(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記計測手段は、前記被処理領域に前記光を照射することで生じた前記被処理領域からの放射光を受光することにより、前記情報を計測することを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
前記作成手段は、前記計測手段の記計測結果に基づいて決定された補正値を前記仮照射量分布データに乗じる演算を含む演算処理をして前記照射量分布データを作成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のインプリント装置。
前記基板上には複数の前記被処理領域があり、前記計測手段は、前記複数の被処理領域のそれぞれで反射させた光を受光することにより前記複数の被処理領域のそれぞれでの反射率を計測し、
前記作成手段は、前記計測手段のそれぞれの前記被処理領域における計測結果に基づいて前記照射量分布データを作成することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
前記被処理領域は複数のチップ領域を含み、前記計測手段は、1つの前記チップ領域内の複数箇所で反射させた光を受光することにより前記複数箇所それぞれでの反射率を計測し、前記作成手段は、前記計測手段の前記チップ領域における計測結果に基づいて前記照射量分布データを作成すること特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のインプリント装置。
前記照射量分布データは、前記型のパターン領域と前記被処理領域の形状差を低減させる照射量分布データであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のインプリント装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
(装置構成)
図1は、第1〜第3実施形態に係るインプリント装置100の構成を示す図である。
図1において、鉛直方向をZ軸、当該Z軸に垂直な平面内で互いに直交する2軸をX軸及びY軸としている。インプリント装置100は、基板10上の被処理領域(被処理領域11)11に供給された光硬化性のインプリント材20と型30とを接触させた状態でインプリント材20を硬化させることにより、被処理領域11上にインプリント材20のパターンを形成する。基板10は、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられ、必要に応じて、その表面に基板10とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。基板10は、例えば、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスなどである。
【0011】
被処理領域11上にインプリント材20のパターンを形成する形成手段として、インプリント装置100は、照射部40、型ステージ31、基板ステージ12、供給部50を有する。
【0012】
照射部40は未硬化状態のインプリント材20を硬化させるための紫外線41を基板10に向けて照射する。
【0013】
型30は、外周が矩形であり、その中心部には凹凸パターンが形成された矩形の型側パターン(型のパターン領域)30aを有する。型側パターン30aは、被処理領域11とほぼ同じ大きさである。1回のインプリント材20と型30とを接触させる動作(押型動作)及び引き離し動作(離型動作)により、1つの被処理領域11上に型側パターン30aの転写パターンが1つ形成される。
【0014】
本実施形態では、被処理領域11はショット領域と同じ大きさとする。ショット領域とは基板10上に既に形成された下地パターンの単位領域であり、1つのショット領域のサイズは、例えば、26×33mm程度である。1つのショット領域にはユーザが希望するチップサイズのチップ領域が1つ又は複数形成される。
【0015】
インプリント材20が光硬化性である場合には、型30は、紫外線41と、後述の加熱機構60から出射される加熱用の光(加熱光)62とを透過する材料である。例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等のガラス類の他、サファイアや窒化ガリウム、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル、ポリプロピレンなどのインプリント材である。あるいはこれらの任意の積層材でもよい。
【0016】
型ステージ31は、真空吸着力や静電気力により型30を保持した状態で型30をZ軸方向に沿って移動させる。紫外線41が基板10に到達するように、型ステージ31は中央部に開口領域32を有する。押印動作およびインプリント材20と型30とを引き離す動作(離型動作)の際に、型30を移動させる。
【0017】
変形機構23は、型30に対して水平方向に外力を与えることにより、型30を所望の形状に変形させる。これにより、被処理領域11の形状と型側パターン30aの形状との差を低減させる。
【0018】
基板ステージ12は、真空吸着力や静電気力により基板10を保持した状態でXY平面内を移動する。例えば、被処理領域11へのパターンの形成に際し、後述の供給部50の下方の位置と型ステージ31の下方の位置との間で基板10を移動させる。
【0019】
型ステージ31や基板ステージ12を移動させるための駆動機構(不図示)は、粗動駆動系や微動駆動系等、複数の駆動系から構成されていてもよい。また、型ステージ31はZ軸方向だけではなく、X軸方向、Y軸方向、及び各軸周りの回転方向への駆動機構を備えていてもよい。基板ステージ12はX軸方向及びY軸方向だけではなく、その他の軸方向、及び各軸周りの回転方向への駆動機構を備えていてもよい。
【0020】
押印動作および離型動作は、型ステージ31および基板ステージ12のうち少なくとも一方をZ軸方向に移動させることで行えばよい。上述の駆動機構として、例えば、リニアモータやピエゾアクチュエータを用いてもよい。
【0021】
供給部50は、被処理領域11上に未硬化状態のインプリント材20を供給する。供給部50はインプリント材20の配置や量を調整可能である。インプリント材20の配置や量は、型側パターン30aに形成されている凹凸パターンの密度等に応じて調整される。
【0022】
加熱機構(加熱手段)60は、光62を照射して被処理領域11を加熱する。これによって、被処理領域11を目標形状に変形させる。加熱機構60が被処理領域11の形状を補正することで、被処理領域11と型側パターン30aとの形状差を低減させる。
【0023】
加熱機構60は、光源61と、光源から出射された光62の照度分布や照射の時間帯を調整する調整器63と、調整器63からの光を基板10に向けて偏向させるミラー64とを有する。さらに、光源61から出射された光を集光させる集光光学系(不図示)、当該集光光学系からの光の強度を均一化して調整器63を照明するための均一照明光学系(不図示)を有する。均一照明光学系は、例えばマイクロレンズアレイ(不図示)等の光学素子を有する。
【0024】
光62は、インプリント材20が硬化しない波長である。例えば紫外線41の波長と異なる波長の光であって、400〜1200nmの波長帯域に存在する光であることが好ましい。特に、型30でほとんど吸収されずに基板10上で吸収されやすい波長帯域の光であることが好ましい。紫外線41の他にもインプリント装置100で使用する光が有る場合は、当該光の波長帯域以外の波長の光であることが好ましい。あるいは、インプリント材20が感光しづらい波長帯域の光であれば200〜400nmの波長帯域の光であっても構わない。
【0025】
調整器63として、例えば、DMD(Digital Micro−mirror Device)を用いる。DMDは光を反射する複数のマイクロミラー(不図示)を有し、各マイクロミラーを、マイクロミラーの配列面に対して−12度(ON状態)、あるいは+12度(OFF状態)の角度で傾けることで、光62の照射の有無が選択される。全てのマイクロミラーからON状態の場合の、光62の照射領域のサイズは、理想的な被処理領域11のサイズと同サイズである。
【0026】
照射制御部65はCPUを有し、後述する制御部90から指示された照射量分布データに基づいて、各マイクロミラーのON状態又はOFF状態の切り替えを選択的に制御する。
【0027】
照射量分布データは、ON状態の各マイクロミラーからの光を被処理領域11に照射する時間の長さ(タイミング)に関する情報と、同時刻に形成される被処理領域11内の照度分布の情報とを含む。
【0028】
ON状態のマイクロミラーが多いほど、また、光62の照射時間が長いほど被処理領域11への照射量は大きくなる。すなわち、被処理領域11に付与する熱量が大きくなる。加熱機構60は、照射時間を変化させることによる照射量の調整のかわりに、光62の強度の変化させることで照射量を変化させてもよい。
【0029】
加熱機構60により照射量分布を付与することで、1つの被処理領域11内に熱量分布が形成される。このように被処理領域11を局所的に変形させ、所望の形状にする。
【0030】
照射制御部65は、さらに、光62の出射のタイミングを制御する。なお、調整器63として、複数の液晶素子に対する電圧を個別に制御することで照射量分布を変化させることが可能な液晶装置を使用してもよい。
【0031】
ミラー64は、紫外線41の光路上にも配置されている。ミラー64は、例えば、紫外線41を透過し且つ光62を反射するダイクロイックミラーである。
【0032】
本実施形態において、被処理領域11の光62(加熱光)の吸収に関する情報を取得する手段は計測部70である。また、光62の吸収に関する情報は、被処理領域11の光62の反射率である。計測部70は、被処理領域11で反射させた光62を受光することにより、被処理領域11の反射率を計測する。
【0033】
図2は、計測部70の構成を示す図である。計測部70は、被処理領域11に計測光71を投光する投光部72と、被処理領域11で反射された反射光73を受光する受光部74とを含む光学系75を有する。さらに、受光部74が受光した結果に基づいて被処理領域11における反射率を算出する算出部76を有する。
【0034】
計測部70が計測に用いる計測光71の波長帯域は、少なくとも加熱機構60が加熱に用いる光62の波長帯域を含むことが好ましい。計測光71の波長帯域が光62の波長帯域に比べて十分に広範囲な場合(例えば白色光を用いた場合など)は、光62の波長帯域に含まれるそれぞれの波長に対応する反射率を算出すればよい。反射率の値に波長に依存するばらつきがある場合は、平均化処理をしてもよい。
【0035】
算出部76は、計測光71に対する反射光73の強度比から、被処理領域11の反射率を算出する。計測部70によって計測される被処理領域11の反射率とは、被処理領域11の表面側を構成している材料層における反射率である。算出部76によって算出された反射率は、制御部90によって記憶部92に記憶される。
【0036】
観察部80は、型側パターン30aに形成されているマーク81と、被処理領域11に形成されているマーク82を観察する。マーク81は型側パターン30aの少なくとも四隅に、マーク82は被処理領域11の少なくとも四隅に配置されている。観察部80による観察結果に基づいて、後述の制御部90が、型側パターン30aと被処理領域11との形状を求めたり、型側パターン30aに対する被処理領域11の相対位置ずれを求める。
【0037】
制御部90はCPU、RAM、ROMを有しており、制御部90に接続された、基板ステージ12、型ステージ31、照射部40、供給部50、照射制御部65、計測部70、観察部80、および、記憶部92を統括的に制御する。後述の
図4のフローチャートに示すプログラムにしたがってインプリント処理を実行する機能を有する。
【0038】
制御部90は、観察部80によるマーク81、82の観察結果に基づいて、型側パターン30aと被処理領域11との形状を求める。さらに、型側パターン30aと被処理領域11の形状差から、型側パターン30aの形状補正量と被処理領域11の形状補正量を算出する。
【0039】
さらに、制御部90は作成手段としての機能を有し、加熱機構60が被処理領域11に照射する光62の照射量分布を示す、照射量分布データを作成する。このとき、加熱機構60により加熱する前の被処理領域11の形状に基づいて仮作成した仮照射量分布データを、計測部70による計測結果を用いて補正することにより照射量分布データを作成する。
【0040】
仮照射量分布データは、被処理領域11の形状、基板10の構造や構成材料の物性値から算出される、光62の吸収率及び熱膨張係数等に基づいて理論的に算出されたデータである。照射量分布データの作成方法については後で詳述する。制御部90は、補正に際して必要な補正係数(補正値)を、計測部70による計測結果に基づいて決定する。
【0041】
制御部90が作成する照射量分布データは、型側パターン30aと被処理領域11の形状差を低減させる照射量分布データである。
【0042】
記憶部92は、制御部90により読み取り可能なハードディスク(記憶媒体)等で構成される。記憶部92は、
図3に示すような、反射率(A1、A2、・・・An)と補正係数(α1、α2、・・・αn)とを対応づけて記憶する。
【0043】
被処理領域11において吸収されなかった光が反射されるため、反射率は吸収率と相関関係にある。例えば、吸収率=1−(反射率)により得られる。そこで、補正係数を、仮照射量分布データの作成に用いられる被処理領域11における光62の吸収率Iと、計測部70の計測した反射率に基づいて決定された、被処理領域11における光(加熱光)62の吸収率I’と、の比I/I’とする。あるいは、記憶部92に予め設計値として記憶された光62の吸収率と、計測部70を用いて計測した反射率から制御部90が算出して得られた吸収率との差でもよい。
図3のような対応表(テーブル)ではなく、反射率と補正係数との関係を示す関数を記憶していてもよい。
【0044】
さらに記憶部92は、
図4のフローチャートに示すプログラムを記憶している。
【0045】
(インプリント方法)
図4は、本実施形態にかかるインプリント方法を示すフローチャートである。制御部90からの指示に基づいて、制御部90と接続されている各構成部材が以下の動作を行う。本実施形態では、1箇所で計測した反射率は、その計測箇所を含む被処理領域11内、および計測した被処理領域11のある基板10と同一の基板上の他の被処理領域11においても同じ反射率と同じとする。
【0046】
被処理領域11が計測部70の下方に位置決めされた状態で、計測部70が被処理領域11の反射率を計測する(S101)。計測により得られた反射率は制御部90によって記憶部92に記憶される。
【0047】
供給部50が、被処理領域11上にインプリント材20を供給する(S102)。基板ステージ12により、被処理領域11が型30の下に位置決めされる。そして、観察部80によるマーク81とマーク82との観察結果に基づいて、制御部90が型側パターン30aの形状と被処理領域11の形状差を求める(S103)。なお、型側パターン30aの形状と被処理領域11との形状差は、インプリント装置100の外部で事前に求めたものであってもよい。例えば、外部で計測された被処理領域11の形状と、型側パターン30aの設計値とに基づいて得られた型側パターン30aの形状との差であってもよい。
【0048】
制御部90は、型側パターン30aと被処理領域11の形状差から、変形機構23による型側パターン30aの形状補正量と加熱機構60による被処理領域11の形状補正量とをそれぞれ算出する(S104)。この際、補正後の型側パターン30aの形状と補正後の被処理領域11の形状とが一致又は補正後の型側パターン30aの形状と補正後の被処理領域11との形状差が低減するように、それぞれの形状補正量を算出する。
【0049】
変形機構23が型側パターン30aに外力を与えると、型30は力を加えられた方向に変形するとともに、ポアソン比にしたがって外力の与えられた方向とは垂直方向に応力が生じる。被処理領域11の形状補正量は、当該ポアソン比にしたがって生じた型側パターン30aの変形も加味して決定することが好ましい。この場合、変形機構23のみで形状補正した場合に比べて型側パターン30aと被処理領域11との形状差の高次成分を低減することができる。
【0050】
制御部90は、S104で算出された被処理領域11の形状補正量や被処理領域11の材料の吸収率、熱膨張係数等の情報を用いて、加熱機構60により付与する熱量を示す仮照射量分布データF(x、y、t)を作成する(S105)。
【0051】
制御部90は、記憶部92に記憶されている反射率を読み出し、反射率と補正係数の関係を参照しながら仮照射量分布データの補正に用いる補正係数を決定する(S106)。補正係数の決定は、S101以降S106の前までであればどのタイミングで行ってもよい。
【0052】
制御部90は、仮照射量分布データF(x、y、t)に対して、S105で決定された補正係数αを乗じる演算を含む演算処理をして照射量分布データF’(x、y、t)を作成する(S107)。例えば、F’=α×Fを算出することによって作成する。仮照射量分布データF(x、y、t)に対して補正係数を乗じる演算を行う前後に、所定の数をオフセットとして差し引いたり、所定の数を乗じる、等のその他の演算処理を行ってもよい。
【0053】
S107で得られた補正後の照射量分布に基づいて加熱機構60が被処理領域11を加熱させる。これにより、被処理領域11が所定の方向に延伸して、形状が補正される(S108)。なお、被処理領域11の表面側でのみ光が吸収された場合であっても、そこで生じた熱が基板10にも伝熱するため結果として基板10とともに延伸することとなる。
【0054】
変形機構23が、S104で得られた型30の形状補正量に基づき型30に外力を与える。これにより、型側パターン30aの形状が、所望の形状に補正される(S109)。S108とS109の工程により、型側パターン30aの形状と被処理領域11の形状との差が、S103の段階よりも低減する。なお、S108とS109の工程はどちらが先に行われてもよい。
【0055】
押型動作として、型ステージ31が型30を下降させて、型30をインプリント材20に接触させる(S110)。S108およびS109の少なくとも一方の工程の前に、S110の押印動作を行ってもよい。型側パターン30aの凹部にインプリント材20が充填される。
【0056】
照射部40は、加熱機構60が照射量分布データに基づいて被処理領域11に光62を照射して被処理領域11を熱変形させ、かつインプリント材20と型30とを接触させた状態で、紫外線41を照射する。これにより、インプリント材20を硬化させる(S111)。硬化後、離型動作として、型ステージ31が型30を上昇させてインプリント材20から型30を引き離す(S112)。これにより、被処理領域11上に、型側パターン30aの凹凸部にならった3次元形状のインプリント材20のパターンが形成される。
【0057】
制御部90は、次にパターンを成型すべき被処理領域11が有るかどうか判断し(S112)、無い(No)と判断した場合は本プログラムを終了し、基板10の搬出処理を行う。S112で、有る(Yes)と判断した場合は、S102〜S112を繰り返し行う。制御部90は、新たな被処理領域11の反射率として、S101で計測された反射率を使用する。
【0058】
前述のインプリント処理を、同一ロットの基板のうち一番初めに処理する基板にのみ実行してもよい。この場合、同一ロット内の後続の基板10についてはS101における反射率の計測工程を省略してインプリント処理を行う。計測部70は、新しい材料層が積層される度に、反射率を計測してもよい。
【0059】
このように、制御部90は、計測部70による計測結果に基づいて仮照射量分布データを補正することによって、加熱機構60が被処理領域11の加熱に用いる照射量分布データを作成する。仮照射量分布データの算出時に想定した被処理領域11における光62の吸収率と、光62の実際の吸収率が異なる場合であっても、基板10の下地パターンの材料の組み合わせやパターン密度に依らず吸収率の誤差による影響を補正することができる。これにより、精度良く被処理領域11の形状を補正することができ、高い重ね合わせ精度でインプリント処理によるパターンを形成することができる。
【0060】
[第2実施形態]
本実施形態において、被処理領域11の光62の吸収に関する情報を取得する手段は計測部70である。また、光62の吸収に関する情報は、被処理領域11の光62の反射率である。
【0061】
反射率は、被処理領域11において形成されている回路パターンの密度によって異なる。例えば、パターン密度の大きい場所では反射率が大きく、パターン密度の小さい場所では反射率が小さいことがある。本実施形態では、作成手段が、計測部70が1つのチップ領域95内における複数箇所で反射させた反射光73を受光することにより当該複数箇所のそれぞれでの反射率を計測する。制御部90は、計測部70のそれぞれの被処理領域11における計測結果に基づいて仮照射分布データを補正して、照射量分布データを作成する。
【0062】
図5は、1つの被処理領域11と被処理領域11に含まれる4つのチップ領域(複数のチップ領域)95を示す図である。
【0063】
本実施形態のインプリント方法は、第1実施形態とほぼ同様である。
図4のフローチャートのS101において計測部70は、少なくとも一つのチップ領域95内において複数箇所の反射率を計測する。例えばチップ領域95を仮想的に分割した分割領域である領域95a、95b、95c、95dでそれぞれ反射率を計測する。
【0064】
制御部90は、計測部70の計測結果に基づいて領域95a、95b、95c、95dのそれぞれの領域に対応する計4つの補正係数α1、α2、α3、α4を求める。補正係数α1、α2、α3、α4を用いて領域95a、95b、95c、95dのそれぞれの領域における仮照射量分布データを補正する。
【0065】
このように、このように、制御部90は、計測部70による計測結果に基づいて仮照射量分布データを補正することによって、加熱機構60が被処理領域11の加熱に用いる照射量分布データを作成する。これにより、第1実施形態と同様、精度良く被処理領域11の形状を補正することができる。さらに、チップ領域95内でのパターン密度の違いにより異なる反射率の情報を用いて照射量分布データを作成するため、第1実施形態よりも重ね合わせ精度を向上させることができる。
【0066】
チップ領域95内でさらに多くの箇所で反射率を計測し、反射率の分布関数を求め、当該反射率の分布関数に基づいて照射量分布を決定してもよい。
【0067】
[第3実施形態]
本実施形態において、被処理領域11の光62の吸収に関する情報を取得する手段は計測部70である。また、光62の吸収に関する情報は、被処理領域11の光62の反射率である。
【0068】
同一の基板10の面内においても、被処理領域11の表面状態が被処理領域11ごとに異なり、光の吸収率もばらついてしまう。本実施形態は同一の基板10の面内の吸収率のばらつきに鑑み、計測部70は、複数の被処理領域11のそれぞれで反射させた光を受光することにより複数の被処理領域11のそれぞれでの反射率を計測する。制御部90は、それぞれの被処理領域11における計測部70の計測結果に基づいて照射量分布データを作成する。
【0069】
すなわち、制御部90は、反射率の計測されたそれぞれの被処理領域11に対応する補正係数を決定し、当該補正係数を用いて仮照射分布データを補正することで、被処理領域11ごとの照射量分布データを作成する。
【0070】
S101の工程で、基板10の代表的な複数の代表的な被処理領域11のみので反射率を計測してもよい。制御部90が、当該代表的な被処理領域11における反射率の計測結果から、基板10の面内のその他の箇所における反射率を補完する演算を施して、基板10の面内の反射率分布を算出することで、計測点以外での反射率も算出することができる。これにより、全ての被処理領域11の反射率を計測する場合よりも計測時間、および型30の下方のインプリント位置と計測部70による計測位置との間の基板ステージ12の往復駆動の時間を短縮することができる。
【0071】
このように、制御部90は、計測部70による計測結果に基づいて仮照射量分布データを補正することによって、加熱機構60が被処理領域11の加熱に用いる照射量分布データを作成する。これにより、第1実施形態と同様、精度良く被処理領域11の形状を補正することができる。さらに、複数の被処理領域11のそれぞれの領域において光の吸収率が異なる場合であっても、それぞれの被処理領域11の形状を精度良く補正することができる。
【0072】
[第4実施形態]
図6は第4実施形態に係るインプリント装置200の構成を示す図であり、被処理領域11の光62の吸収に関する情報を取得する手段はスプレッドカメラ210である。また、光62の吸収に関する情報は、被処理領域11の光62の反射率である。
【0073】
スプレッドカメラ210は、基板10上の被処理領域11に供給されたインプリント材20と型30と接触状態を観察するカメラである。インプリント材20を介した型30と基板10の接触状態を観察することで、パーティクルや未充填による欠陥箇所を特定する。スプレッドカメラ210は、光源、撮像素子、光学系および処理部(いずれも不図示)を有する。スプレッドカメラ210の光源は、インプリント材20が感光しない波長の光220を発するLEDなどが用いられ、撮像素子にはCCDセンサなどの二次元センサが用いられる。光学系は、光源からの光220を基板10の被処理領域11を含む領域を均一に照明する照明光学系と、基板10と撮像素子とを光学的に共役にするような結像光学系とを含む。光源から射出された光220は、紫外線41の光路上に配置されたミラー230及びミラー64を透過し、型30を透過して被処理領域11を照明する。光220の波長帯域は、光62の波長を含む。
【0074】
スプレッドカメラ210の処理部は、撮像素子で得られた画像を処理して、光220に対する被処理領域11の反射率を算出する。さらに、撮像素子で得られた画像を処理して、インプリント材20と型側パターン30aの間へのパーティクルの挟み込みおよび型側パターン30aへのインプリント材の未充填欠陥を検出する。
【0075】
ミラー230は、紫外線41を被処理領域11に向けて反射し且つ光220を透過する。ミラー230として、例えば、ダイクロイックミラーが使用される。
【0076】
インプリント装置200において、インプリント装置100と同一の部材には同一の符号が付されている。インプリント装置100と共通の構成部材の詳細な説明は省略する。
【0077】
本実施形態にかかるインプリント方法は、第1実施形態とは反射率の計測方法と補正係数の決定方法とが異なる。
図4のS101の代わりに行う工程を、
図7の反射率の計測方法を示すフローチャートを用いて説明する。フローチャートが示すプログラムにしたがって、制御部90は各構成部材に以下の動作をさせる。
【0078】
なお、記憶部92には、予めスプレッドカメラで計測した、反射率が既知のベアウエハ(材料層が形成されていない基板、較正用基板)の反射光強度分布が較正用に記憶されている。当該較正用の反射光強度分布は、スプレッドカメラ210の撮像素子が被処理領域11に対して、光62を均一な照度分布で照射したときの反射光から得られた強度分布である。
【0079】
まず、供給部50が、被処理領域11上にインプリント材20を供給する(S201)。押型動作として、型ステージ31が型30を下降させて、型30とインプリント材20とを接触させる(S202)。
【0080】
加熱機構60を制御し、光62を均一な照度分布で被処理領域11に照射する。被処理領域11からの反射光強度分布をスプレッドカメラ210で計測する(S203)。制御部90は、記憶部92に記憶されている較正用の反射光強度分布から、S203で得られた反射光強度分布を反射率に換算し、実測値に基づいて算出された当該反射率を記憶部92に記憶させる(S204)。S204において較正用の反射光強度分布に加え、較正用基板の既知の反射率を用いてもよい。
【0081】
照射部40が紫外線41を被処理領域11に照射してインプリント材20を硬化させる(S205)。硬化後、型ステージ31が型30を上昇させて離型動作を行う(S206)。以上で、
図7のフローチャートのプログラムを終了する。
【0082】
本プログラムで得られた反射率を用いて、S201〜S206で使用した被処理領域11以外の被処理領域に対して前述のS102〜S113を実行する。すなわち、スプレッドカメラ210で計測した被処理領域11における光の吸収に関する情報である反射率から得られた補正係数によって仮照射量分布データを補正することで、被処理領域11を加熱変形させるための照射量分布データを決定する。
【0083】
これにより、S102〜S113のインプリント処理では基板10上に積層された材料層や当該材料層に既成のパターンに依らず被処理領域11を精度良く形状を補正することができる。S102〜S113でパターンの形成される被処理領域11における重ね合わせ精度を向上させることができる。さらに、S108と同じ条件、すなわち、型30およびインプリント材20を透過した光を用いて反射率を計測することで、インプリント材20の光62の透過率の影響も含めた反射率の情報を計測できる。これにより、第1実施形態よりも重ね合わせ精度を向上させることができる。
【0084】
なお、制御部90は、S204の工程を、S205,206の工程と並行して行ってもよい。あるいは、計測方法に継続して行われるS102〜105の工程と並行して行ってもよい。
【0085】
S102〜S113の工程において、スプレッドカメラ210の撮像素子による受光結果に基づいて、スプレッドカメラ210の処理部はパーティクルの挟み込みや型側パターン30aへのインプリント材の未充填などの欠陥の有無を確認してもよい。さらに、欠陥があればその情報を制御部90を介して記憶部92に記憶してもよい。
【0086】
なお、較正用の反射光強度分布の計測は、スプレッドカメラ210の光源から出射された光に対することで取得してもよい。また、較正用の反射光強度分布時とs103の工程時に、均一照度の光ではなく、仮照射分布データで照射することで得られた反射光強度分布でもよい。
【0087】
本実施形態の変形例として、光62の吸収に関する情報がスプレッドカメラ210を用いて得られた反射光強度であってもよく、この場合に紫外線41の反射率を求めずに較正用基板と測定対象の基板との反射光強度の比を用いて仮照射量分布データを補正してもよい。あるいは、光62の吸収に関する情報がスプレッドカメラ210を用いて得られた反射光強度から求めた、紫外線41の吸収率でもよい。
【0088】
[第5実施形態]
図8は第5実施形態に係るインプリント装置300の構成を示す図であり、被処理領域11の光62の吸収に関する情報を取得する手段は赤外線カメラ210である。また、光62の吸収に関する情報は、被処理領域11からの赤外線(放射光)である。
【0089】
赤外線カメラ310は、赤外光を検出する検出器、光学系、および検出結果を処理する処理部(いずれも不図示)を有する。赤外線カメラ310の検出器は、赤外線に感度のある素子が二次元状に複数配列された赤外線センサである。赤外線カメラ310の光学系は、基板10と検出器とを光学的に共役にする結像光学系である。赤外線カメラ310は、加熱機構60により加熱された被処理領域11から放射される赤外光(放射光)を検出する。赤外線カメラ310の処理部は、検出器の検出結果に基づいて温度分布を求めたり、仮照射量分布データの補正係数を算出する。
【0090】
ミラー330は紫外線41を反射し且つ光220を透過する。ミラー330として、例えば、ダイクロイックミラーが使用される。
【0091】
インプリント装置300において、インプリント装置100と同一の部材には同一の符号が付されている。インプリント装置100と共通の構成部材の詳細な説明は省略する。
【0092】
図9は、本実施形態にかかるインプリント方法を示すフローチャートである。当該フローチャートに示すプログラムに従ってなされた制御部90からの指示に基づいて、各部材が以下の動作を行う。
【0093】
供給部50が、被処理領域11上にインプリント材20を供給する(S301)。押型動作として、型ステージ31が型30を下降させて、型30とインプリント材20とを接触させる(S302)。
【0094】
続いて、観察部80がマーク81とマーク82とを観察することにより、被処理領域11の形状を計測する(S303)。型側パターン30aと被処理領域11の形状差から、制御部90は変形機構23による型側パターン23の形状補正量と加熱機構60による被処理領域11の形状補正量をそれぞれ算出する(S304)。
【0095】
S304で算出された被処理領域11の形状補正量や、設計上の被処理領域11の材料の吸収率、熱膨張係数等の情報を用いて、加熱機構60により付与するための仮照射量分布データを作成する(S305)。また、仮照射量分布データに基づいて被処理領域11に光62を照射したときの温度分布を計算し、仮照射量分布と関連付けて記憶部92に記憶しておく。
【0096】
変形機構23が、S304で得られた型30の形状補正量に基づき型30に外力を与えて所望の形状に補正する(S306)。
【0097】
S305で得られた仮照射量分布データに基づいて加熱機構60が被処理領域11に光62を照射して、被処理領域11の形状を補正する(S307)。
【0098】
S307によって被処理領域11が昇温することによって被処理領域11放出された赤外光を赤外線カメラ310によって計測する(S308)。
【0099】
制御部90は、S305で記憶部92に記憶させた仮照射量分布データと温度分布(放射率分布)との関係に基づき、S308で計測され被処理領域11の温度分布が、所望の温度分布になっているか判定する(S309)。所望の温度分布になっていない(NO)と判断した場合は、S305に戻り、所望の温度分布になるように放射率を補正係数として仮照射量分布データを補正して照射量分布データを作成する(S309a)変形機構23、加熱機構60、赤外線カメラ310はS309で所望の温度分布になっている(YES)と判定されるまでS305〜S309を繰り返し行う。S309において所望の温度分布になっている(YES)と判断した場合は、S310の処理に進む。
【0100】
照射部40が紫外線41を基板10上に照射して、インプリント材20を硬化させる(S310)。硬化後、離型動作として、型ステージ31が型30を上昇させてインプリント材20から型30を引き離す(S311)。これにより、被処理領域11の表面には、型側パターン30aの凹凸部にならった3次元形状のインプリント材20のパターンが成型される。
【0101】
制御部90は、次にパターンを成型すべき被処理領域11が有るかどうか判断し(S312)、無い(No)と判断した場合は本プログラムを終了し、基板10の搬出処理を行う。S312で、有る(Yes)と判断した場合は、S301〜S312を繰り返し行う。
【0102】
赤外線カメラ230で被処理領域11から放出された赤外線を受光した結果を用いて仮照射量分布データを補正することにより、基板10上に積層された材料層や当該材料層に既成のパターンに依らず被処理領域11を精度良く形状を補正することができる。さらにパターンの形成される被処理領域11における重ね合わせ精度を向上させることができる。
【0103】
なお上記では、S309aにおいて所望の温度分布とS308で計測差sれ多温度分布との比率を算出し、当該比率を照射量分布に係数として乗じてもよい。また、あらかじめ実験やシミュレーションによって温度分布と照射量分布とが関連付けて記憶されたデータベースを用意しておき、所望の温度分布になるような照射量分布を選択してもよい。
【0104】
また、本実施形態では、インプリント装置300内の赤外線カメラ310により温度分布を計測することについて記載したが、インプリント装置300外で計測してもよい。例えば、加熱機構60と同じ波長を有する光源を用いて照射光量分布が既知の光を基板10に照射したときの温度分布を赤外光を検出することにより赤外線カメラで計測してもよい。さらに、本実施形態のS309では、被処理領域11の所望の温度分布を判定基準として照射量分布にフィードバックする制御をしたが、オープン制御であってもよい。また、観察部80による観察結果に基づく、型側パターン30aと被処理領域11との形状差、相対位置ずれを判定基準としてもよい。例えば、S303における型側パターンと被処理領域11の形状計測、およびS304における型と被処理領域11の補正量の算出がS305〜S309の間に常時行い、仮照射量分布データ305を随時更新してもよい。そして、S306、S307の型側パターンと被処理領域11の補正の結果を観察部80で計測し、補正残差を最小二乗法などで最小化するように補正係数を算出する。そして、求めた補正係数に基づいて照射量分布を算出する。
【0105】
なお、インプリント装置300では、温度分布に基づいて補正係数を決定するのではなく、当該温度分布を被処理領域11における光の吸収分布に変換した上で吸収率分布から仮照射量分布データを補正する補正係数を決定してもよい。
【0106】
[第6実施形態]
計測部70又はスプレッドカメラ70を用いて計測して得られた代表的な反射率を光62の吸収率に換算して、制御部90は仮照射量分布データを作成する。被処理領域11の光62の吸収に関する情報を計測することにより、設計上予測された吸収率を用いる場合に比べてより精度良く被処理領域11の形状を補正可能な仮照射量分布データを作成できる。仮照射量分布データで被処理領域11の形状補正を精度良くできる場合は、仮照射量分布データをそのまま照射量分布データとして用いてインプリント処理を行ってもよい。或いは、第1〜第5実施形態と同様に、制御部90は、基板10のロット単位ごとの光62の吸収率のばらつき、基板10の面内の光62の吸収率のばらつき、チップ領域ごとの光62の吸収率のばらつきを低減するように、仮照射量分布データを補正して照射量分布を作成してもよい。
【0107】
[その他の実施形態]
第1〜第5実施形態において、型側パターンと被処理領域の形状の計測、及び、型側パターンと被処理領域の形状の補正量の算出は押型動作の後で行ってもよい。
【0108】
基板10には平坦化を目的とした吸収率の高い膜がインプリント材20の層の直下の層に成膜されていてもよい。基板10を変形させやすくなる。当該膜は、例えばSOC(Spin on carbon)膜やSOG(Spin on glass)膜である。
【0109】
第1〜3実施形態及び第5実施形態において、パーティクル検出やインプリント材20の未充填欠陥の検出目的でスプレッドカメラが配置されていてもよい。
【0110】
被処理領域11の形状に基づいて決定される仮照射量分布を補正する補正値は、仮照射量分布に対して乗じる値でなくてもよい。仮照射量分布に対して演算処理を施す際に用いられる値であればよい。また、補正値は複数点における補正値の平均値を用いてもよい。
【0111】
第1〜第3実施形態にかかるインプリント方法において、計測部70がインプリント装置100外に配置されていてもよい。例えば、インプリント装置100の外部に配置された反射率計測器(不図示)を用いて、基板10の搬入前に被処理領域11の反射率を計測してもよい。インプリント装置100の外部で反射率を計測した場合は、計測結果を有線又は無線の回線を介して、又はユーザによる入力によって、記憶部92に記憶させる。制御部90は記憶部92から反射率を取得する。制御部90は、計測部70から直接反射率を取得してもよい。
【0112】
実施形態にかかるインプリント方法において、制御部90の機能のうち、照射量分布データを作成する作成手段としての機能を有する装置がインプリント装置100の外部にあってもよい。制御部90が作成した照射量分布が、記憶情報媒体や有線又は無線通信によって記憶部92に送られてもよい。制御部90に含まれる機能は、それぞれの機能が備わっているのであれば、一つの制御基板上に設けられていても、別個の制御基板上に設けられていてもよい。
【0113】
型側パターン30aの形状と被処理領域11の形状は、
図4のフローチャートに示すインプリント処理の前に、予め計測した結果であってもよい。この場合、S103の工程では、予め計測した結果を記憶部92から読み出す工程とする。
【0114】
型30の形状補正は行わずに、被処理領域11の熱変形による形状補正のみを実行してもよい。
【0115】
計測部70のうち算出部76としての機能を実行する制御基板が、制御部90を構成する制御基板と同一の制御基板上に配置されていてもよい。
【0116】
インプリント材20として、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、放射線、熱等が用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。
【0117】
硬化性組成物は、光や放射線の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物である。このうち、光により硬化する光硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有し、必要に応じて非重合性化合物又は溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。
【0118】
インプリント材は、スピンコーターやスリットコーターにより基板上に膜状に付与される。或いは液体噴射ヘッドにより、液滴状、或いは複数の液滴が繋がってできた島状又は膜状となって基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
よい。
【0119】
[物品製造への適用]
インプリント装置100を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。
【0120】
物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。
【0121】
型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。
【0122】
硬化物のパターンを一時的に用いる場合、基板10を加工する工程としてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
【0123】
さらに、他の周知の処理工程(現像、酸化、成膜、蒸着、平坦化、インプリント材剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を施してもよい。
【0124】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。