(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記突き位置設定手段は、前記積載部に積載されるシートの折り筋と前記突き部材の相対的位置を調整して前記折り筋突き位置を設定することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
前記突き位置設定手段は、折り筋があるシートの場合は前記突き位置を前記折り筋突き位置に設定し、折り筋がないシートの場合は前記突き位置をシートの折り位置と前記突当部の中心線とが一致する位置に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明の実施形態に係るシート処理装置について、これを用いた画像形成装置とともに説明する。
【0012】
<画像形成装置の全体構成>
図1はシート処理装置を装着した画像形成装置の模式断面図であり、
図2は筋付け装置の模式図であり、
図3はシート処理装置の模式断面図である。本実施形態の画像形成装置は、画像形成装置本体及び画像形成本体により画像形成されたシートを処理するシート処理装置を備えている。画像形成装置本体としては、複写機、プリンタ、ファクシミリ等が用いられるが、本実施形態では複写機を例示している。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置Aは、シートSに画像を形成する画像形成装置本体100と、シートへ筋付け加工を施す筋付け装置200と、画像形成後のシートの折り処理等をするシート処理装置300とを備えている。本実施形態の前記筋付け装置200とシート処理装置300は、画像形成装置本体100に着脱自在に構成されており、単独でも使用可能な画像形成装置本体100に対して、オプションとして使用することが可能となっている。
【0014】
なお、本実施形態においては、着脱自在の筋付け装置200及びシート処理装置300を用いて説明するが、これらは画像形成装置本体100と一体であってもよい。
【0015】
<画像形成装置本体>
画像形成装置本体100は、シートSを収納するシート収納部101と、シート収納部101に収納されたシートSを給送するシート給送部102と、シート給送部102により給送されるシートSに画像を形成する画像形成部103を備えている。また、画像形成装置本体100の上部には、原稿を給送する原稿給送装置104と、原稿給送装置104から給送された原稿の情報を読み取るイメージリーダ105とを備えている。
【0016】
画像形成部103は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が形成される4個の感光ドラム106a〜106dを有しており、それぞれの感光ドラム106a〜106dに形成された各色のトナー像をシートSに転写する。これにより、未定着トナー像がシートSに形成される。その後、未定着トナー像が定着器107で定着されて、シートSは排出ローラ108によりシート処理装置300に排出される。
【0017】
なお、両面印刷の場合は、シートSは反転搬送部109により反転されて再度画像形成部103に搬送され、裏面に画像形成される。
【0018】
<筋付け装置>
筋付け装置200は、シートSに絞り加工によって折り筋を入れるものであり、
図1に示すように、画像形成されたシートSを搬送ローラ201によって折り筋処理部202に搬送する。折り筋処理部202は、
図2(a)に示すように、凸側筋付け部202aと凹側筋付け部202bが対向して配置され、この間に画像形成されたシートSが搬送される。このとき、シートは位置センサ203によって検知され、制御部からの信号により折り筋を入れる位置、すなわちシートの搬送方向中央の位置(L/2の位置)が前記凸側筋付け部202aと凹側筋付け部202bの対向位置となるように正確に位置決め搬送される(
図2(b))。
【0019】
シートが所定位置に搬送された後、凸側筋付け部202aが
図2(c)に示す矢印方向へ下降してシートSへ筋付け加工が施される。そして、凸側筋付け部202aが退避した後、シートSが搬送ローラ204で搬送されてシート処理装置300へと受け渡される。
【0020】
上記のようにして筋付け装置200はシートSの搬送方向中央へ筋付け加工を施すことができる。なお、この筋付け装置200はシートに折り筋を入れる場合に動作し、折り筋を入れない場合はシートを単に通過させるにすぎない。
【0021】
<シート処理装置>
次にシート処理装置300について説明する。シート処理装置300は、シート搬送方向で画像形成装置本体100、筋付け装置200の下流側に配置されており、画像形成装置本体100から送り込まれた複数枚のシートSを導入し、オンラインでステイプル、サドル処理等ができるようになっている。
【0022】
図3に示すように、画像形成装置本体100から送り込まれたシートSは、まず、シート処理装置300の入口ローラ対301に受け渡される。このとき、入口センサ302によりシートSの受渡しタイミングも同時に検知される。入口ローラ対301により搬送されたシートSは、搬送パス303を通過しながらシートSの端部位置を横レジストレーション検知センサ304により検知される。横レジストレーション検知センサ304は、センター(中央)位置に対してどの程度、シートSの横レジストレーション誤差が生じているかを検知する。
【0023】
横レジストレーション検知センサ304による横レジストレーション誤差が検知されると、シフトローラ対305,306に搬送されている途中でシフトユニット307が、手前奥方向に所定量移動するシフト処理が行われる。このシフト処理によりシートの幅方向(シート搬送方向と直交する方向)の整合が行われる。シフトユニット307によるシフト処理が終了すると、シートSは搬送ローラ対308により搬送され、バッファローラ対309により更に下流側に搬送される。
【0024】
ここで、シートSが上積載トレイ310に排出される場合は、上パス切換部材311の切り替えにより上積載トレイ310に排出される。一方、シートSが上積載トレイ310に排出されない場合は、バッファローラ対312及び束搬送ローラ対313により束搬送パス314内を通過する。
【0025】
束搬送パス314に送られたシートSは、中綴じ製本処理(サドル処理)する場合は、サドルパス切換部材315の切り替えによりサドルパスに搬送され、サドル入口ローラ対316によりサドルユニット800に導かれ、中綴じ製本処理(サドル処理)が行われる。なお、このサドルユニット800については後で詳述する。
【0026】
一方、中綴じ製本処理(サドル処理)を行わない場合は、シートSがサドルパス切換部材315の切り替えにより処理トレイ317に送られ、綴じ処理を施す場合は、ステイプル部318による綴じ処理が行われる。ステイプル部318で綴じ処理を施さない場合は、シートSは処理トレイ317を経由せず、下積載トレイ319へと排出される。
【0027】
<制御部>
次に、本実施形態に係る画像形成装置Aを制御する制御部の構成について、
図4のブロック図を参照して説明する。
【0028】
図4に示すように、画像形成装置Aの基本制御を行うCPU401は、制御プログラムが書き込まれたROM402と、処理を行うためのワークRAM403が接続されている。CPU401は、操作部404からスタート信号等の入力を受けると、コピーモードの場合は原稿給送装置制御部405を介して原稿給送装置104の駆動を制御し、イメージリーダ制御部406によりイメージリーダ105を制御して原稿画像を読み取り制御し、読み取り情報を画像信号制御部407に送出する。プリントモードの場合は、外部のコンピュータ408から外部インターフェース409を介して画像信号を画像信号制御部407に入力する。そして、画像信号制御部407からの画像信号に応じてプリンタ制御部410が画像形成部103を駆動制御して画像形成するとともに、シート給送部102等を駆動制御して搬送したシートに画像を記録する。
【0029】
また、前記CPU401は、筋付け装置200の駆動を制御する筋付け装置制御部411、シート処理装置300の駆動を制御するシート処理装置制御部412に駆動信号を送出してこれらを制御する。
【0030】
なお、シート処理装置制御部412は、後述する突き部材を動作させるモータ、折りローラを駆動するモータ、シート搬送ローラを駆動するモータ等の駆動源や搬送されるシートの位置を検知するセンサ等を制御する。
【0031】
<サドルユニット>
次にサドルユニット800の構成について
図5乃至
図9を参照して動作とともに説明する。
【0032】
図5はサドルのシート処理部の基本断面図である。サドルユニット800は、入口ローラ801によって搬送されたシートを積載部である処理トレイ853に積載するものである。このとき、処理トレイ853に積載されたシートの搬送方向位置を揃えるために、サドルユニット800の下部には先端ストッパ805が設けられている。
【0033】
先端ストッパ805は、搬送されたシートの先端(下端)を支持してシート搬送方向の位置決めをする規制部となるものである。この先端ストッパ805は、
図6に示すように、シート搬送方向に沿って設けられたベルト部材869に固定部865によって固定されている。前記ベルト部材869をストッパ駆動モータ852によって移動させることで先端ストッパ805の位置が移動可能になっている。そして、後述するようにシートに形成した折り筋の位置と突き部材の突き位置とが一致するように、搬送されたシートの位置を規制するように先端ストッパ805の位置が調整される。
【0034】
処理トレイ853に積載されたシートの搬送方向略中央の位置には、シートの折り処理をするための突き板803(突き部材)が設けられている。この突き板803は、
図7に示すように、突き駆動モータ858を駆動源として動作する。突き駆動モータ858の駆動は不図示のギア、ベルトを介してシート幅方向の両側に設けられ、連結軸823によって連結された突き駆動ギア822へ伝えられる(
図7(a)はシート幅方向の一方側のみを示している)。
【0035】
前記突き駆動ギア822は突きリンク板825と係合しており、この突きリンク板825は突き駆動ギア822と係合するリンク係合部825aと、突き板803と係合する突き板係合部825bを有する。そして、突き板係合部825bは突きフレーム826のガイド部826aにガイドされる。これにより、突き駆動モータ858の駆動により、突き板803がガイド部826aにガイドされて往復移動する。
【0036】
前記突き板803の移動領域には、折りローラ819が設けられている。この折りローラ819は、図示しない駆動モータによって駆動するローラ対によって構成され、
図8に示すように、突き板803で突き折りされてニップ部に突き出されたシート束を引き込むことによってシート束を二つ折りするものである。
【0037】
図9はサドルユニット800の動作の説明図である。
図9(a)に示すように、入口ローラ801によってサドルユニット800へ搬送されたシートS1は、中間ローラ804、整合ローラ802によって搬送方向の位置決めをする規制部である先端ストッパ805へ先端が突き当てられ、搬送方向の整合が行われる。その後、整合板815によって搬送方向に直交するシート幅方向の整合が行われる。
【0038】
そして、
図9(b)に示すように、後端押さえ部材881が開き、
図9(c)に示すように、たたき部材882がシートS1を処理トレイ883の方へ付勢し、
図9(d)に示すように、押さえ部材881が閉じ、たたき部材882が待機位置側へ戻る。この状態になると次シートを受け入れ可能となる。このたたき動作、押さえ動作によりシート後端を
図9の右側へ付勢し、既積載シート後端と次シート先端の衝突を回避する。これが後端仕分けである。後端仕分けが完了すると、
図9(e)に示すように、次シートS2が再び入口ローラ801によって搬送される。
【0039】
その後は、先頭シートS1と同様に、搬送方向/直交方向の整合を行い、押さえ部材881が開いてシートS2が処理トレイ883側へたたき部材882により付勢され、その後、押さえ部材881が閉じる。このシートの整合、処理トレイ側への付勢、シート後端押えをシート束の最終シートSnまで行った後、ステイプラ820によって綴じ処理を行う。なお、先端ストッパ805は、ステイプル位置からストッパの距離がシート長さの半分となるような位置で待機しシートを受け取ることで、シートの中央にステイプル処理を行うようになっている。
【0040】
その後、ステイプル処理されたシート束Sを、後述する所定の位置まで下降させる。そして、
図8に示すように、突き板803によってシート束Sを折りローラ819のニップへ案内すると同時に、折りローラ819を回転してサドル処理されたシート束Sを作成する。この各シートの整合、シート束へのステイプル処理、突き折り処理の動作を最終束まで繰り返す。
【0041】
<突き位置調整>
本実施形態に係るシート処理装置は、シートの突き折り処理する場合に、折り筋が付けられているシートと、折り筋が付けられていないシートとで突き位置を変更するようにしている。そして、折り筋が付けられているシートを突き折り処理する場合に、突き板803による突き位置が折り筋の中心とずれるようにしている。次にその構成について説明する。
【0042】
図10のフローチャートに示すように、サドルジョブが投入されると、各部材がシートを受け入れる待機位置へ移動する(S201、202)。このとき、整合板815はシート幅よりもやや広い位置で待機し、先端ストッパ805は前述したようにステイプル位置からシート長さの半分だけ下の位置で待機する。その後シート処理装置に受け渡されたシートを、各搬送ローラを介してサドル内へ搬送し(S203)、シート搬送方向の整合、シート幅方向の整合、後端仕分け動作を行う(S204)。以上の動作を各束の最終シートまで行われる(S205)。その後、ステイプラ820によってステイプル処理が実施される(S206)。なお、束が1枚の場合は、ステイプル処理は行わない。
【0043】
次に、筋付けの有無に基づいて先端ストッパ805を移動させる。まず、シート束の表紙に、筋付け装置200による筋付け加工よって
図11に示すような折り筋S-Cが付けられているかを確認し(S207)、筋付け加工が施されていない場合には先端ストッパ805を第一位置へ移動させる(S208)。表紙に筋付け加工が施されている場合には先端ストッパ805を第二位置へ移動させる。そして、突き板による突き動作を実行する(S209)。
【0044】
本実施形態にあっては、前記のように表紙に折り筋S-Cがあるか否かによってシートに対する突き板803の相対的位置を変更する。そして、前記先端ストッパ805の位置制御によってシートに対する突き板803の突き位置を設定する突き位置設定手段を構成している。
【0045】
その後、作成された冊子を束搬送し、トレイへ排出する(S210)。この動作を最終束まで継続し、ジョブを終了する(S210、S211、S212)。
【0046】
前記第一位置は、突き板803の中心から先端ストッパ805の距離がシート長さの半分となる位置である。
【0047】
第二位置は、先端ストッパ805が突き板803の中心からシート長さの半分±ずれ量(以下、突き板803のシート突当部の中心と折り筋S-Cの中心との距離をずれ量とする)の距離となる位置である。前記ずれ量は以下の2点を考慮し、そのずれ量に応じて突き板803によって折り筋S-Cを突く位置である折り筋突き位置を決定する。
【0048】
まず、1つ目は、「突き板803がシートに当接する突当部の厚みの半分 < ずれ量」となることである。すなわち、前記突当部の中心線と前記シートの折り筋の中心線とが前記突当部の厚みの1/2以上離れることである。なお、突き板803の突当部とは、突き板803をシートに突き当てたときにシートに当接する部分であって、突き板803の突き当て先端部のことである。
【0049】
上記のように設定する理由を
図12を用いて説明する。
図12(a)に示すように突き板803の突当部の中心線が折り筋S-Cの中心線と一致する位置で突きを行う場合、衝突点でシートを曲げる力Xが伝わる。
【0050】
一方、前記中心同士がずれた場合、
図12(b)に示すように、シートを圧縮する力Yが発生し、その分のシートを曲げる力Xが減少する。ずれ量をさらに増やし、折り筋S-Cの端部に近づくほどシートを曲げる力Xは減少し、圧縮する力Yが増加する。
【0051】
一般にシート状のものは曲げ方向よりも圧縮方向の力に対して強い。つまり、突き板803の突当部の中心と折り筋S-Cの中心をずらし、シートに伝わる曲げ方向の力を減少させ、圧縮方向の力に変えることでシートの変形を抑えられ、筋戻りを低減させることがでる。そして、突き板803の衝突点を折り筋S-Cの中心からずらすためには、ずれ量を突き板803の突当部の厚みの半分以上とる必要がある。
【0052】
次に、2つ目は、「ずれ量 < 折り筋S-Cの幅の半分+突き板803の突当部の厚さの半分」とすることである。
【0053】
上記のように設定する理由を
図13、
図14を用いて説明する。
図13(a)に示すように折り筋S-Cの範囲外で突いた場合には衝突点で曲げる力Xが発生する。シートは衝突点で変形するので衝突点が折り位置となる。そして、前記ずれ量が大きすぎると、
図13(b)に示すように、折られた位置と筋位置が一致しない問題(以下、折り位置ずれ)が発生してしまう。この場合も背割れが発生してしまう。
【0054】
これに対して、
図14(a)に示すように、折り筋S-Cの範囲内に衝突点がある場合には、圧縮する力Yが発生するので曲げる力Xが減少し、前述したようにシートの変形が抑えられ、折りローラ819の方向に押される。押される過程で、折り筋S-Cの中心から変形して折りローラ819のニップ部に突入するので折り筋S-Cの中心が折り位置となる。
【0055】
つまり、折り筋S-Cの折り範囲内に衝突点をとることで折り筋S-Cの中心を折り位置とすることができる。そのためには、衝突点を折り筋S-Cの折り範囲内とするためには、ずれ量を折り筋S-Cの幅の半分+突き板803の突当部の厚みの半分以下とすることが望ましい。
【0056】
また、
図14(b)に示すように、折り筋S-Cの幅に加えてシートの厚みの分だけさらにずらすことができる限界位置は中心から外側へシフトする。例えば、60g紙のように薄紙の場合には、ほとんど折り筋S-Cの幅に依存するが、300g紙などのような厚紙の場合は厚みの影響が出てくる。したがって、シートの厚みも考慮するとシートの厚みの分だけさらに外側にずらしても突当部の衝突点は折り筋S-Cの折り範囲内となる。
【0057】
以上をまとめると、突き板803の突当部の厚さをt、折り筋S-Cの幅をb、シートの厚さをtpとすると、筋戻りを低減の効果があるの範囲は、「t/2 < ずれ量」となる。また、折り位置ずれ低減の効果がある範囲は、「ずれ量 < b/2+t/2+tp」となる。したがって、両問題を低減可能な範囲は、
t/2 < ずれ量 < b/2+t/2+tp ……(式1)
となる。もっとも、薄手のシートの場合はシートの厚さtpは無視してもよい。
【0058】
次に
図15を参照して本構成におけるシート処理装置を用い、折り筋を入れたシートを突き折りした試験をした結果を説明する。なお、
図15において、「○」は「効果あり」、「◎」は「十分な効果あり」を示す。
【0059】
図15(a)は、シートとして坪量100g/m
2の紙に折り筋の幅b=2.0mmの折り筋を入れ、これを突当部の厚さt=0.5mmの突き板によって突き折りする際に、前記ずれ量を変えて試験を行った結果である。
図15(a)において、筋戻りに関する効果ありの範囲を(1−1)、(1−2)で示している。また、折り位置ずれに効果ありの範囲を(2−1)、(2−2)で示している。(1−2)、(2−1)はそれぞれ十分な効果が得られている範囲であり、この範囲をねらい突き折りをすることが好ましい。しかし、前記範囲が狭くて制御が難しい場合には(1−1)、(2−2)の範囲においても効果を得ることができる。
【0060】
また、
図15(b)は、シートの厚さtpが0.1mm(坪量100g/m
2)、0.2mm(坪量200g/m
2)、0.3mm(坪量300g/m
2)の3種類のシートに対して、前記と同様に折り筋の幅b=2.0mmの折り筋を入れ、これを突当部の厚さt=0.5mmの突き板によって突き折りする際に、前記ずれ量を変えて試験を行った結果である。この結果からわかるように坪量が大きいほど、折り位置ずれ低減の効果を得られる範囲は広くなる。これは前記式1にシートの厚さtpが入っていることからもわかる。
【0061】
したがって、制御をより容易にする目的で、シートの坪量が大きくなるほど前記ずらし量を大きくするように制御してもよい。そして、ずれ量は、必ずしも厳格に式1の範囲内でなければならないわけでなく、コンマ数ミリ程度の範囲までの変動は許容範囲である。例えば
図15(b)の試験では、前記式1によれば、厚さtp=0.3mmのシートの場合のずれ量は、「ずれ量 < b/2+t/2+tp=1.4mm」であるが、ずれ量1.45〜1.55mmの範囲であっても「折り位置ずれ」の低減については、効果ありであった。すなわち、突き板803における突当部の一部が折り筋の折り範囲内にあればよい。
【0062】
上記のように突き部材の一部が筋の範囲内となるように、ずれ量を設定することで、筋戻りおよび折り位置ずれの発生を低減し、筋付けされ、かつ折り筋で折られた冊子を提供することができる。
【0063】
<突き位置設定手段の他例>
前述した実施形態では、シートに対する突き板803の突き位置を設定する突き位置設定手段として、先端ストッパ805の位置を調整する例を示した。先端ストッパ805の位置を調整することより、突き板803に対するシートの位置を調整することで、突き板803の突当部とシートの折り筋の相対的な位置を調整するようにした。
【0064】
しかし、突き位置設定手段としては、
図16(a)に示すように、突き板803を進行方向と直交する方向に移動させる突き板位置調整部861を設け、突き板803の位置を移動させることで折り筋S-Cとの位置をずらすようにしてもよい。
【0065】
構成としては、
図16(b)に示すように、不図示のモータの駆動が駆動伝達ギア861aを介して突き板移動部861bに伝わることで突き板803を含む前側突きフレーム826を移動させる。また、突き板位置決め部861cが不図示の突き板位置検知センサを遮る位置をホームポジションとし、その位置から規定のパルス分モータを駆動させることで突き板803と折り筋S-Cのずらしを行う。
【0066】
また、突き位置設定手段の他例として、シートに対する折り筋S-Cの位置を調整する方法でも、折り筋S-Cと突き板803との位置をずらすことになるので同様の効果が得られる。ただし、前述した例ではシートの搬送方向の中央部に折り筋S-Cを設けることが前提であったが、折り筋S-Cの位置を変える場合には中央からずれた位置で折られた冊子となる。
【0067】
実施する上では、
図1に示す筋付け装置200において、位置センサ203のシート検知結果およびシートSの搬送長さに基づいて筋処理部202の中心とシートSの中央+前記ずれ量となる位置でシートSを停止し、筋処理部202により筋付けを行う。
【0068】
また、折り筋の位置を調整する実施形態では、筋付け装置200によってシートへ筋付け加工を行い、その情報をCPU401を介してシート処理装置300へ伝達し、制御を切り替えるという方式を選択した。しかし、シート処理装置300に筋付けユニットを設け、シート処理装置内で筋付けの有無、突き折りの位置を切り替えるようにしてもよい。