(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、重複説明が省略される。また、各図面は模式的に示されたものである。
【0018】
<1 実施形態>
<1.1 基板処理装置1の構成>
図1は、実施形態に係る基板処理装置1を示す断面図である。基板処理装置1は、略円板状の半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)に処理液を供給して基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
図1では、基板処理装置1の一部の構成の断面には、平行斜線の付与を省略している(他の断面図においても同様)。
【0019】
基板処理装置1は、チャンバ12と、トッププレート123と、チャンバ開閉機構131と、基板保持部14と、基板回転機構15と、液受け部16と、カバー17とを備える。カバー17は、チャンバ12の上方および側方を覆う。
【0020】
チャンバ12は、チャンバ本体121と、チャンバ蓋部122とを備える。チャンバ12は、鉛直方向に沿う中心軸J1を中心とする略円筒状である。チャンバ本体121は、チャンバ底部210と、チャンバ側壁部214とを備える。チャンバ底部210は、略円板状の底中央部211と、底中央部211の外縁部から下方へと拡がる略円筒状の底内側壁部212と、底内側壁部212の下端から径方向外方へと拡がる略円環板状の環状底部213と、環状底部213の外縁部から上方へと拡がる略円筒状の底外側壁部215と、底外側壁部215の上端部から径方向外方へと拡がる略円環板状のベース部216とを備える。
【0021】
チャンバ側壁部214は、鉛直方向に沿う中心軸J1を中心とする略円筒状である。チャンバ側壁部214は、ベース部216の内縁部から上方へと突出する。チャンバ側壁部214を形成する部材は、後述するように、液受け部16の一部を兼ねる。以下の説明では、チャンバ側壁部214と底外側壁部215と環状底部213と底内側壁部212と底中央部211の外縁部とに囲まれた空間を下部環状空間217という。
【0022】
基板保持部14に基板9が保持された場合、基板9の下面92は、チャンバ底部210の底中央部211の上面219と対向する。このため、底中央部211は、下面92と対向する上面219を有する対向部として機能する。
【0023】
図2は、底中央部211およびその近傍を拡大して示す断面図である。底中央部211の上面219は、例えば、テフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂により形成される。上面219は、中心軸J1から径方向に離れるに従って斜め上方に傾斜し中央側で窪んだ凹面219aと、凹面219aよりも外周側において中心軸J1から径方向に離れるに従って(すなわち、外周縁部に向けて)斜め下向きに傾斜したテーパ面219bと、を有する。このため、底中央部211の形状は、中央部分が窪んだすり鉢状となる。
【0024】
チャンバ蓋部122は中心軸J1に垂直な略有蓋円筒状であり、チャンバ12の上部を含む。チャンバ蓋部122は、略円板状の天蓋部227と、天蓋部227の外縁部から下方に拡がる略円筒状の蓋下筒部228とを備える。チャンバ蓋部122は、チャンバ本体121の上部開口を閉塞する。
図1では、チャンバ蓋部122がチャンバ本体121から離間した状態を示す。チャンバ蓋部122がチャンバ本体121の上部開口を閉塞する際には、蓋下筒部228の下端部がチャンバ側壁部214の上部と接する。
【0025】
チャンバ開閉機構131は、チャンバ12の可動部であるチャンバ蓋部122を、チャンバ12の他の部位であるチャンバ本体121に対して上下方向に相対的に移動する。チャンバ開閉機構131は、チャンバ蓋部122を昇降する蓋部昇降機構である。チャンバ開閉機構131によりチャンバ蓋部122が上下方向に移動する際には、トッププレート123もチャンバ蓋部122と共に上下方向に移動する。チャンバ蓋部122がチャンバ本体121と接して上部開口を閉塞し、さらに、チャンバ蓋部122がチャンバ本体121に向かって押圧されることにより、チャンバ12の内部空間であるチャンバ空間120が、後述する
図8に示すように密閉される。
【0026】
図1に示す基板保持部14は、チャンバ蓋部122とチャンバ本体121との間の空間であるチャンバ空間120に配置され、基板9を水平状態で保持する。水平面視において、基板保持部14により保持された基板9の中心を中心軸J1が通る。基板保持部14は、水平状態の基板9の外縁部(すなわち、外周縁を含む外周縁近傍の部位)を下側から支持する上述の基板支持部141と、基板支持部141に支持された基板9の外縁部を上側から押さえる基板押さえ部142とを備える。
図1に示す状態では、基板押さえ部142は使用されていない。
【0027】
基板支持部141は、中心軸J1を中心とする略円環状の部材である。基板支持部141の径方向内側には、上述の底中央部211が配置される。基板支持部141は、中心軸J1を中心とする略円環板状の支持部ベース413と、支持部ベース413の上面に固定される複数の第1接触部411とを備える。基板押さえ部142は、トッププレート123の下面に固定される複数の第2接触部421を備える。複数の第2接触部421の周方向の位置は、実際には、複数の第1接触部411の周方向の位置と異なる。
【0028】
トッププレート123は、中心軸J1に垂直な略円環板状である。トッププレート123は、チャンバ蓋部122の下方、かつ、基板支持部141の上方に配置される。トッププレート123は中央に開口を有する。基板9が基板支持部141に支持されると、基板9の上面91は、トッププレート123の下面124と対向する。トッププレート123の直径は、基板9の直径よりも大きく、トッププレート123の外周縁は、基板9の外周縁よりも全周に亘って径方向外側に位置する。中心軸J1は、基板9の上面91およびトッププレート123の下面124の中心を通りこれらと直交する。
【0029】
後述する
図8に示す状態では、トッププレート123が基板9と一体的に中心軸J1まわりに回転されて、トッププレート123の下面124と基板9の上面91との間の空間がチャンバ12内の他の空間とは遮断される。このため、この状態では、トッププレート123は遮断部として機能する。また、トッププレート123は、下面124の内周部から中央の開口に向けて斜め上方に伸びたテーパ面125を有する。
【0030】
図1に示す状態において、トッププレート123は、チャンバ蓋部122により吊り下げられて支持される。チャンバ蓋部122は、中央部に略環状のプレート保持部222を有する。プレート保持部222は、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒部223と、中心軸J1を中心とする略円板状のフランジ部224とを備える。フランジ部224は、筒部223の下端から径方向内方へと拡がる。
【0031】
トッププレート123は、環状の被保持部237を備える。被保持部237は、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒部238と、中心軸J1を中心とする略円板状のフランジ部239とを備える。筒部238は、トッププレート123の上面から上方に拡がる。フランジ部239は、筒部238の上端から径方向外方へと拡がる。筒部238は、プレート保持部222の筒部223の径方向内側に位置する。フランジ部239は、プレート保持部222のフランジ部224の上方に位置し、フランジ部224と上下方向に対向する。被保持部237のフランジ部239の下面が、プレート保持部222のフランジ部224の上面に接することにより、トッププレート123が、チャンバ蓋部122から吊り下がるようにチャンバ蓋部122に取り付けられる。
【0032】
トッププレート123の外縁部の下面には、複数の第1係合部241が周方向に配列され、支持部ベース413の上面には、複数の第2係合部242が周方向に配列される。実際には、第1係合部241および第2係合部242は、基板支持部141の複数の第1接触部411、および、基板押さえ部142の複数の第2接触部421とは、周方向において異なる位置に配置される。これらの係合部は3組以上設けられることが好ましく、本実施の形態では4組設けられる。第1係合部241の下部には上方に向かって窪む凹部が設けられる。第2係合部242は支持部ベース413から上方に向かって突出する。
【0033】
図1に示す基板回転機構15は、いわゆる中空モータである。基板回転機構15は、中心軸J1を中心とする環状のステータ部151と、環状のロータ部152とを備える。ロータ部152は、略円環状の永久磁石を含む。永久磁石の表面は、PTFE樹脂にてモールドされる。ロータ部152は、チャンバ12のチャンバ空間120において下部環状空間217内に配置される。ロータ部152の上部には、接続部材を介して基板支持部141の支持部ベース413が取り付けられる。支持部ベース413は、ロータ部152の上方に配置される。
【0034】
ステータ部151は、チャンバ12外においてロータ部152の周囲に配置される。換言すれば、ステータ部151は、チャンバ空間120の外側においてロータ部152の径方向外側に配置される。本実施の形態では、ステータ部151は、チャンバ底部210の底外側壁部215およびベース部216に固定され、液受け部16の下方に位置する。ステータ部151は、中心軸J1を中心とする周方向に配列された複数のコイルを含む。
【0035】
ステータ部151に電流が供給されることにより、ステータ部151とロータ部152との間に、中心軸J1を中心とする回転力が発生する。これにより、ロータ部152が、中心軸J1を回転軸として水平状態で回転する。ステータ部151とロータ部152との間に働く磁力により、ロータ部152は、チャンバ12内において直接的にも間接的にもチャンバ12に接触することなく浮遊し、中心軸J1を中心として基板9を基板支持部141と共に浮遊状態にて回転する。
【0036】
液受け部16は、カップ部161と、カップ部移動機構162と、カップ対向部163と、外側壁部164とを備える。カップ部161は中心軸J1を中心とする環状であり、チャンバ12の径方向外側に全周に亘って位置する。カップ部移動機構162はカップ部161を上下方向に移動する。換言すれば、カップ部移動機構162は、カップ部161をチャンバ本体121に対して上下方向に相対的に移動する。カップ部移動機構162は、カップ部161の径方向外側に配置される。カップ部移動機構162は、上述のチャンバ開閉機構131と周方向に異なる位置に配置される。カップ対向部163は、カップ部161の下方に位置し、カップ部161と上下方向に対向する。カップ対向部163は、チャンバ側壁部214を形成する部材の一部である。カップ対向部163は、チャンバ側壁部214の径方向外側に位置する環状の液受け凹部165を有する。
【0037】
カップ部161は、カップ側壁部611と、カップ上面部612とを備える。カップ側壁部611は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。カップ上面部612は、中心軸J1を中心とする略円環板状であり、カップ側壁部611の上端部から径方向内方および径方向外方へと拡がる。
【0038】
外側壁部164は、中心軸J1を中心とする略円筒状であり、上下方向に伸縮可能である。
図1に示す例では、外側壁部164は、それぞれが周状の複数の山折り線とそれぞれが周状の複数の谷折り線とが上下方向に交互に並ぶベローズである。以下の説明では、外側壁部164をベローズ164と呼ぶ。ベローズ164は、チャンバ側壁部214およびカップ側壁部611の径方向外側に位置し、チャンバ側壁部214およびカップ側壁部611の周囲に全周に亘って設けられる。ベローズ164は、気体や液体を通過させない材料にて形成される。
【0039】
ベローズ164の上端部は、カップ部161のカップ上面部612の外縁部下面に全周に亘って接続される。換言すれば、ベローズ164の上端部は、カップ上面部612を介してカップ側壁部611に間接的に接続される。ベローズ164とカップ上面部612との接続部はシールされており、気体や液体の通過が防止される。ベローズ164の下端部は、カップ対向部163を介してチャンバ本体121に間接的に接続される。ベローズ164の下端部とカップ対向部163との接続部でも、気体や液体の通過が防止される。ベローズ164は、カップ部移動機構162によるカップ部161の移動(すなわち、カップ部161のチャンバ本体121に対する相対移動)に追随して変形し、上下方向の高さが変更される。
【0040】
チャンバ蓋部122の中央部には、中心軸J1を中心とする略円筒状の上部ノズル181が固定される。上部ノズル181は、トッププレート123の中央部の開口に挿入可能である。上部ノズル181は、後述する
図3で示すように、その下面および側面に複数の吐出口を有する。チャンバ底部210の底中央部211の中央部には、中心軸J1を中心とする略円筒状の下部ノズル182が取り付けられる。
【0041】
下部ノズル182は、中心軸J1を中心とする略円筒状のノズル本体821と、ノズル本体821の上端部から径方向外方へと拡がる略円環板状の庇部822とを備える。ノズル本体821は、底中央部211の中央部に中心軸J1に沿って形成された略円柱状の貫通孔218に挿入される。ノズル本体821の上端面の中央部には、基板保持部14に保持された基板9の下面92に対向する下面中央吐出口823(第1開口とも呼ぶ)が設けられる。下面中央吐出口823は、底中央部211の中央部の中心軸J1上に設けられる。庇部822は、上面219から上方に離間し、径方向外方へと拡がる。
【0042】
上記貫通孔218の直径は、ノズル本体821の外径よりも大きいため、ノズル本体821の外側面と貫通孔218の内側面との間に略円筒状の間隙が形成される。当該間隙は、後述するリンス液が流れる下部環状流路183となる。下部環状流路183の環状の上端開口(すなわち、貫通孔218の上端縁とノズル本体821の外側面との間に形成される略円環面状の開口)を、下面環状吐出口831(第2開口とも呼ぶ)という。下面環状吐出口831は、底中央部211の中央部において下面中央吐出口823の周囲に設けられた環状吐出口である。
【0043】
図3は、上部ノズル181の下面図である。
図4は、基板処理装置1が備える気液供給部18および気液排出部19を示す概略的なブロック図である。
図3および
図4に示すように、気液供給部18の各吐出口812a〜816aは上部ノズル181の下面に開口し、気液供給部18の吐出口814bは上部ノズル181の下方の側面に開口している。
【0044】
気液供給部18は、上述の上部ノズル181、下部ノズル182および下部環状流路183に加えて、薬液供給部812、813と、純水供給部814と、IPA供給部815と、ガス供給部816とを備える。
【0045】
薬液供給部812は、弁を介して上部ノズル181および下部ノズル182に接続される。薬液供給部812から上部ノズル181に供給された薬液(例えば、DHF(diluted hydrofluoric acid:希フッ酸))は、上部ノズル181内を貫く流路を通り、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口812aから基板9の上面91に向けて吐出される。また、薬液供給部812から下部ノズル182に供給された薬液は、下部ノズル182内を貫く流路を通り、下部ノズル182の上面に設けられた下面中央吐出口823から基板9の下面92に向けて吐出される。
【0046】
薬液供給部813は、弁を介して上部ノズル181に接続される。薬液供給部813から供給された薬液(例えば、過酸化水素水およびアンモニアを混合したSC1液)は、上部ノズル181内を貫く流路を通り、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口813aから基板9の上面91に向けて吐出される。
【0047】
純水供給部814は、弁を介して上部ノズル181および下部環状流路183に接続される。純水供給部814から上部ノズル181の一方の流路に供給された純水(DIW:deionized water)は、上部ノズル181内を貫く該流路を通り、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口814aから基板9の上面91に向けて吐出される。また、純水供給部814から上部ノズル181の他方の流路に供給された純水は、上部ノズル181内を貫く該流路を通り、上部ノズル181の下方の側面に設けられた吐出口814bから水平方向に向けて吐出される。また、純水供給部814から下部環状流路183に供給された純水は、下部環状流路183内を貫く流路を通り、下面環状吐出口831から底中央部211の上面219の中央部に向けて吐出される。
【0048】
IPA供給部815は、弁を介して上部ノズル181に接続される。IPA供給部815から供給されたIPA(isopropyl alcohol:イソプロピルアルコール)は、上部ノズル181内を貫く流路を通り、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口815aから基板9の上面91に向けて吐出される。
【0049】
ガス供給部816は、弁を介して上部ノズル181に接続される。ガス供給部816から供給されたガス(例えば、窒素ガス等の不活性ガス、またはエア等)は、上部ノズル181内を貫く流路を通り、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口816aからチャンバ12の内部に向けて吐出される。
【0050】
ここで、下部ノズル182および薬液供給部812を有し、基板9の下面92に流体(具体的には、DHF)を供給する部分が、第1供給部として機能する。また、下部環状流路183および純水供給部814を有し、底中央部211の凹面219aにリンス液(具体的には、DIW)を供給する部分が、第2供給部として機能する。
【0051】
液受け部16の液受け凹部165に接続される第1排出路191は、気液分離部193に接続される。気液分離部193は、外側排気部194、薬液回収部195および排液部196にそれぞれ弁を介して接続される。チャンバ底部210に接続される第2排出路192は、気液分離部197に接続される。気液分離部197は、内側排気部198および排液部199にそれぞれ弁を介して接続される。また、下部環状流路183に接続される第3排出路200は、排液部201に弁を介して接続される。
【0052】
気液供給部18および気液排出部19の各構成は、制御部10により制御される。同様に、基板処理装置1の他の各部(チャンバ開閉機構131、基板回転機構15、および、カップ部移動機構162等)も制御部10により制御される。
【0053】
本明細書では、薬液、純水およびIPAをまとめて処理液と呼ぶ場合がある。また、パーティクルや薬液の洗い流しを目的として用いられる液(典型的には、純水)をリンス液と呼ぶ場合がある。
【0054】
<1.2 基板処理装置1の処理例>
図5は、基板処理装置1における処理の流れの一例を示す図である。
図6〜
図8は、処理過程における基板処理装置1の断面図である。
【0055】
図6に示すように、基板処理装置1では、チャンバ蓋部122がチャンバ本体121から離間した上方位置にあり、カップ部161がチャンバ蓋部122から離間した下方位置(退避位置と呼ぶ)にある状態にて、基板9が外部の搬送機構によりチャンバ12内に搬入される。その結果、該基板9が基板支持部141により下側から支持される(ステップS1)。
図6に示すチャンバ12およびカップ部161の状態を「オープン状態」と呼ぶ。オープン状態においては、チャンバ蓋部122とチャンバ側壁部214との間に上下方向の隙間が形成されている。この隙間は、上面視において中心軸J1を中心とする環状をなしている。この環状の隙間を、「環状開口81」と呼ぶ。ステップS1では、基板9は環状開口81を水平方向に通過して基板支持部141まで搬入される。
【0056】
基板9が基板支持部141に搬入されると、カップ部移動機構162は、カップ部161を
図6に示す退避位置から
図7に示す位置(液受け位置と呼ぶ)まで上昇させる。これにより、
図7に示すように、カップ部161が環状開口81の径方向外側に全周に亘って位置するようになる。このときのチャンバ12およびカップ部161の状態(
図1の状態も同様)を第1密閉状態と呼ぶ。
【0057】
液受け位置に位置するカップ部161では、カップ側壁部611が、環状開口81と径方向に対向する。また、カップ上面部612の内縁部の上面が、チャンバ蓋部122の外縁部下端(すなわち、蓋下筒部228の下端)のリップシール232に全周に亘って接する。チャンバ蓋部122とカップ部161のカップ上面部612との間には、気体や液体の通過を防止するシール部が形成される。これにより、チャンバ本体121、チャンバ蓋部122、カップ部161、ベローズ164およびカップ対向部163により囲まれる密閉された空間(以下、拡大密閉空間100と呼ぶ。)が形成される。拡大密閉空間100は、チャンバ蓋部122とチャンバ本体121との間のチャンバ空間120と、カップ部161とベローズ164とカップ対向部163とに囲まれる側方空間160とが、環状開口81を介して連通することにより形成された1つの空間である。ここで、側方空間160とはカップ部161とカップ対向部163との間に形成され略円環状の空間である。
【0058】
続いて、基板回転機構15により基板9の回転が開始される。さらに、ガス供給部816が、トッププレート123の開口を通じて吐出口816aから基板9の上面91とトッププレート123の下面124との間の空間に不活性ガス(ここでは、窒素ガス)を供給する(ガス供給工程)。また、外側排気部194による拡大密閉空間100内のガスの排出が開始される。これにより、所定時間経過後に、拡大密閉空間100が、不活性ガスが充填された雰囲気(すなわち、不活性ガスが充填される前に比べて酸素濃度および湿度が低い雰囲気)となる(ステップS2)。
【0059】
不活性ガスが充填された雰囲気が形成されると、チャンバ蓋部122およびカップ部161が同期して下方へと移動する。そして、
図8に示すように、チャンバ蓋部122の外縁部下端のリップシール231(すなわち、蓋下筒部228の下端)が、チャンバ側壁部214の上部と接することにより環状開口81が閉じられ、チャンバ空間120が、側方空間160と隔絶された状態で密閉される。カップ部161は、
図6と同様に、退避位置に位置する。以下、
図8に示すチャンバ12およびカップ部161の状態を第2密閉状態と呼ぶ。
【0060】
第2密閉状態では、基板押さえ部142の複数の第2接触部421が基板9の外縁部に接触する。トッププレート123の下面124、および、基板支持部141の支持部ベース413上には、上下方向にて対向する複数対の磁石(図示省略)が設けられる。ここでは、各対の磁石を磁石対とも呼ぶ。基板処理装置1では、複数の磁石対が、周方向において第1接触部411、第2接触部421、第1係合部241および第2係合部242とは異なる位置に、等角度間隔にて配置される。基板押さえ部142が基板9に接触している状態では、磁石対の間に働く磁力(引力)により、トッププレート123に下向きの力が働く。これにより、基板押さえ部142が基板9を基板支持部141へと押圧する。
【0061】
基板処理装置1では、基板押さえ部142が、トッププレート123の自重、および、磁石対の磁力により基板9を基板支持部141へと押圧することにより、基板9を基板押さえ部142と基板支持部141とで上下から挟んで強固に保持することができる。
【0062】
第2密閉状態では、被保持部237のフランジ部239が、プレート保持部222のフランジ部224の上方に離間しており、プレート保持部222と被保持部237とは接触しない。換言すれば、プレート保持部222によるトッププレート123の保持が解除されている。このため、トッププレート123は、チャンバ蓋部122から独立して、基板保持部14、および、基板保持部14に保持された基板9と共に、基板回転機構15により回転する(回転工程)。このように、基板回転機構15は、中心軸J1まわりに基板9およびトッププレート123を回転させる回転部として機能する。
【0063】
また、第2密閉状態では、第1係合部241の下部の凹部に第2係合部242が嵌る。これにより、トッププレート123は、中心軸J1を中心とする周方向において基板支持部141の支持部ベース413と係合する。換言すれば、第1係合部241および第2係合部242は、トッププレート123の基板支持部141に対する回転方向における相対位置を規制する(すなわち、周方向においてトッププレート123を基板支持部141に固定する)位置規制部材である。チャンバ蓋部122が下降する際には、第1係合部241と第2係合部242とが嵌り合うように、基板回転機構15により支持部ベース413の回転位置が制御される。
【0064】
第2密閉状態では、チャンバ空間120および側方空間160がそれぞれ独立して密閉されるので、外側排気部194(
図4参照)によるガスの排出が停止されるとともに、内側排気部198によるチャンバ空間120内のガスの排出が開始される。なお、チャンバ空間120への不活性ガスの供給、および、チャンバ空間120内のガスの排出は、上述したように
図7に示す第1密閉状態から行われる場合のほか、
図6に示すオープン状態から行われていてもよいし、
図8に示す第2密閉状態から行われてもよい。いずれの場合であっても、チャンバ蓋部122およびカップ部161が水平面視で環状に接触して第1密閉状態または第2密閉状態となることで、上述の不活性ガスが充填された雰囲気が形成される。このように、チャンバ蓋部122およびカップ部161は、基板9の上面91とトッププレート123の下面124との間の空間と連通する空間を、カバー17内の他の空間から隔絶した状態で密閉する密閉部として機能する。
【0065】
不活性ガスが充填された雰囲気が形成されると、基板9への液処理が実行される(ステップS3)。以下、基板9に対する液処理の例について説明する。
【0066】
まず、薬液供給部812が、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口812aから回転される基板9の上面91に、薬液(例えば、DHF)を連続的に供給する。上面91に着液した薬液は該基板9の回転により基板9の外周部へと拡がり、上面91の全体が薬液により被覆される。その結果、上面91の全体でDHFを用いた薬液処理が進行する。基板9の回転により、基板9の上面91に供給されていた薬液(例えば、DHF)は、基板9の外周縁から径方向外側へと飛散する。基板9から飛散する薬液は、チャンバ12の内壁(すなわち、蓋下筒部228の内壁およびチャンバ側壁部214の内壁)にて受けられ、
図4に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。
【0067】
また、基板9の上面91への薬液処理と並行して、薬液供給部812は、下部ノズル182の上面に設けられた下面中央吐出口823から回転される基板9の下面92にも、薬液(例えば、DHF)を連続的に供給する。下面92に着液した薬液は該基板9の回転により基板9の外周部へと拡がり、下面92の全体が薬液により被覆される。その結果、下面92の全体でDHFを用いた薬液処理が進行する。基板9の回転により、基板9の下面92に供給されていた薬液(例えば、DHF)は、基板9の外周縁から径方向外側へと飛散する。基板9から飛散する薬液は、チャンバ12の内壁にて受けられ、
図4に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。この期間中の基板9およびトッププレート123の回転速度は、例えば800rpmとなる。
【0068】
基板9の上面91および下面92への薬液処理が終了すると、純水供給部814が、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口814aから回転される基板9の上面91に、純水(すなわち、リンス液)を連続的に供給する。上面91に着液した純水は該基板9の回転により基板9の外周部へと拡がり、上面91上に残存していた薬液(例えば、DHF)とともに基板9の外周縁から径方向外側へと飛散する。基板9から飛散する薬液および純水は、チャンバ12の内壁にて受けられ、
図4に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。これにより、基板9の上面91のリンス処理とともに、チャンバ12内の洗浄も実質的に行われる。この期間中の基板9およびトッププレート123の回転速度は、例えば1200rpmとなる。
【0069】
基板9の上面91へのリンス処理が終了すると、基板9およびトッププレート123がそれまでと同じ回転速度(例えば、1200rpm)で回転するよう制御される。これにより、トッププレート123の下面124、基板9の上面91および下面92、に供給されていた各液は、外周縁から径方向外側へと飛散する。飛散した各液は、チャンバ12の内壁にて受けられ、
図4に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。
【0070】
次に、IPA供給部815が、上部ノズル181の下面に設けられた吐出口815aから回転される基板9の上面91に、IPAを連続的に供給する。上面91に着液したIPAは該基板9の回転により基板9の外周部へと拡がり、上面91の全体がIPAにより被覆される。その結果、上面91の全体で純水がIPAに置換される。また、この期間中の基板9およびトッププレート123の回転速度は、例えば800rpmである。
【0071】
また、このIPA処理が行われる期間は、基板9の上面91が処理液(具体的には、IPA液)の液膜で覆われている。該期間においてもガス供給工程が継続されることで、チャンバ空間120において、不活性ガスが充填された雰囲気(すなわち、不活性ガスが充填される前に比べて酸素濃度および湿度が低い雰囲気)が形成される。このように、基板9の上面91に処理液の液膜が存在する状態でトッププレート123の下面124の乾燥が促されるので、仮に乾燥の過程で下面124に付着していた異物(例えば、パーティクル等の基板の汚染源)が落下したとしても、該異物は基板9の上面91の液膜に受け止められ、上面91には付着し難い。
【0072】
以上、基板9に対する液処理の一例として、基板9の上面91には薬液処理(具体的には、DHF処理)、リンス処理、およびIPA処理を順次に行い、基板9の下面92には薬液処理(具体的には、DHF処理)を行う態様について説明した。液処理の別の例として、例えば、基板9の上面91には薬液処理(具体的には、DHF処理)、リンス処理、薬液処理(具体的には、SC1処理)、リンス処理、およびIPA処理を順次に行い、基板9の下面92には薬液処理(具体的には、DHF処理)を行う態様であってもよい。
【0073】
また、適宜のタイミングで、トッププレート123の下面124についてのリンス処理をおこなってもよい。この場合、純水供給部814が吐出口814bから回転されるトッププレート123の下面124およびテーパ面125に向けて、純水(すなわち、リンス液)を連続的に供給する。これにより、下面124およびテーパ面125に着液した純水が該トッププレート123の回転によりトッププレート123の外周部へと拡がり、下面124およびテーパ面125に付着していた薬液(例えば、薬液処理の際に意図せずに付着したDHF)とともにトッププレート123の外周縁から径方向外側へと飛散する。トッププレート123から飛散する薬液および純水は、チャンバ12の内壁にて受けられ、
図4に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。これにより、トッププレート123の下面124およびテーパ面125のリンス処理とともに、チャンバ12内の洗浄も実質的に行われる。
【0074】
基板9への液処理が終了すると、乾燥処理が実行される(ステップS4)。乾燥処理の回転工程では、それまでの各液処理際よりも速く基板9およびトッププレート123が回転される。この期間中の基板9およびトッププレート123の回転速度は、例えば2000rpmである。これにより、基板9およびトッププレート123に付着した各種の液体は、外周縁から径方向外側へと飛散し、チャンバ12の内壁にて受けられ、
図4に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。また、基板9およびトッププレート123の高速回転に伴う気流が生じ、該気流によってチャンバ12内の各部の乾燥が促される。この乾燥処理は、内側排気部198によってチャンバ空間120が減圧されて大気圧よりも低くなった減圧雰囲気にて行われてもよい。
【0075】
乾燥処理が終了すると、チャンバ蓋部122が上昇されてチャンバ12が
図6に示すオープン状態となり、基板9が外部の搬送機構によりチャンバ12から搬出される(ステップS5)。本実施形態では、予め乾燥処理(ステップS4)が実行されているため、搬出処理(ステップS5)の際にトッププレート123の下面124に付着物はほとんど残存せず、チャンバ蓋部122の上昇時にトッププレート123から付着物が基板9上に落下することが防止される。
【0076】
次に、後続の基板9についても処理を継続するか否かについて判定される(ステップS6)。
【0077】
そして、ステップS6でYesに分岐した場合には、後続の基板9の搬入(後続の基板9についてのステップS1)に先立って、底中央部211の洗浄処理(ステップS7)が実行される。
【0078】
ステップS7では、純水供給部814が、下部環状流路183の下面環状吐出口831から底中央部211の凹面219aの中央部に、純水(すなわち、リンス液)を供給する。底中央部211は基板9およびトッププレート123と異なり、回転する構造ではない。下部環状流路183から純水が連続的に供給されることにより、凹面219aに徐々に純水が貯留され、該純水の液面が高くなる。そして、この液面が凹面219aとテーパ面219bとの境界部分(上面219における環状の頂部)を超えると、凹面219aに供給された純水が、テーパ面219bを通過し、底中央部211から溢れ出る。
図9は、この時点における、底中央部211およびその近傍を拡大して示す断面図である。
【0079】
このとき、底中央部211の上面219に付着していた薬液や異物(例えば、下面92の薬液処理の際に意図せずに付着したDHF。以下、異物等と呼ぶ)も、凹面219aに供給された純水に押し流されて上面219の外周縁から径方向外方へ流出する。上面219の外周縁から径方向外方へ流出した純水、薬液、および異物は、
図4に示す第2排出路192、気液分離部197および排液部199を介して廃棄される。これにより、底中央部211の上面219のリンス処理とともに、チャンバ12内の洗浄も実質的に行われる。
【0080】
また、凹面219aへの純水の供給から一定時間(例えば、30秒)が経過すると、下部環状流路183および第3排出路200を通じて排液部201が吸引動作(例えば、サックバックバルブを用いた吸引動作)を行う。これにより、凹面219aに貯留されていた純水が、排液部201によって勢いよく凹面219aから排出される。このとき、底中央部211の上面219に付着していた異物等(例えば、下面92の薬液処理の際に意図せずに付着したDHF)も、凹面219aに貯留されていた純水とともに排液部201によって勢いよく凹面219aから排出される。
【0081】
ステップS7で底中央部211が洗浄された状態で、後続の基板9が搬入されるので、底中央部211の上面219に付着していた異物等の存在に起因して該基板9が汚染されるリスクを低減できる。
【0082】
一定の枚数の基板9(例えば、1つのロットに属する基板9)についてステップS1〜S7が繰り返された後、ステップS6でNoに分岐すると、基板処理装置1での処理が終了する。
【0083】
<1.3 効果>
以下、本実施形態の基板処理装置1および処理例の効果について説明する。
【0084】
上述したように、本実施形態のステップS7では、底中央部211から純水を溢れ出させることによって上面219に付着する異物等を除去するオーバーフロー処理と、凹面219aに貯留さえた純水を勢いよく吸引することによって上面219に付着する異物等を除去する吸引処理と、の双方が実行される。
【0085】
そして、オーバーフロー処理では、純水の流れによって上面219に付着する異物等に対して外周側への力が作用する。他方、吸引処理では、純水の流れによって上面219に付着する異物等に対して中央側への力が作用する。このように、逆向きの双方向から異物等に力を作用させるため、本実施形態の態様では、特許文献1や特許文献2のように異物等に対して外周側への一方向の力のみを作用させる態様に比べて、より高精度に異物等を除去することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上面219に付着する異物等を除去する目的で、凹面219aに純水を貯留する。また、上面219が、凹面219aおよびテーパ面219bの斜面で構成される。このため、上面219に付着する異物等には、その上方に位置する純水からの重力が作用し、該異物等が斜面に沿って除去されやすい。
【0087】
また、本実施形態では、基準面からの下面中央吐出口823の高さH2が、オーバーフロー処理の際の該基準面からの純水の液面の高さH1よりも高い。すなわち、オーバーフロー処理の際に、下部ノズル182の上端が純水の液面よりも上方に突出している。このため、オーバーフロー処理の際に、純水および該純水により底中央部211から除去された異物等が、下面中央吐出口823からノズル本体821の内部に侵入することが防止される。
【0088】
また、本実施形態では、基板保持部14が基板9を保持していない非保持期間中(具体的には、ある基板9が搬出されてから後続の基板9が搬入されるまでの期間中)に、純水供給部814が凹面219aに純水を供給し底中央部211を洗浄する。したがって、オーバーフロー処理や吸引処理の際に、純水および該純水により底中央部211から除去された異物等が基板9の下面92に意図せずに付着することを防止でき、基板処理への悪影響を抑制できる。
【0089】
また、本実施形態では、凹面219aの外周側に、底中央部211の外周縁部に向けて斜め下方に傾斜したテーパ面219bが設けられる。そして、オーバーフロー処理の際には、底中央部211から溢れ出る純水や異物等の大部分が、テーパ面219bに沿って底中央部211から斜め下方に流出する。したがって、本実施形態の態様では、テーパ面219bを有さず凹面219aのみを有する他の態様に比べ、底中央部211から流出した純水や異物等が基板9の下面92や基板保持部14等に付着するリスクを低減でき、基板処理への悪影響を抑制できる。
【0090】
<2 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0091】
上記実施形態では、基板保持部14が基板9を保持していない非保持期間中に底中央部211を洗浄する態様について説明したが、基板保持部14が基板9を保持している保持期間中に底中央部211を洗浄する態様でも構わない。
【0092】
また、上記実施形態では、第1供給部が基板9の下面92に向けて薬液を供給する第1期間と第2供給部が凹面219aに純水を供給する第2期間とが重複しない態様について説明したが、第1期間と第2期間とが重複する重複期間が存在する態様でも構わない。
図10は、このような重複期間における、底中央部211およびその近傍を拡大して示す断面図である。
【0093】
図10に示すように、保持期間中において、基準面からの基板9が保持される高さH3が、オーバーフロー処理の際の該基準面からの純水の液面の高さH1よりも高い。すなわち、オーバーフロー処理の際に、基板9の下面92が純水の液面よりも上方に離間している。このため、オーバーフロー処理の際に、純水および該純水により底中央部211から除去された異物等が、基板9の下面92に付着することが抑制される。
【0094】
また、
図10に示すように重複期間が存在する態様では、第1期間と第2期間とが別々に設けられる態様に比べて、スループットが向上しうる。さらに、重複期間においては、下面92に薬液が供給されたことに起因して下面92から落下しうる異物等が、底中央部211上の液面に落下し、底中央部211の上面219に直接的に付着することが抑制される。したがって、この異物等が底中央部211の上面219に残留して汚染源となる可能性が低減される。特に、第1期間の開始前に第2期間を開始してオーバーフロー処理を実行しておくことで、第1期間中に下面92から異物等が落下したとしても、底中央部211の上面219にこの異物等が直接的に付着することが有効に抑制される。また、第1期間の終了後も第2期間を継続してオーバーフロー処理を実行することで、第1期間中に下面92から異物等が落下したとしても、底中央部211の上面219からこの異物等を十分に除去することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、リンス液として純水を利用する態様について説明したが、リンス液として純水以外の液体(例えば、炭酸水)が利用されてもよい。
【0096】
また、上記変形例における重複期間において、第1供給部が基板9の下面92に向けて底中央部211を洗浄するためのリンス液と同種の処理液を供給する態様でもよいし、第1供給部が基板9の下面92に向けて底中央部211を洗浄するためのリンス液とは異なる種類の処理液(例えば、DHF)を供給する態様でもよい。特に、前者の態様であれば、下面92に供給された処理液が底中央部211上のリンス液の液面に落下したとしても、処理液とリンス液とが同種であるため、底中央部211の洗浄処理への悪影響が抑制される。
【0097】
ここで、処理液とリンス液とが同種である場合には、処理液およびリンス液の双方が純水でありその純度(或いは、不純物濃度)に差がある場合や、処理液およびリンス液の双方が炭酸水でありその濃度に差がある場合が含まれる。他方、処理液が薬液でリンス液が純水である場合のように、液処理の目的に応じて化学組成が異なる場合には、処理液とリンス液が異なる種類の液となる。
【0098】
また、基板処理装置1が、上記実施形態での各構成に加えて、基板保持部14に保持された基板9の下面92に対向する第3開口301を有し該第3開口301から下面92に向けてガス(例えば、窒素ガス等の不活性ガス、またはエア等)を供給する第3供給部、をさらに備えてもよい。
図11は、この変形例における、底中央部211およびその近傍を拡大して示す断面図である。
【0099】
この変形例では、底中央部211の上面219から突出した各ノズルにおける基準面からの各第3開口301の高さH3(より具体的には、各第3開口301のうち最も低い開口の基準面からの高さ)がオーバーフロー処理の際の該基準面からの純水の液面の高さH1よりも高い。すなわち、オーバーフロー処理の際に、ガス吐出ノズルの上端が純水の液面よりも上方に突出している。このため、オーバーフロー処理の際に、純水および該純水により底中央部211から除去された異物等が、各第3開口301からガス吐出ノズルの内部に侵入することが防止される。
【0100】
また、上記実施形態では、オーバーフロー処理後の吸引処理によって、サックバックバルブを用いた吸引動作を行う態様について説明したが、これに限られるものではない。第3排出路200のバルブを開くことで、凹面219aに貯留された純水の自重により、該純すりを排液部201に送る態様でも構わない。
【0101】
また、底中央部211の洗浄に用いる純水や、チャンバ空間120に供給されるガスを予め加温しておくことで、基板処理に好適な温度に基板9を加熱する態様であってもよい。
【0102】
基板処理装置1では、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、基板処理装置1は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
【0103】
また、基板処理装置1では、上記薬液、純水およびIPA以外の処理液を供給する他の供給部が設けられてもよい。また、上記実施形態のように第1供給部が基板9の下面92に液体を供給する態様のほかに、第1供給部が基板9の下面92に流体を供給する種々の態様(例えば、ガスを供給する態様、またはガスと液体との混合流体を供給する態様)であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、下部ノズル182がノズル本体821および庇部822を有する傘形状のノズルである態様について説明したが、これに限られるものではない。各部の形状や個数は適宜に変更可能である。
【0105】
以上、実施形態およびその変形例に係る基板処理装置について説明したが、これらは本発明に好ましい実施形態の例であって、本発明の実施の範囲を限定するものではない。本発明は、その発明の範囲内において、各実施形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施形態において任意の構成要素の省略が可能である。