【文献】
PLoS One,2008年,Vol.3 Iss.6,e2409, p.1−11,doi:10.137/journal.pone.0002409
【文献】
実験動物の被験物質の投与(投与経路、投与容量)及び採血に関する手引き,2000年,[http://www.ilas.med.tohoku.ac.jp/committee/rule_hiken.html]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ウイルスを、化学療法剤を含むその他の抗癌剤、その抗体またはその断片等の免疫療法剤、キナーゼ阻害剤またはmTOR阻害剤等の小分子阻害剤、放射線療法、放射性同位元素療法またはそれらの任意の組み合わせと併用して投与する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製剤。
サブグループBの複製可能な腫瘍溶解性アデノウイルスを含むヒトの癌治療用の非経口製剤であって、単一治療サイクルで前記製剤を複数回、静脈投与し、各投与で与えられる用量は6×1012個のウイルス粒子であり、40分かけて投与される、製剤。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一実施形態では、投与量は、1×10
10〜1×10
13の範囲、例えば1×10
10〜1×10
12のウイルス粒子である。
【0027】
一実施形態では、1つの治療サイクルで投与される総用量は、1×10
12、2×10
12、3×10
12、4×10
12、5×10
12、6×10
12、7×10
12、8×10
12または9×10
12ウイルス粒子である。
【0028】
一実施形態では、1つの治療サイクルで投与される総用量は6×10
12のウイルス粒子である。
【0029】
発明者は、有効性にもっとも重要となり得ることは、初期の段階、例えば、抗ウイルス免疫応答が発生する前に、腫瘍内の生産性感染を確立することであると仮定している。
【0030】
したがって投与計画は、十分なウイルスを送達し、例えば、患者に毒性および重篤な有害事象を引き起こさない(またはこれを最小にする)一方で、癌細胞のウイルス感染を播種するのに十分長い時間、十分な血漿レベルのウイルスを生成するためにバランスを取る必要がある。
【0031】
発明者は、B型アデノウイルスによる腫瘍の感染を、静脈内に投与されるウイルス粒子の用量によって確立することができることを初めて示した。静脈経由でColoAd1による治療を受けた結腸直腸癌の患者の癌細胞の核にウイルス感染を有することは、細胞のヘキソンが染色された場合、およびPCRによって独立して分析した場合にも示される。核中のウイルスは、ウイルスのウイルスライフサイクルが進行中であり、患者のウイルス量の増加によって、ウイルスが複製できることを示す。
【0032】
患者に腫瘍溶解性アデノウイルスを全身投与する場合、投与の変数の数を考慮する必要がある。これらの投与の変数として、ウイルスの投与経路、ウイルスの投与用量、各用量のウイルス投与速度、所与のサイクルにおける個別のウイルスの投与間隔、治療サイクルあたりのウイルス投与回数、治療サイクルの間隔、治療サイクルの数、最後に、有効性を高め、有害事象を最小にするために使用される任意の併用薬またはその他の支持療法の使用が挙げられるが、これらに限定されない。投与の各パラメータは、順番に、調査中の腫瘍溶解性ウイルスの種類の特定の特性に依存する。
【0033】
重要なパラメータとして、非腫瘍細胞に対する腫瘍細胞へのウイルスの結合の相対的な程度と結合力、非腫瘍細胞に対する腫瘍細胞におけるウイルスの相対的選択性および能力、細網内皮細胞(例えば、肝臓クッパー細胞)および血液成分のウイルスへの特異的または非特異的結合によるウイルスの活性取り込みおよびクリアランス速度が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
これらの主要なパラメータは、順番に、特定のウイルス型の重要な物理的および表現型の特徴によって駆動され、これらに限定されないが、ウイルスの受容体特異性、ウイルスコート上に担持された電荷、エンベロープの存在または非存在、ウイルス粒子の大きさ、ウイルス粒子の免疫原性、ウイルス粒子の炎症能力、ウイルスの腫瘍特異性、ウイルスの複製速度、ウイルスの殺傷能力が挙げられる。
【0035】
したがって、任意の投与体制の適切性は、ウイルスの異なる種類によって異なり、最も適切な投与体制は、投与されるウイルスの種類に固有であってもよい。例えば、Zhangら(2012)は、抗腫瘍活性を維持しながら、肝臓の隔離を排除し、循環を高め、毒性を低減するために、血液凝固因子Xとの結合するヘキソンを低減するために作成したAd5−Ad48キメラウイルスを記載している。同様に、Shashkovaら(2009)は、潜在的な抗癌剤として研究する際に、野生型ヒトアデノウイルス血清型5、6、11および35の間に有意差があることを記載している。したがって、ヒトに全身投与された場合に異なるウイルス型が有意差を有して行動することが予想されため、最適な投薬戦略をin vivoデータおよび好ましくは支持する臨床データなくしてアプリオリに予測することはできない。
【0036】
本明細書に記載の投与計画は、例えば、より規則的な間隔および長期の繰り返される投与といった現在の実務と比較した場合の、グループBアデノウイルスについてこれを達成することに特に適切であり得る。
【0037】
所与の腫瘍溶解性アデノウイルスのための最適化された投薬計画の目的は、副作用(有害事象)および抗ウイルス免疫の誘導の両方を最小にしながら、腫瘍細胞へのウイルスの送達を最大化することであり、これは、治療に適切であるように、ウイルス投与を繰り返すことを可能しながら、適切なリスクベネフィット治療プロファイルを作製するためにある。最適化された投与計画は、このようにウイルス型間で、特にウイルスコートの違いによるアデノウイルスのサブタイプ間で異なる。
【0038】
サブグループCアデノウイルスのAd5をベースにした先行技術において、コクサッキーアデノウイルス受容体により媒介される感染性について多くの研究が実施されている。全身送達される場合、送達された用量の90%超が肝臓に取り込まれる。肝臓への急速かつ広範な損失は、腫瘍によるウイルスの取り込みを減少させ、治療効果を減少させる。この用量の大部分は、肝臓中のマクロファージの常在性を特化するクッパー細胞等の自然免疫細胞を産生するサイトカインによって取り込まれる。Ad5も肝臓毒性を示し、クッパー細胞の壊死とその後の枯渇を引き起こす。
【0039】
Shoshkovaら2009は、Ad5によるクッパー細胞の枯渇によって、Ad5ベクターのその後の送達で肝細胞伝達のレベルが増加し、また、Ad5について解明された機序は、例えばAd11およびAd35といったサブグループBからのアデノウイルスに必ずしも関連しないことを示唆することを示した。そのデータは、どのサブグループBアデノウイルスもクッパー細胞によってそれほど認識されない、またはこれらの細胞の死を引き起こさない一方で、サブグループCアデノウイルスは同様にクッパー細胞と相互作用することを示唆する。特に、ShoshkovaはAd11ベースのウイルスの前投与はAd5のようにクッパー細胞に、同じ有益な効果を有しないことを示唆する。本論文は、(Ad11を含む)サブグループBアデノウイルスについていくつかの結合はあるかもしれないが、この影響は実際には最小であると結論づけている。
【0040】
理論に束縛されることを望まないが、発明者は、先行技術の提案に反して、クッパー細胞等の自然免疫細胞を産生するサイトカインが、サブグループBアデノウイルスのクリアランスに役割を果たし得る、と考えている。
【0041】
さらに、Ad5ヘキソンへの血液凝固因子Xの結合は、肝細胞の感染の機序であり、この機序は、in vivoで他のアデノウイルスにも関連し得るが(例えばMolecular Therapy vol.17 no.10,1683−1691 October 2009を参照のこと)、一般的にサブグループBからのアデノウイルスのための肝摂取の機序ではない。
【0042】
Ad5の世界的に高い血清有病率(ヒト集団での高いAd5中和抗体力価)およびその他の一定のアデノウイルス血清型は、高い血清有病率のアデノベースの治療の全身適用に重要な懸念を表している。これは当該血液媒介ウイルスが既存の抗体によって中和される可能性があるためである(VogelsらJournal of Virology,Aug 2003 Vol 77,No.15 page 8263−8271)。
【0043】
サブグループBアデノウイルスは、低い血清有病率に関連しているという点(StoneらJournal of Virology 2005 Vol 79 No.8 頁5090−5104)、炎症能力が低いという点で、特定の生来の利点を有する。そのため、初回量は例えばAd5によるものよりもはるかに効率的になり得る。しかし、全身送達後の免疫系を回避する能力が、繰り返し投与の懸念事項になり得る。したがって、がんによる免疫システムの局所抑制があっても、おそらく、免疫系の回避はサブグループBアデノウイルスに基づく腫瘍溶解性ウイルス療法の長期的な成功に最大の障害になる。
【0044】
発明者によって生成されたデータは、サブグループB腫瘍溶解性アデノウイルスの治療効果を改善させることができ、および/または免疫系によるアデノウイルスの中和を排除することは、適切な投与計画を使用することによって最小限に抑えることができるという立場を支持している。
【0045】
一実施形態では、本明細書の投薬計画は、例えばインフルエンザ様症状および炎症反応のような副作用を最小限にすることもできる。
【0046】
一実施形態では、特定の抗ウイルス免疫応答が発生する前に、初期の「投与ウインドウ」の間、自己複製能アデノウイルスを繰り返し投与し、特定の抗ウイルス免疫応答がもう一度衰えたとき、後期の投与ウインドウを再び利用することができる。すなわち、短期間、その後の治療サイクルを開始するまでの期間におけるいくつかの治療になる。
【0047】
有利な点として、このような方法で、自己複製能アデノウイルスを投与することにより、ウイルス血中濃度は、腫瘍内で自己増幅感染を確立し(免疫抑制環境であることが知られている)、それによって潜在的に腫瘍溶解性ウイルスの慢性的な反復投与の必要性が回避される。腫瘍内の自己増幅感染を確立するためには、できるだけ効果的な感染濃度を超えるレベルであるが有害事象を生じることなく、患者の血流内のウイルスのレベルを維持することが有益である。この概念は、ウイルスの治療ウィンドウ、すなわち治療効果が最適化され、副作用が最小になる用量範囲または投与計画を識別することに似ている。
【0048】
これは、投与量とウイルスの注入速度の両方を最適化することによって達成することができる。一実施形態では、ウイルスの注入速度は身体によるウイルスのクリアランス速度に等しいか、または大きい。
【0049】
感染が腫瘍内部で確立されると、ウイルスは比較的中和抗体から保護され、用量制限毒性のない治療効果を繰り返し、生み出すように、潜在的に許容される環境が付与される。
【0050】
加えて、ウイルス濃度C(
max)のピークは副作用の原因となり、平坦な薬理学的プロファイルが望ましいと発明者は仮定している。
【0051】
一実施形態ではC
maxは、例えば1ml当たり3×10
8DNAコピーといった特定の値未満に維持される。関連する閾値以上のC
maxレベルは、一部の患者では、重篤な有害事象または毒性を誘発する可能性が高い。
【0052】
一実施形態では、注入速度は、投与されるウイルスの絶対量よりも大きい影響を与える。
【0053】
診療所で生成されたデータに基づいて、また、ウイルスはクリアランス速度を上回る速度、最大72時間以上の長時間にわたって、毎分最大1.5〜2×10
11のウイルス粒子(すなわちウイルスの総投与量が6×10
12ウイルス粒子)を、患者に重篤な有害事象を誘発することなく送達することができると考えている。
【0054】
一実施形態では、血液中のウイルスゲノムのC
maxは、血液1mlあたり3×10
8未満のゲノムのレベルで維持される。
【0055】
いくつかのシナリオでウイルスのクリアランスの初期速度を評価し、推定されるα−半減期は18分の範囲にあると考えている。
【0056】
腫瘍溶解性ウイルス療法中の予防的抗炎症剤の使用は議論の余地がある。一方では、それらの使用は、有害事象を最小にし、したがって、腫瘍溶解性ニューカッスル病ウイルス(Lorenceら、2007)の耐容性を高めることができることが提案されている。一方、熱の発生がアデノウイルスの強化された腫瘍溶解効果が関連し得るという報告がある(Yuら2007)。
【0057】
発明者は、この治療サイクルの間に投与される予防薬または治療薬(抗炎症薬、ステロイド、制吐剤、止瀉薬または鎮痛剤を含む)の使用によって、特に、より高用量またはより頻繁な投与を可能にする、この投与計画の耐容性を高めることができることを見出した。
【0058】
一実施形態では、治療サイクルの間に、ステロイドを投与する。
【0059】
このように、個別にまたは一斉に使用される6つのパラメータが、腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスの適切な送達という目標を達成する上で重要であるとの仮説を立てている。
a)各用量で投与されるウイルス粒子の数、
b)各ウイルスの用量が投与される速度(毎分に送達されるウイルス粒子の数)
c)治療サイクルにおけるウイルスの個々の用量の数、
d)治療サイクル内のそれぞれ個別の投与の間隔、
e)治療サイクルの間の予防的抗炎症薬の使用、および
f)治療サイクル間の期間。
これらのパラメータは、互いに調整することができ、すなわち投与量が増加している場合は、増加の悪影響をオフセットするために、ゆっくりとした注入速度で投与することができる。
【0060】
投与量が低すぎる場合には、ウイルス粒子のレベルが、癌細胞の効果的な感染を確立するのに十分ではなくなる。投与速度が遅すぎる場合、その後、ウイルス粒子が、天然のウイルスシンク(例えば、肝クッパー細胞または血液成分等の自然免疫細胞を産生するサイトカイン)によって容易にクリアされる可能性があり、癌/腫瘍細胞の効果的な感染が達成されない。ウイルスの用量が高すぎる場合、および/または投与速度が速すぎる場合、ウイルス粒子の濃度が高いため、有害事象の数が増加する可能性がある。後者は、炎症性サイトカイン応答を誘導し、患者が経験する副作用が増加する可能性がある。適度な注入速度が、送達される用量を最適化することができる。
【0061】
平均して、ColoAd1等のB型アデノウイルスのクリアランスの速度は、約18分のα−半減期を有する。
【0062】
ウイルスの単回投与は、感染を確立することができない可能性があるが、ウイルスシンク(例えば、肝クッパー細胞または血液成分等の自然免疫細胞を産生するサイトカイン)を適切に占有するか、削除することができる。ウイルスシンクが適切に占有または削除された場合、その後すぐに次の用量が投与された場合、ウイルスの動態は、より長い循環半減期および/またはより高いピーク血漿レベルを有して、後の用量のために変更することができる。この場合、最初の投与直後に投与される一つまたはそれ以上の用量がより効果的に癌細胞への効果的な感染を確立することができる。
【0063】
しかしながら、次の用量の投与間隔が離れすぎて(例えば14日間以上離れて)いる場合、その後、ウイルスシンクは補充する時間を持つことができ、前の用量の利益が失われ、および/または特定の抗ウイルス免疫応答が発生し得る。例えば、この投与計画の形態を有する肝クッパー細胞等のサイトカイン産生自然免疫細胞の枯渇は、これらの投与がより高いウイルスの血漿レベルに直面しても良好に耐容するように、クッパー媒介サイトカインの放出を次のウイルス投与に関して、かなり減少させることができる点において重要な二次的な利点を有することができる。
【0064】
このように、発明者は、例えば、以下に記載のように比較的短い期間にわたって所定の治療サイクルの管理を提唱する。
【0065】
発明者が完成した研究から、グループBアデノウイルスについて、治療サイクルにおける複数回投与が、各用量が比較的短期間にわたって投与され、適度に速く注入され、任意に予防薬と併用して、比較的短い期間によって区切られ、最小限の毒性で腫瘍溶解性B型アデノウイルスを癌細胞に感染させるのに適しているように思われる。
【0066】
必要に応じて治療サイクルを繰り返してもよい。
【0067】
急性毒性のマーカーとして炎症性サイトカインTNF、ガンマインターフェロン、IL−6およびMCP−1をモニターし、第2またはその後の用量により、毒性が低減し、各事例においてウイルスが癌細胞に感染する能力が増加すると考えている。なぜならば、適切な投与レベル、速度および頻度でこれらの用量が投与されれば、非癌性ウイルスシンクが、第1または第2の投与の両方によって削除されるか占有されるためである。
【0068】
一実施形態では、3回の用量が治療サイクルで使用され、さらなる実施形態では、3回以上の用量が治療サイクルに使用される。
【0069】
一実施形態では、1回の用量が、1、3、5、14、および21日目のいずれかまたはすべてで投与される。
【0070】
別の実施形態では、フォローアップの用量は、維持またはブースター用量として投与され、例えば、隔週、毎週、2週間毎に1回、または3週間毎、毎週、または3週間毎に、適切な期間、特に治療が維持療法として患者に有益である間、例えば、患者が寛解にあり続けている間、投与される。
【0071】
当業者は、治療サイクルに対する様々な修正が、個々の患者のニーズに応じて行うことができることを理解するであろう。
【0072】
本開示はまた、例えば、単一の治療サイクル中にアデノウイルスを含む非経口製剤の複数回投与等、少なくとも1回の用量を全身に投与することによって、ヒト患者の治療に使用するサブグループB複製可能な腫瘍溶解性アデノウイルスに範囲を拡げ、各投与での総投与量は1×10
10〜7×10
12、例えば、1×10
10〜5×10
12ウイルス粒子の範囲にあり、1分〜90分の期間にわたって投与される。
【0073】
さらなる態様では、本開示は、単一の治療サイクル中にアデノウイルスを含む非経口製剤の複数回投与等、少なくとも1回の用量を全身に投与することによって、ヒト患者の治療に使用するサブグループB複製可能な腫瘍溶解性アデノウイルスの使用に及び、各投与での総投与量は、1×10
10〜1×10
13例えば、1×10
10〜7×10
12、例えば、1×10
10〜5×10
12、または6×10
12ウイルス粒子の範囲にあり、1分〜90分の期間にわたって投与される。
【0074】
一実施形態では、所定のサイクルの治療における第1の用量は、サイクルのその後の治療で投与する用量よりも低い。
【0075】
マウスでの作業に基づくShoshkovaの提案に反して、Ad11ベースのウイルスの投与前は、クッパー細胞等のサイトカイン産生自然免疫細胞に有益なプライミング効果を有しないと思われる。実際には、グループB腫瘍溶解性アデノウイルスの投与の用量およびタイミングの最適化は、副作用を最小限に抑えるために使用してもよく、したがって、有益になり得る。
【0076】
一実施形態では、投与量は、例えば、40分間等の20〜60分間にわたって6×10
12である。
【0077】
一実施形態では、高い第1および第2の用量(すなわち、通常の治療用量に対応してもよい)は、完全にクッパー細胞(および/または他のウイルスシンク)等のサイトカイン産生自然免疫細胞を占有するのに望ましく、したがって、次の用量の送達を最適化する。言い換えれば、第1および第2の用量は等しくてもよい。
【0078】
一実施形態では、投与される全用量は、等しい数のウイルス粒子を含む。このことは、ウイルス製剤の製造を簡素化し、投薬エラーのリスクを低減し、実際には非常に効果的な治療計画を提供することができるという点で、特に有利になり得る。
【0079】
一実施形態では、治療のフォローアップサイクルは、免疫応答を減衰させるために、前の治療サイクルの完了から、1ヶ月から6ヶ月、例えば、2、3、4、5ヵ月後に設けられる。
【0080】
一実施形態では、フォローアップサイクルは、毎週または隔週、6、7、8、9、10、11、12、18、24、30または36ヶ月等の1ヶ月〜5年の期間に投与される単回投与であってもよい。
【0081】
一実施形態では、フォローアップ治療サイクルは、最初の治療サイクルの最後の投与の約14日以内に開始される。
【0082】
フォローアップサイクルはまた、維持用量として作用してもよく、それによって、治療効果を提供するのに十分なレベルのウイルス負荷を維持するのを助ける。
【0083】
一実施形態では、1、2、3、4、5回またはそれ以上、例えば1または2回の次の治療サイクルがある。
【0084】
一実施形態では、次の治療サイクルがないたった1回の治療サイクルがある。
【0085】
一実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルス(例えば、ColoAd1など)の注入または注射のための液体非経口製剤が提供され、製剤は1用量あたり6×10
12ウイルス粒子等、1用量あたり1×10
10〜1×10
14ウイルス粒子の範囲の用量が提供される。
【0086】
また、例えば、1用量当たり6×10
12ウイルス粒子等、本明細書に記載の投与量を含む、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスを含む本開示による非経口製剤を投与することによって患者を治療する方法も開示する。
【0087】
また、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスを含む本開示による非経口製剤を投与することによって患者を治療する方法も開示し、前記方法は抗炎症、ステロイド、抗ヒスタミン、抗解熱薬剤および水和のための液体を含む群から選択される1つ以上の物質または薬剤を患者に共投与することを含む。
【0088】
また、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスを含む本開示による非経口製剤の次のサイクルを患者に投与するのに適した時期を決定する方法も開示し、前記方法は、第1の治療サイクル前の患者特有の抗ウイルス免疫の既存の力価を決定し、第1の治療サイクルの後の患者特有の抗ウイルス免疫を連続して決定し、患者特有の抗ウイルス免疫が事前指定されたベースラインの割合に減少するまで、次の治療サイクルを遅らせるステップを含む。
【0089】
本明細書で使用される「連続して決定する」という用語は、患者の抗ウイルス免疫を複数のタイムポイントで決定することを意味し、規則的または不規則に間隔があいていてもよい。得られた複数の測定値を使用して、例えば、特定の期間にわたる平均力価を生成することができる。
【0090】
本明細書で使用される用語「予め指定されたベースラインの割合」は、治療が開始される前に測定されたベースライン、患者の予後、進行中の癌治療、有害な副作用等の因子を考慮して、特定の患者の閾値または限界値として定義されるウイルス力価を意味する。
【0091】
一実施形態では、「予め指定されたベースラインの割合」は、患者のベースラインのウイルス力価の90%以下であり、例えば、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下である。
【0092】
代替の実施形態では、次の治療サイクルを投与する前に試験を実施しない。
【0093】
一実施形態では、3〜50ミリリットルの範囲の内部容積を有するガラスまたはプラスチックの注射器の使用を提供し、前記注射器は、1×10
10〜1×10
14、例えば、1×10
10〜7×10
12(例えば1×10
10〜6×10
12または1×10
10〜5×10
12、または1×10
10〜4×10
12、または1×10
10〜3×10
12、または1×10
10〜2×10
12、または1×10
10〜1×10
12)のサブグループB複製可能な腫瘍溶解性アデノウイルスのウイルス粒子を含む非経口製剤を含み、製剤は無菌であり、無菌状態で注射器に充填され、治療のために、具体的には、ヒト対象に注射可能または静脈内注入可能な薬剤を製造するために使用される。
【0094】
当業者は、例えば、注射器の表面に付着していてもよく、その後に投与されないウイルス粒子を補うために、製剤が超過したウイルス粒子を含んでいてもよいことを理解している。
【0095】
有利な点として、当該プレフィルド注射器は、特殊な装置(抽出フードを含む)および訓練された人員等の高いリソースを使用して、専門の薬局で用量を調製する必要性を取り除くことによって、製造されたサブグループB腫瘍溶解性アデノウイルスの使いやすさおよび費用対効果をかなり高めると思われる。
【0096】
本開示はまた、前記製剤の予め充填されたバイアル、具体的には、本明細書に規定された範囲で、単回用量を含むバイアルにも及ぶ。
【0097】
一実施形態では、ウイルス製剤は、生理食塩水、ブドウ糖または患者に投与する前に局所的に類似するように、無菌の等張性希釈剤で希釈するのに適した、濃縮された形態、例えば、濃縮液で提供される。
【0098】
有利な点として、本明細書の投与計画は、癌標的にサブグループB腫瘍溶解性ウイルスの治療有効量を送達するのに適している。特に、本明細書の投与計画は、例えば、血液生まれの薬剤、シンク、クッパー細胞等のサイトカイン産生自然免疫細胞および免疫系によって、腫瘍溶解性ウイルスを中和および/またはクリアランスを最小限に抑えることができる。後者は、腫瘍溶解性ウイルスの治療用量の可用性の向上につながり、全体的には、患者の改善された予後および/または向上した生存につながる。有利点として、本レジメンは、治療中の有害事象および/または副作用を最小化することによって、患者の生活の質の向上を提供することもできる。
【0099】
一実施形態では、本開示に記載の治療を受ける患者は、出願の時点で、現在の標準治療を受けた患者と比較して生存率が増加し、例えば、統計的に有意な生存率の増加を示す。
【0100】
一実施形態では、本開示に記載の治療を受ける患者は、出願の時点で、標準治療を受けた患者と比較して、腫瘍負荷が減少し、例えば、統計的に有意な腫瘍負荷の減少を示す。
【0101】
一実施形態では、本開示に記載の治療を受ける患者は、出願の時点で、標準治療を受けた患者と比較して、寛解に入る可能性が増加し、例えば、統計的に有意な寛解の増加を示す。
【0102】
一実施形態では、転移の量または程度が減少し、例えば、本開示に記載の治療を受ける患者は、出願の時点で、標準治療を受けた患者と比較して、統計的に有意な転移の量または程度の減少を示す。
【0103】
理論に束縛されることを望まないが、先行技術が他のことを提示していても、単核食細胞系の細胞、特にクッパー細胞等のサイトカイン産生自然免疫細胞が、循環からB型腫瘍溶解性ウイルスのクリアランスに関与し得ると考えられる。
【0104】
さらに、本発明により実施されたマウスの研究では、例えば、第2の投与後に短時間のフレームで行われる場合に、または、より低い毒性もしくはその両方が観察され得る場合に、第3および次の投与を効率よくクリアできないように、治療計画の第1または第2の投与後にクッパー細胞等のサイトカイン産生自然免疫細胞が枯渇しまたは占有することが考えられる。比較的短い期間内に投与する場合に、サイトカインのレベルが、第1の投与に比べ、第2または第3の投与後に有意に上昇しない点において、サイトカインマーカーは後者を示していると仮定する。発明者はウイルスをクリアするための機序が第1および第2に投与後に抑止され得るという立場をとる。
【0105】
マウスでの研究は、特にウイルスで、常にヒトのシステムに見られることと相等しいわけではないが、この例では、ヒトによる観察は発明者が行ったマウスモデルのものとよく相関するように思われる。サイトカイン応答およびColoAd1の薬物動態への投与レジメンの影響も、発明者によってヒト対象に例証される。
【0106】
本明細書で使用される場合、「全身投与することによって患者を治療する方法」は、患者の循環系へのエンティティの移行を達成するために、ヒトに治療薬を投与する方法を意図し、治療は、例えば、静脈内投与による循環系への直接投与によって、がんもしくは合併症またはそれに関連する症状等の悪性腫瘍の進行を防ぎ、遅らせ、改善し、または治癒することを意図する。
【0107】
一実施形態では、全身送達は、原発腫瘍、明らかにアクセスできないまたは診断されていない腫瘍および/または転移を治療する機会を与える。患者の全体的な予後をより良いものにし、および/または生存率を改善することにつながるため、これは特に有利な点である。
【0108】
したがって、本明細書で使用される全身送達は、腫瘍または腹腔等の体腔内に局在化された治療を指すものではない。全身送達の例として、静脈内注入、筋肉内および皮下注射が挙げられる。
【0109】
非経口製剤は、胃腸管を介しても、局所投与を介しても送達しないように設計された製剤を意味する。典型的な非経口送達経路として、注射、移植または注入が挙げられる。一実施形態では、製剤は、ボーラス送達のための形態で提供される。
【0110】
一実施形態では、非経口製剤は注射の形態である。注射として、静脈内、皮下、腫瘍内または筋肉内注射が挙げられる。本明細書で使用される注射は、注射器を介して体内に液体を挿入することを意味する。一実施形態では、本開示の方法は、腫瘍内注射を必要としない。注射は、一般に、例えば、1.5分以下の短時間に、150mL以下の流体を投与することを伴う。
【0111】
一実施形態では、製剤は、腹腔内に送達される。
【0112】
頭頸部癌、または上皮癌の脳転移については、頭蓋内注射が必要となり得る。
【0113】
一実施形態では、非経口製剤は注入の形態である。
【0114】
本明細書で使用される注入は、点滴、輸液ポンプ、シリンジポンプまたはシリンジポンプまたは同等の機器によって、より遅い速度で流体を投与することを意味する。一実施形態では、注入は、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60分等、1.5分〜90分の範囲の期間にわたって投与される。
【0115】
一実施形態では、製剤の投与量は、シリンジポンプによって投与される等、100mL以下、特に50ml以下、例えば、30ml、10ml、3ml等の5ml以下である。後者は、遅い注入と呼ぶことができる。
【0116】
一実施形態では、注入は、毎分0.5〜6mlの範囲内、例えば毎分0.75mlの速度で送達される。
【0117】
一実施形態では、注入は、毎分2×10
9〜2×10
12ウイルス粒子(VP)、例えば毎分1.5×10
11VPである。
【0118】
一実施形態では、注射は例えば1.5〜30分または1.5〜40分間かけて、遅い注入として投与される。
【0119】
一実施形態では、製剤は、静脈内投与のためのものである。この経路は、臓器および細胞の大部分に迅速にアクセスでき、転移、例えば、特に肝臓および肺等の高度に血管新生化された領域に位置する確立された転移の治療に有用あるため、腫瘍溶解性ウイルスの送達に特に効果的である。
【0120】
一実施形態では、投与方法の組み合わせは、例えば、IVおよび腫瘍内または腹腔内および腫瘍内、またはIVおよび腹腔内に使用される。
【0121】
したがって、一実施形態では、本開示の全身投与を、同時にまたは連続的のいずれかの腫瘍内投与等のその他の投与経路と組み合わせて使用してもよく、例えば、第1の治療前サイクルは腫瘍内であってもよく、第2の治療サイクルは本開示に記載の全身であってもよい。あるいは、第1の治療サイクルは、本開示に従っていてもよく、必要に応じて、その後のサイクルまたはブーストは腫瘍内であってもよい。治療用製剤は、典型的には、製造および貯蔵の条件下で無菌かつ安定である。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、またはヒトへの投与に適した他の非経口製剤として製剤化することができ、特に単回用量として、注射器またはバイアル等の予め充填された機器として製剤化してもよい。
【0122】
一実施形態では、2またはそれ以上の用量を治療サイクルに使用し、例えば2、3、4、5または6用量を、各治療サイクルに使用し、例えばキットとして提供してもよい。
【0123】
所与の治療サイクルで投与される各用量は、本明細書では治療と呼ぶことができる。
【0124】
一実施形態では、サイクルで投与される次の用量より低い用量を使用し、例えば、低用量は次の1回の用量または複数回の用量の30〜95%の範囲、例えば50、60、70または80%とすることができる。
【0125】
一実施形態では、サイクルで投与される次の用量より高い第1の用量を使用し、クッパー細胞等のサイトカイン産生自然免疫細胞を完全に占有し、その次の用量の送達を最適化することが望ましい。
【0126】
より高い用量は、次の用量の100%以上を意味し、例えば次の用量の110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%または145%等、次の用量の、例えば105〜150%である
【0127】
一実施形態では、1、2、3回または全ての投与量は、ウイルス粒子の数と等しい数を含む。このことは、ウイルス製剤の製造を簡素化し、実際には非常に効果的な治療計画を提供することができるという点で、特に有利になり得る。
【0128】
一実施形態では、「同用量」すなわちウイルス粒子の数と同じ数を、治療サイクルの全用量等、1回以上の用量で投与するが、例えば、本明細書に記載のように、異なる速度で投与してもよい。
【0129】
本明細書で使用される治療サイクルは、その間のスケジュールに従って繰り返される治療過程における休息時期の間の治療期間である。治療サイクルは、一般に、治療プログラムまたはスケジュールの一部分として投与される複数回(少なくとも2回)の治療を意味し、例えば3週間、2週間、または1週間等の約1〜4週間にわたって投与される。一般的に、与えられた治療サイクルは、より大きな治療計画の一部になる。
【0130】
一実施形態では、治療サイクルは、例えば、7または5日間等の10、9、8、7、または5日といった14日以下の期間である。
【0131】
一実施形態では、それぞれのさらなる1回用量または複数回用量は、40〜56時間毎等、約48時間の間隔で投与される。このことは、通常の投与週間以内または外来患者の設定内で投与することができるため有利である。
【0132】
一実施形態では、第1の用量は1日目に投与され、さらに治療用量は、1、3、5、7、9、11、および13日目等の1日おきに、または40〜56時間毎等、約48時間毎に1回等、投与される。
【0133】
一実施形態では、投与後(例えば、第2またはその後の投与等)の患者のウイルスの血漿レベルは、例えば、20、30、40、50、60分以上等、15分以上の時間で、少なくとも1mlあたり2×10
6ウイルス粒子である。
【0134】
発明者で行ったin vitro試験では(
図1を参照)、37℃でのヒト全血中のウイルス粒子は殺傷され、<2×10
6粒子ミリリットルで50%以下に落ち込む。さらに、発明者は、ウイルスゲノムのレベルが、例えば、1.6e6〜1e8以上にあるとき、プラークアッセイを用いて患者の血液中の生ウイルス粒子が存在し、一定して検出することができることを示すことができた。
【0135】
一実施形態では、治療サイクルの間隔は少なくとも14日ある。
【0136】
製剤は、一般に、薬学的に許容される希釈剤または担体、例えば、ウイルスと互換性のある非毒性の、等張性の担体を含み、ここで、ウイルスは必要な期間、安定である。
【0137】
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)を含む溶媒または分散媒およびその適切な混合物であることができる。適切な流動性は、例えばレシチンまたはポリソルベート80または40等の非イオン性界面活性剤等の分散剤または界面活性剤の使用によって、維持することができる。分散液には、必要な粒子径の維持が界面活性剤の存在によって補助されていてもよい。等張剤の例として、糖、組成物中にマンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウム等、多価アルコールが挙げられる。
【0138】
一実施形態では、生理食塩水またはグルコース(例えば5%のグルコース)等の滅菌等張希釈剤が使用される。
【0139】
一実施形態では、方法で用いられる非経口製剤は、例えば、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、リン酸緩衝液、および/またはトリス緩衝液、糖、例えば、デキストロース、マンノース、スクロースまたは等、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムまたは塩化カリウム等の塩、briji(登録商標)、PS−80、PS−40等の非イオン性界面活性剤等の洗剤の1つ以上を含んでもよい。製剤は、可能な分解の一つ以上の経路を防ぐことができると考えられる、EDTAエタノール等の保存剤またはEDTAとエタノールの組み合わせを含んでいてもよい。
【0140】
一実施形態では、製剤は、精製された腫瘍溶解性ウイルスを含み、例えば用量あたり1×10
10〜1×10
14ウイルス粒子、例えば、用量あたり1×10
10〜7×10
12ウイルス粒子、特に用量当たり1×10
10〜1×10
12ウイルス粒子を含み、必要に応じて超過を含む。
【0141】
一実施形態では、本開示による製剤は、6×10
12ウイルス粒子を含む。
【0142】
一実施形態では、製剤中のウイルスの濃度は2×10
8〜2×10
14vp/mLの範囲にあり、例えば2×10
12vp/mlである。
【0143】
一実施形態では、非経口製剤はグリセロールを含む。
【0144】
一実施形態では、製剤は、サブグループBからの腫瘍溶解性アデノウイルス、HEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N‘−2−エタンスルホン酸)、グリセロールおよび緩衝液を含む。
【0145】
一実施形態では、非経口製剤は、ウイルス、例えば5mMのHEPES、例えば、5〜20%(v/v)のグリセロール、例えばpHを7〜8に調整するための塩酸、および注射用の水から構成される。
【0146】
一実施形態では、2×10
12vp/mLの濃度の0.7mLのColoAd1は、5mMのHEPES、最終pHが7.8の20%グリセロール中に配合される。
【0147】
注射可能な組成物の持続的吸収は、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンといった吸収を遅らせる剤を組成物中に含めることによって、もたらすことができる。
【0148】
したがって、本明細書に用いられる腫瘍溶解性アデノウイルスは、時間放出製剤、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物中に投与することができる。腫瘍溶解性アデノウイルスは、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系等の放出制御製剤等の、中和に対して保護し、および/または急速な放出を防ぐ担体と共に調製することができる。
【0149】
例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸およびポリ乳酸、ポリグリコールのコポリマー(PLG)等の生分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。ポリエチレングリコール、およびポリ(N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)等の生体適合性の非分解性ポリマーを使用することもできる。当該製剤の調製のための多くの方法は当業者に既知である。
【0150】
滅菌注射溶液は、例えば、本明細書に記載の成分を1つまたは組み合わせて適切な溶媒中に必要な量で腫瘍溶解性アデノウイルスを組み込み、関連して、続いてろ過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、塩基性の分散媒体および必要な他の成分を含む滅菌ビヒクル中に腫瘍溶解性アデノウイルスを組み込むことによって調製される。
【0151】
一般に、本開示に記載の非経口製剤は、無菌の液体製剤であり、例えば水性製剤、実質的に微粒子を含まず、例えば、0.2ミクロンのフィルターを通過させることによって、無菌の状態で調製し滅菌する。
【0152】
一実施形態では、治療用非経口製剤は、例えば、シース針またはカニューレを用いて、製剤の患者の表皮への接触を最小限にするために投与される。この予防措置は、例えば、皮膚中のランゲルハンス細胞との接触を最小化することによって、腫瘍溶解性ウイルスに対する患者の免疫応答を最小限にすると考えられている。
【0153】
本明細書で使用される複製能力は宿主細胞内で複製することができるウイルスである。一実施形態では、複製能力は、複製能および複製選択的ウイルスを包含する。
【0154】
本明細書で使用される複製能は、野生型ウイルスによって必要とされるものに追加して補完することなく、例えば、欠陥細胞機構に依存することなく、癌細胞等のヒト細胞中に複製することができる腫瘍溶解性アデノウイルスを意味する。つまり、それらは、非腫瘍細胞に優先して腫瘍細胞を感染させることにより腫瘍選択的である。ColoAd1は、複製能のあるウイルスの例である。
【0155】
本明細書で使用される複製選択的または選択的複製は、癌細胞中に複製できる腫瘍溶解性アデノウイルスを意味し、前記癌細胞に特異的またはその中で例えば、p53変異等の欠陥細胞機構をアップレギュレートされる成分を用い、それによって選択性の程度を健康/正常細胞を上まわるものにする。
【0156】
本明細書で使用される腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスは、正常な細胞と比較して、優先的に腫瘍細胞に感染および/または溶解するサブグループBから少なくともヘキソンおよびファイバー(Shenkらおよび表1を参照のこと)を含むアデノウイルスを指す。したがって、本明細書で使用される腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスは、グループBアデノウイルスのファイバーおよびヘキソンと共に、キメラ、突然変異体または変異体を含み、腫瘍溶解特性を保持する。
【0157】
本明細書で使用されるアデノウイルスまたはアデノウイルス血清型は、現在知られている(51)、または将来的に単離されたヒトアデノウイルス血清型のいずれかを指す。例えば、Strauss(1984)およびShenk(2001)を参照のこと。表1に示すように、アデノウイルス血清型は、サブグループに分類される。
表1は、アデノウイルス血清型の区分を示す。
【0159】
サブグループBウイルスの例として、Ad11aおよびAd11p(Genbank寄託番号:AF532578)等のAd11(野生型)およびキメラアデノウイルスColoAd1が挙げられる。後者は国際特許第2005/118825号に開示されており、ウイルスについての全配列は、当該特許中の配列番号1に提供されている。
【0160】
したがって、一実施形態では、本開示による方法で用いられるウイルスは、キメラウイルスである。
【0161】
本明細書で使用されるキメラアデノウイルスは、参照により本明細書に組み込まれる国際特許第2005/118825号の方法を使用して生成されるもの等、2つ以上の異なるアデノウイルス血清型からのDNAを有するアデノウイルスを指す。
【0162】
一実施形態では、キメラアデノウイルスはColoAd1である。ColoAd1は、アポトーシスよりも壊死により密接に類似する機序によって腫瘍細胞を殺傷すると考えられる(オックスフォード大学で作製された未発表データ)。これは、潜在的な有益な効果を有する(Kirnら2001;Smallら2006;Reidら2002;Liuら2007;Fergusonら2012)。
【0163】
ColoAd1は、アポトーシスに対する耐性を有することが知られている多剤耐性癌細胞株および癌幹細胞様細胞において強力であることを示している。
炎症性壊死性細胞死は、特定の抗腫瘍免疫応答の発生により適切であり得る。
ColoAd1は標的細胞の死より前に、非常に急速に腫瘍細胞を出し、拡散する能力を高めることができる。
【0164】
ColoAd1はAd11およびAd3のキメラであるが、Ad11のものと完全に相同である外側のカプセルを有する。ColoAd1の炎症能力および免疫学的特性といったウイルス動態は、最も密接に類似しており、Ad11や他のサブグループBアデノウイルスのものを予測する。
【0165】
一実施形態では、本開示の方法に用いられる腫瘍溶解性ウイルスは、E3および/またはE4領域またはその一部で削除される。このことは、in vivoでウイルスをより迅速に複製することができるため、有益であり得る。
【0166】
さらに、E3欠失は、宿主の免疫性を回避することに関連し得るタンパク質をコードされたE3領域として、非癌細胞からウイルスを迅速にクリアランスすることに寄与し得る。
【0167】
一実施形態では、本開示の方法に用いられるウイルスは、Ad11に基づいているか、ヘキソンおよびファイバーがAd11p等のAd11と実質的に類似するように、そこから誘導される。さらに、アデノウイルスの血清型の指定は、ウイルスの外部特性すなわち、ヘキソンおよびファイバーの特性に基づいているため、本開示は、同様の表面特性を有するB型アデノウイルスにおいて有用である。
【0168】
一実施形態では、B型アデノウイルスは、OvAd1またはOvAd2であり、それぞれ、参照により本明細書に組み込まれる国際特許第2008/080003号の配列番号1および配列番号2に開示されている。
【0169】
本明細書で使用される実質的に類似するは、特定のタンパク質の「全体」を上まわって少なくとも95%同一である(例えば96、97、98、99または100%同一)関連する1つのタンパク質または複数のタンパク質のアミノ酸配列を指す。比較されるタンパク質は、より大きなエンティティの一部であってもよいが、関連する断片または構成要素の全長を比較する。
【0170】
5型アデノウイルス(Ad5)は、一般にコクサッキーアデノウイルス受容体(CAR)を介して細胞に入る。しかし、アデノウイルス血清型11(Ad11)は、すべての有核細胞に低レベルで発現される異なる受容体(CD46)を標的にするサブグループBアデノウイルスである。正常細胞では、CD46は、細胞の基底外側表面に隠されていることが多く、ウイルス結合には利用できない(Varela JCらInt J Cancer 2008 Sep 15;123(6):1357−63;Maisnerら,1997)。しかし、腫瘍細胞では、典型的には、特により高度かつ高悪性度の腫瘍中で表面発現が高まった(Kinugasaら,1999)。したがって、Ad11は、肺上皮癌(A549細胞)、肝癌細胞(HepG2)、前立腺癌(DU 145およびLNCaP)、喉頭癌(Hep2)および乳癌(CAMAおよびMG7)から、例えば、神経膠芽腫、髄芽腫、および神経芽腫細胞にまで、効率的に癌腫細胞に感染する(Meiら2003)。したがってAd11は、優先的に腫瘍細胞およびそこから由来するウイルスに感染し、上記の癌のうち少なくとも一つ以上の治療に有用であると考えられている。Ad11およびAd3のキメラとして、ColoAd1はAd11とこれらの特性を共有する。
【0171】
一実施形態では、本開示の方法に用いられるウイルスは、in vivo発現のために、導入遺伝子、例えば、治療用導入遺伝子を(特に一つ以上の導入遺伝子)を含む。本明細書で使用される導入遺伝子は、親または野生型ウイルスには見られない遺伝子を指すものとする。当該遺伝子は、ウイルス感染の効果を追跡するためのマーカーまたはレポーターとしての機能を果たすことができる。あるいは、遺伝子は、ウイルスの有効性を向上させる役割を担うことができる。あるいは、遺伝子は、細胞に細胞毒性剤を送達することができる。
【0172】
治療用導入遺伝子は、例えばsiRNA、shRNA、ポリペプチド、腫瘍関連抗原(TAA)、サイトカイン、抗体、または抗血管新生因子といった治療薬を細胞に発現させることができる。
【0173】
治療用抗体の例として、ベバシズマブ等の抗VGEF抗体、セツキシマブ等の抗EGFR抗体、リツキシマブ等の抗CD20抗体、とりわけ、抗PD−1および抗PD−L1、抗CTLA4(例えばイピリムマブ)等の免疫系活性化モジュレーターが挙げられる。単鎖抗体は、抗体のサブユニット、抗体フラグメントおよびTRAPはまた、完全長抗体と同様にコードすることもできる。本開示に重要なことに、これらのタンパク質を含むことは、ウイルスの表面特性を変化させないことであり、癌細胞を攻撃するための付加的な治療機序を提供しながら、本明細書に記載される投与に有害な影響を及ぼすことなく、容易にゲノムに組み込むことができる。
【0174】
サイトカインの例として、とりわけ、インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ガンマ、およびIL−2が挙げられる。
【0175】
RNA、抗体、ポリペプチド、TAAまたはサイトカインが腫瘍に発現されるように、このことは腫瘍の微小環境を変化させるが、送達される薬剤の全身性の副作用を回避する機会を提供すると考えられる。例えば、癌を攻撃するための局所免疫系を刺激することが可能である。ウイルスのライフサイクルの間、発現されるとき、RNA、抗体、ポリペプチド、TAAまたはサイトカインが細胞から分泌させるかさせないかを変えることによって、この局所的効果を調節することが可能である。
【0176】
一実施形態では、導入遺伝子は、例えば非ヒト起源またはシトシンデアミナーゼから、例えば細菌起源または酵母から、チミジンキナーゼをコードする。
【0177】
一実施形態では、抗体、ポリペプチドまたはサイトカインまたは類似のものは、起源が非ヒトであり、ヒト化されない。後者は、癌細胞内のエンティティの活性に有害な状態で影響する可能性は少なく、癌細胞を回避し得る物質が、免疫系の注意を局所的に引き付け、迅速にクリアされる利点を有する。
【0178】
一実施形態では、ウイルスはin vivoで目に見えるまたは視覚化可能なタンパク質、例えば、GFPまたは類似の蛍光タンパク質をコードし、発現する。ウイルスが選択的に癌細胞に感染するならば、ウイルスは、目に見えるまたは可視化可能なタンパク質を発現し、切除または放射線のために癌組織の領域を強調するために使用することができる。
【0179】
一実施形態では、ウイルスは、抗腫瘍免疫機能の誘発、腫瘍血管新生の阻害、またはプロドラッグの活性化が可能な治療遺伝子で武装させることができる。本明細書で使用される治療用量は、適切な治療計画、例えば、疾患の症状または状態を改善するように使用するときに、意図した治療効果を達成するのに適した腫瘍溶解性アデノウイルスの量を指す。用量は、ウイルス粒子の数が、腫瘍または転移性増殖を遅らせるもしくは停止させ、または腫瘍もしくは転移した癌腫のサイズを縮小し、および/または患者の寿命を延長させるのに十分な数であるときに、がんまたは転移の治療における治療用量であると考えることができる。適切な治療用量は、一般的に治療効果と、例えば、治療によって達成される利益があれば、副作用および毒性に耐容できる場合の耐容可能な毒性の間のバランスである。
【0180】
一実施形態では、治療用量範囲は用量制限毒性を有さない。
【0181】
本明細書で使用される用量制限毒性は、用量、頻度または強度のさらなる増加のいずれか1つを妨げる、または任意の用量レベルで治療の継続を妨げるほどの治療中の重篤な副作用が起こることを意味する。耐え難い、例えば、高用量に関連する毒性は、後者が本開示の文脈で治療用量として使用するのに適さないことを意味する。
【0182】
一実施形態では、Ad11カプシドに対する既存の免疫は、7日目以降に、さらなる治療用量の効果的な投与を可能にするほど弱い。
【0183】
一実施形態では、Ad11カプシドの貧弱な免疫刺激特性は、7日目以降に、さらなる治療用量の効果的な投与を可能にする。
【0184】
一実施形態では、ウイルスの静脈内送達は、抗ウイルス免疫原性の点で、ウイルスの皮下または筋肉内投与よりも免疫原性が低い。
【0185】
一般に、Ad11の毒性は、Ad5等の特定の他のアデノウイルスより低いと考えられる。低い血清有病率と一緒に、このことは有益であるが、Ad11が免疫応答を回避するには十分ではないかもしれない。文献では、サブグループBアデノウイルスは肝細胞に対して毒性がないことを示唆しているにもかかわらず、全身送達後に肺、肝臓(クッパー細胞)および脾臓中のマクロファージが腫瘍溶解性ウイルスをクリアにし得る。
【0186】
少なくとも2つの用量の腫瘍溶解性ウイルスの迅速な送達は、標的細胞、すなわち癌細胞の感染を可能にする期間、維持される十分なウイルスレベルを生成するのに有益であり得ると考えられる。
【0187】
立て続けに少なくとも2つの用量を提供することによって、a)免疫機序が第1の投与によって占有され、第2の投与によって標的に到達するために、免疫系の完全な猛攻撃を免れ、および/またはb)立て続けの少なくとも2回の投与によって、ウイルスがいったん標的細胞に到達し感染すると、複製できるいずれかの方法で、in vivoで標的細胞に到達するのに十分な期間、十分なレベルに到達するためのウイルスの生体内分布を可能にする有益な事象を1つ以上引き起こすことができる。
【0188】
本明細書で使用される生体内分布は、in vivoでの分布を意味する。
【0189】
理論によって縛られることを望まないが、発明者は、ウイルスの第1の投与、例えばクッパー細胞等のサイトカイン産生自然免疫細胞を使用する機序により、クリアランスをダウンレギュレートし、それによってさらなる治療用量バイオアベイラビリティーを向上させることができると考えている。そのため、ウイルスの第1の投与によって、ウイルスを循環させるための食細胞の「シンク」を「枯渇」させ得、それによってより良い送達および/または有効性の増加が達成される。食細胞のシンクが枯渇することは、また、次の投与でサイトカインを放出させる傾向を低減し、過度の毒性がない状態でより高いウイルス血中レベルを達成することができる。
【0190】
本明細書で使用されるバイオアベイラビリティーは、in vivoの意図される治療機能を実行するために利用可能なウイルスの量を意味する。
【0191】
一実施形態では、少なくとも3回の用量が投与される本明細書中の方法は、患者の副作用および/または毒性を最小限にする。
【0192】
一実施形態では、例えば、少なくとも部分的に患者の免疫系を回避するために、ポリマーでアデノウイルスをコーティングすることによってステルス(密かに隠す)する。
【0193】
本明細書で使用されるステルスされるとは、例えばポリマーを使用して、アデノウイルスの外表面を患者の免疫応答を回避するために改変することを意味する。適切なポリマーの例として、国際特許第98/19710号、国際特許第00/74722号、国際特許第2010/067041号、国際特許第2010/067081号、および国際特許第2006/008513号に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0194】
一実施形態では、腫瘍溶解性ウイルスは、細胞毒性または免疫調節剤にコンジュゲートされる。
【0195】
一実施形態では、腫瘍溶解性アデノウイルスは、例えば免疫遺伝性(immunogenenicity)を低減し、および/または半減期を増加させるために、ペグ化されて提供される。
【0196】
一実施形態では、治療方法は、腫瘍の治療に使用される。
【0197】
本明細書で使用される腫瘍はまた、新生物とも呼ばれる制御不能で進行性である過剰な細胞分裂から生じる組織の異常な塊を指すものとする。これらは、良性(癌性ではない)または悪性のいずれであってもよい。腫瘍は、癌および転移の全ての形態を含む。
【0198】
一実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。固形腫瘍は、局所化していても転移していてもよい。
【0199】
一実施形態では、腫瘍は上皮起源のものである。
【0200】
一実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。
【0201】
一実施形態では、腫瘍は、結腸直腸癌、肝細胞癌(肝癌)、前立腺癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、甲状腺癌、腎臓癌、膀胱癌、頭頸部癌または肺癌等の悪性腫瘍である。
【0202】
一実施形態では、腫瘍は結腸直腸の悪性腫瘍である。
【0203】
本明細書で使用する悪性腫瘍は癌細胞を意味する。
【0204】
一実施形態では、癌は、結腸直腸癌および/または肝転移等のその転移性形態である。
【0205】
一実施形態では、癌は、肝臓癌および/またはその転移性形態である。
【0206】
一実施形態では、癌は、肺癌および/またはその転移性形態である。
【0207】
一実施形態では、癌は、卵巣癌および/または肺転移等のその転移性形態である。
【0208】
一実施形態では、癌は、腎臓癌および/またはその転移性形態である。
【0209】
一実施形態では、癌は、膀胱癌および/またはその転移性形態である。
【0211】
一実施形態では、癌は、黒色腫等の皮膚癌である。一実施形態では、癌は白血病である。一実施形態では、癌は神経膠芽腫、髄芽腫または神経芽腫である。一実施形態では、癌は神経内分泌癌である。一実施形態では、癌は、ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫である。
【0212】
一実施形態では、腫瘍溶解性アデノウイルスは、転移の治療または予防に用いられる。
【0213】
一実施形態では、本明細書に記載の腫瘍溶解性アデノウイルスは、リンパ節に移動している癌細胞の治療に適している。発明者は、結腸直腸癌患者に投与される腫瘍溶解性ウイルスが、リンパ節に移動した癌細胞に感染することができることを示した。
【0214】
一実施形態では、本開示によるウイルス、製剤および投与計画は、異常な前癌細胞を治療するのに適している。
【0215】
一実施形態では、本明細書の方法または製剤は、薬剤耐性癌の治療に用いられる。
【0216】
一実施形態では、方法または製剤は、前記薬物への癌の薬剤耐性を感作するために使用される。
より詳細な癌の種類
【0217】
肺癌
肺癌は、組織型によって分類され、顕微鏡で、組織病理学者によって見られる悪性細胞の大きさや外観によって分類される。治療目的のために、2つの広いクラスに区別される。1つは非小細胞肺癌であり、もう1つは小細胞肺癌である。
【0218】
一実施形態では、上皮癌は、肺癌、例えば小細胞肺癌(SCLC)および非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0219】
非小細胞肺癌腫−NSCLCの主な3つのサブタイプは腺癌、扁平上皮癌および大細胞癌である。
【0220】
肺癌の約40%は、通常は、末梢肺組織に由来する腺癌である。腺癌のサブタイプである細気管支肺胞上癌は女性の非喫煙者に多く見られ、優れた長期生存を有することができる。
【0221】
肺癌の約30%を扁平上皮癌が占める。典型的には、太い気道近くに発生する。中空の空洞および関連する細胞死は、一般に、腫瘍の中心でみられる。肺癌の約9%は大細胞癌である。癌細胞が大きいため大細胞癌と名付けられ、過剰な細胞質、大きい核および目立つ核小体を有する。
【0222】
小細胞肺癌腫−小細胞肺癌(SCLC)では、細胞は高密度の神経分泌顆粒(内分泌ホルモンを含む小胞)を含み、当該腫瘍に内分泌/腫瘍随伴症の症候群の関連付けを与える。ほとんどの場合は、より太い気道(一次および二次気管支)で発生する。これらの癌は急速に成長し、疾患の早期の過程で拡散する。初診時に60%〜70%の転移性疾患を有する。
【0223】
一実施形態では、癌は非小肺癌である。
【0224】
肝臓がん
一実施形態では、癌は肝臓癌であり、例えば、原発性癌からの肝転移、例えば肝臓に拡散している結腸癌である。一実施形態では、肝臓癌は肝細胞癌(HCC)である。
【0225】
腎臓癌
一実施形態では、例えば本明細書に開示される腫瘍溶解性アデノウイルスを用いて、腎細胞癌および/または尿路上皮細胞癌といった腎臓癌の治療を提供する。腎臓癌の他の例として、扁平上皮癌、旁糸球体細胞腫(腎腫)、血管筋脂肪腫、腎好酸性顆粒細胞腫、ベリーニ管癌、腎臓の明細胞肉腫、中胚葉性腎腫、ウィルムス腫瘍、混合上皮間質腫瘍、明細胞腺癌、移行上皮癌、反転パピローマ、腎リンパ腫、奇形腫、癌肉腫、および腎盂のカルチノイド腫瘍が挙げられる。
【0226】
膀胱癌
一実施形態では、癌は、膀胱癌であり、例えば、膀胱の上皮層(すなわち、尿路上皮)から生じる悪性腫瘍のいくつかのタイプのいずれかである。膀胱癌の約90%は移行上皮癌である。残りの10%は扁平上皮癌、腺癌、肉腫、小細胞癌および身体の他の部分の癌からの二次堆積物である。ステージングは以下のとおりである。
T(原発腫瘍)
・ TX 原発腫瘍を評価することができない
・ T0 原発腫瘍の証拠がない
・ Ta 非侵襲的な乳頭癌
・ Tis in situの癌腫(「平坦な腫瘍」)
・ T1 腫瘍が上皮下結合組織に浸潤している
・ T2a 腫瘍が表面的な筋肉(内側半分)に浸潤している
・ T2b 腫瘍は奥深くの筋(外側半分)に浸潤している
・ T3 腫瘍が膀胱周囲の組織に浸潤している
・ T3a 微視的
・ T3b 肉眼(膀胱外の質量)
・ T4a 腫瘍が前立腺、子宮または膣に浸潤している
・ T4b 腫瘍が骨盤壁または腹壁に浸潤している
N(リンパ節)
・ NX 所属リンパ節の評価ができない
・ N0 所属リンパ節転移なし
・ N1 最大径が2cm以下の単一リンパ節転移
・ N2 最大径が2cm以上5cm未満の単一のリンパ節、または最大径が5cmより大きくない複数のリンパ節の転移
・ N3 最大径が5cm以上のリンパ節の転移
M(遠隔転移)
・ MX 遠隔転移を評価することができない
・ M0 遠隔転移なし
・ M1 遠隔転移
【0227】
本開示は、膀胱癌のいずれの段階にも及ぶ。
【0228】
卵巣がん
独立した態様では、本開示はColoAd1に関連し、ColoAd1の製剤またはColoAd1を含む併用療法、卵巣がんを治療する際に使用し、例えば、治療有効量のColoAd1を卵巣がんの患者に投与し、例えば、本明細書に記載の投与計画を使用する。
【0229】
卵巣がんには、治療を開始する細胞の種類に従って分類される30以上の異なるタイプがある。癌性卵巣腫瘍は、3つの一般的な細胞型から開始することができる。
・ 表面上皮−卵巣の裏層を覆う細胞
・ 生殖細胞−卵を形成するために運命づけられている細胞
・ 間質細胞−ホルモンを放出し、卵巣の異なる構造を接続する細胞
【0230】
本開示は、例えば本明細書に記載のように、特定の上皮細胞中で、任意のソースからの卵巣癌の治療に関する。上皮性卵巣癌(EOC)は、卵巣のすべての癌の85〜90%を占める。
【0231】
一般的な上皮腫瘍−上皮性卵巣腫瘍は卵巣の外表面を覆う細胞から発生する。ほとんどの上皮性卵巣腫瘍は良性(非癌性)である。漿液性腺腫、粘液性腺腫、およびブレンナー腫瘍を含む良性上皮性腫瘍のいくつかの種類がある。癌性上皮性腫瘍は癌腫である−卵巣を覆う組織中で始まることを意味する。これらは、卵巣癌の全タイプの中で、最も一般的で最も危険である。残念なことに、病気がステージに進出するまで、一般的な上皮性卵巣癌を有する女性の約70%は診断されない。
【0232】
外観顕微鏡下で明らかに癌として識別されない、いくつかの上皮性卵巣腫瘍がある。境界型腫瘍または低悪性度(LMP腫瘍)の腫瘍と呼ばれている。本開示の方法は、後者の治療を含む。
【0233】
胚細胞腫瘍−卵巣胚細胞腫瘍は、卵子または卵を産生する細胞から発生する。いくつかの癌性であり、生命を脅かすかもしれないが、ほとんどの胚細胞腫瘍は、良性(非癌性)である。最も一般的な生殖細胞悪性腫瘍は成熟奇形腫、未分化胚細胞腫、および内胚葉洞腫瘍である。生殖細胞悪性腫瘍は、ティーンエイジャーおよび20代の女性に最も頻繁に発生する。今日では、卵巣胚細胞悪性腫瘍を有する患者の90%が治癒し、生殖能力を保つことができる。
【0234】
間質腫瘍−卵巣間質腫瘍は、共に卵巣を保持する結合組織の細胞および女性ホルモン、エストロゲンおよびプロゲステロンを産生する細胞から発生する腫瘍のまれなクラスである。最も一般的なタイプは、顆粒、卵胞膜腫瘍およびセルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍である。これらの腫瘍は非常にまれであり、通常、約70%がステージI疾患(癌は一方または両方の卵巣に限定されている)として表される。
【0235】
原発性腹膜癌−卵巣の除去により、卵巣癌のリスクは取り除かれるが、原発性腹膜癌と呼ばれるあまり一般的でない癌のリスクは取り除かれない。原発性腹膜癌は上皮性卵巣癌(最も一般的なタイプ)に密接に関わっている。腹膜(腹部の壁)からの細胞に発症し、顕微鏡下で見える。これは、症状、拡散および治療において類似している。
【0236】
卵巣がんのステージ
卵巣がんと診断されると、腫瘍のステージは、手術中、癌が卵巣外に広がっているかどうかを医師が見分けることができるときに決定することができる。卵巣がんには4段階ある−ステージI(早期疾患)からステージIV(進行性疾患)。治療計画および予後(疾患のあり得る経過と転帰)が、癌のステージによって決定される。
卵巣がんの様々な段階の説明は次のとおりである。
【0237】
ステージI−癌の成長は、1つの卵巣および2つの卵巣に限定される。
ステージIA−成長は1つの卵巣に限定され、腫瘍は卵巣の内部に閉じ込められている。卵巣の外表面にがんはない。悪性細胞を含む腹水が全くない。卵巣の被膜はそのままである。
ステージIB−増殖は両方の卵巣に限られ、その外側表面上には腫瘍はない。悪性細胞を含む腹水が全くない。卵巣の被膜はそのままである。
ステージIC−腫瘍は、ステージIAまたはIBのいずれかに分類され、次の一つ以上が存在する、(1)腫瘍が、一方または両方の卵巣の外側表面上に存在する。(2)被膜が破裂している、および(3)悪性細胞を含む腹水または陽性の腹腔洗浄液を伴う腹水がある。
ステージII−骨盤拡張を有する一方または両方の卵巣に癌の成長が見られる。
ステージIIA−癌が子宮や卵管、またはその両方に拡張および/または存在する。
ステージIIB−癌が他の骨盤内の臓器にまで拡張している。
ステージIIC−腫瘍がステージIIAまたはIIBのいずれかに分類され、(1)腫瘍が、一方または両方の卵巣の外側表面上に存在する、(2)被膜が破裂している、および(3)悪性細胞を含む腹水または陽性の腹腔洗浄液を伴う腹水がある、の1つ以上見られる。
ステージIII−一方または両方の卵巣に癌の成長が見られ、(1)癌が骨盤を越えて腹部壁にまで拡散している、(2)癌がリンパ節に拡散している。腫瘍は真の骨盤に限られるが、小腸や大網に、組織学的に証明された悪性の拡張がある。
ステージIIIA−staging operation中、施術者が卵巣の一方または両方を含む癌を見ることがでるが、がんはが腹部の全体に見ることができず、リンパ節に拡散していない。しかし、顕微鏡下で生検チェックを行うと癌の非常に小さな堆積物が腹部の腹膜表面に見られる。
ステージIIIB−腫瘍が一方または両方の卵巣にあり、外科医が確認できるほどに大きいが直径が2cmを超えていない癌の堆積物が存在している。癌はリンパ節に広がっていない。
ステージIIIC−腫瘍が一方または両方の卵巣にあり、(1)癌がリンパ節に拡散している、および/または(2)癌の堆積物の直径が2cmを超えており、腹部に見られる、の一方か両方がある。
ステージIV−最も進行した卵巣癌のステージ。癌の成長は一方または両方の卵巣にあり、および遠隔転移(腹膜腔の外に位置する臓器へ癌が拡散している)が発生している。(肺を取り囲む空洞から)胸水に卵巣癌細胞を見つけることも、ステージIV疾患の証拠になる。
【0238】
一実施形態では、卵巣癌は、I型、例えば、IA、IBまたはIC;II型、例えばIIA、IIBまたはIIC型;III型、例えばIIIA、IIIBまたはIIIC;またはIV型である。
【0239】
本開示は、特に本明細書に記載のように、卵巣癌のいずれかのステージの治療に関する。
【0240】
併用療法
一実施形態では、ウイルスは、癌の治療または療法の投与と組み合わせて投与される。
【0241】
本明細書で使用される「組み合わせて」は、癌治療または療法の前、同時に、および/または後に、腫瘍溶解性ウイルスを投与する場合を含むものとする。
【0242】
一実施形態では、腫瘍溶解性アデノウイルスは、高密度焦点式超音波療法(HIFU)治療と組み合わせて使用される。
【0243】
癌治療として、手術、放射線療法、標的療法および/または化学療法が挙げられる。
【0244】
本明細書で使用される癌治療は、例えば、癌および/またはその維持療法を治療することを意図した抗体といった治療用化合物または生物学的薬剤での治療を指す。
【0245】
一実施形態では、癌治療は、化学療法剤、標的化抗癌剤、放射線療法、ラジオアイソトープ療法またはそれらの任意の組合せを含む任意の他の抗癌療法から選択される。
【0246】
さらなる独立した態様では、本開示は、例えば、ColoAd1等の腫瘍溶解性B型アデノウイルス、およびアデノウイルスの活性を妨害しない化学療法剤を含む併用療法に関する。本明細書で使用されるColoAd1等のB型アデノウイルスは、その製剤、例えば、その医薬製剤を含む。
【0247】
本明細書で使用される活性は、ウイルスの有益な特性または特徴、例えば、腫瘍溶解性活性および/またはin vivoのウイルス複製等、癌細胞中でウイルスを複製する能力を指す。
【0248】
一実施形態では、併用療法のColoAd1は、本明細書に記載のレジメンに従って投与される。
【0249】
一般に、併用療法は、アデノウイルスの製剤および化学療法剤の製剤として提供される。したがって、アデノウイルスおよび化学療法剤の投与は、適切に別々のイベントになる。これらの投与は、同日または異なる日であってもよい。
【0250】
一実施形態では、アデノウイルスは、適切な管理体制で1週目に投与され、化学療法剤は、続く週、例えば、次週に投与される。
【0251】
一つ以上の実施態様では、化学療法剤およびアデノウイルスは、相乗的治療効果を有することができる。
【0252】
腫瘍溶解性アデノウイルスは、腫瘍を縮小し、転移を治療し、および/または転移またはさらなる転移を予防するために、手術等の治療に対する前治療(術前補助療法)として使用してもよい。腫瘍溶解性アデノウイルスは、転移を治療し、および/または転移またはさらなる転移を予防するために、手術等の治療後(アジュバント療法)として使用してもよい。
【0253】
本明細書で使用される同時とは、追加の癌治療を腫瘍溶解性アデノウイルス製剤と同時またはほぼ同時に投与することである。治療は、同じ製剤内に含まれるか、または別個の製剤として投与してもよい。
【0254】
一実施形態では、例えば、パクリタキセル、アブラキサンまたは類似薬剤等の化学療法剤の投与と組み合わせて、ウイルスを投与してもよい。
【0255】
本明細書で使用される化学療法剤は、悪性細胞及び組織に選択的に破壊的である特定の抗腫瘍化学物質または薬物を指すものとする。例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、および他の抗腫瘍アルキル化剤が挙げられる。化学療法剤の他の例として、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル(5−FU)、パクリタキセル、カペシタビン、イリノテカン、シスプラチンおよびオキサリプラチン等のプラチンが挙げられる。好適な用量は、治療される癌の性質に基づいて医師によって選択することができる。
【0256】
驚くべきことに、発明者は、治療剤の特定のクラス、例えば、トポイソメラーゼ、またはparp阻害剤が、in vivoでのウイルス複製を阻害する可能性があることを確立した。ウイルスが複製することができるように、癌細胞中でウイルス感染を確立することが望ましいと考える場合、ウイルス複製を阻害する化合物の共投与は望ましくない可能性がある。
【0257】
一実施形態では、化学療法剤は、酵素阻害剤ではない。したがって、一実施形態では、併用療法は、トポイソメラーゼ阻害剤を使用しない。
【0258】
一実施形態では、化学療法剤はparp阻害剤ではない。
【0259】
一実施形態では、併用療法は、例えば、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンといった化学療法剤を含有する白金を用いる。
【0260】
一実施形態では、組み合わせは、微小管阻害剤、例えばビンクリスチン硫酸塩、エポチロンA、N−[2−[(4−ヒドロキシフェニル)アミノ]−3−ピリジニル]−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(ABT−751)、ataxol由来の化学療法剤、例えばパクリタキセル、アブラキサン、もしくはドセタキセルまたはそれらの組み合わせを使用する。
【0261】
一実施形態では、組み合わせはmTor阻害剤を使用する。mTor阻害剤の例として、エベロリムス(RAD001)、WYE−354、KU−0063794、papamycin(シロリムス)、テムシロリムス、デフォロリムス(MK−8669)、AZD8055およびBEZ235(NVP−BEZ235)が挙げられる。
【0262】
一実施形態では組み合わせはPi3キナーゼ阻害剤を使用する。Pi3キナーゼの例として、GDC−0941、ZSTK474、PIK−90、LY294002、TG100−115、XL147、GDC−0941、ZSTK474、PIK−90、LY294002、TG100−115、XL147、AS−605240、PIK−293、AZD6482、PIK−93、TGX−221、IC−87114、AS−605240、PIK−293、AZD6482、PIK−93、TGX−221、IC−87114および以下を含む国際特許第2011/048111号に開示の化合物(参照により本明細書に組み込まれる)、2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)プロプ−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)ヘキス−5−イン酸;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;3−((2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−(3−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロプ−1−イン−1−イル)−4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)メチル)ベンゾニトリル;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(3−(2−モルホリノエトキシ)プロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(3−クロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(3−クロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(2−フルオロベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(2−フルオロベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(3−メトキシベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(3−メトキシベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(3−(トリ−フルオロメチル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(4−クロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(4−(メチルスルホニル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(4−(メチル−スルホニル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;3−((2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−4−オキソ−キナゾリン−3(4H)−イル)メチル)ベンゾニトリル;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(3−(メチル−スルホニル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;3−((2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−4−オキソ−キナゾリン−3(4H)−イル)メチル)ベンゾニトリル;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(4−クロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(4−クロロベンジル)−5−(3−メトキシ−プロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(3−メトキシベンジル)−5−(3−メトキシプロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(3−メトキシプロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(3−(2−メトキシエトキシ)プロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−((5−メチルイソオキサゾール−3−イル)メチル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−((5−メチルイソオキサゾール−3−イル)メチル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−ベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2,6−ジフルオロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(4−クロロ−2−フルオロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−(3−メトキシプロプ−1−インイル)−3−(3−(トリフルオロメチル)ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(4−フルオロベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(3−シクロペンチルプロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−(3−(ベンジルオキシ)プロプ−1−インイル)−3−(2−クロロ−ベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(5−ヒドロキシペント−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(2−フルオロ−5−メトキシベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(3,4−ジクロロベンジル)−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−ベンジル−5−エチニルキナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(2−トリフルオロメチルベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(4−メトキシベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;4−((2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)メチル)ベンゾニトリル;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−エチニル−3−(2−フルオロ−4−メトキシベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;1−(3−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキ
ナゾリン−5−イル)プロプ−2−インイル)尿素;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−フルオロベンジル)−5−(3−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)プロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−フルオロ−3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−エチニル−キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(3−フェノキシプロプ−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−フルオロベンジル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;6−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(2−メトキシエチル)ヘキス−5−インアミド;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(7−モルホリノ−7−オキソヘプト−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(5−モルホリノ−5−オキソペント−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−((5−メチルピラジン−2−イル)メチル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−オキソ−6−(ピペリジン−1−イル)ヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N,N−ジエチルヘキス−5−インアミド;7−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロ−ベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)ヘプト−6−イン酸;2−アセトアミド−N−(3−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)プロプ−2−イン−1−イル)アセトアミド;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)ベンジル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−メトキシフェネチル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−フルオロ−3−メトキシベンジル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;メチル3−((2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)−4−オキソキナゾリン−3(4H)−イル)メチル)安息香酸;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−((1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(ベンゾフラン−5−イルメチル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−((2−メチルチアゾール−4−イル)メチル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(4−メチルピペラジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(4−モルホリノピペリジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;5−(6−(4−アセチルピペラジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)−2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;N−(4−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)ブト−3−イン−1−イル)モルホリン−4−カルボキサミド;5−(6−(4−アセチル−ピペラジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−イン−1−イル)−2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;N−(4−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)ブト−3−イン−1−イル)モルホリン−4−カルボキサミド;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−5−(5−(ビス(2−メトキシエチル)アミノ)ペント−1−インイル)−3−(2−クロロベンジル)キナゾリン−4(3H)−オン;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−シクロペンチルヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(2−モルホリノエチル)ヘキス−5−インアミド;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(4−(2−メトキシエチル)ピペラジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)ヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(ピリジン−4−イル)ヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(ピリジン−4−イル)ヘキス−5−インアミド;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N,N−ビス(2−メトキシエチル)ヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N,N−ビス(2−メトキシエチル)ヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)ヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−メチル−N−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)エチル)ヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−イソプロピルヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−イソプロピルヘキス−5−インアミド;6−(2−((4−アミノ−3−(
4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N,N−ジメチルヘキス−5−インアミド;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−オキソ−6−(ピロリジン−1−イル)ヘキス−1−イン−1−イル)キナゾリン−4(3H)−オン;6−(2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−5−イル)−N−(ピロリジン−3−イル)ヘキス−5−インアミド;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(3−(ジメチルアミノ)ピロリジン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン;2−((4−アミノ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−6−オキソヘキス−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オン,2−((4−アミノ−3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−1−イル)メチル)−3−(2−クロロベンジル)−5−(6−モルホリノ−6−オキソヘキス−1−インイル)キナゾリン−4(3H)−オンまたはその立体異性体、互変異性体および同位体誘導体を含むその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0263】
一実施形態では、組合せはMEK阻害剤を使用する。MEK阻害剤の例として、AS703026、CI−1040(PD184352)、AZD6244(セルメチニブ)、PD318088、PD0325901、AZD8330、PD98059、U0126−EtOH、BIX02189またはBIX02188が挙げられる。
【0264】
一実施形態では、組み合わせはAKT阻害剤を使用する。AKT阻害剤の例としてMK−2206およびAT7867が挙げられる。
【0265】
一実施形態では、組み合わせは、オーロラキナーゼ阻害剤を用いる。オーロラキナーゼ阻害剤の例として、オーロラA阻害剤I、VX−680、AZD1152−HQPA(Barasertib)、SNS−314メシル酸塩、PHA−680632、ZM−447439、CCT129202およびHesperadinが挙げられる。
【0266】
一実施形態では、組み合わせはp38阻害剤を用い、例えば、国際特許第2010/038086号に開示されているように、例えば、N−[4−({4−[3−(3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール−5−イル)ウレイド]ナフタレン−1−イルオキシ}メチル)ピリジン−2−イル]−2−メトキシアセトアミドがある。
【0267】
一実施形態では、組合せはBcl−2阻害剤を使用する。Bcl−2阻害剤の例として、オバトクラックスメシル酸塩、ABT−737、ABT−263(navitoclax)およびTW−37が挙げられる。
【0268】
一実施形態では、組み合わせは代謝拮抗剤を用いる。代謝拮抗剤の例として、カペシタビン(ゼローダ)、フルダラビンリン酸塩、フルダラビン(フルダラ)、デシタビン、ラルチトレキセド(トムデックス)、ゲムシタビン塩酸塩およびクラドリビンが挙げられる。
【0269】
一実施形態では、治療剤は、免疫応答および/または腫瘍vasculationを制御するのを助けることができるガンシクロビルである。
【0270】
一実施形態では、この方法に用いられる一つ以上の治療は、メトロノミックであり、低用量の抗がん剤で連続または頻繁に治療を行い、その他の療法と同時に行われることが多い。
【0271】
サブグループB腫瘍溶解性アデノウイルス、特にAd11およびColoAd1等のそこから生じるアデノウイルスは、主に表皮壊死症機序によるアポトーシス、癌細胞の死滅にほとんど依存しない作用機序を有すると思われるため、特に化学療法剤と相乗的になり得る。さらに、化学療法中に発生する免疫抑制は、腫瘍溶解性ウイルスを高い効率で機能することを可能にする。
【0272】
一実施形態では、化学療法剤は、非経口的に投与される。
【0273】
一実施形態では、化学療法剤はウイルスと別々に投与され、一時的または代替投与法またはその両方のいずれかによって投与される。治療は同時または連続して行うことができる。
【0274】
一実施形態では、癌の治療は、標的化剤であり、例えば、ベバシズマブ、セツキシマブまたはパニツムマブ等のモノクローナル抗体、または、抗体薬剤コンジュゲート等の抗体コンジュゲート、特に抗体または結合断片がトキシンと結合されるタイプである。
【0275】
一実施形態では、癌の治療は、免疫療法剤であり、例えば、イピリムマブまたは他の抗CTLA4、抗PD−1、抗PD−L1、またはその他のチェックポイント阻害剤、またはサイトカインもしくはサイトカイン類似体である。
【0276】
本明細書で使用されるチェックポイント阻害剤は、T細胞の活性化および機能を阻害またはダウンレギュレートするように作用するT細胞膜タンパク質からのシグナル伝達を阻害する薬剤を指すものとする。
【0277】
一実施形態では、ウイルスは、放射線療法の投与と組み合わせて投与される。
【0278】
本明細書で使用される放射線療法は、電離放射線の医学的使用を指すものとする。
【0279】
癌細胞は一般に未分化であり、幹細胞のようである。癌細胞は最も健康的な分化した細胞よりも多くを再生し、亜致死損傷を修復する能力が低下している。DNA損傷は、その後、細胞分裂を介して渡される。癌細胞のDNAへの損傷が蓄積し、死を引き起こすか、もっとゆっくりと再生する。
【0280】
一実施形態では、放射線療法は、同時に投与される。
【0281】
一実施形態では、放射線療法は、連続的に投与される。
【0282】
一実施形態では、ウイルスは、癌治療の補完的な治療、例えば、S−ピンドロール、S−メピンドロールまたはS−ボピンドロール等の癌性悪液質等の悪液質の治療と組み合わせて投与される。適切な用量は2.5mg〜100mgの範囲であってよく、一日あたり2.5mg〜50mgを単一用量として、または1日に複数回用量として投与される。
【0283】
一実施形態では、ウイルスは、例えば、解熱剤、抗ヒスタミン剤、制吐剤、止瀉薬、ステロイドおよび鎮痛剤から選択される、1種以上の予防剤の投与と組み合わせて投与される。
【0284】
解熱剤として、アスピリンおよび非ステロイド性抗炎症薬が挙げられ、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、およびケトプロフェンが挙げられる。
【0285】
抗ヒスタミン薬として、アクリバスチン、azalastine、ブロムフェニラミン、ブクリジン、ブロモジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルプロマジン、シクリジン、クロルフェニラミン、クロロジフェンヒドラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、デスロラタジン、デキスブロムフェニルアミン、deschlorpheniramine、デクスクロルフェニラミン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、ジフェンヒドラミン、ドキシラミン、ebstine、エンブラミン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、メクリジン、mirtazapinem olopatadrine、pheninidamine、フェニラミン、フェニルトロキサミン、プロメタジン、ピリラミン、クエチアピン、ルパタジン、トリペレナミンおよびトリプロリジンが挙げられる。
【0286】
制吐剤として、ドラセトロン、granietron、オンダンセトロン、トロピセトロン、palonoestron、ミルタザピン、ドンペリドン、オランザピン、ドロペリドール、メトクロプラミド、アリザプリド、prochloperazineが挙げられる。いくつかの例では、抗ヒスタミン薬は、制吐薬として使用することができる。
【0287】
止瀉薬として、メチルセルロース、アタパルジャイト、次サリチル酸ビスマス、アトロピン/ジフェノキシレート、ロペラミドおよびコデインやモルヒネ等の他のオピオイドが挙げられる。
【0288】
鎮痛薬として、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルヒネ、ペチジン、ブプレノルフィン、トラマドール等の非ステロイド系抗炎症薬、パラセタモール、cox−2阻害剤、アヘンやモルヒネ様作用薬が挙げられる。
【0289】
一実施形態では、ウイルスの治療は一連のステロイドと組み合わせて使用される。
【0290】
ステロイドとして、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン等が挙げられる。
【0291】
本明細書で使用される予防薬は、予防薬品または、例えばウイルスの投与の間または投与後の副作用を予防または改善するために講じた措置から成るケアを指すものとする。
【0292】
一実施形態では、予防薬はウイルスと別々に投与され、一時的または代替の投与法またはその両方のいずれかによって投与される。治療は同時または連続して行うことができる。
【0293】
一実施形態では、追加の水和は、ウイルスの投与と組み合わせて、同時または連続して提供される。
【0294】
本明細書で使用される追加の水和は、患者に製剤中に含まれるものを上まわる流体を供給することを意味する。これは、適切な液体の任意の形態、例えば、生理食塩水またはグルコースを注入であってもよい。
【0295】
一実施形態では、本明細書におけるウイルス療法は、抗炎症剤、例えばステロイドまたは非ステロイド性抗炎症剤と組み合わせて投与される。
【0296】
一実施形態では、本開示によるウイルス療法は、解熱剤と組み合わせて投与される。
【0297】
一実施形態では、ウイルス治療は、水和療法、例えば、特定の等張生理食塩水またはグルコースといった流体の例静脈内投与と組み合わせて投与される。
【0298】
一実施形態では、この方法は、外来患者を治療するのに適している。
【0299】
本明細書で使用される外来患者は、治療フェーズの間に入院していない患者であるが、代わりに治療のために医師の診察室、診療所や1日手術に訪れる患者である。
【0300】
一実施形態では、ColoAd1を含む本明細書に記載の医薬製剤で患者を治療する方法を提供し、前記患者に、第1日目の用量、次に第3日目の用量、および第5日目の第3の用量を、静脈内に投与するステップを含む。
【0301】
一実施形態では、本明細書に記載の製剤の第一の用量、次にその1つ以上のさらなる治療薬を投与することによって、腫瘍および/または悪性腫瘍および/または癌治療等の治療で使用するために、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスの非経口製剤を提供する。ここで、第1の用量およびさらなる用量は、特に上に記載したように14日の期間内に投与される。
【0302】
一実施形態では、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスを用いた治療の複数のサイクルの使用を提供する。治療サイクルは、患者の奏功が評価された後、比較的短い期間にわたって患者に投与される一連のウイルスの用量として、本明細書に解釈されるべきである。治療サイクルは、リスクベネフィットが患者の最善の利益であると決定されれば、複数回繰り返すことができる。
【0303】
一実施形態では、特定のウイルス力価のレベルを決定し、治療前の力価と比較することによって、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスによる治療の繰り返しサイクルの適合性を評価する方法を提供し、例えば、治療前の力価の一定の割合以下の力価は、再治療のための正のリスクベネフィット特性を示す。
【0304】
一実施形態では、本明細書に記載の治療計画を用いることにより、腫瘍および/または悪性腫瘍および/または癌治療のための医薬の製造における、複製可能な腫瘍溶解性サブグループBアデノウイルスの非経口製剤の使用を提供する。
【0305】
一実施形態では、製剤は転移の治療または予防に用いられる。
【0306】
一実施形態では、滅菌条件下で、複雑で高価な投与製剤の必要性を回避するために、患者に投与する前に換気フード等の適切な空気制御を使用して、適切な用量および体積の無菌でプレフィルドされ、包装された注射器として提示される製剤を提供する。
【0307】
本明細書の文脈において、「含む(comprising)」は、「含む(including)」と解釈するものとする。
【0308】
特定の要素を含む本発明の態様は、関連の要素「からなる」または「から本質的になる」代替的な実施形態にまで及ぶことを意図する。
【0309】
本明細書に記載の任意の正の実施形態または組み合わせは、負の除外、すなわち否認に基づいてもよい。
【実施例】
【0310】
前臨床能力および選択性
表2は、様々な上皮細胞株上のColoAd1のIC
50を示す。
【0311】
【表2】
【0312】
上皮由来の癌細胞と正常細胞の範囲のColoAd1のIC
50。細胞の50%を死滅させるのに必要なColoAd1粒子の数(IC
50)を標準の6日MTSアッセイを用いてin vitroで測定した。
1 Schering AGによって実施され、Kuhnら,2008に発表された結果。
2 オックスフォード大学(未発表)によって実行された反復と追加の研究。
【0313】
表3は、様々な非上皮細胞株のColoAd1のIC
50を示す。
【0314】
【表3】
【0315】
非上皮由来の癌の範囲のColoAd1のIC
50。細胞の50%を死滅させるのに必要な粒子の数(IC
50)を標準の5日MTSアッセイを用いてin vitroで測定した。
1 Schering AGによって実施され、Kuhnら,2008に発表された結果。
2 オックスフォード大学(未発表)によって実行された反復と追加の研究。
【0316】
表4は、様々な正常な非癌ヒト細胞株のColoAd1複製を示す。
【0317】
【表4】
【0318】
in vitroの単層で成長するヒト細胞をColoAd1に72時間曝露した。ColoAd1ゲノムコピーの総数を、その後、qPCRにより測定した。データは、全ゲノムコピーとして、および癌細胞陽性コントロール(HT29)に対する相対%として表す。これらの正常なヒト細胞に由来するColoAd1物質のHT29癌細胞上の生存能について試験した。全ての場合において、そのように回収されたColoAd1物質は、HT29細胞内での複製を示すことができなかった。
【0319】
前臨床循環動態
ColoAd1循環動態をCD−1マウスで得た。マウス(1群当たり3)に尾静脈を介してウィルス粒子を投与し、全血試料中の循環ゲノムを定量的PCR(qPCR)によって測定した。このモデルのColoAd1半減期は用量依存性である。低い入力用量で(複数の投薬日に1×10
9〜2×10
10)、平均アルファ半減期は1.8±0.5分であり、他のアデノウイルス(Green2004)について以前に報告された値と一致する。高用量で(2×10
11以上)で、クリアランスの飽和が発生しているように見え、より長い循環レベルが生じる(アルファ半減期7.8±2分を意味する)。本明細書に記載のColoAd1試験の飽和は、複数の薬物動態パラメータを経由して反映される。
【0320】
表5は、曲線下面積(AUC)の有意な増加を示し、ColoAd1用量が2×10
11超で投与されたときの、粒子の半減期および割合は30分のタイムポイントで保持された。最適な動態(AUC、30分および平均アルファt1/2のときの保持された粒子の割合)が、3つの等しい高用量を投与した場合に、低プライミング用量の後の高用量の場合とは対照的に、すべて達成されたことが特に留意された。このデータから、血液循環時間がヒトの場合にマウスよりも有意に長ければ、ヒトにおける半減期はかなり長くなり、低プライミング用量がサブグループBアデノウイルスにとって価値ある可能性は低いことが予想された。さらに、ヒトの患者が有する腫瘍では、腫瘍細胞中の当該ウイルスの複製は、続く放出で、後のタイムポイントでのウイルスのさらなる増幅が生じることが予想された。それに従って臨床試験を計画した。
表5:CD−1マウス(群あたり3匹のマウス)における複数回の腫瘍内注射の循環動態
【0321】
【表5】
【0322】
前臨床の相互作用試験
ウイルス粒子は、迅速な中和につながる抗体、補体および血液細胞を含む、ヒトの血液の成分と相互作用することができる(Lyons 2005,Carlisle 2009)。これらのイベントは種特異的であり、動物で効果的にモデル化することはできない。
【0323】
ヒト血液中の中和を評価するために、ColoAd1を個体から新鮮に単離されたヒト全血中でインキュベートし、許容細胞(HT29結腸直腸腫瘍細胞)に適用してもよい。ウイルス濃度の範囲は、標的の臨床用量範囲をカバーするように選択することができる(ヒト血液1ml当たり2×10
6〜2×10
9粒子、ヒト血液量の範囲を想定している)。残留ウイルス力価は、細胞毒性によって決定され、ヒト血液(培地単独)でのインキュベーションの非存在下で、ウイルス感染と比較することができ、ウイルス粒子の濃度の範囲が1ml当たり2×10
6〜2×10
9の力価レベルが望ましい。
【0324】
図1のデータは、さらに、ColoAd1がわずかにヒト血液の影響を受けたことを示している。リチウムヘパリンチューブを使用して、9名(A〜I)の対象から新鮮なヒト血液を収集した。ColoAd1ウイルス粒子を、2×10
9VP/mLから10倍希釈で血液試料に添加し、用量が完全に総血液量に希釈されると仮定すると(5Lの血液とする)、潜在的に同等の1×10
13のヒト用量を反映する。37℃で20分間のインキュベーション後、ウイルス/血液の混合物を、96ウェルプレート中で増殖するA549腫瘍細胞に添加した。残りの生存するA549細胞の割合を5日後に測定し、百分率としてプロットした。IC
50は、2×10
6VP/mLのウイルス血中濃度とほぼ同等のレベルで発生する。このようにしてウイルスのこのレベルを、ヒトの臨床試験において達成するための最低限の目標水準として決定した。
【0325】
いくつかのin vitro研究では、ヒト血液細胞とColoAd1の相互作用も実施した。新鮮な血液を4個体から得て、赤血球、血小板および白血球を洗浄し、個々の実験で使用するために、生理学的な細胞濃度でPBSに再懸濁した(1mL当たり、それぞれ5×10
9、2×10
8および6×10
6)。qPCR分析によって、ColoAd1の80%超(82%±8%)が、ヒト血液細胞、主に赤血球および白血球と関連したことが明らかになった。5分または30分のインキュベーション後、血液細胞と結合したColoAd1の割合に有意差はなかった。Ad5はColoAd1より比較的高いレベルでヒト血液細胞(95.5±1.2%)に結合することを示した。相対蛍光に基づいて、ヒト血液細胞によるColoAd1−gfpの30分間のプレインキュベーションは、SW480腫瘍細胞の感染を優位に阻害し(>90%)、ColoAd1ための細胞受容体のCD46を低レベル発現するだけである。CD46をより高いレベルで発現するHT29細胞の感染は、おそらくこれらの腫瘍細胞上でColoAd1受容体をより高いレベルで発現するため、はるかに低い程度(約41%)で阻害された。最後に、CD46を高レベルで発現し、したがって、ColoAd1ための「シンク」として働くことができる白血球の感染は、ColoAd1−gfpを用いて評価し、導入遺伝子発現の程度を決定した。24時間後、導入遺伝子の発現の証拠は、白血球では観察されなかった。対照的に、以前の研究では、Ad5が同じ条件下で、in vitroで効率的に単球に感染することができることを示していた。まとめると、これらの研究は、ColoAd1の細胞血液成分との相互作用が限定されており、Ad5の場合と有意に異なることを示唆している。再び、これを考慮して臨床試験を設計した。
【0326】
ColoAd1の前臨床生体内分布
ColoAd1の生体分布およびクリアランスは、正常なマウスおよび一次ウイルス受容体CD46(正常マウスでは発現されないグループBアデノウイルスの受容体)を発現するトランスジェニックマウスにおいて決定した。正常マウスへの1×10
11ウイルス粒子の尾静脈投与後、24時間後に肝臓、脾臓および肺にウイルス粒子を優位に見出した。(
図2)は、1mg当たりのウイルスコピー数を示し、これらの大きな臓器がパーセンテージに基づき、全ウイルスの分布の主な部位であることを表している。同標的臓器に類似する分布は、CD46トランスジェニックマウス(
図3)において観察され、CD46受容体が分布の重要な決定因子ではないことを示した。非複製変異体(ColoAd1CJ132)の分布はColoAd1の分布と同一であり、このことは、複製が当該分布の効果を招いていないことを示している。しかし、ヒトの患者が有する腫瘍では、続く放出で、癌細胞中の当該ウイルスの複製が、後のタイムポイントでのウイルスのさらなる増幅をもたらしていると思われ、そのために臨床試験がそれに応じて計画されたことが予想された。
【0327】
前臨床ウイルスクリアランス
ウイルスクリアランスが完了するまでの時間を特定するために、長期の粒子クリアランス試験を、正常なBalbcマウスで行った。ウイルス分布に優勢な臓器:肝臓、脾臓および肺を、分析に選択した。ここでは、臓器当たりの全ウイルス粒子を、結果が臓器の重量に対して正規化されないように、各タイムポイントでの投入用量のパーセンテージとして記録する。1時間で、入力ウイルスの大部分は、肝臓内に既に隔離されており、脾臓では5%未満、および肺では0.1%未満隔離されていた。注入後24時間で、ウイルス粒子は急速にこれらの臓器からクリアされ、入力ウィルスゲノムの1%未満が残っていた。注射後65日目を過ぎて、どの組織にも有意なレベルのウイルスは検出されず、レベルは有意にバックグラウンドを超えなかった。投与後65日目に、組織からウイルス粒子を回収することができなかった。ウイルスクリアランスの動態(臓器当たりの入力量の%として提示されたデータ)を
図4にまとめる。
【0328】
CD46トランスジェニックマウスに、単一の機会に、1×10
10vp/マウスの用量で、タイムポイントあたりn=3の動物の尾静脈にColoAd1を投与した。(qPCRにより測定された)ゲノムのコピーをゲノムコピーの投入量のパーセンテージとして提示する。
【0329】
前臨床免疫原性
特異的な抗ウイルス免疫応答の発生が循環動態に有意な影響を与える可能性がある。この可能性を調べるために、マウスの群に、超免疫血清のプールを生成するために、数ヶ月にわたって繰り返しColoAd1を投与した。マウスの第2の群は、高度免疫血清を使用して、10または20μlの静脈内注射によって投与されるColoAd1に対して受動的に免疫化された。これらのマウスを、その後、10分間休ませ、5×10
10ColoAd1静脈内投与した。ColoAd1の投与後2、10、30分で、各マウスから血液を回収し、qPCRにより分析した。結果を
図5に示し、ColoAd1に対する免疫応答は、ColoAd1の動態および送達に大きな影響を与えることを示し、したがって、当該応答が起こる前に投与することの重要性を証明している。
【0330】
前臨床安全性および毒性
いくつかの安全性や毒性研究を、CD−1およびBalb/cマウス、CD46トランスジェニックマウスのパイロット試験を含むColoAd1で実施した。雄および雌のCD−1マウスにおける最後の毒性試験では、ColoAd1を3回の用量として、5日間にわたって投与し(1、3および5日目)、意図される臨床投与計画をモデル化した。雌雄のCD−1マウスに、ColoAd1または表6に示すように、製剤緩衝液を静脈内ボーラス注射(用量体積=100μL)を投与し、第1日目に、2つの群の4匹の雄の予定外の死亡があった後に、特定の群の用量を低くすることになった最終的な試験デザインを示す。
表6:毒性試験デザイン
【0331】
【表6】
【0332】
臨床徴候、体重、血漿サイトカインレベル、臨床病理学、および肉眼および顕微鏡検査を含む安全性エンドポイントの標準セットを定期的に行った。組織および臓器の標準リストを第6および17日目に剖検時に採取した。
【0333】
どの治療日でも、群1、2または3の雌雄で有意な臨床徴候は観察されなかった。有害効果の臨床兆候が、第1日目の最初の投与後に群4、2.2×10
11および6.96×10
10vp/動物の両方に見られたが、第3日目の群4の1例の雄を除いて、さらなる有害効果の臨床兆候は見られなかった。第2日目に、用量が関係する体重減少が、群2の雌を除いて全てのColoAd1治療群に見られたが、その後どの治療群の体重も影響を受けなかった。記録時に血液学的および肝機能の変化が、より長い時間にわたって発生したが、回復期間の終わりまでに正常範囲に戻った。要約すると、最も重要な臨床徴候が、最初の投与後に見られ、その後の用量がより良く耐容された。
【0334】
この研究の経時的サイトカイン応答を
図6に示す。サイトカインMCP−1の上昇が、最も顕著で、第1日目、最初の治療から6時間および24時間および第5日目の治療から6時間後に、群3および4に見られた。他のサイトカインでは、群2の動物に一貫した上昇は見られなかった。より小さいが、用量依存的な、IL−6、IFNγおよびTNFαの増加が、群3および4の動物にだけ見られ、MCP−1に比べて低濃度で最も多く見られ、特に群3の各用量群の一部だけの動物にだけ多く見られた。
【0335】
本研究で見られたサイトカインのパターンは、観察された臨床兆候と一致し、このことは、最初の投与の後に、投与量が同じであっても、その後の各用量が優れた耐容性であることを示している。
【0336】
臨床試験
出願の時点に、転移性癌を有するヒト対象への静脈内送達をしたときのColoAd1の安全性と有効性を調べるために、2つの臨床試験を行った。
【0337】
進化の研究(ColoAd1−1001は)は、上皮由来の転移性腫瘍およびさらに治療の選択肢を有しない患者に実施される第I相用量漸増の要素を伴う第I/II相臨床試験である。試験の第I相漸増部分の患者に、1日目、3日目および5日目に(48時間間隔で)3つの等しい用量のColoAd1を静脈内投与した。ゆっくりとした静脈内注入を使用し、初期のコホートでは、各患者に、5分間かけて30mlのウイルス懸濁液(毎分6ml)を注入した。最初に3名の患者の各コホートに、有害事象による用量制限毒性が示唆されるまで、用量あたり1×10
10ウイルス粒子から始まって1ログずつ増加して投与した。各患者はまた、補足的流体および抗炎症剤(アセトアミノフェン/パラセタモールおよびイブプロフェン)の設定レジメンを含む症候の予防のレジメンを受けた。各用量レベルでのこの投薬レジメンの安全性及び耐容性を、(血圧、脈拍、体温を含む)身体所見検査を使用し、すべての有害事象を誘発させることによって、ならびに血液学、生化学およびサイトカインの特性の変化を評価することによって評価した。ウイルス動態と排泄は、通常の血液、尿、便や痰の試料を用いて評価した。有効性は客観的な基準に従って連続CTイメージングによって評価した。この研究の後の段階では、転移性結腸直腸癌患者におけるColoAd1の静脈内最大耐量(MTD)の安全性と有効性をさらに検討する。
【0338】
第二の臨床試験(ColoAd1−1002)は、新たに診断された一次(非転移性)大腸腫瘍の患者で、ColoAd1の腫瘍内直接送達と静脈内送達を比較する第0相「治療機会」(window of opportunity)試験である。この試験の患者は、ColoAd1を事前に外科的に投与され、切除された腫瘍を、2つの異なる送達および投与レジメン後のウイルスの送達、複製および広がりの程度を調べるために、手術後に検討する。この試験では、安全性およびウイルス動態の対策は、ColoAd1−1001のものと広く類似している。
【0339】
試験ColoAd1−1001における第I相用量漸増試験の患者に、以下の表7に示すように、7つの患者コホート(すなわちコホート1〜7)において、1×10
13までを含むウイルス粒子の用量レベルで、ColoAd1を静脈内投与した。
表7:ColoAd1−1001臨床試験の第I相用量漸増要素における1〜7コホートのための投与計画。
【0340】
【表7】
【0341】
本研究のColoAd1の副作用の特性として、発熱、病気様インフルエンザ、高トランスアミナーゼ血症、血小板減少症、好中球減少、下痢および嘔吐が挙げられる。しかし、1×10
13ウイルス粒子の用量レベルを5分間かけて注入した場合、用量は十分に耐容されなかった。特に、2名の患者がこの用量でのサイトカイン媒介急性肺損傷を含む用量制限毒性(DLT)に苦しみ、単回投与より耐容することができなかった。1名の患者は、この病態を治療するためにステロイドを必要とした。この用量レベルの患者はまた、時間の経過とともにすべて治まったが、悪寒、高血圧症、疼痛、高トランスアミナーゼ血症、PPTの延長、およびDダイマーの上昇に苦しんだ。この乏しい耐容用量でのこれらの毒性作用の結果として、ColoAd1の用量を減らし、遅い注入速度を使用して再び漸増した。この戦略を使用して、3×10
12VPを5分(コホート5)または20分(コホート6)にわたって投与した場合と6×10
12VPを40分(コホート7)にわたって注入した場合はすべてが順調に耐容されることを示した。
【0342】
この安全性データは、執筆時には予備的であるが、マウスで見られるものと非常に類似した特性を支持している。しかし、一部の患者は、進行中の投与がないにもかかわらず、第2週に発熱および無力症にあり続け、ヒト腫瘍の進行中のウイルス複製と一致している現象(非腫瘍担持マウスでは見られないであろう現象)であった。ヒトのための最終的な最大耐量は、このように、第1、3、5日目に、最大6×10
11VP/分の注入速度で投与される1×10
12〜1×10
13ウイルス粒子にあると予想され、各患者はColoAd1−1001プロトコールに従って、予防的な抗炎症薬および静脈内輸液も受けている。最終的な最適な用量計画は、さらなる確証試験の対象である。
【0343】
表8に、ColoAd1−1001臨床試験の第I相用量漸増要素において、各患者についてqPCRで測定したときの主要なウイルス薬物動態のパラメータをまとめる。これらの結果は、前臨床データと大部分は一致している。要するに、そこに用量依存cMAXおよびAUCがあり、より高い用量での可能な飽和速度の指標があるものの、平均α半減期は約18分であった。
表8:コホート1〜7のColoAd1薬物動態
【0344】
【表8】
*各患者の指示番号
nd:測定されず。
【0345】
図7は、最初の用量漸増フェーズ(用量制限毒性の確認までを含む)におけるColoAd1−1001臨床試験に投与された癌患者に観察されるサイトカインのパターンを示す。マウス試験のように、ヒトでの炎症性サイトカイン応答のピークはColoAd1の最初の投与後に見られ、続く投与では減少する。興味深いことに、ColoAd1のこの初期のプライミング効果は低用量では確実には見られないが、より高い用量では明らかに見られ、このことは、同じ用量レベルで繰り返される高用量レジメンが、ヒト癌患者へのサブグループBアデノウイルスの静脈内投与に最適であり得るという主張を支持している。
【0346】
特に
図7は、30mlのウイルス懸濁液を第1、3、5日目(矢印で示した用量の点)に、4つの異なる用量レベル(それぞれ1e10、1e11、1e12および1e13ウイルス粒子)で、5分間注入するものとして、ColoAd1の静脈内投与を行った後、転移性固形上皮腫瘍を有するヒト癌患者における継時的なサイトカインレベル(μg/L)を示す。各患者はまた、予防的な抗炎症薬や点滴流体を受けた。患者は1e12までを含む用量に良好に耐容したが、1e13の用量を投与された4名の患者のうち2名は、サイトカイン媒介用量制限毒性を受け、単回投与以上を投与することができなかった。個々の患者のために、上昇したTNFおよびガンマインターフェロンのレベルは耐容性とよく相関したが、上昇したIL6はそうならなかった(データは示されていない)。したがって、毎分2e11ウイルス粒子までの速度が十分に許容される注入速度とみなすことができることした。パネルA:TNF;パネルB:ガンマインターフェロン;パネルC:IL−6。
【0347】
図8は転移性固形上皮腫瘍を有するヒト癌患者のColoAd1の全身薬物動態(血液1mLあたりゲノムコピー数)を示す。qPCRにより測定されたゲノムコピー数。
【0348】
特に、
図8Aは 、2e11VP/分で投与された十分に耐容される用量(用量当たり1e12VP)のColoAd1−1001から、3名の患者の平均血漿レベルを示し、この用量は、第1、3および5日目(矢印で示す用量のタイムポイント)で30mlのウイルス懸濁液を5分間注入されるColoAd1の静脈内用量に等しい。その後の各用量でウイルス濃度のピークを増加させる傾向が典型的である。
【0349】
このことは、2回目および3回目の投与後のウイルスのピークレベルが、1回目の投与後のウイルスのピークレベルよりも多く増加させる、請求の投与計画のウイルスの薬物動態への影響の有益な効果を明確に示している。このことは、初期の用量で非癌ウイルスのシンクを占有または除去する利点を証明している。この用量は、3名の患者では良好な耐容性だった。
【0350】
図8BはColoAd1−1001臨床試験の患者コホート1〜4(それぞれ1×10
10、1×10
11、1×10
12および1×10
13ウイルス粒子)それぞれのウイルス粒子)について4つの異なる用量レベルで、第1の投与後の平均初期薬物動態(ウイルスDNAコピー/ml)を示す。それぞれの場合で、5分にわたって投与されるため、ウイルスの注入速度が、最も低い用量で毎分2×10
9ウイルス粒子から、最高用量で毎分2×10
12ウイルス粒子に増加する。上の2つの用量では、血中のウイルス濃度が、長時間、mLあたり2×10
6ウイルス粒子以上のままである。これは、最低血中濃度であり、腫瘍内の感染を確立するのに有効である(前臨床試験から予想され、
図1に示すように)。1×10
12の用量については、目標レベルが1〜2時間で達成され、1×10
13の用量については、目標レベルは6時間以上維持される。しかし、毎分2×10
12ウイルス粒子として投与される1×10
13ウイルス粒子の用量は耐容性に乏しく、2名の患者が急性サイトカイン媒介用量制限毒性に苦しんだため、この投与計画は適切でない。十分に耐容性のある注入速度を用いて、用量レジメン(毎分2×10
11ウイルス粒子またはそれよりゆっくりとした)によって、投与量を最大、おそらく1×10
13ウイルス粒子よりも高くすることができる。このデータを用いて、薬物動態学的モデルを用いて、1時間かけて注入される1×10
13ウイルス粒子(毎分1.67×10
11ウイルス粒子)によって、ほとんどの患者で、3時間以上、ウイルス血中濃度が2×10
6以上維持されることを示すことができる。
【0351】
図9A〜9Hは、ColoAd1−1001臨床試験における患者の薬物動態を示す。患者にColoAd1の第1の用量を投与し、ウイルス負荷を、qPCRを使用した連続的採血で評価した。以下の治療計画を試験した:
図9A:5分かけて投与される1e10(1×10
10)ウイルス粒子(コホート1)。
図9B:5分かけて投与される1e11(1×10
11)ウイルス粒子(コホート2)。
図9C:5分かけて投与される1e12(1×10
12)ウイルス粒子(コホート3)。
図9D:5分かけて投与される1e13(1×10
13)ウイルス粒子(コホート4)。
図9E:5分かけて投与される3e12(3×10
12)ウイルス粒子(コホート5)。
図9F:20分かけて投与される3e12(3×10
12)ウイルス粒子(コホート6)。
図9G:40分かけて投与される6e12(6×10
12)ウイルス粒子(コホート7)。
【0352】
各曲線は、ColoAd1を投与される前、治療後最大約6時間の単位時間あたりの被験者のウイルス血中レベルの特定値を表している。
【0353】
ウイルス血中濃度がmL当たり約3e8ウイルスゲノムのしきい値を超えたときに、有害な副作用が患者に最初に観察された。
【0354】
したがってMLあたり約3e7〜3e8ウイルスゲノムの範囲が理想的な治療範囲であると決定され、できるだけ可能なこの範囲内でウイルス血中濃度を維持するレジメンが、毒性副作用を最小限にしながら、ウイルス血液レベルを最大限にすると思われる。
【0355】
薬物動態の曲線から分かるように、
図9G(40分かけて投与される6e12粒子)は、最長の治療範囲内に維持されるウイルス血中濃度に特に適した特性を示している。
【0356】
図10は、ColoAd1−1001試験で、同じ用量を遅い注入または速い注入のいずれかで患者に投与したときのC
Maxレベルの比較を示す。コホート5と6の両方に、3×10
12ウイルス粒子の全用量を投与したが、コホート5については5分かけて注入し(速い注入)、コホート6については20分かけて注入した(ゆっくりとした注入)。これは、注入速度を遅くすることは、効果的にC
Maxの少ない変動およびより低い平均C
Maxをもたらし、グループBアデノウイルスの注入速度を限定することは、より高いC
Maxレベルが毒性に関連する場合に関連性がある。
【0357】
図11は、ColoAd1−1001臨床試験で、1、3および5日目(矢印で示される用量ポイント)にColoAd1の静脈内投与された後の、ヒト癌患者における経時的なMCP1レベル(μg/L)を示す。グラフは、表7に示される異なる投与計画でそれぞれ投与された異なる患者コホート(1〜7)間の比較を示す。
【0358】
MCP1レベル濃度(μg/L)の測定は、以下のタイムポイント:0時間、6時間、12時間、24時間、48時間、54時間、60時間、72時間、96時間、102時間、108時間、120時間、168時間、336時間で行われた。このヒトのデータは、MCP1の低減レベルでマウスにおいて試験を行った全ての用量の各投与後に見られるパターンと類似したパターンを反映し、したがってクレームした投与計画の特定の利益を支持する。
【0359】
図12に見られるサイトカインのパターンは、マウス試験で以前に観察されたサイトカインのパターンと一致し(
図6参照)、このことは、第1の投与後に、次の投与それぞれが、3つの用量のそれぞれが等しくても、良好に耐容することを示している。B型アデノウイルスによる腫瘍の感染を示した研究は、静脈投与によるウイルス粒子の用量によって確立することができる。
【0360】
図12はアデノウイルスに典型的な複製サイクルを示す。アデノウイルス構造タンパク質、例えばヘキソンは、ウイルスのカプシドの90%を作製し、複製発生後の感染中の終わりに発現するだけである。タンパク質は、その後、構築のために核に送り返される。核は、このように、複製中、最も高い濃度のヘキソンおよび他の構造タンパク質を有する。したがって、核のヘキソン染色は、アデノウイルスの定量のために、正常にColoAd1が感染した細胞のためのマーカーとして使用することができる。
【0361】
ColoAd1−1002臨床試験では、一次(非転移性)大腸腫瘍の患者に、腫瘍内(IT)送達または静脈内(IV)送達のいずれかによってColoAd1を投与した。IT群では、ウイルスは、複数回の注射として、最大1e8VPの用量で、結腸内視鏡を介して投与された(実際の用量は、腫瘍の大きさに依存した)。IV群では、第1、3、5日目に、5分間かけて注入することによって1e12VPの用量を投与した。その後、ColoAd1の最初の投与から7〜14日目に、原発腫瘍を切除し、ColoAd1ヘキソンについて免疫組織化学(IHC)染色を含む病理検査に送った。
【0362】
ホルマリン固定、パラフィン包埋ヒト腫瘍試料の切片を、抗ヘキソン抗体(ab8251)を使用してウイルスの存在について分析した。
【0363】
ウルトラベンタナベンチマークで確認されたアッセイ下で染色を行った。強い核染色がカプシド構築の存在を示す。
【0364】
アイソタイプコントロールを、同時に、同じ条件下で処理した。
【0365】
図13は、ColoAd1を用いてin vitroで感染させた結腸直腸癌細胞株の透過EM画像を示す。
【0366】
図14Aは、腫瘍内注射(IT)後にColoAd1に感染し、その後、ヘキソンを染色した腫瘍試料(IT)の細胞染色の画像を示す。図から分かるように、間質細胞には核染色が存在しないのに対し、癌細胞には実質的な核染色がある。
図14Bは対応するアイソタイプコントロールを示す。一緒に、これらのスライドは、ColoAd1が、直接腫瘍内送達後に正常な細胞に感染することなく、選択的に腫瘍細胞に感染することを示している。
【0367】
図14Cは静脈内(IV)投与後にColoAd1に感染し、その後、ヘキソンを染色した腫瘍試料の細胞染色の画像を示す。図から分かるように、間質細胞には核染色が存在しないのに対し、癌細胞には実質的な核染色がある。
図14Dは対応するアイソタイプコントロールである。
【0368】
したがって、これらの画像は、ColoAd1が選択的に、請求の静脈内投与計画を使用した場合に腫瘍内送達に相当する様式で、腫瘍細胞に送達することができるという明らかな証拠を提供している。
【0369】
実施例2 薬剤の組み合わせ
開発中の臨床的に承認された320個の化合物の存在下で、ColoAd1ウイルス複製を結腸癌細胞株HT−29で評価した。HT−29細胞を96ウェルプレート中、ウェルあたり3.0e4細胞の密度で播種し、37℃、5%のCO
2でインキュベートした。4〜6時間のインキュベーション後、ウイルスと薬剤化合物の混合物を細胞培地中に調製し、細胞に希釈し、最終用量が細胞あたり10ColoAd1ウイルス粒子(ppc)および0.1μMの薬剤化合物を得た。細胞を18時間インキュベートし、次に、細胞内の全ウイルスゲノムをqPCRにより評価した。単独のColoAd1ウイルスと比較したColoAd1複製の相対倍数変化を、
図15個の全化合物についてプロットする。挿入図は、微小管阻害剤の存在下で、18時間後のウイルス複製の増加とトポイソメラーゼ阻害剤の存在下でのウイルス複製の減少を示している。
【0370】
腫瘍モデルにおけるColoAd1の有効性に与えるパクリタキセルまたはシスプラチン治療の影響を、卵巣癌のIPモデルにで評価した。SCIDマウスに2.5e6ルシフェラーゼを発現するSKOV−3ヒト卵巣癌細胞を移植した。腫瘍量はルシフェラーゼ発現によって評価した。マウスは、第5日目、各セットの治療の前日、および試験期間の少なくとも5〜7日ごとに、撮像した。すべてのColoAd1治療は、腹腔内注射によって送達される5e9ウイルス粒子を用いて実施し、併用治療群では、パクリタキセル(0.4mg)またはシスプラチン(0.04mg)をウイルス治療後に送達した。疾患の進行を、IVISイメージングシステムを用いて、ルシフェラーゼ画像化によって評価した。PBS(A)、パクリタキセル(B)、ColoAd1(C)またはパクリタキセルおよびColoAd1(D)のそれぞれをIP注射によって投与したマウスの相対発光の画像を
図16に示し、各投与群について経時的に追跡された相対発光を
図17に示す。PBS(群1)、ColoAd1その後シスプラチン(群2)、シスプラチンその後ColoAd1(群3)またはパクリタキセルその後ColoAd1(群4)のいずれかで、IP注射によって投与したマウスにおける相対発光を
図18に示す。投与スケジュールは、
図17および18に詳述する。