特許第6797592号(P6797592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797592
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20201130BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G01N21/84 E
   G01N21/88 H
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-152379(P2016-152379)
(22)【出願日】2016年8月3日
(65)【公開番号】特開2018-21805(P2018-21805A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】桃木 和彦
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−121935(JP,A)
【文献】 特開2014−063099(JP,A)
【文献】 特開2006−005319(JP,A)
【文献】 特開2011−013077(JP,A)
【文献】 特開平06−003278(JP,A)
【文献】 特開2005−346970(JP,A)
【文献】 特開2012−159784(JP,A)
【文献】 特開2016−049261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を物体に導く照明装置であって、
遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間にπ/2(rad)で固定の相対位相差を与える第1の位相差板と、
遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間に与える相対位相差を変更可能な第2の位相差板と、
前記物体に導く偏光成分を抽出する偏光子とを備え、
前記第1の位相差板、前記第2の位相差板、および前記偏光子は、前記物体の側から前記光源の側へ順に配置され、
前記第2の位相差板の遅相軸方向は、前記第1の位相差板の遅相軸方向および進相軸方向に対して傾いており、
前記第2の位相差板が与える相対位相差を変更することで、前記物体に導く光の偏光方向を変更可能であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第2の位相差板の遅相軸方向または進相軸方向は、前記偏光子の透過軸方向に対して45度だけ傾いていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の位相差板の遅相軸方向または進相軸方向は、前記偏光子の透過軸方向に対して平行であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の位相差板の遅相軸方向は、前記透過軸方向に対して平行であり、前記第2の位相差板の遅相軸方向は、前記光源の側から見たとき前記透過軸方向に対して反時計回りに45度だけ傾いていることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の位相差板の進相軸方向は、前記の透過軸方向に対して平行であり、前記第2の位相差板の遅相軸方向は、前記光源の側から見たとき前記透過軸方向に対して時計回りに45度だけ傾いていることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第2の位相差板は、液晶を含むことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記液晶に電圧を印加することで前記第2の位相差板が与える相対位相差を設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源からの光を整形する光学系を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光学系は、フレネルレンズを含むことを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記光学系は、光軸に対して回転対称なレンズ面を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記光学系は、前記光源と前記偏光子との間に配置されることを特徴とする請求項8から10の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記光学系は、前記偏光子と前記第2の位相差板との間に配置されることを特徴とする請求項8から10の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記光学系は、前記第1の位相差板に対して前記物体の側に配置されることを特徴とする請求項8から10の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記偏光子は、ワイヤーグリッド偏光子であることを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載の照明装置。
【請求項15】
前記偏光子は、偏光変換素子であることを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、表面反射において、P偏光よりS偏光の反射率が高くなる。そのため、S偏光をカットすれば、直反射光を軽減し、被写体自体の観察が可能となる。従来、照明光の偏光状態を変化させることで、外光の影響を最小限に抑えて、被写体を詳細に観察できることが知られている。特許文献1では、被検査物に照射される光の任意の偏光成分を取得するために、回転可能な偏光板や、光路中に挿抜可能に配置される波長板を有する欠陥検査装置が開示されている。特許文献2では、基板を照明する光をP偏光またはS偏光に切り替え可能な液晶偏光フィルタを有する欠陥検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−262595号公報
【特許文献2】特開2006−317314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の欠陥検査装置では、任意の偏光成分を取得する場合にメカ駆動を必要とするため時間がかかってしまう。また、特許文献2の欠陥検査装置では、P偏光とS偏光を短時間で切り替えることができるが、P偏光とS偏光を切り替えるだけで任意の偏光成分を取得することができない。また、P偏光とS偏光の中間の電圧で液晶を駆動すると、楕円偏光となってしまう。
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、簡易な構成で、短時間で任意の偏光成分を照明可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての照明装置は、光源からの光を物体に導く照明装置であって、遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間にπ/2(rad)で固定の相対位相差を与える第1の位相差板と、遅相軸方向の偏光成分と進相軸方向の偏光成分との間に与える相対位相差を変更可能な第2の位相差板と、前記物体に導く偏光成分を抽出する偏光子とを備え、前記第1の位相差板、前記第2の位相差板、および前記偏光子は、前記物体の側から前記光源の側へ順に配置され、前記第2の位相差板の遅相軸方向は、前記第1の位相差板の遅相軸方向および進相軸方向に対して傾いており、前記第2の位相差板が与える相対位相差を変更することで、前記物体に導く光の偏光方向を変更可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成で、短時間で任意の偏光成分を照明可能な照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の照明装置の構成図である。
図2】実施例1の照明装置を使用した検査装置の概略図である。
図3】可変位相差板の構成図である。
図4】可変位相差板の位相差に対応する偏光取得手段から射出される照明光の偏光方向を示す図である。
図5】実施例2の照明装置の構成図である。
図6】実施例2の照明装置を備えるストロボ装置を取り付けられた一眼レフカメラの概略図である。
図7】実施例3の照明装置の構成図である。
図8】実施例3の照明装置を使用した自動車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施例の検査装置に使用される照明装置100の構成図である。照明装置100は、照明光学系1、光源部2、および偏光取得手段(光学装置)6を備える。光源部2は、ランプ7およびミラー13を備える。ランプ7から射出された光線は、直接、または一部がミラー13に反射して、照明光学系1に入射する。照明光学系1で整形、および均質化された光線は、偏光取得手段6に入射する。偏光取得手段6に入射した光線は、偏光取得手段6を透過することで所望の偏光方向の光線に変換され、被写体に照射される。
【0011】
図2は、照明装置100を使用した検査装置の概略図である。本実施例では、照明装置100は、ベルトコンベア102上の製品(被写体)103に対して、光線を照射する。カメラ101は、製品103から反射された光線を受光する。制御装置(設定手段)104は、例えば、カメラ101の撮像や照明装置100の照明などの検査装置全体の制御を行う。製品103の形状や配置の向きにより照明光の直反射によって、製品103が見づらい場合がある。その場合、偏光方向を変化させることで、見やすい方向を選択すればよい。見やすい方向とは、ユーザが見やすいと思う方向、または機械が判定しやすい方向である。また、偏光方向の異なる複数の画像を取得することで、製品103の領域ごとに見やすい画像を選択してもよいし、複数の画像に基づいて外光の影響の小さい画像を生成してもよい。
【0012】
次に、偏光取得手段6の構成について説明する。偏光取得手段6は、λ/4板(第1の位相差板)3、可変位相差板(第2の位相差板)4、および偏光板(偏光子、偏光成分抽出素子)5を有する。λ/4板3、可変位相差板4、および偏光板5は、各軸が照明光学系1の光軸に垂直な面内となるように配置される。また、λ/4板3、可変位相差板4、および偏光板5は、隣接して配置される。本実施例では、図1(a)に示されるように、照明光学系1と偏光板5は、離れて配置されているが、図1(b)に示されるように、貼り合わせて配置されてもよい。
【0013】
λ/4板3は、延伸フィルムから構成され、入射光の直交する偏光成分間にπ/2(rad)の相対位相差を与える。λ/4板3が与えるπ/2の相対位相差は、不変(固定)である。本実施例では、λ/4板を用いるが、π/2の相対位相差を与えることが可能であれば3λ/4板や可変位相差板であってもよい。
【0014】
可変位相差板4は、λ/4板3と同様に入射光の直交する偏光成分間に相対位相差(以下、可変位相差板4の位相差という)を変更可能に与える。本実施例では、可変位相差板4は液晶を用いた素子であり、可変位相差板4の位相差は制御装置104からの信号(指示)に基づいて印加される電圧に応じて変更される。なお、本実施例では制御装置104が可変位相差板4の位相差を変更するが、照明装置100が可変位相差板4の位相差を変更する機能を有する手段を備えてもよい。
【0015】
図3は、可変位相差板4の構成図であり、図中の円形部分は液晶層の拡大図である。可変位相差板4は、基板8、電極層9、および配向膜10によって液晶層11を挟むように構成されている。液晶層11は、VA方式の液晶層(VA液晶層)で、液晶分子12が配向膜10に倣う形で配向している。本実施例では、印加電圧を0[V]、A[V]、B(>A)[V]へと変更させると、液晶分子12の配向角度(チルト角度)は最小値θminから中間値θを経て最大値θmaxに変化する。なお、図3の可変位相差板4の構成は一例であり、本発明はこれに限定されない。例えば、チルト角ではなく、配向方向が変化する駆動方式の異なる液晶素子を用いてもよい。また、電気光学効果による屈折率変化を利用する構成、微細構造による複屈折率の格子高さや間隔を精密に制御する構成、またはそれらを組み合わせた構成を用いてもよい。また、可変位相差板4は、板面内で位相差を一様に変化させる構成ではなく、板面内の異なる領域で異なる位相差を生じさせる構成であってもよい。
【0016】
偏光板5は、入射光の偏光成分のうち透過軸方向(透過偏光方向)の成分を透過させる(抽出する)。偏光取得手段6は照明装置100に用いられるため、偏光板5はワイヤーグリッド偏光子のような不要光を反射するタイプの偏光板を用いることが好ましい。不要光を反射するタイプの偏光板を用いることで、不要光の一部は光源の光学系に戻り、再帰的に照明光として使用される可能性がある。一方、不要光を吸収するタイプの偏光板を用いると、吸収した光が熱に変わり装置自体の発熱源となり、他の素子への悪影響が懸念される。また、偏光板自体も劣化が早くなる可能性がある。
【0017】
照明装置100は、偏光板5の透過軸方向を固定して可変位相差板4の位相差を電気的制御で変更することで、照明光の直線偏光が任意の方向の偏光に変更され、任意の偏光方向の照明光で照明することができる。以下、図4を参照して、照明装置100の照明方法について説明する。図4は、可変位相差板4の位相差に対応する偏光取得手段6から射出される照明光の偏光方向φoを示す図である。λ/4板3および可変位相差板4上の破線矢印は遅相軸方向を示し、偏光板5上の破線矢印は透過軸方向を示している。
【0018】
λ/4板3および偏光板5は、λ/4板3の遅相軸方向と偏光板5の透過軸方向が平行になるように配置される。ただし、厳密に平行である必要はなく、数度程度ずれていても実質的に平行(略平行)とみなされる。また、可変位相差板4は、遅相軸方向がλ/4板3の遅相軸方向、および偏光板5の透過軸方向に対して反時計回りに45度だけ傾くように配置される。ただし、厳密に45度である必要はなく、数度程度ずれていても実質的に45度(略45度)とみなされる。
【0019】
本実施例では、λ/4板3の遅相軸方向および偏光板5の透過軸方向のx軸方向に対する方位角(度)は90度である。ただし、厳密に90度である必要はなく、数度程度ずれていても実質的に90度(略90度)とみなされる。また、可変位相差板4の遅相軸方向のx軸方向に対する方位角は45度である。ただし、厳密に45度である必要はなく、数度程度ずれていても実質的に45度(略45度)とみなされる。
【0020】
なお、λ/4板3および偏光板5は、λ/4板3の進相軸方向と偏光板5の透過軸方向がy軸方向と平行になるように配置されてもよい。この場合、可変位相差板4は、進相軸方向がλ/4板3の進相軸方向、および偏光板5の透過軸方向に対して時計回りに45度だけ傾くように配置される。
【0021】
図4(a)では、可変位相差板4の位相差は0に設定されており、照明光の偏光方向φoは90度である。図4(b)では、可変位相差板4の位相差はλ/4に設定されており、照明光の偏光方向φoは45度である。図4(c)では、可変位相差板4の位相差はλ/2に設定されており、照明光の偏光方向φoは0度である。図4(d)では、可変位相差板4の位相差は3λ/4に設定されており、照明光の偏光方向φoは135度である。このように、照明装置100は、可変位相差板4の位相差を変化させながら照明を行うことで、偏光板の透過軸方向を回転させたときとほぼ同等の偏光照明を行うことができる。
【0022】
照明装置100の照明光に基づいて取得された画像は、画像処理等の演算処理を経ることなく、そのまま画像として出力してもよい。また、異なる偏光情報を有する画像間で演算処理を行うことで、画素単位で被写体の特徴をより強調した画像を取得することができる。例えば、取得したデータのうち最も光強度の小さい値のみで画像を生成したり、最も光強度の大きい値のみで画像を生成したりすることで、被写体の散乱光成分を強調した画像や、被写体からの正反射成分を強調した画像を生成することができる。
【0023】
このように被写体の物体情報を照明光の偏光情報の変化により光学的に取得することで、その特徴量を強調または抑制した画像を生成することが可能となる。また、これらの組合せにより、観察者の意図に合った画像を生成することが可能となる。さらには、画像の領域ごとに異なる偏光照明で強調効果を持たせた画像を生成してもよい。他にも被写体の偏光の強度依存性を利用した様々な照明を行うことにより、目的に則した画像を取得することができる。
【実施例2】
【0024】
図5は、本実施例のカメラのストロボ装置に使用される照明装置200の構成図である。照明装置200は、照明光学系21、光源部22、および偏光取得手段26を有する。光源部22は、ランプ27およびミラー13を有する。ランプ27はキセノン管であり、ランプ27から射出された光線は、直接、または一部がミラー13に反射して、偏光取得手段26に入射する。偏光取得手段26は、λ/4板(第1の位相差板)3、可変位相差板(第2の位相差板)4、および偏光変換素子(偏光子、偏光成分抽出素子)25を有する。照明光学系21は、偏光取得手段26の内部、具体的には可変位相差板4と偏光変換素子25との間に配置される。なお、λ/4板3および可変位相差板4の構成はそれぞれ、実施例1のλ/4板3および可変位相差板4の構成と同一であるため、詳細な説明は省略する。また、本実施例ではλ/4板3および可変位相差板4は貼り合せて配置されているが、別々に配置されてもよい。
【0025】
偏光変換素子25は、断面が直角二等辺三角形の柱状プリズム14、および断面が平行四辺形の柱状プリズム15を有する。柱状プリズム14、15の接触面16には、偏光ビームスプリッタ(PBS)が配置されている。偏光ビームスプリッタは、柱状プリズム15の面17から入射した照明光のうち、P偏光を透過させ、S偏光を反射する。透過したP偏光は、柱状プリズム15Bの出射面18Bから出射する。反射したS偏光は、柱状プリズム15Bの斜面で反射され、柱状プリズム15Bの出射面19Bに入射する。出射面19Bには1/2λ板がS偏光に対して45度の方位で配置され、S偏光は透過する際にP偏光に変換される。出射面18Bと出射面19Bは隣接し、両面からP偏光が出射する。出射面18Bと出射面19Bから射出された光線は、照明光学系21に入射する。
【0026】
照明光学系21の光線の出射面側の表面には、複数のフレネルレンズが形成されている。照明光学系21は、出射面18と出射面19のそれぞれの光軸に対応するフレネルレンズの中心が合うように配置されている。照明光学系21は、光源部22の最も近くに配置され、配光角が最も広角側の角度となる状態(図5(a)の状態)と、光源部22から最も遠くに配置され、配光角が最も望遠側の角度となる状態(図5(b)の状態)との間を光軸に沿って移動可能に構成される。照明光学系1で所望の配光角に制御された照明光は、可変位相差板4およびλ/4板3に入射する。λ/4板3および可変位相差板4は、照明光学系21の移動に応じて移動するようにしてもよいが、本実施例では、ストロボ装置の強度や防水性を高めるために、外装部品として固定部材(不図示)に固定されている。また、照明光学系21は、表面にフレネルレンズが形成されているため、強度が比較的弱いプラスチックや低溶融点ガラスを用いることが望ましい。また、λ/4板3は、硬度の材質を基板に用いることが好ましい。
【0027】
図6は、照明装置200を備えるストロボ装置が取り付けられた一眼レフカメラ201の概略図である。ストロボ装置は、ストロボシューを介して一眼レフカメラ201の上部に取り付けられる。一眼レフカメラ201のレリーズ信号に応じて、照明装置200は光源部22を発光させる。照明装置200は、レリーズごとに可変位相差板4の位相差を変化させ、異なる偏光状態の照明を行う。例えば、可変位相差板4の位相差を0λ、1/4λ、1/2λと変化させれば、偏光方向がそれぞれ90度、45度、0度の偏光照明を行うことができる。偏光照明ごとに一眼レフカメラ201が撮像することで、異なる偏光状態の画像を取得することができ、取得した画像に対して様々な処理を行うことができる。
【実施例3】
【0028】
図7は、本実施例の自動車ヘッドライトに使用される照明装置300の構成図である。照明装置300は、照明光学系31、光源部32、および偏光取得手段36を有する。光源部32は、ランプ37とミラー13を有する。ランプ37はキセノンアークランプであり、ランプ37から射出された光線は、直接、または一部がミラー13に反射して、偏光取得手段36に入射する。偏光取得手段36は、λ/4板3、可変位相差板4、および偏光板35(偏光子、偏光成分抽出素子)を有する。照明光学系31は、偏光取得手段36の被写体側に配置される。なお、λ/4板3および可変位相差板4の構成はそれぞれ、実施例1、2のλ/4板3および可変位相差板4の構成と同一であるため、詳細な説明は省略する。偏光板35は、不要光を反射するタイプの偏光板であるワイヤーグリッド偏光子である。
【0029】
光源部32から射出される光線のうち、透過軸方向と直交する偏光方向の光線は、偏光板35により反射され、光源部32に戻る。光源部32に戻った光線のうち一部の光線は、偏光板35に再び入射する。偏光板35を透過した偏光は、可変位相差板4に入射する。可変位相差板4で位相を変化させた偏光は、λ/4板3を透過し、所望の方向の直線偏光に変換される。例えば、可変位相差板4の位相差を0λ、1/4λ、1/2λ、3/4λに変化させると、図4に示されるように、照明光の偏光方向は90度、45度、0度、135度になる。偏光取得手段36で所定の偏光方向に変換された照明光は、照明光学系31に入射する。
【0030】
照明装置300はいわゆるプロジェクションランプであり、照明光学系31は回転二次曲面のレンズを備える。回転二次曲面とは、光軸に回転対称な形状で、光軸中心付近は球面に近似できる形状の総称である。回転放物面、回転楕円体、および回転双曲面もこれに含まれる。当然、光軸から離れるにしたがって球面から形状が離れていく、いわゆる非球面もこれに含まれる。
【0031】
図8は、照明装置300を自動車ヘッドライトとして使用する自動車の外観図である。照明装置300が異なる状態の偏光照明を行うことで、車載カメラ301は各種偏光画像を取得することが可能である。それぞれの偏光画像間で画像処理を行うことで、偏光成分を抽出することができ、それらにより、照明光の影響を排除した画像を取得することが可能となる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1、21、31 照明光学系
2、22、32 光源部
3 λ/4板(第1の位相差板)
4 可変位相差板(第2の位相差板)
5、35 偏光板(偏光子)
25 偏光変換素子(偏光子)
6、26、36 偏光取得手段(光学装置)
100、200、300 照明装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8