(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、かつおなどの削り魚節は、枯節を形成し、枯節を削成して製造されてきた。品質表示基準によると、削り魚節には、薄削り、厚削り、糸削り及び削り粉があり、薄削りは、厚さ0.2mm以下のものをいい、厚削りは、厚さ0.2mmを超えるものをいう。薄削りは、だしをとるのに用いられたり、そのままふりかけて用いられたりしている。厚削りもだしをとるのに用いられるが、そばのだしなど特定のだしをとるのに用いられている。
【0003】
削り魚節は、薄削りにしろ厚削りにしろ、だしをとった後は廃棄されている。薄削りは、削り魚節の肉厚が薄いため、だしをとった後、旨味成分が完全に溶出してしまい、美味しくないためである。厚削りは、肉厚が厚いため、旨味成分が完全に流出することはない。ただ、厚削りは、だしがとれれば、その目的を終えるものであり、削り魚節の内部まで火が通っているかは問わないものである。そのため、厚削りの内部には、堅い芯があり、美味しくないため、廃棄されている。
【0004】
だしをとった削り魚節を廃棄せず食用に供する削り魚節として、計量スプーンで計量可能な削り魚節であり、削り魚節の肉厚が0.15〜0.30mmのチップ形状であり、チップ形状の最長寸法と最短寸法の和が4cm以下の大きさであり、火の通りやすい削り魚節が提案されている。(特許文献1)。
しかしながら、だしをとった上述の削り魚節は、醤油、味噌及びマヨネーズなどで味付けする必要があり、削り魚節に十分な旨味成分が残っているといえない問題があった。また、だしをとった上述の削り魚節は、内部に堅い芯こそないものの、それだけでは、優れた食感を有するものとはいえない。
【0005】
一方、削り魚節の強度を小さくする技術が存在する(特許文献2)。
具体的には、魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に削成することにより削り魚節の強度を小さくすることができる。
しかし、この先行技術では厚削りの魚節を食用に供する点についても、また厚削りの魚節を用いて食べて美味しいと言える魚節を提供する点についても開示も示唆もされていない。
そもそも薄削りにしろ厚削りにしろ削り魚節は、だしをとった後は廃棄されることが前提となっている食材である。削り魚節のうち、そのままふりかけて用いるのは、薄削りであり、柔らかく優れた食感を期待されるのは、薄削りに限られるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らが検討したところ、単に魚節を厚削りした場合、食感が悪く食用に堪えないことに気が付いた。
本発明の目的は、だしをとった後、削り魚節に十分な旨味成分が残っているため、そのまま食べることができ、柔らかく優れた食感を有する削り魚節の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが上記問題を解決するため鋭意検討した結果、削り魚節中における繊維配列の長さが、平均で1mm未満であり、肉厚が平均0.20mm〜0.30mmの範囲であり、前記削り魚節の引張強度が、1.0〜40kgf/cm
2の範囲である削り魚節が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、
[
1]魚節を95℃〜125℃の温度範囲で1分〜15分の間加熱する蒸煮工程と、
魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削して削り魚節の肉厚を平均0.20mm〜0.30mmの範囲とする切削工程と、
を備え、
前記切削工程における魚節の温度が45℃〜90℃の範囲であ
り、
前記削り魚節中における繊維配列の長さが、平均で1mm未満であり、
前記削り魚節の肉厚が平均0.20mm〜0.30mmの範囲であり、
前記削り魚節の引張強度が、1.0〜40kgf/cm2の範囲である、だしとり用兼食用の削り魚節の製造方法を提供するものである。
【0012】
また本発明の一つは、
[
2]前記切削工程が、回転する円盤状刃に対して魚節を略垂直に接触させる工程を含み、
前記円盤状刃に含まれる切削刃100の切削刃先端1の角度が、35.0〜45.0°の範囲であり、
前記円盤状刃の回転数が、130〜240rpmの範囲である、上記[
1]に記載のだしとり用兼食用の削り魚節の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の削り魚節は、削り魚節中における繊維配列の長さが平均で1mm未満であるが、この様な削り魚節は魚節の繊維方向に対して略垂直に魚節を切削して製造されるため、削り魚節の繊維が輪切りに断ち切られている。
このため、本発明の削り魚節は、柔らかく優れた食感を有するようになる。
魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に削成する技術は、従来薄削りに用いられるものである。
魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に厚く削成した場合、切削工程中に魚節が割れ易くなるため一定品質の削り魚節がえられにくいとの問題がある。
魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削して得られる本発明の削り魚節の場合は、得られた厚削りの削り魚節をそのまま使用することができ、食感向上のために破砕する工程を経なくても、柔らかく優れた食感を実現し、食べやすい削り魚節を提供することができる。
【0014】
また、本発明の削り魚節は、肉厚が平均で0.20mm〜0.30mmの範囲である。
本発明の削り魚節は、肉厚が厚い厚削りであるため、本発明の削り魚節をだし用途に使用した後でも旨味成分が流出し尽くすことはない。
【0015】
また、本発明の削り魚節の引張強度1.0〜40kgf/cm
2の範囲であり、従来法である魚の繊維方向に対して原料魚を水平方向に切削して得られた削り魚節よりも引張強度が小さい。
このため食用に供したときに噛んでも口の中にいつまでも残ることなく、柔らかな食感を味わうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係るだしとり用兼食用の削り魚節について説明する。
前記だしとり用兼食用の削り魚節は、魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削して得られる。
ここで魚節を略垂直に切削する、とは、魚節の繊維方向に略垂直に切断することを意味する。
通常、魚節中では長手方向に繊維が概略一方向に沿って配列している。魚節を魚節の長手方向に切削した場合には、得られた削り魚節を顕微鏡で観察すると1mm以上の長さの繊維配列が存在することを観察することができる。
これに対して本発明により得られる削り魚節は魚節の繊維方向に対して魚節が略垂直に切削されているため、得られた削り魚節を顕微鏡で観察しても1mm以上の長さの繊維配列を観察することができない。
この通り1mm以上の長さの繊維配列を観察することができるかどうかにより魚節の繊維方向に魚節が略垂直に切断されているかどうかを確認することができる。
【0018】
また略垂直との意味は、切削前の魚節を二枚の平行な長方形状板により挟んで固定した際の、長方形状板の長手方向に対して垂直方向のことを意味する。
【0019】
削り魚節中における繊維配列の長さを平均で1mm未満とすることにより、得られるだしとり用兼食用の削り魚節の食感をさらに良好にすることができる。
削り魚節中における繊維配列の長さは平均で100μm未満であることが好ましく、50μm未満であればより好ましい。
また削り魚節中における繊維配列の長さは、1mm以上のものが検出できないことが最も好ましい。
【0020】
また前記だしとり用兼食用の削り魚節の肉厚は平均で0.20mm〜0.30mmの範囲内である。
前記だしとり用兼食用の削り魚節の肉厚が平均で0.20mm〜0.30mmの範囲内の場合には、前記だしとり用兼食用の削り魚節によりだし汁を作成しそのまま前記だしとり用兼食用の削り魚節を食用に供した場合、美味しい料理が得られる。
前記だしとり用兼食用の削り魚節の肉厚が平均で0.20mm〜0.30mmの範囲ではない場合には、前記だしとり用兼食用の削り魚節によりだし汁を作成しそのまま前記だしとり用兼食用の削り魚節を食用に供した場合、美味しい料理は得られない。
【0021】
前記だしとり用兼食用の削り魚節は、前記削り魚節のうち100重量パーセント中80重量パーセント以上が4.0cm
2を超えて225.0cm
2の範囲であれば好ましい。
【0022】
前記だしとり用兼食用の削り魚節は、本発明の削り魚節の引張強度1.0〜40kgf/cm
2の範囲である。
この範囲であれば柔らかな食感を味わうことができる。
【0023】
次に前記だしとり用兼食用の削り魚節の製造方法について説明する。
本発明の前記だしとり用兼食用の削り魚節を製造する場合、既に製造されている魚節を入手して使用してもよいし、魚節を製造する工程により得られる魚節を使用してもよい。
魚節を製造する工程としては、例えば、原料魚の身卸し工程、焙乾・あん蒸工程等を含めることも可能である。
【0024】
本発明に使用する魚節の原料魚としては、例えば、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじおよびあご等からなる群から選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。前記原料魚はかつおであれば好ましい。
【0025】
前記原料魚の重量については通常魚節に使用されるものであれば特に限定はないが、
通常は0.3〜8kg、好ましくは0.5〜6kg、さらに好ましくは1〜3kgの範囲
である。
【0026】
まず原料魚に対して身卸し工程を行う。
身卸し工程は、原料魚から骨、腹肉、内臓、鱗等を除去する操作等により実施される。
【0027】
なお、前記原料魚は必要に応じて適宜加温することができる。前記原料魚の加温は使用される原料魚が凍結されている場合には、前記身卸し工程の前に実施することが好ましい。加温工程は、原料魚を温水等で加温すればよい。
【0028】
次に焙乾・あん蒸工程について説明する。
前記身卸し工程により得られた魚肉片を専用の燻製室に入れて、樫、楢、椚等の落葉広葉樹を薪として前記魚肉片を燻製する操作を実施する。この燻製操作のことを焙乾という。
前記焙乾は、原料魚の種類、量等に応じて適宜実施されるが、一例を挙げるとすれば、例えば、前記燻製室の温度が通常50〜100℃の範囲となるようにして行うことができる。
前記焙乾の実施後、前記魚肉片を一晩静置することにより、前記魚肉片の内部から水分
が前記魚肉片の表面に滲出する。この静置操作のことをあん蒸という。
前記あん蒸後、引き続き前記焙乾を実施する。
この焙乾、あん蒸を2週間程度の時間をかけて交互に通常実施する。
この焙乾・あん蒸工程により、荒節を得ることができる。
【0029】
前記荒節を冷暗所で保管し、表面を削ってタール分等を除去してから黴付け工程を行う
ことにより、枯節を得ることができる。
前記黴付け工程に特に限定はなく、通常枯節を製造する際に実施される方法を適宜選択
して実施することができる。
【0030】
上述した製造方法により、前記荒節および枯節の少なくとも一方からなる魚節を得ることができる。
本発明に使用する魚節は、水洗およびブラッシングすることが好ましい。水洗およびブラッシングをすることにより、得られる削り魚節にかび、骨等の夾雑物が混入することを防ぐことができる。
【0031】
まず本発明の製造方法の工程の一つである蒸煮工程について説明する。
前記蒸煮工程は、前記魚節を95℃〜125℃の温度範囲で1分〜15分の間加熱することが好ましい。
前記温度範囲は100℃〜120℃の範囲であればより好ましい。また加熱時間は3分〜8分以下であればより好ましい。
蒸煮工程に続く切削工程の前に前記魚節を上記の条件により処理することにより、比較的安定した形状の魚節を製造することができる。
前記温度範囲が90℃未満となると、得られる削り魚節に含まれる粉末成分が多くなる場合があり、前記温度範囲が130℃を超えると、得られる削り魚節の色調が低下する場合がある。
【0032】
前記蒸煮工程は、前記魚節と水蒸気を接触させることにより実施することができる。なお、前記蒸煮工程は、一気圧以上の圧力下で水が存在する環境下で実施してもよい。
【0033】
次に切削工程について説明する。
前記切削工程は、前記魚節の温度を45℃〜90℃の範囲に保って実施することが好ましい。
前記魚節の温度が40℃未満となると、得られる削り魚節に含まれる粉末成分が多くなる場合があり、前記温度範囲が95℃を超えると、得られる削り魚節の厚さの変動が大きくなり安定した製品を得るのが困難となる場合がある。
【0034】
前記切削工程は、削り魚節の肉厚が平均で0.20mm〜0.30mmの範囲内で実施される。
前記切削工程は、例えば、スリットを付けた回転する円盤状刃に対して魚節を略垂直に接触させることにより実施することができる。円盤状刃の回転速度、円盤状刃の大きさは使用する魚節の種類、大きさ等により適宜設定することができる。
【0035】
図1は、削り魚節を製造する際に使用する切削刃100の模式正面図である。前記切削刃100は、ステンレス等の金属材料、セラミック等の無機材料を成形して得ることができる。
前記切削刃100は、切削刃先端1と切削刃本体2とから形成されている。前記切削刃先端1には刃部3とスリット4が設置されている。
また前記切削刃100には、前記切削刃100を回転盤に設置するための取付孔5,6が設けられている。
【0036】
前記切削刃100の横幅は30〜150mmの範囲であることが好ましく、40〜100mmの範囲であればより好ましい。
前記切削刃100の厚みは1.0〜20.0mmの範囲であることが好ましく、1.0〜5.0mmの範囲であればより好ましい。
【0037】
前記スリット4とスリット4との間隔は1.0〜30mmの範囲であることが好ましく、3.0〜10.0mmの範囲であればさらに好ましい。
前記スリット4の幅は、0.1〜2.0mmの範囲であることが好ましく、0.3〜1.0mmの範囲であればさらに好ましい。
前記スリット4の深さは1.0〜10.0mmの範囲であることが好ましく、1.0〜5.0mmの範囲であればさらに好ましい。
【0038】
図2は、削り魚節を製造する際に使用する切削刃100の模式側面図である。
図2に示した前記切削刃100側面は、
図1における左側の側面に該当する。
前記切削刃100の切削刃先端1の角度は、
図2における一点破線A−Aと一点破線B−Bとの交差角により表される。
前記切削刃100の切削刃先端1の角度は、35.0〜45.0°の範囲であることが好ましく、37.0〜43.0°の範囲であればより好ましい。
また前記切削刃100の切削刃先端1の
図2における右側傾斜は、前記切削刃100の長手方向と一点破線A−Aとの交差角により表される。
前記切削刃100の切削刃先端1の
図2における右側傾斜は、20〜35°の範囲であれば好ましく、25〜33°の範囲であればより好ましい。
【0039】
図3は、削り魚節を製造する際に使用する回転切削装置200の模式部分斜視図である。
回転盤120に設置された刃口に、前記切削刃100が固定板110を介してボルト等の固定手段(図示せず)により固定されている。回転装置140の内部には回転手段としての電動モーターが格納されていて(図示せず)、前記電動モーターに接続された回転軸130を介して前記回転盤120が回転する。
前記回転盤120の周囲には台150と削り魚節回収カバー160が設置されている。
【0040】
図4は、前記切削刃100が前記回転盤120の刃口170に設置された状態を説明するための模式部分断面図である。
前記切削刃100は、鉋状に前記回転盤120の刃口170に設置されている。
【0041】
図5は、削り魚節を製造する際に使用する回転切削装置200の模式部分斜視図である。
図5は、
図4の前記回転切削装置200の反対側に立ち、前記回転盤120を斜め上方から見下ろした状態を模式的に示したものである。
前記回転盤120には、放射状に刃口170が間隔を置いて設置されていて、この刃口170の内部に設置された切削刃100により、魚節ケース180に設置された魚節(図示せず)を回転している前記回転盤120に押し当てて、魚節を切削することにより削り魚節を製造することができる。
前記回転盤120の回転速度は、130〜240rpmの範囲であれば好ましい。なお、rpmとは一分間当たりの回転数を意味する。
【0042】
前記回転盤120により切削された削り魚節は、
図3に示される削り魚節回収カバー160の下方に落ちる。別途容易した回収容器(図示せず)により削り魚節を回収して、削り魚節を得ることができる。
【0043】
前記切削工程を経て、本発明に係るだしとり用兼食用の削り魚節を得ることができる。
【0044】
以下に本発明について実施例に基づき説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0045】
本実施例においては魚節としてかつお節を使用した。
かつお節を水洗し、ブラッシングして、かつお節に付着しているかびや骨等を除去した。
次に前記かつお節を水蒸気に接触させて100℃の温度で3分〜8分以下の時間加熱した。
加熱後のかつお節を50℃の温度に保って、先に
図1から
図5に従って説明した装置と条件により、前記かつお節を略垂直方向に回転する円盤状刃に接触させて削りかつお節の肉厚が平均で0.20mmとなるように前記かつお節を切削した。
得られた削りかつお節を容器に受けて扇風機の冷風により2時間以上冷却した。
次に窒素ガスを封入する機能を備えた自動計量充填装置を用いて、ポリエチレン製の包装袋に削りかつお節を一つの袋当たり10〜11g入るように窒素と共に充填した。
次に包装された削りかつお節を金属探知器にかけて金属異物が混入していないことを確認して箱詰めして梱包しだしとり用兼食用の削り魚節を得た。
実施例1により得られただしとり用兼食用の削り魚節を使用してだし汁を作成し、そのままだし汁と共に実施例1により得られただしとり用兼食用の削り魚節を14名の者により試食した。
その結果、14名中、11名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【実施例2】
【0047】
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が平均で0.25mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、13名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答した。結果を表1に示す。
【実施例3】
【0048】
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が平均で0.30mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、12名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答した。
美味しいと思うとの回答が過半数を超えたのは、肉厚の厚さが0.20mm〜0.30mmの範囲のみであった。肉厚の厚さが薄くなると、かさばるとの回答が多く、肉厚の厚さが厚くなると食感が気になるとの回答が多かった。結果を表1に示す。
【0049】
[比較例1]
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が平均で0.10mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、0名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答した者はいなかった。結果を表1に示す。
【0050】
[比較例2]
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が平均で0.15mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、4名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表1に示す。
【0051】
[比較例3]
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が平均で0.35mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、5名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表1に示す。
【0052】
[比較例4]
実施例1の場合で、削りかつお節の肉厚が平均で0.40mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に実験を実施した。
その結果、14名中、1名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表1に示す。
【0053】
[比較例5]
従来のかつお節の製造方法と同様、かつお節の長手方向に対して平行にかつお節を切削する製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が平均で0.10mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、1名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
【0054】
[比較例6]
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が平均で0.15mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、1名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
【0055】
[比較例7]
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が平均で0.20mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、3名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
【0056】
[比較例8]
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が平均で0.25mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、4名がだし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものの、美味しいと回答した者の総数は過半数に満たなかった。結果を表2に示す。
【0057】
[比較例9]
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が平均で0.30mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、だし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものはいなかった。結果を表2に示す。
【0058】
[比較例10]
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が平均で0.35mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、だし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものはいなかった。結果を表2に示す。
【0059】
[比較例11]
従来のかつお節の製造方法と同様の製造方法に従い、削りかつお節の肉厚が平均で0.40mmとなるように削りかつお節を切削した他は実施例1の場合と全く同様に試食試験を実施した。
その結果、14名中、だし汁および削りかつお節が美味しいと回答したものはいなかった。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【実施例4】
【0061】
かつお節を水蒸気に接触させて加熱する温度を90℃〜130のそれぞれの温度で10℃刻みで3分〜8分の時間加熱した以外は実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
この際の結果を表3に示した。
かつお節を水蒸気に接触させて加熱する温度が95℃〜125℃の範囲の場合には食感に優れた削りかつお節が得られた。
またかつお節を水蒸気に接触させて加熱する温度が90℃と130℃の場合には市場に提供するレベルにある製品を得ることができないことが判明した。
【0062】
【表3】
【実施例5】
【0063】
かつお節を切削する際のかつお節の温度を40〜95℃の範囲で変化させて実験を行った他は実施例1の場合と全く同様の実験を行った。
この際の結果を表4に示した。
かつお節を切削する際の温度が40℃と95℃の場合には市場に提供するレベルにある製品を得ることができず、45℃〜90℃の範囲の場合には市場に提供するレベルにある製品が得られることが判明した。
【0064】
【表4】
【実施例6】
【0065】
実施例2の中から13の試験用の削りかつお節を用いて引張試験を実施した。引張試験には東洋精機製作所製の試験機(型番A−121704403)を用いて、30cm/minの速度で実施した。
試験用の削りかつお節の平均厚みは260μmであり、引張強度(破断した強度)の値は1.0〜40kgf/cm
2の範囲にあった。
結果を表5および
図8に示す。
【0066】
【表5】
【0067】
[比較例12]
比較例8の中から7の試験用の削りかつお節を用いて引張試験を実施した。引張強度試験には東洋精機製作所製の試験機(型番A−121704403)を用いて、30cm/minの速度で実施した。
試験用の削りかつお節の平均厚みは249μmであり、引張強度(破断した強度)の値は40kgf/cm
2を越えた範囲にあった。
結果を表6および
図8に示す。
【0068】
【表6】