特許第6797732号(P6797732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6797732-品質検定装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797732
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】品質検定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20201130BHJP
   A61J 1/00 20060101ALI20201130BHJP
   G21F 7/06 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   G01N35/10 D
   A61J1/00 A
   G21F7/06 R
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-64796(P2017-64796)
(22)【出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-169197(P2018-169197A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2019年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】甲村 巌根
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−182114(JP,A)
【文献】 特開2016−015922(JP,A)
【文献】 実開昭58−036360(JP,U)
【文献】 特開2012−047504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
G01N 1/00− 1/34
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性薬剤の品質検定を行う品質検定装置であって、
前記放射性薬剤が貯留される薬剤貯留部と、
前記放射性薬剤の品質検定を行う品質検定部と、
廃棄される前記放射性薬剤を貯留する容器部と、前記容器部の開口に設けられ注射針が貫通可能な膜部と、を有する廃液部と、
前記薬剤貯留部、前記品質検定部及び前記廃液部に移動可能であり、前記放射性薬剤を注射針で吸入及び排出することが可能なシリンジ部と、
前記シリンジ部の移動の動作と、前記シリンジ部による前記放射性薬剤の吸入及び排出の動作と、を制御する制御部と、を備え、
前記注射針は、前記注射針の延在方向に対して斜めに形成された先端面を有する針先部を有し、
前記制御部は、
前記シリンジ部が、前記薬剤貯留部から前記放射性薬剤を吸入する第1ステップと、
前記シリンジ部の前記注射針が前記膜部を貫通するように前記容器部内に挿入され、前記シリンジ部が、前記第1ステップで吸入した前記放射性薬剤の一部を前記注射針から前記容器部内に排出する第2ステップと、
前記シリンジ部が、前記第2ステップの後、前記膜部に形成された貫通孔の縁部に前記針先部の側面を接触させながら、前記注射針を前記膜部から引き抜く第3ステップと、
前記シリンジ部が、前記第3ステップの後、前記品質検定部に前記放射性薬剤を滴下する第4ステップと、を実行するように前記シリンジ部の動作を制御する、品質検定装置。
【請求項2】
前記膜部は、金属からなる、請求項に記載の品質検定装置。
【請求項3】
放射性薬剤の品質検定を行う品質検定装置であって、
前記放射性薬剤が貯留される薬剤貯留部と、
前記放射性薬剤の品質検定を行う品質検定部と、
前記放射性薬剤が廃棄される廃液ビンと、当該廃液ビンの開口に被せられた膜部と、を有する廃液部と、
前記薬剤貯留部、前記品質検定部及び前記廃液部に移動可能であり、前記放射性薬剤を注射針で吸入及び排出することが可能なシリンジ部と、
前記シリンジ部の移動の動作と、前記シリンジ部による前記放射性薬剤の吸入及び排出の動作と、を制御する制御部と、を備え、
前記注射針は、前記注射針の延在方向に対して斜めに形成された先端面を有する針先部を有し、
前記制御部は、
前記シリンジ部が前記薬剤貯留部から前記放射性薬剤を吸入し、前記注射針が膜部を貫通しながら前記廃液ビン内に挿入されるように前記シリンジ部が下降し、前記シリンジ部が前記放射性薬剤の一部を前記廃液部に排出し、前記膜部に形成された貫通孔の縁部に前記針先部の側面を接触させながら前記注射針が前記膜部から引き抜かれるように前記シリンジ部が上昇し、前記シリンジ部が前記品質検定部に前記放射性薬剤を滴下するように前記シリンジ部の動作を制御する、品質検定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性薬剤の複数項目の品質検定を行う品質検定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特許文献1に記載のように、複数の品質検定部においてそれぞれ異なる項目の品質検定が実行される品質検定装置が知られている。この装置では、原液バイアルに収容された放射性薬剤をシリンジに吸い上げ、シリンジを移動させて、装置内の各品質検定部に必要量ずつの放射性薬剤をシリンジから供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-182114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の装置においては、品質検定の内容によっては、液体の薬剤を正確な滴数で品質検定部に滴下することが求められる場合がある。しかしながら、滴下の直前のシリンジの状態として、シリンジの注射針の内部に液体が十分に充填されていない状態や、注射針から溢れた余分の液滴が針先部に付着している状態もあり得る。このように、滴下直前におけるシリンジの注射針の液体の状態が不安定であると、検定部に正確な滴数の液体を滴下する制御が極めて困難である。この課題に鑑み、本発明は、検定部に対して正確な滴数で液体の滴下を行う品質検定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の品質検定装置は、放射性薬剤の品質検定を行う品質検定装置であって、放射性薬剤が貯留される薬剤貯留部と、放射性薬剤の品質検定を行う品質検定部と、放射性薬剤が廃棄される廃液部と、薬剤貯留部、品質検定部及び廃液部に移動可能であり、放射性薬剤を注射針で吸入及び排出することが可能なシリンジ部と、シリンジ部の移動の動作と、シリンジ部による放射性薬剤の吸入及び排出の動作と、を制御する制御部と、を備え、制御部は、シリンジ部が、薬剤貯留部から放射性薬剤を吸入する第1ステップと、シリンジ部が、第1ステップで吸入した放射性薬剤の一部を廃液部に排出する第2ステップと、シリンジ部が、第2ステップの後、注射針の針先部の側面を廃液部に接触させる第3ステップと、シリンジ部が、第3ステップの後、品質検定部に放射性薬剤を滴下する第4ステップと、を有する針先リセット動作を実行するようにシリンジ部の動作を制御する。
【0006】
また、廃液部は、廃棄される放射性薬剤を貯留する容器部と、容器部の開口に設けられ注射針が貫通可能な膜部と、を備え、第2ステップでは、注射針が膜部を貫通するように容器部内に挿入され、注射針から容器部内に放射性薬剤が排出され、第3ステップでは、注射針が膜部から引き抜かれることで、膜部に形成された貫通孔の縁部に針先部の側面が接触するようにしてもよい。
【0007】
また、膜部は、金属からなるものであってもよい。
【0008】
本発明の品質検定装置は、放射性薬剤の品質検定を行う品質検定装置であって、放射性薬剤が貯留される薬剤貯留部と、放射性薬剤の品質検定を行う品質検定部と、放射性薬剤が廃棄される廃液ビンと、当該廃液ビンの開口に被せられた膜部と、を有する廃液部と、薬剤貯留部、品質検定部及び廃液部に移動可能であり、放射性薬剤を注射針で吸入及び排出することが可能なシリンジ部と、シリンジ部の移動の動作と、シリンジ部による放射性薬剤の吸入及び排出の動作と、を制御する制御部と、を備え、制御部は、シリンジ部が薬剤貯留部から放射性薬剤を吸入し、注射針が膜部を貫通しながら廃液ビン内に挿入されるようにシリンジ部が下降し、シリンジ部が、吸入した放射性薬剤の一部を廃液部に排出し、注射針が膜部から引き抜かれるようにシリンジ部が上昇し、シリンジ部が品質検定部に放射性薬剤を滴下するようにシリンジ部の動作を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検定部に対して正確な滴数で液体の滴下を行う品質検定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】品質検定装置の品質検定部を示す正面図である。
図2】(a)〜(c)は、廃液ビン近傍における注射針の動きを示す図である。
図3】(a)〜(c)は、廃液ビン近傍における注射針の動きを図2に続いて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る品質検定装置の一実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に示されるように、品質検定装置1は、液体の放射性薬剤Rの所定の項目の品質検定をそれぞれ自動的に行う複数の品質検定部2と、品質検定部2を格納し放射線を遮蔽するホットセル4とを備えている。品質検定装置1が検定の対象とする放射性薬剤Rとしては、例えば、比較的短寿命の陽電子放射性核種で標識された15O-水、11C-メチオニン、18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)等が挙げられる。ホットセル4により、上記のような放射性核種に起因する放射線の装置外への放射が抑えられる。なお、ホットセル4は、全体が放射線遮蔽壁で覆われた部屋のような人が入るための部屋ではなく、部屋内に設けられるものであり、品質検定部2を格納する放射線遮蔽壁である。放射性薬剤Rは、所定の合成装置(図示せず)で合成された後、品質検定のために、品質検定装置1に導入される。
【0013】
図2に示されるように、品質検定装置1は、放射性薬剤Rが収容された原液バイアル3aが配置される原液バイアル配置部3(薬剤貯留部)を備えている。また、品質検定装置1は、後述のシリンジS(シリンジ部)を洗浄する洗浄液を収容する洗浄液収容部11と、取り出しバイアル12aが配置される取り出しバイアル配置部12と、を備えている。
【0014】
更に、品質検定装置1は、シリンジSを保持しホットセル4内で移動させるためのシリンジ駆動部9と、シリンジ駆動部9の動作を制御する制御部10を備えている。シリンジ駆動部9は、放射性薬剤Rを吸入及び排出するためのシリンジSを、先端の注射針を下向きにして鉛直に立てた姿勢で保持する。シリンジ駆動部9は、制御部10からの制御信号によって、図1の紙面に平行な平面内で2軸方向にシリンジSを並進移動させる。また、シリンジ駆動部9は、制御部10からの制御信号によって、シリンジSのピストンの引上げ及び押下げ動作が可能であり、シリンジSへの液体吸入及びシリンジSからの液体排出が実行される。
【0015】
制御部10による制御に基づき、シリンジ駆動部9は、保持したシリンジSを操作して原液バイアル3aの放射性薬剤Rを採取し、シリンジSを移動させて、各々の品質検定部2に必要量ずつの放射性薬剤Rを滴下又は注入する。各品質検定部2では、滴下又は注入された放射性薬剤Rについて、それぞれ異なる検定項目の検定が実行される。
【0016】
各品質検定部2への放射性薬剤Rの滴下又は注入が完了した後、シリンジ駆動部9は、取り出しバイアル配置部12にシリンジSを移動し、取り出しバイアル12aに対して、放射性薬剤Rを注入する。取り出しバイアル12aに小分けされた放射性薬剤Rは、装置外に取り出され、各品質検定部2ではできない項目についての品質検定に使用される。その後、シリンジ駆動部9は、洗浄液収容部11にシリンジSを移動し、洗浄液を吸入・吐出してシリンジSを洗浄する。洗浄液収容部11に収容される洗浄液としては、例えば蒸留水が使用される。
【0017】
上記のように放射性薬剤Rが滴下又は注入される品質検定部2には、例えば、HPLC分析部21、エンドトキシン測定部22、無菌試験部23、滴下テーブル24が含まれている。また、滴下テーブル24の上面には、各種の試験紙24aがセットされており、これらの各試験紙24aの上にシリンジSからの放射性薬剤Rが滴下される。例えば、試験紙24aには、検定項目の一つであるTLC(薄層クロマトグラフ)試験のためのTLC試験紙が含まれる。
【0018】
品質検定部2で実行される検定の中には、検定の性質上、放射性薬剤Rを正確な滴数で品質検定部2に滴下することが求められるものもある。例えば、TLC試験では、滴下テーブル24上のTLC試験紙の上に、確実に1滴の放射性薬剤Rを滴下する必要がある。しかしながら、滴下の直前のシリンジSの状態として、シリンジSの注射針の内部に放射性薬剤Rが十分に充填されていない状態や、注射針から溢れた余分の液滴が針先部に付着している状態もあり得る。このように、滴下直前におけるシリンジSの注射針の液体の状態が不安定であると、品質検定部2に対して正確な滴数の放射性薬剤Rを滴下する制御が極めて困難である。なお、図2(a)に拡大して示されるように、シリンジSの注射針15には、当該注射針15の延在方向に対して先端面15aが斜めに形成されることにより、尖鋭な針先が形成されている。
【0019】
上記のような問題点の対策として、品質検定装置1は次に説明する仕組みを備えている。品質検定装置1には、シリンジSの移動範囲内の何れかの位置(ここでは、洗浄液収容部11の隣の位置とする)に、廃棄すべき放射性薬剤Rを貯留するための廃液部25が設けられている。廃液部25は、廃液ビン13(容器部)と、膜部14とを備えている。廃液ビン13は上端に開口13aをもつ有底の容器であり、廃棄される放射性薬剤Rを貯留する。膜部14は、廃液ビン13の開口13aを塞ぐように廃液ビン13の上部に被せられている。膜部14は、シリンジSの注射針によって比較的容易に貫通可能な材料からなる。例えば、ここでは、膜部14としてアルミ箔14が用いられているものとして説明する。
【0020】
正確な滴数の滴下が要求される品質検定部2(例えばTLC試験紙)へ放射性薬剤Rを滴下するときに、制御部10は、次に説明する第1〜第4ステップの動作を実行するようにシリンジ駆動部9を制御する。このうち、第1〜第3ステップの動作は、品質検定部2へ放射性薬剤Rを滴下する直前の前処理として実行されるものであり、以下、第1〜第3ステップの動作を「針先リセット動作」という。
【0021】
(第1ステップ)
制御部10は、まず、シリンジSを原液バイアル配置部3に移動し、シリンジSに原液バイアル3aの放射性薬剤Rを吸入する。
【0022】
(第2ステップ)
次に、図2(a)に示されるように、廃液ビン13の直上方にシリンジSを移動する。なお、図2図3には、シリンジSのうち注射針15のみが拡大して示されている。次に、図2(b)に示されるように、制御部10は、シリンジSを下降させ廃液ビン13に注射針15を挿入する。例えば、ここでは、シリンジSを鉛直下方へ下降させてもよい。シリンジSの下降により、注射針15は、廃液ビン13の開口13aに被せられたアルミ箔14を貫通し、廃液ビン13の途中の深さまで挿入される。注射針15の貫通によりアルミ箔14には貫通孔14aが形成され、注射針15は当該貫通孔14aに挿通された状態となる。次に、制御部10は、シリンジSのピストンを押下げて、第1ステップで吸入した量の一部の放射性薬剤Rを排出する。これにより、注射針15からは、例えば数滴の放射性薬剤Rが廃液ビン13内に滴下される。このように注射針15から放射性薬剤Rが排出された後は、図3(a)に示されるように、放射性薬剤Rの液滴R1が注射針15の針先部に残留した状態となる。
【0023】
(第3ステップ)
その後、図3(b)及び図3(c)に示されるように、制御部10は、シリンジSを上昇させて注射針15を廃液ビン13及びアルミ箔14から引き抜く。例えば、ここでは、シリンジSを鉛直上方へ上昇させてもよい。この注射針15の上昇の途中において、注射針15の針先部の側面がアルミ箔14の貫通孔14aの縁部に接触し擦るようにして移動する。これにより、図3(b)に示されるように、針先部の液滴R1は、アルミ箔14の貫通孔14aの縁部で払い落とされるようにして注射針15から離れ、廃液ビン13内に落下する。その結果、注射針15がアルミ箔14から完全に引き抜かれたときには、図3(c)に示されるように、注射針15は、針先まで過不足なく放射性薬剤Rが充填され、且つ針先部に付着する液滴R1が存在しない状態となる。なお、注射針15の上昇中に、注射針15の針先部の側面を貫通孔14aの縁部に確実に接触させるために、シリンジSを上昇させる前に、シリンジSを水平方向にわずかに移動させてもよい。以上で針先リセット動作が完了する。
【0024】
(第4ステップ)
上記の針先リセット動作の後、制御部10は、正確な滴数の滴下が要求される品質検定部2の直上方へシリンジSを移動し、シリンジSのピストンの押下げ量を制御しながら、品質検定部2に対して必要な滴数の放射性薬剤Rを滴下する。
【0025】
上述の針先リセット動作を行うことによる作用効果について説明する。上記の針先リセット動作の前の注射針15の状態(図2(a)の状態)に関わらず、針先リセット動作の完了時には、図3(c)に示される状態が高い再現性で現れると考えられる。すなわち、上記の針先リセット動作によれば、シリンジSを、注射針15の針先まで過不足なく放射性薬剤Rが充填され、且つ針先部に付着する液滴R1が存在しない状態にすることができる。従って、針先リセット動作の直後において、制御部10は、シリンジSのピストンの押下げ量を制御することにより、正確な滴数の放射性薬剤Rを当該品質検定部2に滴下することができる。
【0026】
なお、前述の第3ステップにおいて、注射針15が、上昇の途中で貫通孔14aの縁部に接触することは必須ではない。注射針15が、貫通孔14aの縁部に接触せずに上昇する場合にも、注射針15の側面が貫通孔14aの縁部と極めて近い位置を通過するので、注射針15の針先部の側面から水平方向にはみ出した液滴R1自体が高い確率で貫通孔14aの縁部に接触し、液滴R1が注射針15から除去される。
【0027】
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、実施例の変形例を構成することも可能である。各実施形態の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0028】
例えば、廃液ビン13の開口13aに被せる膜部としては、アルミ箔14には限定されず、注射針15が比較的容易に貫通できる程度の強度のものであれば、種々の膜部を採用することができる。例えば、アルミ箔14を代表として種々の材料の金属膜(金属箔)が膜部として用いられてもよい。一般的に、廃液ビン13を品質検定装置1に設置する前には、廃液ビン13を滅菌処理する必要がある。このような場合、膜部として金属膜を採用すれば、金属膜を被せたままの状態で廃液ビン13を高熱の滅菌器で乾熱滅菌することができるので好ましい。また、針先リセット動作中に貫通孔14aの大きさが変化しないことが好ましいので、膜部は非伸縮性の材料からなることが好ましい。また、膜部としては、金属膜に限定されず、樹脂性の膜など、他の材料からなる膜であってもよい。
【0029】
また、液滴R1を除去するために、液体を吸収する特性を有する膜部(例えば不織布製の膜部)を採用することも考えられる。しかしながらこの場合、注射針15の内部の放射性薬剤Rまで一緒に吸い出される可能性があり、注射針15の内部に充填された放射性薬剤Rの量にバラツキが発生する虞がある。従って、膜部の材料としては、液体を吸収しない材料を採用することが好ましい。
【0030】
また、図3(a)に示されるように、注射針15の先端に残留する液滴R1は、針先の開口の向き(図3(a)の例では、右向き)に膨らむ傾向がある。従って、このような液滴R1を除去するためには、注射針15の側面のうち、針先の開口側の一側面(図3(a)の例では、右側面)が廃液部25に接触すればよい。従って、廃液部25が膜部14を備えることは必須ではない。すなわち、例えば、針先リセット動作では、液滴R1が発生した注射針15の針先部の一側面を、廃液ビン13の内壁面又は廃液ビン13の開口13aの縁部に接触させるように制御してもよい。また、注射針15の針先の開口の向きを検知する検知手段を準備し、検知された針先の開口の向きに基づいて、廃液ビン13の容器内壁面に何れかの方向から注射針15を接触させるように制御してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…品質検定装置、3…原液バイアル配置部(薬剤貯留部)、9…シリンジ駆動部、10…制御部、13…廃液ビン(容器部)、14…アルミ箔(膜部)、14a…貫通孔、15…注射針、24…滴下テーブル、25…廃液部、S…シリンジ、R…放射性薬剤。
図1
図2
図3