(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
全期間中に荷電粒子ビームライタから送出される複数のショットグループを画定するデータを受け、前記複数のショットグループの第1ショットグループは、前記全期間中の第1期間に表面の第1指定領域に送出され、前記複数のショットグループの第2ショットグループは、前記第1期間の後の第2期間に第2指定領域に送出され、前記第2ショットグループからの露光の二次的効果を前記第1指定領域で前記第2期間に受け、更に、
前記全期間中の前記第2期間で前記第1指定領域の温度を決定することを含み、前記温度の決定は、前記第1ショットグループからの露光による熱および前記複数のショットグループからの熱拡散の計算を含み、
前記第2ショットグループにより、前記第2期間において前記第1指定領域で受ける露光の前記二次的効果を決定することを含み、前記二次的効果を決定することは、前記第1指定領域の温度が増大するにつれて前記二次的効果が増大することを含み、
前記温度を決定すること、および、前記第2期間における前記二次的効果を決定することに基づいて、前記第1期間に送出されるべき前記第1ショットグループ中の少なくとも1つのショットを変更することを含み、
前記第2ショットグループからの露光の前記二次的効果は、長距離効果と中距離効果とを包含するグループの1つを含み、前記長距離効果は、後方散乱を含み、前記中距離効果は、EUV散乱効果を含み、
前記受けること、前記温度を決定すること、及び前記二次的効果を決定することは、コンピューティングハードウェアプロセッサにより実行される、方法。
全期間中に荷電粒子ビームライタが送出する複数のショットグループを画定するデータを受け、前記複数のショットグループのターゲットショットグループは、全期間中のターゲット期間に表面のターゲット指定領域に送出され、
複数の期間に前記ターゲット指定領域の複数の過渡温度を決定し、各期間は、複数のショットグループのうちのショットグループからターゲット指定領域が受ける露光の時間の間隔であり、前記複数の過渡温度を決定することは、前記ターゲットショットグループからの露光による熱および前記複数のショットグループからの熱拡散の計算を含み、過渡温度が決定される少なくとも1つのショットグループは、i)前記ターゲット期間の後の期間に送出され、かつ、ii)二次的効果を有する前記ターゲット指定領域によって受ける露光を引き起こし、前記二次的効果は、後方散乱を含み、
全期間に対する前記ターゲット指定領域の実効温度を決定し、前記実効温度は、複数の過渡温度を使用して決定され、各期間で補償ファクタを前記過渡温度に適用し、前記補償ファクタは、前記ターゲット領域がその期間に受けた露光量に基づき、更に、
前記ターゲット指定領域の前記実効温度に基づいて前記ターゲットショット内のショットを変更し、
前記受けること、前記複数の過渡温度を決定すること、前記実効温度を決定すること、及び、前記変更することは、コンピューティングハードウェアプロセッサで実行される、方法。
前記実効温度の決定は、適用された露光ベースの補償ファクタを有する過渡温度を合計し、前記合計を、全期間中に前記ターゲット指定領域が受けた全ての露光の合計で割る、請求項6に記載の方法。
全期間中に荷電粒子ビームライタが送出する複数のショットグループを画定するデータを受け、前記複数のショットグループの第1ショットグループは、全期間中の第1期間に表面の第1指定領域に送出され、更に、
第2期間に前記第1指定領域の温度を決定し、この第2期間は、複数のショットグループの第2ショットグループからの露光の二次的効果を前記第1指定領域で受ける時間であり、更に、
前記第1ショットグループに温度ベースの近接効果補正(PEC)を実行し、前記温度ベースのPECは、第2期間に前記第1指定領域の温度が、前記第1領域で前記第2ショットグループからの露光の二次的効果にどのように影響するかを考慮する、方法。
全期間中に荷電粒子ビームライタが送出する複数のショットグループを画定するデータを受けるように構成されたデバイスを含み、前記複数のショットグループのターゲットショットグループはターゲット期間に表面のターゲット指定領域に送出され、更に、
全期間中の複数の期間に、前記ターゲット指定された領域の複数の過渡温度を決定するように構成されたデバイスを含み、前記複数の期間のうちの少なくとも1つの期間は、複数のショットグループのうちの第2ショットグループからの露光の二次的効果を前記ターゲット指定領域で受ける期間である、システム。
前記システムは、インライン処理を実行するように構成され、前記複数の過渡温度を決定するように構成されたデバイス及び前記実効温度を決定するように構成されたデバイスが、複数のショットグループ内の追加ショットグループに対応する追加指定領域の複数の過渡温度及び実効温度を決定する間に、前記パターンは、ターゲットショットグループを使用して形成される、請求項14に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、リソグラフィ、特に、荷電粒子ビームリソグラフィを使用するレチクルの表面、ウェハ、または他の表面であることがある表面のデザイン及び製造に関する。他の実施形態は、半導体ウェハまたはフォトマスクの用語で説明するが、ここに記載の方法及びシステムは、半導体デバイスの製造に使用される他の素子にも適用することが可能である。実施形態は、フラットパネルディスプレイ、マイクロ電子機械システム、及び、電子ビーム書き込みにより精度が必要な他の顕微鏡的構造等の種々の電子デバイスの製造にも適用して良い。したがって、表面に送出されるショットに対する言及は、例えば、半導体ウェハの表面またはレチクル若しくはフォトマスクの表面に適用するものである。
【0014】
レチクル等の表面に形成される形状のサイズが、最新の組み立て技術で減少するため、より高精度のレジストがこれらのパターンを形成するために使用される。これらの高精度のレジストの感度は、より大きな組み立て技術に使用されるレジストよりも低い。例えば、一般のレジストは15uC/cm
2の感度を有するが、高精度のレジストはより典型的には、24〜45uC/cm
2の感度を有する。感度が>100uC/cm
2であるいくつかのレジストを含む低感度のレジストでも、すでにいくつかの特別な高精度の用途に使用されている。低感度のレジストで要求される高用量は、レチクルの書き込み時間を長くする。低感度のレジストに起因する書き込み時間のこの増加を低減するため、新たに荷電された粒子ビームライタが、開発されており、これはより大きな最大電流を可能とする。一方、現在使用されているほとんどの電子ビームライタは、400〜1600A/cm
2の範囲の電流密度をサポートし、更に高電流密度が、荷電粒子ビームライタの将来の世代で予測される。強ビーム流が使用されていることに加えて、ショットも、書き込み時間を減少するために、より高速で送出される。これらのファクタの双方は、基板に露光されかつ下側に配置される表面で消散するために、加熱のための時間がより少なくなる。
【0015】
荷電粒子ビームショットからの荷電粒子は、レジスト及びレジストが被覆されている基板を加熱する。高電流荷電粒子ビームライタは、低電流荷電粒子ビームライタよりも短期間でレチクル等の基板に所定のショット容量を提供することができ、これにより、レジスト及びレジストが被覆された基板により高い温度上昇を生じさせる。レジストがパターンを記録する用量(dosage)であるレジストの閾値等の種々の製造条件は、温度依存するため、大きな温度上昇は、低電流荷電粒子ビームライタの使用に比較して、高電流荷電粒子ビームライタを使用して形成されるパターンの測定される限界寸法(CD)の変動を増大させることになる。同様に、任意の荷電粒子ビーム露光ライタ、または、書き込み工程中の基板の温度範囲若しくは熱変動を上昇させる方法は、基板に形成されるパターンで測定されるCD変動を増大させる。
【0016】
本開示では、マスク、ウェハまたは他の基板の表面に書き込まれるパターンは、直接露光効果に加え、二次的効果とも称される電子ビーム露光の間接効果の温度関連の影響を生じさせる技術、及び、このような間接効果上の温度関連の影響を生じさせる技術を使用してモデル化される。荷電粒子ビームショットからの二次的効果からの温度の影響、及び/または、二次的効果上の温度の影響は、シミュレートされ、いくつかの実施形態では、パターンが所要の仕様に、より正確に形成できるように、修正される。間接、または、二次的効果は、後方散乱等の長距離効果、及び、書き込みEUVマスク用などの中距離効果を含む。
【0017】
荷電粒子ビームが表面を露光すると、表面上に書き込まれるパターンの精度に影響する種々の物理的効果がある。これらの効果は、典型的には、短距離、中距離及び長距離効果として説明される。短距離効果は、前方散乱、クーロン効果およびレジスト拡散を含む。中距離効果は、極紫外線(EUV)光リソグラフィに対するマスクの書き込みのときに最も顕著に生じ、ここで、電子等の荷電粒子の中距離散乱は、1〜2μmの半径に影響することがある。長距離効果は、後方散乱、曇り、及びローディング効果を含む。後方散乱は、基板に入射する電子の衝突から生じ、荷電粒子が散乱する。
【0018】
これらの種々の物理的影響は、電子ベースの表面の露光、及び、電子ビームの作用で上昇する熱の双方により、書き込まれる表面に作用させることができる。中距離及び後方散乱を含む長距離効果などのこれらの二次効果を受けるときの温度の相違の影響は、当該分野では認識されてこなかった。例えば、マスクまたはウェハ表面の露光感度は温度及び露光の双方に依存することは知られているが、間接露光を受けるときの領域の温度の影響も、温度分布上の間接露光の影響も当該分野では考慮されてこなかった。これらの効果の存在を認識することで、より正確な分析、シミュレーション、及び、例えばEUV中距離補正及び近接効果補正(PEC)であるこれらの二次的効果の補正が、温度の効果を考慮することが説明される本開示の方法を生じさせる。特に、当該分野で考慮されてこなかった、二次的効果を受け取るときの領域の温度の影響がシミュレートされ、これは、実行時間または必要なメモリ等の計算効率を得るために、概算または直接計算の種々の程度、及び、電子ビーム書き込みのためのより正確なパターンを作るために使用される結果を含んでも良い。
【0019】
図面を参照すると、同様の数字は同様の項目を指し、
図1は、荷電粒子ビームライタシステム等のリソグラフィシステムの実施形態を示し、この場合には、電子ビームライタシステム10は、可変成形ビーム(VSB)を採用し、表面12を製造する。電子ビームライタシステム10は、電子ビーム16を開口プレート18に向けて投影する電子ビーム源14を有する。プレート18は、電子ビーム16を通過させる孔20が形成されている。一旦、電子ビーム16が孔20を通過すると、電子ビーム22が他の矩形開口プレートまたはステンシルマスク24に向くように、レンズのシステム(図示しない)により導かれまたは偏向される。ステンシル24は、矩形または三角形等の種々の単純な形状を画定する多数の開口または孔26を形成される。ステンシル24に形成される各孔26は、シリコンウェハ、レチクルまたは他の基板等の基板34の表面12にパターンを形成するために使用しても良い。電子ビーム30は孔26の1つから出現し、電磁的または静電的減衰レンズ38を通過し、これは、孔26から出現するパターンのサイズを減少させる。一般的に利用可能な荷電粒子ビームライタシステムでは、減衰ファクタは10と60の間である。減速した電子ビーム40は、減衰レンズ38から出現し、一連のデフレクタ42で、パターン28として表面12上に導かれる。表面12は、電子ビーム40と反応するレジスト(図示しない)で被覆される。電子ビーム22は、孔26の可変部に重なるように導いても良く、パターン28のサイズ及び形状に影響する。ブランキングプレート(図示しない)がビーム16または成形ビーム22を偏向するために使用され、レンズがビーム22を導き、デフレクタ42が連続的なショットのために再調整されるときに、各ショットの後の期間に、電子ビームが表面12に達するのを阻止する。典型的には、ブランキングプレートは、電子ビーム16を偏向して照明孔20から阻止するように、位置する。従来、ブランキング期間は、固定の時間長とすることがあり、または、例えば、連続的ショットの位置に対してデフレクタ42をどの程度の量を再調整しなければならないかに従って、変更しても良い。
【0020】
電子ビームライタシステム10では、基板34は、可動プラットフォームまたはステージ32に装着される。ステージ32は、基板34を、最大変更能力または荷電粒子ビーム40のフィールド長よりも大きなパターンが一連のサブフィールド内の表面12に書き込むことができるように、再配置することを可能とし、ここでは、各サブフィールドは、ビーム40を偏向するためにデフレクタ42の能力内にある。1つの実施形態では、基板34はレチクルでも良い。この実施形態では、レチクルは、パターンに露光されたのち、種々の製造工程にかけられ、これを通してリソグラフィックマスクまたはフォトマスクとなる。マスクは、この後、光リソグラフィマシンで使用され、集積回路を作成するために、レチクルパターン28の画像を、全体的には縮小したサイズで、シリコンウェハ上に投影することができる。より一般的には、マスクは、他のデバイスまたはマシンで使用され、パターン28を基板(図示しない)に転写される。
【0021】
最も進歩した技術的ノードに対するレチクルの書き込みは、典型的には、多数回にわたる荷電粒子ビーム書き込み、すなわち、マルチパス露光と称される工程を包含し、これにより、レチクル上に所与の形状が書き込まれ、上書きされる。典型的には、2から4回のパスが使用されてレチクルに書き込まれ、荷電粒子ビームライタにおける精度誤差を平均化し、より正確なフォトマスクの作成を可能とする。更に、典型的には、用量を包含するショットのリストは、各パスで同じである。マルチパス露光の1つの変形例では、ショットのリストは露光パス間で異なっても良いが、いずれの露光パスにおけるショットの和は、同じ領域をカバーする。マルチパス書き込みは、熱効果によるCD変動を減少させることができる。マルチパス書き込みは、更に、荷電粒子ビームライタのランダムエラーを平均化する。異なる露光パスに対して異なるショットリストを使用するマルチパス書き込みも、書き込み工程における特定のシステムエラーの効果を減少させることができる。
【0022】
荷電粒子ビームシステムは、複数の個々に制御可能なビームまたはビームレットで表面を露光することができる。
図2は、電気光学的概略図を示し、3つの荷電粒子ビームレット210が記載されている。各ビームレット210にビームコントローラ220が割り当てられている。ビームコントローラ220は、例えば、その割り当てられたビームレット210を表面230に衝突させることができ、更に、ビームレット210が表面230に衝突するのを防止することができる。いくつかの実施形態では、ビームコントローラ220は、更に、ビームレット210のビームのぼやけ、倍率、サイズ及び/または形状を制御することができる。本開示では、複数の個々に制御可能なビームレットを有する荷電粒子ビームシステムは、マルチビームシステムと呼ばれる。いくつかの実施形態では、単一のソースからの荷電粒子は細分割されて複数のビームレット210を形成する。他の実施形態では、複数のソースが使用され、複数のビームレット210を作成する。いくつかの実施形態では、ビームレット210は、1つまたは複数の孔で成形しても良く、一方、他の実施形態では、ビームレットを成形する孔がなくても良い。各ビームコントローラ220は、その関連するビームレットの露光期間を個々に制御することを可能としても良い。一般的に、ビームレットは、表面230に衝突する前に、1つまたは複数のレンズ(図示しない)でサイズを減少される。いくつかの実施形態では、各ビームレットは別個の電子−光学レンズを有しても良く、一方、他の実施形態では、すべてのビームレットを包含することが可能である複数のビームレットは、電子−光学レンズを共有する。
【0023】
本開示のため、ショットは所定期間にわたるいくつかの表面領域の露光である。この領域は、多数の不連続の小さな領域を有しても良い。ショットは、重なっても良くまたは重ならなくても良く、同時に露光しても良くまたは同時に露光しなくても良い複数の他のショットを有しても良い。ショットは、特別の用量を有しても良く、または、用量は、特別でなくても良い。ショットは、成形ビーム、非成形ビーム、または、成形及び非成形ビームの組み合わせを用いても良い。
図3は、ショットのいくつかの異なるタイプを示す。
図3Aは、矩形ショット310の実施例を示す。VSB荷電粒子ビームシステムは、例えば、種々のx及びy寸法で矩形ショットを形成することができる。
図3Bは、文字投影(CP)ショット320の実施例を示し、これは、この実施例では円形である。
図3Cは、台形ショット330の実施例を示す。1つの実施形態では、ショット330は、ラスター走査荷電粒子ビームを使用して作成しても良く、ここで、ビームは、例えば走査ライン332で示すように,x方向に走査される。
図3Dは、ドラッグショット340の実施例を示し、米国特許出願公開2011−0089345に記載されている。ショット340は、初期基準位置344において曲線状ビーム342で表面を露光し、この後、成形ビームを位置344から位置346まで表面を横断して移動することにより形成される。ドラッグショットパスは、例えば、直線状、区分的な直線状、または、曲線状であっても良い。
【0024】
図3Eは、円形パターン352の配列であるショット350の実施例を示す。ショット350は、種々の方法で形成しても良く、単一の円形CP文字のマルチショット、円形孔の配列であるCP文字の1つまたは複数のショット、及び、円形開口を使用する1つまたは複数のマルチビームショットを含む種々の方法で形成しても良い。
図3Fは、矩形パターン362,364のまばらな配列であるショット360の実施例を示す。ショット360は、複数のVSBショット、CPショット、及び、矩形孔を使用する1つまたは複数のマルチビームショットを含む種々の方法で形成しても良い。マルチビームのいくつかの実施形態では、ショット360は、複数の交互に配置した他のマルチビームショットの複数のグループを有しても良い。例えば、パターン362は、同時にショットしても良く、この後、パターン364を、パターン362とは異なるときに同時にショットしても良い。
【0025】
図4は、荷電粒子ビーム露光システム400の実施形態を示す。荷電粒子ビームシステム400は、マルチビームシステムであり、複数の個々に制御可能な成形ビームが同時に表面を露光することができる。マルチビームシステム400は、電子ビーム404を作成する電子ビームソース402を有することができる。電子ビーム404は、コンデンサ406により開口プレート408に向けて導かれ、これは、静電及び/または磁気素子を有しても良い。開口プレート408は、電子ビーム404で照明される複数の孔410を有し、これを通して電子ビーム404が通過し、複数の成形ビームレット436を形成する。いくつかの実施形態では、開口プレート408は数百または数千の孔410を有しても良い。
図4は、単一の電子ビームソース402を有する実施形態を説明するが、他の実施形態の孔410は複数の電子ビームソースからの電子で照明しても良い。孔410は、矩形でも良く、または、例えば円である異なる形状でも良い。ビームレット436のセットは、この後、ブランキングコントローラプレート432を照明する。ブランキングコントローラプレート432は、複数のブランキングコントローラ434を有し、それぞれビームレット436と整合する。各ブランキングコントローラ434は、個々にその関連するビームレット436を制御し、ビームレット436を表面424に衝突するのを可能とし、または、ビームレット436が表面424に衝突するのを阻止する。ビームが表面に衝突する時間は、全エネルギ、または、そのビームレットで適用される「用量」を制御する。したがって、各ビームレットの用量は、個々に制御しても良い。
【0026】
図4では、表面424に衝突可能なビームレットは、ビームレット412として示してある。1つの実施形態では、ブランキングコントローラ434は、そのビームレット436が表面424に衝突するのをビームレット436を偏向することで阻止し、したがって、開口418を有する開口プレート416で停止される。いくつかの実施形態では、ブランキングプレート432は、開口プレート408で停止される。いくつかの実施形態では、ブランキングプレート432は、開口プレート408に直接隣接しても良い。他の実施形態では、開口プレート408及びブランキングプレート432の相対位置は、
図4に示す位置から逆にしても良く、したがって、ビーム404は複数のブランキングコントローラ434に衝突する。素子414,420,422を含むレンズのシステムは、複数のビームレット412を、典型的には複数の孔410に比較して縮小したサイズで基板426の表面424に投影するのを可能とする。縮小されたサイズのビームレットは、表面424に衝突するビームレットグループ440を形成し、孔410のパターンに対応するパターンを形成し、これは、ブランキングコントローラ434で表面424に衝突することができる。
図4では、ビームレットグループ440は、表面424にパターンを形成するために記載された4つのビームレットを有する。
【0027】
基板426は、可動プラットフォームまたはステージ428上に位置し、これは、アクチュエータ430を使用して再配置することができる。ステージ428を移動することにより、ビーム440は、複数の露光またはショットを使用して、ビームレットグループ440で形成される最大サイズのパターンの寸法よりも大きな領域を露出することができる。いくつかの実施形態では、ステージ428は、露光中静止状態を維持し、この後、後の露光のために再配置される。他の実施形態では、ステージ428は、連続的にかつ可変速度で移動する。更に他の実施形態では、ステージ428は連続的であるが、一定速度で移動し、これは、ステージの位置決めの精度を増大させることができる。ステージ428が連続的に移動するこれらの実施形態では、デフレクタ(図示しない)のセットは、ビームを移動させ、ステージ428の方向及び速度に合致させるために使用し、露光中に、ビームレットグループ440が表面424に対して静止状態に維持することを可能とする。更に他のマルチビームシステムの実施形態では、ビームレットグループ内の各ビームレットは、ビームレットグループ内の他のビームレットから独立して表面424を横断して逸らしても良い。
【0028】
マルチビームシステムの他のタイプは、ガウスビームレットの配列を作成するために、複数の荷電粒子ビームソースを使用することによる等、複数の非成形ビームレット436を作成しても良い。
【0029】
本開示では、荷電粒子ビームシステムは、
図1におけるような単一ビームライタシステム、または、
図4におけるようなマルチビームライタシステムを参照すべきである。したがって、この開示では、電子ビームライタからの個々のショットは、
図1のシステム100で形成されるビーム、または、
図4のシステム400で形成されるビームレットのグループ、または、
図4のシステム400で形成されるビームレットによる露光を指す。更に、
図3A〜3Fまたは
図4からの1つまたは多数のショットの発生は、特定の期間に指定領域に送出されるもので、ショットグループと称すべきものである。例えば、サブ領域の全てのショットの書き込みにおける等の、特定の指定時間における指定領域に種々のショットが送出される場合は、これらのショットは、集合的にショットグループと称しても良い。指定された時間は、そのショットグループのショットが送出される際の期間である。ショットグループは、計算効率及びその領域またはその期間にわたる所要の計算解決のために、任意の選択されたサイズの領域に、選択された期間にわたって送出されるショットをグループ化しても良い。したがって、ショットのグループ化は、特別の状況に対する時間及びスペース隣接性に従って選択しても良い。更に、ショットグループは、同じサイズの領域、または、分析される表面を横断する変化するサイズによりグループ化しても良い。マスク等の書き込まれる全表面に対するショットまたはショットグループは、全期間にわたって送出され、ここで、各ショットまたはショットグループは、全期間内の所定期間に送出される。表面の露光中、複数のショットグループが存在し、その指定領域は互いに重複しても良く、重複しなくても良く、更に、その指定時間は互いに重複しても良く、または、重複しなくても良い。
【0030】
図1を参照すると、表面12に合理的な精度で投影可能な最小サイズのパターンは、電子ビームライタシステム10及び表面12に関連する種々の短距離物理的効果で制限され、これは、通常は基板34上のレジスト被膜を含む。これらの効果は、前方散乱、クーロン効果、及び、レジスト散乱を包含する。
【0031】
電子ビームライタシステム等の荷電粒子ビームライタのショット用量は、ビームソース14の強度及び各ショットに対する露光時間の機能である。典型的には、ビーム強度は固定されて維持され、露光時間は変更されて可変ショット用量を得る。ショットにおける異なる領域は、マルチビームショットにおけるような異なる露光時間を有しても良い。露光時間は、近接効果補正(PEC)と称される、工程における後方散乱、曇り、及びローディング効果等の種々の長距離効果を補償するために変更しても良い。電子ビームライタシステムは、通常、ベース用量と称され、露光パスにおけるすべてのショットに影響する全体の用量を設定することができる。いくつかの電子ビームライタシステムは、電子ビームライタシステム自体の内部で用量補償計算を実行し、各ショットの用量を入力ショットリストの一部として個々に割り当てることはできず、したがって、入力ショットは割り当てられていないショット用量を有する。このような電子ビームライタシステムでは、すべてのショットは、PEC前に、ベース用量を有する。他の電子ビームライタシステムは、ショット毎を基礎として用量の割り当てを可能とする。ショット毎に用量を割り当て可能な電子ビームライタシステムでは、利用可能な用量の数のレベルは64〜4096以上としても良く、または、3〜8のレベル等、比較的少ない利用可能な用量レベルでも良い。
【0032】
従来、ショットは、矩形ショットの入力パターンを完全にカバーするように設計され、一方、露光パス内で可能な限り重複するショットを防止する。更に、全てのショットは、通常用量を有するように設計され、これは、長距離効果がないときに、比較的大きな矩形ショットが、ショットサイズと同じサイズである表面上のパターンを形成するときの用量である。いくつかの電子ビームライタシステムは、露光パス内でショットの重複を許可しないことにより、この方法論を強化する。
【0033】
各ショットは、レジスト、及び、レジストが被覆されるクローム、クオーツ、シリコンまたはモリブデン等の下側の材料の双方を加熱する。レジスト及び下側の材料にエネルギを放出することの相互作用は加熱を生じさせる。前方散乱及び二次的効果を含むショットのピコ秒範囲内の電子の散乱で相互作用がスタートする。しかし、ショットからマスクの熱分散の反応の優勢部分がミリ秒のオーダを超えて発生するため、温度効果は、どのように電子が散乱するかのピコ秒効果と独立してモデル化しても良く、または、モデル化しなくても良い。前方電子ベースの露光からの加熱効果は当該分野で知られているが、しかし、二次的効果に基づくまたは基づかない温度効果のモデリングは当該分野で知られていない。
【0034】
ショットの近部におけるレジストはショット中に迅速に加熱されるが、しかし、ショットに続くブランキング期間中に迅速に冷却される。しかしながら、ブランキング期間中における冷却は、局部的な温度を先の状態に戻さない。典型的なシューティング順序では、電子ビームライタは商業的に実現可能なほど早く表面に書き込むことが必要なため、一連の多数のショットからの熱は、ブランキング時間を挟むにも関わらず、蓄積する。異なるショットサイズ、異なるショット用量及び異なるブランキング時間等のファクタ、並びに、種々のショット順序の幾何学的な配列及び距離の全てが、マスクの書き込み時間にわたってマスクの温度プロフィールに影響するため、マスクの温度プロフィールは、スペース及び時間にわたって大きく変化する。電子ビームが送出される領域は、ショットからの直接露光により、ピコ秒のオーダで加熱され、この後、熱はミリ秒のオーダで広がりかつ消散される。どのように熱が広がりかつ消散されるかは、熱力学の法則に支配され、レジスト及び下側の材料の熱伝導率、熱用量及び密度等の種々のファクタ、並びに、温度に影響する周囲条件に依存する。典型的な電子ビーム書き込みの適用で使用される材料、表面及び下側の材料は、ショット後のミリ秒のオーダの時間におけるショットで影響されるスペース及び時間での温度を大きく変更する。実際に、スペース及び時間の双方の隣接部にショットが高密度に包含される場合は、下側材料の加熱はレジストの加熱よりも大きな問題である。先のショットからの下側材料の加熱は、ショットのスタート時におけるレジスト温度に影響する。レジスト閾値は温度に依存するため、ショットのスタート時におけるレジスト温度の変化は、基板の表面に発現したパターンのCDに影響する。従来技術の結果は、熱効果により、CDが4nm以上変化することができる。この熱で誘導されるCD変動の量は、全てのソースから組み合わされた全体の許容可能なCD変動が例えば1〜2nmであることを考えると、受け入れ難いとみなされるほど大きいことがある。
【0035】
図5は、所定の位置の露光量における前方散乱及び後方散乱の影響を示す。
図5の表面500について、ショット510は考慮する領域であり、一方、ショット520,530は隣接するショットである。表面500は、半導体ウェハまたは半導体ウェハを形成するために使用されるレチクル等の基板の表面である。ショット510,520及び530は、この実施形態では方形ショットとして示してあるが、他の形状も可能なことに注意を要する。ショット510,520及び530は本実施形態では、ビームサイズを有する方形の外形を有する。前方散乱領域512,522及び532は、それらがレジスト内に前方移動するときに入力電子が僅かに逸れるため、結果として、点線で示す短距離周囲領域に追加の露光をする。例えば、200nmサイズの方向について、1シグマ前方散乱範囲(すなわち、分布の68%)は、ほぼ15〜40nmである。後方散乱は、電子がビームの方向で後方に反射するときに生じる他の物理的効果であり、したがって、点線525及び535で示すように、長距離効果を有する。例えば、200nmサイズの方形に対して、1シグマ後方散乱範囲は、それぞれショット520及び530について矢印526及び536で示すように10μmである。明確にするため、
図5内の距離は、縮尺に合わせてで描いたものではないことに注意を要する。更に、ショット510に対する後方散乱範囲は、図には示してなく、これは、ショット510による露光領域が考慮している領域だからである。
【0036】
したがって、
図5から、所与のパターン上における後方散乱を放出(cast)するショットは、そのパターン上に前方散乱を放出するショットの数よりも、はるかに多いことが明らかである。例えば、
図5では、ショット510で形成されるパターンは、ショット510で送出される電子露光及びその前方散乱512により形成されるだけでなく、ショット520及び530からの後方散乱による電子露光でも影響される。これは、後方散乱領域525及び535のショット510で重なり、ショット領域510にエネルギを与えるからである。更に、ショット510の位置の電子露光に加え、ショット510の位置における露光の効果が、ショット510,520及び530が送出された(及び512の後方散乱範囲内に存在することのあるその他のショット)そのときのそこの温度により影響される。本開示のいくつかの実施形態では、所要パターンを形成するために必要な用量に影響するように、これらの熱ベースの効果がモデル化される。熱ベースの効果は、熱拡散からの低速加熱、電子ビームの直接適用からの高速加熱、及び、二次効果からの高速加熱を包含し、低速加熱は熱拡散によるミリ秒のオーダであり、高速加熱は電子ビームの適用によるピコ秒のオーダである。いくつかの実施形態では、二次的効果の温度の影響がモデル化され、補正される。他の実施形態では、熱影響及び露光影響が一緒にモデル化される。いくつかの実施形態では、パターンが形成される位置における実効温度が決定され、この実効温度は複数の時間間隔で第1指定領域の温度に基づき、露光は時間間隔のそれぞれにおける第1指定領域が受ける。特定の実施形態では、所要パターンを形成する上での温度効果は、温度従属レジスト閾値としてモデル化され、実効温度はレジストの閾値の変化、したがって形成されるパターンを書き込むために必要な用量を決定するために使用することができる。
【0037】
前方散乱及び二次的効果によるレジストの電子露光は、電子ビームが活性化されたときに、周囲領域で発生する。当該分野ではこれらの露光効果のモデリング及び理由が知られており、組み合わされたぼやけは、前方散乱、後方散乱に対する近接効果補正、および、前方散乱半径の延長若しくは近接効果補正または双方の組み合わせ等によるEUVマスク中距離に対する近接効果補正を包含する。しかし、後方散乱または中距離散乱等の二次的効果自体またはこれからの熱の影響は認識されていない。電子ビームベースの書き込み技術は、より高精度/より低感度のレジスト、より高密度ビーム流、及び、より早いショット書き込みにより長年にかけて変化しているため、どのようにショットが互いに相互作用するかに関する新しい問題が生じている。基板の熱は、ビームが停止した後でも残存し、したがって、二次的効果を生じさせるショットが送出される期間中に発生する温度変化に依存する。本開示では、温度、したがって所与の位置に形成されるパターンにおける二次的効果の時間及びスペースの影響のこの発見は、電子デバイスに使用されるパターンの形成を改善することが可能なモデリング及び補正を可能とする。いくつかの実施形態では、検討中のターゲット領域の二次的効果範囲内にショットグループが送出される度に、温度が厳密な計算または近似値を用いて決定される。これらの温度は、実効温度に組み込まれる。二次的効果の温度の影響のシミュレーション、及び、より正確なパターンを形成するためにショットを偏向するシミュレーションの使用について、より詳細に後述する。
【0038】
種々の実施形態では、二次的効果からまたはこれへの温度関連効果のモデリングは、計算要求及び精度をバランスするために要求される詳細のレベルにしたがって種々のスケールで実効することが可能である。
図6は、分析を発生することが可能な指定領域として使用することができる例示的なレベルを示す。基板600は、半導体ウェハを製造するためのマスクまたはレチクルとすることが可能であり、または、ウェハ自体とすることが可能であり、チップ610を有する。チップ610は、典型的には、ストライプ620及び621等のストライプを使用して書き込みされ、ここで、ストライプ620及び621はゾーン630で形成される。例えば、ゾーン630は、サブフィールド、または、ストライプよりも小さな異なるサイズとしても良い。例えば、ストライプは、約100μmの高さを有しても良く、ゾーンはストライプよりも小さな領域とされる。ゾーン630は、更に、ショットグループ650が書き込まれるサブゾーン640を有しても良く、このサブゾーン640は、ゾーン630よりも小さなサイズの任意の指定領域でも良い。更に、サブゾーン640は、サブゾーンのかなり小さなスケールに分割しても良く、より小さなサブゾーンは分析のために使用することも可能である。サブゾーンの階層が存在しても良い。例えば、ゾーンは、1つの寸法で50〜500μm、他の寸法で1〜20,000μmのサイズを有しても良く、この寸法は、計算の便宜のために選択される。他の例では、サブゾーンは、64μmx64μmのサイズを有しても良い。
【0039】
図6のサブゾーン640では、ショットグループ650は3つの個別のショット651,652及び653を有する。ショット651,652及び653は、この開示のために、単一ビーム、マルチ同時ビームレットのマルチビーム露光、または、マルチビーム荷電粒子ビームライタのビームレットで形成されるショットを有することが可能である。いくつかの実施形態では、ショットグループ650は、ショット651,652または653等の1つの個別ショットのみを含んでも良い。他の実施形態では、ゾーン630若しくはサブゾーン640、または、分析される指定領域及び指定期間の他のサイズは、数千若しくは数万、または、個々のショット若しくはショットグループの数よりもかなり多くを有しても良い。
【0040】
いくつかの実施形態では、シミュレーション方法は、ショットグループに動的に関連する指定領域または指定期間のサイズを調整しても良い。このような実施形態では、シミュレーション方法は、特別なレベルの精度を達成するために、表面上の異なる領域でより粗いまたは細かいスケールで実行しても良い。例えば、ショット651に対する温度値を計算しようとするときに、ショット652及び653は独立して処理しても良い。しかしながら、ストライプ620内の位置に対する温度値を計算しようとするときに、ショット651,652及び653の相互作用を、サブゾーン640、または、更にゾーン630の全てと共に同時に、単一の相互作用すなわちショットグループとして全てを処理しても良い。個々のショットは、相互作用するものにしたがって、異なるスケールの一部として処理しても良い。ショット及びショットグループは、より詳細なピコ秒の間隔に代えて、マイクロ秒またはミリ秒の間隔等のより大きな時間間隔で全体の効果をモデル化しても良い。いくつかの実施形態は、ショットグループの全てのショットのスペース及び時間で重みづけした平均をとる。計算は、1つのより大きくかつより長いショットが所定位置及び所定時点で発生するように進行する。これは、精度を犠牲にして、計算される要素数を減少し、実行時間を短縮する。
【0041】
図7は、ターゲットショットが送出される例示的なターゲット指定された領域に対する過渡温度及び露光曲線を示すグラフ700である。時間及び大きさの図は、一定の縮尺によるものではなく、説明のためにのみ示す。
図7は、個々のショットについて記載するが、この概念は、
図6に関する上述の説明のように指定領域に対するショットグループにも適用される。
図7のy軸は、温度及び露出を表し、温度曲線710は実線で表し、露光曲線720は点線で表してある。この実施例では、期間t
A及びt
B中、ターゲット領域の面は、後方散乱または隣接するショットからの他の二次的効果により、電子に露光される。露光曲線720は、この実施例では2つの小さなピーク721及び722を有するこれらの二次的効果からの露光を示し、これらは、例えば、それぞれ期間t
A及びt
Bにわたって発生する多数の周囲ショットの2つのセットの結果とすることが可能である。ピーク721,722,725及び726は、縮小した尺度で滑らかな曲線として記載してあるが、しかし、詳細には、典型的な電子ビームライタでは、二次的効果を発する周囲ショットは、中間の休止または整定時間での個々のショットに由来する。実施形態におけるショットグループの効果の総計した概算は、これらのピークで表されるように、滑らかな曲線に近くなっても良い。ターゲット領域の温度は、どのように二次的効果がターゲット領域の露光に影響するかによって変化する。例えば、所与の時間におけるターゲット領域の温度が高いと、その時間にそのターゲット領域が受ける二次的効果はより影響を受ける。それぞれの二次的効果の発生は最小であるが、全ての二次的効果の合計は大きい。したがって、より高い温度で特定のターゲット領域がその二次的効果の大きな部分を受けると、その領域に書き込まれる形状は大きくなり、その結果、限界寸法を生じる。二次的効果は、更に、周囲ショットからの電子露光により、ターゲット領域の温度をわずかに上昇させる。
【0042】
時間t
Cで、ターゲット領域におけるターゲットショットが生じる。時間t
Cは、ターゲットショットの指定期間として参照しても良い。このターゲットショットは、露光曲線720におけるスパイク723として示してありこれは、温度曲線710に急激な温度上昇713を生じさせる。ターゲットショットに対する電子ビームが停止した後、表面は、温度部分714の下方傾斜で示すように、期間t
Dの間冷却を開始する。この実施例における期間t
D中、ターゲット領域に影響を及ぼす近接ショットによる露光は何もなく、したがって、露光曲線720は、t
D中ゼロである。次の期間t
E及びt
F中、近接ショットの二次的効果は、それぞれ露光ピーク725及び726で表される。隣接するショットからの二次的効果による露光725及び726は、二次的効果を受けたときにターゲット領域の温度で影響される。露光725及び726により僅かな温度上昇715及び716が発生することがあり、露光ピーク725及び726間の追加露光の無いときに、715及び716間で温度が低下する。次の期間t
Gの際、近隣のショットから二次的効果は無く、その結果、温度曲線710は確実に減少する。
【0043】
したがって、
図7は、ショットまたはショットグループが送出される所与の位置に対して、温度は、a)領域の直接露光からまたは他の領域における他のショットからの二次露光か否かにかかわらず、位置が電子に露光されるため、b)所与の領域におけるターゲットショットから熱が拡散されるため、及び、c)電子ビームの直接または間接的な適用により(例えば中距離効果及び後方散乱)熱が注入されるため、時間と共に変化する。本方法では、特定の領域の温度は、表面を書き込む全期間中に異なる時間で決定される。いくつかの実施形態では、複数のショットグループにおける第1ショットグループは第1期間に表面の第1指定領域に送出され、第1指定領域の温度が全期間中の異なる期間で決定される。期間は、ショットグループのショットまたは複数ショットが送出される時間間隔である。複数のショットグループは、第2指定領域で送出される第2ショットグループを有することが可能であり、ここで、異なる期間は、第2ショットグループからの露光の二次的効果が第1指定領域で受けられるときの「第2期間」としても良い。いくつかの実施形態では、有意義な露光を受ける近辺に十分に近接するショットグループに対して集合的に、第1指定領域の温度が決定される期間は、第1期間及び第2期間に対応し、ここで、第1期間は前方散乱が受け入れられたときであり、第2期間は、露光の二次的効果が受け入れられたときである。第1期間とは異なる第2期間で温度を決定することにより、第2期間における温度は、第2ショットグループによる露光の二次的効果がどのように第1指定領域の露光に寄与するか決定するために使用することができる。
【0044】
更に、決定された過渡温度は、各期間の指定領域の温度に基づく全期間に対する指定領域の実効温度を計算するために使用することができる。分析する指定領域は、ターゲット指定領域と称しても良い。いくつかの実施形態では、補償ファクタは、ターゲット指定領域で露光が受け入れられた各期間でターゲット指定領域の温度に適用される。各期間の補償ファクタは、その期間中のターゲット指定領域が受け取る露光量に基づく。補償ファクタは、更に、露光タイプにしたがっても良く、ここで、各期間の指定領域が受ける露光は、前方散乱及び/または二次効果を有する露光タイプであり、二次効果は後方散乱を有する。補償ファクタは、例えば重みづけとして作用しても良い。一般的な用語における実効温度は、いくつかの実施形態では、
【化1】
として表され、ここで、積分は、書き込み表面の全期間t
Nにわたって実行される。したがって、
図7では、時間t
Cにおける温度713は、スパイク723の露光量に基づいて適用される補償ファクタ「Exposure(t)」(式1により)を有する。インターバルt
Eにおける温度715は、その時点に対応する露光量725に基づく補償ファクタ「Exposure(t)」を有する。補償ファクタの適用は、例えば、その期間に受けた露光量で温度を乗じることを包含しても良く、または、露光量に基づくより高度のオーダの操作を包含しても良い。式1の積分は、露光に基づく温度を合計し、この合計を全期間にわたる全ての露光の合計で割り、この結果、全期間に対するターゲット領域の実効温度となる。
【0045】
図8は、表面に電子ビーム書き込み中の種々の時間に表面の特定領域の温度を決定し、荷電粒子ビームショットのシミュレーションに二次的効果上の温度の影響を組み込むための方法の例示的なフローチャート800を示す。第1ステップ802では、集積回路の物理的デザイン等の物理的デザインが作成される。これは、集積回路の物理的デザイン等の物理的デザインに必要であることが見いだされた論理ゲート、トランジスタ、金属層、及び、他のアイテムを決定することを包含する。次に、ステップ804では、光近接効果補正(OPC)が、物理的デザイン802のパターンまたは物理的デザインのパターンの一部に施され、マスク806を作成する。OPCは、物理的デザインを変更し、光解析及び近接特性の光学的相互作用等の効果に起因する歪を補正する。MDPステップ808では、マスクデザイン806が破断されて荷電粒子ビームショット810のオリジナルセットとなる。いくつかの実施形態では、ショットリスト810のショットは、VSBショットとすることができる。他の実施形態では、ショットリスト810のショットは、CPショットまたはVSB及びCPショットの組み合わせとすることができる。他の実施形態では、ショットリスト810のショットは、マルチビームショットまたはマルチビームショットと他の成形ビームショットとの組み合わせでも良い。オリジナルショットリスト810は、単一露光パスまたはマルチ露光パスに対するショットを含んでも良い。オリジナルショットリスト810は、書き込みオーダを含むショットのオーダセットであっても良い。
【0046】
PEC814は、オリジナルショットリスト810を入力する。PECステップ814では、オリジナルショットリスト810は、温度を考慮することなく、後方散乱及び他の二次的効果を考慮して調整される。このような変更は、複数のショットグループにおける他のショットグループに基づいてショットの用量及びサイズを変更することを包含し、ここに、他のショットグループは、ターゲット領域が他のショットグループの二次的効果範囲にあるように、ターゲット領域に密にまたは適度に近接する。PEC814は、PEC816の後、調整されたショットリストを出力する。
【0047】
調整されたショットリスト816は、温度効果計算及び補正(TEC)ステップ820で読み込まれる。調整されたショットリスト816は、TECステップ820で分析される複数のショットグループで考慮しても良い。ステップ820では、コンピューティングハードウェアプロセッサを有するシステムが、全期間を通じて荷電粒子ビームライタで送出することのできる複数のショットグループを画定するデータを受け取る。ショットデータは、ショットグループを構成する用量、時間、形状及びショットの位置を含む。各ショットグループは、全期間中における指定期間を有する。各ショットグループは、表面の製造中の指定期間で、表面の指定領域に送出される。本開示では、ショットグループは、例えば、第1期間に第1指定領域に送出される第1ショットグループとして、または、ターゲット期間にターゲット指定領域に送出されるターゲットショットグループを称しても良い。各ショットグループは、1つまたは複数の個々の荷電粒子ビームショットを包含しても良い。
【0048】
TECステップ820は、サブステップ、つまり、ショット集合及びデータ構造構成822、表面温度計算823、及び、ショットグループ補正824を含んでも良い。ショット集合及びデータ構造構成ステップ822は、チップ、ストライプ、ソーン及び/またはサブゾーン等の分析を、
図6の関係で説明したような所要の詳細レベルにしたがって実行し、計算実行時間を最適とするサイズスケールを確立することを包含しても良い。表面は指定領域に分割され、いくつかの実施形態では、このような指定領域の全ての合計が、マスクまたはウェハの全表面をモザイク状としても良い。指定領域は、その時に実行された計算に基づいて、異なる時間で別に割り当てても良い。いくつかの実施形態では、指定領域は互いにサイズを相違させても良い。種々の実施形態では、いくつかの領域間に間隙があっても良く、及び/または、領域が重なっても良い。重なりは、特定の「ハロー(halo)」領域を設けることを目的とし、この領域に、隣接するショットまたはショットグループの効果を計算して、指定領域の内側に包含されるショットグループの補正が影響を及ぼしても良い。ハロー効果は、指定領域の計算のための状況を提供し、ここで、ハロー領域のショットは、最終ショットリスト830の指定領域のショットの一部でないことがある。
【0049】
例示的なハロー領域が
図9A〜9Cに示してある。
図9Aは、指定領域910を有する表面900を示し、ここに、温度効果計算は少なくとも1つの指定領域910に対して決定される。指定領域910は、1つまたは複数の個々のショットのショットグループが送出される領域である。ハロー領域920は、指定領域910を囲む領域である。ハロー領域920は、指定領域910に隣接し、ハロー領域920のショットグループは、指定領域910のショットグループがどのように補正すべきかに影響する。しかし、ハロー領域920のショットグループは、表面900であるが外側910の他のショットグループを処理するときに補正される。
図9Aの実施形態では、ハロー領域920は、ほぼ方形の指定領域910の外周の回りの環状領域である。表面900の種々のハロー領域920が重なる。
図9Bに示す他の実施形態では、指定領域912はストライプであり、それぞれストライプ912の上下のストライプ922a及び922bをストライプ912のハロー領域として使用することができる。換言すると、ストライプ922a及び922b等の全ストライプは、ハロー領域として使用することができる。したがって、
図9Bの実施形態では、集合的にストライプ922a及び922Bで形成されるハロー領域は、指定領域912の2つの対向縁部に隣接する領域である。
【0050】
図9Cは、ハロー領域の更に他の実施形態を示し、指定領域またはゾーン913の前後のゾーンを含む。例えば、指定領域913に対して、ハロー領域923bは、指定領域913のゾーンに対して前のゾーンとなるように選択しても良い。ハロー領域923cは、ハローが指定領域913の後の2つのゾーン等、多数のゾーンを有しても良いことを示す。ハロー領域923b及び923cは、指定領域913と重複していないように示してあるが、他の実施形態では、1つまたは複数のゾーンは指定領域913と重なっても良い。更に他の実施形態では、ハロー領域は、ハロー領域923b及び923cが互いに2つのゾーンを有するかのように、指定領域913の前後の等しいサイズのゾーンを有することが可能である。
図9A〜9Cに説明するハロー領域の他の変更及び組み合わせが可能である。ハロー領域は、指定領域の温度及び露光に関する計算のための前後関係(context)を提供するように選択される。
【0051】
図8に戻ると、表面温度計算ステップ823は、全期間中における第2期間の第1指定領域の温度を決定することを包含する。第2期間は、第1指定領域で第2ショットグループからの露光の二次的効果を受ける期間である。第2期間は、第1期間の前、第1期間と同時、または、第1期間の後でも良い。いくつかの実施形態では、複数の第2期間等複数の期間におけるターゲット指定領域の複数の過渡温度を決定しても良い。各期間は、複数のショットグループのショットグループからの露光がターゲット指定領域で受けた時間間隔であり、過渡温度が決定される少なくとも1つのショットグループは、ターゲットショットグループとは相違する。考慮中の指定領域の温度の計算は、熱ソースとして荷電粒子ビームショットと共に熱拡散分析を利用する。所定時点または期間における指定領域の温度は、表面上の空間的及び一時的な熱効果の結果である。当該分野ではショットが特定位置に送出されたときにその位置の温度を計算することは知られているが、表面の全体に書き込む際の他の時点におけるその位置の温度を計算することは、考慮しておらず、これは、二次的効果における温度の影響が、ショットのシミュレーション及び補正で考慮されていないからである。
【0052】
ステップ823について、いくつかの実施形態では、時間及びスペースにわたる温度をシステマチックに計算するために、木構造を利用しても良い。特定の位置(すなわち、指定領域)の温度値を決定するため、分析は、その位置の近部におけるスペース−時間木を通じて進行する。木を移動することにより、この計算のために使用される集合レベル(すなわち、木のどの葉であるか)のリストが構築される。特定の実施形態では、集合は用いられず、すなわち、全てのショットグループ及び細部が計算される。システムが受けた全てのショットグループは、木構造の葉の1つで表される。隣接する葉は、指定領域に効果を有するために十分に近いかどうかにしたがって、指定領域の分析に含んでも、含まなくても良い。木分析の集合レベルは、分析される指定領域の相違、及び、前方散乱または二次的効果であるか否かにかかわらず、露光を受けた期間の相違によって変化する。肝心な点に対する各葉の温度及び露光の計算は、全て独立している。
【0053】
ステップ823の表面温度計算は、細部のスケールまたはレベルの差で、及び、ハロー効果の異なるレベルを組み込んで実行しても良い。例えば、いくつかの実施形態では、全体のストライプが指定領域として使用しても良く、全体のストライプが詳細に計算される。指定ストライプの上下に隣接するストライプは、背景(context)またはハロー領域として使用される。他の実施形態では、2つのゾーンが用いられる。隣接するゾーンは、分析すべき指定ゾーンの「ハロー」内にある。いくつかの実施形態では、指定ゾーンの上下の隣接するサブゾーン内のショットグループが分析される。換言すると、ゾーンの重なりは、上のストライプ及び更に下のストライプ内の双方に同じデータが現れるストライプを作成する。他のハロー領域のタイプは、
図6を参照して説明するものと同様に使用しても良い。
【0054】
したがって、ステップ823の特定の期間における指定領域の温度の決定は、必要な詳細のレベルにしたがい、または、隣接するショットまたはショットグループのデータが利用可能か否かの状況が存在するかどうかにしたがって、温度若しくは所要のショット補正量を近似させまたは推定することを包含しても良い。ショット補正は、サイズ、用量、露光時間または他の任意の調整形態によっても良い。推定は、精度と計算時間との間のトレードオフとして詳細の特定レベルを集合またはフィルタリングすることを包含しても良い。換言すると、いくつかの実施形態では、分析は、処理時間を縮小するために、詳細の特定レベルを省略するカットオフレベルを有するように選択しても良い。他の実施形態では、分析は、精度ターゲットに合致するように、より高い詳細のレベルを必要とする最小の精度レベルを有するように選択しても良い。いくつかの実施形態では、推定は、例えば所与のゾーンのセットのデータであるデータのサブセットの詳細な計算、及び、いくつかの式によるそのゾーンの外側の領域及び時間に対する効果を外挿を包含しても良い。他の実施形態では、二次的効果上の温度の影響、または、温度シミュレーション無しで計算された温度上の二次的効果の影響に対するショット補正の推定だけであっても良い。
【0055】
温度計算は、露光の二次的効果がどのように影響するか決定するために使用しても良い。すなわち、TECステップ820は、第2ショットグループのために、第1指定領域における露光の二次的効果を決定することを包含しても良く、ここで、決定は、第2期間における第1指定領域の温度が、第1指定領域における第2ショットグループからどのように二次的効果が影響するかを考慮する。いくつかの実施形態では、二次的効果は、指定領域の温度の上昇につれて電子の散乱する範囲が増大するようにモデル化しても良い。これらの温度ベースの露光の二次的効果は、後に、表面に形成されるパターンをより正確にシミュレートするために使用することができる。他の実施形態では、温度における二次的効果の影響は、無視可能であるため、無視される。
【0056】
ステップ823の計算は、更に、表面が露光されるときの全体の表面の熱マップを概念的に決定することを包含しても良い。決定は、ストライプ、ゾーンまたはサブゾーンを露光するために必要な時間等の時間及びスペースのサブセットで行っても良い。概念的に、表面の熱マップの動画が計算される。いくつかの実施形態では、時間、メモリ及び通信バンド幅等の計算上の必要性を減少するために、概算及び推定が使用される。いくつかの実施形態では、領域の温度及びショット補正に関係する時間だけが計算される。いくつかの実施形態では、いくつかの領域または時間間隔に対して関連する温度が集合される。いくつかの実施形態では、二次的効果の温度上の影響が別個に考慮される。いくつかの実施形態では、ショットグループの温度上の影響が、特定の強度及びサイズのサーマルインジェクションとしてモデル化され、これらの二次的効果を含む全ての効果をバンドルする。いくつかの実施形態では、表面、下側の材料及び周囲環の熱の蓄積及び消散がシミュレートされる。概念的に、熱力学的マップの結果、任意の場所、任意の時間に必要なシミュレートされた温度が提供される。いくつかの実施形態では、指定領域の温度は、それに影響する二次的効果を受けたときにのみ、計算される。
【0057】
いくつかの実施形態では、ステップ823の計算は、実効温度の計算を包含する。いくつかの実施形態では、露光−重み付け温度を使用して実効温度が決定される。例えば、前方散乱または二次的効果を受けたときの温度のそれぞれは、温度係数で重み付けすることによる等、各ショットグループから第1指定領域に受けられる露出量に基づいて適用される補償ファクタを有しても良い。いくつかの実施形態では、補償ファクタまたは重み付け値は、任意の特定の位置に対してエネルギが来る場所を見ることにより、ケースごとに決定しても良い。時間及びスペースの集合は、例えば、重み付けされた中央、または、幾何学的または時間的な中央、または、精度を改善する他の適宜の方法を利用して実効しても良い。実効温度は、
図7について式1との関連で説明してきたように、全期間にわたる積分として計算しても良く、ここで、実効温度を決定することは、適用される露光ベースの補償ファクタを有する過渡温度を合計し、この合計を、全期間中に第1指定領域が受けた全ての露光の合計で割ることを含む。
【0058】
他の実施形態では、サブゾーンまたは指定領域が認識可能なショットグループのときに正確な温度を計算しても良く、これは、実効時間または他の事項のために規制されており、更に、計算された数は、局部的二次的効果の温度係数の正確な推測を行うために使用される。温度係数は、この後、周囲のショットグループの二次的効果から全体の温度効果を推定するために、認識することはできない他の周囲のサブソーンから受ける二次的効果と共に使用することができる。他の実施形態では、用量密度または受けた二次効果の全量に基づくいくつかの式が、コンピューティング時間が有利になる二次的効果のときの温度計算に代えて概算のレベルとして使用しても良い。
【0059】
実効温度の決定は、過去、将来または双方のいずれかで、検討中の領域と同時にまたは異なる時間に生じる他のショットグループから生じる温度を使用して実行しても良い。すなわち、全期間中の第1期間を有する第1ショットグループについて、分析は、第1期間の前、第1期間と同時または第1期間の後に生じる他のショットグループからの露光の二次的効果を集合しても良い。
【0060】
いくつかの実施形態では、時間を越える温度の決定は、温度ベースの近接効果補正方法として使用しても良い。従来のPEC方法は、二次的効果により、露光を考慮するが、本温度ベースのPECでは、この方法は、第2ショットグループが、第1指定領域で第2ショットグループからの露光の二次的効果に影響するときの第1指定領域の温度がどうであるかを考慮する。このような実施形態では、温度ベースのPECは、ステップ816及び820、したがってステップ822〜826と共にPECステップ814を含む。
【0061】
表面の過渡及び空間的温度プロフィールが決定されたのち、ショットグループは、ターゲットパターンをより正確に作成するために、ショットグループ補正ステップ824で変更しても良い。ステップ824では、組み合わされた温度及び露光効果が指定領域に対して決定され、TEC後のショットリストがステップ826で出力される。ショットグループ補正ステップ824は、ターゲット指定領域の実効温度に基づいて、用量の変更による等、ターゲットショップグループのショットを変更することを包含しても良い。ステップ824の露光効果は、組み合わされた点広がり関数として計算される。1つの実施形態では、変更は、ターゲットショットグループの1つまたは複数のショットの用量に対する用量補正ファクタを適用することを含む。他の実施形態では、補正ファクタは、多数のショットグループまたは全てのショットグループに適用しても良い。補正ファクタは、直線状増倍率またはより高いオーダの作用であっても良い。更に他の実施形態では、変更は、二次的効果を補償するためにショットの形状または位置決めを調整しても良い。
【0062】
ステップ820の温度効果計算及び補正は、インライン、パイプラインまたはオフライン計算として実行しても良い。これらの方法論は、パターンの機械書き込との関係で如何にTEC計算を実行するかに向けている。オフライン処置が使用される実施形態では、TECの全ての計算が完了し、ショット用量データの全体のマスク(または他の表面)の分量(worth)が記憶され、この後、補正用量を使用して書き込むために機械に贈られる。インライン計算が使用される実施形態では、計算は、機械のデータ処理フローで、及び/または、ライタがパイプライン方法でショットを書き込むときのデータ処理で生じる。いくつかの実施形態では、方法は、ターゲットショットグループを使用する書き込みパターン、及び、複数のショットグループにおける他のショットグループに対応する他の指定領域の実効温度を決定することを含み、ここに、インライン計算は、他のショットグループに対する実行温度の決定が実行される間に、書き込みが実行される。例えば、機械がPEC等の他の計算を処理しかつ実行するときに、TEC計算はより小さなデータセット上で行われる。機械はこれらのデータセットを書き込むために処理し、一方、将来の領域はTECで処理される。より小さなデータセットは、例えば、隣接するストライプ(例えばハロー領域)のビューを有するストライプ毎でも良く、または、他の実施形態では、データセットは、先のゾーンに隣接するゾーンに延びるハローを加えたゾーン毎でも良い。インラインは、本質的にデータのセット内でパイプライン化されている。パイプラインステップ内で処理されるデータのセットが大きくなると、待ち時間が長くなる。しかし、より高いスケールの並列化を可能とし、より複雑な計算を可能とすることができる。例えば、ストライプ毎の処理データは、ゾーン毎に比較して非常に大きな精度を提供する。ゾーン毎のデータ処理は、より概算に依存するが、待ち時間は少なくかつ処理が少ない。したがって、精度と実行時間との間の所要のバランスを、特別の状況に基づいて選択することができる。インラインは、計算が機械のデータ処理フローの一部であるか否か、及び、機械が書き込みを開始する前に完全にフルチップを処理するオフラインに比較して、スループットを改善することができる。
【0063】
TECステップ820を実行するための荷電粒子ビームシステムは、1)全期間中に荷電粒子ビームライタにより送出される複数のショットグループを画定するデータを受けるように構成され、複数のショットグループのターゲットショットグループがターゲット期間における表面のターゲット指定領域に送出されるデバイス、2)全期間中の複数の期間でターゲット指定領域の複数の過渡温度を決定するように構成されたデバイス、3)複数の過渡温度に基づいてターゲット指定領域の実効温度を決定するように構成され、この実効温度は推定され、ターゲット指定領域で露光の二次的効果の全てまたは一部を受ける第2期間中に受けたターゲット指定領域の温度を含むデバイス、4)ターゲット指定領域の実効温度に基づいてターゲットショットグループのショットを変更するように構成されるデバイス、及び、5)変更されたターゲットショットグループを使用して表面上にパターンを形成するように構成されるデバイスを包含しても良い。システムは、パターンがターゲットショットグループを使用して形成されるようにインライン処理を実行するように構成され、一方、複数の過渡温度を決定し、実効温度を決定するステップは、複数のショットグループの追加ショットグループに対応する追加指定領域に対して実行される。
【0064】
いくつかの実施形態では、実効温度の決定は、反復処理でも良い。ショットグループ補正がステップ824で実行された後、ステップ823の表面温度計算を、再度、
図8に点線で示すような変更されたショットを使用して実行することが可能である。1つの実施形態では、概算ファクタを考慮するために使用することが可能である。
【0065】
TEC後のショットリスト826は、追加のショット変更ステップ828で、選択的に用量または形状変更を受けることができる。結果による最終ショットリストは調節された用量830と共に、マスク書き込みステップ832で表面を生成するために使用され、これは、電子ビームライタシステム等の電荷粒子ビームを使用する。使用される電荷粒子ビームライタのタイプにしたがって、ステップ828のTEC改良820及び選択的用量または形状変更を、荷電粒子ビームライタで実行しても良い。マスク書き込みステップ832は、単一露光パスまたはマルチ露光パスを包含しても良い。電子ビームライタシステムは、ステンシルを介して表面上に電子のビームを投影し、表面上のパターンを有するマスク画834像を形成する。完成した表面は、この後光リソグラフィ機械で使用され、これはステップ836に示してある。最後に、ステップ838で、シリコンウェハ等の基板上に画像が作成される。
【0066】
本開示で記載または参照した計算は、種々の方法で達成しても良い。一般的には、計算は、インプロセス、プリプロセスまたはポストプロセス方法で達成しても良い。インプロセス計算は、その結果が必要な時に計算を実行することを含む。プリプロセス計算は、事前計算を含み、この後、後の処理ステップ中に後で修正するために結果を記憶し、特に、多数回繰り返すことのある計算のために処理性能を改善しても良い。計算は、更に、処理ステップとは異なっても良く、この後、後の事後処理ステップで行われる。プリプロセス計算の実施例は、所与の状況に対して最小CD変動を作成するショット形状を事前計算し、テーブル内のこのプリショット形状についての情報を記憶することである。プリプロセス計算の他の実施例は、ショットグループであり、これは所与の入力パターンまたは入力パターンセット特性に関連する1つまたは複数のショットの用量パターン情報の事前計算である。ショットグループ及び関連する入力パターンは、事前計算ショットグループのライブラリに保存しても良く、したがって、ショットグループを有するショットのセットは、パターンを再計算することなく、入力パターンの追加の例を迅速に生成することができる。いくつかの実施形態では、事前計算は、レジスト被覆面上に作成されるショットグループの用量パターンのシミュレーションを包含しても良い。他の実施形態では、ショットグループは、構築しながら正しい結果を得る技術を使用すること等、シミュレーション無しで決定しても良い。他の実施形態では、事前計算は、レジスト若しくは基板加熱、または、熱変動の計算を包含しても良い。いくつかの実施形態では、事前計算されたショットグループは、ショットのリストの形態でショットグループのライブラリに格納しても良い。いくつかの実施形態では、事前計算されたショットグループは、入力パターンの特別なタイプまたは複数タイプに対するショットを形成可能なコンピュータコードの形態で格納しても良い。更に他の実施形態では、複数の事前計算されたショットグループをテーブルの形態で格納しても良く、ここで、テーブルへの入力は、種々の入力パターンまたはパターン幅等の入力パターン特性に対応し、各テーブル入力は、ショットグループ内のショットのリスト、または、ショットの適切なセットを生成する方法に対する情報を提供する。更に、異なるショットグループをショットグループライブラリに異なる形態で格納しても良い。いくつかの実施形態では、所与のショットグループが作成可能な用量パターンも、ショットグループライブラリに格納しても良い。いくつかの実施形態では、用量パターンは、グリフと称される二次元(X及びY)用量マップとして格納しても良い。
【0067】
本開示に記載の、破砕、マスクデータ準備、熱効果計算/補正、ショットリスト変更及びパターン形成フローは、中央処理装置(CPU)を使用する汎用コンピュータに、計算デバイスとして適切な計算ソフトウェアを使用して実行しても良い。例えば、複数のショットグループを画定するデータを受ける複数の過渡温度を決定し、実効温度を決定し、ターゲットショットグループのショットを変更するステップは、コンピューティングハードウェアプロセッサにより実行しても良い。大量の計算要求により、多数のコンピュータまたはCPUのプロセッサコアを並列に使用しても良い。1つの実施形態では、計算は、フロー内の1つまたは複数の計算強化ステップ用に複数の二次元幾何学領域の細分割し、並列処理をサポートしても良い。他の実施形態では、特殊用途のハードウェアデバイス、を単独でまたは重複して使用し、汎用コンピュータまたはプロセッサコアを使用するよりも高速で、1つまたは複数のステップで計算を実行しても良い。特に、コンピューティングハードウェアデバイスまたはプロセッサは、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または、デジタル信号プロセッサ(DSP)チップを有しても良い。1つの実施形態では、特定用途向けハードウェアデバイスは、図形処理ユニット(GPU)であっても良い。他の実施形態では、本開示に記載の最適化及びシミュレーションプロセスは、ショットの全体数または全荷電粒子ビーム書き込み時間または他のいくつかのパラメータを最小にするために、改定及び再計算可能な解決策の反復処理を包含しても良い。更に他の実施形態では、ショットの初期設定は、構築しながら正しい結果を得る方法で決定しても良く、したがって、ショットの変更は必要ない。
【0068】
図10は、本開示に記載の計算を実行するために使用し得るコンピューティングハードウェアデバイス1200の実施例を示す。コンピューティングハードウェアデバイス1200は、中央処理ユニット(CPU)1202を備え、主メモリ1204を取り付けてある。CPUは、例えば8つの処理コアを有しても良く、これにより、マルチスレッド化されたコンピュータソフトウェアの任意の部分の性能を強化する。主メモリ1204のサイズは、例えば64ギガバイトとしても良い。CPU1202はPCIエクスプレスバス(PCIe)1220に接続される。グラフィック処理ユニット(GPU)1214もPCIeバスに接続される。コンピューティングハードウェアデバイス1200では、GPU1214は、ビデオモニタ等の画像出力デバイスに接続しても、しなくても良い。画像出力装置に接続しない場合は、GPU1214は、純粋に、高速並列演算処理エンジンとして使用しても良い。演算処理ソフトウェアは、演算の一部にGPUを使用することにより、全ての演算をCPU1202を使用することに比して、著しい高速性能を得ることができる。CPU1202は、PCIeバス1220を介してGPU1214と通信する。他の実施形態(図示しない)では、GPU1214は、PCIeバス1220に接続されるのではなく、CPU1202に統合しても良い。ディスクコントローラ1208もPCIeバスに、例えばディスクコントローラ1208に接続された2つのディスク1210と共に、取り付けても良い。最後に、ローカルエリアネットワーク(LAN)コントローラ1212も、PCIeバスに取り付け、他のコンピュータに接続性を有するギガビットイーサネット(GbE)を提供しても良い。いくつかの実施形態では、コンピュータソフトウェア及び/または他のデザインデータが、ディスク1210に格納される。他の実施形態では、コンピュータプログラム、デザインデータ、または、コンピュータプログラムとデザインデータとの双方に、他のコンピュータまたはファイルサービスハードウェアからGbEイーサネットを介してアクセスしても良い。
【0069】
本明細書は、特定の実施形態について詳細に説明してきたが、当業者であれば、先の説明を理解することにより、これらの実施形態の変更、変形及び等価物を容易に想像することができる。破砕、マスクデータの準備、ショットリストの変更及び表面にパターンを形成する本方法に対するこれら及び他の変更及び変化は、特に特許請求の範囲に記載の本発明の主題の範囲から逸脱することなく、当業者により実施することができる。更に、当業者であれば、上述の説明は例示のみであり、制限することを意図したものでないことは明らかである。本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書にステップを追加し、ステップを省略し、または、変更することが可能である。一般的には、提示したフローチャートは、機能を達成するために基本的な操作の1つの可能なシーケンスを示すことを意図するだけのものであり、多くの変形が可能である。したがって、本主題は、特許請求の範囲及びその等価物の範囲となるような変更及び変化を包含するものである。