(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空間を一方側空間と他方側空間に分けるための主要面を構成する建材と、前記主要面によって分けられた一方側空間と他方側空間とを連通する通気部と、を備えた仕切り構造体において、
前記建材は、
上方からの水を受けて下方に流す第一面部と、
前記第一面部よりも下方に位置するとともに前記第一面部と連続し、かつ前記第一面部とは異なる角度に配置されて前記第一面部から伝わる水を下方に流す第二面部と、を備えており、
前記第一面部は、前記第二面部に向かって水を伝える通水部を有し、
前記第二面部は、横方向に延在し、かつ上下に並設された複数の横流路部と、前記複数の横流路部に交差して形成された複数の縦流路部と、を有することを特徴とする仕切り構造体。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0021】
なお、以下の各実施形態における仕切り構造体の具体的な用途としては、例えばフェンスや門扉、柵、手摺、ルーバー装置、垣根、塀、建物における窓前の目隠し、建物内部における仕切り壁、建物内部における空気冷却手段、外壁に形成された開口部に設けられる柵など、様々なものが挙げられる。
つまり、仕切り構造体は、空間を一方側空間と他方側空間に分けるものであり、二つの異なる空間の境界にある“仕切り”である。より詳細には、屋外空間を一方側空間(例えば建物側空間)と他方側空間(例えば屋外側空間)に分けるため、もしくは屋内空間を一方側と他方側に分けるため、もしくは屋外空間と屋内空間との境界における仕切りとして用いられるものである。
【0022】
また、以下の各実施形態における建材は、以上のような各種仕切り構造体に使用される建材を指しており、アルミニウムやスチール等の金属材料を棒状または板状に形成し、適宜加工を行ったものである。このような建材によって、屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるための主要面が構成されている。
屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるための主要面とは、屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるために最も大きな働きをする面を指している。
【0023】
〔第1実施形態〕
本実施形態における仕切り構造体10は、
図1〜
図4に示すように、屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるための主要面を構成する建材11と、主要面によって分けられた建物側空間と屋外側空間とを連通する通気部14と、建材11を支持する支持部15と、を備えたものである。
【0024】
建材11は、棒状に形成された押出成形品であり、長さ方向が横向きになるように配置される。また、この建材11は、本実施形態の仕切り構造体10を形成するに当たって複数本が用いられており、かつ互いに間隔を空けて並設されている。すなわち、このような複数の建材11を備える仕切り構造体10は、横格子壁として機能することになる。
また、複数の建材11間に形成された隙間が上述の通気部14とされており、建物側空間と屋外側空間とを連通している。
【0025】
また、各建材11は、上方からの水を受けて下方に流す第一面部12と、第一面部12から伝わる水を下方に流す第二面部13と、を備える。
より詳細に説明すると、建材11は、
図2,
図3に示すように断面が逆三角形状に形成されたものであり、建材11の上面が第一面部12とされ、斜め内側下方に向かう二つの側面のそれぞれが第二面部13とされている。
【0026】
第一面部12の長さ方向に沿う両側縁には、第一面部12の長さ方向に沿って立ち上がり12aが形成されている。これによって、第一面部12は、断面略凹状に形成された状態となっている。
また、両側縁の立ち上がり12a間の凹みは貯水部12bとされ、上方からの水を受けることができる。
【0027】
両側縁の立ち上がり12aのそれぞれには、貯水部12bから外側に向かって水を通すための通水部12cが、立ち上がり12aの長さ方向に間隔を空けて複数形成されている。立ち上がり12aの長さ方向に隣り合う通水部12c同士の間隔は、等間隔でもよいし、等間隔でなくてもよい。さらに、一方の立ち上がり12aに形成された通水部12cの位置と、他方の立ち上がり12aに形成された通水部12cの位置は、対称的に配置されてもよいし、対称的に配置されなくてもよい。
通水部12cは、貯水部12bから、第一面部12と第二面部13とが為す角部に向かって上り傾斜するように形成された溝である。また、この通水部12cは、第一面部12と第二面部13とが為す角部に向かうにつれて徐々に細くなるように形成されている。さらに、この通水部12cは、立ち上がり12aを部分的に凹ませるようにして形成されている。
【0028】
第二面部13は、第一面部12よりも下方に位置するとともに第一面部12と連続し、かつ第一面部12とは異なる角度に配置されている。すなわち、第二面部13は、上述のように斜め内側下方に向かうようにして配置されている。
また、第二面部13の表面には、横方向(水平方向)に延在し、かつ上下に並設された溝である複数の横流路部13aが形成されている。
【0029】
なお、本実施形態における第二面部13は、横方向に延在するように形成された複数の横流路部13aを有するものとしたが、
図4に示すように、これら複数の横流路部13aに加えて、溝である複数の縦流路部13bを有するものとしてもよい。
複数の縦流路部13bは、複数の横流路部13aに交差して形成されており、水が、横流路部13aにも縦流路部13bにも伝わるようになっている。
また、複数の縦流路部13bは、第二面部13の長さ方向に等間隔に配置されてもよいし、等間隔でなくてもよい。換言すれば、複数の横流路部13aと複数の縦流路部13bとが、第二面部13に対して格子状(網目状)に形成されていてもよいし、いわゆる阿弥陀くじ状に形成されていてもよい。
【0030】
押出成型品である建材11の長さ方向両端部には、端面開口を閉塞するキャップ部材(図示せず)を設けるようにしてもよい。この場合、キャップ部材の上端部は、第一面部12の立ち上がり12aの高さに揃うようにし、第一面部12の長さ方向両端部における水の塞き止めを行なえるようにすることが好ましい。
【0031】
支持部15は、複数の建材11の長さ方向両側に配置され、かつ地面または床面に立設された二本の支柱である。すなわち、複数の建材11は、これら二本の支柱15間に架け渡されて設けられた状態となっている。
なお、これら二本の支柱15のうち少なくとも一方は中空状に形成されており、後述する給水管17を通すことができる。
【0032】
二本の支柱15の上端部間には、中空状に形成された給水管カバー16が架け渡されて設けられている。
この給水管カバー16における内部中空部と、中空状に形成された支柱15における内部中空部は連通した状態となっている。つまり、中空状に形成された支柱15の上端部内側面に貫通孔が形成され、給水管カバー16の長さ方向一端面が開口した状態となっており、これら貫通孔と開口との位置が対応した状態となるように給水管カバー16が設けられている。
また、給水管カバー16の下面には水を供給するための給水孔(例えば
図8の給水孔46a参照)が長さ方向に間隔を空けて複数形成されている。これら給水孔は、複数の建材11のうち最も上方に位置する建材11の第一面部12における貯水部12bの直上に位置する。なお、給水孔の代わりに、給水用のスリットが形成されていてもよい。
そして、給水管17が、支柱15の内部中空部と、給水管カバー16の内部中空部に通されている。
【0033】
以上のように構成された仕切り構造体10における主要面は、複数の建材11と、通気部14とを含んだ仕切り構造体10の正面側領域および背面側領域を指している。
【0034】
続いて、仕切り構造体10における水の流れについて説明する。
まず、図示しない給水源から水が供給され、給水管17を通って仕切り構造体10の上端部に水が到達する。仕切り構造体10の上端部に到達した水は、給水孔を通って、複数の建材11のうち最も上方に位置する建材11の第一面部12における貯水部12bへと落ちる。
【0035】
貯水部12bに落ちた水は、貯水許容量を超えると、通水部12cを通って両側の第二面部13へと至る。
第二面部13に至った水は、表面張力によって横流路部13aの延在方向に伝わり、第二面部13の長さ方向両端部まで到達する。そして、表面張力によって保持できる許容量を超えた水は下方へと流れ、建材11下端部の角部から下方へと落ちる。
【0036】
建材11下端部の角部から下方へと落ちた水は、上から二番目の建材11における貯水部12bによって受けられ、この貯水部12bの貯水許容量を超えると、通水部12cを通って両側の第二面部13へと至る。
以上のようなプロセスを繰り返して、水は、最も下方に位置する建材11における下端部の角部から下方へと落ちる。これによって、複数の建材11の表面全体に水が伝わった状態となる。
なお、地面または床面には、最も下方に位置する建材11から落ちた水を受けて排水する排水手段が設けられていてもよい。
【0037】
そして、複数の建材11の表面全体に伝わった水の気化熱を利用して、複数の建材11の広い範囲を冷却することができ、これに伴って仕切り構造体10の周囲の空気を冷却する効果を発揮する。
建物内の自然換気を行う際には、通気部14を通じて屋外側空間から建物側空間に向かって冷却された外気を送り、建物の開口部から、この冷却された外気を建物内に導入する。以上のようにして、建物内の自然換気を行うことができる。
なお、建物の開口部と、仕切り構造体10とが対向していれば、冷却された外気を建物内に取り込みやすくなるので好ましい。
【0038】
本実施の形態によれば、第一面部12が、第二面部13に向かって水を伝える通水部12cを有するので、水が、この通水部12cを通じて第一面部12から第二面部13に向けて確実に伝わることになる。また、第二面部13が、横方向に延在し、かつ上下に並設された複数の横流路部13aを有するので、水が、これら複数の横流路部13aを通じて第二面部13の幅方向の広い範囲で伝わることになる。そのため、水の気化熱を利用して建材11の広い範囲を冷却することができ、これに伴って仕切り構造体10の周囲の空気を冷却する効果を発揮することができる。したがって、建物内の自然換気を行う際に、通気部14を通じて屋外側空間から建物側空間に向かって冷却された外気を送り、この冷却された外気を建物内に導入できる。そして、従来のように疎水性を有する接着層や吸水性を有する多孔質材層などの特殊な層を基材の表面に設けなくても、建材11の表面に通水部12cや複数の横流路部13aを設けるだけで冷却された外気を建物内に導入できるので、材料や製造に掛かるコストを確実に低減することができる。
【0039】
また、第二面部13が、複数の横流路部13aに交差して形成された複数の縦流路部13bを有していれば、複数の横流路部13aを通じて第二面部13の幅方向の広い範囲で伝わる水が、これら複数の縦流路部13bを通じて第二面部13の縦方向にも伝わることになる。これによって、第一面部12から伝わる水を、第二面部13のより広い範囲に伝えることができるので、水の気化熱を発生させやすくすることができる。
【0040】
なお、本実施形態おける横流路部13aおよび縦流路部13bは溝として形成されたものであるが、これに限られるものではなく、例えば水が伝って流れる突条であってもよいし、隣り合う開口と開口との間に位置する平坦な通路であってもよい。すなわち、水が伝って流れる通路(流路)を確保できればよい。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0042】
本実施形態における仕切り構造体20は、
図5に示すように、屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるための主要面を構成する建材21と、主要面によって分けられた建物側空間と屋外側空間とを連通する通気部24と、建材21を支持する支持部(図示せず)と、を備えたものである。
【0043】
建材21は、棒状に形成された成形品であり、長さ方向が横向きになるように配置される。また、この建材21は、本実施形態の仕切り構造体20を形成するに当たって複数本が用いられており、かつ互いに間隔を空けて並設されている。すなわち、このような複数の建材21を備える仕切り構造体20は、横格子壁として機能することになる。
また、複数の建材21間に形成された隙間が上述の通気部24とされており、建物側空間と屋外側空間とを連通している。
【0044】
また、各建材21は、上方からの水を受けて下方に流す第一面部22と、第一面部22から伝わる水を下方に流す第二面部23と、を備える。
より詳細に説明すると、建材21は、直方体状に形成されたものであり、建材21の上面が第一面部22とされ、四側面のそれぞれが第二面部23とされている。
【0045】
第一面部22は、第二面部に向かって水を伝える通水部22cを有する。
通水部22cは、第一面部22に形成された溝であり、溝が縦横に複数配置されて格子状になっている。また、溝である通水部22cの長さ方向両端部は、第一面部22と第二面部23とが為す角部のうち通水部22cの箇所を切り欠くようにして形成され、側方に向かって開口した状態となっている。
【0046】
第二面部23は、第一面部22よりも下方に位置するとともに第一面部22と連続し、かつ第一面部22とは異なる角度に配置されている。すなわち、建材21は、は直方体状に形成されているため、第二面部23は、第一面部22に対して垂直に配置されている。
また、第二面部23の表面には、横方向に延在し、かつ上下に並設された溝である複数の横流路部23aが形成されている。
【0047】
なお、本実施形態における第二面部23は、横方向に延在するように形成された複数の横流路部23aを有するものとしたが、これら複数の横流路部23aに加えて、溝である複数の縦流路部(図示せず)を有するものとしてもよい。
この場合、複数の縦流路部は、複数の横流路部23aに交差して形成されることになり、水が、横流路部23aにも縦流路部にも伝わるようになる。
【0048】
また、建材21の下面は、図示はしないが、平滑な面とされていてもよいし、第一面部22と同様に溝が形成されていてもよい。
第二面部23を伝って下方に流れる水は、建材21の下面と第二面部23とが為す角部から下方に落ちるか、建材21の下面まで伝わり、表面張力によって溜まってから下方に落ちる。
【0049】
なお、建材21の各面に形成された溝(通水部22c、横流路部23a、縦流路部)の幅は、例えば数十μm〜数mm程度に設定されており、毛細管力(表面張力に起因する)を発揮するのに適したものとなっている。
このような毛細管力による効果を高めるために、建材21の表面に、光触媒などの親水性を有する被膜(塗膜)を補助的に設けるようにしてもよいものとする。
【0050】
図示しない支持部は、上述した第1実施形態と同様に構成された二本の支柱であり、上端部間には給水管カバーが架け渡されて設けられている。また、給水管カバーの内部中空部には給水管が通されている。
【0051】
以上のように構成された仕切り構造体20における主要面は、複数の建材21と、通気部24とを含んだ仕切り構造体20の正面側領域および背面側領域を指している。
【0052】
続いて、仕切り構造体20における水の流れについて説明する。
給水管から供給された水が、まず、複数の建材21のうち最も上方に位置する建材21の第一面部22へと落ちる。
第一面部22に落ちた水は、毛細管力(表面張力)によって複数の溝である通水部22cを伝って第二面部23へと至る。第二面部23に至った水は、毛細管力(表面張力)によって横流路部23aの延在方向に伝わり、表面張力によって保持できる許容量を超えた水は下方へと流れ、第二面部23の下端部から下方に落ちるか、建材21の下面まで伝わってから下方に落ちる。
【0053】
上方の建材21から下方へと落ちた水は、上から二番目の建材21における第一面部22によって受けられ、複数の溝である通水部22cを通って第二面部23へと至る。
以上のようなプロセスを繰り返して、水は、最も下方に位置する建材21から下方へと落ち、これによって、複数の建材21の表面全体に水が伝わった状態となるため、第1実施形態と同様に、建物内の自然換気を行う際に好適な状態を仕切り構造体20の周囲に形成することができる。
【0054】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、水の気化熱を利用して建材21の広い範囲を冷却することができ、これに伴って仕切り構造体20の周囲の空気を冷却する効果を発揮することができる。その結果、従来のように疎水性を有する接着層や吸水性を有する多孔質材層などの特殊な層を基材の表面に設けなくても、材料や製造に掛かるコストを確実に低減することができる。
また、第二面部23が、複数の横流路部23aに交差して形成された複数の縦流路部を有していれば、第一面部22から伝わる水を、第二面部23のより広い範囲に伝えることができるので、水の気化熱を発生させやすくすることができる。
【0055】
さらに、建材21の表面に、光触媒などの親水性を有する被膜(塗膜)が補助的に設けられた場合には、建材21の各面に形成された溝(通水部22c、横流路部23a、縦流路部)の毛細管力による機能と相乗して、水を水平方向に早く拡げることができるので好ましい。また、このような被膜(塗膜)は、あくまでも補助的に設けられるものであるため、これを形成する材料の減量および塗装工程の簡略化を図ることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、建材21は直方体状であるとしたが、これに限られるものではなく、
図6に示すように、角を面取りした略直方体状に形成されたものや、角に丸み(R:アール)を持たせた略直方体状に形成されたものであってもよい。
図6(a)は、建材21(建材21A)の全ての角に丸みを持たせた場合の断面図であり、
図6(b)は、建材21(建材21B)の上下面に膨らみを持たせるとともに全ての角に丸みを持たせた場合の断面図であり、
図6(c)は、建材21(建材21C)の全ての角に丸みを持たせて断面が長円状または楕円状に形成された場合の断面図である。
このように建材21の全ての角を、直角よりも角張った屈曲にしない状態とすることによって、いわゆる“濡れのピン止め効果”と呼称される現象を軽減することができる。すなわち、水が、直角の角部を越えられずに溜まってしまうことが抑制されるので、第一面部22から第二面部23へと水が伝わりやすくなる。
また、
図6(b),(c)のような形状の場合は、建材21の下面に伝わった水が中央に集まりやすくなっており、水が下方に落ちやすくなるという利点もある。
なお、
図5に示す建材21のいずれかの角に、
図6に示す形状を適宜採用して、部分的に直角よりも角張った屈曲にしない状態としてもよい。
【0057】
〔第3実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1および第2の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0058】
本実施形態における仕切り構造体は、
図7に示すように、屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるための主要面を構成する建材31と、主要面によって分けられた建物側空間と屋外側空間とを連通する通気部34と、建材31を支持する支持部35と、を備えたものである。
【0059】
建材31は、棒状に形成された成形品であり、長さ方向が縦向きになるように配置される。また、この建材31は、本実施形態の仕切り構造体30を形成するに当たって複数本が用いられており、かつ互いに間隔を空けて並設されている。すなわち、このような複数の建材31を備える仕切り構造体30は、縦格子壁として機能することになる。
また、複数の建材31間に形成された隙間が上述の通気部34とされており、建物側空間と屋外側空間とを連通している。
【0060】
また、各建材31は、上方からの水を受けて下方に流す第一面部32と、第一面部32から伝わる水を下方に流す第二面部33と、を備える。
より詳細に説明すると、建材31は、直方体状に形成されたものであり、建材31の上面が第一面部32とされ、四側面のそれぞれが第二面部33とされている。
なお、建材31は、直方体状に形成されたものとしたが、これに限られるものではなく、例えば屋外側空間に向かって徐々に先細りするような平面視台形の角柱状に形成されたものでもよい。また、円柱状に形成されたものでもよい。
【0061】
第一面部32は、第二面部33に向かって水を伝える通水部32cを有する。当該通水部32cは、第一面部32に形成された縦横十字状の溝であり、その端部は側方に向かって開口した状態となっており、四側面である第二面部33のそれぞれに対して水を供給する役割を担っている。
【0062】
第二面部33は、第一面部32よりも下方に位置するとともに第一面部32と連続し、かつ第一面部32とは異なる角度に配置されている。すなわち、建材31は、上述のように直方体状に形成されているため、第二面部33は、第一面部32に対して垂直に配置されている。
また、第二面部33の表面には、建材31自体の周方向に沿って、かつ上下に並設された溝である複数の横流路部33aが形成されている。
【0063】
なお、本実施形態における第二面部33は、複数の横流路部33aに加えて、溝である複数の縦流路部(図示せず)を有するものとしてもよい。
また、建材31の各面に形成された溝(通水部32c、横流路部33a、縦流路部)の幅は、例えば数十μm〜数mm程度に設定されており、毛細管力(表面張力に起因する)を発揮するのに適したものとなっている。
このような毛細管力による効果を高めるために、建材31の表面に、光触媒などの親水性を有する被膜(塗膜)を補助的に設けるようにしてもよいものとする。
【0064】
支持部35は、複数の建材31の上端部同士および下端部同士をそれぞれ連結する二本の長尺な連結部材である。これら二本の支持部35は、建物の外壁面に取り付けられている。
複数の建材31の上方には、図示しない給水管があり、各建材31の第一面部32に対して水を供給できるようになっている。
【0065】
以上のように構成された仕切り構造体30における主要面は、複数の建材31と、通気部34とを含んだ仕切り構造体30の正面側領域および背面側領域を指している。
【0066】
続いて、仕切り構造体30における水の流れについて説明する。
給水管から供給された水は、複数の建材31の第一面部32へと落ちる。
第一面部32に落ちた水は、毛細管力(表面張力)によって十字状の溝である通水部32cを伝って第二面部33へと至る。第二面部33に至った水は、毛細管力(表面張力)によって横流路部33aの延在方向に伝わり、表面張力によって保持できる許容量を超えた水は下方へと流れ、第二面部33の下端部から下方に落ちるか、建材31の下面まで伝わってから下方に落ちる。
以上のようにして、水は、各建材31から下方へと落ち、これによって、複数の建材31の表面全体に水が伝わった状態となるため、第1実施形態や第2実施形態と同様に、建物内の自然換気を行う際に好適な状態を仕切り構造体30の周囲に形成することができる。
【0067】
なお、図示はしないが、仕切り構造体30が、上下に複数並んで設けられてもよい。換言すれば、
図7に示すような仕切り構造体30が、上下に複数並んで設けられた状態を指しており、このような場合は、長さ方向が縦向きになるように配置され建材31が、横方向に複数並んで設けられるとともに、上下方向にも複数並んで設けられた状態となる。このように複数の建材31が、上下方向に並んで設けられた場合には、上方の建材31から下方の建材31に向かって水を落とすことができる。
【0068】
本実施形態によれば、第2実施形態と同様に、材料や製造に掛かるコストを確実に低減することができる。また、第二面部33が、複数の横流路部33aに交差して形成された複数の縦流路部を有していれば、水の気化熱を発生させやすくすることができる。
さらに、本実施形態によれば、複数の建材31が縦格子材として機能するため、上方にある給水管から供給された水は、各建材31の上端部から下端部へと流れることになり、水を仕切り構造体30全体に亘って広げやすい。
【0069】
〔第4実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第3の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0070】
本実施形態における仕切り構造体40は、
図8〜
図10に示すように、屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるための主要面を構成する建材41と、主要面によって分けられた建物側空間と屋外側空間とを連通する通気部44と、建材41を支持する支持部(図示せず)と、を備えたものである。
【0071】
建材41は、板状に形成された成形品であり、上方からの水を受けて下方に流す第一面部42と、第一面部42から伝わる水を下方に流す第二面部43と、を備える。
より詳細に説明すると、建材41は、板状に形成された複数の第一面部42と、板状に形成された複数の第二面部43とが、上下方向に交互に並設されるとともにジグザグになるように配置されたことによって構成されている。また、これら板状に形成された複数の第一面部42と複数の第二面部43のそれぞれは、鉛直方向に対して傾斜するようにして配置されている。そのため、各第一面部42と各第二面部43は、鉛直方向に対して傾斜する上面(斜め上方向きの面)と下面(斜め下方向きの面)を備えた状態となる。
【0072】
第一面部42は、横方向に延在し、かつ上下に並設された複数の横流路部42aと、複数の横流路部42aに交差して形成された複数の縦流路部42bと、第二面部43に向かって水を伝える通水部42cと、を有する。
第二面部43は、横方向に延在し、かつ上下に並設された複数の横流路部43aと、複数の横流路部43aに交差して形成された複数の縦流路部43bと、当該第二面部43よりも下方に位置する第一面部42に向かって水を伝える通水部43cと、を有する。
すなわち、第一面部42と第二面部43は、同様の構成要素を持つものであり、単に正背方向の向きが真逆になったものである。また、これら第一面部42と第二面部43は、一体形成または一体的に形成されている。
【0073】
また、通気部44は、第一面部42および第二面部43のそれぞれに形成された複数の貫通孔(貫通孔44a)を主体として構成されたものである。そして、複数の横流路部42a,43aと複数の縦流路部42b,43bは、これら複数の通気部44を避けて配置されている。
複数の通気部44は、板状の第一面部42および第二面部43に対して規則正しく配置されている。すなわち、複数の通気部44は、例えばパンチングメタルやエキスパンド等のような金属板の孔開け技術(金網製造技術)によって第一面部42および第二面部43に形成されたものであり、複数の横流路部42a,43aと複数の縦流路部42b,43bは、複数の通気部44の位置に対応して配置されている。また、上下に並ぶ通気部44同士は、横方向にずれて配置されており、いわゆる“千鳥配置”された状態となっている。
【0074】
各通気部44は、
図10に示すように、通気部44の本体ともいうべき貫通孔44aと、この貫通孔44aを庇状にカバーするカバー部44bと、を備えて構成されている。
貫通孔44aは、板状に形成された複数の第一面部42と複数の第二面部43のそれぞれを厚さ方向に貫通するようにして形成されている。
カバー部44bは、貫通孔44aに覆い被さった状態となっており、貫通孔44aは、このカバー部44bによって下向き開口したような状態となっている。これによって、上から下に向かって流れる水が、貫通孔44aに流入することを防ぐことができる。
【0075】
なお、通気部44を構成するカバー部44bのある面が、第一面部42および第二面部43における“正面部”だとすると、第一面部42の正面部と第二面部43の正面部は、
図9に示すように、反対に向けられた状態になっている。すなわち、第一面部42の正面部は、
図9の正面側に向けられ、第二面部43の正面部は、
図9の背面側に向けられている。
【0076】
通水部42c,43cは、第一面部42と第二面部43それぞれの下端部に貫通形成された複数の貫通孔であり、複数の通気部44と上下に並んで配置されている。
より詳細に説明すると、第一面部42および第二面部43における通水部42c,43cは、上述した複数の通気部44における貫通孔44aと同様に形成され、さらに、複数の通気部44と共に千鳥配置された状態となっている。すなわち、貫通孔である通水部42c,43cは、上述した複数の通気部44におけるカバー部44bが無い状態と同一の構成を有している。
通水部42c,43cには、このように庇状のカバー部が無いため、水が流入することになる。そのため、水は、当該通水部42c,43cを通じて、各第一面部42と各第二面部43の、鉛直方向に対して傾斜する上面から、鉛直方向に対して傾斜する下面に向かって移動することになる。
【0077】
図示しない支持部は、上述した第1実施形態と同様に構成された二本の支柱であり、上端部間には給水管カバー46が架け渡されて設けられている。また、給水管カバー46の内部中空部には給水管47が通されている。また、給水管カバー46には、給水孔46aが複数形成されている。
また、図示はしないが、この支持部は、建材41を保持する保持手段を備えるものとする。
【0078】
なお、以上のような建材41は複数用いられており、これら複数の建材41は横方向に隣り合うように並んで配置されているものとする。このような場合には、各建材41の幅寸法は、例えば
図8に示すように短い幅寸法に設定されている。ただし、これに限られるものではなく、建材41の幅寸法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、幅寸法の長い建材41を単体で用いて、仕切り構造体40を構成するようにしてもよい。
【0079】
以上のように構成された仕切り構造体40における主要面は、横に並ぶ複数の建材41と、通気部44とを含んだ仕切り構造体10の正面側領域および背面側領域を指している。
すなわち、第一面部42と第二面部43は裏表が逆に設けられているが、仕切り構造体40全体を見た時に目に入る正面側領域と、その反対の背面側領域とが主要面とされている。
【0080】
続いて、仕切り構造体40における水の流れについて説明する。
まず、図示しない給水源から水が供給され、給水管47を通って仕切り構造体40の上端部に水が到達する。仕切り構造体40の上端部に到達した水は、給水孔を通って、最も上方に位置する第一面部42の、鉛直方向に対して傾斜する上面へと落ちる。
【0081】
第一面部42の、鉛直方向に対して傾斜する上面へと落ちた水は、横流路部42aおよび縦流路部42bを伝って下方へ流れながら第一面部42の上面全体に広がる。
第一面部42の下端部に達した水は、通水部42cを通じて、第一面部42の、鉛直方向に対して傾斜する下面に流れる。そして、さらに下方へと流れて、第二面部43の、鉛直方向に対して傾斜する上面の上端部に達することになる。
【0082】
第二面部43の、鉛直方向に対して傾斜する上面の上端部に達した水は、横流路部43aおよび縦流路部43bを伝って下方へ流れながら第二面部43の上面全体に広がる。
第二面部43の下端部に達した水は、通水部43cを通じて、第二面部43の、鉛直方向に対して傾斜する下面に流れる。そして、さらに下方へと流れて、下方に位置する第一面部42の、鉛直方向に対して傾斜する上面の上端部に達することになる。
【0083】
以上のようなプロセスを繰り返して、水は、最も下方に位置する第一面部42または第二面部43の下端部から下方へと落ちる。これによって、建材41の表面全体に水が伝わった状態となるため、第1〜第3実施形態と同様に、建物内の自然換気を行う際に好適な状態を仕切り構造体40の周囲に形成することができる。
【0084】
本実施形態によれば、同様の構成を備えた状態の複数の第一面部42と複数の第二面部43が、上下方向に交互に並設されるとともにジグザグになるように配置されているので、各々の通水部42c,43cを通じて、上下方向に並設された複数の第一面部42と複数の第二面部43に対して交互に水を伝えることができる。これによって、従来のように疎水性を有する接着層や吸水性を有する多孔質材層などの特殊な層を基材の表面に設けなくても、冷却された外気を建物内に導入できるので、材料や製造に掛かるコストを確実に低減することができる。また、複数の縦流路部42b,43bによって、水の気化熱を発生させやすくすることができる。
【0085】
また、第一面部42および第二面部43のそれぞれは、複数の横流路部42a,43aに交差して形成された複数の縦流路部42b,43bを有するので、複数の横流路部42a,43aを通じて第一面部42と第二面部43の幅方向の広い範囲で伝わる水が、これら複数の縦流路部42b,43bを通じて第一面部42と第二面部43の縦方向にも伝わることになる。これによって、複数の第一面部42と複数の第二面部43との間を交互に伝わる水を、第一面部42および第二面部43のより広い範囲に伝えることができるので、水の気化熱を発生させやすくすることができる。
【0086】
また、複数の横流路部42a,43aと複数の縦流路部42b,43bが、第一面部42および第二面部43のそれぞれに形成された複数の貫通孔(貫通孔44a)を避けて配置されているので、水が伝わる経路と、空気が通過する経路を、第一面部42および第二面部43のそれぞれに確保することができる。
【0087】
なお、本実施形態における仕切り構造体40は、複数の建材41が横に並んで設けられているため、複数の建材41間の隙間にも空気を通すことができる。これによって、例えば建材41が単体で用いられるよりも、仕切り構造体40の一方側空間から他方側空間に抜ける空気の量が増えることになるので、冷却された外気を建物内に導入する上で好適である。
【0088】
〔第5実施形態〕
次に、図面を参照して本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第4の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
【0089】
本実施形態における仕切り構造体50は、
図11に示すように、屋外空間を建物側空間と屋外側空間に分けるための主要面を構成する建材51と、主要面によって分けられた建物側空間と屋外側空間とを連通する通気部54と、建材51を支持する支持部55と、を備えたものである。
【0090】
建材51は、板状に形成された成形品であり、上方からの水を受けて下方に流す第一面部52と、第一面部52から伝わる水を下方に流す第二面部53と、固定部58と、を備える。
より詳細に説明すると、建材51は、板状に形成された複数の第一面部52と、板状に形成された複数の第二面部53とが、上下方向に交互に並設されるとともにジグザグになるように配置されたことによって構成されている。また、これら板状に形成された複数の第一面部52と複数の第二面部53のそれぞれは、鉛直方向に対して傾斜するようにして配置されている。そのため、各第一面部52と各第二面部53は、鉛直方向に対して傾斜する上面(斜め上方向きの面)と下面(斜め下方向きの面)を備えた状態となる。
また、第一面部52は緩やかな傾斜となるように設定され、第二面部53は急な傾斜となるように設定されている。
【0091】
第一面部52は、横方向に延在し、かつ上下に並設された複数の横流路部(隣り合うカバー部54b,54b間に位置する)と、複数の横流路部に交差して形成された複数の縦流路部、第二面部53に向かって水を伝える通水部52cと、を有する。
第二面部53は、横方向に延在し、かつ上下に並設された複数の横流路部(隣り合う貫通孔54c,54c間に位置する)と、複数の横流路部に交差して形成された複数の縦流路部と、当該第二面部53よりも下方に位置する第一面部52に向かって水を伝える通水部53cと、を有する。
【0092】
固定部58は、後述する支持部55の側面にビス等の固定具によって固定される鉛直な部位であり、建材51の最下方に位置する第二面部53の下端部と、上下に隣り合う第一面部52の下端部と第二面部53の上端部との間に、それぞれ設けられている。
上方に位置する第二面部53の下端部と、下方に位置する第一面部52の上端部は、この固定部58を介して連続した状態となっている。
なお、固定部58は、最上方に位置する第一面部52の上端部に設けられていてもよい。
【0093】
また、通気部54は、第一面部52および第二面部53のそれぞれに形成された複数の貫通孔(貫通孔54a,54c)を主体として構成されたものである。そして、複数の横流路部と複数の縦流路部は、これら複数の通気部54を避けて配置されている。
複数の通気部54は、板状の第一面部52および第二面部53に対して規則正しく配置されている。すなわち、複数の通気部54は、例えばパンチングメタルやエキスパンド等のような金属板の孔開け技術(金網製造技術)によって第一面部52および第二面部53に形成されたものであり、複数の横流路部と複数の縦流路部は、複数の通気部54の位置に対応して配置されている。
【0094】
第一面部52に形成された通気部54は、上下に並ぶ通気部54同士が横方向にずれて配置されており、いわゆる“千鳥配置”された状態となっている。
また、この第一面部52における通気部54は、本体である複数の貫通孔54aと、複数の貫通孔54aを庇状にカバーする複数のカバー部54bと、を備えて構成されている。カバー部54bは、貫通孔54aに覆い被さった状態となっており、貫通孔54aは、カバー部54bによって下向き開口したような状態となっている。
【0095】
第二面部53に形成された通気部54は、カバー部は備えておらず、複数の貫通孔54cによって構成されている。貫通孔54cは、第二面部53の幅方向(横方向)に沿って長尺に形成されたスリット状の長孔である。第二面部53の貫通孔54cは、第一面部52の貫通孔54aよりも横方向に長く形成されている。
なお、複数の貫通孔54cは、第二面部53における幅方向長さに対応する長さに形成されて上下に並んで配置されてもよいし、これよりも短く形成されて千鳥配置されてもよい。
【0096】
通水部52c,53cは、第一面部52と第二面部53それぞれの下端部に貫通形成された複数の貫通孔であり、複数の通気部54と上下に並んで配置されている。
通水部52c,53cにはカバー部が無い状態となっており、そのため、水が流入しやすくなっている。これにより、水は、当該通水部52c,53cを通じて、各第一面部52と各第二面部53の、鉛直方向に対して傾斜する上面から、鉛直方向に対して傾斜する下面に向かって移動することになる。
【0097】
支持部55は、上述した第1実施形態と同様に構成された二本の支柱であり、上端部間には給水管カバー56が架け渡されて設けられている。また、給水管カバー56の内部中空部には給水管57が通されている。また、給水管カバー56には、給水孔56aが複数形成されている。
この支持部55の側面に、建材51の固定部58が固定されている。また、給水孔56aの下方に、建材51における最上方の第一面部52が配置されており、この最上方の第一面部52によって給水孔56aから落ちた水を受けることができる。
【0098】
なお、建材51は、上述の第4実施形態と同様に複数用いられており、これら複数の建材51は横方向に隣り合うように並んで配置されているものとする。また、建材51の幅寸法は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であり、幅寸法の長い建材51を単体で用いて、仕切り構造体50を構成するようにしてもよい。
【0099】
続いて、仕切り構造体50における水の流れについて説明する。
まず、図示しない給水源から水が供給され、給水管57を通って仕切り構造体50の上端部に水が到達する。仕切り構造体50の上端部に到達した水は、給水孔56aを通って、最も上方に位置する第一面部52の、鉛直方向に対して傾斜する上面へと落ちる。
【0100】
第一面部52の、鉛直方向に対して傾斜する上面へと落ちた水は、横流路部および縦流路部を伝って下方へ流れながら第一面部52の上面全体に広がる。
第一面部52の下端部に達した水は、通水部52cを通じて、第一面部52の、鉛直方向に対して傾斜する下面に流れる。そして、さらに下方へと流れて、第二面部53の、鉛直方向に対して傾斜する上面の上端部に達することになる。
【0101】
第二面部53の、鉛直方向に対して傾斜する上面の上端部に達した水は、横流路部および縦流路部を伝って下方へ流れながら第二面部53の上面全体に広がる。
第二面部53の下端部に達した水は通水部53cを通じて下方へと流れ、固定部58を経由して、下方に位置する第一面部52の、鉛直方向に対して傾斜する上面の上端部に達することになる。
【0102】
以上のようなプロセスを繰り返して、水は、最も下方に位置する第一面部52または第二面部53の下端部から下方へと落ちる。これによって、建材51の表面全体に水が伝わった状態となるため、第1〜第4実施形態と同様に、建物内の自然換気を行う際に好適な状態を仕切り構造体50の周囲に形成することができる。
【0103】
本実施形態によれば、上述した第4実施形態と同様の効果が得られるだけでなく、第一面部52と第二面部53に異なる機能を持たせることができる。
すなわち、第一面部52は、鉛直方向と直交する方向に近い角度で緩やかな傾斜になっている。そのため、水は、第一面部52の下端部に到達するまでの間に、第一面部52の幅方向に拡がっていくことになるので、水を広範囲に拡げやすくなっている。
また、第二面部53は、貫通孔54cがスリット状の長孔であり、かつカバーを備えていないため、第一面部52に比して開口率を高めることができる。これによって、建材51の一方側空間から他方側空間に抜ける空気の量が増えることになるので、冷却された外気を建物内に導入する上で好適である。また、このように開口率が高いため、貫通孔54cから少しずつ水滴が下方に落ちながら水が流れていくため、途中で落ちる水滴によっても、下方に位置する第一面部52の広い範囲に水を供給することができる。さらには、ある程度の視線の抜けを確保できるので、柵として機能させる上で好適である。