【文献】
Lissage, Japan,Styling Spray,Mintel GNPD,2011年 6月,ID#1593832,URL,https://WWW.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)が(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPであり、(B)が(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマーである、請求項1又は2に記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な毛髪組成物が開発されており、毛髪のスタイルを維持するための毛髪組成物(整髪組成物)も数多く知られている。特に整髪分野においては、液状組成物を噴霧器から噴霧して毛髪に適用するスプレー用整髪組成物が好適に用いられている。このような組成物には、毛髪のスタイルを維持するための樹脂(セット樹脂)が配合されていることが一般的である(例えば特許文献1)。しかし、従来の整髪組成物では、噴霧時の霧の粒が十分に小さくならず、また噴霧の勢いが強いために、毛髪全体に組成物がべったりと付着し、毛髪が一つの塊となってしまうことから、ふんわりとした柔らかい質感を有する整髪が難しく、エアリー感がなくなってしまうことが多い。
【0003】
柔らかい質感を実現するには、複数の毛髪をまとめて一つの塊としてキープするのではなく、毛髪一本一本に微小な整髪組成物の霧粒が付着するようにし、一本一本の毛髪を点で密着させることで毛髪全体の形をキープすることが考えられる。あるいはまた、噴霧の勢いを弱め、毛髪全体に組成物がべっとりと付着するのを防ぐことが考えられる。しかし、噴霧勢いを弱めることと、霧粒を細かくすることは、通常、技術的に相反する。すなわち、噴霧用組成物を勢いよく小さな穴を通して噴霧することにより、穴から飛び出す際に破断力によって細かい粒が生成するため、噴霧の勢いが大きいほど細かい粒が生成されるところ、噴霧勢いを弱めると霧粒が大きくなってしまうのである。
【0004】
また、セット樹脂が配合されることで毛髪キープ力が向上するところ、キープ力を向上させるためセット樹脂を配合すると液状組成物の粘度が高まり、噴霧時に細かい霧粒が得られにくいという事情も存在する。このために、キープ力に優れ、且つ噴霧時に細かい霧粒となるスプレー用毛髪組成物を得ることも容易ではない。
【0005】
さらには、セット樹脂配合量が増えると、その分粘度が高まり、結果としてべたつきが生じるという問題もある。
【0006】
このような事情のため、柔らかい質感の髪型を長時間キープでき、且つべたつきも少ないスプレー用毛髪組成物を得ることは容易ではなく、その開発が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、柔らかい質感の髪型を長時間キープでき、且つべたつきも少ないスプレー用毛髪組成物を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定のセット樹脂を組み合わせて用いることによって上記課題を解決できる可能性を見出し、さらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A):(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/アルキルアクリルアミド)コポリマー又はその塩、
(B):(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマー又はその塩、及び
(C):エタノール
を含み、含有される(A)と(B)の重量比が1:0.3〜1である、(好ましくは1:0.4〜0.9、より好ましくは1:0.4〜0.8、さらに好ましくは1:0.5〜0.7)
スプレー用毛髪組成物。
項2.
さらに噴霧ガスを含む、項1に記載のスプレー用毛髪組成物。
項3.
(A)が(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPであり、(B)が(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマーである、項1又は2に記載のスプレー用毛髪組成物。
項4.
(A):(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/アルキルアクリルアミド)コポリマー又はその塩、
(B):(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマー又はその塩、及び
(C):エタノール
を含み、(且つ好ましくは噴霧ガスを含まず、)含有される(A)と(B)の重量比が1:0.3〜1である、(好ましくは1:0.4〜0.9、より好ましくは1:0.4〜0.8、さらに好ましくは1:0.5〜0.7)
整髪液組成物(好ましくはスプレー用毛髪組成物調製用整髪液組成物であり、より好ましくは項1〜4のいずれかに記載のスプレー用毛髪組成物の調製用の整髪液組成物である。)。
項5.
項4に記載の整髪液組成物と噴霧ガスとを混合する工程を含む、スプレー用毛髪組成物の製造方法。
項6.
以下の(i)〜(iii)の構成を備えたエアゾールスプレー缶用である、項1〜3のいずれかに記載のスプレー用毛髪組成物。
(i)ハウジングにベーパータップ(VT)孔を有さない
(ii)ディップチューブの内径が0.8〜1.5mm
(iii)ステムの孔径が0.2〜0.6mm
【発明の効果】
【0011】
本発明のスプレー用毛髪組成物をスプレーすることにより、柔らかい質感の髪型を長時間キープでき、且つべたつきも少ないヘアセットができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0013】
本発明に包含されるスプレー用毛髪組成物は、(A)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/アルキルアクリルアミド)コポリマー、(B)(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(C)エタノール、を含む。本明細書では、これらの成分を、それぞれ、成分(A)、成分(B)、成分(C)と呼ぶことがある。
【0014】
成分(A)は、アクリレーツ、アクリル酸アルキル(すなわちアクリル酸アルキルエステル)、及びアルキルアクリルアミドの共重合体である。当該アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸と炭素数1〜18のアルキルのエステルが好ましい。また、当該アルキルアクリルアミドにおけるアルキルは、炭素数1〜8であることが好ましい。これらの好ましい炭素数を満たす成分(A)は、「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマー」と呼ばれ、本発明に用いるのに特に好ましい。
【0015】
用いる成分(A)は、塩であってもよく、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)や2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)との塩を好適に用いることができる。中でもAMP塩が好ましい。これらの塩は、それぞれ、「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/アルキルアクリルアミド)コポリマーAMP」「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/アルキルアクリルアミド)コポリマーAMPD」とも呼ばれる。成分(A)として塩を用いる場合には、スプレー用組成物中では塩が電離している場合もあり得るが、この場合も成分(A)がスプレー用組成物に含まれる態様に包含される。なお、当該塩は、アクリレーツに含まれるアクリル酸又はメタクリル酸に由来するカルボン酸とAMPやAMPD等により形成され得る。
【0016】
成分(A)としては、市販品を購入して用いることもできる。市販品としては、例えば、プラスサイズL−9715、プラスサイズL−9909B(以上、互応化学工業)等が挙げられる。
【0017】
成分(B)は、オクチルアクリルアミドとアクリレーツとの共重合体である。用いる成分(B)は、塩であってもよく、例えば2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)や2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)との塩を好適に用いることができる。中でもAMP塩が好ましい。これらの塩は、それぞれ、「(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマーAMP」「(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマーAMPD」とも呼ばれる。成分(B)として塩を用いる場合には、スプレー用組成物中では塩が電離している場合もあり得るが、この場合も成分(B)がスプレー用組成物に含まれる態様に包含される。なお、当該塩は、アクリレーツに含まれるアクリル酸又はメタクリル酸に由来するカルボン酸とAMPやAMPD等により形成され得る。
【0018】
成分(B)としては、市販品を購入して用いることもできる。例えば、AMPHOMER HC(アクゾノーベル)などが挙げられる。
【0019】
特に限定はされないが、特に好ましい成分(A)と成分(B)の組み合わせとして、「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP」及び「(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマー」の組み合わせを挙げることができる。
【0020】
なお、アクリレーツは、アクリル酸、メタクリル酸、及びそれらのアルキルエステル(即ちアクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル)からなる群より選択される少なくとも1種のモノマーのことである。ここでの「アクリル酸、メタクリル酸又はそれらのアルキルエステル」におけるアルキルエステルは、炭素数1〜4(1、2、3、又は4)のアルキルとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルであることが好ましい。
【0021】
スプレー用組成物に含有される成分(A)と成分(B)の重量比(A:B)は、1:0.3〜1であり、好ましくは1:0.4〜0.9、より好ましくは1:0.4〜0.8、さらに好ましくは1:0.5〜0.7である。
【0022】
スプレー用毛髪組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の各成分以外にも、従来から知られている整髪剤などの毛髪用化粧料に配合されている各種成分を配合することができる。例えば、植物油、炭化水素(スクワラン、パラフィンなど)、エステル油、シリコーン油、糖類、成分(A)及び(B)以外の高分子、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなど)、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、植物・海藻エキス、アミノ酸(ロイシン、リジン、グルタミン酸、アルギニンなど)、ペプチドまたはその誘導体、ビタミン、紫外線防御剤(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸など)、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤(トコフェロールなど)、金属イオン封鎖剤、分岐脂肪酸以外の有機酸、香料(精油を含む)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)や2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)などが挙げられる。
【0023】
植物油としては、例えば、アボカド油、シア脂、メドウフォーム油、マカデミアナッツ油、ワサビノキ種子油、ヒマシ油、コメヌカ油、ローズヒップ油、アルガニアスピノサ核油、バオバブ種子油、ヤシ油、硬化油、月見草油、オリーブ油などが挙げられる。
【0024】
パラフィンとしては、例えば、軽質パラフィン、流動パラフィン等が挙げられ、より具体的には、例えば、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられる。中でも、水添ポリイソブテン等を好適に用いることができる。
【0025】
エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、カプリル酸セチル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2−ジエチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ネオペンタン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸2−ヘキシルデシル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2−ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、イソパルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2−オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸2−オクチルドデシル、炭酸ジカプリリル、クエン酸トリ2−エチルヘキシル、リンゴ酸ジステアリル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリルなどが挙げられる。
【0026】
シリコーン油としては、例えば、ジメチコン、アミノ変性シリコーン、シクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ジメチコノール、ポリシリコーン8、9、11、13、14、若しくは19などが挙げられる。
【0027】
成分(A)及び(B)以外の高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシメチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸/アクリル酸アミド/アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸オクチルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、アクリル酸ブチル/メタクリル酸ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸メトキシエチル共重合体、アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、ビニルメチルエーテル/マレイン酸エチル共重合体、ビニルメチルエーテル/マレイン酸ブチル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−メチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル共重合体、ビニルピロリドン/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ポリウレタン−14などが挙げられる。但し、これらの高分子はセット樹脂として用いられるものが多く、毛髪用組成物の粘度を向上させたり、毛髪のキープ力を変化させ(特に挙げすぎ)たりする場合があるため、本発明に用いるにあたっては、特に本発明の効果が損なわれないことに留意する必要がある。
【0028】
本発明の組成物は、霧状に噴射されるスプレーに用いるための組成物(スプレー用組成物)であり、エアゾールスプレー用であることが好ましい。スプレー用毛髪組成物を、特にエアゾールスプレーとして用いる(つまり、当該組成物をエアゾールスプレー缶に入れて用いる)場合には、当該組成物に噴霧ガスが含まれることが好ましい。噴霧ガスとしては、エアゾールスプレー製品に利用されている公知の各種噴霧用ガスが使用できる。例えば、各種の液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)など、またはこれらの混合物のなど液化ガス;窒素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガス;イソペンタンなどの炭化水素化合物;などが挙げられる。中でも、LPGが好ましい。
【0029】
本発明に係るスプレー用組成物が噴霧ガスを含む場合、噴霧ガスを含まない組成物を調製し、これに噴霧ガスを混合して当該スプレー用組成物を調製することができる。この噴霧ガスを含まない組成物を、本明細書では特に整髪液組成物と呼ぶ。整髪液組成物も、本発明に係るスプレー用組成物に包含される。よって、整髪液組成物については、噴霧ガスに関する点を除いて、上述したスプレー用組成物についての説明がそのまま当てはまる。
【0030】
スプレー用毛髪組成物における整髪液組成物と噴霧ガスとの含有比は、重量比で、例えば、整髪液組成物/噴霧ガス=20/80〜70/30であることが好ましく、40/60〜60/40であることがより好ましい。また、スプレー用毛髪組成物が噴霧ガスを有する場合、その噴霧ガス含有量は、30〜80w/w%であることが好ましく、40〜60w/w%であることがより好ましい。
【0031】
また、特に制限はされないが、成分(C)は整髪液組成物に約80〜98重量%含まれることが好ましく、約85〜95重量%含まれることがより好ましい。また、スプレー用毛髪組成物が噴霧ガスを有する場合、スプレー用毛髪組成物における成分(C)の含有量(重量%)は、100%から噴霧ガス含有量(重量%)を減じた値に、0.8〜0.98を乗じた値であることが好ましく、0.85〜0.95を乗じた値であることがより好ましい。具体的には、例えば30〜60重量%程度が好ましく、40〜55重量%程度がより好ましい。
【0032】
また、特に制限はされないが、成分(A)は、整髪液組成物に約1〜10重量%含まれることが好ましく、約1.5〜5重量%含まれることがより好ましい。また、スプレー用毛髪組成物が噴霧ガスを有する場合、スプレー用毛髪組成物における成分(A)の含有量(重量%)は、100%から噴霧ガス含有量(重量%)を減じた値に、0.01〜0.1を乗じた値であることが好ましく、0.015〜0.05を乗じた値であることがより好ましい。具体的には、例えば0.4〜6重量%程度が好ましく、0.5〜5重量%程度がより好ましい。
【0033】
本発明に係るスプレー用毛髪組成物を入れるスプレー缶は、エアゾールスプレー缶であることが好ましい。中でも、ハウジングにベーパータップ(VT)孔を有さないものが好ましい。また、ディップチューブの内径が0.8〜1.5mmのものが好ましく、1.0〜1.3mmのものがより好ましく、1.0又は1.3mmのものがさらに好ましい。また、ステムの孔径が0.2〜0.6mmのものが好ましく、0.3〜0.5mmのものがより好ましく、0.3又は0.5mmのものがさらに好ましい。特に、ハウジングにベーパータップ(VT)孔を有さず、内径1.0のディップチューブ及び0.3mmの孔径のステムを備えたものが好ましい。
【0034】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0036】
<使用原料>
プラスサイズL−9909B、プラスサイズ−L9715、及びプラスサイズ−L9959(以上、互応化学工業)を、120:60:1(重量比)で混合して、「(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP液」として用いた。
【0037】
なお、プラスサイズL−9909Bは、エタノール及びが(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPが約60:40(重量比)で混合されたアクリル樹脂アルカノールアミン液であり、プラスサイズ−L9715は、エタノール及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPが約60:36(重量比)で混合され、さらに当該混合物96重量部にトリエチルヘキサノイン、水添ポリイソブテン、及びポリシリコーン−13が合計で4重量部加えられたアクリル樹脂アルカノールアミン液であり、プラスサイズ−L9959は、エタノール及び(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMPが約60:39(重量比)で混合され、さらに当該混合物99重量部にステアラミドプロピルジメチルアミン及びポリシリコーン−13が合計で1重量部加えられたアクリル樹脂アルカノールアミン液である。
【0038】
また、ラベンダー油、ヒマワリ油、ホホバ油、アボカド油、及びヘーゼルナッツ油を、1:500:500:500:500(重量比)で混合し、「その他油分」として用いた。
【0039】
また、(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマーとしてAMPHOMER HC(アクゾノーベル)を、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)としてAMP−ULTRA PC 1000(ANGUS)を、水添ポリイソブテンとしてパールリーム3(日油)を、ジメチコンとしてKF−96A−6cs(信越化学)を、それぞれ用いた。
【0040】
<組成物の調製>
表1に記載の組成に従って、各成分を混合し、ヘアスプレー用組成物(整髪液組成物)を調製した。なお、表1に記載の成分量を示す数値の単位はg(グラム)であり、各例の組成物を100gずつ調製した。
【0041】
<組成物の評価>
各例の組成物を、それぞれ、エアゾールスプレー缶に入れ、以下のようにして、噴霧後の乾きの早さ、及びカールリテンション(毛髪を一定の形のままキープする力の指標)を評価した。なお、各例の組成物には同重量のLPGガスを混合し(すなわち、組成物とLPGガスを重量比50:50で混合し)、ヘアスプレー用毛髪組成物を調製して、これをエアゾールスプレー缶に封入した。また、当該組成物に加えて、噴射剤としてLPGガス0.15Mpaをエアゾールスプレー缶に封入した。
【0042】
乾きの早さ(分)
剛体振り子物性試験器RPT−3000W((株)エー・アンド・デイ製)を用い、毛髪に噴霧した各組成物の乾きの早さを測定した。剛体振り子物性試験機RPT−3000Wは、粘着性、粘弾性、乾燥性等の表面物性変化を摩擦の増減の面から評価するための装置である。具体的には、アルミ板(5cm×2cm)に均一に毛髪を貼り付けたものを試料とし、試料上に丸棒型シリンダーエッジを載せた後、各組成物入りのエアゾールスプレーを3秒間、均一に噴射し、振り子を振動させ、その振動の対数減衰率を測定した。ヘアスプレーのようなスタイリング剤を毛髪に塗布した場合、塗布した薬剤が乾き始めると対数減衰率が急上昇する挙動を示す。この変化点が表れるまでにかかる時間を薬剤の乾きの早さとして測定した。詳細な評価条件は次の通りである。フレーム種類:FRB−100、 測定部形状:丸棒型シリンダーエッジ RBP−020、 試料温度:21℃ (一定)。
【0043】
結果を表1に合わせて示す。なお、表1における「速乾すぎて測定不能」とは、6秒とかからずに上記変化点が表れる場合をいい、この結果が得られた組成物は乾きの早さが優良であると考えられる。また、乾きが早いほど、べたつきが無い組成物であるということができる。
【0044】
カールリテンション(%)
水に濡らした毛髪束(長さ(L):17.5cm、重さ:2g)をロッドに巻き、完全に乾燥させた。上記エアゾール製品を3秒間、均一に噴射し、自然乾燥させ、ロッドから外した毛髪を一定の条件下(温度:25℃、湿度:95%)の恒温恒湿器に吊り下げ、3時間静置した。このとき(噴霧後自然乾燥させたとき)の長さをL1、3時間放置後の長さをL3とし、下記の式にてカールリテンション(カール保持率)を算出した。なお、カールリテンションが60%以上である場合、髪型キープ力が優良であると考えられる。
【0045】
カールリテンション(%) = (L−L3)/(L−L1)×100
【0046】
結果を表1に合わせて示す。
【0047】
表1に示されるように、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1−18)/アルキル(C1−8)アクリルアミド)コポリマーAMP、及び(アクリレーツ/オクチルアクリルアミド)コポリマーを含み、且つこれらの重量比が1:0.3〜1である場合において、乾きの早さ及びカールリテンションの両方が優良であった。
【0048】
【表1】
【0049】
<噴霧試験>
実施例1の整髪液組成物に、これと同重量のLPGガスを混合し、ヘアスプレー用毛髪組成物を調製して、これをエアゾールスプレー缶に封入した。そして、噴霧した際の、霧の粒子径及び勢い(風速)を測定した。
【0050】
エアゾールスプレー缶としては、ハウジングにベーパータップ(VT)孔を有さないものを用いた。また、内径が1.0又は1.3mmのディップチューブ、及び0.3又は0.5mmの孔径のステムを備えたものを用いた。なお、上記の噴霧後の乾きの早さ及びカールリテンションの評価時に用いたエアゾールスプレー缶の構成は、ハウジングにベーパータップ(VT)孔を有さず、内径1.0のディップチューブ及び0.3mmの孔径のステムを備えたものである。
【0051】
霧の粒子径の測定方法は次のとおりである。エアゾールスプレー缶のノズルから20cm離れた位置に設置したスプレー粒子径分布測定装置(マイクロトラックベル社製、機器名:エアロトラック LDSA−SPR3500A)に向けて組成物を噴霧し、噴霧された液滴の平均粒子径を測定した。平均粒子径は、相当表面積から得られる理論的球体の直径の計算値である。
【0052】
霧の風速の測定方法は次の通りである。エアゾールスプレー缶のノズルから25cm離れた位置に設置した風速測定器(佐藤商事社製、機器名:風杯型デジタル防水風速計AM−4221)に向けて組成物を噴霧し、測定装置により噴射された霧の風速(m/s)を測定した。
【0053】
なお、いずれの構造のスプレー缶を用いた場合においても、噴霧時にバルブがつまることはなく、安定して噴霧が可能であった。
【0054】
測定結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2から、本発明に係るスプレー用毛髪組成物は、上記いずれのエアゾールスプレー缶を用いて噴霧したときも、その霧粒の粒子径は非常に微細であり、また霧の勢いも強くはないことが分かった。従って、当該組成物は、スプレー時に、勢いが比較的弱いにもかかわらず非常に細かい霧粒が得られるものであり、ふんわりとした柔らかい質感を有する整髪が可能であり、優れたエアリー感を得られるものであることが確認できた。