特許第6797589号(P6797589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797589
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20201130BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   H04N5/232 220
   G03B15/00 R
   H04N5/232 190
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-144984(P2016-144984)
(22)【出願日】2016年7月23日
(65)【公開番号】特開2018-14698(P2018-14698A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】水尾 佳弘
【審査官】 佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−221394(JP,A)
【文献】 特開平10−136248(JP,A)
【文献】 特開2010−239532(JP,A)
【文献】 特開2014−236334(JP,A)
【文献】 特開2010−081462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
前記撮像手段で生成された画像データに含まれる物体、および、人物を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された物体の種別と、前記検出手段によって検出された物体の領域の割合に関する第1の条件を対応付けた、予め用意されたテーブルを用いて、前記検出手段によって検出された物体の種別に基づいて、撮像動作を行うための前記第1の条件を決定する決定手段と、
前記検出手段によって検出された物体が前記第1の条件を満たし、かつ、前記検出手段によって検出された人物が前記第1の条件とは異なる第2の条件を満たす場合に、前記撮像手段が撮像して得られた画像データを記録手段に記録させる制御手段を有し、
前記第1の条件は、前記検出手段によって検出された物体のうち、予め決められた割合以上の領域が前記画像データに含まれていること、および、前記検出手段によって検出された物体が、前記画像データのうちの予め決められた割合以上の領域を占めていることの少なくともいずれかであることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記検出手段が複数の物体を検出した場合には、前記決定手段は、ユーザーの指示に応じて選択された物体の種別に応じて、前記第1の条件を設定し、
前記制御手段は、前記ユーザーの指示に応じて選択された物体が前記第1の条件を満たし、かつ、前記検出手段によって検出された人物が前記第1の条件とは異なる第2の条件を満たす場合に、前記撮像手段が撮像して得られた画像データを記録手段に記録させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の条件は、前記検出手段によって検出された人物が、前記画像データの所定領域に位置することであることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像手段と、前記撮像手段で生成された画像データに含まれる物体、および、人物を検出する検出手段と、を有する撮像装置の制御方法であって、
前記検出手段によって検出された物体の種別と、前記検出手段によって検出された物体の領域の割合に関する第1の条件を対応付けた、予め用意されたテーブルを用いて、前記検出手段によって検出された物体の種別に基づいて、撮像動作を行うための前記第1の条件を決定する工程と、
前記検出手段によって検出された物体が前記第1の条件を満たし、かつ、前記検出手段によって検出された人物が前記第1の条件とは異なる第2の条件を満たす場合に、前記撮像手段が撮像して得られた画像データを記録手段に記録させる工程とを有し、
前記第1の条件は、前記検出手段によって検出された物体のうち、予め決められた割合以上の領域が前記画像データに含まれていること、および、前記検出手段によって検出された物体が、前記画像データのうちの予め決められた割合以上の領域を占めていることの少なくともいずれかであることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが自らを被写体として撮像できる撮像装置および撮像装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像内の顔領域が所望の位置に配置されるように画像を撮像するという技術がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、撮像装置の光学系を撮像装置の操作をするユーザー自身の方向へ向けた場合に、ライブビュー画像から顔領域を検出し、この顔領域が画面内の適切な位置に配置されたタイミングで自動的に撮像動作を実行する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−010162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された構成は、人物の顔領域を適切に配置することはできるが、顔領域と、顔領域以外の所望の物体を適切な位置関係に配置して撮像するということまでは考慮されていない。例えば観光地などにおいて、ユーザーは自分とその観光地におけるランドマークとなる建造物と一緒に写った画像を撮影したいという要求があると思われる。特許文献1に開示された構成では、顔領域は適切に配置された画像を得ることはできるが、それが図1(c)に示すような所望の構図になるとは限らず、図1(b)に示す構図になってしまう可能性も大いにある。
【0006】
そこで本発明の目的は、ユーザーが自分で撮像装置を操作して自分を被写体として撮影する際に、自分自身だけでなく所望の物体が適切に配置された画像を撮像することが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、撮像手段と、前記撮像手段で生成された画像データに含まれる物体、および、人物を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された物体の種別と、前記検出手段によって検出された物体の領域の割合に関する第1の条件を対応付けた、予め用意されたテーブルを用いて、前記検出手段によって検出された物体の種別に基づいて、撮像動作を行うための前記第1の条件を決定する決定手段と、前記検出手段によって検出された物体が前記第1の条件を満たし、かつ、前記検出手段によって検出された人物が前記第1の条件とは異なる第2の条件を満たす場合に、前記撮像手段が撮像して得られた画像データを記録手段に記録させる制御手段を有し、前記第1の条件は、前記検出手段によって検出された物体のうち、予め決められた割合以上の領域が前記画像データに含まれていること、および、前記検出手段によって検出された物体が、前記画像データのうちの予め決められた割合以上の領域を占めていることの少なくともいずれかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザーが自分で撮像装置を操作して自分を被写体として撮影する際に、自分自身だけでなく所望の物体が適切に配置された画像を撮像することが可能な撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】自分を被写体として撮影した際に得られる画像の例を示す図である。
図2】本発明における撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態における撮像処理のフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態における特定物体を選択する方法を説明するための図である。
図5】本発明の第1の実施形態における撮像動作トリガの一例を説明するための図である。
図6】本発明の第1の実施形態における撮像動作トリガの別の一例を説明するための図である。
図7】本発明の第1の実施形態における撮像動作の動きを説明するための図である。
図8】本発明の第1の実施形態における物体の種別と撮像動作トリガの対応を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置200の内部構成を示すブロック図である。
【0011】
撮像部201は複数のレンズによる光学系とセンサによって構成される。LCD表示部202は撮像中に撮像部201で生成された画像データに基づく画像を表示したり、撮像済みの画像データの確認を行うために用いられる。LCD操作部203はLCD表示部202の上に配置されており、使用者が指などで触れることを検知するセンサとして機能し、その検知情報を操作のための情報としてCPU206にバスを通して送る。物体検出部204は撮像部201によって得られた画像データに対して物体検出処理を行う。物体検出処理は画像内部の人物、物体の検出、それらの位置、大きさなどのデータの算出を行い、CPU206に送る。
【0012】
ボタン操作部205はユーザーからの指示を操作ボタン等で受けつける。
【0013】
CPU206は撮像装置200の処理の全体を統括し、制御する。ROM207は撮像装置200の処理プログラムや、処理に必要な情報が予め保持されており、CPU206はこのROM207に保持された処理プログラムに基づいて動作する。RAM208は処理中の一時的なデータ保持する役割を担う。メモリスロット209は記録データをメモリカード210に読み書きするためのインタフェースである。メモリカード21に0はメモリスロット209を通じて画像データが記録される。
【0014】
撮像部201乃至メモリスロット209まではバスによって連結されており、データの相互通信ができる。
【0015】
図3は本実施形態における撮像処理のフローチャートであり、CPU206はステップS301から処理を開始する。
【0016】
CPU206は、ステップS302において、LCD操作部203やボタン操作部205がユーザーによって操作され、ユーザー自身と特定の物体とを画角に納めた撮影を行う自分撮りモードがONに設定されたことを判定したものとする。
【0017】
続くステップS303において、CPU206は、物体検出部204に対して、撮像部201が生成した新たな画像データから人物および物体の検出処理を行わせる。このとき、画像内にある人物の顔の大きさ、位置の検出を行うとともに、その他の一般物体の検出も行わせる。一般物体はその種別、大きさ、位置などが判定される。
【0018】
ステップS304において、CPU206は、ユーザーによる物体指定操作があるかどうかを判定する。このときの動作を図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における特定物体を選択する方法を説明するための図である。
【0019】
まず、図4(a)に示すように、ユーザーは自分とともに写りたい物体に撮像装置200向ける。このときLCD表示部202に表示されている画像を図4(b)に示す。図4(b)では、4つの物体が検出されており、それぞれの検出領域が矩形領域で表わされ、その種別が矩形領域に付随して表示されている。図4(b)で表示されている領域は、タワー領域401、建物1領域402、建物2領域403、および車領域404の4つである。
【0020】
本実施形態では、ユーザーがこのタワーと共に画角に収まる画像を撮像する場合を考える。ステップS304において、CPU206は、ユーザーがLCD操作部203を操作することで、どの領域を選択したかを判定する。ここでは、タワー領域401が選択されたものとする。ここで、ユーザーによる領域の選択が行われた場合にはステップS305に進み、行われない場合にはステップS306に進む。
【0021】
ステップS305において、CPU206は、指定された物体の種別から、物体撮像トリガを決定する処理を行う。この処理を図4乃至6、および図8を用いて説明する。撮像装置200は図8に示す物体の種別と撮像動作トリガの対応テーブルを予め保持しており、ステップS305においては、この対応テーブルに基づいて物体撮像トリガを決定する。図4に示す動作例では、ユーザーは一緒に撮像される物体としてタワーを選択し、タワー領域401を選択した。このとき、図8のテーブルでは、物体種別がタワーの場合にこれに対応する撮像動作トリガは「物体内上位40%」となっている。この指示に従い、タワー領域401の上部領域40%を撮像動作トリガ領域405として設定する。この領域が撮像画像内に含まれていることが撮像動作のトリガ条件として設定される。
【0022】
ユーザーが設定した物体が、例えば自動車であった場合の例を図5に示す。この場合、図8に示すように撮像動作トリガは物体領域の任意の60%部分が撮像画像内に含まれていることが撮像動作のトリガ条件として設定される。図5(a)では自動車領域501に人物の顔領域502が重畳しているが、重畳している面積量が小さいため、自動車領域501の60%以上が撮像画像に存在する。この場合は撮像動作トリガの条件を満たしているものと判定される。反対に図5(b)の場合、顔領域504が自動車領域503の半分以上の領域に対して重畳しており、自動車領域の60%以上が撮像画像に存在するという条件が満たしていないと判定される。
【0023】
ユーザーが設定した物体が、例えばオーロラであった場合の例を図6に示す。この場合、図8に示すように、オーロラが撮像画像の画面30%以上を占めることが撮像動作のトリガ条件として設定される。図6(a)では検出されているオーロラの領域が撮像画面全体の半分近くに達しており、所定の割合以上の面積を占めており、撮像動作トリガの条件を満たしているものと判定される。反対に図6(b)では、撮像画面のごく少量の領域しか占めておらず、撮像動作トリガの条件を満たしていないものと判定される。図8に示した物体種別と撮像動作トリガは、本実施例では予め保持されているものとしているが、操作者が自由に条件を設定できるようにして実施しても良い。
【0024】
CPU206は、ステップS304で物体指定操作がないと判定した場合には、ステップS306へ進み、既に何らかの物体が指定された後であるかどうかの判定を行う。物体が指定済みであった場合、ステップS307へ進み、指定がなされていない場合、ステップS303へ戻る。
【0025】
続くステップS307において、CPU206はユーザーに画角の調整のためにカメラを動かすよう音声や表示による指示を出す。これを受けて、図7(a)に示すようにユーザーは、自分と一緒に移りたい物体の両方が画角内に写り込むよう撮像装置200の向きや画角を色々と変更する。ステップS308では、CPU206は、画像を解析した結果として、物体撮像トリガ条件を満たすかどうかを判定し、満たしていればステップS309へ進み、満たしていなければスタップS303へ戻る。図7(b)は撮像動作トリガの条件をクリアしていない場合の例であり、図7(c)は撮像動作トリガの条件をクリアしている場合の例である。
【0026】
ステップS309において、CPU206は、物体ではなく顔領域が撮像トリガ条件を見対しているかを判定する。この条件は撮像画面の所定領域に人物の顔領域が配置されているかを判断している。本実施例においては、人物の顔領域が1つでも撮像画面の所定領域に存在すれば条件を満たすと判定する。これに加え、人物の顔領域の大きさ、位置、数などに追加で条件を設定して顔撮像トリガ条件と設定しても良い。条件を満たしていればステップS310へ進み、満たしていなければステップS303へ戻る。
【0027】
ステップS310では撮像動作を行い、撮像部201から得られた画像データに対して現像処理を施した後、メモリスロット209を介してメモリカード210に保存、ステップS311へ移り、動作終了となる。
【0028】
以上の処理を行うことで、ユーザーが自分で撮像装置を操作して自分を被写体として撮影する際に、自分自身だけでなく所望の物体が適切に配置された画像を撮像することが可能な撮像装置を提供することができる。
【0029】
なお、撮像装置200に音声出力装置やLED表示器などを備え、図3のフローチャート中のステップS307において、操作者に適切な方向、画角への誘導を行う構成としても良い。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
200 撮像装置
201 撮像部
202 LCD表示部
203 LCD操作部
204 物体検出部
205 ボタン操作部
206 CPU
207 ROM
208 RAM
209 メモリスロット
210 メモリカード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8