(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
濃度検出部は、パージ制御弁が開状態のときの前記ポンプの回転数と圧力計の検出値とに対応するガス濃度が規定された第1テーブルと、パージ制御弁が閉状態のときの前記ポンプの回転数と圧力計の検出値とに対応するガス濃度が規定された第2テーブルと、を記憶している記憶部を含んでおり、
パージ制御弁のデューティ比が所定値以上のときは第1テーブルに基づいてパージガスの濃度を決定し、パージ制御弁のデューティ比が所定値未満のときは第2テーブルに基づいてパージガスの濃度を決定する請求項2に記載の蒸発燃料処理装置。
燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着しているキャニスタから内燃機関の吸気管にパージガスを送る蒸発燃料処理装置において、吸気管に送られるパージガスの濃度検出方法であって、
蒸発燃料処理装置は、内燃機関の吸気管とキャニスタとの間に接続されているパージ通路と、吸気管へのパージガスの供給量をデューティ比によって制御するパージ制御弁と、パージガスをキャニスタから吸気管に送り出すポンプと、パージ通路内のパージガスの濃度を検出する濃度検出部と、を備えており、
パージ制御弁のデューティ比が所定値以上か否かを判断し、判断されたデューティ比に基づいてパージガスの濃度を検出するタイミングを変化させ、
デューティ比が所定値以上のときは、前記ポンプを駆動した状態で、パージ制御弁が開状態のときのパージガスの濃度を検出し、パージ期間中のパージガス濃度とし、
デューティ比が所定値未満のときは、前記ポンプを駆動した状態で、パージ制御弁が閉状態のときのパージガスの濃度を検出し、パージ期間中のパージガス濃度とする、パージガスの濃度検出方法。
制御装置は、パージ制御弁が開状態のときの前記ポンプの回転数と圧力計の検出値とに対応するガス濃度が規定された第1テーブルと、パージ制御弁が閉状態のときの前記ポンプの回転数と圧力計の検出値とに対応するガス濃度が規定された第2テーブルと、を記憶している記憶部を含んでおり、
パージ制御弁のデューティ比が所定値以上のときは第1テーブルに基づいてパージガスの濃度を決定し、パージ制御弁のデューティ比が所定値未満のときは第2テーブルに基づいてパージガスの濃度を決定する請求項5に記載の制御装置。
【実施例】
【0013】
(第1実施例)
図1及び
図2を参照し、蒸発燃料処理装置20を備える燃料供給システム6について説明する。
図1に示すように、燃料供給システム6は、燃料タンク14内に貯留されている燃料をエンジン2に供給するためのメイン燃料供給装置10と、燃料タンク14内で発生した蒸発燃料をエンジン2に供給するための蒸発燃料処理装置20を備えている。
【0014】
メイン燃料供給装置10には、燃料ポンプユニット16と、供給管12と、インジェクタ4が設けられている。燃料ポンプユニット16は、燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ、制御回路等を備えている。燃料ポンプユニット16は、ECU100内の制御部102から供給される信号に応じて燃料ポンプを制御する。燃料ポンプは、燃料タンク14内の燃料を昇圧して吐出する。燃料ポンプから吐出される燃料は、プレッシャレギュレータで調圧され、燃料ポンプユニット16から供給管12に供給される。供給管12は、燃料ポンプユニット16とインジェクタ4に接続されている。供給管12に供給された燃料は、供給管12を通過してインジェクタ4に達する。インジェクタ4は、ECU100によって開度がコントロールされる弁(図示省略)を有している。インジェクタ4の弁が開かれると、供給管12内の燃料が、エンジン2に接続されている吸気管34に供給される。
【0015】
なお、吸気管34は、エアクリーナ30に接続されている。エアクリーナ30は、吸気管34に流入する空気の異物を除去するフィルタを備えている。吸気管34内に、スロットルバルブ32が設けられている。スロットルバルブ32が開くと、エアクリーナ30からエンジン2に向けて吸気が行われる。スロットルバルブ32は、吸気管34の開度を調整し、エンジン2に流入する空気量を調整する。スロットルバルブ32は、インジェクタ4より上流側(エアクリーナ30側)に設けられている。スロットルバルブ32は、ECU100によって制御される。なお、エアクリーナ30とスロットルバルブ32の間に、エアフロメータ(図示省略)を配置し、吸気管34に流入する空気量を検出することもできる。
【0016】
蒸発燃料処理装置20は、パージ通路22と、キャニスタ19と、ポンプ52と、パージ制御弁26と、圧力計24(第1圧力計24aと第2圧力計24b)を備えている。パージ通路22は、インジェクタ4とスロットルバルブ32の間で、吸気管34に接続されている。パージ通路22は、キャニスタ19から吸気管34に移動するパージガスが通過する。キャニスタ19と燃料タンク14は、連通管18によって接続されている。キャニスタ19は、燃料タンク14内で発生した蒸発燃料を吸着する。ポンプ52は、キャニスタ19に吸着された蒸発燃料を含むパージガスを、吸気管34に送り出す。パージ制御弁26は、ECU100(制御部102)によって制御される電磁弁であり、パージガスを供給する供給状態とパージガスを供給しない遮断状態に切替わる。なお、パージ制御弁26は、ECU100によってデューティ制御される弁であり、供給状態において、開閉のタイミング(開状態と閉状態の切替えタイミング)を制御することにより、吸気管34に送り出すパージガスの流量を調整する。蒸発燃料処理装置20では、圧力計24の検出値に基づき、記憶部(メモリ)104に記憶されている情報を利用して、パージガスの濃度を検出する。記憶部104に記憶されている情報については後述する。
【0017】
図2に示すように、キャニスタ19は、大気ポート19a,パージポート19b及びタンクポート19cを備えている。大気ポート19aは、連通管17を介して、エアフィルタ15に接続されている。パージポート19bは、パージ通路22に接続されている。タンクポート19cは、連通管18を介して、燃料タンク14に接続されている。キャニスタ19内に、活性炭19dが収容されている。活性炭19dに面するキャニスタ19の壁面のうちの、1つの壁面にポート19a,19b及び19cが設けられている。活性炭19dと、ポート19a,19b及び19cが設けられているキャニスタ19の内壁との間には、空間が存在する。ポート19a,19b及び19cが設けられている側のキャニスタ19の内壁に、第1仕切板19eと第2仕切板19fが固定されている。第1仕切板19eは、大気ポート19aとパージポート19bの間において、活性炭19dとキャニスタ19の内壁の間の空間を分離している。第1仕切板19eは、ポート19a,19b及び19cが設けられている側と反対側の空間まで伸びている。第2仕切板19fは、パージポート19bとタンクポート19cの間において、活性炭19dとキャニスタ19の内壁の間の空間を分離している。
【0018】
活性炭19dは、燃料タンク14から連通管18,タンクポート19cを通じてキャニスタ19の内部に流入する気体から蒸発燃料を吸着する。蒸発燃料が吸着された後の気体は、大気ポート19a,連通管17及びエアフィルタ15を通過して大気に放出される。キャニスタ19は、燃料タンク14内の蒸発燃料が大気に放出されることを防止することができる。活性炭19dで吸着された蒸発燃料は、パージポート19bよりパージ通路22に供給される。第1仕切板19eは、大気ポート19aが接続されている空間と、パージポート19bが接続されている空間を分離している。第1仕切板19eは、蒸発燃料を含んだ気体が大気に放出されることを防止している。第2仕切板19fは、パージポート19bが接続されている空間と、タンクポート19cが接続されている空間を分離している。第2仕切板19fは、タンクポート19cからキャニスタ19に流入する気体が直接パージ通路22に移動することを防止している。
【0019】
パージ通路22は、キャニスタ19と吸気管34を接続している。パージ通路22上には、ポンプ52とパージ制御弁26と圧力計24が設けられている。ポンプ52は、キャニスタ19とパージ制御弁26の間に配置されており、吸気管34に蒸発燃料(パージガス)を圧送する。なお、エンジン2が駆動している場合、吸気管34内は負圧である。そのため、キャニスタ19に吸着された蒸発燃料は、吸気管34とキャニスタ19の圧力差によって吸気管34に導入することもできる。しかしながら、パージ通路22にポンプ52を配置することにより、吸気管34内の圧力がパージガスを引き込むために十分でない圧力の場合(過給時の正圧、あるいは、負圧であるがその圧力の絶対値が小さい)であっても、キャニスタ19に吸着された蒸発燃料を吸気管34に供給することができる。また、ポンプ52を配置することにより、吸気管34に所望量の蒸発燃料を供給することができる。ポンプ52は、ECU100(制御部102)によって制御される。なお、吸気管34内が負圧の場合、ポンプ52を駆動しなくても、パージガスを吸気管34に導入することができる。詳細は後述するが、蒸発燃料処理装置20では、パージガスの濃度を検出するときは、吸気管34内の圧力に係らずポンプ52を駆動する。
【0020】
圧力計24は、ポンプ52の上流と下流に設けられている。具体的には、第1圧力計24aがパージ制御弁26とポンプ52の間(ポンプ52の下流)に配置されており、第2圧力計24bがポンプ52とキャニスタ19の間(ポンプ52の上流)に配置されている。第1圧力計24aと第2圧力計24bでパージ通路22内の圧力を検出することにより、ポンプ52の上流と下流の差圧を算出することができる。圧力計24の検出値は、パージ通路22内の気体密度が高くなるに従って大きくなる。蒸発燃料処理装置20では、圧力計24の検出値に基づいて、パージガスの濃度を検出する。圧力計24の検出値は、ECU100(制御部102)に入力される。なお、
図3に示す蒸発燃料処理装置20aのように、ポンプ52の上流に配置する第2圧力計24bを、エアフィルタ15とキャニスタ19の間(連通管17上)に配置してもよい。この場合も、ポンプ52の上流と下流に圧力計24が設けられる。あるいは、
図4に示す蒸発燃料処理装置20bのように、ポンプ52の上流に圧力計を設けず、ポンプ52の下流(ポンプ52とパージ制御弁26の間)にのみ圧力計24(第1圧力計24a)を設けてもよい。
【0021】
ECU100は、蒸発燃料処理装置20を制御する制御部102を備えている。制御部102は、ECU100の他の部分(例えばエンジン2を制御する部分)と一体的に配置されている。なお、制御部102は、ECU100の他の部分と別に配置されていてもよい。すなわち、制御部102は、ECU100から独立した制御装置であってよい。制御部102は、CPUとROM,RAM等の記憶部(メモリ)104を含む。記憶部104には、圧力計24の検出値及びポンプ52の回転数に対応するパージガス濃度が記述されたテーブルが記憶されている。制御部102は、記憶部104に予め格納されているプログラムに応じて、蒸発燃料処理装置20を制御する。具体的には、制御部102は、ポンプ52に信号を出力し、ポンプ52のオン・オフ、ポンプ52の回転数を制御する。また、制御部102は、パージ制御弁26に信号を出力し、デューティ制御を実行する。制御部102は、パージ制御弁26に出力する信号のデューティ比を調整することによって、パージ制御弁26の開弁時間を調整する。また、制御部102は、圧力計24の検出値に基づいて、記憶部104に記憶されているテーブル(圧力計24の検出値及びポンプ52の回転数に対応するパージガス濃度が記述されたテーブル)を参照し、パージガス濃度を決定する。
【0022】
蒸発燃料処理装置20では、パージ実行中(吸気管34へのパージガスの供給中)は、吸気管34へのパージガス供給量を調整するために、デューティ比に基づいて、パージ制御弁26の開閉が繰り返される。蒸発燃料処理装置20では、デューティ比に基づいて、パージガス濃度を検出するタイミングを変化させる。具体的には、デューティ比が所定値(例えば、50%)未満の場合、パージ制御弁26が閉状態のときのパージガス濃度を検出する。一方、デューティ比が所定値の場合、パージ制御弁26が開状態のときのパージガス濃度を検出する。
【0023】
図5及び
図6を参照し、パージガス濃度の検出方法について説明する。
図6は、タイミングt1でパージガスの供給を開始し、タイミングt14でパージガスの供給を停止するまでの、パージ制御弁26の動作、圧力計24の検出値、パージガス濃度を示している。なお、
図6は、パージガスを供給している途中(タイミングt8−t9間)で、デューティ比が所定値α未満から所定値α以上に変化する例を示している。なお、
図6は、パージガスの濃度が除々に高くなる例について示している。この現象は、パージガス濃度を検出したことに起因するものではない。すなわち、以下に説明するパージガス濃度の検出が、パージガスの濃度変化に影響を与えるものではない。
【0024】
図5に示すように、まず、パージ実行フラグ(パージガスを供給するフラグ)がオンしているか否かを判断する(ステップS2)。蒸発燃料処理装置20では、パージガスを吸気管34に供給しているときに濃度検出を行う。そのため、パージ実行フラグがオンしていない(パージガスを供給しない)場合は、パージガスの濃度検出を行わない(ステップS2:NO)。パージ実行フラグがオンしている場合(ステップS2:YES)、ポンプ52を所定回転数で駆動し(ステップS4)、所定のデューティ比でパージ制御弁26を制御し、パージを開始する(タイミングt1)。ポンプ52の駆動、パージ制御弁26の制御は、ECU100の制御部102によって実行される(
図1、2も参照)。なお、パージ実行フラグをオフからオンに切替わったときは、前回のパージ実行中に測定したパージガス濃度(
図6に破線で示している)に基づいて、ポンプ52の回転数,パージ制御弁26のデューティ比を調整する。
【0025】
パージ制御弁26は、制御部102のデューティ制御に基づいて、開状態(タイミングt1−t2,t3−t4等)と閉状態(タイミングt2−t3,t4−t5等)に切替わる。なお、デューティ比とは、パージ制御弁26が開状態に切替わった時から、パージ制御弁26が閉状態に切替わり、次に開状態に切替わる時まで(例えばタイミングt1―t3)を1サイクルとしたときに、1サイクル中に占めるパージ制御弁26が開状態に維持されている時間(タイミングt1―t2)の割合のことである。デューティ比が小さい程、パージ制御弁26が開状態に維持されている時間が短い。本検出方法では、デューティ比が所定値α以上か否かによって、パージガス濃度を検出するタイミングを変える。なお、所定値αは、40〜60%の間であってよく、本実施例では50%である。
【0026】
デューティ比が所定値α未満の場合(ステップS6:NO,タイミングt1−t8)、パージ制御弁26が閉状態のとき(ステップS20:YES,タイミングt2−t3,t4−t5,t6−t7)の圧力(第1圧力計24aと第2圧力計24bの差圧)を検出し、記録する(ステップS22)。なお、圧力(差圧)は、ピーク値(最大値)の値を検出・記録する。次に、記録した圧力に基づいて、第2テーブル(
図8を参照)より、パージガス濃度を決定する(ステップS24)。なお、検出・記録する圧力は、パージ制御弁26が閉状態に維持されている間の平均であってもよい。
【0027】
デューティ比が所定値α以上の場合(ステップS6:YES,タイミングt9−t14)、パージ制御弁26が開状態のとき(ステップS10:YES,タイミングt9−t10,t11−t12,t13−t14)の圧力を検出し、記録する(ステップS12)。なお、圧力は、ピーク値(最小値)の値を検出・記録する。次に、記録した圧力に基づいて、第1テーブル(
図7を参照)より、パージガス濃度を決定する(ステップS14)。検出・記録する圧力は、パージ制御弁26が開状態に維持されている間の平均であってもよい。第1テーブル及び第2テーブルの詳細については後述する。
【0028】
図6に示すように、パージガスの濃度を決定するための圧力計24の検出値(差圧)は、パージ制御弁26の開閉状態によって変化する。そのため、パージ実行中に任意のタイミングでパージガス濃度を検出(パージ通路22内の圧力を検出)しても、正確なガス濃度を検出できない。蒸発燃料処理装置20では、パージ実行中のパージ制御弁26のデューティ比によって、ガス濃度を検出するタイミングを変化させる。具体的には、デューティ比が所定値αより小さく、パージ制御弁26が閉状態に長く維持されているときは、パージ制御弁26が閉状態のときの圧力に基づいてパージガス濃度を決定する。また、デューティ比が所定値α以上であり、パージ制御弁26が開状態に長く維持されているときは、パージ制御弁26が開状態のときの圧力に基づいてパージガス濃度を決定する。蒸発燃料処理装置20は、パージ通路22内のパージガス濃度(すなわち、圧力)を、より正確に反映しているタイミングでパージガス濃度を検出することにより、従来よりも正確なガス濃度を検出することができる。
【0029】
また、上記したように、蒸発燃料処理装置20では、デューティ比が所定値α以上の場合(開状態の圧力を検出)と、デューティ比が所定値α未満の場合(閉状態の圧力を検出)とで、異なるテーブルを用いてパージガスの濃度を決定する。そのため、圧力が低く検出される開状態で圧力を検出しても、圧力が高く検出される閉状態で圧力を検出しても、正確なガス濃度を検出することができる。
【0030】
ここで、第1テーブル(
図7)、第2テーブル(
図8)について説明する。
図7は、第1テーブルを示しており、パージ制御弁26を開状態にしてポンプ52を駆動したときの、ポンプ52の上流と下流の差圧ΔP(第1圧力計24aの検出値−第2圧力計24bの検出値)とパージガス濃度の関係を、ポンプ52の回転数毎に記したテーブルである。ポンプ52の回転数が等しい場合、差圧ΔPが大きくなるに従って、パージガス濃度は濃くなる。また、差圧ΔPが等しい場合、ポンプ52の回転数が大きくなるに従って、パージガス濃度は薄くなる。例えば、濃度B2よりも濃度B11が濃く、濃度B11よりも濃度D11が薄い。
【0031】
図8は、第2テーブルを示しており、パージ制御弁26を閉状態にしてポンプ52を駆動したときの、ポンプ52の上流と下流の差圧ΔP(第1圧力計24aの検出値−第2圧力計24bの検出値)とパージガス濃度の関係を、ポンプ52の回転数毎に記したテーブルである。第2テーブルも、ポンプ52の回転数が等しい場合、差圧ΔPが大きくなるに従って、パージガス濃度は濃くなる。また、差圧ΔPが等しい場合、ポンプ52の回転数が大きくなるに従って、パージガス濃度は薄くなる。なお、パージ制御弁26を閉状態にしてポンプ52を駆動すると、ポンプ下流の圧力(第1圧力計24aの検出値)は、パージ制御弁26が開状態のときよりも高くなる(
図6も参照)。そのため、差圧ΔP及びポンプ52の回転数が等しいときのバージガス濃度を比較すると、第2テーブルに記されているガス濃度は、第1テーブルに記されているガス濃度以下である。例えば、濃度a10は濃度A10より薄く、濃度d5は濃度D5より薄い。
【0032】
なお、上記実施例では、記憶部104に第1テーブルと第2テーブルが記憶されており、パージ制御弁26のデューティ比に基づいて、第1テーブルまたは第2テーブルを参照してパージガス濃度を決定した。しかしながら、記憶部104に、パージ制御弁26が開状態のときのポンプ52の回転数と圧力(差圧)に関する第1関数と、パージ制御弁26が閉状態のときのポンプ52の回転数と圧力に関する第2関数を記憶させ、パージ制御弁26のデューティ比に基づいて、第1関数または第2関数を参照してパージガス濃度を決定してもよい。この場合、
図5のステップS14を「第1関数よりパージガス濃度を決定」と読み替え、ステップS24を「第2関数よりパージガス濃度を決定」と読み替える。また、蒸発燃料処理装置20b(
図4を参照)おいてパージガス濃度を検出する場合、ポンプ52の回転数と第1圧力計24aの圧力に基づくパージガス濃度を、テーブル(または関数)として記憶部104に記憶しておく。
【0033】
(第2実施例)
図9を参照し、蒸発燃料処理装置120について説明する。蒸発燃料処理装置120は、蒸発燃料処理装置20の変形例である。蒸発燃料処理装置120は、パージ通路22上に圧力計(圧力検出部)が配置されていない点が、蒸発燃料処理装置20と異なる。蒸発燃料処理装置120について、蒸発燃料処理装置20と同じ構成は、同じ参照番号を付すことにより説明を省略することがある。
【0034】
蒸発燃料処理装置120では、一端がポンプ52の上流でパージ通路22に接続されており、他端がポンプ52の下流でパージ通路22に接続されている分岐通路58を備えている。分岐通路58上には、濃度センサ57が設けられている。蒸発燃料処理装置120は、濃度センサ57の検出値に基づいて、パージガス濃度を決定する。なお、濃度センサ57として、様々な種類のセンサを利用することができる。以下、
図10から
図13を参照し、利用可能な濃度センサ57の幾つかを説明する。
【0035】
図10は、ベンチュリ管72を内蔵した濃度センサ57aを示している。ベンチュリ管72の端部(第1端部72a,第2端部72c)が分岐通路58に接続されている。第1端部72aは、ポンプ52の下流側(高圧側)に接続され、第2端部72cはポンプ52の上流側(低圧側)に接続される。そのため、パージガスは、第1端部72aから第2端部72cに向けて移動する。ベンチュリ管72の第1端部72aと中央部(絞り部)72bの間に差圧センサ70が接続されている。濃度センサ57aは、第1端部72aと中央部72bの差圧を差圧センサ70で検出する。濃度センサ57aを用いる場合、
図5のステップS12,S22において、差圧センサ70の検出値を記録する。なお、第1端部72aと中央部72bの差圧を検出すれば、ベルヌーイの式よりバージガスの密度(バージガス濃度)を算出することができる。
【0036】
図11は、オリフィス管74を内蔵した濃度センサ57bを示している。オリフィス管74の両端が分岐通路58に接続されている。オリフィス管74の中央に、開孔74aを有するオリフィス板74bが設けられている。オリフィス板74bの上流側と下流側に、差圧センサ70が接続されている。濃度センサ57bは、オリフィス板74bの上流側と下流側の圧力差を差圧センサ70で検出する。濃度センサ57bを用いる場合も、
図5のステップS12,S22において、差圧センサ70の検出値を記録する。
【0037】
図12は、毛細管式粘度計76を内蔵した濃度センサ57cを示している。毛細管式粘度計76の両端が分岐通路58に接続されている。毛細管式粘度計76の内部には、複数の毛細管76aが配置されている。毛細管76aの上流側と下流側に、差圧センサ70が接続されている。濃度センサ57cは、毛細管76aの上流側と下流側の圧力差を差圧センサ70で検出し、毛細管式粘度計76を通過する流体(パージガス)の粘性を測定する。毛細管76aの上流側と下流側の差圧を検出すれば、ハーゲン・ポアズイユの式より、流体の粘性を算出することができる。パージガスの粘性は、パージガスの濃度と相関関係がある。そのため、パージガスの粘性を算出することにより、パージガスの濃度を検出することができる。濃度センサ57c(毛細管式粘度計76)を用いる場合も、
図5のステップS12,S22において、差圧センサ70の検出値を記録する。濃度センサ57a〜57cを用いる場合、記憶部104には、ポンプ52の回転数と差圧センサ70の検出値に対応したパージガス濃度(あるいは、ポンプ52の回転数と粘性に対応したパージガス濃度)を記述したテーブル(または関数)を記憶させる。
【0038】
図13は、音波式濃度計78を内蔵した濃度センサ57dを示している。音波式濃度計78は、筒状であり、両端が分岐通路58に接続されている。音波式濃度計78は、管内に向けて信号を発信する発信器78aと、発信器78aが発信した信号を受信する受信器78bを備えている。音波式濃度計78では、信号が発信器78aから受信器78bに到達するまでの時間tを検出する。時間tと、発信器78aと受信器78bの距離Lに基づいて、管内の音速vを算出する。管内の音速vは、管内を通過しているパージガスの濃度と相関関係がある。管内の音速vを測定することにより、パージガスの濃度(バージガスの分子量)を検出することができる。具体的には、音速v,パージガスの分子量M,比熱比γ,気体定数R及び絶対温度Tとしたときに、下記式(1)が成立することが知られている。下記式(1)を用いて、パージガスの濃度を検出することができる。なお、音波式濃度計78を用いる場合、
図5のステップS12,S22において、管内の音速vを記録する。また、記憶部104には、ポンプ52の回転数と音速vに対応したパージガス濃度を記述したテーブル(または関数)を用いて、パージガス濃度を決定する。
式(1):v=(γ×R×T/M)
0.5
【0039】
以上、圧力検出部の形態について幾つか説明したが、重要なことは、キャニスタと吸気管の間のパージ通路上にデューティ制御されるパージ制御弁が配置されており、パージ制御弁の上流のパージ通路上にポンプが配置されており、パージ通路内のパージガス濃度を検出する濃度検出部を備える蒸発燃料処理装置において、ポンプを駆動した状態で、パージ制御弁のデューティ比が所定値以上のときはパージ制御弁が開状態のときの濃度検出部の検出値に基づきパージガスを決定し、パージ制御弁のデューティ比が所定値未満のときはパージ制御弁が閉状態のときの濃度検出部の検出値に基づきパージガスを決定することである。例えば、本明細書ではパージポンプ52はパージ制御弁26とキャニスタ19の間のパージ通路22上に配置したが、パージポンプ52をキャニスタ19とエアフィルタ15の間に配置するとともに、パージポンプ52の下流(連通管17またはパージ通路22)に圧力センサ(または濃度センサ)を配置することもできる。本明細書で開示したパージガス濃度の検出方法は、デューティ制御されるパージ制御弁、ポンプ、濃度検出部を備える蒸発燃焼処理装置であれば、何れのタイプにも適用することができる。また、本明細書で開示した制御部(あるいは制御部を備えるECU)は、デューティ制御されるパージ制御弁、ポンプ、濃度検出部を備える蒸発燃焼処理装置であれば、何れのタイプの蒸発燃焼処理装置の制御部として用いることができる。
【0040】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。