特許第6797579号(P6797579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6797579電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797579
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20201130BHJP
   H01R 29/00 20060101ALI20201130BHJP
   H04N 21/436 20110101ALI20201130BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20201130BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G06F13/38 320A
   H01R29/00 A
   H04N21/436
   H04N21/442
   G06F3/00 V
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-132620(P2016-132620)
(22)【出願日】2016年7月4日
(65)【公開番号】特開2018-5619(P2018-5619A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】根本 歩
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−503184(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0156137(US,A1)
【文献】 特開2015−213356(JP,A)
【文献】 特開2015−005190(JP,A)
【文献】 特開2017−228226(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0087806(US,A1)
【文献】 中国実用新案第205540713(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00
3/18
13/38−13/42
H01R27/00−31/08
H04N 5/222−5/257
7/10
7/14−7/173
7/20−7/56
21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の切り替え端子と複数の共通端子を含む端子で構成され、対称性を有する端子配列を要求する第の通信規格、または対称性を有しない端子配列を要求する第の通信規格に従って通信を行うためのコネクタと、
前記複数の共通端子のうちの少なくとも一つの端子と接続されている検出回路であって、前記コネクタに接続された外部装置が準拠する通信規格が前記第一の通信規格であることを、前記複数の共通端子のうち対称に配置される端子のうち少なくとも一つに入力される第一の信号に基づき検出する第一検出回路と、
前記複数の切り替え端子のうちの少なくとも一つの端子と接続されている検出回路であって、前記コネクタに接続された外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格であることを、前記複数の切り替え端子のうち所定の端子に入力される第二の信号に基づき検出する第二検出回路と、
前記第一の信号および前記第二の信号の少なくとも一方が検出されるまでは、前記複数の切り替え端子のうち前記所定の端子を除く端子を前記第一の通信規格および前記第二の通信規格のどちらにも用いないよう設定し、
前記外部装置が準拠する通信規格が前記第一の通信規格である場合、前記切り替え端子を、前記所定の端子も含めて対称性のある端子配列として用いるよう設定し、
前記外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格である場合、前記切り替え端子を、対称性のない端子配列として用いるよう設定する制御手段
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格であると判断したことに応じて、前記切り替え端子を対称性のない端子配列として用いるよう設定する場合、前記制御手段は、前記外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格であると判断するために用いた端子の配列は、変更しないことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記コネクタは、USB TYPE Cコネクタであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第の通信規格は、USB TYPE C規格に準拠した通信規格であり、
前記第の通信規格は、HDMI規格に準拠した通信規格であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第一の信号は、前記USB TYPE C規格に準拠した外部装置の接続を検出するCC信号であり、前記第二の信号は前記HDMI規格に準拠した外部装置の接続を検出するHPD信号であることを特徴とする請求項に記載の電子機器。
【請求項6】
複数の切り替え端子と複数の共通端子を含む端子で構成され、対称性を有する端子配列を要求する第の通信規格、または対称性を有しない端子配列を要求する第の通信規格に従って通信を行うためのコネクタと、前記複数の共通端子のうちの少なくとも一つの端子と接続されている検出回路であって、前記コネクタに接続された外部装置が準拠する通信規格が前記第一の通信規格であることを、前記複数の共通端子のうち対称に配置される端子のうち少なくとも一つに入力される第一の信号に基づき検出する第一検出回路と、前記複数の切り替え端子のうちの少なくとも一つの端子と接続されている検出回路であって、前記コネクタに接続された外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格であることを、前記複数の切り替え端子のうち所定の端子に入力される第二の信号に基づき検出する第二検出回路と、を有する電子機器の制御方法であって、
前記第一の信号および前記第二の信号の少なくとも一方が検出されるまでは、前記複数の切り替え端子のうち前記所定の端子を除く端子を前記第一の通信規格および前記第二の通信規格のどちらにも用いないよう設定し、
前記外部装置が準拠する通信規格が前記第一の通信規格である場合、前記切り替え端子を、前記所定の端子も含めて対称性のある端子配列として用いるよう設定し、
前記外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格である場合、前記切り替え端子を、対称性のない端子配列として用いるよう設定する
ことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項7】
前記外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格であると判断したことに応じて、前記切り替え端子を対称性のない端子配列として用いるよう設定する場合、前記外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格であると判断するために用いた端子の配列は、変更しないことを特徴とする請求項6に記載の電子機器の制御方法。
【請求項8】
前記コネクタは、USB TYPE Cコネクタであることを特徴とする請求項6または7に記載の電子機器の制御方法。
【請求項9】
前記第一の通信規格は、USB TYPE C規格に準拠した通信規格であり、
前記第二の通信規格は、HDMI規格に準拠した通信規格であることを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の電子機器の制御方法。
【請求項10】
前記第一の信号は、前記USB TYPE C規格に準拠した外部装置の接続を検出するCC信号であり、前記第二の信号は前記HDMI規格に準拠した外部装置の接続を検出するHPD信号であることを特徴とする請求項9に記載の電子機器の制御方法。
【請求項11】
請求項1〜の何れか1項に記載の電子機器の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、複数の通信規格で通信可能な電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラでは、通信インタフェース(I/F)として汎用コネクタであるUSB(Universal Serial Bus)コネクタを備えているものが知られている。それらのデジタルカメラの中には、USBコネクタに加えて、テレビモニター等の映像機器のための通信インタフェース(I/F)を備えているものもある。このような通信インタフェース(I/F)としては、デジタルハイビジョン伝送が可能なHigh−Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))コネクタが知られている。
【0003】
一方、携帯性を高めるために、小型化、薄型化が要求されているデジタルカメラのような電子機器おいては、前述した様なUSBコネクタやHDMIコネクタ等複数のコネクタを設けることは小型化の妨げとなっていた。そこで、デジタルカメラ等の電子機器が備えるコネクタの数を削減し、単一のコネクタにより一の規格とその他の規格とに従う通信を可能とする技術が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の電子機器では、外部装置との接続する際に、単一のUSBコネクタを、USB信号の信号処理回路またはRS−232C信号の信号処理回路のいずれかと選択的に接続することを可能としている。この技術では、スイッチを用いた切替え制御によって、USBコネクタの各端子の接続先を、USB信号処理回路またはRS−232C信号処理回路に切り替えている。また、特許文献1には、切替え制御により選択された通信モードが外部装置の通信規格と不一致となった場合に、異なる信号同士の衝突を起因とした装置の故障を防止する構成も開示されている。例えば、外部装置の出力端子が接続されるUSBコネクタの端子(入力端子)は、切替え制御により切り替えられた切替先においても入力端子になる様に設定している。この様な構成により、出力信号同士の衝突による装置の故障を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−11989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載の方法では、信号衝突による装置の故障を防止するため、USBコネクタの各端子の切替先を限定する必要があり、コネクタ端子を有効活用出来ず設計自由度に乏しかった。
【0007】
本発明は前述の問題点に鑑み、単一のコネクタにより複数の規格に従う通信が可能であり、かつ、設計自由度を損なわずに装置の故障を有効に防止できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、複数の切り替え端子と複数の共通端子を含む端子で構成され、対称性を有する端子配列を要求する第の通信規格、または対称性を有しない端子配列を要求する第の通信規格に従って通信を行うためのコネクタと、前記複数の共通端子のうちの少なくとも一つの端子と接続されている検出回路であって、前記コネクタに接続された外部装置が準拠する通信規格が前記第一の通信規格であることを、前記複数の共通端子のうち対称に配置される端子のうち少なくとも一つに入力される第一の信号に基づき検出する第一検出回路と、前記複数の切り替え端子のうちの少なくとも一つの端子と接続されている検出回路であって、前記コネクタに接続された外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格であることを、前記複数の切り替え端子のうち所定の端子に入力される第二の信号に基づき検出する第二検出回路と、前記第一の信号および前記第二の信号の少なくとも一方が検出されるまでは、前記複数の切り替え端子のうち前記所定の端子を除く端子を前記第一の通信規格および前記第二の通信規格のどちらにも用いないよう設定し、前記外部装置が準拠する通信規格が前記第一の通信規格である場合、前記切り替え端子を、前記所定の端子も含めて対称性のある端子配列として用いるよう設定し、前記外部装置が準拠する通信規格が前記第二の通信規格である場合、前記切り替え端子を、対称性のない端子配列として用いるよう設定する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、単一のコネクタにより複数の規格に従う通信が可能であり、かつ、設計自由度を損なわずに装置の故障を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るデジタルカメラの外観構成例を示す図である。
図2】実施形態に係る電池ユニットの外観構成例を示す図である。
図3】デジタルカメラおよび電池ユニットの内部構成例を示すブロック図である。
図4】デジタルカメラと外部機器とが接続された状態を説明するための図である。
図5】USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)の各端子の信号の割り当てを示す図である。
図6】USB TYPE Cコネクタ(プラグ)の各端子の信号の割り当てを示す図である。
図7】HDMIの各端子の信号の割り当てを説明するための図である。
図8】通信規格に応じたスイッチ素子の切り替えを説明するための図である。
図9】実施形態におけるデジタルカメラによる通信切替処理の一例を示すフローチャートである。
図10】実施形態における電池ユニットによる通信切替処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、USB TYPE C規格(第1規格)とHDMI規格(第2規格)との、2つの規格に従う通信を行う通信デバイスについて説明する。一方、USB TYPE C規格及びHDMI規格は一例であり、これら以外の規格に第1の実施形態を適用してもよい。
【0012】
図1(a)は、本実施形態に係るデジタルカメラ100を正面側(被写体側)から見た斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すデジタルカメラ100を底面側から見た斜視図である。
本実施形態のデジタルカメラ100は、図1(a)に示すように、レンズ鏡筒101およびマイクロフォン102が正面側に設けられている。また、デジタルカメラ100の上面部には、レリーズボタン103、電源釦104等が設けられている。
【0013】
図1(b)に示すように、デジタルカメラ100の底面部には、LCD等の表示ユニット105が設けられている。デジタルカメラ100を底面側から見て、表示ユニット105の右側には、各種操作ボタン群106が設けられている。また、デジタルカメラ100には、各種メモリーカード等の記録媒体を収納する記録媒体収納室107、及び後述する電池ユニット200を収納する電池収納室108が設けられている。蓋部材109は、記録媒体収納室107及び電池収納室108を覆うために設けられ、デジタルカメラ100に対して回動可能に取り付けられている。蓋部材109が、図1(b)に示す様に、デジタルカメラ100に対して開かれた状態において、各種メモリーカード等の記録媒体及び電池ユニット200の挿抜が可能となる。
【0014】
また、デジタルカメラ100は、レンズ鏡筒101を通過して撮像素子によって結像された被写体像を電気信号に変換し、その画像を表示ユニット105に表示したり、記録媒体へ画像データとして記録したりすることが可能である。また、電池収納室108の奥には、図3で後述するUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)が設けられている。USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)は、デジタルカメラ100が有する唯一の外部インターフェースコネクタである。デジタルカメラ100は、このUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)を介して、後述する電池ユニットや、その他外部装置との電力のやり取り及びデータ通信が可能となる。
【0015】
図2(a)は、本実施形態に係るデジタルカメラ100の電池ユニット200を上面側から見た斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す電池ユニット200を下面側から見た斜視図である。
本実施形態の電池ユニット200は、図2(a)に示すように、上面部にはUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201が設けられている。USB TYPE Cコネクタ(プラグ)201が電池収納室108の奥に設けられたUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)に接続されると、電池ユニット200からデジタルカメラ100へ電源を供給することが可能となる。
【0016】
一方、電池ユニット200の下面側には、図2(b)に示す様にUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202が設けられている。USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202には、USB TYPE Cコネクタを有する外部装置に、各種ケーブル等を介して接続が可能である。これにより、デジタルカメラ100は、電池ユニット200が接続された状態で、電池ユニット200の下面に設けられたUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202に接続された外部装置との通信も可能となる。
【0017】
次に、本実施形態に係るデジタルカメラ100および電池ユニット200の内部構成について説明する。
図3は、電池ユニット200がデジタルカメラ100に装着された状態におけるデジタルカメラ100および電池ユニット200の内部構成例を示すブロック図である。なお、図3においては、本実施形態の特徴を説明するのに必要な機能ブロックのみを記載しており、説明に不要な機能ブロックに関しては省略している。
【0018】
まず、デジタルカメラ100の各機能ブロックに関して説明する。
図3において、デジタルカメラ100は、撮影部120と、音声取得部130と、記録再生部140とを有している。
撮影部120は、レンズ鏡筒101により結像された被写体像を光電変換する撮像素子等を有しており、静止画や動画の映像データを取得する。音声取得部130は、マイクロフォン102により音声データを取得する。記録再生部140は、撮影部120により生成された映像データや、音声取得部130により取得された音声データを記録媒体に記録したり、記録媒体から映像データや音声データを再生したりする。
【0019】
また、デジタルカメラ100は、USB TYPE C規格に従うデータ通信を可能とするUSB制御部150と、HDMI規格に従うデータ通信を可能とするHDMI制御部160とを有する。
USB制御部150は、さらにCC検出部150aと、USBデータ通信部150bと、PD制御部150cとを有している。CC検出部150aは、USB TYPE C規格に準拠した外部装置が接続されたことを、CC信号により検知する。USBデータ通信部150bは、USB TYPE C規格に準拠したUSB2.0、USB3.1等のデータ通信を行う。PD制御部150cは、デジタルカメラ100と外部装置との間で、USB PD(USB Power Delivery)規格に対応した所定のネゴシエーション(給電交渉)を実施する。
【0020】
一方、HDMI制御部160は、さらにHPD(ホットプラグディテクト)検出部160aと、HDMIデータ通信部160bとを有している。HPD検出部160aは、HDMI規格に準拠した外部装置が接続されたことを、HPD信号により検知する。HDMIデータ通信部160bは、映像データ及び音声データを、TMDSラインを介して送信する。また、HDMIデータ通信部160bは、記録再生部140により記録媒体等から再生された映像データ及び音声データを送信することができる。さらに、HDMIデータ通信部160bは撮影部120および音声取得部130により取得された映像データ及び音声データをリアルタイムでストリーミング送信することもできる。
【0021】
さらに、デジタルカメラ100は、デジタルカメラ100本体の各種制御を司るシステム制御部170と、電源制御部180とを有する。電源制御部180は、電力供給手段である電池ユニット200やUSB PD規格に対応した外部装置から電力供給ライン(Vbus)介して受容した電力を各回路要素に対して供給する。
【0022】
さらに、デジタルカメラ100は、セレクタ190を有している。セレクタ190は、システム制御部170の指令に基づいて、USB TYPE Cコネクタ110内の後述する所定の端子(切替端子)の信号の割り当てを切り替える役割を担う。セレクタ190により、切替端子の切替先をUSBデータ通信部150bあるいはHDMIデータ通信部160bに切り替えることで、デジタルカメラ100はUSB規格に準拠した通信又は、HDMI規格に準拠した通信のいずれかの通信が可能となる。USB TYPE Cコネクタ110内の各端子への所定の信号の割り当てに関しては後述する。
【0023】
次に、電池ユニット200の各機能ブロックに関して説明する。
図3において、電池ユニット200は、バッテリーセル210と、システム制御部220と、USB制御部230と、HDMI制御部240とを有している。
バッテリーセル210は、充電可能な2次電池等(例えばリチウムイオン)からなる。システム制御部220は、電池ユニット200の各種制御を司る。
【0024】
USB制御部230は、さらにCC検出部230aを有しており、CC検出部230aは、USB TYPE C規格に準拠した外部装置が接続されたことをCC信号により検知する。一方、HDMI制御部240は、さらにHPD検出部240aを有しており、HPD検出部240aは、HDMI規格に準拠した外部装置が接続されたことを、HPD信号により検知する。
【0025】
さらに、電池ユニット200は、2つのセレクタ250、260を有している。
セレクタ250は、システム制御部220の指令に基づいてUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201内の後述する所定の端子(切替端子)の信号の割り当てを切り替える役割を担う。セレクタ260は、システム制御部220の指令に基づいてUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202内の後述する所定の端子(切替端子)の信号の割り当てを切り替える役割を担う。この2つのセレクタ250、260により、各USB TYPE Cコネクタの切替端子の切替先をUSB通信配線270あるいはHDMI通信配線280に切り替えることが可能である。これにより、電池ユニット200は、USB規格に準拠した通信又は、HDMI規格に準拠した通信のいずれかの通信規格に従った信号伝送が可能である。USB TYPE Cコネクタ(プラグ)201、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202内の所定の端子への信号の割り当てに関しては後述する。
【0026】
本実施形態のデジタルカメラ100は、3つのセレクタ190、250、260を適宜切り替えることにより、USB TYPE Cコネクタ202に接続される外部装置と、USB TYPE C規格またはHDMI規格に準拠した通信が可能となる。
【0027】
例えば、図4(a)に示すようにデジタルカメラ100は、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202に、USB TYPE C規格に準拠したスマートフォン401を接続し、相互に通信を行うことができる。具体的には、図4(a)に示す様に、スマートフォン401に設けられたUSB TYPE Cコネクタ402と、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202とにUSB TYPE C通信ケーブル403を挿し込む。これによって、デジタルカメラ100とスマートフォン401との間で、USB TYPE C規格に準拠したUSB2.0、USB3.1通信を行うことが可能となる。また、接続されたスマートフォン401がUSB PD規格に対応している場合は、所定のネゴシエーション(給電交渉)を実施し、デジタルカメラ100とスマートフォン401との間で相互に給電が可能となる。USB PDでは、給電方向を変えることが可能であるため、デジタルカメラ100からスマートフォン401に給電できるだけでなく、スマートフォン401からデジタルカメラ100に給電することも可能である。
【0028】
また、図4(b)に示すように、デジタルカメラ100は、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202に、HDMI規格に準拠した外部装置(例えばテレビモニター404)と接続して通信を行うことが可能である。図4(b)に示す様に、テレビモニター404に設けられたHDMIコネクタ405と、USB TYPE Cコネクタ202とに通信ケーブル406を挿し込む。これによって、デジタルカメラ100とテレビモニター404との間で、HDMI規格に準拠した通信を行うことが可能となる。これにより、デジタルカメラ100からHDMIデータ通信部160bを介して送信された映像データ及び音声データを、テレビモニター404の表示部407およびスピーカー408から出力することが可能となる。この場合の通信ケーブル406は、一端のコネクタ形状をテレビモニター404のHDMIコネクタ405の形状に合わせ、他端のコネクタ形状を電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202の形状に合わせてある。さらに、通信ケーブル406内の信号配線は、後述するUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202の各端子の信号割り当てに基づいて構成されている。
【0029】
次に、図5および図6を参照しながら、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201内の所定の端子への信号の割り当てについて説明する。
図5は、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202の信号割り当てを説明するための図であり、図6は、USB TYPE Cコネクタ(プラグ)201の信号割り当てを説明するための図である。図5及び図6に示すように、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、A列とB列との2列の端子配列構造を有している。そして、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、複数種類の端子を有しており、各列12端子ずつ、即ち、全部で24端子を有するコネクタとなっている。
【0030】
ここで、A列の各端子をA1からA12と名付け、B列の各端子をB1からB12と名付ける。なお、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110とUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201とが接続された時、同じ符号同士の端子が電気的に接続される。
【0031】
図5及び図6に示す様に、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202、およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、それぞれパターン1、パターン2、パターン3の信号割り当てを可能とする。
パターン1は、USB TYPE C規格に対応した信号割り当てである。パターン1は、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202にUSB TYPE C規格に準拠した外部装置が接続された時にUSB TYPE C規格に準拠した通信を可能とする信号割り当てである。
【0032】
パターン2は、HDMI規格に対応した信号割り当てである。パターン2は、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202にHDMI規格に準拠した外部装置が上述の通信ケーブル406を介して接続された時にHDMI規格に準拠した通信を可能とする信号割り当てである。
パターン3は、初期状態の信号割り当てであり、パターン3は、いずれの外部装置も接続されていない状態における信号割り当てである。デジタルカメラ100内のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202、およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)202は、この状態で外部装置の接続を待つ。
【0033】
また、図5および図6に示すように、各コネクタの全24端子のうち、太枠で囲われた端子A2、A3、A10、A11、B2、B3、B6、B7、B8、B10、B11は切替端子である。切替端子の信号割り当ては、上述したデジタルカメラ100内のセレクタ190および電池ユニット200内のセレクタ250、260が、各システム制御部からの指令に基づいて切り替えられる。
【0034】
デジタルカメラ100のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110は、デジタルカメラ100内のセレクタ190により信号割り当てが切り替えられる。電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、電池ユニット200内のセレクタ250により信号割り当てが切り替えられる。電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202は、電池ユニット200内のセレクタ260により信号割り当てが切り替えられる。このように、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、220およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、この切替端子の信号割り当てを変更することにより、パターン1、パターン2、パターン3の信号割り当てを可能とする。
【0035】
次に、パターン1(USB TYPE C対応)の信号割り当てを説明する。パターン1は、図5(a)および図6(a)に示されている様に、端子A1、A12、B1、B12にはGND信号が割り当てられている。GND信号は、デジタルカメラ100及び電池ユニット200の基準電位となるグランド信号である。また、端子A4、A9、B4、B9には、VBUS信号が割り当てられている。VBUS信号は電力のやり取りを行うための信号であり、さらにUSB PD規格に対応した所定のネゴシエーション(給電交渉)を行うための双方向データ通信線としても機能する。
【0036】
また、端子A5、B5にはCC信号が割り当てられている。CC信号は、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202を介して接続されたUSB TYPE C規格に準拠した外部装置との情報のやり取りを行うための信号である。このCC信号を、デジタルカメラ100のCC検出部150aおよび電池ユニット200内のCC検出部230aが検知すると、USB TYPE C規格に準拠した外部装置が接続されたことを認識することができる。また、このCC信号は、USB PD規格に対応した所定のネゴシエーション(給電交渉)を行うための双方向データ通信線としても機能する。
【0037】
また、端子A8、B8には、SBU1信号、SBU2信号が割り当てられている。SBU1信号、SBU2信号は予備の信号であり、特定の役割は担っていない。また、端子A6、A7、B6、B7にはそれぞれD+信号とD−信号とが割り当てられている。D+信号およびD−信号はペアの差動信号となっており、USB2.0規格の通信を行うための信号である。また、端子A2、A3、B10、B11にはそれぞれ、TX1+信号、TX1−信号、RX1−信号、RX1+信号が割り当てられ、A10、A11、B2、B3にはそれぞれ、RX2−信号、RX2+信号、TX2+信号、TX2−信号が割り当てられている。TX1+信号とTX1−信号、RX1+信号とRX1−信号、RX2+信号とRX−信号、およびTX2+信号とTX2−信号は、それぞれペアの差動信号となっている。これらの信号はいずれも、USB3.1規格の通信を行うための信号である。
【0038】
以上のようにパターン1の場合は、端子配列が対称性を有している。したがって、例えば図4(a)に示すUSB TYPE C通信ケーブル403が反対向きに挿入された場合であっても、USB TYPE C規格に準拠した通信を行うことができる。
【0039】
次に、パターン2(HDMI対応)の信号割り当てを説明する。パターン2は、図5(b)及び図6(b)に示すように、図7に示すHDMIの必要信号(1から19)が、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、220およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201の各端子に割り当てられている。なお、14番のReserved(NC)/Utility信号、13番のCEC信号は、一般的にデジタルカメラにおいては未使用であるため、割り当てられていない。以下、パターン1(USB TYPE C対応)の信号割り当てと異なっている切替端子について説明する。
【0040】
パターン2(HDMI対応)において、太枠で囲われた切替端子A2、A3には、それぞれHDMI信号のTMDS Data0+信号、TMDS Data0−信号が割り当てられている。また、切替端子A10、A11には、それぞれTMDS Data2+信号、TMDS Data2−信号が割り当てられている。切替端子B2、B3には、それぞれTMDS CLOCK1−信号、TMDS CLOCK1+信号が割り当てられている。切替端子B10、B11には、それぞれTMDS Data1−信号、TMDS Data1+信号が割り当てられている。
【0041】
ここで、TMDS Data0+信号とTMDS Data0−信号、およびTMDS Data2+信号とTMDS Data2−信号はそれぞれペアの差動信号となっている。また、TMDS CLOCK1+信号とTMDS CLOCK1−信号、およびTMDS Data1+信号とTMDS Data1−信号はそれぞれペアの差動信号となっている。これらの信号は、デジタル信号として映像データや音声データの各信号の伝送を行う。
【0042】
切替端子B6、B7には、それぞれSCL、SDAから構成されたDDC信号が割り当てられている。DDC信号は、デジタルカメラ100に接続されたHDMI規格に準拠した外部装置の表示能力や属性等の情報を読み出すために使用される。また、切替端子B8には、HPD信号が割り当てられている。このHPD信号を利用して、HDMI準拠の外部装置の接続を検出することができる。このHPD信号を、デジタルカメラ100のHPD検出部160aおよび電池ユニット200内のHPD検出部240aが検知すると、HDMI規格に準拠した外部装置が接続されたことを認識することができる。その他、+5VPowerはA4、A9、B4、B9のVbus信号を使用し、各種シールド信号はA1、A12、B1、B12のGND端子を使用しているため、切り替える必要はない。また、切替端子以外の端子での信号割り当てはパターン1(USB TYPE C対応)のままで共通しており変更はない。
【0043】
以上のようにパターン2の場合は、図7に示すHDMIの必要信号が19種類であり、また、図5(b)及び図6(b)に示すように端子配列が対称性を有していない。したがって、例えば図4(b)に示す通信ケーブル406が反対向きに挿入された場合は、HPD信号が電池ユニット200に入力されないため、デジタルカメラ100は、HDMI準拠の外部装置の接続を検出することができない。この場合は、信号割り当てはパターン2ではなく、後述するパターン3となる。
【0044】
次に、パターン3(初期状態)の信号割り当てを説明する。パターン3は、図5(c)及び図6(c)に示すように、切替端子のうちの端子A2、A3、A10、A11、B2、B3、B6、B7、B10、B11にはいかなる信号も割り当てられていない。一方、HPD信号を入力可能とするため、切替端子B8のみHPD信号が割り当てられている。また、端子A1、A12、B1、B12のGND信号、端子A4、A9、B4、B9のVBUS信号、端子A5、B5のCC信号、端子A6、A7のD+信号、D−信号は、いずれもパターン1、2と共通しており変わらない。
【0045】
以上説明した通り、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、太枠で囲われた切替端子の信号割り当てが切り替えられることにより、パターン1〜3の信号割り当てを可能とする。また、パターン1〜3において、GND信号、VBUS信号、CC信号、D+信号およびD−信号は常に同じ端子に割り当てられている。つまり、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202およびUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201の同じ符号の端子は、図3に示すようにそれぞれの信号を介して常に結線した状態である。
【0046】
次に、図8を参照しながら、各コネクタと、セレクタ190、250、260と、USBデータ通信部150bと、HDMIデータ通信部160bと、USB通信配線270と、HDMI通信配線280との間の接続構成の詳細を説明する。
【0047】
セレクタ190は、デジタルカメラ100のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110の切替端子の接続先を、それぞれUSB制御部150又はHDMI制御部160に切り替えるスイッチ素子190aを有している。セレクタ250は、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201の切替端子の接続先を、それぞれUSB通信配線270又はHDMI通信配線280に切り替えるスイッチ素子250aを有している。セレクタ260は電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202の切替端子の接続先を、それぞれUSB通信配線270又はHDMI通信配線280に切り替えるスイッチ素子260aを有している。図8においては、代表して切替端子のうち、端子A2を用いて説明する。ここでは、各切替端子が、それぞれ対応したセレクタによって所定の接続先に切り替えられた状態を説明するが、切替え処理に関する詳細な流れについては後述する。
【0048】
まず、パターン1(USB TYPE C対応)の場合について説明する。図8(a)に示す様に、セレクタ190のスイッチ素子190aは、デジタルカメラ100のシステム制御部170からの指令に基づいてUSBデータ通信部150bのUSB3.1通信のためのTX1+信号を選択している。セレクタ250のスイッチ素子250aは、電池ユニット200のシステム制御部220からの指令に基づいてUSB通信配線270のTX1+信号を選択している。また、セレクタ260のスイッチ素子260aは、電池ユニット200のシステム制御部220からの指令に基づいてUSB通信配線270のTX1+信号を選択している。
【0049】
このようにして、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202は図5(a)の信号割り当てになり、USB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、図6(a)の信号割り当てになる。これにより、端子A2において、デジタルカメラ100内のUSBデータ通信部150bから電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202までの接続がTX1+信号に確立する。なお、他の切替端子A3、A10、A11、B2、B3、B6、B7、B8、B10、B11についても同様の切替えが行われる。
【0050】
次に、パターン2(HDMI対応)の場合について説明する。図8(b)に示す様に、セレクタ190のスイッチ素子190aは、デジタルカメラ100のシステム制御部170からの指令に基づいてHDMIデータ通信部160bのTMDS Data2+信号を選択している。セレクタ250のスイッチ素子250aは、電池ユニット200のシステム制御部220からの指令に基づいてHDMI通信配線280のTMDS Data2+信号を選択している。セレクタ260のスイッチ素子260aは、電池ユニット200のシステム制御部220からの指令に基づいてHDMI通信配線280のTMDS Data2+信号を選択している。
【0051】
このようにして、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202は図5(b)の信号割り当てになり、USB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、図6(b)の信号割り当てになる。これにより、端子A2において、デジタルカメラ100内のHDMIデータ通信部160bから電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202までの接続がTMDS Data2+信号に確立する。なお、他の切替端子A3、A10、A11、B2、B3、B6、B7、B8、B10、B11についても同様の切替えが行われる。
【0052】
次に、パターン3(初期状態)の場合について説明する。図8(c)に示す様に、セレクタ190のスイッチ素子190aは、デジタルカメラ100のシステム制御部170からの指令に基づいて、USBデータ通信部150bとHDMIデータ通信部160bとのどちらも選択していない。セレクタ250のスイッチ素子250aは、電池ユニット200のシステム制御部220からの指令に基づいてUSB通信配線270とHDMI通信配線280とのどちらも選択していない。セレクタ260のスイッチ素子260aは、電池ユニット200のシステム制御部220からの指令に基づいてUSB通信配線270とHDMI通信配線280とのどちらも選択していない。
【0053】
このようにして、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110、202は図5(c)の信号割り当てになり、USB TYPE Cコネクタ(プラグ)201は、図6(c)の信号割り当てになる。これにより、端子A2において、デジタルカメラ100内のHDMIデータ通信部160bから電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202までの接続が開の状態になる。なお、他の切替端子A3、A10、A11、B2、B3、B6、B7、B8、B10、B11についても同様の切替えが行われる。また、例えば図4(b)に示す通信ケーブル406が反対向きに挿入された場合も、図8(c)に示すように、スイッチ素子はいずれも選択しないため、信号衝突による装置の故障を防止することができる。
【0054】
以上のように、各切替端子は、各セレクタにより信号割り当てが切り替えられる。そして、デジタルカメラ100は初期状態、つまり外部装置が接続されていない状態は常に、図8(c)の状態になっており、各システム制御部の指令に基づいて、図8(a)または図8(b)の状態に適宜切り替えられる。
【0055】
図9は、本実施形態におけるデジタルカメラ100による通信切替処理の一例を示すフローチャートである。
まず、電池ユニット200がUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110を介して接続されると処理を開始する。そして、S901において、電源制御部180は、電池ユニット200からVBUS信号を介して電力を受給する。次に、S902において、システム制御部170は、ユーザーの操作により電源釦104が押下されたことを検知するまで待機する。そして、システム制御部170が電源釦104の押下を検知すると、処理はS903に進む。そして、S903において、システム制御部170は、デジタルカメラ100全体を起動する。
【0056】
次に、S904において、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202にUSB TYPE C規格に準拠した外部装置が接続されたか否か判断する。つまり、USB制御部150のCC検出部150aが、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110からCC信号を受信したかどうかを判定する。CC検出部150aがCC信号を受信した場合は、処理はS905に進み、CC信号を受信していない場合は、処理はS909に進む。
【0057】
S905においては、システム制御部170は、CC検出部150aから検出信号を受信し、その後、セレクタ190に対してUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110の切替端子をパターン1に切り替える切替指示を出す。つまり、セレクタ190は、システム制御部170の指令に基づき、各切替端子の割り当てを図8(a)で説明したようにスイッチ素子190aにより切り替える。そして、セレクタ190は、図5(c)のパターン3(初期状態)から図5(a)のパターン1(USB TYPE C対応)の信号割り当てに切り替える。
【0058】
次に、S906において、PD制御部150cは、外部装置との間でCC信号あるいはVBUS信号を介して所定のネゴシエーション(給電交渉)を実施し、給電プロファイルを決定する。次に、S907において、所定のネゴシエーションの結果に基づいて、PD制御部150cは、外部装置がUSB PD規格に対応した機器かどうか確認する。そして、PD制御部150cにより外部装置がUSB PD規格に対応した機器であると判定した場合は、処理はS908に進み、そうでない場合は、処理はS911に進む。
【0059】
S908においては、PD制御部150cは、S906で決定した給電プロファイルに応じたUSB PD給電を開始する。なお、S905におけるセレクタ190への切替端子の切替指示を、ステップS906〜S908の一連のUSB PD処理の後に行ってもよい。
【0060】
一方、S909においては、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202にHDMI規格に準拠した外部装置が接続されたか否か判断する。つまり、HDMI制御部160のHPD検出部160aが、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110からHPD信号を受信したかどうかを判定する。HPD検出部160aがHPD信号を受信したと判定した場合は、処理はS910に進み、HPD信号を受信していないと判定した場合は、処理はS904に戻る。
【0061】
S910においては、システム制御部170は、HPD検出部160aから検出信号を受信し、その後、セレクタ190に対してUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110の切替端子をパターン2に切り替える切替指示を出す。つまり、セレクタ190はシステム制御部170の指令に基づき、各切替端子の割り当てを図8(b)で説明したようにスイッチ素子190aにより切り替える。そして、セレクタ190は、図5(c)のパターン3(初期状態)から図5(b)のパターン2(HDMI対応)の信号割り当てに切り替える。
【0062】
次に、ステップS911においては、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202に接続されている外部装置が外されたか否か判断する。つまり、システム制御部170は、USB TYPE C規格に準拠した外部装置が外されCC信号の検出が切断されたか否か、もしくはHDMI規格に準拠した外部装置が外されHPD信号の検出が切断されたか否かを判定する。システム制御部170が信号の検出が切断されたと判定した場合は、処理はS912に進み、そうでない場合はS911の処理を繰り返す。
【0063】
S912においては、システム制御部170は、セレクタ190に対して、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)110の切替端子をパターン3に切り替える切替指示を出す。つまり、セレクタ190はシステム制御部170の指令に基づき、各切替端子の割り当てを図8(c)で説明したようにスイッチ素子190aにより切り替える。そして、セレクタ190は図5(c)のパターン3(初期状態)の信号割り当てに戻す。
【0064】
次に、S913において、USB PDによる給電で行われている場合には、PD制御部150cは、USB PD給電を終了し、処理はS903に戻る。
【0065】
なお、図9に示す処理は、電池ユニット200が装着されたまま電源がONである限り、処理を繰り返すことになる。一方、処理の途中に電源釦104が押下されて電源がOFFになった場合は、システム制御部170は図9に示す繰り返しパターンを中断し、S902に戻るものとする。また、電池ユニット200がデジタルカメラ100から取り外された場合、もしくは電池ユニット200の充電が切れた場合は、図9に示す処理を終了するものとする。電池ユニット200がデジタルカメラ100から取り外されたか否かは、電源制御部180が電池ユニット200から電源が供給されなくなったか否かを判断することによって判別できる。また、電源がOFFになった場合や電池ユニット200が取り外された場合は、セレクタ190は図5(c)のパターン3(初期状態)の信号割り当てに戻す。
【0066】
図10は、本実施形態における電池ユニット200による通信切替処理の一例を示すフローチャートである。
まず、電池ユニット200がデジタルカメラ100のUSB TYPE Cコネクタ110を介して接続されると処理を開始する。そして、S1001において、システム制御部220は、バッテリーセル210からデジタルカメラ100へ給電を開始する。次に、S1002において、ユーザーの操作によりデジタルカメラ100の電源釦104が押下されることによって、システム制御部220は、バッテリーセル210から電力が受給されて全体的な起動を開始する。
【0067】
次に、S1003において、電池ユニット200は、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202にUSB TYPE C規格に準拠した外部装置が接続されたか否か判断する。つまり、USB制御部230のCC検出部230aが、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202からCC信号を受信したかどうかを判定する。CC検出部230aがCC信号を受信したと判定した場合は、処理はS1004に進み、CC信号を受信していないと判定した場合は、処理はS1005に進む。
【0068】
S1004においては、システム制御部220は、CC検出部230aから検出信号を受信し、その後、セレクタ250、260に対してUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201の切替端子をパターン1に切り替える切替指示を出す。つまり、セレクタ250、260は、システム制御部220の指令に基づき、各切替端子の割り当てを図8(a)で説明したようにスイッチ素子250aにより切り替える。そして、セレクタ250、260は、図6(c)のパターン3(初期状態)から図6(a)のパターン1(USB TYPE C対応)の信号割り当てに切り替える。
【0069】
一方、S1005においては、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202にHDMI規格に準拠した外部装置が接続されたか否か判断する。つまり、HDMI制御部240のHPD検出部240aが、USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202からHPD信号を受信したかどうかを判定する。HPD検出部240aがHPD信号を受信したと判定した場合は、処理はS1006に進み、HPD信号を受信していないと判定した場合は、処理はS1003に戻る。
【0070】
S1006においては、システム制御部220は、HPD検出部240aから検出信号を受信し、その後、セレクタ250、260に対してUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201の切替端子をパターン2に切り替える切替指示を出す。つまり、セレクタ250、260はシステム制御部220の指令に基づき、各切替端子の割り当てを図8(b)で説明したようにスイッチ素子250aにより切り替える。そして、セレクタ250、260は、図6(c)のパターン3(初期状態)から図6(b)のパターン2(HDMI対応)の信号割り当てに切り替える。
【0071】
次に、S1007において、電池ユニット200のUSB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)202に接続されている外部装置が外されたか否か判断する。つまり、システム制御部220は、USB TYPE C規格に準拠した外部装置が外されCC信号の検出が切断されたか否か、又はHDMI規格に準拠した外部装置が外されHPD信号の検出が切断されたか否かを判定する。システム制御部220が信号の検出が切断されたと判定した場合は、処理はS1008に進み、そうでない場合は、S1007の処理を繰り返す。
【0072】
S1008においては、システム制御部220は、セレクタ250、260にUSB TYPE Cコネクタ(プラグ)201の切替端子をパターン3に切り替える切替指示を出す。つまり、セレクタ250、260はシステム制御部220の指令に基づき、各切替端子の割り当てを図8(c)で説明したようにスイッチ素子250aにより切り替える。そして、セレクタ250、260は図6(c)のパターン3(初期状態)の信号割り当てに戻し、処理はS1003に戻る。
【0073】
なお、図10に示す処理は、電池ユニット200が装着されたまま電源がONである限り、処理を繰り返すことになる。一方、処理の途中に電源釦104が押下されて電源がOFFになった場合は、システム制御部220は図10に示す繰り返しパターンを中断し、S1002に戻るものとする。また、電池ユニット200がデジタルカメラ100から取り外された場合、もしくは電池ユニット200の充電が切れた場合は、図10に示す処理を終了するものとする。電池ユニット200がデジタルカメラ100から取り外されたか否かは、システム制御部220がバッテリーセル210からデジタルカメラ100へ給電ができなくなったか否かを判断することによって判別できる。また、電源がOFFになった場合や電池ユニット200が取り外された場合は、セレクタ250、260は図5(c)のパターン3(初期状態)の信号割り当てに戻す。
【0074】
以上説明したように本実施形態によれば、USB TYPE Cコネクタのみを介して、USB TYPE C規格に準拠した通信とHDMI規格に準拠した通信とを切り替えて通信することができる。また、USB TYPE Cコネクタに接続される外部機器に応じて、USB TYPE C規格に準拠した通信とHDMI規格に準拠した通信とを切り替えて通信することができる。このとき、CC信号あるいはHPD信号により接続された外部装置を確認した後、セレクタにより切替端子の接続を切り替えてから通信を開始するようにした。これにより、切替端子の接続先と外部装置の通信規格とが不一致となり信号線同士が衝突することはないため、装置の故障を有効に防止することができる。また、切替端子のセレクタによる接続先に特に限定はないため、USB TYPE Cコネクタへの信号割り当ての設計自由度が高まると共に、各端子を有効に活用することができる。
【0075】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0076】
110 USB TYPE Cコネクタ(レセプタクル)
150 USB制御部
160 HDMI制御部
170 システム制御部
190 セレクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10