(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内燃機関から排出される燃焼排ガスと、前記給水加熱部に供給される前記熱媒体とを熱交換する熱交換部を備える請求項3または請求項4に記載の廃棄物処理プラント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のごみ焼却炉は、内燃機関等を併設した廃棄物処理プラントに組み込まれることを想定したものではなく、特許文献1には内燃機関について開示されていない。
【0007】
廃棄物を燃焼することで生成した蒸気によって発電を行う廃棄物処理プラントにおいて、内燃機関を併設しているものがある。このような廃棄物処理プラントにおいて、併設された内燃機関を起動させるためには、内燃機関の暖機を行う必要がある。内燃機関を暖機する際に、ヒータによって加熱した循環水を内燃機関に供給する方法が知られている。しかしながら、ヒータによって加熱した循環水を内燃機関に供給する場合には、ヒータを加熱するための電力が必要となっていた。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、廃棄物処理プラント内に設けられた火格子と内燃機関との間で熱の授受を行うことで、廃棄物処理プラントにおける熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる廃棄物処理プラント
及び廃棄物処理プラントの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の廃棄物処理プラント
及び廃棄物処理プラントの運転方法は以下の手段を採用する。
本発明の一態様に係る廃棄物処理プラントは、燃焼炉内に設けられた火格子上で廃棄物を燃焼することで蒸気を生成するボイラと、前記ボイラで生成した蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの駆動力によって発電する第1発電機と、前記第1発電機とは別の発電機である第2発電機を駆動させる内燃機関と、前記火格子と前記内燃機関とを接続し、内部に熱媒体が流通する熱媒体流路と、
前記ボイラに供給する給水を加熱する給水加熱部と、前記熱媒体流路に設けられ、前記火格子から送られてくる前記熱媒体を前記内燃機関へ導くか前記給水加熱部へ導くかを切り換える切換弁と、を備え
、前記内燃機関の運転開始前に前記熱媒体が前記内燃機関へ導かれるとともに、前記内燃機関の運転開始後に前記熱媒体が前記給水加熱部へ導かれるように、前記切換弁が切り換えられる。
また、本発明の一態様に係る廃棄物処理プラントの運転方法は、燃焼炉内に設けられた火格子上で廃棄物を燃焼することで蒸気を生成するボイラと、前記ボイラで生成した蒸気によって駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンの駆動力によって発電する第1発電機と、前記第1発電機とは別の発電機である第2発電機を駆動させる内燃機関と、前記火格子と前記内燃機関とを接続し、内部に熱媒体が流通する熱媒体流路と、前記ボイラに供給する給水を加熱する給水加熱部と、前記熱媒体流路に設けられ、前記火格子から送られてくる前記熱媒体を前記内燃機関へ導くか前記給水加熱部へ導くかを切り換える切換弁と、を備える廃棄物処理プラントの運転方法であって、前記内燃機関の運転開始前に前記火格子から前記内燃機関へ前記熱媒体を導く工程と、前記内燃機関の運転開始後に前記火格子から前記給水加熱部へ前記熱媒体を導く工程と、を備える。
【0010】
上記構成では、火格子と内燃機関とを接続し、内部に熱媒体が流通する熱媒体流路を有している。これにより、廃棄物処理プラント内に設けられた火格子と内燃機関との間で熱の授受を行うことができる。したがって、廃棄物処理プラントにおける熱損失を低減させ、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0011】
火格子から排出された熱媒体の温度が内燃機関よりも高い場合には、火格子から排出された熱媒体によって、内燃機関が加熱される。すなわち、火格子と熱交換することによって加熱された熱媒体が、内燃機関に供給され、内燃機関と熱交換することで内燃機関を加熱する。これにより、例えば、内燃機関の運転開始前など、内燃機関の温度が低く暖気が必要な場合に、火格子の熱を利用して、内燃機関を暖機することができる。したがって、内燃機関を暖機するためのヒータ等を設けることなく内燃機関を暖機することができる。よって、ヒータ等を設ける場合と比較して、廃棄物処理プラントの設備を簡素化し設備コストを低減させるとともに、ヒータ等による消費電力を削減しランニングコストを低減させることができる。
【0012】
また、上記構成では、熱媒体流路が火格子と内燃機関とを接続している。これにより、火格子と内燃機関との間で直接的に熱の授受を行うことができる。したがって、熱交換器等を介して火格子と内燃機関と間で熱の授受を行う場合と比較して、熱損失を低減させることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る廃棄物処理プラントは、前記内燃機関から排出される前記熱媒体の温度を計測する温度計測手段と、前記内燃機関に供給する前記熱媒体の流量を調整する流量調整手段と、を備え、前記温度計測手段が計測した温度に基づいて、前記流量調整手段によって前記内燃機関に供給してもよい。
【0014】
上記構成では、内燃機関から排出される熱媒体の温度に基づいて内燃機関に供給する熱媒体の量が調整される。内燃機関から排出される熱媒体の温度を計測することによって、内燃機関の加熱状態を判断することができる。したがって、内燃機関の加熱状態に基づいて、熱媒体の量を調整することができるので、的確に内燃機関の加熱を行うことができる。
なお、上記構成の「前記内燃機関に供給する前記熱媒体の流量を調整する」の意味には、内燃機関に熱媒体を供給しない状態とすることも含まれる。内燃機関に熱媒体を供給しない状態とは、例えば、内燃機関の運転が開始され、内燃機関の暖気を行う必要がなくなった状態等である。
【0015】
また、本発明の一態様に係る廃棄物処理プラントは
、前記熱媒体流路は、前記火格子と前記内燃機関との間から分岐し、前記給水加熱部に接続される分岐熱媒体流路を有し、前記給水加熱部は、前記熱媒体と前記給水とを熱交換し、前記熱媒体流路には、前記内燃機関に供給される前記熱媒体の流量と、前記給水加熱部に供給される前記熱媒体の流量とを調整する分岐流量調整手段が設けられていてもよい。
【0016】
上記構成では、火格子と給水加熱部が熱媒体流路によって接続されている。これにより、火格子の熱を利用して給水を加熱することができる。
また、上記構成では、分岐流量調整手段によって、内燃機関に供給される熱媒体の流量と、給水加熱部に供給される熱媒体の流量とが調整される。これにより、内燃機関及び給水加熱部に対して、熱媒体が過剰に供給される事態や、熱媒体が不必要な状況において熱媒体が供給される事態を防止可能とすることができる。したがって、廃棄物処理プラント内において熱媒体が必要な個所に対して適量の熱媒体を供給することが可能となり、より好適に、廃棄物処理プラント全体における熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
なお、上記構成の「前記内燃機関に供給される前記熱媒体の流量と、前記給水加熱部に供給される前記熱媒体の流量とを調整する」の意味には、内燃機関または給水加熱部に熱媒体を供給しない状態とすることも含まれる。内燃機関に熱媒体を供給しない状態とは、例えば、内燃機関の運転が開始され、内燃機関の暖気を行う必要がなくなった状態等である。
【0017】
また、本発明の一態様に係る廃棄物処理プラントは、前記内燃機関から排出される前記熱媒体の温度を計測する温度計測手段を備え、前記温度計測手段が計測した温度に基づいて、前記分岐流量調整手段によって、前記内燃機関に供給される前記熱媒体の流量と、前記給水加熱部に供給される前記熱媒体の流量とが調整されていてもよい。
【0018】
上記構成では、内燃機関の加熱状態に基づいて、熱媒体の量を調整することができるので、的確に内燃機関の加熱を行うことができるとともに、内燃機関の加熱に必要のない熱媒体を給水加熱部で利用することができる。したがって、廃棄物処理プラント全体における熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る廃棄物処理プラントは、前記内燃機関から排出される燃焼排ガスと、前記給水加熱部に供給される前記熱媒体とを熱交換する熱交換部を備えていてもよい。
【0020】
上記構成では、内燃機関から排出される燃焼排ガスと、給水加熱部に供給される熱媒体とを熱交換する熱交換部を備えている。これにより、内燃機関の運転開始後には、燃焼排ガスの熱を、熱交換部及び給水加熱部を介して、ボイラに供給される給水の加熱に利用することができる。したがって、廃棄物処理プラント全体における熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、廃棄物処理プラント全体における熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る廃棄物処理プラント
及び廃棄物処理プラントの運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、
図1及び
図2を用いて説明する。
本実施形態に係る廃棄物処理プラント1は、
図1及び
図2に示すように、燃焼炉2内に設けられた火格子9上で廃棄物を燃焼して生成された燃焼ガスによって蒸気を生成するボイラ3と、ボイラ3からの蒸気によって駆動される蒸気タービン4と、廃棄物からメタン含有バイオガスを生成するメタン発酵槽5と、メタン発酵槽5からのメタン含有バイオガスによって駆動するガスエンジン6とを備えている。また、廃棄物処理プラント1は、第1発電機7及び第2発電機8によって発電を行っている。第1発電機7の回転軸は、蒸気タービン4の回転軸に接続され、第1発電機7は蒸気タービン4の回転力によって発電する。また、第2発電機8の回転軸は、ガスエンジン6の回転軸に接続され、第2発電機8は、ガスエンジン6の駆動力によって発電する。
【0024】
ボイラ3は、廃棄物を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼炉2と、燃焼炉2にて生成された燃焼ガスを導く煙道11と、内部に給水が流通して煙道11内に設置される複数の伝熱管とを有する。
【0025】
燃焼炉2は、廃棄物供給路12から火格子9上に投入された廃棄物を、火格子9によって移送する。燃焼炉2内では、炉底より燃焼空気を導入され、火格子9上に形成された一次燃焼室にて廃棄物の乾燥、熱分解を行った後に、火格子9の下流側にて燃焼を行い、燃焼ガスを生成する。燃焼空気は、燃焼炉2に連通した燃焼空気導入管13内を流通して燃焼炉2内に導入される。
【0026】
火格子9には、廃棄物の移送を行う火格子本体部9aと、火格子本体部9aを冷却する火格子配管9bとを有する。火格子配管9bは、火格子本体部9aの内部または裏側に設けられる。火格子配管9bは、火格子本体部9aの略全面に沿うように設けられ、内部を流れる冷却水(熱媒体)が火格子本体部9aと熱交換を行う。火格子配管9b内を流通する冷却水は、流入口から火格子配管9b内に流入し、排出口から排出される。
【0027】
燃焼炉2内で生成された燃焼ガスは、煙道11内を流れる。燃焼ガスは、煙道11内に設置された複数の伝熱管(図示省略)内を流れる給水と熱交換を行う。伝熱管内を流れる給水と熱交換を終えた燃焼ガスは、燃焼排ガスとしてボイラ3から排出される。ボイラ3から排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス管17内を流通し、バグフィルタ18において必要な処理を施した後に、ファン19を介して煙突20から大気へ排気される。
【0028】
伝熱管は、煙道11内に延在し、煙道11の壁部近傍で複数回に亘って折り返される構造をしている。伝熱管の内部には給水が流通する。伝熱管の上流側端部は蒸気供給管21に連通し、下流側端部は給水供給管22に連通している。伝熱管内を流れる給水と、煙道11内を流れる燃焼ガスとが熱交換を行うことで、蒸気が生成される。
【0029】
生成された蒸気は、蒸気供給管21内を流通して蒸気タービン4に導入される。蒸気タービン4に導入された蒸気は、蒸気タービン4を回転させる。蒸気タービン4の回転軸には、第1発電機7の回転軸が接続されていて、蒸気タービン4が回転することで、第1発電機7が駆動し、発電する。なお、蒸気タービン4に導入された蒸気の一部は、抽気蒸気管23を介して後述する第2給水加熱器26に供給される。
【0030】
蒸気タービン4を回転させた蒸気は、復水器24において凝縮し水になる。復水器24で生成された水は、給水供給管22内を流通し、ボイラ3内に設けられた伝熱管に給水として供給される。給水供給管22には、上流側から順に、第1給水加熱器(給水加熱部)25及び第2給水加熱器26が設けられている。第1給水加熱器25には熱交換器25aが設けられ、この熱交換器25a内を流れる冷却水と、復水器24からボイラ3に供給される給水とが熱交換することによって、給水が加熱される。第2給水加熱器26では、蒸気タービン4から抽気された蒸気の一部によって、第1給水加熱器25で加熱された給水がさらに加熱される。なお、第2給水加熱器26で給水を加熱した後の水または蒸気は、排出管27を介して復水器24に戻される。
なお、第1給水加熱器25及び第2給水加熱器26の両方で給水を加熱するのは、
図2に示すように、第1給水加熱器25に対して火格子6で加熱された冷却水が供給されている場合のみである。
図1に示すように、第1給水加熱器25に冷却水が供給されていない場合には、第2給水加熱器26のみで給水の加熱を行う。
【0031】
メタン発酵処理される廃棄物は、メタン発酵槽廃棄物供給路15を介してメタン発酵槽5に供給される。メタン発酵槽5では、メタン発酵処理される廃棄物からメタン含有バイオガスを生成する。生成されたメタン含有バイオガスは、バイオガス供給管28を介してガスエンジン6に供給される。また、メタン含有バイオガスを生成した際に生じる汚泥は、メタン発酵槽5から排出され、汚泥排出管29内を流通し、汚泥回収部(図示省略)にて回収される。
【0032】
ガスエンジン6は、メタン含有バイオガスによって駆動するエンジン本体部6aと、エンジン本体部6aを冷却するエンジン配管6bとを有する。
エンジン本体部6aは、バイオガス供給管28から供給されたメタン含有バイオガスを、空気供給装置(図示省略)から空気供給管38を介して供給される空気とともに燃焼させて駆動する。エンジン本体部6aでは駆動するピストン(図示省略)をクランクシャフト(図示省略)によって回転運動に変換する。エンジン本体部6aの回転軸には、第2発電機8の回転軸が接続されていて、エンジン本体部6aが駆動することで第2発電機8が駆動し、発電が行われる。
エンジン配管6bは、エンジン本体部6aの内部に設けられ、エンジン配管6bの内部を流れる冷却水がエンジン本体部6aと熱交換を行う。エンジン配管6b内を流通する冷却水は、流入口からエンジン配管6b内に流入し、排出口から排出される。
【0033】
ガスエンジン6から排出された燃焼排ガスは、エンジン用燃焼排ガス管30内を流通し、燃焼排ガス管17に合流し、ファン19を介して煙突20から大気へ排気される。
【0034】
また、本実施形態に係る廃棄物処理プラント1は、火格子9とガスエンジン6と第1給水加熱器25とを接続する循環流路(熱媒体流路)10を備えている。循環流路10は、火格子9とガスエンジン6とを直接接続する第1冷却水流路31及び第2冷却水流路32を備える。第1冷却水流路31及び第2冷却水流路32の内部には、冷却水が流通する。
第1冷却水流路31は、火格子9に設けられた火格子配管9bの排出口と、エンジン配管6bの流入口とを接続する。第2冷却水流路32は、エンジン配管6bの排出口と、火格子配管9bの流入口とを接続している。
【0035】
また、循環流路10は、第1冷却水流路31の途中位置からから分岐する第1分岐流路(分岐熱媒体流路)33と、第2冷却水流路32の途中位置から分岐する第2分岐流路(分岐熱媒体流路)34とを有する。第1分岐流路33は、第1冷却水流路31の途中位置と、第1給水加熱器25に設けられた熱交換器25aの流入口とを接続している。第2分岐流路34は、熱交換器25aの排出口と第2冷却水流路32の途中位置とを接続している。第1分岐流路33及び第2分岐流路34の内部には冷却水が流通する。
【0036】
また、第1冷却水流路31には、第1分岐流路33が分岐する位置に、第1流路切替え弁(流量調整手段、分岐流量調整手段)35が設けられている。第1流路切替え弁35は、火格子配管9bから送られてくる冷却水を、エンジン配管6bに供給するか、熱交換器25aに供給するかを切替える。
【0037】
また、第2冷却水流路32には、第2分岐流路34が分岐する位置に、第2流路切替え弁36が設けられている。第2流路切替え弁36は、エンジン配管6bから送られてくる冷却水を、火格子配管9bに供給するか、熱交換器25aに供給するかを切替える。また、第2流路切替え弁36は、熱交換器25aから送られてくる冷却水を、火格子配管9bに供給するか、エンジン配管6bに供給するかを切替える。
また、エンジン配管6bの排出口と第2流路切替え弁36との間の第2冷却水流路32には、温度計(温度計測手段)37が設けられている。温度計37は、エンジン配管6bの排出口から排出された冷却水の温度を計測する。
【0038】
次に、本実施形態における冷却水の流れについて説明する。
【0039】
[ガスエンジンの運転開始前]
ボイラ3の運転中であって、ガスエンジン6の運転開始前の状態では、
図1に示すように、冷却水は、火格子9とガスエンジン6との間を循環している。ガスエンジン6の運転開始前の冷却水の流れについて以下で詳細に説明する。
【0040】
ボイラ3の運転中には、ボイラ3の燃焼炉2内に形成される炎等の影響によって、火格子本体部9aが加熱されている。この時、火格子配管9b内を流通する冷却水と、火格子本体部9aとが熱交換することで、火格子本体部9aが冷却されるとともに、冷却水が加熱される。加熱された冷却水は、火格子配管9bの排出口から第1冷却水流路31に流入する。火格子配管9bの排出口から排出される冷却水の温度は、ガスエンジン6を暖機するのに十分な温度となっている。この時、第1冷却水流路31に設けられた第1流路切替え弁35は、冷却水をガスエンジン6に導くように切替えられている。これにより、第1冷却水流路31を流通する冷却水は、ガスエンジン6のエンジン配管6bに導かれ、流入口からエンジン配管6b内に流入する。
【0041】
エンジン配管6bに流入した冷却水は、エンジン配管6b内を流通しながら、エンジン本体部6aと熱交換を行う。この時、ガスエンジン6は運転開始前の状態なので、エンジン本体部6aは、エンジン配管6b内を流通する冷却水よりも低温の状態となっている。したがって、エンジン本体部6aと冷却水とが熱交換することで、エンジン本体部6aが加熱されるとともに、冷却水が冷却される。冷却された冷却水は、エンジン配管6bの排出口から第2冷却水流路32に流入する。この時、第2冷却水流路32に設けられた第2流路切替え弁36は、冷却水を火格子9に導くように切替えられている。これにより、第2冷却水流路32を流通する冷却水は、火格子9の火格子配管9bに導かれ、流入口から火格子配管9b内に流入する。
このように、ガスエンジン6の運転開始前には、冷却水が火格子9とガスエンジン6との間を循環し、火格子本体部9aを冷却するとともに、エンジン本体部6aを暖機している。
【0042】
[ガスエンジンの運転開始後]
ボイラ3の運転中であって、ガスエンジン6の運転開始後の状態では、
図2に示すように、冷却水は、火格子9と第1給水加熱器25との間を循環している。ガスエンジン6の運転開始後の冷却水の流れについて以下で詳細に説明する。
【0043】
ボイラ3の運転中には、冷却水は、加熱された状態で火格子配管9bの排出口から第1冷却水流路31に流入する。この時、第1冷却水流路31に設けられた第1流路切替え弁35は、冷却水を、第1分岐流路33を介して第1給水加熱器25に導くように切替えられている。これにより、第1冷却水流路31を流通する冷却水は、途中位置から第1分岐流路33に流入する。そして、第1分岐流路33を流通する冷却水は、第1給水加熱器25の熱交換器25aに導かれ、流入口から熱交換器25a内に流入する。
【0044】
熱交換器25aに流入した冷却水は、熱交換器25a内を流通しながら、復水器24からボイラ3へと流通する給水と熱交換を行う。この時、給水の温度は冷却水の温度よりも低いので、給水と冷却水とが熱交換することで、給水が加熱されるとともに、冷却水が冷却される。冷却された冷却水は、熱交換器25aの排出口から第2分岐流路34に流入する。この時、第2冷却水流路32に設けられた第2流路切替え弁36は、冷却水を火格子9に導くように切替えられている。これにより、第2分岐流路34を流通する冷却水は、第2冷却水流路32の途中位置から、第2冷却水流路32に合流し、火格子9に導かれる。火格子9に導かれた冷却水は、流入口から火格子配管9b内に流入する。
このように、ガスエンジン6の運転開始後には、冷却水が火格子9と第1給水加熱器25との間を循環し、火格子本体部9aを冷却するとともに、ボイラ3に供給される給水を加熱している。
【0045】
上述のように、本実施形態では、ガスエンジン6の運転開始前の状態と、ガスエンジン6の運転開始後の状態とで、第1流路切替え弁35及び第2流路切替え弁36によって、冷却水の流路が変更される。
冷却水の流路の変更は、ガスエンジン6の運転が開始されたことを確認して、手動で第1流路切替え弁35及び第2流路切替え弁36を操作し流路を変更してもよい。また、制御装置(図示省略)を設け、制御装置がガスエンジン6の運転が開始されているか否かを判断して、ガスエンジン6の運転が開始されていると判断した場合に、制御装置が第1流路切替え弁35及び第2流路切替え弁36を操作し流路を変更してもよい。
制御装置が、ガスエンジン6の運転が開始された状態か否かを判断する場合には、第2冷却水流路32に設けられた温度計37によって、エンジン配管6bから排出された冷却水の温度に基づいて判断してもよい。具体的には、エンジン配管6bから排出された冷却水の温度が所定の温度以上となった場合には、エンジン本体部6aの運転により冷却水が加熱されていると判断して、ガスエンジン6の運転が開始されていると判断してもよい。
【0046】
制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0047】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、火格子9とガスエンジン6とを接続し、内部に冷却水が流通する第1冷却水流路31及び第2冷却水流路32を有している。これにより、廃棄物処理プラント1内に設けられた火格子9とガスエンジン6との間で熱の授受を行うことができる。また、第1分岐流路33及び第2分岐流路34を介して、火格子9と第1給水加熱器25とが接続されている。これにより、廃棄物処理プラント1内に設けられた火格子9と第1給水加熱器25との間で熱の授受を行うことができる。以上から、廃棄物処理プラント1における熱損失を低減させ、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0048】
具体的には、ガスエンジン6の運転開始前には、火格子本体部9aと熱交換することによって加熱された冷却水が、ガスエンジン6に供給され、ガスエンジン6を加熱する。これにより、火格子9の熱を利用して、ガスエンジン6を暖機することができる。したがって、ガスエンジン6を暖機するための専用のヒータ等を設けることなくガスエンジン6を暖機することができる。よって、専用のヒータ等を設ける場合と比較して、廃棄物処理プラント1の設備を簡素化し設備コストを低減させるとともに、ヒータ等による消費電力を削減しランニングコストを低減させることができる。
【0049】
ガスエンジン6の運転開始後には、火格子本体部9aと熱交換することによって加熱された冷却水が、第1給水加熱器25に供給され、給水を加熱する。これにより、火格子9の熱を利用して第2給水加熱器26に供給される前の給水を加熱(以下、「予熱」という。)することができる。第2給水加熱器26に供給される前の給水を加熱することで、第2給水加熱器26において給水を加熱する際に用いられる熱を低減させることができる。すなわち、本実施形態では、第2給水加熱器26において蒸気タービン4から蒸気の一部を抽気し、その蒸気を使用して給水を加熱しているので、火格子9で発生した熱によって給水を予熱することで、蒸気タービン4から抽気する蒸気の量を低減することができる。これにより、蒸気タービン4によって駆動する第1発電機7の発電量が、抽気量が低減した分だけ向上する。すなわち、廃棄物処理プラント1全体の発電量が向上する。したがって、ガスエンジン6で発生した熱を給水の予熱に使用しない場合と比較して、廃棄物処理プラント1全体の発電効率を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、ガスエンジン6の運転開始前には、火格子9からの冷却水をガスエンジン6に供給するとともに、ガスエンジン6が運転を開始しガスエンジン6自体が発熱する状況であるガスエンジン6の運転開始後には、火格子9からの冷却水を第1給水加熱器25に供給している。これにより、ガスエンジン6の暖機が必要なく、ガスエンジン6に冷却水を供給する必要がない状況において、ガスエンジン6に対して冷却水を供給することなく、火格子9の熱エネルギーを給水の加熱に利用することができる。したがって、より好適に、廃棄物処理プラント全体における熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0051】
また、本実施形態では、第1冷却水流路31及び第2冷却水流路32が、火格子9とガスエンジン6とを直接接続している。これにより、火格子9とガスエンジン6との間で直接的に熱の授受を行うことができる。したがって、熱交換器等を介して火格子9とガスエンジン6と間で熱の授受を行う場合と比較して、熱損失を低減させることができる。
また、同様に、火格子9と第1給水加熱器25とを直接接続している。これにより、火格子9と第1給水加熱器25との間で直接的に熱の授受を行うことができる。したがって、熱交換器等を介して火格子9と第1給水加熱器25と間で熱の授受を行う場合と比較して、熱損失を低減させることができる。
【0052】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、
図3を用いて説明する。
本実施形態では、基本的に第1実施形態と同様の構造を有し、第1冷却水流路31及び第2冷却水流路32に、第1流路切替え弁35及び第2流路切替え弁36が設けられていない代わりに、流量調整弁が設けられている点が第1実施形態と異なる。また、第1分岐流路33及び第2分岐流路34に、開閉弁が設けられている点が第1実施形態と異なる。第1実施形態と同一の構成については同一符号を付しその説明を省略する。
【0053】
第1冷却水流路31には、第1分岐流路33が分岐する分岐位置P1とエンジン配管6bの流入口との間に第1流量調整弁(流量調整手段、分岐流量調整手段)41が設けられている。また、第2冷却水流路32には、第2分岐流路34が分岐する分岐位置P2とエンジン配管6bの排出口との間に第2流量調整弁(流量調整手段、分岐流量調整手段)42が設けられている。また、第1分岐流路33には、第1開閉弁43が設けられている。また、第2分岐流路34には、第2開閉弁44が設けられている。第1流量調整弁41及び第2流量調整弁42は、開度を調整することで、各流路を流通する冷却水の流量を調整する。
また、本実施形態に係る廃棄物処理プラント1は、各流量調整弁及び各開閉弁を制御する制御装置(図示省略)を備えている。制御装置には、温度計37が計測した冷却水の温度が、温度計37から逐次送信される。
【0054】
次に、本実施形態における冷却水の流れについて説明する。
【0055】
[ガスエンジンの運転開始前]
本実施形態では、ガスエンジン6の運転開始前には、
図3に示すように、火格子9からの冷却水が、ガスエンジン6及び第1給水加熱器25の両方に流通している。すなわち、ガスエンジン6の運転開始前には、第1流量調整弁41、第2流量調整弁42、第1開閉弁43及び第2開閉弁44のすべてが開いた状態となっている。この時、第1冷却水流路31及び第2冷却水流路32内には、予め実験等で求められた、ガスエンジン6を好適に暖機できるとされた所定の流量の冷却水が流通している。また、第1分岐流路33及び第2分岐流路34内には、循環する冷却水の全量から、第1分岐流路33及び第2分岐流路34内を流通する冷却水の流量を減じた流量の冷却水が流通している。すなわち、第1分岐流路33及び第2分岐流路34内には、余剰分の冷却水が流通するようになっている。
【0056】
また、温度計37が計測した冷却水の温度が所定の値(本実施形態では、略90度)よりも低い場合には、ガスエンジン6の暖機が十分に行われていないと判断して、制御装置が、第1流量調整弁41の開度を増大させる制御を行い、ガスエンジン6に供給される冷却水の流量を増加させる。なお、第1流量調整弁41の開度を増大させる制御を行うとともに、第2流量調整弁42の開度を減少させる制御を行い、ガスエンジン6に供給される冷却水の流量を増大させてもよい。ガスエンジン6に供給される冷却水の流量が増大すると、ガスエンジン6に供給される熱エネルギーが増大し、ガスエンジン6の温度が昇温する。なお、上記所定の値は一例であり、ガスエンジン6に供給される冷却水の流量を増加させるための閾値は90度に限定されない。
このように、ガスエンジン6の運転開始前には、冷却水が火格子9とガスエンジン6及び第1給水加熱器25との間を循環している。これにより、火格子本体部9aを冷却するとともに、エンジン本体部6aを暖機し、さらには、ボイラ3に供給される給水を加熱している。
【0057】
[ガスエンジンの運転開始後]
ガスエンジン6の運転開始後には、第1実施形態と同様に、冷却水は、ガスエンジン6には供給されずに、火格子9と第1給水加熱器25との間を循環している。ガスエンジン6の運転開始後の冷却水の流れは、第1実施形態と同様のため、その詳細な説明は省略する。
なお、ガスエンジン6の運転開始後には、第1流量調整弁41の開度は0%(すなわち全閉状態)にされ、第2流量調整弁42の開度は100%(すなわち全開状態)にされる。また、第2開閉弁44は開状態にされ、第1開閉弁43は逆流を防止するために閉状態にされる。
【0058】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
また、第1流量調整弁41及び第2流量調整弁42によって、ガスエンジン6に供給される冷却水の流量と、第1給水加熱器25に供給される冷却水の流量とが調整される。これにより、ガスエンジン6及び第1給水加熱器25に対して、冷却水が過剰に供給される事態を防止することができる。したがって、廃棄物処理プラント1内において冷却水が必要な個所に対して適量供給することが可能となり、より好適に、廃棄物処理プラント1全体における熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0059】
本実施形態では、ガスエンジン6から排出される冷却水の温度に基づいてガスエンジン6に供給する冷却水の流量が調整される。ガスエンジン6から排出される冷却水の温度を計測することによって、ガスエンジン6の暖機状態を判断することができる。したがって、ガスエンジン6の暖機状態に基づいて、冷却水の量を調整することができるので、的確にガスエンジン6の暖機を行うことができる。また、ガスエンジン6の暖機に必要のない冷却水を第1給水加熱器25で利用することができる。以上から、より好適に、廃棄物処理プラント全体における熱損失を低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0060】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について、
図4を用いて説明する。
本実施形態では、基本的に第1実施形態と同様の構造を有し、ガスエンジン6から排出される燃焼排ガスと、第1給水加熱器25に供給される冷却水とを熱交換する冷却水加熱部(熱交換部)51を備えている点で第1実施形態と異なっている。第1実施形態と同一の構成については同一符号を付しその説明を省略する。
【0061】
本実施形態に係る廃棄物処理プラント1は、
図4に示すように、ガスエンジン6から排出される燃焼排ガスと第1給水加熱器25に供給される冷却水とを熱交換する冷却水加熱部51と、エンジン用燃焼排ガス管30の途中位置から分岐して、ガスエンジン6の燃焼排ガスを冷却水加熱部51に導く燃焼排ガス供給管52と、冷却水加熱部51から排出されたガスエンジン6の燃焼排ガスを燃焼排ガス管17に導入する燃焼排ガス排出管53と、を備える。また、エンジン用燃焼排ガス管30から燃焼排ガス供給管52が分岐する位置には、第3流路切替え弁54が設けられている。第3流路切替え弁54は、ガスエンジン6からの燃焼排ガスが、燃焼排ガス管17に流入するか、燃焼排ガス供給管52に流入するかを切替える。
冷却水加熱部51には、第1分岐流路33内を流通する冷却水が供給される。
【0062】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
上記構成では、ガスエンジン6から排出される燃焼排ガスと、第1給水加熱器25に供給される冷却水とを熱交換する冷却水加熱部51を備えている。ガスエンジン6から排出される燃焼排ガスは、400度から500度と高温であるので、ガスエンジン6の運転開始後には、この燃焼排ガスの熱によって、第1給水加熱器25に供給される冷却水を加熱することができる。第1給水加熱器25に供給される冷却水が加熱することによって、第1給水加熱器25で給水をより加熱することができる。したがって、ガスエンジン6の燃焼排ガスの熱エネルギーを冷却水加熱部51及び第1給水加熱器25を介して、ボイラ3に供給される給水の加熱に利用することができる。したがって、廃棄物処理プラント1全体における熱損失をより低減させて、熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0063】
なお、本発明は、上記各実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
【0064】
例えば、上記各実施形態では、火格子9で加熱された冷却水を供給する内燃機関について、メタン発酵槽5からのメタン含有バイオガスによって駆動するガスエンジン6を適用する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、非常時に廃棄物処理プラント1に電気を供給するバックアップ用のエンジンに対して、火格子9で加熱された冷却水を供給してもよい。バックアップ用のエンジンは、廃棄物処理プラントが正常に稼働している状態では、運転を行っておらず、待機状態にある。一方、廃棄物処理プラントに異常が発生した場合には、即時に運転を開始しなければならないため、待機状態にあっても、常に暖機された状態を維持しなければならない。したがって、暖機に要するエネルギーが大きく、ヒータ等の熱で暖機を行う場合には、コストが増大するという問題があるが、火格子9の熱エネルギーで暖機を行うことで、このコストを削減することができる。
【0065】
また、上記各実施形態では、ガスエンジン6が単数設けられている例について説明したが、ガスエンジンは、複数台設けられていてもよい。複数台のガスエンジンを設けた廃棄物処理プラントでは、メンテナンス等で1つのガスエンジンを停止させ、その間に、他のガスエンジンで発電等を維持することがある。このように運転するガスエンジンを順次切り替えることで、ガスエンジンの運転を開始する回数も増える。したがって、暖機に要するエネルギーが大きく、ヒータ等の熱で暖機を行う場合には、コストが増大するという問題があるが、火格子9の熱エネルギーで暖機を行うことで、このコストを削減することができる。
【0066】
また、上記各実施形態では、ガスエンジンを適用する例について説明したが、内燃機関の種類はガスエンジンに限定されない。暖気が必要な内燃機関であればよく、例えば、ディーゼルエンジンであってもよい。
【0067】
また、第3実施形態では、エンジン用燃焼排ガス管30から燃焼排ガス供給管52が分岐する位置に、第3流路切替え弁54を設け、ガスエンジン6からの燃焼排ガスが、燃焼排ガス管17に流入するか、燃焼排ガス供給管52に流入するかを切替えることができる構成について説明したが、第3流路切替え弁54及び第3流路切替え弁54から燃焼排ガス供給管52に合流する配管を省略し、燃焼排ガスを常に冷却水加熱部51に導く構成にしてもよい。このような構成とすることで、第3流路切替え弁54及び第3流路切替え弁54から燃焼排ガス供給管52に合流する配管を省略することで、廃棄物処理プラント1の構成を簡素化することができる。
【0068】
また、上記各実施形態は、それぞれ、組み合わせることができる。例えば、第1実施形態または第3実施形態と第2実施形態とを組み合わせてもよい。