【実施例1】
【0015】
図1は、従来の走査ファイバ装置に相当する光走査部1001を備えた映像装置10を示すブロック図である。
【0016】
映像装置10は、例えばプロジェクターやヘッドマウントディスプレイ等の映像を投影する機能を有する装置である。
【0017】
映像装置10は、光走査部1001、光源部1002、光源制御部1003、発光制御部1004、映像制御部1005、映像情報記憶部1006、走査軌跡制御部1007、駆動信号生成部1008、駆動制御部1009、装置制御部1010、記憶部1011、及び入出力制御部1012を備えている。
【0018】
本実施例における発光制御部1004、映像制御部1005、走査軌跡制御部1007、及び駆動信号生成部1008は一例としてデジタル回路として実現される。これらの回路は、同一のIC、例えばFPGA(Field Programable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路内の機能ブロックとして存在していても良い。
【0019】
装置制御部1010は、映像装置10内の各ブロックの制御を行う。装置制御部1010は例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成される。
【0020】
映像装置10は、入出力制御部1012を介して外部制御装置50と接続されている。本実施における映像装置10は、外部制御装置50から映像信号を受信し、当該映像を表示する機能を有する。入出力制御部1012は、発光制御部1004、映像制御部1005、及び走査軌跡制御部1007と同一のデジタル回路としてFPGAやASICに集積されている構成が考えられる他、装置制御部1010内に構成されていることでもよい。
【0021】
記憶部1011は、装置制御部1010が映像装置10を制御するため、各部に処理を行うためのプログラムやデータ等が格納されるメモリ領域であり、例えばフラッシュメモリ等により実現される。記憶部1011は、HDD(Hard Disc Drive)や光ディスク等の書き込みおよび読み出しが可能な他の記憶メディアであっても良い。また、RAM(Random Access Memory)等の一時記憶領域であっても良い。
【0022】
映像装置10が例えばプロジェクターなどの製品であれば、入出力制御部1012を介してビデオ機器、パソコンなどの外部制御装置50から映像信号を受信し、該映像信号は映像情報記憶部1006に格納される。
【0023】
走査軌跡制御部1007は、装置制御部1010からの制御に基づき、光走査部1001を駆動させて光を走査するための同期信号を生成し、映像制御部1005に送信するとともに、同期信号を元に光走査部1001が光走査する軌跡パターンを決定する。駆動信号生成部1008は前記軌跡パターンの情報に基づき、光走査部1001を駆動させて光を走査するための駆動信号を生成する。
【0024】
駆動信号生成部1008は例えばDA変換器などにより実現される。駆動信号生成部1008から出力された駆動信号は、駆動制御部1009により光走査部1001内のアクチュエータ部に印加される。
【0025】
駆動制御部1009は、駆動信号生成部1008により生成された駆動信号に応じて、光走査部に駆動電力を供給し107、増幅器などによって実現される。
【0026】
映像制御部1005は、走査軌跡制御部1007から同期信号を受信し、光走査位置に応じて決まる座標(x、y)を算出する。さらに、映像情報記憶部1006から座標(x、y)に対応した画素のデータを読み出す。画素データは例えばRGBの階調データである。当該画素データを発光制御部1004に送信する。
【0027】
発光制御部1004は受信した画素データに応じて、光源1002を点灯させるための信号を生成する。発光制御部1004は、走査軌跡制御部1007からの情報を元に、輝度の補正を行っても良い。
【0028】
光源制御部1003は、発光制御部1004で生成された信号を元に、光源部1002内のレーザー素子に電流を供給し、レーザー光を発生する。レーザー光は光走査部1001に入射し102、投影面(図示せず)内の光走査された位置にレーザースポットを生じる。
【0029】
このように、光走査位置に同期したレーザー発光制御を行うことで、投影面に映像情報を投影する仕組みである。
【0030】
光走査部1001について
図2の断面図において説明する。光走査部1001は加振部101、導光路102、接合部103、レンズ104、外装部105、支持部材106、電気配線部107を備える。
【0031】
加振部101は、振動を発生するアクチュエータであり、圧電アクチュエータから構成される。本実施形態における加振部101は、中心部が中空の円筒型の圧電素子であり、その内外周に複数の電極を配置して構成される。
【0032】
加振部101の中空部分には、導光路102が配置され、加振部101と導光路102とは接合部103により機械的に接合される。加振部101は支持部材106により、外装部105と固定される。
【0033】
導光路102は、例えば光ファイバにより実現される。
接合部103は例えば接着剤等により実現される。
導光路102の一端102aは自由端とし、加振部101の振動が接合部103により導光路102に伝達されることで、自由端102aは振動する。
導光路102は一端を自由端とする突き出し梁の構造となっており、振動しやすい固有振動数を有する。
【0034】
レンズ104はガラス又は樹脂などにより成型されるレンズである。レンズ104は図示したような球面レンズ以外にも、非球面レンズであってもよく、フレネルレンズや屈折率分布型のレンズであっても良い。また、レンズ104は、導光路102の先端部102aと一体化した構造であっても良い。また、レンズ104は複数枚のレンズからなる構成であってもよい。
【0035】
加振部101のA−A断面図を
図3に示す。前述のように、加振部101は内部が中空な円筒型の圧電アクチュエータである。3010は圧電性を持つ素材からなる圧電媒体であり、内周部に共通電極3015を有し、外周部に円筒アクチュエータの円筒形の軸回転方向に略90度ごとに四つに分割された電極、第一の外周電極3011、第二の外周電極3012、第三の外周電極3013、第四の外周電極3014が配置される。
【0036】
これら円筒アクチュエータに設けられた電極は、
図3に示す形状を円筒形の長手方向に沿って連続的に面状に配置される。外周側面を展開図として
図4に示すと、長手方向に略等しい大きさの電極3011〜3014が平行に整列する形状である。
円筒圧圧電アクチュエータの中央には導光路102が配置される。
外周部の各電極は、電気配線部107によって、駆動制御部1008と接続されており、任意の電圧を印加可能である。
【0037】
圧電媒体3010は、各電極に挟まれる領域ごとに、複数の圧電素子を形成している。
これを
図5に示す。圧電媒体3010の外周に配置された4つの電極と、内周の電極とに挟まれた領域が圧電素子として機能する。すなわち、第一の外周電極3011と共通電極3015に挟まれた第一の圧電素子3021、第二の外周電極3012と共通電極3015に挟まれた第二の圧電素子3022、第三の外周電極3013と共通電極3015に挟まれた第三の圧電素子3023、第四の外周電極3014と共通電極3015に挟まれた第四の圧電素子3024である。
【0038】
便宜上、
図3において、紙面に向かって縦方向をy軸、横方向をx軸と定義する。
【0039】
この圧電アクチュエータを用いて、中心部の導光路102を加振する。中心部を挟んで対向する第一の圧電素子3021と第三の圧電素子3023とに電圧印加し、第一の圧電素子3021を膨張、第三の圧電素子3023を収縮させれば、導光路102はy軸下方向に力を受ける。逆に第一の圧電素子3021を収縮、第三の圧電素子を膨張させれば、導光路102はy軸上方向に力を受ける。このように、y軸方向への振動を与えるためには、対向する第一の圧電素子3021と第三の圧電素子3023を対にして動作させる。振動を加えるための電圧を正弦波状の信号とし、その周期を前述の固有振動数付近の周期とすることで、導光路102を共振させる。
【0040】
同様に、x軸方向への振動を与えるために、対向する第二の圧電素子3022と第四の圧電素子3024を対にして動作させる。
【0041】
これら四つの圧電素子の電気的な等価図は
図6のようになる。圧電素子3021〜3024の一端が共通電極3015を通じて接続されている構成である。各圧電素子にかかる電圧は外周電極3011〜3014に印加する電位と、内周電極3015の電位との差によって決まる。内周電極3015は電気的に接地して電位0とされていても良いし、フロートとしても良い。
【0042】
各電極に印加する電圧について、第一の外周電極3011に印加する電圧をVy1、第二の外周電極3012に印加する電圧をVx1、第三の外周電極3013に印加する電圧をVy2、第四の外周電極3014に印加する電圧をVx2とする。
【0043】
各電圧は時間tに対して以下の数式で表される。
【0044】
【数1】
【0045】
【数2】
【0046】
【数3】
【0047】
【数4】
【0048】
ここで、A
1、A
2、A
3、A
4は振動振幅、frは共振周波数、φ
1、φ
2、φ
3、φ
4は正弦波の初期位相、C
1、C
2、C
3、C
4はオフセット成分である。
【0049】
ここで、第一の圧電素子3021と第三の圧電素子3023は、y軸方向の圧電素子対であり、一方が収縮するときに他方が伸張する、すなわち逆相の動きとなればよい。このような動きとなるように、A
1=A
3、φ
3=φ
1+180°とする。
【0050】
すなわち、y軸方向の振動量は
【0051】
【数5】
【0052】
となり、同様にx軸方向の振動量は
【0053】
【数6】
【0054】
となる。
【0055】
このようにして、導光路102を加振部101によって、y軸およびx軸の2軸に独立制御して振動させることができ、光を走査する。
このとき、y軸駆動信号の位相φ
1と、x軸駆動信号の位相φ
2を90°ずらすことで、光走査の軌跡が円を描く軌跡となる。
【0056】
さらに、y軸駆動信号の振幅A
1と、x軸駆動信号の振幅A
2を時間とともに徐々に増加させることで、光走査の軌跡は円を描きながら振幅が増加し、渦巻き状の軌跡を描く。これにより点状の光スポットを面状に走査することができる。
【0057】
すなわちA
1、A
2を時間tの関数とする。例えば以下の式のように記述できる。
【0058】
【数7】
【0059】
【数8】
【0060】
ここで、a
1、a
2、b
1、b
2は0又は正の値とする。
【0061】
例えば、a
1=a
2、b
1=b
2=0とすると、
図10(a)に示す渦巻状の軌跡となる。
A
1、A
2は数7、数8のように時間tの一次関数に限られるものではない。
【0062】
ここで、本実施例における走査軌跡制御部1007は、
図7(a)に示す駆動信号を加振部101に印加する。加振期間Tvの間y軸駆動信号の振幅A
1を時間とともに徐々に増加させ、減衰期間Tdでは振幅A
1を時間とともに減衰させるか零とする。他方のx軸駆動信号の振幅A
2を略一定値とする。y軸方向変位量とx軸方向変位量は
図7(b)に示す変位となり、光走査の軌跡は略楕円を描きながら短軸側の振幅が増加し、
図8(a)に示す軌跡を描く。
数7、数8において、例えば加振期間Tvでa
1>0、a
2=0、b
1=0、b
2>0とすれば上記の駆動信号を生成できる。
【0063】
図12に光源制御部1003と光源部1002の構成を図示する。
光源部1002は赤色LD1201、緑色LD1202、青色LD1203の三原色の三つのLD(レーザーダイオード:Laser Diode)からなる。前記三つのLDはそれぞれ電流制限抵抗1204、1205、1206と直列に接続され、それぞれ電源電圧VLDr、VLDg、VLDbを印加される。VLDr、VLDg、VLDbの電圧値は図示しない電源制御部により任意の値に設定可能であり、これによりそれぞれ赤色LD1201、緑色LD1202、青色LD1203の発光を制御できる。前記各電流制限抵抗1204、1205、1206のLDと逆側の端子は、光源制御部1003に接続される。光源制御部1003はCTRLr、CTRLg、CTRLbの各端子の電圧を変化させることで、それぞれ赤色LD1201、緑色LD1202、青色LD1203の発光量や発光時間などを制御できる。
【0064】
電源電圧VLDr、VLDg、VLDbは同一の値であってもよいし、同一の端子であってもよい。また、光源制御部1003の各端子の電圧CTRLr、CTRLg、CTRLbは同一の値であってもよいし同一の端子であってもよい。ただし、前記三つのLDは個別に制御する必要があり、VLD端子、CTRL端子の両方を同一端子とする場合には、別途スイッチなどの部材が必要となる。
【0065】
光源部1002は三原色LDを一つずつ有する構成として説明したが、これに限るものではない。単一色のLDを一つ以上有する構成としてもよい。また、LD以外の光源であってもよい。三原色についても、光源が原色のみを発光する構成でなくてもよく、例えば白色光源とダイクロイックフィルタやカラーホイールなどにより、特定色をフィルタで取り出すような構成であってもよい。
【0066】
また、発光制御部1004は、前記x軸駆動信号の正弦波の一周期よりも充分に早い周期で動作し、光源制御部1003に対して早い周期での変調信号を発生し、光源部1002を動作する。
前記x軸信号の正弦波の周期は、共振周波数frの逆数Tr=1/frである。
前記発光制御部1004が、光源部1002の変調を行う周期をT
Lとしたとき、
【0067】
【数9】
【0068】
のように、共振周期Trよりも十分に小さい周期とする。
【0069】
このとき、
図8(a)の走査軌跡上に、光源部1002が変調されるタイミングを図示すると
図8(b)となる。光源1002が変調されるタイミングを光源変調点として図示している。光源変調点では、光源の明るさや色を変更することができる。したがって、光源変調点が多いほど、表示される映像の解像度を高くすることができる。
【0070】
図8(b)の軌跡では、縦方向(y軸方向)には走査軌跡の回転数に比例した光源変調点を並べることができる。解像度を増加するためには、軌跡回転数を増加する必要がある。軌跡回転数は加振期間Tvを共振周期Trで割った商で決まるため、共振周波数frを大きくすることでy軸方向解像度を増加できる。
【0071】
一方、横方向(x軸方向)には、
【0072】
【数10】
【0073】
に示すように、共振周期Trと光源変調周期T
Lで決まる点数だけ、光源変調点を並べることができる。
【0074】
すなわち、x軸方向の光源変調点は共振周波数frを変えずに、光源変調周期T
Lを短くして高速な変調を行うことで増加することができ、解像度を増加できる。
一般的に、光源の変調周波数f
Lは数十MHz程度が可能であり、共振周波数frは数kHz〜数十kHz程度と、2〜4桁程度異なる値とすることができる。
したがって、光源変調周期T
Lは共振周期Trより2〜4桁程度小さく、光源変調点はx軸方向に1000点以上並べることが可能である。
【0075】
また、このときTrをT
Lの整数倍となるようにすることで、
図9(a)に示すように光源変調点のx軸方向の位置をそろえることができる。一般的な映像データは縦にV個と横にH個のピクセルデータの集合であるため、このようにx軸方向に位置をそろえると対応が良い。
【0076】
また、Trを(T
Lの整数倍)+(T
Lの2分の1)とすると、
図9(b)に示すように、軌跡が外周へ行くごとに、光源変調点が半周期ずつずれて整列される。レーザースポットは通常円形となるため、
図9(b)のような点の整列の場合、面内の明るさの均一性が保ちやすい。
【0077】
走査軌跡制御部1007は上記のような駆動信号を生成する。駆動信号生成部1008は駆動信号をアナログ信号に変換し、駆動制御部1009により増幅された駆動信号が光走査部1001に印加される。例えばVy1、Vy2、Vx1、Vx2は
図7(a)に示す信号となる。このような光走査により、
図8(c)のように、
図8(a)に示す軌跡をスクリーン60上に生じる。
【0078】
なお、本駆動方式に適用可能な加振部101は圧電素子に限定されず、縦方向と横方向に加振可能な構造物であれば適用可能である。また、圧電素子の形状も円筒型に限定されず、例えば
図14のように四角形の筒型など別の形であっても適用可能である。
【0079】
図10(a)に示す螺旋型の軌跡において、一定の周期T
Lで光源の変調を行うと、光源変調点の分布は
図10(b)のように示される。したがって、
図10(b)の軌跡における解像度はy軸方向もx軸方向も螺旋の回転数のみで決まる同一の値となる。また螺旋の中央部では光走査の線速度が遅くなるため、外周部との明るさの差が大きくなる。
【0080】
本実施例により、共振周波数frとは独立な光源の変調周期T
Lによってx軸方向の解像度を増加させることができる。一般的な映像フォーマットは、16:9や4:3などの長方形のアスペクト比を持つため、x軸方向の解像度を共振周波数frによらずに増加させることで、光走査部1001の構造を変えずに解像度を増すことができる。
【0081】
映像装置10は、上述の光走査を繰り返し実施することで連続的に映像を投影することができる。映像装置10が1秒間の間に光走査をNf回(Nfは正の数)実施する場合、光走査ごとに映像情報記憶部1006に保存される映像信号が変更されれば、フレームレートN
fフレーム毎秒(fps)の動画像を表示できる。
【0082】
このように光走査を繰り返し行う場合には、数1から数8における時間tを、時間tを1フレーム所要時間Tf=1/Nfで割った余り(tのTfによる剰余)に置き換えることで対応できる。
【0083】
図11に動画像表示のタイミングチャートを示す。y軸変位とx軸変位はフレームごとに
図7(a)と同様の動作を繰り返す。フレーム間に、y軸方向の光走査位置を中央に戻すための減衰期間Tdを設ける。減衰期間Tdでは、加振部101の振動を停止させるように、駆動信号の振幅を減衰させる。加振部101の振動停止のために、加振期間Tvで印加する駆動信号と180°異なる位相の周波数frの信号を印加してもよい。
【0084】
加振期間Tvは前述の発光制御部1004による光源1002を制御してレーザー光を点灯させる。減衰期間Tdでは、発光制御部1004は光源1002を消灯させる。
【0085】
映像制御部1005が参照する映像情報記憶部1006に記憶された映像情報は時間Tfごとに更新される。映像情報の更新は消灯期間Tdの期間に処理される。
【0086】
また、
図13のように走査範囲をx軸方向のみに伸張し、走査位置が所定の有効範囲130にある場合のみ光源1002を発光することで、一般的な映像フォーマットのような長方形のアスペクト比の映像表示を行うことができる。
走査範囲の伸張は、数5、数6において、A
1<A
2とする。レンズなどにより光学的に一方に伸張してもよい。
図13のような表示方法により、光源変調点が集中する軌跡左右の部分では発光されないため、中央部と周辺部との明るさの差が低減される。また、
図10(b)に示す螺旋型の走査軌跡の場合のように、中央部と外周部との明るさの差が大きくなる問題は解消される。
【実施例2】
【0087】
本発明における別の実施形態を
図15に従って説明する。
映像装置20は、光走査部1001、光源部1002、光源制御部1003、発光制御部1004、映像制御部1005、映像情報記憶部1006、走査軌跡制御部1007、駆動信号生成部1008、駆動制御部1009、装置制御部1010、記憶部1011、入出力制御部1012、フレームカウンタ1501を備えている。
図15において、走査軌跡制御部1007およびフレームカウンタ1501以外の構成要素は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
走査軌跡制御部1007、フレームカウンタ1501は一例としてデジタル回路として実現され、発光制御部1004、映像制御部1005と同一のIC、例えばFPGA、ASIC等の集積回路内の機能ブロックとして存在していても良い。
【0089】
走査軌跡制御部1007は、実施例1と同様に、数5、数6となる駆動信号を生成する。本実施例では、y軸駆動信号の振幅A1と、x軸駆動信号の振幅A2を時間とともに徐々に増加させ、減衰期間Tdでは振幅A
1、A
2を時間とともに減衰させるか零とする。すなわち数7および数8において、a
1=a
2、b
1=b
2=0とする。
【0090】
本実施例において、フレームカウンタ1501は映像のフレーム数をカウントする機能を有する。フレーム数のカウントをFnumとすると、時間tに対して例えば以下の数式により与えられる。
【0091】
【数11】
【0092】
走査軌跡制御部1007は、フレームカウンタ1501により得られるフレーム数カウントFnumが奇数の場合と偶数の場合で駆動信号を変更して光走査の軌跡を変更することを特徴とする。
すなわち、数5、数6において、φ
1およびφ
2を以下のように制御する。
【0093】
【数12】
【0094】
このように制御することで、駆動信号は
図16に示す信号となる。奇数のフレームでは
図17(a)に示されるパターンAの軌跡で光走査が行われる。偶数のフレームでは
図17(b)に示されるパターンBの軌跡で光走査が行われる。パターンBの軌跡は、パターンAの軌跡を螺旋の中央を基準に180°回転した図形となる。
パターンAの駆動信号の後で、x軸、y軸ともに位相が180°反転した逆相のパターンBの駆動信号により走査を行うことで、パターンAで加振された振動成分を相殺しながら次の駆動を行うことができる。
【0095】
したがって、パターンAの軌跡の外周まで移動した光走査位置をすばやく螺旋の中央位置に戻すことが可能となり、減衰期間Tdを低減することができる。減衰期間Tdを低減すると、加振期間Tvや共振周期Trを変えずに、1フレーム所要時間Tfを減らすことができるため、フレームレートNfを増加することができる。
もしくは、フレームレートNfと共振周期Trを一定としたとき、減衰期間Tdを低減すると加振期間Tvを増やすことができ、軌跡回転数と解像度を増加できる。
【0096】
パターンAの軌跡とパターンBの軌跡を同一面上に重ねると
図18のようになる。パターンAの軌跡の間を、パターンBの軌跡が通る。これを利用してインターレース映像のように、パターンA軌跡とパターンB軌跡で同一画像の別の画素を描画することで、より高解像度の映像を描画する方式としても良い。
【0097】
また、
図19のように、減衰期間Tdにおいて位相を反転した駆動パルスをブレーキパルスとして印加し、さらに減衰期間Tdを低減させる方式でもよい。
この場合、奇数フレームの減衰期間Tdと偶数フレームの加振期間Tvにおける駆動信号が同相の正弦波状信号となり、同様に偶数フレームの減衰期間Tdと奇数フレームの加振期間Tvにおける駆動信号が同相の信号となる。
【0098】
また、本実施の変形例として、
図20のタイミングチャートのように動作しても良い。本変形例では、減衰期間Tdにおけるy軸およびx軸の光走査位置の振動量を緩やかに減衰させる。例えば加振期間Tvにおける変位の増加量と逆の勾配程度の減衰量により振動振幅を低減する。数7および数8において、以下の数式のように係数を変化させる。
【0099】
【数13】
【0100】
数12および数13に基づき
図20の駆動信号が生成される。
【実施例6】
【0128】
実施例1乃至5の各実施例において、映像装置10、20は、例えばプロジェクターやヘッドマウントディスプレイ等の映像を投影する機能を有する装置として説明したが、本実施例における映像装置はカメラやセンサー等の画像を取得する機能を有する撮像装置としても構成できる。
【0129】
撮像装置の一実施を
図32に従って説明する。
映像装置30は、光走査部1001、光源部1002、光源制御部1003、発光制御部1004、映像制御部1005、映像情報記憶部1006、走査軌跡制御部1007、駆動信号生成部1008、駆動制御部1009、装置制御部1010、記憶部1011、入出力制御部1012、及び受光部1020を備えている。
【0130】
図32において、発光制御部1004、映像制御部1005、映像情報記憶部1006、受光部1020以外の構成要素は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0131】
発光制御部1004、映像制御部1005は一例としてデジタル回路として実現され、発光制御部1004、映像制御部1005、走査軌跡制御部1007は同一のIC、例えばFPGA、ASIC等の集積回路内の機能ブロックとして存在していても良い。
【0132】
本実施における映像装置30は、入出力制御部1012を介して外部制御装置50と接続されている。本実施における映像装置30は、外部制御装置50へ撮像した映像信号を送信する。外部制御装置50は例えば映像情報を表示するディスプレイ装置や、映像情報を蓄積する記録装置などである。
【0133】
発光制御部1004は所定のタイミングで、光源1002を点灯させるための信号を生成する。発光制御部1004は、走査軌跡制御部1007からの情報を元に、タイミングや輝度の補正を行っても良い。
【0134】
受光部1020は、フォトディテクタなどの光を電気信号に変換する受光素子からなる。受光部1020は、受光素子のほかに、光導波路、光増幅器、電気信号増幅回路、アナログ-デジタル変換回路等を含んでいても良い。受光部1020は受光した光に応じた受光情報を生成する。受光情報は例えば受光した光の強度に応じた受光強度情報や、受光強度が変化したタイミング情報などである。本実施では、受光強度情報を例として説明する。
【0135】
撮像装置として動作する本実施例の映像装置30は、
図33に示すように撮影対象物70に光源1002から出力されたレーザー光を照射する。撮影対象物70に照射されたレーザー光は撮影対象物70の表面で反射または散乱され、反射光または散乱光の一部が受光部1020により受光される。光走査部1001により、撮影対象物70に対して該レーザー光が照射される位置が、実施例1乃至5の各実施例で説明した光走査と同様の光走査により変動する。
【0136】
映像制御部1005は、走査軌跡制御部1007から同期信号を受信し、光走査位置に応じて決まる座標(x、y)を算出する。さらに受光部1020から該受光情報を受信し、該受光情報と座標(x、y)に対応した画素データの書き込みを映像情報記憶部1006に対して行う。画素データは例えば受光強度情報に応じた階調データである。
【0137】
映像情報記憶部1006は、映像情報制御部1005から画素データを受信し、複数の画素データからなる画面データを保持する。
【0138】
入出力制御部1012は、映像情報記憶部1006に保持された画面データを所定の間隔で外部制御装置50に出力する。
【0139】
これにより、映像装置30は、外部制御装置に撮像した映像情報を送信することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。