(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子写真技術を利用した画像形成装置では、まず、帯電ローラによって感光ドラムが一様に帯電する。次に、帯電した感光ドラムが選択的に露光されることによって、感光ドラム上に静電潜像を形成される。そして、感光ドラム上に形成された静電潜像は、現像装置によってトナー像として現像される。感光ドラム上に形成されたトナー像は、記録用紙やプラスチックシートなどの記録材に転写され、記録材上に転写されたトナー像は、加熱・加圧されることで記録材に定着する。また、感光ドラム上のトナー像が記録材に転写された後に感光ドラム上に残留したトナーは、クリーニングブレードによって除去される。
【0003】
このような画像形成装置では、一般的に、トナー補給や各種のプロセス手段のメンテナンスなどが必要とされる。このトナー補給やメンテナンスなどを容易にするために、感光ドラムや帯電ローラや現像装置やクリーニングブレードなどのプロセス手段がカートリッジとして一体化されたプロセスカートリッジが実用化されている。このプロセスカートリッジは画像形成装置の装置本体に着脱可能となっているため、プロセスカートリッジを交換することで、プロセス手段の交換やトナーの補充などを容易に行うことができる。
【0004】
このプロセスカートリッジ方式によれば、画像形成装置のメンテナンスをユーザ自身で行うことができるため、格段に操作性を向上させることができ、ユーザビリティーに優れた画像形成装置を提供することができる。そのため、プロセスカートリッジ方式は、画像形成装置において広く採用されている。
【0005】
ここで、画像形成装置では、帯電ローラや現像ローラなどのローラが用いられることが多い。これらのローラは、ローラに設けられた回転軸が、枠体に取り付けられた第1支持部材に嵌ることで回転可能に支持されていることがある。ここで、従来、第1支持部材として、異なる2種類の樹脂材料によって形成された第1支持部材が知られている。このような第1支持部材を成形する場合、まず、第1支持部材を支持する第2支持部材を、1種類目の樹脂材料で射出成型によって成形する。そして、その次に、第2支持部材を射出成型する際に用いた金型とは別な金型を第2支持部材に密着させ、第2支持部材と金型との隙間に2種類目の樹脂材料を注入する。このようにして、1種類目の樹脂材料で成形された第2支持部材に、2種類目の樹脂材料で成形された第1支持部材を取り付けている。また、第1支持部材を成形する場合、2色成形法を用いて、1種類目の樹脂材料で第2支持部材を射出成型し、金型を第2支持部材から離型させずに、連続して2種類目の樹脂材料を注入することで、第1支持部材を第2支持部材に取り付けることもできる。
【0006】
このような方法で第1支持部材を成形することで、ローラの回転軸を支持する第1支持部材の材料として導電性や摺動性などを有する樹脂を用い、第1支持部材を支持する第2支持部材の材料として高強度の樹脂材料を用いることができる。これにより、機能性が高い第1支持部材を低コストで製造することができる。ここで、特許文献1に開示される技術では、ローラの回転軸を回転可能に支持する第1支持部材を導電樹脂で成形し、導電性を有する第1支持部材を介して、画像形成装置の装置本体からローラに電力を供給している。
【0007】
しかし、2種類の樹脂材料で成形された部材同士において、樹脂材料の組み合わせによっては相溶性がないため、第1支持部材と第2支持部材との密着性が低くなってしまうことがある。第1支持部材を第2支持部材に対して精度良く位置決めするためには、第2支持部材に対する金型の位置を繰り返し修正する必要があった。また、プロセスカートリッジを搬送する際に衝撃が加わった場合、第1支持部材が第2支持部材から脱落してしまうおそれがある。そのため、特許文献1に開示される技術では、現像ローラの回転中心軸線と直交する面に対して傾斜したテーパ面が第1支持部材に設けられている。これにより、第1支持部材が現像ローラを支持する精度が向上し、プロセスカートリッジの搬送時に第1支持部材が第2支持部材から脱落することを抑制している。
【0008】
ここで、特許文献1に開示される技術では、具体的には、第2支持部材に円形の穴が設けられ、その穴に、円柱状の第1支持部材が嵌め込まれている。しかし、近年、感光ドラムと現像ローラの小径化により、感光ドラムと現像ローラの回転軸間の距離が小さくなっている。そのため、近年では、現像ローラを支持する第1支持部材が嵌め込まれる円形の貫通部と、感光ドラムを支持する第1支持部材が嵌め込まれる円形の貫通部とが互いに干渉してしまい、第1支持部材が嵌る貫通部を円形の穴とすることが難しくなっている。そこで、近年、現像ローラを支持する第1支持部材が嵌め込まれる円形の貫通部において、感光ドラムを支持する第1支持部材が嵌め込まれる貫通部と干渉する部分を取り除いている。これにより、現像ローラを支持する第1支持部材が嵌め込まれる貫通部の内壁面が閉じずに開いている。つまり、第1支持部材が嵌る貫通部の内壁面が、円周面ではなく円弧面となっている。このような構成とすることで、現像ローラと感光ドラムの回転軸同士が近くなっても、現像ローラと感光ドラムとが回転可能に支持される。
【0009】
しかしながら、現像ローラを支持する第1支持部材が嵌め込まれる貫通部の内壁面が開いていることで、貫通部が設けられる第2支持部材の変形や熱収縮により、貫通部の内壁面がさらに開いてしまうことがある。これにより、第1支持部材が第2支持部材に対して精度良く位置決めされないおそれや、第1支持部材が第2支持部材から脱落してしまうおそれがある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して本発明の実施形態を例示する。ただし、実施形態に記載されている構成部品の寸法や材質や形状やそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件などにより適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。
【0019】
(実施例1)
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例において、像担持体としての電子写真感光体ドラム(以下、ドラム62とする)の回転中心軸線方向を長手方向とする。また、長手方向において、画像形成装置Sの装置本体Aからドラム62が駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。まず、
図2および
図3を用いて、画像形成装置の全体構成および画像形成プロセスについて説明する。
図2は、実施例1に係る画像形成装置Sを示す概略断面図である。また、
図3は、実施例1に係るカートリッジBの概略断面図である。ここで、装置本体Aとは、画像形成装置SからカートリッジBを除いた部分のことを指す。
【0020】
<画像形成装置の全体構成>
図2に示す画像形成装置Sは、カートリッジBが装置本体Aに着脱自在となっている電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。画像形成装置Sには、カートリッジBにおけるドラム62に静電潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。また、カートリッジBの下側には、記録媒体であるシートPが収納されるシートトレイ4が配置されている。また、装置本体Aには、シートPの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5c、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9aおよび加圧ローラ9bにより構成されている。
【0021】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスについて説明する。画像プロセスが実行される場合、まず、プリントスタート信号に基づいて、ドラム62が矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動する。また、バイアス電圧が印加された帯電ローラ66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様に帯電する。露光装置3は、画像情報に応じてレーザ光Mを出力する。そのレーザ光Mは、カートリッジBにおけるクリーニング枠体71に設けられたレーザ開口71hを通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、ドラム62の外周面には、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0022】
一方、
図3に示すように、現像装置としての現像ユニット20においては、トナー室29内のトナーTは、第1搬送部材43、第2搬送部材44、第3搬送部材50の回転によって撹拌・搬送され、トナー供給室28に送り出される。そして、トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32(回転体・現像剤担持体に対応する)の表面に担持される。トナーTは、現像ブレード42によって、摩擦帯電されるとともに、現像ローラ32の外周面においてその層厚が規制される。そのトナーTは、ドラム62に形成された静電潜像に付着し、ドラム62上の静電潜像が現像剤像としてのトナー像として現像される。
【0023】
また、
図2に示すように、レーザ光Mの出力のタイミングに合わせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5cによって、装置本体Aの下部に収納された記録媒体としてのシートPがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシートPは、転写ガイド6にガイドされ、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置に搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシートPに順次転写されていく。
【0024】
トナー像が転写されたシートPは、ドラム62から分離され、搬送ガイド8にガイドされて定着装置9に搬送される。そして、シートPは、定着装置9における加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部において、シートPが加圧・加熱されることでトナー像がシートPに定着する。トナー像が定着されたシートPは、排出ローラ対10に向かって搬送され、排出ローラ対10によって排出トレイ11に排出される。
【0025】
一方、
図3に示すように、トナー像がシートPに転写された後にドラム62表面に残留した残留トナーは、クリーニング部材77によって除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。なお、ドラム62から除去された残留トナーはクリーニングユニット60における廃トナー室71bに貯蔵される。なお、上述した説明において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニング部材77などが、ドラム62に作用するプロセス手段である。
【0026】
<カートリッジBの着脱>
次に、装置本体Aに対するカートリッジBの着脱について、
図5から8を用いて説明する。
図5は、実施例1に係る画像形成装置Sの装置本体Aにおける開閉扉13が開いた状態を示す図である。また、
図6は、実施例1に係る画像形成装置Sの装置本体Aからトレイ18を引き出す様子を示す図である。
図7は、実施例1に係るトレイ18にカートリッジBを着脱する様子を示す図である。ここで、カートリッジBは、トレイ18に対して、着脱方向Eに沿って着脱可能である。
【0027】
装置本体Aには、開閉扉13が回動可能に取り付けられており、この開閉扉13を開くとカートリッジ挿入口17が露出される。そして、カートリッジ挿入口17内には、カートリッジBを装置本体Aに装着するためのトレイ18が備えられている。トレイ18を所定の位置まで引き出すことで、トレイ18にカートリッジBを着脱することができる。また、カートリッジBは、トレイ18に載せられた状態でガイドレール(不図示)にガイドされながら装置本体Aに装着される。
【0028】
また、
図8に示すように、装置本体Aには、カートリッジBに設けられた第1カップリング70および第2カップリング21に駆動を伝達するための第1駆動軸14および第2駆動軸19が設けられている。第1駆動軸14および第2駆動軸19は、装置本体Aに設けられたモータ(不図示)により駆動する。これにより、第1カップリング70と連結されているドラム62が、装置本体Aから駆動力を受けて回転する。また、第2カップリン
グ21から駆動が伝達されることで現像ローラ32が回転する。さらに、帯電ローラ66、現像ローラ32は、装置本体Aの給電部(不図示)より給電される。
【0029】
<カートリッジBが支持される構成について>
また、
図5に示すように、装置本体Aには、カートリッジBを支持するための駆動側板15と非駆動側板16が設けられている。ここで、
図8は、実施例1に係るカートリッジBにおいて、駆動側板15に支持される側を示す図である。また、
図9は、実施例1に係るカートリッジBにおいて、非駆動側板16に支持される側を示す図である。
図8、
図9に示すように、駆動側板15には、駆動側第1支持部15a、駆動側第2支持部15b、カートリッジBの回転支持部15cが設けられている。また、非駆動側板16には、非駆動側第1支持部16a、非駆動側第2支持部16b、回転支持部16cが設けられている。
【0030】
一方、カートリッジBには、ドラム軸受73における被支持部73bと被支持部73dとが設けられ、クリーニング枠体71における駆動側ボス71aと非駆動側突部71fと非駆動側ボス71gとがそれぞれ設けられている。そして、被支持部73bが駆動側第1支持部15aに、被支持部73dが駆動側第2支持部15bによって支持され、駆動側ボス71aが回転支持部15cによって支持される。また、非駆動側突部71fが非駆動側第1支持部16aと非駆動側第2支持部16bとによって支持され、非駆動側ボス71gが回転支持部16cにより支持されることで、カートリッジBは装置本体A内で位置決めされる。
【0031】
<カートリッジBの全体構成>
次に、カートリッジBの全体構成について、
図3、
図4、
図10、
図11、
図12、
図13を用いて説明する。ここで、
図10は、実施例1に係るカートリッジBの分解図である。
図11は、実施例1に係るカートリッジBの斜視図である。
図12は、実施例1に係るカートリッジBの分解図である。
図13は、実施例1に係るカートリッジBの分解図である。なお、
図11および
図13は、
図10および
図12における点線部内の箇所を、角度を変えて拡大した部分拡大図である。また、本実施例においては、カートリッジBを構成する各部品を結合する際に用いられるビスに関しての説明は省略する。
【0032】
図3及び
図10に示すように、カートリッジBは、クリーニングユニット60と現像ユニット20を有する。なお、カートリッジBは、ドラム62と、これに作用するプロセス手段としての帯電ローラ66と現像ユニット20とクリーニングユニット60の少なくとも一つとを一体的にカートリッジ化したものである。また、カートリッジBは、画像形成装置Sの装置本体Aに対して着脱可能となっている。本実施例においても、カートリッジBは、本クリーニングユニット60を少なくとも有している。
【0033】
クリーニングユニット60は、ドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、これらを支持するクリーニング枠体71と、クリーニング枠体71に溶着等で固定された蓋部材72を有する。クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム62の外周面に接触している。
【0034】
クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bとを有する。ゴムブレード77aは、ドラム62の回転方向に対してカウンター方向にドラム62に当接している。即ち、ゴムブレード77aの先端部がドラム62の回転方向の上流側を向くように、ゴムブレード77aはドラム62に当接している。
【0035】
図3、
図4に示すように、クリーニング部材77によってドラム62の表面から除去さ
れた廃トナーは、廃トナー搬送部材としての第1スクリュー86、第2スクリュー87、第3スクリュー88によって搬送される。そして、廃トナーは、クリーニング枠体71と蓋部材72によって形成された廃トナー室71bに溜められる。また、第1スクリュー86は、不図示のギアを介して、
図13に示すカップリング21から駆動を伝達されることで回転する。そして、第2スクリュー87は第1スクリュー86から、第3スクリュー88は第2スクリュー87からそれぞれ駆動力を受けて回転する。
【0036】
第1スクリュー86はドラム62の近傍に、第2スクリュー87はクリーニング枠体71の長手方向端部に、第3スクリュー88は廃トナー室71bに、それぞれ配置されている。ここで、第1スクリュー86と第3スクリュー88の回転中心軸線は、ドラム62の回転中心軸線と平行であり、第2スクリュー87の回転中心軸線はドラム62の回転中心軸線と直交している。また、
図3に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのスクイシート65が、ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。
【0037】
ドラム62は、駆動源である本体駆動モータ(不図示)から駆動力を受けることにより、画像形成動作に応じて、図中矢印R方向に回転駆動される。また、帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向(ドラム62の回転中心軸線方向と略平行)の両端部において、帯電ローラ軸受67を介して、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム62に向けて加圧される。これにより、帯電ローラ66はドラム62を押圧している。帯電ローラ66は、ドラム62の回転に従動して回転する。
【0038】
図3に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像容器23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。また、現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。
図10、
図12に示すように、現像ローラ32の両端部には間隔保持部材38が取り付けられており、間隔保持部材38とドラム62とが当接することで、現像ローラ32とドラム62との間に微小な隙間が形成される。
【0039】
また、
図3に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように、底部材22の縁部に設けられている。更に、現像容器23と底部材22によって形成されたトナー室29には、第1搬送部材43、第2搬送部材44、第3搬送部材50が設けられている。第1搬送部材43、第2搬送部材44、第3搬送部材50は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
【0040】
また、
図10、
図12に示すように、カートリッジBは、クリーニングユニット60と現像ユニット20を合体して構成される。クリーニングユニット60には、クリーニング枠体71、蓋部材72、ドラム62、ドラム62を回転支持するためのドラム軸受73およびドラム軸78が設けられている。
図13に示すように、駆動側板15側においては、ドラム62は、駆動側板15側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aに嵌ることにより回転可能に支持される。一方、
図10に示すように、非駆動側板16側においては、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78が、非駆動側ドラムフランジ64の穴部(不図示)を回転可能に支持する構成となっている。
【0041】
また、
図3、
図10、
図12に示すように、現像ユニット20は、底部材22、現像容器23、駆動側現像サイド部材26、現像ブレード42、現像ローラ32等からなる。ま
た、現像ローラ32は、現像ローラ32の両端部に設けられた軸受部材27、軸受部材37によって回転可能に支持されている。そして、
図11、
図13に示すように、クリーニングユニット60と現像ユニット20とが結合ピン69で互いに回動可能に結合することによってカートリッジBは構成されている。
【0042】
具体的には、
図10と
図12に示すように、現像ユニット20の長手方向の両端部おいて、現像容器23には、現像第1支持穴23aと現像第2支持穴23bが設けられている。また、
図10、
図12、
図13に示すように、クリーニングユニット60の長手方向両端部において、クリーニング枠体71には、第1吊り穴71iと第2吊り穴(不図示)が設けられている。第1吊り穴71iと第2吊り穴(不図示)にそれぞれ圧入された結合ピン69と、現像第1支持穴23a、現像第2支持穴23bがそれぞれ嵌合することにより、クリーニングユニット60と現像ユニット20は互いに回動可能に連結されている。
【0043】
また、
図13に示すように、駆動側付勢部材46Rの第1穴部46Raは、ドラム軸受73のボス73cに掛けられ、第2穴部46Rbは、駆動側現像サイド部材26のボス26aに掛けられている。また、
図10、
図12に示すように、非駆動側付勢部材46Fにおける第1穴部(不図示)は、クリーニング枠体71におけるボス(不図示)に掛けられ、非駆動側付勢部材46Fにおける第2穴部(不図示)は、軸受部材37のボス37aに掛けられている。
【0044】
本実施例においては、駆動側付勢部材46R、非駆動側付勢部材46Fは、引っ張りバネで形成されており、このバネの付勢力により、現像ユニット20がクリーニングユニット60に付勢されている。これにより、現像ローラ32をドラム62に向かって確実に押し付けられる。そして、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38によって、現像ローラ32とドラム62との間に所定の間隔が設けられている。
【0045】
<軸受部材37の構成の説明>
次に、本実施例に係るカートリッジBの現像ローラ32を支持する軸受部材37について、
図14、
図15、
図16を用いて説明する。
図14は、実施例1に係る軸受部材37を示す外観図である。
図15は、実施例1に係る第2支持部材としての第1樹脂部39を示す図である。
図16は、実施例1に係る第1支持部材としての第2樹脂部40を示す図である。第1樹脂部39と第2樹脂部40は異なる材料で形成され、第2樹脂部40は導電樹脂で形成されており、現像ローラ32には、導電性を有する第2樹脂部40を介して電流が流れる。また、第1樹脂部39を形成する材料は、第2樹脂部40を形成する材料よりも安価となっている。
【0046】
図14(a)は、非駆動側板16側から軸受部材37を見た図であり、
図14(b)は、
図14(a)と反対の方向から軸受部材37を見た図である。
図14(a)に示すように、現像ローラ32を回転可能に支持する軸受部材37は、支持部材としての第1樹脂部39と、軸支部材としての第2樹脂部40とから構成されている。第1樹脂部39には、
図15(a)(b)に示すように、保持部39aと開口部39bと被係止部39c(第1被係合部と第2被係合部に対応する)が設けられている。開口部39bは、第1樹脂部39に設けられた貫通部の内壁が途切れるように形成される隙間である。このように、現像ローラ32の回転中心軸線方向と交差する方向において、第1樹脂部39は第2樹脂部40と隣り合うように配置され、第2樹脂部40を支持するように構成される。一方、第1樹脂部39は第2樹脂部40を一部露出させる開口部39bを備える。
また、第2樹脂部40には、
図16(a)(b)に示すように、軸支部40aと係止部40b(第1係合部と第2係合部に対応する)とが一体で形成されている。第2樹脂部40は、第1樹脂部39に設けられた貫通部に嵌ることで第1樹脂部39に取り付けられている。また、係止部40bは、第2樹脂部40が第1樹脂部39に嵌められる方向と直交
する方向に向かって延びている。一方の係止部40bが延びる方向は、他方の係止部40bが延びる方向とは反対側となっている。
【0047】
図14に示すように、第1樹脂部39における保持部39aは、現像ローラ32の回転中心軸線方向と直交する平面において軸支部40aの周囲に配設され、軸支部40aを保持している。保持部39aは、現像ローラ32の回転中心軸線と交差する方向において、軸支部40aと並ぶように配置され、軸支部40aを支持するだけでなく、この回転中心軸線と交差する方向へ延びる凸部を有し、軸支部40aが回転中心軸線に沿った移動を規制する。より具体的には、軸支部40aは、回転中心軸線へ向かって延びる凸部を有し、軸支部40aと凸部が係合することで回転中心軸線に沿った移動を規制する。また、保持部39aには、現像ローラ32にドラム62がより近接可能となるように、開口部39bが設けられ、さらに開口部39bから露出した部分が切欠かれている。また、
図15(a)に示すように、現像ローラ32の回転中心Jと開口部39bの中点Kとを結んだ直線Fで分割された領域のそれぞれに被係止部39cが設けられている。
【0048】
また、本実施例では、開口部39bは、現像ローラ32の回転中心軸線方向に、一定の間隔を空けて延びている。そして、現像ローラ32の回転中心軸線と直交する平面において、第1樹脂部39には、現像ローラ32の回転中心軸線と開口部39bの中点とを結んだ直線を挟んで、一方側に、一方の被係止部39cが設けられている。また、現像ローラ32の回転中心軸線と開口部39bの中点とを結んだ直線を挟んで、他方側に、他方の被係止部39cが設けられている。そして、係止部40bは、開口部39bが開こうとする場合に被係止部39cが移動する方向とは反対の方向に被係止部39cに力を付与する。より具体的には、開口部39bが開くように第1樹脂部39が変形した場合に、開口部39bが閉じるように、係止部40bは被係止部39cに力を付与する。
【0049】
ここで、
図14(a)に示すように、現像ローラ32の回転中心Jと係止部40bの図心Lを結んだ直線Wとする。係止部40bは、幅が大きい部分と幅が小さい部分とを有している。幅が大きい部分は、直線W方向において、幅が小さい部分よりも離れた位置に位置している。具体的には、幅が大きい部分と幅が小さい部分と回転中心Jは、直線W方向であって回転中心Jから離れる方向において、回転中心J→幅が小さい部分→幅が大きい部分の順番に並んでいる。
【0050】
また、直線Wと平行する直線であって、係止部40bの幅が小さい部分の外形に沿った直線を直線w1とし、係止部40bの幅が大きい部分の外形に沿った直線を直線w2とする。
図14に示すように、直線w1は、係止部40bの外形と接する直線の中で直線Wとの距離が最短となっている。また、直線w2は、係止部40bの外形と接する直線の中で直線Wとの距離が最長となっている。そして、直線w1と直線w2で挟まれた領域に、第1樹脂部39の被当接部39dと、第2樹脂部40の当接部40cが設けられている。なお、係止部40bおよび被係止部39cの形状は、例えば、
図18に示すような円形や、
図19に示すような三角形などであってもよい。係止部40bおよび被係止部39cの形状は、上記条件(直線w1と直線w2との関係)を満たしていれば特に限定されない。なお、本実施例では、第2樹脂部40の摩擦係数は、第1樹脂部39の摩擦係数に比べて小さくなっている。具体的には、第1樹脂部39と第2樹脂部40に同一形状の部分がある場合において、その同一形状の部分において、第2樹脂部40の摩擦係数は、第1樹脂部39の摩擦係数よりも小さくなっている。
【0051】
<軸受部材37を成形する工程についての説明>
次に、軸受部材37が成形される工程について
図1を用いて説明する。
図1は、
図14(a)におけるA−A断面を模式的に示した断面である。
図1(a)に示すように、軸受部材37が成形する際には、予め、別の金型で成形された第1樹脂部39に金型51を当
接させる。このとき、第1樹脂部39における型当接面39eと金型51の当接面51aとが突き当たる。
【0052】
次に、
図1(b)に示すように、金型52を第1樹脂部39に当接させる。このとき、第1樹脂部39の型当接面39fと、金型52の第1樹脂部39との当接面52aとが突き当たる。そして、2つの金型51と金型52を第1樹脂部39に当接させて挟み込んだ状態が
図1(c)である。第1樹脂部39は金型51と金型52によって位置決めされている(不図示)。このとき、第1樹脂部39の保持部39aと金型51と金型52とによって軸支部形成空間54が形成される。また、第1樹脂部39の被係止部39cは、係止部形成空間55を介して金型52と対向するように配置される。
【0053】
次に、第2の樹脂を注入するゲート53が金型52の注入口52bに当接される。なお、ゲート53と金型52は初めから一体化された構成であってもよい。その後、
図1(d)に示すように、第2の樹脂がゲート53から注入口52bを介して軸支部形成空間54および係止部形成空間55に入り込み、第2樹脂部40である軸支部40aおよび係止部40bが形成される。
【0054】
そして、第2の樹脂の注入が完了すると軸受部材37から金型51と金型52とが外される。金型51と金型52の取り外しは、金型51と金型52を第1樹脂部39に取り付ける手順とは逆の順番で行われる。まず、ゲート53を、金型52の注入口52bより退避させる。次に、金型52を第1樹脂部39および第2樹脂部40から離型させ、最後に、金型51を第1樹脂部39および第2樹脂部40から離型させる。これにより、
図1(e)に示すように、第1樹脂部39と第2樹脂部40が一体となって成形された軸受部材37が形成される。
【0055】
以上のようにして成形された第2樹脂部は成形後に熱収縮する。具体的には、第2の樹脂が固まって、第2樹脂部40が熱収縮を起こすことで、開口部39bが閉じようとする方向に、係止部40bは被係止部39cに力を付与する。そのため、
図14(a)に示すように、第2樹脂部40の係止部40bに設けられた当接部40cは矢印H方向に収縮する。そして、当接部40cは第1樹脂部39の被当接部39dと当接しているため、被当接部39dは、当接部40cによって矢印H方向に押圧されている。これにより、第1の樹脂部39の開口部39bが矢印G方向に開くことを抑制することができるため、第1樹脂部39の保持部39aの位置精度が安定する。そのため、
図16(b)に示すように、第2樹脂部40の軸支部40aの位置精度が安定する。なお、本実施例において、構成部品の機能、材質、形状その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0056】
以上のように、本実施例では、係止部40bは、開口部39bが開こうとする場合に被係止部39cが移動する方向とは反対の方向の力を被係止部39cに付与する。そのため、開口部39bが開くことが抑制され、第2樹脂部40が第1樹脂部39から外れることを抑制することができる。つまり、現像ローラ32を支持する第2樹脂部40を、第2樹脂部40を支持する第1樹脂部39に対して精度良く位置決めすることができる。
【0057】
また、本実施例において、第1樹脂部39を形成する材料は、第2樹脂部40を形成する材料よりも安価である。これにより、第2樹脂部40を形成する材料で第1樹脂部39と第2樹脂部40とを製造した場合よりも、画像形成装置Sの製造コストを低減させることができる。
【0058】
また、本実施例において、溶融樹脂が固まって第2樹脂部40が熱収縮を起こすことで、開口部39bが閉じようとする方向に、係止部40bは被係止部39cに力を付与する
。これにより、第1の樹脂部39の開口部39bが開くことを抑制することができるため、第2樹脂部40が第1樹脂部39から外れることを抑制することができる。
【0059】
(実施例2)
次に、実施例2に係るカートリッジBにおける現像ローラ32を支持する軸受部材37が成形される工程について
図17を用いて説明する。ここで、本実施例において、実施例1と同一の機能を有する部分については同一の符号を付すことでその説明を省略する。なお、本実施例に係る軸受部材37の形状は、実施例1に係る軸受部材37の形状と同じである。
【0060】
図17(a)に示すように、金型56aと金型56bと金型57とがそれぞれ当接し、第1樹脂部形成空間90が形成される。次に、
図17(b)に示すように、ゲート59が金型57の注入口57aに当接される。このとき、金型57とゲート59は初めから一体として構成されていてもよい。そして、第1の樹脂がゲート59から第1樹脂部形成空間90に注入されることで第1樹脂部39が形成される。
【0061】
次に、
図17(c)に示すように、まず、ゲート59を注入口57aから退避させ、続いて、金型57を、金型56aと金型56bと第1樹脂部39から離型させる。その後、
図17(d)に示すように、金型56bを、第2樹脂部40の肉厚分だけ退避させるとともに、金型58を型当接面39fに当接させる。これにより、金型56aと金型56bと金型58と第1樹脂部39とによって、第2樹脂部形成空間91が形成される。
【0062】
次に、
図17(e)に示すように、ゲート92を金型58の注入口58aに当接させ、第2の樹脂をゲート92から第2樹脂部形成空間91に注入する。これにより、第2樹脂部40が形成される。そして、第2の樹脂の注入が完了したあとに、金型56aと金型56bと金型58を軸受部材37から取り外す。具体的には、まずは、ゲート92を金型58の注入口58aから退避させる。次に、金型58を、第1樹脂部39と第2樹脂部40から離型させる。そして、最後に、金型56aと金型56bを第1樹脂部39と第2樹脂部40から離型させる。このようにして、軸受部材37の成形が完了する。このような成形方法とすることで、金型に樹脂を注入する際の注入圧を高めることができる。そのため、第2樹脂部40の軸支部40aの位置をより精度よく保つことができる。
【0063】
(実施例3)
次に、実施例3について
図20を用いて説明する。本実施例においても、異なる2種類の樹脂材料を用いて成形される軸受部材237について説明する。ここで、本実施例において、実施例1と同一の機能を有する部分については同一の符号を付すことでその説明を省略する。本実施例では、実施例1と異なる構成について主に述べる。
【0064】
図20は、実施例3に係る軸受部材237を示す図である。本実施例では、第1樹脂部239における被係止部239cの形状と、第2樹脂部240における係止部240bの形状は波型となっている。具体的には、被係止部239cの形状と係止部240bの形状は、現像ローラ32の回転中心Jと係止部240bの図心L2とを結んだ直線W2に対して波型となっている。このような形状とすることで、第1樹脂部239の被当接部239dが、第2樹脂部240の当接部240cに対して力を付与する部分の数を増やすことができる。これにより、より安定して、保持部39aが開いてしまうことを抑制することができる。そのため、軸支部40aの位置精度をより向上させることができる。
【0065】
(実施例4)
次に、実施例4について
図21を用いて説明する。ここで、本実施例において、実施例1と同一の機能を有する部分については同一の符号を付すことでその説明を省略する。実
施例1では、現像ローラ32の回転中心軸線方向と直交する平面方向において、第1樹脂部39の被当接部39dと第2樹脂部40の当接部40cとが延びていた。これに対し、本実施例では、現像ローラ32の回転中心軸線方向に、第1樹脂部339の被係止部339cと第2樹脂部340の係止部340bとが延びている。
【0066】
図21は、実施例4に係る軸受部材337を示す図である。具体的には、
図21は、軸受部材337を、現像ローラ32の回転中心軸線方向と平行な平面で切った場合の断面図である。本実施例では、第2樹脂部340における係止部340bは、現像ローラ32の回転中心軸線方向に突き出した凸形状となっている。そして、第1樹脂部339も、第2樹脂部340に沿った形状となっている。これにより、現像ローラ32の回転中心軸線と直交する平面において、被係止部339cと係止部340bとを延ばす必要がないため、現像ローラ32の回転中心軸線と直交する平面において、軸受部材337を小型化することができる。そして、現像ローラ32の回転中心軸線と直交する平面において、軸受部材337が小型化された分、画像形成装置S内のスペースを大きくすることができる。