特許第6797572号(P6797572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6797572-包装材料及びそれを用いた包装袋 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797572
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】包装材料及びそれを用いた包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20201130BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B65D65/40 D
   B65D30/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-118841(P2016-118841)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-222388(P2017-222388A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】399054321
【氏名又は名称】東洋アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和也
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】関口 朋伸
(72)【発明者】
【氏名】麻植 啓司
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 侑哉
(72)【発明者】
【氏名】粟田 浩昭
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−024876(JP,A)
【文献】 特開2014−091308(JP,A)
【文献】 特開2011−073728(JP,A)
【文献】 特開平11−208722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を包装するための包装材料であって、
(1)外層側から前記内容物と接触する内層側に向かって、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート層、変性ポリオレフィン樹脂層及び熱可塑性樹脂層が順に積層されており、
(2)前記変性ポリオレフィン樹脂層は変成ポリオレフィン樹脂のみからなり、前記変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸を1〜4質量%含有する、
ことを特徴とする包装材料。
【請求項2】
前記変性ポリオレフィン樹脂層を構成する前記変性ポリオレフィン樹脂は、更にアクリル酸エチルを3〜15質量%含有する、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記内容物は、浸透性成分を含有する、請求項1又は2に記載の包装材料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の包装材料からなる包装袋であって、内容物を収容した場合に前記熱可塑性樹脂層が前記内容物と接触するように成形された包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料に関し、特に浸透性成分を含有する内容物の包装(収容)に適した包装材料及び当該包装材料からなる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、化粧品、薬剤等の内容物を収容する包装材料として種々のものが開発されている。包装材料の材質、層構成等は内容物の種類によってさまざまであるが、とりわけ化粧品、薬剤等を内容物とする場合には液体成分を含有する場合があり、液体成分が浸透性成分の場合には包装材料への浸透に起因する腐食、デラミネーションを抑制することが求められている。浸透性成分を含む薬剤としては、例えば、外用薬としての鎮痛薬、ニコチン、局所麻酔薬、ホルモン剤、頻尿抑制剤、酔い止め等が挙げられる。
【0003】
従来の包装材料としては、例えば、下記の特許文献1〜3などが挙げられる。
【0004】
特許文献1は染毛剤用包装袋に関し、請求項1には、「少なくとも染料またはアンモニアが配合された第1剤と、少なくとも過酸化水素が配合された第2剤とからなる二剤式染毛剤を収容するための染毛剤用包装袋であって、前記第1剤を収容する第1包装体が、少なくとも熱可塑性樹脂フィルムと金属箔を接合してなるシート材によって形成され、前記接合を形成する層が溶融された熱可塑性樹脂の押出し層からなる接着樹脂層であることを特徴とする染毛剤用包装袋。」が開示されている。
【0005】
具体的には、金属箔(アルミニウム箔)と熱可塑性樹脂フィルム(シーラントフィルム)とを接着樹脂層(熱可塑性樹脂層)により接着してなる包装袋が例示されており、内容物によるデラミネーションを防止するとともに、アルミニウム箔表面に化成処理を行うことにより腐食防止を行うことが記載されている。
【0006】
特許文献2は化粧料用パウチパックに関し、請求項1には、「化粧料を内容物とし、アルミ層と、該アルミ層の内側に配設されると共に前記化粧料に含まれる金属腐食性成分に対しバリアー性を有したバリアー性樹脂層とを具備することを特徴とする化粧料用パウチパック。」が開示されている。
【0007】
具体的には、アルミ層の内側にアルミ層と強固に接着するエチレン−ビニルモノマー重合体層を介してバリアー性樹脂層を形成し、アルミ層の他面にシーラントフィルムを併用してなる化粧料用パウチパックが例示されており、内容物によるデラミネーションを防止するとともに腐食を防止することが記載されている。
【0008】
特許文献3はヘアカラー用包装材に関し、請求項1には、「耐熱性を有するプラスチックフィルムからなるベース基材と、金属箔と、金属箔に対する熱接着性を有する熱接着樹脂層及びバリアー樹脂層及びヒートシール性を有する熱接着樹脂層とが複合されてなる複合プラスチックフィルム層と、からなる、ヘアカラー1液剤用包装材であって、前記金属箔と前記複合プラスチックフィルム層との複合方法にサーマルラミネートを使用することを特徴とするヘアカラー1液剤用包装材。」が開示されている。そして、この層構成であることにより高いガスバリアー性を有し、高い浸透性と金属腐食性をもつヘアカラーにおいても使用可能であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−81285号公報
【特許文献2】特開平11−222261号公報
【特許文献3】特開2009−227280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来品の包装材料では、浸透性成分を含有する内容物の包装に使用した場合には内容物の浸透性成分が包装材料に浸透し、包装材料のデラミネーションや腐食が生じるおそれがある。
【0011】
よって、本発明は浸透性成分を含有する内容物を包装する場合でも包装材料のデラミネーションや腐食の発生を抑制した包装材料を提供することを目的とする。また、この包装材料を用いた包装袋を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、外層側から内容物と接触する内層側に向かって特定の層構成を有する包装材料によれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は下記の包装材料に関する。
1.内容物を包装するための包装材料であって、
(1)外層側から前記内容物と接触する内層側に向かって、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート層、変性ポリオレフィン樹脂層及び熱可塑性樹脂層が順に積層されており、
(2)前記変性ポリオレフィン樹脂層は変成ポリオレフィン樹脂のみからなり、前記変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸を1〜4質量%含有する、
ことを特徴とする包装材料。
2.前記変性ポリオレフィン樹脂層を構成する前記変性ポリオレフィン樹脂は、更にアクリル酸エチルを3〜15質量%含有する、上記項1に記載の包装材料。
3.前記内容物は、浸透性成分を含有する、上記項1又は2に記載の包装材料。
4.上記項1〜3のいずれかに記載の包装材料からなる包装袋であって、内容物を収容した場合に前記熱可塑性樹脂層が前記内容物と接触するように成形された包装袋。
【発明の効果】
【0014】
本発明の包装材料は、外層側から内容物と接触する内層側に向かって、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート層、変性ポリオレフィン樹脂含有層及び熱可塑性樹脂層が順に積層されている層構成を有することにより、浸透性成分を含有する内容物を包装する場合でも包装材料のデラミネーションや腐食の発生が抑制されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の包装材料の層構成の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の包装材料は、外層側から内容物と接触する内層側に向かって、アルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート層、変性ポリオレフィン樹脂含有層及び熱可塑性樹脂層が順に積層されていることを特徴とする。図1は、本発明の包装材料の層構成の一例を示す断面模式図であり、Aは外層側、Bは内層側を示し、外層側から順にアルミニウム箔1、ポリエチレンテレフタレート層2、変性ポリオレフィン樹脂含有層3及び熱可塑性樹脂層4が積層されている。なお、図1には図示していないが、各層間に必要に応じて接着剤層を設けてもよく、また図中の1〜4の層以外に補助層(機能層)を更に設けてもよい。接着剤層及び機能層については後述する。
【0017】
以下、図1の層構成を代表例として各層について説明する。
【0018】
アルミニウム箔1
アルミニウム箔(Al箔)は本発明の包装材料の外層側に位置し、内容物に対して外気からの酸素、水分等の浸入を防止する役割を有する。
【0019】
アルミニウム箔の厚さや種類は特に限定されないが、厚さは5μm以上50μm以下が好ましく、7μm以上40μm以下がより好ましい。アルミニウム箔の厚さが5μm未満であるとピンホールの存在確率が高くなり、酸素、水分等の十分な浸入防止効果を発揮することが難しくなるおそれがある。また、50μmを超えると包装材料の剛性が高くなり、包装材料をチューブ形状などに加工することが困難になるおそれがある。
【0020】
アルミニウム純度は99%以上のものであると入手することが容易であるため好ましい。但し、適宜所望とされる物性を発現するためにFe,Ni,Ti,Sn,Mg等の元素を含んでいてもよい。また、アルミニウム箔に不可避不純物が含まれることは許容される。
【0021】
ポリエチレンテレフタレート層2
ポリエチレンテレフタレート層(PET層)はアルミニウム箔に対して内層側に位置し、内容物からの腐食成分の浸透を防止し、アルミニウム箔の腐食を防止する役割を有する。
【0022】
ポリエチレンテレフタレート層の厚さは6μm以上75μm以下であることが好ましく、9μm以上60μm以下がより好ましい。ポリエチレンテレフタレート層の厚さが6μm未満であるとアルミニウム箔の保護性能が十分でなくなるおそれがある。また、75μmを超えると包装材料としての剛性が高くなり、包装材料をチューブ形状などに加工することが困難になるおそれがある。
【0023】
変性ポリオレフィン樹脂含有層3
変性ポリオレフィン樹脂含有層はポリエチレンテレフタレート層に対して内層側に位置し、ポリエチレンテレフタレート層と後述する熱可塑性樹脂層との密着性を向上させる効果を有する。
【0024】
変性ポリオレフィン樹脂含有層は、変性ポリオレフィン樹脂を含有する層であればよく、変性ポリオレフィン樹脂の主成分であるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等が含まれていることが上記密着性向上の点から好ましい。これらのポリオレフィンは単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0025】
変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィンが不飽和カルボン酸により酸変性されていることが好ましい。不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は単独又は2種以上を混合して使用できる。また、ポリオレフィンを変性させる変性剤として不飽和カルボン酸に加えてアクリル酸エチルが含まれることが好ましい。
【0026】
変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸を1〜4質量%及びアクリル酸エチルを3〜15質量%含有することが好ましい。不飽和カルボン酸の含有量がこの範囲内であることによって、ポリエチレンテレフタレート層と後述する熱可塑性樹脂層との密着性を向上させ易くなる。また、アクリル酸エチルの含有量が上記範囲内であることによって、ポリエチレンテレフタレート層と熱可塑性樹脂層とのデラミネーション抑制の点で好ましい。
【0027】
変性ポリオレフィン樹脂含有層の厚さは0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.2μm以上5μm以下がより好ましい。変性ポリオレフィン樹脂含有層の厚さが0.1μm未満であるとポリエチレンテレフタレート層との密着性が低下するおそれがある。また、10μmを超えると熱可塑性樹脂層との密着性が低下するおそれがある。
【0028】
熱可塑性樹脂層4
熱可塑性樹脂層は内層側(内容物と接触する側)に存在し、熱接着性を有する。
【0029】
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含有する層であればよく、好ましくは熱可塑性樹脂を主成分として(50重量%以上)含有する層であればよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー等が挙げられる。
【0030】
熱可塑性樹脂層は厚さは5μm以上200μm以下であることが好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましい。熱可塑性樹脂層の厚さが5μm未満であると熱接着性が不十分となるおそれがある。また、200μmを超えると製膜困難となるおそれがある。
【0031】
接着剤層
上述のアルミニウム箔とポリエチレンテレフタレート層との間、ポリエチレンテレフタレート層と変性ポリオレフィン樹脂含有層との間、変性ポリオレフィン樹脂含有層と熱可塑性樹脂層との間、の少なくとも一つの層間には任意に接着剤層を設けてもよい。
【0032】
接着剤層としては特に限定されないが、例えば、ポリエステル系、ポリウレタン系の接着剤を利用したドライラミネート法、ウェットラミネート法、ヒートラミネート法、押し出しラミネート法、グラビア印刷やロールコーティング等により形成される。包装材料の製造上はドライラミネート法が好ましい。
【0033】
機能層
本発明の包装材料は、上述のアルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート層、変性ポリオレフィン樹脂含有層、熱可塑性樹脂層及び接着層の他に、適宜、機能性を有する層を更に最外層側に設けてもよい。例えば、印刷層を設けることができる。
【0034】
包装袋及び包装容器
本発明の包装材料は、公知のラミネート包装容器に用いることができる。特に浸透性成分を含有する内容物を収容するラミネートチューブ容器に用いる場合に、高い耐浸透性の効果を発揮することができる。浸透性成分を含む薬剤としては、例えば、外用薬としての鎮痛薬、ニコチン、局所麻酔薬、ホルモン剤、頻尿抑制剤、酔い止め等が挙げられる。
【0035】
なお、本明細書における内容物の浸透性成分は、包装材料の内層側に位置する熱可塑性樹脂層(上記列挙した樹脂にかかわらず、公知のラミネートチューブの内層側に位置する熱可塑性樹脂も該当する)に対して浸透性を有する成分を意味し、当該樹脂と内容物の浸透性成分とのハンセン溶解度パラメータで示される相対エネルギー差が1以下となるようないわゆる高浸透性の成分も包含する。本発明の包装材料、並びにそれを用いた包装袋及び包装容器は、上記のような高浸透性の成分を含有する内容物に対しても包装材料のデラミネーションや腐食の発生を抑制することができる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例における各層の厚さは、乾燥後の厚さである。
【0037】
実施例1
20μm厚の1N30のアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に12μm厚のPETフィルム(ユニチカ株式会社製)をポリウレタン系接着剤(DICグラフィックス株式会社製)を用いてドライラミネートにより貼り合せてPET層を形成した。
【0038】
次にPET層上に変性ポリオレフィン樹脂を含むアンカーコート剤(型番SE5205J2、ユニチカ株式会社製)を2μmの厚さとなるようにバーコーターを用いて塗工し、180℃で乾燥させてアンカーコート層(変性ポリオレフィン樹脂含有層)を形成した。
【0039】
次にアンカーコート層上にポリエチレン(住友化学株式会社製)を20μmの厚さとなるように押し出しコートし、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)を形成した。
【0040】
これにより、アルミニウム箔、接着剤層、PET層、変性ポリオレフィン樹脂含有層、及び熱可塑性樹脂層が順に積層されたラミネートフィルムを作製した。なお、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)が内容物と接触する側(即ち内層側)である。
【0041】
比較例1
20μm厚の1N30のアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に12μm厚のPETフィルム(ユニチカ株式会社製)をポリウレタン系接着剤(DICグラフィックス株式会社製)を用いてドライラミネートにより貼り合せてPET層を形成した。
【0042】
次にPET層上にポリウレタン樹脂を含むアンカーコート剤(型番LX500と型番KW75を重量比10:1で配合;双方ともDICグラフィックス株式会社製)を1μmの厚さとなるようにバーコーターを用いて塗工し、180℃で乾燥させてアンカーコート層(ポリウレタン樹脂含有層)を形成した。
【0043】
次にアンカーコート層上にポリエチレン(住友化学株式会社製)を20μmの厚さとなるように押し出しコートし、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)を形成した。
【0044】
これにより、アルミニウム箔、接着剤層、PET層、ポリウレタン樹脂含有層、及び熱可塑性樹脂層が順に積層されたラミネートフィルムを作製した。なお、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)が内容物と接触する側(即ち内層側)である。
【0045】
比較例2
20μm厚の1N30のアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に変性ポリオレフィン樹脂を含むアンカーコート剤(型番SE5205J2、ユニチカ株式会社製)を2μmの厚さとなるようにバーコーターを用いて塗工し、180℃で乾燥させてアンカーコート層(変性ポリオレフィン樹脂含有層)を形成した。
【0046】
次にアンカーコート層上にポリエチレン(住友化学株式会社製)を20μmの厚さとなるように押し出しコートし、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)を形成した。
【0047】
これにより、アルミニウム箔、変性ポリオレフィン樹脂含有層、及び熱可塑性樹脂層が順に積層されたラミネートフィルムを作製した。なお、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)が内容物と接触する側(即ち内層側)である。
【0048】
比較例3
20μm厚の1N30のアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)にアルコキシド溶液を用いたゾルゲル法により0.1μmの無機酸化皮膜を形成した。
【0049】
次に無機酸化皮膜上に30μm厚のポリエチレンフィルム(東洋紡株式会社製)をエチレンとアクリル酸との共重合樹脂であるEAA(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)を接着剤として押出ラミネーションにより貼り合せてポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)を形成した。
【0050】
これにより、アルミニウム箔、無機酸化皮膜、接着剤層、及び熱可塑性樹脂層が順に積層されたラミネートフィルムを作製した。なお、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)が内容物と接触する側(即ち内層側)である。
【0051】
比較例4
20μm厚の1N30アルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に50μm厚のEVOH層を含む多層構造のポリエチレンフィルム(アイセロ化学株式会社製)をEAA(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)を接着剤とした押し出しラミネーションにより貼り合せてポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)を形成した。
【0052】
これにより、アルミニウム箔、接着剤層、EVOH層を含む多層構造のポリエチレン層、及び熱可塑性樹脂層が順に積層されたラミネートフィルムを作製した。なお、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)が内容物と接触する側(即ち内層側)である。
【0053】
比較例5
30μm厚の1N30アルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に40μm厚のポリエチレンフィルム(株式会社リーダー製)をシーラントフィルムとしてサーマルラミネートにより貼り合せてポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)を形成した。
【0054】
これにより、アルミニウム箔、及び熱可塑性樹脂層が順に積層されたラミネートフィルムを作製した。なお、ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)が内容物と接触する側(即ち内層側)である。
【0055】
試験例1
実施例1及び比較例1〜5で作製したラミネートフィルムを10cm×10cmにカットして消炎鎮痛剤を3g充填した三方袋を作成した。この三方袋を50℃で3ヶ月保管した後、アルミニウム箔の腐食の有無及びデラミネーションの有無を確認した。
【0056】
アルミニウム箔が変色した状態となっているものを腐食有りと判断し、元のアルミニウム箔の状態から変化が無いものは腐食無しと判断した。また、ラミネートフィルムが剥離の状態となっているものをデラミネーション有りと判断し、元のラミネートフィルムのままの状態となっているものをデラミネーション無しと判断した。結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
〔表1中の用語の説明は次の通りである。
AL…アルミニウム箔
D…接着剤層(ドライラミネート)
PET…PET層
変性ポリオレフィン…変性ポリオレフィン樹脂含有層
PE…ポリエチレン層(熱可塑性樹脂層)
EAA…接着剤層(EAA)
EVOH…EVOH層を含む多層構造のポリエチレン層
SF…シーラントフィルム〕
以上の結果から分かる通り、外層側から内容物と接触する内層側に向かってアルミニウム箔、ポリエチレンテレフタレート層、変性ポリオレフィン樹脂含有層、及び熱可塑性樹脂層が順に積層されている本発明の包装材料は、浸透性成分を含有する内容物に対してもデラミネーションやアルミニウム箔の腐食の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
A…外層側
B…内層側(内容物と接触する側)
1…アルミニウム箔
2…ポリエチレンテレフタレート層
3…変性ポリオレフィン樹脂層
4…熱可塑性樹脂層
図1