307は、二つの座標情報を迅速に選択してベクトル情報を生成することができる。これにより、車軸数検知装置1の処理速度を向上させることが可能となる。
【0080】
また、本実施形態に係るベクトル情報生成部307は、複数の座標情報のうち、ベクトル情報を構成し得ない座標情報が存在する場合、座標情報の検知位置情報と、時空間マップMに含まれる座標情報の数とに基づいて、当該座標情報に関連するタイヤ検知信号が誤検知であるか否かを判断する。
このようにすることで、ベクトル情報生成部307は、例えば、時空間マップMに座標情報が一つしか存在せず、当該座標情報によりベクトル情報を構成し得ない場合、当該時空間マップMは車線Lを走行する車両から想定される時空間マップのパターンではないとして、当該座標情報に関連するタイヤ検知信号は誤検知であると判断することができる。
また、例えば、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMにベクトル情報を構成し得ない座標情報が含まれている場合であって、当該時空間マップMに含まれる座標情報が二つであり、二つの座標情報がそれぞれ同一の検知位置情報を有している場合、当該時空間マップMは「二輪自動車」の時空間マップのパターンを示すものであると判断することができる。
更に、例えば、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMにベクトル情報を構成し得ない座標情報が含まれている場合であって、当該時空間マップMに含まれる座標情報が三つである場合、当該時空間マップMは「側車付き二輪自動車」の時空間マップのパターンを示すものであると判断することができる。
【0081】
なお、本実施形態において、ベクトル情報生成部307が、第一の群から検知時刻順に座標情報を一つ選択するとともに、第二の群から検知時刻順に座標情報を一つ選択し、選択された二つの座標情報を組み合わせてベクトル情報を生成する態様について説明したが、これに限られることはない。
他の実施形態においては、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる全ての座標情報から、二つの座標情報の組み合わせを全て求め、それぞれの座標情報の組み合わせ別に複数のベクトル情報を生成するようにしてもよい。この場合、車軸判定部301は、複数のベクトル情報のうち、車線幅方向(
図11の横軸)に伸びるベクトル情報の傾きが、他の車線幅方向に延びるベクトル情報の傾きと一致するものを選択する。車軸判定部301は、このように選択したベクトル情報を構成する二つの座標情報に関連するタイヤ検知信号が、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定する。
このような態様によっても、車軸判定部301は、時空間マップ内における方向が一致するベクトル情報に基づいて、当該ベクトル情報として組み合わされた二つの座標情報に関連する二つのタイヤ検知信号が、「同一の車軸に取り付けられた二つのタイヤの踏み付けによるタイヤ検知信号である」と判定することができる。
【0082】
また、ベクトル情報生成部307は、時空間マップMに含まれる座標情報の検知位置情報から、タイヤ幅を推定し、同一のタイヤ幅を有する二つの座標情報を組み合わせてベクトル情報を生成してもよい。このようにすることで、ベクトル情報生成部307は、同一車軸の一端側及び他端側にそれぞれ一つのタイヤを有するシングルタイヤと、同一車軸の一端側及び他端側にそれぞれ二つのタイヤを有するダブルタイヤとを、タイヤ幅に基づいて判断し、より正確にベクトル情報を生成することができる。この結果、車軸数検知装置1による車軸数の検知の精度を向上させることができる。
【0083】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係る車軸数検知装置について、
図16〜17を参照しながら説明する。
なお、第1、第2及び第3の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0084】
(車軸数検知装置の機能)
図16は、第4の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第1の図である。
図17は、第4の実施形態に係る車軸数検知装置の機能を説明する第2の図である。
本実施形態に係る車軸数検知装置1において、踏板20は、各位置検知用接点201a〜201dが規定の順序、即ち、車線方向手前側から奥側に向かって順に踏み付けられたことを検知した場合、当該踏み付けは、踏板20上を通過する車両Aのタイヤによる踏み付けであると判断して、車線幅方向の踏み付け位置を検知可能なタイヤ検知信号を制御装置30へ出力する。
制御装置30の座標情報生成部306は、踏板20から取得したタイヤ検知信号の検知時刻情報と、車速推定部303が推定した車速とに基づいて、各タイヤ検知信号(車両Aの各タイヤ)の車線方向(
図4のX方向)における推定距離を求める。そして、座標情報生成部306は、当該タイヤ検知信号は「一つのタイヤの踏み付けに関連する」と判断して、「安定タイヤの座標情報」を生成する。
また、踏板20は、各位置検知用接点201a〜201dが正しく踏み付けられなかったことを検知した場合、当該踏み付けは、車両Aのタイヤによる踏み付けではないと判断して、車線幅方向の踏み付け位置を検知可能な異常踏付検知信号を制御装置30へ出力する。座標情報生成部306は、踏板20から取得した異常踏付検知信号の検知時刻情報と、車速推定部303が推定した車速とに基づいて、タイヤ検知信号を取得した場合と同様に、各異常踏付検知信号の車線方向(
図4のX方向)における推定距離を求める。そして、座標情報生成部306は、踏板20から異常踏付検知信号を取得した場合、タイヤの踏み付けを検知した可能性があると判断して、「不安定タイヤの座標情報」を生成する。
「安定タイヤの座標情報」及び「不安定タイヤの座標情報」には、タイヤ検知信号の検知位置情報と、推定距離とが含まれる。
なお、位置検知用接点201a〜201dが正しく踏み付けられなかった場合とは、例えば、位置検知用接点201a〜201dの一部のみが踏み付けられたことを検知した場合、位置検知用接点201a〜201dが規定の順序とは異なる順に踏み付けられたことを検知した場合等である。
例えば、「二輪自動車」のように各車軸にかかる軸重が軽い車両Aが踏板20上を通過したときに、踏板20の位置検知用接点201a〜201dに対する当該車両Aのタイヤによる踏み付け(押圧力)が不足した場合、位置検知用接点201a〜201dの一部は当該車両Aのタイヤによる踏み付けを検知できないことがある。
更に、「二輪自動車」である車両Aが踏板20上を通過中に、当該車両Aの運転者が踏板20上に足をつく場合がある。この場合、運転者の足が踏板20上に接した位置に配置されている位置検知用接点のみが踏み付けを検知し、運転者の足が踏板20上に接していない位置に配置されている位置検知用接点は踏み付けを検知しない。
このように、各位置検知用接点201a〜201dが正しく踏み付けられなかったことを検知して、異常踏付検知信号を出力した場合、車軸数検知装置1は、踏板20に対する車両Aのタイヤによる踏み付けが不足しているのか、車両Aのタイヤ以外のもの(運転者の足等)が踏板20に接地しているのか判断できず、正しい車軸数の検知ができなくなる可能性がある。このため、本実施形態に係る制御装置30の座標情報生成部306は、踏板20から異常踏付検知信号を取得した場合、タイヤの踏み付けを検知した可能性があると判断して、「不安定タイヤの座標情報」を生成する。 座標情報生成部306は、上記のように生成した「安定タイヤの座標情報」と「不安定タイヤの座標情報」とを推定距離順及び検知位置順に並べた二次元空間マップM’(二次元マップ)を生成し、ベクトル情報生成部307へ出力する。
【0085】
図16及び
図17に示すように、二次元空間マップM’の縦軸(第一軸)は、座標情報生成部306がタイヤ検知信号及び異常踏付検知信号の検知時刻情報に基づいて求めた各タイヤの推定距離を表している。また、二次元空間マップM’の横軸(第二軸)は、タイヤ検知信号及び異常踏付検知信号の検知位置を表している。
具体的には、例えば「二輪自動車」である車両Aの前輪による踏み付けは十分であるが、後輪による踏み付けが不足した場合、座標情報生成部306は、
図16に示すような二次元空間マップM’を生成する。即ち、座標情報生成部306は、車両Aの前輪が踏板20上を通過した時点において、踏板20から検知位置y1を示す検知位置情報を有するタイヤ検知信号を取得すると、当該タイヤ検知信号に基づいて「安定タイヤの座標情報c1」を生成する。一方、座標情報生成部306は、車両Aの後輪が踏板20上を通過した時点において、踏板20から検知位置y2を示す検知位置情報を有する異常踏付検知信号を取得すると、当該異常踏付検知信号に基づいて、「不安定タイヤの座標情報c2」を生成する。
また、例えば、二輪自動車である車両Aの運転者が踏板20上に足をついた場合、座標情報生成部306は、
図17に示すような二次元空間マップM’を生成する。即ち、座標情報生成部306は、車両Aの前輪が踏板20上を通過した時点において、踏板20から検知位置y1を示す検知位置情報を有するタイヤ検知信号を取得すると、当該タイヤ検知信号に基づいて「安定タイヤの座標情報c1」を生成する。また、座標情報生成部306は、車両Aの運転者が踏板20上に足をついた時点において、踏板20から検知位置y2を示す検知位置情報を有する異常踏付検知信号を取得すると、当該異常踏付検知信号に基づいて、「不安定タイヤの座標情報c2」を生成する。更に、座標情報生成部306は、車両Aの後輪が踏板20上を通過した時点において、踏板20から検知位置y3を示す検知位置情報を有するタイヤ検知信号を取得すると、当該タイヤ検知信号に基づいて「安定タイヤの座標情報c3」を生成する。
【0086】
ベクトル情報生成部307は、上述の第3の実施形態と同様に、座標情報生成部306が生成した二次元空間マップM’に基づいてベクトル情報を生成する。
本実施形態に係るベクトル情報生成部307は、二次元空間マップM’に「不安定タイヤの座標情報」が含まれている場合、「安定タイヤの座標情報」と当該「不安定タイヤの座標情報」とで構成される二次元空間マップM’が車線Lを走行する車両から想定される二次元空間マップM’のパターンに該当するか否かに基づいて、当該「不安定タイヤの座標情報」が、車両Aのタイヤの踏み付けによるものであるか、車両Aのタイヤ以外の踏み付けによる誤検知であるかを判断する。
【0087】
例えば、ベクトル情報生成部307は、
図16に示す二次元空間マップM’を取得した場合、当該二次元空間マップM’に含まれる座標情報は「安定タイヤの座標情報c1」及び「不安定タイヤの座標情報c2」の二つのみであり、これら二つの座標情報の検知位置の最小値y_min及び最大値y_maxは同一の値(y1=y2)であるため、当該車両Aは二輪自動車の二次元空間マップM’のパターンに該当すると判断する。このため、ベクトル情報生成部307は、「不安定タイヤの座標情報c2」は車両Aのタイヤの踏み付けによるものであると判断する。
【0088】
また、例えば、ベクトル情報生成部307は、
図17に示す二次元空間マップM’を取得した場合、当該二次元空間マップM’に含まれる座標情報は「安定タイヤの座標情報c1」、「不安定タイヤの座標情報c2」及び「安定タイヤの座標情報c3」の三つであり、三つ目の座標情報である「安定タイヤの座標情報c3」と対となる座標情報が存在しない。この場合、ベクトル情報生成部307は、「不安定タイヤの座標情報c2」は、「側車付き二輪自動車」のタイヤのものであるか、「二輪自動車」の運転者が踏板20上に足をついた際の誤検知であるかを判断する。
車両Aが「側車付き二輪自動車」である場合、当該車両Aの前輪及び後輪を示す座標情報c1、c2の検知位置y1、y3と、側車のタイヤを示す座標情報c2の検知位置y2との距離が離れるため、座標情報c1及びc2を結ぶ線と、座標情報c2及びc3を結ぶ線とで形成される角度が「鋭角」となる。
一方、車両Aが「二輪自動車」であり、車両Aの運転者が踏板20上に足をついた場合は、
図17に示すように、車両Aの前輪及び後輪を示す「安定タイヤの座標情報c1、c2」の検知位置y1、y3と、車両Aの運転者が足をついた位置を示す「不安定タイヤの座標情報c2」との距離は、「側車付き二輪自動車」の場合よりも狭くなるため、座標情報c1及びc2を結ぶ線と、座標情報c2及びc3を結ぶ線とで形成される角度が「鈍角」となる。
このため、ベクトル情報生成部307は、三つの座標情報c1〜c3のうち、検知時刻順に一つ目の座標情報c1及び二つ目の座標情報c2を結ぶ線と、二つ目の座標情報c2及び三つ目の座標情報c3とを結ぶとで形成される角度を「誤検知判断角度」として求める。
ベクトル情報生成部307は、「誤検知判断角度」が「鋭角」である場合は、車両Aは「側車付き二輪自動車」であると考え、「不安定タイヤの座標情報c2」は車両Aのタイヤのタイヤ検知信号に関連するものであると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、「側車付き二輪自動車」を示す状態情報を例外処理部308へ出力する。一方、ベクトル情報生成部307は、「誤検知判断角度」が
図17に示すように「鈍角」である場合、車両Aは「二輪自動車である」と考え、「不安定タイヤの座標情報c2」は誤検知であると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、「二輪自動車」を示す状態情報を例外処理部308へ出力する。
【0089】
また、ベクトル情報生成部307は、二次元空間マップM’に含まれる座標情報が4つ以上である場合、「不安定タイヤの座標情報」が何れかのベクトル情報を構成し得る場合は、当該「不安定タイヤの座標情報」は車両Aのタイヤのタイヤ検知信号に関連するものであると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、当該「不安定タイヤの座標情報」を含めたベクトル情報を生成して、車軸判定部301へ出力する。
一方、「不安定タイヤの座標情報」がベクトル情報を構成し得ない場合、即ち、二次元空間マップM’に含まれる座標情報が4つ以上、且つ、第一の群と第二の群とで座標情報の数が一致しない場合であって、「不安定タイヤの座標情報」と対となる座標情報が存在しない場合、当該「不安定タイヤの座標情報」は誤検知であると判断する。この場合、ベクトル情報生成部307は、当該「不安定タイヤの座標情報」を除いた座標情報によりベクトル情報を生成して、車軸判定部301へ出力する。
【0090】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る座標情報生成部306は、踏板20からタイヤ検知信号を取得した場合、当該タイヤ検知信号は「一つのタイヤの踏み付けに関連する」と判断して、「安定タイヤの座標情報」を生成する。一方、座標情報生成部306は、踏板20から異常踏付検知信号を取得した場合、当該異常踏付検知信号は一つのタイヤの踏み付けによる可能性があると判断して、「不安定タイヤの座標情報」を生成する。
また、ベクトル情報生成部307は、二次元空間マップM’に「不安定タイヤの座標情報」が含まれている場合、「安定タイヤの座標情報」と当該「不安定タイヤの座標情報」とで構成される二次元空間マップM’が車線Lを走行する車両から想定される二次元空間マップのパターンに該当するか否かに基づいて、当該「不安定タイヤの座標情報」が、車両Aのタイヤの踏み付けによるものであるか、誤検知であるかを判断する。
このようにすることで、例えば、踏板20の位置検知用接点201a〜201dに対する車両Aのタイヤによる踏み付けが不足した場合であっても、ベクトル情報生成部307は、「不安定タイヤの座標情報」が当該車両Aのタイヤの踏み付けによるものであることを正しく判断することができる。これにより、車軸数検知装置1による車軸数の検知の精度を向上することができる。
【0091】
なお、上述の実施形態において、座標情報生成部306は、「安定タイヤの座標情報」と「不安定タイヤの座標情報」とを、縦軸において推定距離順に並べた二次元空間マップM’を生成する態様について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態においては、座標情報生成部306は、「安定タイヤの座標情報」と「不安定タイヤの座標情報」とを、縦軸において検知時刻順に並べた、第3の実施形態と同様の時空間マップMを生成するようにしてもよい。この場合、座標情報生成部306は、車速推定部303が推定した車両Aの車速に基づいて、各座標情報の検知時刻情報を各車両が所定の速度で走行した場合に想定される検知時刻に補正して、時空間マップMを生成する。このようにすることで、ベクトル情報生成部307は、車両Aが所定の速度よりも遅く又は早く走行した場合であっても、同一の車両Aであれば「誤検知判断角度」が一定となるため、「不安定タイヤの座標情報」が「側車付き二輪自動車」のタイヤのタイヤ検知信号に関連するものであるか、誤検知であるのかを正確に判断することが可能となる。
【0092】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。