(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1、
図2は、本発明の一実施形態に係る農業用マルチコプター(以下、単に「マルチコプター」という)を示す斜視図である。
マルチコプター1は、複数の回転翼により無人で飛行可能な回転翼機であって、例えば、ドローンと呼ばれる飛行体である。マルチコプター1は、無線又は有線通信による遠隔操作により飛行するものであってもよいし、遠隔装置に依らずに自律制御により飛行するものであってもよい。
【0009】
マルチコプター1は、機体2と、作業装置7とを備えている。
先ず、機体2について説明する。
図1、
図2に示すように、機体2は、本体3と、アーム4と、回転翼5と、スキッド(脚)6を有している。
図3に示すように、本体3は、第1縁部31と、第2縁部32と、第3縁部33と、第4縁部34とを有している。第1縁部31は、上面視において一方側に位置している。第2縁部32は、上面視において、第1縁部31と反対側(他方側)に位置している。第3縁部33は、第1縁部31と第2縁部32とを繋ぐ直線に対して直交する方向(前記一方側と前記他方側に直交する方向)の一端側に位置している。第4縁部34は、第3縁部33と反対側に位置している。
【0010】
以下、説明の便宜上、第1縁部31が位置する方向を前方、第2縁部32が位置する方向を後方、第3縁部33が位置する方向を左方、第4縁部34が位置する方向を右方という。また、第1縁部31側から第2縁部32側或いは第2縁部32側から第1縁部31側に向かう方向を前後方向といい、当該前後方向に直交する方向を幅方向という。また、幅方向であって本体3の幅方向中心に近づく方向を幅方向内方といい、幅方向であって本体3の幅方向中心から離れる方向を幅方向外方という。
【0011】
尚、本体3の形状(外形)は、本実施形態の場合、略直方体形であるが、円板形等の他の形状であってもよい。第1縁部31〜第3縁部34の形状は、本体3の形状に応じて変化する。そのため、第1縁部31〜第3縁部34の形状は、直線状であってもよいし、一部又は全部が曲線状であってもよい。
図4に示すように、本体3は、ケース35(以下、「第1ケース35」という)と、電装品36(以下、「第1電装品36」という)と、を備えている。
【0012】
第1ケース35は、本体3の外殻を構成する箱体であって、密閉可能な内部空間を有している。第1ケース35の内部空間には、第1電装品36が収容されている。つまり、第1電装品36の周囲は、第1ケース35により覆われている。
第1電装品36は、マルチコプター1の飛行に関する制御を行う電装品であって、例えば、GPSアンテナ、姿勢制御装置、各種センサ(ジャイロセンサ、加速度センサ等)等である。姿勢制御装置は、後述するロータ51の回転を制御する。
【0013】
図1、
図2に示すように、本体3には、複数本のアーム4が取り付けられている。本実施形態の場合、4本のアーム4が本体3に取り付けられている。4本のアーム4は、本体3の中心から水平面(着地状態で地面と平行な面)内で放射状に延びている。但し、アーム4の本数は、4本に限定されず、5本以上であってもよいし、3本以下であってもよい。また、アーム4は、本体3側に向けて折り畳み可能な構造としてもよい。
【0014】
アーム4の基端側は、本体3に取り付けられている。アーム4の先端側は、二股状(Y字状)に分岐している。複数のアーム4の先端側には、夫々回転翼5が取り付けられている。本実施形態の場合、4本のアーム4の先端側が夫々二股状に分岐し、各分岐端に回転翼8が取り付けられているため、回転翼5の数は8つである。
回転翼5は、マルチコプター1が飛行するための揚力を発生させる。回転翼5は、ロータ51及びブレード(プロペラ)52から構成されている。ロータ51は、電動モータ(DCモータ等)から構成されている。ロータ51は、後述するバッテリから供給される電力により駆動される。ロータ51の回転軸の上部には、ブレード52が取り付けられている。隣り合う回転翼5は、互いに逆方向に回転する。
【0015】
回転翼5の数は、特に限定はされず、必要な揚力等に応じて変更することができる。例えば、マルチコプター1は、3つの回転翼5を有するトリコプターであってもよいし、4つの回転翼5を有するクアッドコプターであってもよいし、6つの回転翼5を有するヘキサコプターであってもよいし、8つの回転翼5を有するオクトコプターであってもよい。
スキッド6は、マルチコプター1が着地したときに接地して本体3を地面上に支持する。
図3〜
図6等に示すように、スキッド6は、本体3の第3縁部33側(左側)に設けられた一方脚部6Lと、第4縁部34側(右側)に設けられた他方脚部6Rと、を有している。
【0016】
一方脚部6Lは、第1脚部6L1と、第2脚部6L2と、下部材6L3と、を有している。第1脚部6L1は、第1縁部31側(前側)に配置されて本体3から下方に延びている。第2脚部6L2は、第2縁部32側(後側)に配置されて本体3から下方に延びている。下部材6L3は、第1脚部6L1の下端部と第2脚部6L2の下端部とを連結している。
【0017】
他方脚部6Rは、第1脚部6R1と、第2脚部6R2と、下部材6R3と、を有している。第1脚部6R1は、第1縁部31側(前側)に配置されて本体3から下方に延びている。第2脚部6R2は、第2縁部32側(後側)に配置されて本体3から下方に延びている。下部材6R3は、第1脚部6R1の下端部と第2脚部6R2の下端部とを連結している。
【0018】
図3〜
図5に示すように、一方脚部6L(第1脚部6L1、第2脚部6L2)と、他方脚部6R(第1脚部6R1、第2脚部6R2)とは、本体3から離れる方向(下方)に向かうにつれて互いの距離が次第に広がるように傾斜している。
図1〜
図6に示すように、本体3の下方には装着部15が設けられている。装着部15は、作業装置7を一方脚部6Lと他方脚部6Rの間で着脱可能に支持する。本実施形態では、装着部15にはタンク8が着脱可能に装着される。
【0019】
図4〜
図7に示すように、装着部15は、ガイド部材(連結部材)16と、保持機構17と、を有している。
ガイド部材16は、本体3の下方においてスキッド6に固定されており、前後方向に延設されている。ガイド部材(連結部材)16は、第1ガイド部材(第1連結部材)16Lと第2ガイド部材(第2連結部材)16Rとを有している。第1ガイド部材16Lは、第3縁部33側(左側)に設けられており、一方脚部6Lの第1脚部6L1と第2脚部6L2とを連結している。第2ガイド部材16Rは、第4縁部34側(右側)に設けられており、他方脚部6Rの第1脚部6R1と第2脚部6R2とを連結している。ガイド部材16の前部は、第1脚部6L1,6R1よりも前方に突出している。ガイド部材16の後部は、第2脚部6L2,6R2よりも後方に突出している。
【0020】
図5、
図7等に示すように、ガイド部材16(第1ガイド部材16L及び第2ガイド部材16R)は、略断面L字状に形成されている。具体的には、
図7に示すように、ガイド
部材16は、水平部161と、垂直部162と、ストッパ部163と、保持部164と、を有している。
水平部161は、前後方向に延設されており、マルチコプター1の着地時において、地面に対して平行(水平)となる。垂直部162は、水平部161の幅方向外方から直角に立ち上がっており、固定部材22を介してスキッド6に固定されている。第1ガイド部材16Lの垂直部162は、本体3の第3縁部33よりも幅方向外方(左方)に位置している。第2ガイド部材16Rの垂直部162は、本体3の第4縁部34よりも幅方向外方(右方)に位置している。
【0021】
ストッパ部163は、水平部161の延設方向の後端部から直角に立ち上がっている。保持部164は、前後方向に延設されており、垂直部162の上部から幅方向内方に屈曲している。保持部164は、水平部161の上方に位置し、水平部161と間隔をあけて平行に配置されている。
水平部161は、作業装置7(具体的には、後述するタンク8の支持部80)を、延設方向に沿ってスライド移動可能に支持する。垂直部162は、作業装置7の幅方向外方への移動を規制する。ストッパ部163は、作業装置7のスライド移動の終端位置を決める。保持部164は、作業装置7の上方への移動を規制する。
【0022】
これにより、作業装置7は、ガイド部材16の延設方向(前後方向)にスライド移動可能に支持される。作業装置7をガイド部材16の延設方向(前後方向)にスライド移動させることにより、作業装置7を装着部15に対して着脱することができる。
以下、作業装置7を装着部15に着脱するときの作業装置7の移動方向(前後方向)を「スライド移動方向」という。また、作業装置7を装着部15に装着した状態(
図3〜
図6(
図3と
図6は実線)参照)を「装着状態」という。
【0023】
図7に示すように、ガイド部材16(第1ガイド部材16L、第2ガイド部材16R)は、延設方向(スライド移動方向)の一方側(前側)に、貫通孔18(以下、「第1固定穴18」という)を有している。第1固定穴18は、後述する第2固定穴803bや挿入部材20等と共に、保持機構17を構成している。保持機構17の構成については、後ほど説明する。
【0024】
上述したように、ガイド部材(連結部材)16は、作業装置7を支持する機能と、スキッド6の第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2とを連結する機能とを併せ持っている。これにより、ガイド部材(連結部材)16によって、作業装置7を支持しながら第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2とを連結してスキッド6を補強することができる。そのため、作業装置7を支持する部材と、第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2とを連結する部材とを別々に設ける必要がなく、部品点数の削減及び軽量化を達成することができる。
【0025】
次に、作業装置7について説明する。
作業装置7は、農業に関する作業を行う装置である。作業装置7としては、例えば、農場に農薬や肥料等の散布物を散布する散布装置、農場を撮影する撮像装置(カメラ)、農場の温度を検知する温度センサ(赤外線センサ等)、農場の色(農作物の色)を検知する色センサ等のセンサ装置等が例示できる。
【0026】
本実施形態の場合、作業装置7は、散布装置であって、散布物を収容するタンク8を有している。
図3〜
図6等に示すように、タンク8は、本体3の下方に設けられた装着部15に装着される。タンク8は、装着部15に対して着脱可能である。
図3、
図6において、タンク8の装着状態を実線で示し、タンク8を装着部16から離脱させる方向(矢印Aで示す)にスライド移動させた状態を仮想線で示している。以下の説明において、タンク8に関する方向については、装着状態を基準とする。
【0027】
以下、
図8〜
図15を主に参照して、タンク8の構成について説明する。
タンク8は、容器81と、蓋体82と、支持部80と、を有している。
容器81は、農場に散布される散布物が収容される内部空間を形成している。散布物は、例えば、肥料、水、農薬等である。散布物は、液体又は流動性を有する固体(粒状体等
)である。流動性を有する固体とは、容器81が傾斜したときに、当該傾斜に伴って容器81内で移動することができる形態(大きさ、形状)のものである。
【0028】
容器81は、当該容器81の上面に、散布物を内部空間に供給するための供給部83を有している。供給部83は、容器81の上面から円筒状に突出する筒状部84を有している。筒状部84には、蓋体82がネジ等により着脱可能に装着される。
図14に示すように、筒状部84は、散布物を内部空間に供給する際の入口となる供給口85を形成している。供給口85の大きさ(直径)は、人手が挿入可能な大きさ(例えば、直径100〜150mm程度)に設定される。
【0029】
図3及び
図6の実線に示すように、装着状態において、供給部83は、容器81の前側(第1縁部31側)に位置し、上面視にて本体3と重ならない位置(本体3の前方位置)にある。また、
図6の実線に示すように、装着状態において、筒状部84は、上方に向かうにつれてスライド移動方向の一端側(本体3から離れる側)である前方に移行するように傾斜している。これにより、散布物を供給部83から容器81内に供給する作業や、供給口85から手を入れて容器81内を清掃する作業などを容易に行うことが可能となる。
【0030】
容器81の材料は、特に限定されないが、合成樹脂であることが好ましい。容器81を合成樹脂製とすることにより、容器81の軽量化を達成することができる。また、容器81を透明又は半透明な合成樹脂から形成した場合、容器81内の散布物の残量を外部から確認することができる点で好ましい。また、容器81は、複数の部材を組み合わせて構成してもよいが、軽量化や部品点数の削減等の観点から合成樹脂の一体成型品とすることが好ましい。
【0031】
図11に示すように、容器81は、第1縁部31側(前側)と第2縁部32側(後側)とを繋ぐ直線の方向(スライド移動方向)の長さ(前後方向長さ)L1が、第3縁部33側(左側)と第4縁部34側(右側)とを繋ぐ方向(スライド移動方向と直交する方向)の長さ(幅方向長さ)L2よりも長く形成されている。
容器81は、当該容器81に収容された散布物を受ける受け面86を有している。受け面86は、容器81に収容された散布物が接する面(内面)であり、容器81の内側の側面及び内側の底面を構成している。本実施形態の場合、これらの側面と底面がなだらかな曲面で連続しているため、側面と底面との間に明確な境界を有さない受け面86となっているが、側面と底面との間に明確な境界を有する受け面86であってもよい。
【0032】
以下、受け面86について説明するに当たって、容器81と本体3との位置関係の理解を助けるために、
図11、
図13、
図14において、第1縁部31側(前側)を矢印310、第2縁部32側(後側)を矢印320、第3縁部33側(左側)を矢印330、第4縁部34側(右側)を矢印340で示す。
図13に示すように、受け面86は、第1移行部91と、第2移行部92と、膨出部93と、を有している。
【0033】
第1移行部91は、第3縁部33側(左側)から第4縁部34側(右側)に向けて延びている。第2移行部92は、第4縁部34側(右側)から第3縁部33側(左側)に向けて延びている。膨出部93は、第1移行部91と第2移行部92との間に設けられており、第1移行部91及び第2移行部92よりも下方に膨出している。
第1移行部91と第2移行部92は、傾斜部を含まない平坦面(着地状態において地面に対して平行となる面)であってもよいが、本実施形態では傾斜部を含んでいる。具体的には、第1移行部91は、第3縁部33側(左側)から第4縁部34側(右側)に向かうにつれて本体3から離れる方向(下方)に移行する第1傾斜部94を含んでいる。第2移行部92は、第4縁部34側(右側)から第3縁部33側(左側)に向かうにつれて本体3から離れる方向(下方)に移行する第2傾斜部95を含んでいる。本実施形態では、第1移行部91の全体が第1傾斜部94となっているが、第1移行部91の一部に平坦面を含んでいてもよい。また、第2移行部92の全体が第2傾斜部95となっているが、第2移行部92の一部に平坦面を含んでいてもよい。
【0034】
第1傾斜部94は、第3縁部33側(左側)に設けられた第1外傾斜部94Aと、膨出部93側に設けられた第1内傾斜部94Bと、を有している。第1内傾斜部94Bは、第
1外傾斜部94Aと異なる角度で傾斜している。具体的には、第1内傾斜部94Bの傾斜角度は、第1外傾斜部94Aの傾斜角度に比べて小さい。尚、傾斜角度とは、装着状態における地面(水平面)に対する角度である。つまり、地面に対して平行に近い面は傾斜角度が小さく、地面に対して垂直に近い面は傾斜角度が大きい。
【0035】
第2傾斜部95は、第4縁部34側(右側)に設けられた第2外傾斜部95Aと、膨出部93側に設けられた第2内傾斜部95Bと、を有している。第2内傾斜部95Bは、第2外傾斜部95Aと異なる角度で傾斜している。具体的には、第2内傾斜部95Bの傾斜角度は、第2外傾斜部95Aの傾斜角度に比べて小さい。
図14に示すように、受け面86は、さらに第3傾斜部96と第4傾斜部97とを有している。第3傾斜部96は、第1縁部31側(前側)から第2縁部32側(後側)に向かうにつれて本体3から離れる方向(下方)に移行するように傾斜している。第4傾斜部97は、第2縁部32側(後側)から第1縁部31側(前側)に向かうにつれて本体3から離れる方向(下方)に移行するように傾斜している。
【0036】
以下、膨出部93の形状について具体的に説明する。
先ず、膨出部93を前後方向(スライド移動方向)から見た形状について説明する。
図13に示すように、膨出部93は、容器81の下部の幅方向中央に設けられている。詳しくは、膨出部93は、第1傾斜部94と第2傾斜部95との間に設けられている。具体的には、膨出部93は、第1内傾斜部94Bの下端と第2内傾斜部95Bの下端とを繋ぐように設けられている。膨出部93は、一方傾斜部93Lと、他方傾斜部93Rと、底面93Bとを有している。
【0037】
一方傾斜部93Lは、第3縁部33側(左側)に設けられており、第1内傾斜部94Bの下端から第4縁部34側(右側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。他方傾斜部93Rは、第4縁部34側(右側)に設けられており、第2内傾斜部95Bの下端から第3縁部33側(左側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。一方傾斜部93Lの傾斜角度は、第1外傾斜部94Aの傾斜角度よりも小さく且つ第1内傾斜部94Bの傾斜角度よりも大きい。他方傾斜部93Rの傾斜角度は、第2外傾斜部95Aの傾斜角度よりも小さく且つ第2内傾斜部95Bの傾斜角度よりも大きい。
【0038】
底面93Bは、一方側面傾斜部93Lの下端と他方傾斜部93Rの下端とを接続している。底面93Bは、装着状態において、容器81の最下部に位置し、地面と平行な水平面となる。
次に、膨出部93を幅方向から見た形状について説明する。
図14に示すように、膨出部93は、第3傾斜部96と第4傾斜部97との間に設けられている。具体的には、膨出部93は、第3傾斜部96の下端と第4傾斜部97の下端とを繋ぐように設けられている。膨出部93は、第5傾斜部98と、第6傾斜部99と、を有している。第5傾斜部98は、第3傾斜部96の下端から第2縁部側(後側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。第6傾斜部99は、第4傾斜部97の下端から第1縁部側(前側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。第5傾斜部98の傾斜角度は、第3傾斜部96の傾斜角度に比べて若干小さい。第6傾斜部99の傾斜角度は、第4傾斜部97の傾斜角度に比べて若干小さい。第5傾斜部98の下端と第6傾斜部99の下端とは、底面93Bにより接続されている。つまり、底面93Bは、前後方向において第5傾斜部98の下端と第6傾斜部99の下端とを接続し、幅方向において一方側面傾斜部93Lの下端と他方傾斜部93Rの下端とを接続している。
【0039】
図12に示すように、本実施形態の場合、膨出部93の幅方向長さL5は、容器81の幅方向長さL2の半分以下であり、より具体的には3分の1以下である。
図12に示すように、膨出部93の前後方向長さL6は、容器81の前後方向長さL1の半分以下であり、後述する2つの凹み部90の間の距離L7よりも小さい。
図13に示すように、膨出部93には、取出口87が設けられている。取出口87は、容器81の内部空間に収容された散布物を取り出すための開口である。取出口87は、ホース(図示せず)を介してポンプ10の吸込口に接続される。本実施形態の場合、取出口87は、膨出部93の他方傾斜部93Rに設けられている。但し、取出口87の位置は、
他方傾斜部93Rには限定されず、膨出部93の他の位置(例えば、底面93B、第5傾斜部98など)に設けてもよい。
【0040】
上述したように、容器81の受け面86が下方に膨出する膨出部93を有し、当該膨出部93に取出口87が設けられていることにより、容器81に収容された散布物を取出口87から確実且つ容易に取り出すことが可能となる。例えば、マルチコプター1の姿勢が飛行時において傾斜した場合であっても、散布物を膨出部93に集めて取出口87から取り出すことができる。
【0041】
次に、容器81の受け面86の外側(表側)の面(以下、「外面」という)について説明する。本実施形態では、容器81の外面は、受け面(内面)86と対応する形状(受け面86の外側において当該受け面86に沿う形状)となっている。
図12、
図14に示すように、容器81の外面には、凹み部90が形成されている。凹み部90は、容器81のスライド移動方向(前後方向)の一方側(前側)と他方側(後側)に夫々設けられている。凹み部90は、容器81の受け面86の外面が下方から上方に向けて凹むことにより形成されている。そのため、凹み部90に対応する部分の受け面86は下方から上方に向けて隆起している。一方側(前側)の凹み部90の内面は、第3傾斜部96の上端と接続している。他方側(後側)の凹み部90の内面は、第4傾斜部97の上端と接続している。凹み部90は、タンク8を装着部15に対してスライド移動させて着脱するときに、手指を引っ掛けることができる手掛かりとなる。
【0042】
図8〜
図13に示すように、容器81は突出部88を有している。
突出部88は、第1突出部88Lと第2突出部88Rとを含む。第1突出部88Lと第2突出部88Rとは、互いに反対側に突出している。詳しくは、第1突出部88Lは、第3縁部33側(左側)に突出している。第2突出部88Rは、第4縁部34側(右側)に突出している。別の言い方をすれば、第1突出部88Lは、後述する第1支持部80L側(左側)に突出している。第2突出部88Rは、後述する第2支持部80R側(右側)に突出している。第1突出部88L及び第2突出部88Rは、前後方向(スライド移動方向)の長さが、幅方向の長さよりも長い長方形の板状に形成されている。
【0043】
突出部88は、受け面86よりも上方であって、供給部83よりも下方に設けられている。突出部88は、本体3の下方に設けられた装着部15に対してスライド移動可能に支持される。具体的には、
図5及び
図16に示すように、突出部88は、装着部15のガイド部材16の水平部161上に載置されることで、ガイド部材16の長さ方向(前後方向)にスライド移動可能となる。これにより、タンク8が装着部15に対してスライド移動可能となる。また、タンク8を装着部15に対してスライド移動させて、突出部88をガイド部材16から離脱させることにより、タンク8を装着部15から離脱させることができる。
【0044】
また、容器81が突出部88を有することにより、タンク8を装着部15から離脱した状態において、地面に設置したマルチコプター1と別体のタンクスタンド(図示せず)に、突出部88を支持させることもできる。これにより、タンク8を地面から離間させて支持することができる。
図11に示すように、突出部88には、貫通穴88a,88bが設けられている。貫通穴88a,88bは、夫々スライド移動方向(前後方向)に間隔をあけて複数設けられている。貫通穴88aは、後述する支持部80の支持板803を取り付けるための穴である。貫通穴88b(以下、便宜上、「第3固定穴88b」という)は、後述する保持機構17の挿入部材20が挿入される穴である。
【0045】
図10、
図11、
図14に示すように、容器81は、センサ取付部89を有している。センサ取付部89は、受け面86よりも上方であって、供給部83よりも下方に設けられている。センサ取付部89は、供給部83と反対側である第2縁部32側(後側)に設けられている。センサ取付部89には取付穴89aが設けられており、当該取付穴89aを用いてマルチコプター1の飛行時における農場からの高さを測定するセンサ(図示せず)を着脱可能に取り付けることができる。
【0046】
以下、タンク8の支持部80について説明する。
図8、
図10、
図12に示すように、支持部80は、第1支持部80Lと、第2支持部80Rとを含む。第1支持部80Lは、容器81の一方側(第3縁部33側(左側))に設けられている。第2支持部80Rは、容器81の一方側と反対側(第4縁部34側(右側))に設けられている。つまり、第2支持部80Rは、幅方向において、第1支持部80Lと反対側に設けられている。
【0047】
支持部80(第1支持部80L、第2支持部80R)は、第1部位801と、第2部位802と、支持板803を有している。
第1部位801は、容器81から離れる方向に延びている。具体的には、第1部位801は、容器81の供給部83側と反対側である下方(装着状態において本体3から離れる方向)に延びている。第1部位801は、スライド移動方向の一方側(前側)に設けられた前部位804と、他方側(後側)に設けられた後部位805とを有している。第2部位802は、第1部位801に接続されている。具体的には、第2部位802は、前部位804の下端部と後部位805の下端部とを接続している。
【0048】
図8,
図10に示すように、支持板803は、第1部位801の前部位804の上端部と後部位805の上端部とを接続している。支持板803は、スライド移動方向(前後方向)に長い長方形の平板に形成されている。
図12、
図15に示すように、支持板803には、貫通穴803a,803bが設けられている。貫通穴803a,803bは、夫々スライド移動方向(前後方向)に間隔をあけて複数設けられている。
【0049】
貫通穴803aは、突出部88の貫通穴88aに下方から重ね合わされる。
図10、
図15に示すように、重なり合った貫通穴88aと貫通穴803aにはボルトB1が挿通され、当該ボルトB1にナットN1が螺合される。これにより、支持板803は、容器81の突出部88の下面に着脱可能に固定される。貫通穴803b(以下、「第2固定穴803b」という)は、第1固定穴18や挿入部材20等と共に、後述する保持機構17を構成している。
【0050】
図16に示すように、支持板803は、突出部88の下面に固定された状態で装着部15に支持される。支持板803の下面は、装着部15に支持された状態において、装着部15のガイド部材16の水平部161の上面に当接する(載置される)。これにより、支持板803は、ガイド部材16の延設方向にスライド移動可能となる。
ここで、突出部88の下面には支持板803が固定されているため、突出部88の下面は、装着部15のガイド部材16に当接しない。そのため、タンク8を装着部15に対してスライド移動させたときに、突出部88がガイド部材16と摩擦することによって摩耗することが防がれる。
【0051】
支持板803は、容器81の突出部88よりも硬質の材料(金属等)から形成することが好ましい。支持板803を硬質の材料から形成することにより、タンク8のスライド移動に起因する支持板803の摩耗を抑制することができる。また、支持部80の強度を充分に確保するために、支持部80の全体(第1部位801、第2部位802、支持板803)を、突出部88よりも硬質の材料(金属等)から形成することが好ましい。
【0052】
図9に示すように、突出部88から支持部80の下端(第2支持部80Rの下端)までの距離L3は、突出部88から容器81の最下部(膨出部93の底面93B)までの距離L4よりも大きく設定される。これにより、
図9に示すように、支持部80は、タンク8を装着部15から離脱した状態(以下、「タンク離脱状態」という)において、容器81を地面Gから離間させて支持可能である。そのため、装着部15から離脱したタンク8を、泥等の汚れ(異物)を付着させることなく地面Gに支持することができる。また、容器81の底面が平面でない場合(例えば、本実施形態の如く、膨出部93が設けられている場合)であっても、容器81を転倒させることなく地面G上に安定して支持することができる。容器81を地面Gから離間させて支持した状態において、供給部83は上方を向き、支持部80の第2部位802は地面Gに当接する。
【0053】
尚、本実施形態の場合、支持部80(第1支持部80L、第2支持部80R)を、容器81とは別部材である支持板803に設けているが、支持部80を容器81に設けてもよい。具体的には、容器81の突出部88に、支持部80の第1部位801の上端部を接続
することができる。
以下、保持機構17の構成について説明する。
【0054】
保持機構17は、タンク8を装着部15の所定位置に保持する機構である。保持機構17は、タンク8が装着状態にある第1位置と、当該第1位置からスライド移動方向に移動した第2位置とに保持可能である。
図7、
図16、
図17に示すように、保持機構17は、第1固定穴18、第2固定穴803b、第3固定穴88b、挿入部材20、取付部材21、付勢部材(図示略)を有している。
【0055】
図7に示すように、第1固定穴18は、ガイド部材16(第1ガイド部材16L、第2ガイド部材16R)に設けられている。具体的には、第1固定穴18は、ガイド部材16のスライド移動方向の一方側(前側)に1つ設けられており、ガイド部材16を上下方向に貫通している。
図12、
図15に示すように、第2固定穴803bは、支持板803に設けられている。具体的には、第2固定穴803bは、スライド移動方向(前後方向)に沿って間隔をあけて複数設けられており、支持板803を上下方向に貫通している。以下、便宜上、複数の第2固定穴803bのうち、最も前方に位置する第2固定穴803bを「第2固定穴803b1」と記し、第2固定穴803b1の後方に位置する第2固定穴803bを「第2固定穴803b2」と記す。
【0056】
図11、
図15に示すように、第3固定穴88bは、突出部88に設けられている。具体的には、第3固定穴88bは、スライド移動方向(前後方向)に沿って間隔をあけて複数設けられており、突出部88を上下方向に貫通している。第3固定穴88bの数、大きさ及び配置間隔は、第2固定穴803bの数、大きさ及び配置間隔と同じである。本実施形態では、第2固定穴803b及び第3固定穴88bの数は4つであるが、2つ又は3つ、或いは5つ以上としてもよい。以下、便宜上、複数の第3固定穴88bのうち、最も前方に位置する第3固定穴88bを「第3固定穴88b1」と記し、第3固定穴88b1の後方に位置する第3固定穴88bを「第3固定穴88b2」と記す。
【0057】
複数の第2固定穴803b及び複数の第3固定穴88bは、それぞれ支持板803のスライド移動に伴って第1固定穴16に対して選択的に重なることができる。具体的には、タンク8が装着状態にある第1位置にあるとき、複数の第2固定穴803bのうち最も前方に位置する第2固定穴803b1と、複数の第3固定穴88bのうち最も前方に位置する第3固定穴88b1とが第1固定穴16に重なる。タンク8が第1位置からスライド移動した第2位置にあるとき、複数の第2固定穴803bのうちの後方に位置する第2固定穴803b2の1つと、複数の第3固定穴88bのうちの後方に位置する第3固定穴88b2の1つとが第1固定穴16に重なる。
【0058】
図7、
図16、
図17に示すように、取付部材21は、ガイド部材16(第1ガイド部材16L、第2ガイド部材16R)の下部に固定されている。取付部材21は、上板21Uと、下板21Dと、縦板21Lとを有している。上板21Uは、ガイド部材16の下面の前部に固定されている。縦板21Lは、上板21Uの前端から下方に延びており、板面の表裏を前方と後方に向けて配置されている。縦板21Lには、L字状の係止溝21bが設けられている。係止溝21bは、上下方向に延びる縦溝部21b1と、縦溝部21b1の下端部から水平方向(縦溝部21b1と直角方向)に延びる横溝部21b2とを有している。下板21Dは、縦板21Lの下端部から後方に延びており、上板21Uと平行に配置されている。
【0059】
上板21Uは、当該上板21Uを上下方向に貫く貫通穴21aを有している。下板21Dは、当該下板21Dを上下方向に貫く貫通穴21cを有している。貫通穴21aの中心と貫通穴21cの中心と第1固定穴18の中心は、同一軸線上に設けられている。
挿入部材20は、挿入部20aと、係止部20bと、操作部20cと、を有している。挿入部20aは、円柱状に形成されており、上下方向に延びている。挿入部20aは、取付部材21に対して上下方向に移動可能且つ中心軸回りに回転可能に取り付けられている。
図17において、上端位置にある挿入部材20を実線で示し、下端位置にある挿入部材
20を仮想線で示している。
図16に示すように、挿入部20aは、上方に移動することによって、先端(上端)20dが上下方向に重なる複数の穴(貫通穴21a、第1固定穴18、第2固定穴803b、第3固定穴88b)に挿入され、下方に移動することによって当該複数の穴から離脱する。
【0060】
係止部20bは、挿入部20aの長さ方向(上下方向)の中途部を水平方向に貫通して設けられている。係止部20bは、挿入部材20と共に上下方向に移動可能であり、挿入部材20の中心軸回りに回転可能である。係止部20bの先端(前端)は、取付部材21の係止溝21bに挿入されている。係止部20bの先端は、挿入部材20が上端位置にあるときは係止溝21bの縦溝部21b1内に位置し(
図17の実線参照)、挿入部材20が下端位置にあるときは係止溝21bの横溝部21b2内に位置する(
図17の仮想線参照)。
【0061】
操作部20cは、挿入部20aの下端部から屈曲し、挿入部20aに対して略直角方向(前方)に延びている。
挿入部材20は、取付部材21に固定されたバネ等の付勢部材(図示略)によって上方向に付勢されている。そのため、挿入部材20は、付勢部材からの付勢力によって上方向へと移動しようとする。しかし、挿入部材20の上方向への移動は、係止部20bが係止溝21bに係止されることにより制限される。具体的には、係止部20bの先端が縦溝部21b1内に位置するときには、挿入部材20は縦溝部21b1内において上下方向に移動可能である。しかし、係止部20bの先端が横溝部21b2内に位置するときには、挿入部材20は上下方向に移動することができない。
【0062】
以下、保持機構17の作用について説明する。
図16、
図17の実線で示すように、タンク8が装着状態にあるとき、挿入部材20は上端位置にあり、係止部20bの先端は縦溝部21b1の上端に位置する。この装着状態では、挿入部材20の先端20dは、取付部材21の貫通穴21a、ガイド部材16の第1固定穴18、支持板803の第2固定穴803b、突出部88の第3固定穴88bに挿入されている。これにより、タンク8は、スライド移動ができない(従って、取り外し(離脱)ができない)装着状態となる。
【0063】
タンク8を装着部15から取り外す(離脱する)ときには、挿入部材20の操作部20cを把持して挿入部材20を付勢部材の付勢力に抗して押し下げる。挿入部材20の押し下げによって係止部20bが縦溝部21b1の下端に達した後、挿入部材20を軸回りに回転させることによって係止部20bを横溝部21b2内に嵌め入れる。これにより、挿入部材20は、上方向への移動が阻止され、下端位置に保持される。挿入部材20が下端位置にあるときには、挿入部材20の先端は、貫通穴21a、第1固定穴18、第2固定穴803b、第3固定穴88bから離脱しているため、タンク8を装着部15から取り外すことができる。
【0064】
次に、保持機構17により、タンク8を、装着状態にある第1位置と当該第1位置からスライド移動方向に移動した第2位置とに保持する場合について説明する。
タンク8を第1位置(
図3、
図6の実線の位置)に保持するときには、複数の第2固定穴803b及び第3固定穴88bのうち、最も前方に位置する第2固定穴803b1及び第3固定穴88b1を、取付部材21の貫通穴21aとガイド部材16の第1固定穴18に重ねる。そして、挿入部材20の先端を、第2固定穴803b1、第3固定穴88b1、貫通穴21a、第1固定穴18に挿入する。これにより、タンク8が第1位置に保持される。
【0065】
タンク8を第2位置(例えば、
図3、
図6の仮想線の位置)に保持するときには、複数の第2固定穴803b及び第3固定穴88bのうち、後方に位置する第2固定穴803b2及び第3固定穴88b2を、取付部材21の貫通穴21aとガイド部材16の第1固定穴18に重ねる。そして、挿入部材20の先端を、第2固定穴803b2、第3固定穴88b2、貫通穴21a、第1固定穴18に挿入する。これにより、タンク8が第1位置からスライド移動方向の一方側(前側)に移動した第2位置に保持される。
【0066】
尚、第2位置は、1つであってもよいし、複数であってもよい。つまり、タンク8を第
1位置以外の1つの位置のみで保持できるようにしてもよいし、第1位置以外の複数の位置で保持できるようにしてもよい。第2位置の数は、後方に位置する第2固定穴803b2及び第3固定穴88b2の数により設定できる。本実施形態の場合、第2固定穴803b2及び第3固定穴88b2は、夫々3つずつ設けられている。そのため、スライド移動方向に沿って3つの第2位置がある。つまり、保持機構17は、タンク8を第1位置以外に3つの第2位置で保持することができる。
【0067】
上述したように、保持機構17は、タンク8を、装着状態にある第1位置と当該第1位置からスライド移動方向に移動した第2位置とに保持することができる。そのため、タンク8を装着部15から少しだけ引き出した状態(第2位置に保持した状態)として、供給部83から散布物を出し入れすることが可能となり、散布物の出し入れの作業性が向上する。
【0068】
図2、
図4に示すように、機体2には、第1電装品36とは別の電装品13(以下、「第2電装品13」という)が装着されている。第2電装品13は、本体3の下方であって且つ回転翼5の下方に着脱可能に配置されている。第2電装品13は、例えばバッテリ等の取り外し頻度が高い電装品である。本実施形態の場合、第2電装品13は、回転翼5のロータ51に電力を供給するバッテリを含んでいる。
【0069】
第2電装品13は、第1ケース35とは別のケース14(以下、「第2ケース14」という)に収容されている。
図4〜
図6に示すように、第2ケース14は、下板14D、上板14U、左側板14L、右側板14R、前板14Fを有している。第2ケース14の後部は開放されており、当該後部は第2電装品13を出し入れするための開口部14aとなっている。また、図示しないが、開口部14aには、第2電装品13が第2ケース14から脱落することを防止するための部材(蓋、ストッパ等)が設けられる。尚、第2ケース14の形態は、
図4〜
図6に示す形態には限定されず、例えば、下板14D、上板14U、左側板14L、右側板14R、前板14Fのうちの1つ以上を省略することができる。例えば、第2ケース14は、少なくとも、第2電装品13を載置するための下板14Dと、後述する仕切り部12となる前板14Fと、を備えるものとしてもよい。
【0070】
図3、
図4、
図6に示すように、第2ケース14は、本体3の下方に設けられた取付部11に取り付けられている。第2ケース14(第2電装品13)は、本体3(第1ケース35)の下方であって且つタンク8の上方に設けられている。言い換えれば、上から順番に、本体3(第1ケース35)、第2ケース14(第2電装品13)、タンク8が上下方向に重なって配置されている。本体3(第1ケース35)と第2ケース14との間、及び、第2ケース14とタンク8との間には、空間(隙間)が形成されている。そのため、マルチコプター1の飛行時において、本体3と第2ケース14との間、及び、第2ケース14とタンク8との間に空気を流通させることができる。つまり、第2ケース14の上方と下方に空気を流通させることができる。これにより、第2ケース14に収容された第2電装品13を効率よく冷却することができる。
【0071】
取付部11は、第1取付部11Lと第2取付部11Rとを有している。第1取付部11Lは、本体3の第3縁部33側(左側)に設けられ、一方脚部6Lの第1脚部6L1と第2脚部6L2とを連結している。第2取付部11Rは、本体3の第4縁部34側(右側)に設けられ、他方脚部6Rの第1脚部6R1と第2脚部6R2とを連結している。
図4〜
図7に示すように、ガイド部材(連結部材)16は、取付部11の下方に設けられている。具体的には、第1ガイド部材(第1連結部材)16Lは、第1取付部11Lの下方であって且つ第1取付部11Lよりも幅方向外方(左方)に設けられている。第2ガイド部材(第2連結部材)16Rは、第2取付部11Rの下方であって且つ第2取付部11Rよりも幅方向外方(右方)に設けられている。
【0072】
図3、
図5、
図7に示すように、第2ケース14の下板14
Dには、第3縁部33側(左側)と第4縁部34側(右側)に夫々延びる板状の延出部14bが設けられている。第2ケース14は、延出部14bが取付部11にボルトB2で固定されることにより、取付部11に対して取り付けられる。
尚、図示しないが、取付部11は、第2ケース14を選択的に複数の位置に取り付け可
能な構成とすることが好ましい。当該構成としては、例えば、取付部11の長さ(前後方向長さ)を延出部14bの長さ(前後方向長さ)よりも充分に長くして、取付部11の長さ方向に沿って設けるボルトB2の締結穴の数を増やすなどの構成を採用できる。この場合、第2ケース14の取り付け位置を変更したい場合は、第2ケース14の位置を取付部11の長さ方向に沿って移動させた上で、移動前にボルトが締結されていた締結穴とは別の締結穴にボルトを締結することによって、延出部14bを取付部11に固定する。これにより、第2ケース14の取付部11に対する取り付け位置を変更することができる。
【0073】
第2電装品13は、第2ケース14の開口部14aから出し入れすることにより、本体3の下方においてマルチコプター1に対して着脱される。第2ケース14は、本体3を構成する第1ケース35とは別に設けられているため、第2電装品13を本体3に収容された第1電装品36とは独立して着脱することができる。そのため、例えば、第2電装品13がバッテリである場合は、本体3の第1ケース35を開放せずとも、バッテリの交換や充電等の作業を行うことができる。これにより、本体3を開放することによる第1電装品36への悪影響を回避することができる。
【0074】
また、第2電装品13の上方に本体3が配置され、第2電装品13の下方に作業装置7が配置されることにより、飛行中に第2電装品13を異物(例えば、散布された散布物等)との接触から保護することができる。
図4に示すように、開口部14aは、前後方向において容器81の供給部83と反対側(後側)に設けられている。これにより、供給部83から容器81内に散布物を供給するときに、当該散布物が開口部14aから第2ケース14内に侵入して第2電装品13に悪影響を及ぼすことが防がれる。
【0075】
図4〜
図6に示すように、第2電装品13と供給部83との間は、仕切り部12により仕切られている。仕切り部12は、供給部83と第2電装品13との間を仕切ることにより、供給部83から容器81内に散布物を供給するときに、当該散布物が第2電装品13に接触することを防ぐ。特に、散布物が薬剤である場合、薬剤を供給部83から容器81内に供給するときに、薬剤が第2電装品13に接触することを防止できる。また、第2電装品13がバッテリである場合、バッテリ交換時等に、バッテリが薬剤と接触することを防止できる。
【0076】
本実施形態の場合、仕切り部12は第2ケース14の前板14Fである。つまり、第2ケース14の一部(前板14F)が仕切り部12を構成している。但し、仕切り部12は、第2ケース14の一部でなくともよい。例えば、仕切り部12を1枚の板材として、一方脚部6Lの第1脚部6L1と、他方脚部6Rの第1脚部6R1とに掛け渡して固定する等の構成を採用することもできる。
【0077】
図3に示すように、第2ケース14の一側部(右部)には、ポンプ10が配置されている。ポンプ10は、第2ケース14の右側板14Rに固定されている。ポンプ10の吸込口は、ホースを介して容器81の取出口87に接続される。ポンプ10の吐出口は、ホースを介してノズル(図示略)に接続される。ポンプ10の駆動によって、容器81に収容された散布物をノズルから農場等に向けて散布することができる。
【0078】
本実施形態の場合、ポンプ10を、第2電装品13と同様に、本体3の下方であって且つ回転翼5の下方に配置しているが、第2電装品13の下方に配置してもよい。
<第二実施形態>
図18〜
図29は、マルチコプター1の別の実施形態(第二実施形態)を示す。
以下、第二実施形態のマルチコプター1について、上述した実施形態(第一実施形態)と異なる構成を中心に説明し、第一実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0079】
マルチコプター1は、機体2と、作業装置7とを備えている。機体2は、本体3と、アーム4と、回転翼5と、スキッド(脚)6、装着部15を有している。第二実施形態のマルチコプター1の構成のうち、アーム4及び回転翼5の構成は、第一実施形態と同様であるため説明を省略する。以下、本体3、スキッド6、作業装置7、装着部15の構成について、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0080】
図19に示すように、本体3は、第1縁部31と、第2縁部32と、第3縁部33と、第4縁部34とを有している。第1縁部31、第2縁部32、第3縁部33、第4縁部34の位置関係(方向)については、第一実施形態と同様である。
図20に示すように、本体3は、第1ケース35と第1電装品36とを有している。第1電装品36は、第一実施形態と同様に、マルチコプター1の飛行に関する制御を行う電装品であって、第1ケース35の内部空間に収容されている。第1ケース35の上部には、第2ケース14が設けられている。第2ケース14には、少なくともバッテリを含む第2電装品13が収容されている。但し、第二実施形態において、第2ケース14を省略して、第1ケース35に第1電装品36と第2電装品13の両方を収容してもよい。
【0081】
図18〜
図21に示すように、スキッド6は、本体3の第3縁部33側(左側)に設けられた一方脚部6Lと、第4縁部34側(右側)に設けられた他方脚部6Rと、を有している。
図19〜
図21に示すように、一方脚部6Lは、第1脚部6L1と第2脚部6L2とを有している。第1脚部6L1は、第1縁部31側(前側)に配置されて本体3から下方に延びている。第2脚部6L2は、第2縁部32側(後側)に配置されて本体3から下方に延びている。第1脚部6L1の上端部及び第2脚部6L2の上端部は、第2縁部32側(右側)に向けて屈曲している。
【0082】
他方脚部6Rは、第1脚部6R1と第2脚部6R2とを有している。第1脚部6R1は、第1縁部31側(前側)に配置されて本体3から下方に延びている。第2脚部6R2は、第2縁部32側(後側)に配置されて本体3から下方に延びている。第1脚部6R1の上端部及び第2脚部6R2の上端部は、第1縁部31側(左側)に向けて屈曲している。
第1脚部6L1と第1脚部6R1とは、連絡部613を介して繋がっている。詳しくは、連絡部613は、本体3の下面の前部に固定されて幅方向に延びており、第1脚部6L1の上端部と第1脚部6R1の上端部とを連結している。第1脚部6L1と第1脚部6R1と連絡部613とは、金属パイプ等より一体に形成されている。
【0083】
第2脚部6L2と第2脚部6R2とは、連絡部623を介して繋がっている。詳しくは、連絡部623は、本体3の下面の後部に固定されて幅方向に延びており、第2脚部6L2の上端部と第2脚部6R2の上端部とを連結している。第2脚部6L2と第2脚部6R3と連絡部623とは、金属パイプ等より一体に形成されている。
第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2は、本体3に対して着脱可能に固定されている。具体的には、第1脚部6L1,6R1の連絡部613及び第2脚部6L2,6R2の連絡部623が、ボルト等により本体3の下部に着脱可能に取り付けられている。そのため、第1脚部6L1,6R1及び第2脚部6L2,6R2を、装着部15及び作業装置7と共に、本体3に対して着脱することができる。これにより、マルチコプター1の用途に応じて、第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2と共に装着部15及び作業装置7を、本体3から取り外して交換することができる。これによって、マルチコプター1の使用用途が広がるため、使用用途に応じて複数のマルチコプターを用意する必要がなくなる。
【0084】
図20に示すように、一方脚部6Lと他方脚部6Rは、本体3から離れる方向(下方)に向かうにつれて互いの距離が次第に広がるように傾斜している。また、
図19、
図21に示すように、第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2も、本体3から離れる方向(下方)に向かうにつれて互いの距離が次第に広がるように傾斜している。
一方脚部6Lは、架設部材6L4を有している。他方脚部6Rは、架設部材6R4を有している。
図19、
図21に示すように、架設部材6L4は、第1脚部6L1と第2脚部6L2との間に架設されており、第1脚部6L1の上下方向の中途部と第2脚部6L2の上下方向の中途部とを連結している。架設部材6R4は、第1脚部6R1と第2脚部6R2との間に架設されており、第1脚部6R1の上下方向の中途部と第2脚部6R2の上下方向の中途部とを連結している。
【0085】
図18、
図20、
図21に示すように、本体3の下方には装着部15が設けられている。装着部15は、作業装置7を一方脚部6Lと他方脚部6Rとの間で着脱可能に支持する
。
作業装置7は、農業に関する作業を行う装置である。本実施形態(第二実施形態)の場合、第一実施形態と同様に、作業装置7は散布装置であって、散布物を収容するタンク8を有している。
【0086】
図20、
図21、
図27に示すように、作業装置7が装着される装着部15は、連結部材30を有している。連結部材30は、作業装置7を着脱可能に支持する。本実施形態の場合、連結部材30は、タンク8を着脱可能に支持している。
連結部材30は、架設部材6L4,6R4の上方において、第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2とを連結している。連結部材30は、第1連結部材301と第2連結部材302とを有している。
【0087】
第1連結部材301は、第3縁部33側(左側)において、作業装置7を支持し且つ第1脚部6L1と第2脚部6L2とを連結している。第2連結部材302は、第4縁部34側(右側)において、作業装置7を支持し且つ第1脚部6R1と第2脚部6R2とを連結している。
第1連結部材301は、前後方向に延設されており、第1脚部6L1の上端部と第2脚部6L2の上端部とを連結している。第2連結部材302は、前後方向に延設されており、第1脚部6R1の上端部と第2脚部6R2の上端部とを連結している。第1連結部材301と第2連結部材302とは、幅方向に間隔をあけて平行に配置されている。
【0088】
図20、
図27に示すように、第1連結部材301及び第2連結部材302は、断面L字状に形成されており、水平部303と垂直部304とを有している。水平部303は、前後方向に延設されており、マルチコプター1の着地時において、地面に対して平行(水平)となる。垂直部304は、水平部303の幅方向外方から直角に立ち上がっており、溶接等によりスキッド6に固定されている。具体的には、第1連結部材301の垂直部304は、第1脚部6L1の上端部の下面と第2脚部6L2の上端部の下面に固定されている。第2連結部材302の垂直部304は、第1脚部6R1の上端部の下面と第2脚部6R2の上端部の下面に固定されている。
【0089】
水平部303は、作業装置7(具体的には、後述するタンク8の支持部80)を、延設方向に沿ってスライド移動可能に支持する。垂直部304は、作業装置7の幅方向外方への移動を規制する。
これにより、作業装置7は、連結部材30の延設方向(前後方向)にスライド移動可能に支持される。作業装置7を連結部材30の延設方向(前後方向)にスライド移動させることにより、作業装置7を装着部15に対して着脱することができる。
【0090】
以下、第二実施形態においても、作業装置7を装着部15に着脱するときの作業装置7の移動方向(前後方向)を「スライド移動方向」という。また、作業装置7を装着部15に装着した状態(
図20、
図21の実線参照)を「装着状態」という。
図27に示すように、水平部303及び垂直部304は、それぞれ複数の貫通穴303a,304aを有している。複数の貫通穴303a,304aは、スライド移動方向(前後方向)に間隔をあけて設けられている。貫通穴303a,304aは、装着状態において、作業装置7を固定(位置決め)するために用いることができる。具体的には、装着状態において、作業装置7の前方と後方において、貫通穴303a,304aにピンや棒等を差し込むことにより、作業装置7のスライド移動方向(前後方向)への移動を阻止することができる。
【0091】
上述したように、連結部材30は、作業装置7を支持する機能と、第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2とを連結する機能とを併せ持っている。これにより、連結部材30によって、作業装置7を支持しながら第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2とを連結してスキッド6を補強することができる。そのため、作業装置7を支持する部材と、第1脚部6L1,6R1と第2脚部6L2,6R2とを連結する部材とを別々に設ける必要がなく、部品点数の削減及び軽量化を達成することができる。
【0092】
図22〜
図26に示すように、タンク8は、容器81と、蓋体82と、支持部80と、を有している。
図20、
図21等に示すように、タンク8は、本体3の下方に設けられた装着部15に装着される。タンク8は、装着部15に対して着脱可能である。
図19、
図21において、タンク8の装着状態を実線で示し、タンク8を装着部16から離脱させる方向(矢印Aで示す)にスライド移動させた状態を仮想線で示している。以下の説明において、タンク8に関する方向については、装着状態を基準とする。
【0093】
先ず、タンク8の容器81及び蓋体82について説明する。
容器81は、農場に散布される散布物が収容される内部空間を形成している。散布物は、例えば、肥料、水、農薬等である。容器81は、当該容器81の上面に、散布物を内部空間に供給するための供給部83を有している。供給部83は、容器81の上面から円筒状に突出する筒状部84を有している。蓋体82は、筒状部84に対してネジ等により着脱可能に装着される。
図18〜
図21、
図24、
図25では、蓋体82を外した状態を示している。
【0094】
図20、
図24、
図25に示すように、筒状部84は、散布物を内部空間に供給する際の入口となる供給口85を形成している。供給口85の大きさ(直径)は、人手が挿入可能な大きさ(例えば、直径100〜150mm程度)に設定される。
図19及び
図21の実線に示すように、装着状態において、供給部83は、容器81の前側(第1縁部31側)に位置し、上面視にて本体3と重ならない位置(本体3の前方位置)にある。また、
図21の実線に示すように、装着状態において、筒状部84は、上方に向かうにつれてスライド移動方向の一端側(本体3から離れる側)である前方に移行するように傾斜している。これにより、散布物を供給部83から容器81内に供給する作業や、供給口85から手を入れて容器81内を清掃する作業などを容易に行うことが可能となる。
【0095】
容器81は、当該容器81に収容された散布物を受ける受け面を有している。当該受け面は、容器81に収容された散布物が接する面(内面)であり、容器の内側の側面及び内側の底面を構成している。容器81の受け面の外側の面(以下、「外面」という)は、受け面(内面)と対応する形状(受け面の外側において当該受け面に沿う形状)となっている。
【0096】
以下、容器81の形状について、図面に現れた外面の形状を参照しながら説明する。容器81の受け面の形状は、図面には表れていないが、外面の形状と対応している。尚、容器81と本体3との位置関係の理解を助けるために、
図23、
図24において、第1縁部31側(前側)を矢印310、第2縁部32側(後側)を矢印320、第3縁部33側(左側)を矢印330、第4縁部34側(右側)を矢印340で示す。
【0097】
図23、
図24に示すように、容器81は、第1傾斜面811と、第2傾斜面812と、第3傾斜面813と、第4傾斜面814と、底面815と、有している。
第1傾斜面811は、第3縁部33側(左側)から第4縁部34側(右側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。第2傾斜面812は、第4縁部34側(右側)から第3縁部33側(左側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。第3傾斜面813は、第1縁部31側(前側)から第2縁部32側(後側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。第4傾斜面814は、第2縁部32側(後側)から第1縁部31側(前側)に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。
【0098】
底面815は、第1傾斜面811の下端部と、第2傾斜面812の下端部と、第3傾斜面813の下端部と、第4傾斜面814の下端部とを接続している。底面815は、第1面815aと第2面815bとを有している。第1面815aは、容器81の最下面を構成する平坦面(水平面)であって、底面815の中央に位置している。第2面815bは、第1面815aの周囲に設けられた平坦面(水平面)であって、第1面815aより上方に位置している。第2面815bは、第1面815aと、4つの傾斜面(第1傾斜面811、第2傾斜面812、第3傾斜面813、第4傾斜面814)とを接続している。
【0099】
図25に示すように、容器81は、第1縁部31側(前側)と第2縁部32側(後側)とを繋ぐ直線の方向(スライド移動方向)の長さ(前後方向長さ)L1が、第3縁部33側(左側)と第4縁部34側(右側)とを繋ぐ方向(スライド移動方向と直交する方向)
の長さ(幅方向長さ)L2よりも長く形成されている。
以下、支持部80について説明する。
【0100】
図20、
図21に示すように、支持部80は、容器81を本体3から下方に離間させて装着部15に支持する。
図20、
図22、
図24等に示すように、支持部80は、第1支持部80Lと、第2支持部80Rとを含む。第1支持部80Lは、容器81の一方側(第3縁部33側(左側))に取り付けられている。第2支持部80Rは、容器81の一方側と反対側(第4縁部34側(右側))に取り付けられている。第1支持部80Lは、装着部15の第1連結部材301に支持される。第2支持部80Rは、装着部15の第2連結部材302に支持される。
【0101】
図22、
図23、
図25等に示すように、支持部80(第1支持部80L、第2支持部80R)は、第1部位801と第2部位802とを有している。
第1部位801は、容器81から離れる方向に延びている。具体的には、第1部位801は、容器81の供給部83側である上方(装着状態において本体3に向かう方向)に延びている。第1支持部80Lの第1部位801は、容器81から上方に延びた後、容器81の一方側(第3縁部33側(左側))に向けて屈曲している。第2支持部80Rの第1部位801は、容器81から上方に延びた後、容器81の他方側(第4縁部34側(右側))に向けて屈曲している。つまり、第1支持部80Lの第1部位801と、第2支持部80Rの第1部位801とは、容器81から上方に延びた後、互いに反対側(幅方向外方)に向けて屈曲している。第1部位801は、スライド移動方向の一方側(前側)に設けられた前部位804と、他方側(後側)に設けられた後部位805とを有している。
【0102】
第2部位802は、第1部位801に接続されている。具体的には、第2部位802は、前部位804の上端部と後部位805の上端部とを接続している。第1支持部80Lの第2部位802と、第2支持部80Rの第2部位802とは、幅方向に間隔をあけて平行に設けられている。
図20、
図21、
図27に示すように、第2部位802は、装着部15に装着可能である。第2部位802を装着部15に装着することによって、タンク8が装着部15に装着された状態(装着状態)となる。装着状態において、第2部位802は、スライド移動方向(前後方向)に延びる。
【0103】
図20、
図21、
図27に示すように、装着状態において、第1支持部80Lの第2部位802は、第1連結部材301の水平部303上に載置される。第2支持部80Rの第2部位802は、第2連結部材302の水平部303上に載置される。これにより、第1支持部80L及び第2支持部80Rは、連結部材30の延設方向(前後方向)にスライド移動可能に支持される。これにより、タンク8が装着部15に対してスライド移動可能となる。また、タンク8を装着部15に対してスライド移動させて、支持部80を連結部材30から離脱させることにより、タンク8を装着部15から離脱させることができる。
【0104】
図20に示すように、装着状態において、第1部位801は装着部15に支持され、第2部位802は装着部15から下方に延びるため、容器81は装着部15に吊り下げられた状態で支持される。言い換えれば、容器81は、本体3から下方に離間された状態で支持される。
図28に示すように、支持部80は、タンク8を装着部15から離脱した状態(タンク離脱状態)において、容器81を地面Gから離間させて支持可能である。この容器81を地面から離間させて支持した状態(以下、「地面支持状態」という)において、第2部位802は地面Gに当接し、第1部位801は地面Gから上方に延びる。
【0105】
地面支持状態において、供給部83は下方を向く。つまり、第二実施形態においては、容器81の上下方向の向きが、装着状態と地面支持状態とで反対の向きとなる。これにより、地面支持状態において、容器81内の残留物(散布物の残りや、容器内部を洗浄した後の残留水など)を、供給部83から地面に向けて落下させて排出することができる。
上述したように、第二実施形態におけるタンク8の支持部80は、容器81を地面から離間させて装着部15に支持する機能(第1機能)と、容器81を地面から離間させて地面に支持する機能(第2機能)とを併せ持っている。そのため、第1機能を達成するため
の部材と、第2機能を達成するための部材とを別々に設ける必要がなく、部品点数の削減及びタンク8の軽量化を達成することができる。また、タンク8の支持部80は、タンク8をスライド移動させる際の持ち手や、装着部15から離脱させたタンク8を運搬する際の持ち手としても機能する。
【0106】
図29は、タンク8の支持部80の変更例を示している。
この変更例の支持部80は、第1部位801の基端部(第2部位802と反対側の端部)が、容器81の側面に回動可能に取り付けられている。別の言い方をすれば、第1部位801の基端部が、支持部80を上下方向に回動可能とする回動支点81aとして容器81の側面に取り付けられている。
【0107】
これにより、支持部80は、第1の向き(
図29に仮想線で示す)と第2の向き(
図29に実線で示す)とに変更可能となっている。第1の向きは、第1部位801が供給部83側である上方に向けて延び、第2部位802が供給部83よりも上方に位置する向きである。第2の向きは、第1部位801が供給部83側と反対側である下方に向けて延び、第2部位802が供給部83よりも下方に位置する向きである。
【0108】
この変更例によれば、支持部80を第1の向きとすることにより、容器81を装着部15に対して吊り下げた状態で装着することができる。また、支持部80を第2の向きとすることにより、タンク離脱状態において、供給部83を上方に向けた状態で、容器81を地面から離間させて地面に支持することができる。さらに、支持部80を第1の向きとすることにより、タンク離脱状態において、供給部83を下方に向けた状態で、容器81を地面から離間させて地面に支持することができる。
【0109】
また、図示しないが、第1の向きの支持部80と第2の向きの支持部80の両方を設ける構成を採用することもできる。
図21に示すように、第1ケース35の下方には、ポンプ10が取り付けられている。ポンプ10の吸込口は、ホースを介して容器81の取出口(図示略)に接続される。ポンプ10の吐出口は、ホースを介してノズル(図示略)に接続される。ポンプ10の駆動によって、容器81に収容された散布物をノズルから農場等に向けて散布することができる。
【0110】
尚、上述した実施形態では、装着部15に作業装置7を装着しているが、作業装置7とは異なる農業用運搬物を装着することもできる。
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。