(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797654
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】電子部品及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20201130BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20201130BHJP
【FI】
H04N5/225 700
H01R24/38
H04N5/225 430
H04N5/225 200
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-238189(P2016-238189)
(22)【出願日】2016年12月8日
(65)【公開番号】特開2018-98533(P2018-98533A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】坂本 徹馬
(72)【発明者】
【氏名】関根 貴志
(72)【発明者】
【氏名】坂上 淳哉
【審査官】
大西 宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−022364(JP,A)
【文献】
特開2011−147091(JP,A)
【文献】
特開2015−026568(JP,A)
【文献】
特開2016−024862(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/137267(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/087227(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/091770(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0222795(US,A1)
【文献】
中国実用新案第205429250(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
H01R 12/00 −12/91
H01R 24/00 −24/86
H01R 13/40 −13/533
H01R 13/56 −13/72
H05K 9/00 − 9/00
H02G 3/08 − 3/20
B60R 16/00 −17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部と、
外部機器を嵌合接続する外部機器接続部とを有するハウジングを備え、
前記外部機器接続部は、
前記外部機器と導通接続する内部導体と、
前記内部導体を収容する筒状で金属製の外部導体とを有する撮像装置用の電子部品において、
前記ケース部が金属製であり、
前記外部機器接続部は、前記ケース部に対して固着しているケース部連結部と前記外部導体を保持する外部導体連結部とを有する硬質樹脂製の保持部を有することを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記保持部は、前記外部機器との嵌合部を有する請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記外部導体は、
前記ケース部側の端部にコネクタを収容する嵌合室と、
前記嵌合室に収容した前記コネクタと導通接触する雌端子と、を有する請求項1又は請求項2記載の電子部品。
【請求項4】
前記雌端子は、前記コネクタの外周面に設けた導通接触部に対して外側から押圧接触する湾曲形状の少なくとも1つの接点ばね片を有する請求項3記載の電子部品。
【請求項5】
前記接点ばね片を複数有しており、各接点ばね片は前記コネクタの外周面に沿って配置されている請求項4記載の電子部品。
【請求項6】
前記外部導体は、前記ケース部側の端部に前記ケース部の内部空間に突出する突出端部を有する請求項1〜請求項5何れか1項記載の電子部品。
【請求項7】
前記保持部が炭素繊維強化樹脂でなる請求項1〜請求項6何れか1項記載の電子部品。
【請求項8】
請求項1〜請求項7何れか1項記載の電子部品を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品に関し、特に車載用カメラ等の撮像装置用の電子部品とこれを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライブレコーダーや車両後方の視認性の向上のために車載用の撮像装置が使用されている。この撮像装置はCMOS等の撮像素子を実装した基板やコネクタ等の電子部品を備えており、撮像素子が生成する撮像信号(電気信号)は、撮像装置に接続したハーネスを通じて外部機器に出力されることになる。
【0003】
そのハーネスを接続するための外部機器接続部の一例として、例えば特許文献1には、樹脂製で筒状のコネクタハウジングと、コネクタハウジングの内側に保持する金属製で筒状の外部導体と、外部導体の内側に保持する筒状の誘電体と、誘電体にその筒軸方向に沿って挿通するピン状の内部導体とを備える電子機器用コネクタが知られている。これによれば、誘電体の外側に配置された外部導体を、撮像信号の伝送路となる内部導体を保護する電磁波シールドとして機能させることができ、特に撮像信号の高速伝送に適しているという特徴を有する。他方、撮像装置では、信号処理の高度化に伴って内蔵する電子部品の発熱対策が課題とされている。即ち、前述の電子機器用コネクタは、外部導体、誘電体、内部導体を収容するコネクタハウジングが樹脂製であるため、電子部品が発熱することで撮像装置の内部に籠もる熱を効率的にコネクタハウジングの外部に放熱するのが難しい。
【0004】
こうした撮像装置の発熱対策として有効な一つの手段は、コネクタハウジングを熱伝導性が良いアルミ等の金属製とすることであり、特許文献2には金属製のハウジングを備える撮像装置が開示されている。そこで、前述した特許文献1の電磁波シールドに効果的な電子機器用コネクタを、特許文献2の放熱性に効果的な金属製のハウジングに組み合わせることが、それぞれの長所を合わせ持つ撮像装置としての好ましい形態になりうると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−170526号公報、
図3、電子機器用コネクタ30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電子機器用コネクタを特許文献2の金属製のハウジングに単に組み合わせれば良いというものでもない。即ち、この場合、特許文献1の外部導体、誘電体、内部導体を組込用のコネクタ部品とし、これを特許文献2の金属製のハウジングに圧入すると、そのコネクタ部品の外周を構成する金属製の外部導体が、同じく金属製のハウジングに食い込みにくく十分な保持力を確保するのが難しい。そのため衝撃、振動又は押圧によってコネクタ部品がハウジングから位置ずれしたり脱落したりしてしまうおそれがある。また、コネクタ部品をハウジングに圧入すると金属材どうしが擦れ合うため、短絡の発生原因となる金属バリや金属カスが発生するおそれもある。
【0007】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、撮像装置について電磁波シールドと放熱性とを両立することのできる電子部品を提供することにある。また他の目的は、そのような電子部品を備える撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それらの目的を達成すべく本発明は以下の構成により実現される。
【0009】
本発明は、コネクタを実装した基板を内部に収容するケース部と、外部機器を嵌合接続する外部機器接続部とを有するハウジングを備え、前記外部機器接続部は、前記外部機器と導通接続する内部導体と、前記内部導体を収容する筒状で金属製の外部導体とを有する撮像装置用の電子部品について、前記ケース部が金属製であり、前記外部機器接続部が前記ケース部を保持するケース部連結部と前記外部導体を保持する外部導体連結部とを有する硬質樹脂製の保持部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、外部機器接続部が樹脂製の保持部を有し、この樹脂製の保持部が金属製のケース部を保持するケース部連結部と、金属製の外部導体を保持する外部導体連結部とを有する。このように本発明では、金属材どうしのケース部と外部導体とを圧入する必要がないので、不十分な保持力による位置ずれや脱落の懸念がなく、金属材どうしが擦れ合うこともないので、短絡の発生原因となる金属バリや金属カスが発生するおそれもない。そして本発明であれば、金属製のケース部により内部の熱を外部に効果的に放熱しつつ、内部導体の電磁波シールドに有効な金属製の外部導体を合わせ持つ撮像装置用の電子部品とすることができる。ケース部が金属製であるため、外部導体による内部導体に対する電磁波シールド効果だけでなくケース部による内部導体に対する電磁波シールド効果を発揮することもできる。またケース部は、ケース部と外部導体との間に電子部品を配置した場合には、その電子部品による電磁波ノイズが撮像装置の外に漏出しないようにシールド効果を発揮することができ、逆に撮像装置の外から内部への電磁波ノイズの進入を防ぐシールド効果も発揮することができる。
【0011】
前記本発明の前記保持部は、前記ケース部連結部が前記ケース部との成形固着面を有しており、前記外部導体連結部が前記外部導体との成形固着面を有するものとして構成できる。これによれば保持部とケース部及び外部導体とが成形固着面により固着されているため、強固にそれらを一体構造体とすることができる。この場合、前記保持部は前記ケース部と前記外部導体と一体構造の成形体として構成することができ、より具体的にはインサート成形体として構成することができる。
【0012】
前記本発明の前記保持部は、前記外部機器との嵌合部を有することができる。これによれば嵌合部に対して例えば外部機器のハーネスを確実に接続することができる。つまり保持部に、ケース部と外部導体とを保持する機能と、外部機器を接続する機能とを持たせることができる。
【0013】
前記本発明の前記外部導体は、前記ケース部側の端部に前記コネクタを収容する嵌合室と、前記嵌合室に収容した前記コネクタと導通接触する雌端子と、を有することができる。外部導体を基板に導通接続する場合には、基板にコネクタを設ける方法が考えられる。そしてこの場合に外部導体を雄端子とし、基板のコネクタを雌コネクタとすると、基板のコネクタを雄コネクタとするよりも、基板の占有面積が大きくなるという課題がある。そこで本発明では、外部導体に基板のコネクタを収容する嵌合室と、収容したコネクタと導通接触する雌端子とを有することで、基板側を雄コネクタとして基板の占有面積を小さくすることができる。
【0014】
前記本発明の前記雌端子は、前記コネクタの外周面に設けた導通接触部に対して外側から押圧接触する湾曲形状の少なくとも1つの接点ばね片を有することができる。これによれば接点ばね片によって確実にコネクタの外周面に設けた導通接触部に対して押圧接触することができる。
【0015】
前記本発明については、前記接点ばね片を複数有しており、各接点ばね片は前記コネクタの外周面に沿って配置されているものとして構成することができる。これによればコネクタの外周面に沿って接点ばね片が配置されているので、複数の接点ばね片の弾性変形によってケース部に収容する基板の位置ずれによるコネクタの位置ずれを吸収することができる。
【0016】
前記本発明の前記外部導体は、前記ケース部側の端部に前記ケース部の内部空間に突出する突出端部を有するものとして構成できる。これによれば金属製のケース部の内部空間に金属製の外部導体が突出するので、ハウジングの外部機器接続部に樹脂製の保持部を有しながらも、ケース部の軸方向でケース部と外部導体と重ならない内部導体の部位を無くすことができ、内部導体に対する電磁波シールド効果をより確実に発揮することができる。
【0017】
前記本発明の前記保持部は、炭素繊維強化樹脂にて形成することができる。これによれば保持部についても電磁波シールド効果を発揮することができる。
【0018】
さらに前記目的を達成すべく本発明は、以上の何れかの電子部品を備える撮像装置を提供する。これによれば、金属製のケース部により内部の熱を外部に効果的に放熱しつつ、内部導体の電磁波シールドに有効な金属製の外部導体を合わせ持つ撮像装置とすることができる。したがって本発明は、撮像素子による撮像信号(電気信号)の高品質な高速伝送に好ましい撮像装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電子部品及び撮像装置によれば、金属製のケース部により内部の熱を外部に効果的に放熱しつつ、金属製の外部導体により内部導体に対する電磁波ノイズの悪影響を排除する撮像装置を実現することができる。そしてこうした金属製のケース部と金属製の外部導体とを樹脂製の保持部によって確実に保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本明細書、特許請求の範囲、図面では、
図1で示すX方向を左右方向とし、紙面に垂直なY方向を前後方向とし、Z方向を撮像装置の光軸方向、高さ方向とする。しかしこうした左右、前後、上下の特定は本発明の電子部品、撮像装置等の実装方向、使用方向等を限定するものではない。
【0022】
撮像装置1は、
図1でその概要を示すように、硬質樹脂の樹脂成形体でなるハウジング2と、撮像部品3とを備えている。
【0023】
ハウジング2は、フロントハウジング4とリアハウジング5とを備えており、その内部空間6には撮像部品3が収容される。この実施形態で例示する撮像部品3には、第1の基板7に実装した撮像素子8及び基板間接続コネクタ9と、第2の基板10に実装した基板間接続コネクタ11と基板側コネクタ12とを備えている。第1の基板7と第2の基板10には、図示しない信号処理系の回路配線と各種の素子が実装されており、それらは基板間接続コネクタ9、11により導通接続される。基板側コネクタ12は、リアハウジング5に備える「外部機器接続部」としての外部接続コネクタ13に嵌合接続される。
【0024】
外部接続コネクタ13は、図示しないハーネス部品と嵌合接続し、ハーネス部品は外部機器に対して接続されている。このように撮像装置1の撮像部品3により生成された撮像信号は、リアハウジング5の外部接続コネクタ13からハーネス部品を通じて外部機器に伝送される。以上のような概略構成の撮像装置1の特徴は、リアハウジング5と基板側コネクタ12にあることから、これらの特徴をさらに詳細に説明する。
【0025】
リアハウジング5
リアハウジング5は、ケース部14と、前述の外部接続コネクタ13とを有している。
【0026】
ケース部14は、アルミ合金等の金属製であり、角筒状の筒状周壁14aと、筒状周壁14aの一端側に形成された壁部14bとを有している。筒状周壁14aの他端側に形成された開口端14cにはフロントハウジング4が装着される。壁部14bには外部接続コネクタ13に繋がる孔状の連結部14dが形成されている。
【0027】
外部接続コネクタ13は、保持部15と、「外部導体」としてのシールド部材16と、誘電体17と、「内部導体」としてのピン端子18と、雌端子19とを備えている。
【0028】
保持部15は、炭素繊維強化樹脂の成形体であり、インサート成形により金属製のケース部14と金属製のシールド部材16とを保持する一体の成形体(インサート成形体)として形成されている。保持部15の炭素繊維強化樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂に導電性を有する炭素繊維を分散配合したものである。なお、炭素繊維については例えば金属めっきで表面処理したものを用いることができる。こうした炭素繊維強化樹脂を用いることで、保持部15に電磁波シールド性能を持たせることができ、したがってリアハウジング5の全体で電磁波シールド効果を発揮することができる。なお、保持部15とケース部14との境界には、防水性のシール部20が形成されている。シール部20は防水性のポッティング材を充填して形成したものである。
【0029】
保持部15には、前述したケース部14の連結部14dを保持するケース部連結部15aが形成されている。ケース部連結部15aは、インサート成形による成形固着面として形成されており、連結部14dに対して密着し強固に固着している。また、保持部15には円筒状の基部15bが形成されている。基部15bには、シールド部材16を保持する「外部導体連結部」としてのシールド部材連結部15cが形成されている。このシールド部材連結部15cもケース部連結部15aと同様にインサート成形による成形固着面として形成され、シールド部材16と密着し強固に固着している。
【0030】
Z方向における基部15bの一方側には円筒状の嵌合部15dが形成されている。嵌合部15dの内側には、図示しないハーネス部品が挿入されて嵌合接続する嵌合室15d1が形成されている。基部15bの他方側には、凹部15eが形成されており、その内側には前述したシール部20と同様の防水性のシール部15fが形成されている。
【0031】
シールド部材16は、円筒状の金属材にて形成されている。シールド部材16には、筒状部16aとコネクタ部16bが形成されている。シールド部材16のZ方向に沿う長さは、ピン端子18よりも長く形成されていて、ピン端子18の全長に亘って電磁波シールド効果を発揮できるようにしている。
【0032】
筒状部16aの内側には誘電体17が配置されている。筒状部16aの外周面には、シールド部材連結部15cに対する抜け止め構造を形成する突起16cが形成されており、シールド部材連結部15cの成形固着面の面積拡大と抜け止め構造により保持部15との接合力が強化されている。
【0033】
コネクタ部16bは、筒状部16aよりも大径に形成されており、基部15bから凹部15eを通じてリアハウジング5の内部空間6に突出する長さで形成されている。コネクタ部16bの内部空間は、基板側コネクタ12の嵌合室16dとなっている。コネクタ部16bの内側には雌端子19が配置されている。
【0034】
雌端子19は、基板側コネクタ12と導通接続するものであり、Z方向の一方側と他方側に位置する一対の環状部19aと、環状部19aどうしを繋ぐ湾曲形状の接点ばね片19bを有している。接点ばね片19bはコネクタ部16bと環状部19aの周方向で離間して複数本配置されている。接点ばね片19bは、その内側に挿入された基板側コネクタ12の押圧を受けて湾曲の度合いが緩くなるように伸長し、一対の環状部19aが離間する方向に変位するようになっている。環状部19aの変位は、コネクタ部16bの拡径段部16eと抜止係止片16fと当接することで、接点ばね片19bの湾曲形状が押しつぶされて平坦になる前に規制される。これにより接点ばね片19bは基板側コネクタ12に対して押圧接触力を発揮する。このような雌端子19は、抜止係止片16fとの当接によりコネクタ部16bから抜け止めされる。
【0035】
誘電体17は、シールド部材16の内側に圧入により保持されており、シールド部材16とピン端子18とを絶縁状態で保持している。誘電体17には筒状の嵌合口17aが形成されており、ここに図示しないハーネス部品の端子が挿入されてピン端子18と導通接触する。嵌合口17aの下側にはピン端子18の挿通保持部17bが形成されている。この挿通保持部17bにはピン端子18が圧入により保持される。誘電体17の下面には、前述のシール部20と同様の防水性のシール部17cが形成されており、ピン端子18と挿通保持部17bとの微少な隙間を水分が通らないようにしている。
【0036】
ピン端子18は、導電性の金属材料で形成したものであり、撮像部品3からの撮像信号(電気信号)を図示しないハーネス部品に伝送するための部材である。ピン端子18は、基部18aを誘電体17の挿通保持部17bに圧入することで誘電体17に保持される。基部18aの一端側には、誘電体17の嵌合口17aに突出する円形棒状のハーネス側接続部18bが形成されており、他端側にはコネクタ部16bの嵌合室16dに突出する円形棒状のコネクタ側接続部18cが形成されている。コネクタ側接続部18cは、次に説明する基板側コネクタ12と導通接続する。
【0037】
基板側コネクタ12
基板側コネクタ12は、「導通接触部」としての外殻壁12aと、ハウジング12bと、端子12cとを備えている。
【0038】
外殻壁12aは、基板側コネクタ12の外周面を形成しており、円筒状の金属薄板により形成されている。外殻壁12aの上端には開口12a1が形成されており、下端には第2の基板10にはんだ付けされる基板接続部12a2が形成されている。この外殻壁12aは、前述した外部接続コネクタ13の雌端子19の接点ばね片19bと導通接触することで、第2の基板10とシールド部材16とを導通接続する。
【0039】
ハウジング12bは、円筒状の樹脂成形体にて形成されている。ハウジング12bは外殻壁12aの内側に圧入されて保持されている。ハウジング12bには、中心軸に沿う孔状の嵌合室12b1が形成されている。嵌合室12b1は後述する端子12cの接触片12c1に対応する部分がテーパー状に形成されており、接触片12c1の外方への変位を許容する内部空間を形成している。嵌合室12b1の下端には、端子12cの基部12c2を圧入により保持する端子保持部12b2が形成されている。
【0040】
端子12cは、導電性の金属材料により形成されており、一対の接触片12c1と、基部12c2とを有しており、基部12c2を介してハウジング12bに保持されている。各接触片12c1は、基部12c2から伸長する片持ち梁状に形成されている。各接触片12c1は、基部12c2から伸長する弾性腕12c3と、ピン端子18の円形棒状のコネクタ側接続部18cの外形に合わせた半円形状の接触面を有する接点部12c4とを有している。また、基部12c2には第2の基板10にはんだ付けされる基板接続部12c5が形成されている。
【0041】
以上のような構造の基板側コネクタ12は、
図4で示すように、第2の基板10に実装されている。撮像装置1の組立時には、基板側コネクタ12を雄コネクタとし、外部接続コネクタ13のコネクタ部16bを雌コネクタとして嵌合接続する。基板側コネクタ12をコネクタ部16bの嵌合室16dに挿入して収容すると、外殻壁12aが雌端子19の接点ばね片19bと導通接触する。これにより第2の基板10がシールド部材16に導通接続される。他方、基板側コネクタ12の端子12cの一対の接触片12c1の間には、ピン端子18のコネクタ側接続部18cが挿入されて導通接触する。これにより第2の基板10がピン端子18に導通接続される。以上のような嵌合接続により撮像装置1が図示しない外部機器のハーネス部品と導通接続されて、撮像装置1の撮像信号が外部機器の機器本体に伝送される。
【0042】
実施形態の作用・効果
次に説明済みのものを除き、本実施形態の撮像装置1の作用効果について説明する。
【0043】
リアハウジング5の外部接続コネクタ13が樹脂製の保持部15を有し、この樹脂製の保持部15が金属製のケース部14を保持するケース部連結部15aと、金属製のシールド部材16を保持するシールド部材連結部15cとを有する。したがって、金属材どうしであるケース部14とシールド部材16とを圧入する必要がないので、金属材どうしの圧入による不十分な保持力による位置ずれや脱落の懸念がない。また、金属材どうしが圧入により擦れ合うこともないので、短絡の発生原因となる金属バリや金属カスが発生するおそれもない。したがってリアハウジング5を有するハウジング2と、ハウジング2を備える撮像装置1であれば、金属製のケース部14により電子部品例えば撮像部品3からの発熱を外部に効果的に放熱することができる。また、金属製のシールド部材16によりピン端子18の電磁波シールドにも効果を発揮することができる。したがって、撮像部品3による画像信号(電気信号)の高品質な高速伝送に好ましい撮像装置1とすることができる。
【0044】
そして、ケース部14とシールド部材16とをインサートした樹脂成形体として保持部15を形成しており、比較的容易な製法によりそれらを一体構造の成形体として構成している。例えば金属ダイキャストにより金属製のケース部14とシールド部材16とを設けることが考えられるが、薄厚のシールド部材16を金属ダイキャストで形成するのは難度が高く歩留まりも悪いが、本実施形態ではインサート成形という比較的容易な製法により一体構造の保持部15を形成することができる。
【0045】
保持部15は、金属材ではなく樹脂成形体であるため、嵌合部15dの形状の自由度が比較的高い。したがって、図示しない外部機器のハーネス部品の嵌合形状に応じて嵌合部15dを形成することができる利点がある。
【0046】
シールド部材16は、基板側コネクタ12を収容する嵌合室16dを有しており、嵌合室16dには基板側コネクタ12の外殻壁12aと導通接触する雌端子19を備えている。シールド部材16を第2の基板10に導通接続する場合には、第2の基板10にコネクタを設ける方法が考えられる。そしてこの場合に、シールド部材16を雄端子とし、第2の基板10に設けるコネクタを雌コネクタとすると、第2の基板10のコネクタを基板側コネクタ12のような雄コネクタとするよりも、第2の基板10の占有面積が大きくなってしまう。しかしながら本実施形態では、シールド部材16のコネクタ部16bを雌端子19を有する雌コネクタとし、第2の基板10の基板側コネクタ12を雄コネクタとしているため、第2の基板10の占有面積を小さくすることができる。
【0047】
雌端子19は、複数の接点ばね片19bをコネクタ部16bの周方向に沿って配置している。このためリアハウジング5の内部空間6に第2の基板10を設置した際に位置ずれが生じていても、基板側コネクタ12を嵌合室16dに嵌合した状態で、複数の接点ばね片19bの弾性変形によって基板側コネクタ12の位置ずれを吸収することができる。
【0048】
コネクタ部16bは、基部15bから凹部15eを通じてリアハウジング5の内部空間6に突出する長さで形成されている。即ちコネクタ部16bは本発明の「突出端部」を構成する。このように、金属製のコネクタ部16bが、金属製のケース部14の内部空間6に突出しているため、リアハウジング5に樹脂製の保持部15を有しつつも、ケース部14の軸方向(Z方向)で、ケース部14とシールド部材16とが重ならないピン端子18の部位を無くすことができ、ピン端子18に対する電磁波シールド効果をより確実に発揮することができる。
【0049】
実施形態の変形例
前記実施形態については変形例での実施が可能であるため、その例を示す。
【0050】
前記実施形態では、ピン端子18を1本備える例を示したが2本以上でもよい。その場合には外部接続コネクタ13をピン端子18の本数に合わせて変更する必要がある。
【0051】
前記実施形態では、保持部15にケース部14とシールド部材16とをインサートしたインサート成形体とする例を示したが、保持部15にケース部14とシールド部材16とを接着剤等による接合層にて連結してもよい。また、例えば保持部15とシールド部材16とをインサート成形し、保持部15とケース部14は接着剤で接合するように、インサート成形による成形固着面と接着剤等による接合層とを組み合わせてもよい。
【0052】
前記実施形態では、保持部15を炭素繊維強化樹脂の成形体で形成する例を示したが、炭素繊維を配合していない熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の成形体として形成してもよい。
【0053】
前記実施形態では、基板側コネクタ12について外殻壁12aを筒状に形成することで、その周方向での接点ばね片19bとの位置決めが不要な形態を例示したが、各接点ばね片19bに対応するように外殻壁12aを分割形状としてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 撮像装置
2 ハウジング
3 撮像部品
4 フロントハウジング
5 リアハウジング
6 内部空間
7 第1の基板
8 撮像素子
9 基板間接続コネクタ
10 第2の基板
11 基板間接続コネクタ
12 基板側コネクタ
12a 外殻壁(導通接触部)
12a1 開口
12a2 基板接続部
12b ハウジング
12b1 嵌合室
12b2 端子保持部
12c 端子
12c1 接触片
12c2 基部
12c3 弾性腕
12c4 接点部
12c5 基板接続部
13 外部接続コネクタ(外部機器接続部)
14 ケース部
14a 筒状周壁
14b 壁部
14c 開口端
14d 連結部
15 保持部
15a ケース部連結部
15b 基部
15c シールド部材連結部(外部導体連結部)
15d 嵌合部
15d1 嵌合室
15e 凹部
15f シール部
16 シールド部材(外部導体)
16a 筒状部
16b コネクタ部(突出端部)
16c 突起
16d 嵌合室
16e 拡径段部
16f 抜止係止片
17 誘電体
17a 嵌合口
17b 挿通保持部
17c シール部
18 ピン端子(内部導体)
18a 基部
18b ハーネス側接続部
18c コネクタ側接続部
19 雌端子
19a 環状部
19b 接点ばね片
20 シール部