(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る半導体リレーおよび車両用電流検出装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る車両用電流検出装置の概略構成を示すブロック図である。
図2は、第1実施形態に係る車両用電流検出装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る半導体リレーの外観図である。
図4は、第1実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示す部分拡大図である。
図5は、第1実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示す図である。
図6は、第1実施形態に係る電圧検出部の概略構成図である。
図7は、第1実施形態に係る電圧検出部の温度特性を示す図である。なお、
図4は、ケースのカバーを取り外して、内部空間を外部に露出させた状態を示す図である。ここで、
図2〜
図4のX方向は、本実施形態における車両用電流検出装置の幅方向である。Y方向は、本実施形態における車両用電流検出装置の奥行き方向であり、幅方向と直交する方向である。Y1方向は手前方向とし、Y2方向は奥方向とする。Z方向は、本実施形態における車両用電流検出装置の上下方向であり、幅方向および奥行き方向と直交する方向である。Z1方向は上方向とし、Z2方向は下方向とする。
【0019】
本実施形態に係る車両用電流検出装置1Aは、例えば電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両に搭載される電気接続箱である。車両用電流検出装置1Aは、
図1に示すように、高電圧バッテリ2と、高電圧負荷3との間に配置され、高電圧バッテリ2と、高電圧負荷3との間の電気的接続と電気的遮断とを行うものである。なお、以下の説明において、電気的接続を単に「接続」とも呼び、電気的遮断を単に「遮断」とも呼ぶ。
【0020】
高電圧バッテリ2は、上述した車両に搭載され、高電圧負荷3に電力を供給する高電圧電源である。高電圧バッテリ2は、例えば、複数の電池セルが接続された組電池から成り、直流電力を供給する。なお、高電圧バッテリ2は、直流電力を供給可能なものであれば組電池に限らず、どのような形態であってもよい。高電圧バッテリ2は、車両用電流検出装置1A側の一対の入力側端子14A(14),14B(14)に接続される。
【0021】
高電圧負荷3は、上述した車両に搭載され、高電圧バッテリ2から直流電力が供給されて動作するものである。高電圧負荷3は、例えばインバータ等から成る。高電圧負荷3は、車両用電流検出装置1A側の一対の出力側端子15A(15),15B(15)に接続される。
【0022】
車両用電流検出装置1Aは、一対の半導体リレー16A,16Bと、制御回路17とを含んで構成される。一対の半導体リレー16A,16Bおよび制御回路17は、筐体11に収容される。筐体11は、
図2に示すように、アッパーカバー12と、ロアカバー13とで構成される。アッパーカバー12およびロアカバー13は、絶縁性を有する合成樹脂等から成る。
【0023】
一対の半導体リレー16A,16Bは、高電圧バッテリ2と、高電圧負荷3との間の電路4上に配置され、電路4を開閉するものである。各半導体リレー16A,16Bは、双方向で遮断(開)と通電(閉)が可能に構成され、例えば複数のMOS−FETを含んで構成される。半導体リレー16Aは、高電圧バッテリ2の正極側に配置され、正極側の電路4の一部を構成する。半導体リレー16Aは、一方が入力側端子14Aに接続され、他方が出力側端子15Aに接続され、正極側の電路4の電気的な遮断または通電を行う。半導体リレー16Aは、制御回路17に接続され、制御回路17に正極側信号21を出力する。正極側信号21は、例えば、後述する電圧検出部33で検出される電位差情報、第1温度センサ34および第2温度センサ35で検出される温度情報等が含まれる。また、半導体リレー16Aは、制御回路17から制御信号23を入力し、制御信号23に基づいて駆動する。半導体リレー16Aは、例えば、制御信号23に基づいて正極側の電路4を開閉する。半導体リレー16Bは、高電圧バッテリ2の負極側に配置され、負極側の電路4の一部を構成する。半導体リレー16Bは、一方が入力側端子14Bに接続され、他方が出力側端子15Bに接続され、負極側の電路4の電気的な遮断または通電を行う。半導体リレー16Bは、制御回路17に接続され、制御回路17に負極側信号22を出力する。負極側信号22は、正極側信号21と同様に、電圧検出部33で検出される電位差情報、第1温度センサ34および第2温度センサ35で検出される温度情報等が含まれる。また、半導体リレー16Bは、制御回路17から制御信号23を入力し、制御信号23に基づいて駆動する。半導体リレー16Bは、例えば、制御信号23に基づいて負極側の電路4を開閉する。半導体リレー16A,16Bが閉状態において、正極側の電路4に負荷電流ILが流れ、負極側の電路4に帰還電流IRが流れる。ここで、半導体リレー16A,16Bが閉状態とは、半導体リレー16A,16Bがオン状態であり、電路4が通電していることを意味する。一方、半導体リレー16A,16Bが開状態とは、半導体リレー16A,16Bがオフ状態であり、電路4が遮断されていることを意味する。帰還電流IRは、例えば、半導体リレー16A,16Bが正常な状態において、負荷電流ILと等しい値の電流となる。
【0024】
各半導体リレー16A,16Bは、
図3〜
図5に示すように、バスバー31と、一対のスイッチング素子32A(32),32B(32)と、電圧検出部33と、第1温度センサ34と、第2温度センサ35とを含んで構成される。バスバー31、一対のスイッチング素子32A,32B、電圧検出部33、第1温度センサ34、および第2温度センサ35は、絶縁性を有する合成樹脂等から成るリレー筐体30に収容される。リレー筐体30は、
図3に示すように、上面側のカバーから複数の制御端子36が立設されている。各制御端子36は、例えばピン端子であり、後述する制御基板18のスルーホール18aに端部を差し込むことで制御基板18に接続される。
【0025】
バスバー31は、電路4の一部を構成し、かつ温度変化に応じて抵抗値が変化する導電部材である。バスバー31は、例えば銅合金等の金属材料で構成される。バスバー31は、幅方向における一方の端部が入力側端子14を構成し、他方の端部が出力側端子15を構成する。バスバー31は、リレー筐体30内に収容されている部分に、当該バスバー31から手前方向(Y1方向)に延在する一対の接点部31a,31bが形成されている。各接点部31a,31bは、複数の制御端子36のうち、任意の制御端子36にボンディングされる。接点部31a,31bは、半導体リレー16が閉状態において、バスバー31におけるAB2点間の電位差を検出するために設けられる。したがって、バスバー31におけるA点およびB点は、電位差が検出可能な位置に設けられることが好ましい。
【0026】
一対のスイッチング素子32A,32Bは、電路4上に配置され、電路4を開閉する半導体スイッチング素子である。各スイッチング素子32A,32Bは、例えば、電界効果トランジスタの一種である電力用MOS−FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)で構成される。一対のスイッチング素子32は、
図5に示すように、寄生ダイオードの向きが逆になるように、互いのソース(S)同士が直列に接続される。スイッチング素子32Aは、寄生ダイオードのカソードが高電圧バッテリ2側になるように設けられている。スイッチング素子32Bは、寄生ダイオードのカソードが高電圧負荷3側になるように設けられている。すなわち、一対のスイッチング素子32A,32Bがオフ状態のときに、高電圧バッテリ2と高電圧負荷3との間の電力の流れが遮断される。スイッチング素子32A,32Bは、複数の制御端子36のうち、任意の制御端子36にボンディングされる。
【0027】
電圧検出部33は、検出部であり、
図6に示すように、バスバー31におけるAB2点間の電位差Vsensを検出する。電位差Vsensは、接点部31a,31b間の電位差である。電圧検出部33は、制御端子36に接続され、制御端子36を介して制御回路17に接続されている。電圧検出部33は、制御回路17に対して、電位差Vsensを出力する。
【0028】
第1温度センサ34は、検出部であり、バスバー31の温度を検出するものである。第1温度センサ34は、
図4に示すように、例えばバスバー31上に配置される。第1温度センサ34は、制御端子36に接続され、制御端子36を介して制御回路17に接続されている。第1温度センサ34は、制御回路17に対して、バスバー31の温度を出力する。本実施形態における第1温度センサ34および電圧検出部33は、検出部19を構成する。検出部19は、電路4を流れる負荷電流ILに関する物理量を検出する。電路4を流れる負荷電流ILに関する物理量には、例えば電圧検出部33で検出されるバスバー31におけるAB2点間の電位差Vsens、第1温度センサ34で検出されるバスバー31の温度が含まれる。
【0029】
第2温度センサ35は、スイッチング素子32の温度を検出するものである。第2温度センサ35は、例えば一対のスイッチング素子32の近傍に配置される。第2温度センサ35は、複数の制御端子36のいずれか一つに接続され、制御端子36を介して制御回路17に接続されている。第2温度センサ35は、制御回路17に対して、スイッチング素子32の温度を出力する。
【0030】
制御回路17は、制御基板18上に実装されており、例えば、マイコンを主体に構成される。制御回路17は、各半導体リレー16A,16Bの駆動を制御する各制御信号23を、半導体リレー16A,16Bにそれぞれ出力する。制御信号23は、例えば、一対の半導体リレー16A,16Bによる電路4の通電および遮断を行わせるものである。制御回路17は、半導体リレー16Aから入力される正極側信号21および/または半導体リレー16Bから入力される負極側信号22に基づいて、制御信号23を出力することができる。制御回路17は、例えば車両用電流検出装置1Aの外部から受けた制御信号に基づいて、制御信号23を出力する構成であってもよい。本実施形態における制御回路17は、バスバー31におけるAB2点間の抵抗値Rbusおよび電位差Vsensを利用して、下式(1)により負荷電流ILを算出する。抵抗値Rbusは、
図7に示すようなバスバー31の抵抗値Rbusの温度特性から得ることができる。
図7に示す温度特性は、縦軸がバスバー31の抵抗値Rbus[Ω]、横軸がバスバー31の温度T[℃]である。ここで、R
0[Ω]をT
0[℃]におけるバスバー31の抵抗値、α[1/℃]を温度係数、T[℃]を第1温度センサ34で検出されるバスバー31の温度、T
0[℃]をバスバー31の基準温度とすると、T[℃]における抵抗値Rbusは、下式(2)で表される。本実施形態におけるバスバー31は、温度が上がると、抵抗値Rbusも上がる温度特性を有する。電位差Vsensは、制御端子36を介して接続された制御回路17により検出される。
【0031】
IL=Vsens/Rbus ・・・(1)
Rbus=R
0{1+α(T−T
0)} ・・・(2)
【0032】
次に、本実施形態に係る車両用電流検出装置1Aの電流検出動作の一例について説明する。制御回路17は、正極側信号21および負極側信号22に基づいて、半導体リレー16A,16Bの開閉状態を識別し、電路4が通電しているか否かを判定する。次に、制御回路17は、電路4が通電している状態において、正極側信号21および負極側信号22から、各電圧検出部33で検出された電位差情報、各第1温度センサ34で検出された温度情報を取得する。制御回路17は、各温度情報が示すバスバー31の温度Tに基づいて、
図7に示すバスバー31の抵抗値Rbusの温度特性からバスバー31の各抵抗値Rbusを特定する。次に、制御回路17は、各抵抗値Rbusと、各電位差情報が示すバスバー31のAB2点間の電位差Vsensとにより、負荷電流ILを算出する。制御回路17は、例えば、負荷電流ILに基づく制御信号23を半導体リレー16A,16Bに出力して、半導体リレー16A,16Bの駆動を制御する。なお、帰還電流IRは、負荷電流ILと等しい値の電流であることから、上記方法により算出することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る半導体リレー16は、高電圧バッテリ2と、高電圧負荷3との間の電路4上に配置され、電路4を開閉する半導体のスイッチング素子32を備える。これにより、従来の機械式リレーよりも信頼性が高く、寿命が長くなるという効果が得られる。また、本実施形態に係る半導体リレー16は、電路4を流れる負荷電流ILに関する物理量を検出する検出部19を備えるので、外部に検出部を追加する必要がなくなり、部品点数を増やすことなく、高電圧回路の電流検出が可能となる。また、検出部を配置するスペースが不要となるので、サイズを小さくすることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る半導体リレー16は、電路4の一部を構成し、かつ温度変化に応じて抵抗値が変化するバスバー31をさらに備え、検出部19が、バスバー31の温度を検出する第1温度センサ34と、バスバー31における2点間の電位差Vsensを検出する電圧検出部33とを備える。これにより、バスバー31を利用して電路4を流れる電流を検出することができる。また、バスバー31の抵抗値Rbusの温度特性を用いて、バスバー31のAB2点間の抵抗値Rbusを精度よく検出することができる。この結果、抵抗値Rbusと電位差Vsensとにより、容易に負荷電流ILを算出することが可能となる。また、シャント抵抗を用いることなく負荷電流ILの検出を行うことができるので、電力ロスを低減することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る車両用電流検出装置1Aは、半導体リレー16と、半導体リレー16を制御する制御回路17とを備え、制御回路17が、検出部19が検出した物理量に基づいて電路4に流れる負荷電流ILを検出する。これにより、部品点数を増やさず、効率よく高電圧回路の電流検出が可能となる。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体リレーおよび車両用電流検出装置について
図8、
図9を参照して説明する。
図8は、第2実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示す図である。
図9は、第2実施形態に係る入力側と出力側の電流値による異常検出を説明する図である。
【0037】
第2実施形態に係る車両用電流検出装置1Bは、半導体リレー26が、複数の検出部19A,19Bを有する点で上記第1実施形態に係る車両用電流検出装置1Aと異なる。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と共通する構成は同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0038】
第2実施形態における車両用電流検出装置1Bは、一対の半導体リレー26と、制御回路17とを含んで構成される。各半導体リレー26は、バスバー31と、一対のスイッチング素子32A,32Bと、一対の電圧検出部33A(33),33B(33)と、一対の第1温度センサ34A(34),34B(34)と、第2温度センサ35とを含んで構成される。本実施形態における第1温度センサ34Aおよび電圧検出部33Aは、検出部19Aを構成する。第1温度センサ34Bおよび電圧検出部33Bは、検出部19Bを構成する。検出部19Aおよび検出部19Bは、一対のスイッチング素子32A,32Bを挟んで電路4上に配置される。検出部19Aは、バスバー31において、
図4に示すように、入力側端子14側に形成される。一方、検出部19Bは、バスバー31において、入力側端子14と反対側の出力側端子15側に配置される。
【0039】
次に、本実施形態に係る車両用電流検出装置1Bの異常検出動作の一例について説明する。なお、以下に説明する半導体リレー26は、特に断りがない限り、正極側の電路4上に配置されているものとし、負極側の電路4上に配置される半導体リレー26についても同様とする。
【0040】
制御回路17は、電路4が通電している状態において、半導体リレー26から受信した正極側信号21に基づいて異常検出動作を行う。制御回路17は、正極側信号21から、各検出部19A,19Bで検出された電位差情報および温度情報を取得する。この電位差情報には、各電圧検出部33A,33Bで検出された電位差情報が含まれる。温度情報には、各第1温度センサ34A,34Bで検出された温度情報が含まれる。制御回路17は、各検出部19A,19Bの温度情報が示すバスバー31の温度Tに基づいて、
図7に示す温度特性から各検出部19A,19Bに対応する抵抗値Rbusを特定する。ここで、検出部19Aに対応する抵抗値Rbusを入力側の抵抗値Rbusとし、電位差Vsensを入力側のVsensとする。一方、検出部19Bに対応する抵抗値Rbusを出力側の抵抗値Rbusとし、電位差Vsensを出力側の電位差Vsensとする。
【0041】
次に、制御回路17は、特定した入力側および出力側の各抵抗値Rbusと、入力側および出力側の各電位差Vsensとにより、上述した式(1)および式(2)を用いて、入力側の電流値1および出力側の電流値2を算出する。入力側の電流値1および出力側の電流値2は、負荷電流ILであり、半導体リレー26が正常な場合には、
図9に示すように、略同一の波形となる。例えば、一対のスイッチング素子32A,32Bのいずれか一方に異常が発生した場合、入力側の電流値1と出力側の電流値2との差分が大きくなる。制御回路17は、入力側の電流値1と出力側の電流値2とを比較し、それらの差分が異常判定閾値を超えた場合には、半導体リレー26の異常と判定する。異常判定閾値は、例えば
図9に示すように、上下限の閾値で構成される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用電流検出装置1Bは、半導体リレー26が、スイッチング素子32を挟んで電路4上に2つの検出部19A,19Bを有する。これにより、2つの検出部19A,19Bのいずれか一方に異常が発生した場合でも、正常な方での電流検出が可能なので、部品点数を増やすことなく、車両用電流検出装置1Bにおける電流検出機能の冗長性を高めることができる。また、2つの検出部19A,19Bにより得られる電流値1,2の差分を、異常判定閾値と比較することで、半導体リレー26の異常を判定することができる。
【0043】
なお、上記第2実施形態では、制御回路17は、電路4が通電している状態において異常判定動作を行っているが、これに限定されるものではなく、電路4が遮断している状態においても異常判定動作を行うように構成してもよい。これにより、例えば半導体リレー26の開状態におけるリーク電流の異常を検出することが可能となる。
【0044】
また、上記第2実施形態では、制御回路17は、入力側の電流値1と出力側の電流値2との差分を、異常判定閾値とを比較することで半導体リレー26の異常を検出しているが、これに限定されるものではない。例えば、電圧検出部33A,33Bでそれぞれ検出された電位差(電圧)を比較することで異常の検出を行ってもよい。
【0045】
また、上記第1および第2実施形態では、電路4に流れる電流を、検出部19から得られる物理量に基づいて制御回路17が演算することにより検出しているが、これに限定されるものではない。
図10は、実施形態の変形例に係る検出部の概略構成を示す図である。本実施形態の変形例に係る検出部29は、スイッチング素子32に並列に接続された分流用スイッチング素子37である。検出部29は、電路4を流れる電流をスイッチング素子32と分流用スイッチング素子37とに分流し、分流用スイッチング素子37を流れる分流電流にもとづいて電路4を流れる負荷電流ILを検出するものである。検出部29は、スイッチング素子32と同様に、例えばMOS−FETで構成される。検出部29は、スイッチング素子32のドレイン(Drain)側から分流された分流電流がSens側の端子に向けて流れる。この分流電流は、例えば、ドレイン−ソース(Source)間に流れる電流に対して、1/5000に設定される。Sens側の端子は、制御端子36に接続され、制御端子36を介して制御回路17に接続される。これにより、電路4を流れる負荷電流ILを容易に検出することができる。また、バスバー31の接点部31a,31bや第1温度センサ34を搭載することなく、電流を検出する検出部19の小型化および低コスト化を図ることが可能となる。
【0046】
また、上記第1および第2実施形態では、第1温度センサ34は、
図4に示すように、バスバー31上に配置されるが、バスバー31の温度を検出可能な位置であれば、図示例に限定されるものではない。第2温度センサ35は、一対のスイッチング素子32の近傍に配置されるが、スイッチング素子32の温度を検出可能な位置であればよい。
【0047】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る半導体リレーおよび車両用電流検出装置について
図11〜
図19を参照して説明する。
図11は、第3実施形態に係る車両用電流検出装置の概略構成を示すブロック図である。
図12は、第3実施形態に係る車両用電流検出装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図13は、第3実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示すブロック図である。
図14は、第3実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示す斜視図である。
図15は、第3実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示す平面図である。
図16は、第3実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示す側面図である。
図17は、第3実施形態に係る半導体リレーの概略構成を示す部分縦断面図である。
図18は、第3実施形態に係る電圧検出部の概略構成図である。
図19は、第3実施形態に係る電圧検出部の温度特性を示す図である。なお、
図15、
図16は、電流検出ユニットを外部に露出させた状態の半導体リレーを示す図である。
図17は、半導体リレーを構成する電流検出ユニットの縦断面図であり、一部を省略している。
【0048】
第3実施形態に係る車両用電流検出装置10は、主に、充電インレット7と、充電インレット7と高電圧バッテリ2との間の電路5と、電路5に配置された半導体リレー46とを備える点で上記第1実施形態に係る車両用電流検出装置1Aと異なる。なお、以下の説明において、上記第1実施形態と共通する構成は同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0049】
第3実施形態に係る車両用電流検出装置10は、
図11に示すように、一対の半導体リレー46A(46),46B(46)、制御回路17に加えて、電路5、充電インレット7、一対の半導体リレー46C(46),46D(46)を含んで構成される。4つの半導体リレー46A〜46D、電路4,5の一部、及び制御回路17は、
図12に示すように、アッパーカバー12及びロアカバー13で構成される筐体11に収容される。本実施形態における4つの半導体リレー46A〜46Dは、1つの筐体11に収容される。
【0050】
電路5は、第1電路である電路4に対して、高電圧バッテリ2と、充電インレット7との間に配置される第2電路である。電路5は、充電インレット7と高電圧バッテリ2とを接続する。電路5は、高電圧バッテリ2側の一部が電路4と共有し、電路4を介して高電圧負荷3に接続する。本実施形態の電路5は、例えば、充電インレット7を介して外部電源に接続し、外部電源から高電圧バッテリ2への通電に供される。外部電源は、例えば充電装置等が含まれる。電路5は、例えば、充電インレット7に外部電源(不図示)が接続され、かつ半導体リレー46C,46Dが閉状態において、通電電流ILが流れる。この通電電流ILは、高電圧バッテリ2への充電電流を含むものである。
【0051】
充電インレット7は、外部電源に接続する接続部であり、例えば充電コネクタである。充電インレット7は、電路5に接続され、当該電路5を介して高電圧バッテリ2に接続する。また、充電インレット7は、電路5及び電路4を介して高電圧負荷3に接続する。
【0052】
一対の半導体リレー46A,46Bは、上述した一対の半導体リレー16A,16Bと同様に、電路4に配置され、メインリレーとして電路4を開閉するものである。一対の半導体リレー46C,46Dは、電路5に配置され、充電リレーとして電路5を開閉するものである。各半導体リレー46A〜46Dは、オン状態のときに閉状態となり、オフ状態のときに開状態となる。各半導体リレー46A〜46Dは、信号線25を介して制御回路17に接続され、制御回路17からの制御信号に基づいて、オン状態またはオフ状態に切り替わる。各半導体リレー46A,46Bは、双方向で各電路4の遮断と通電が可能に構成される。各半導体リレー46C,46Dは、双方向で各電路5の遮断と通電が可能に構成される。
【0053】
半導体リレー46Aは、一方が入力側端子14Aを介して高電圧バッテリ2に接続され、他方が出力側端子15Aを介して高電圧負荷3に接続されている。半導体リレー46Aは、高電圧バッテリ2の正極側に接続されており、正極側の電路4の一部を構成し、正極側の電路4の遮断または接続を行う。半導体リレー46Bは、一方が入力側端子14Bを介して高電圧バッテリ2に接続され、他方が出力側端子15Bを介して高電圧負荷3に接続されている。半導体リレー46Bは、高電圧バッテリ2の負極側に接続されており、負極側の電路4の一部を構成し、負極側の電路4の遮断または接続を行う。各半導体リレー46A,46Bは、信号線25を介して制御回路17に検出信号を出力する。検出信号は、各半導体リレー46A,46Bの開閉状態を示す信号、各半導体リレー46A,46B内で検出される温度、電流値、電圧値等が含まれる。各半導体リレー46A,46Bは、制御回路17からの制御信号に基づいて電路4を開閉する。
【0054】
半導体リレー46Cは、一方が半導体リレー46Aを介して高電圧バッテリ2に接続され、他方が充電インレット7に接続されている。半導体リレー46Cは、高電圧バッテリ2の正極側に接続されており、正極側の電路5の一部を構成し、正極側の電路5の遮断または接続を行う。半導体リレー46Dは、一方が半導体リレー46Bを介して高電圧バッテリ2に接続され、他方が充電インレット7に接続されている。半導体リレー46Dは、高電圧バッテリ2の負極側に接続されており、負極側の電路5の一部を構成し、負極側の電路5の遮断または接続を行う。各半導体リレー46C,46Dは、信号線25を介して制御回路17に検出信号を出力する。検出信号は、各半導体リレー46C,46Dの開閉状態を示す信号、各半導体リレー46C,46D内で検出される温度、電流値、電圧値等が含まれる。各半導体リレー46C,46Dは、制御回路17からの制御信号に基づいて電路5を開閉する。
【0055】
本実施形態の半導体リレー46は、
図13に示すように、電流検出ユニット53と、2つの電圧検出部54A(54),54B(54)と、2つのゲート駆動部55A(55),55B(55)とを含んで構成される。電流検出ユニット53、電圧検出部54A,54B、及びゲート駆動部55A,55Bは、
図14に示すリレー筐体50に収容される。リレー筐体50は、絶縁性を有する合成樹脂等から成り、一対のバスバー端子51、複数の制御端子52を部分的に収容する。一対のバスバー端子51は、半導体リレー46の両端に延在して設けられた導電部材であり、例えば銅や合金等で構成される。各バスバー端子51は、筐体11に収容されるバスバー47に接続される。バスバー47は、各電路4,5の一部を構成するものであり、例えば、2つの半導体リレー46の正極側または負極側のバスバー端子51間を接続する。なお、
図12に示す半導体リレー46は、通電性能を向上させるために、各電路4,5の正極側、負極側のそれぞれに2つずつ配置されている。すなわち、正極側の各電路4,5、負極側の各電路4,5に対して、半導体リレー46が並列に接続されている。各制御端子52は、例えばピン端子であり、一部がリレー筐体50の側面から露出している。各制御端子52は、例えば、一方が電流検出ユニット53に接続され、他方が制御基板18のスルーホール(不図示)に差し込まれた状態で制御回路17に接続される。
【0056】
電流検出ユニット53は、一対のスイッチング素子32A,32Bと、電流検出部56と、温度センサ57とを含んで構成される。電流検出ユニット53は、
図15〜
図17に示すように、一対のスイッチング素子32A,32Bを中心とした積層構造を有し、ボンディングワイヤ64を介して各バスバー端子51等に接続される。
【0057】
一対のスイッチング素子32A,32Bは、各電路4,5上に配置され、各電路4,5を開閉する半導体素子である。一対のスイッチング素子32A,32Bは、電流検出部56を挟んで一方のバスバー端子51と他方のバスバー端子51との間に配置される。各スイッチング素子32A,32Bは、上述したように、例えば、電力用MOS−FETで構成される。各スイッチング素子32A,32Bは、任意の制御端子52にボンディングワイヤ64を介して接続される。各スイッチング素子32A,32Bは、
図17に示すように、銅パターン61Aと銅パターン61Bとで積層方向から挟まれるように配置される。各銅パターン61A,61Bは、配索用として用いられている薄板状の導電部材であり、例えば銅や銅合金等で構成される。銅パターン61Aは、各スイッチング素子32A,32Bのドレイン(D)に接続される。銅パターン61Aは、薄板状の絶縁基板62Aを介して放熱パッド63上に配置される。放熱パッド63は、スイッチング素子32A,32Bで発生した熱を、外部のヒートシンク(不図示)に伝熱して放熱させるものである。銅パターン61Aは、ボンディングワイヤ64を介してバスバー端子51に接続される。銅パターン61Bは、電路4または電路5の一部を構成し、かつ温度変化に応じて抵抗値が変化する。銅パターン61Bは、ブリッジ部であり、スイッチング素子32A,32Bのソース(S)間を接続する。銅パターン61Bには、薄板状の絶縁基板62B、ダイボンド材、及び温度センサ57が順に積層される。
【0058】
電流検出部56は、検出部であり、電路4または電路5を流れる通電電流ILに関する物理量を検出するものである。通電電流ILに関する物理量は、銅パターン61BにおけるCD2点間の電位差Vsensが含まれる。すなわち、電流検出部56は、
図18に示すように、銅パターン61BにおけるCD2点間の電位差Vsensを検出する。電流検出部56は、ボンディングワイヤ64を介して制御端子52に接続される。電流検出部56は、制御端子52を介して制御回路17に接続され、制御回路17に対して、電位差Vsensを出力する。
【0059】
温度センサ57は、検出部であり、電路4または電路5を流れる通電電流ILに関する物理量を検出するものである。通電電流ILに関する物理量は、銅パターン61Bの温度が含まれる。すなわち、温度センサ57は、銅パターン61B上に配置され、銅パターン61Bの温度を検出する。温度センサ57は、制御端子52に接続され、制御端子52を介して制御回路17に接続される。温度センサ57は、制御回路17に対して、銅パターン61Bの温度を出力する。
【0060】
電圧検出部54A,54Bは、半導体リレー46内を通る電路4または電路5の電圧を検出するものである。電圧検出部54Aは、
図13に示すように、例えば半導体リレー46内を通る電路4または電路5の入力側に配置される。一方、電圧検出部54Bは、例えば半導体リレー46内の電路4または電路5の出力側に配置される。電圧検出部54A,54Bは、制御端子52を介して信号線25により制御回路17に接続され、制御回路17に対して、電圧値を出力する。
【0061】
ゲート駆動部55A,55Bは、スイッチング素子32A,32Bを駆動するドライバ回路である。ゲート駆動部55Aは、スイッチング素子32Aのゲート(G)に接続され、スイッチング素子32Aを駆動するゲート駆動信号を出力する。ゲート駆動部55Bは、スイッチング素子32Bのゲート(G)に接続され、スイッチング素子32Bを駆動するゲート駆動信号を出力する。ゲート駆動部55A,55Bは、制御端子52を介して信号線25により制御回路17に接続される。各ゲート駆動部55A,55Bは、制御回路17からの制御信号に応じて、各スイッチング素子32A,32Bにゲート駆動信号を出力する。各スイッチング素子32A,32Bは、ゲート駆動信号に応じてオン状態またはオフ状態に切り替わる。
【0062】
制御回路17は、制御基板18上に実装されており、例えば、マイコンを主体に構成される。制御回路17は、各半導体リレー46A〜46Dの駆動を制御する制御信号を、各半導体リレー46A〜46Dに出力する。制御信号は、例えば、一対の半導体リレー46A,46Bによる電路4の遮断及び接続、一対の半導体リレー46C,46Dによる電路5の遮断及び接続を行わせるものが含まれる。制御回路17は、半導体リレー46から入力される検出信号に基づいて、制御信号を出力することができる。本実施形態の制御回路17は、銅パターン61BにおけるCD2点間の抵抗値Rbridgeおよび電位差Vsensを利用して、下式(3)により通電電流ILを算出する。銅パターン61Bは、温度が上がると、抵抗値Rbridgeが上がる温度特性を有する。抵抗値Rbridgeは、
図19に示す銅パターン61Bの抵抗値Rbridgeの温度特性から得ることができる。
図19に示す温度特性は、縦軸が銅パターン61Bの抵抗値Rbridge[Ω]、横軸が銅パターン61Bの温度T[℃]である。ここで、R
0[Ω]をT
0[℃]における銅パターン61Bの抵抗値、α[1/℃]を温度係数、T[℃]を温度センサ57で検出される銅パターン61Bの温度、T
0[℃]を銅パターン61Bの基準温度とすると、T[℃]における抵抗値Rbridgeは、下式(4)で表される。
【0063】
IL=Vsens/Rbridge ・・・(3)
Rbridge=R
0{1+α(T−T
0)} ・・・(4)
【0064】
次に、本実施形態に係る車両用電流検出装置10における電流検出動作の一例について説明する。まず、制御回路17は、受信した検出信号に基づいて、半導体リレー46A〜46Dの開閉状態を識別し、電路4または電路5が通電しているか否かを判定する。次に、制御回路17は、電路4または電路5が通電している状態において、検出信号から電位差Vsens、温度T[℃]を取得する。制御回路17は、温度T[℃]に基づいて、
図19に示す温度特性から銅パターン61Bの抵抗値Rbridgeを特定する。次に、制御回路17は、抵抗値Rbridgeと電位差Vsensとにより、通電電流ILを算出する。制御回路17は、例えば、通電電流ILに基づく制御信号を、半導体リレー46A〜46Dのいずれかに出力して、半導体リレー46A〜46Dの駆動を制御する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る半導体リレー46は、スイッチング素子32が、高電圧バッテリ2と、高電圧負荷3との間の電路4上と、充電インレット7から高電圧バッテリ2への通電に供される電路5上とに配置される。これにより、半導体リレー16と同様の効果を奏すると共に、車両用電流検出装置10内に電路が増えた場合でも、各電路で異なる半導体リレーを用いることなく、部品の共用化(標準化)を図ることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態に係る車両用電流検出装置10は、電路4に配置され、電路4を開閉する半導体リレー46を備え、半導体リレー46が、さらに、高電圧バッテリ2と充電インレット7との間の電路5に配置される。これにより、上述した半導体リレー46と同様の効果を奏すると共に、装置全体の小型化を図ることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る車両用電流検出装置10は、電路4及び電路5に配置される半導体リレー46が同一筐体内に収容されるので、装置全体の小型化を図ることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る車両用電流検出装置10は、半導体リレー46が、各電路4,5を流れる通電電流ILに関する物理量を検出するので、半導体リレー16と同様の効果を奏することができる。
【0069】
なお、上記第3実施形態では、充電インレット7は、外部電源に接続する接続部であるが、これに限定されるものではなく、外部負荷の接続が可能な構成であってもよい。この場合、電路5は、充電インレット7を介して外部負荷に接続し、高電圧バッテリ2から外部負荷への通電に供される。充電インレット7を外部負荷に接続することで、当該外部負荷に高電圧バッテリ2の電力を供給することが可能となる。
【0070】
また、上記第3実施形態では、温度センサ57は、ダイボンド材を介在して銅パターン61B上に配置されるが、これに限定されるものではなく、銅パターン61Bの実温度を正確に測ることができる熱伝導部材であれば、どのようなものであってもよい。
【0071】
また、上記第3実施形態では、制御回路17は、例えば外部ECU6に接続されており、外部ECU6から受信した信号に基づいて、制御信号を出力する構成であってもよい。また、制御回路17は、半導体リレー46A〜46Dから受信する検出信号に基づいて半導体リレー46A〜46Dの異常検出、異常判定を行う構成であってもよい。この場合、制御回路17は、外部ECU6に対して、検出信号、異常検出の有無や異常判定の結果に関する情報を送信する構成であってもよい。
【0072】
また、上記第1〜第3実施形態では、スイッチング素子32は、電力用MOS−FETで構成されているが、これに限定されるものではなく、例えばトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等で構成されていてもよい。
【0073】
また、上記第1〜第3実施形態では、半導体リレー16は、一対のスイッチング素子32A,32Bを有するが、これに限定されるものではなく、一対のスイッチング素子32A,32Bと同じ機能を有するものであれば、1つのスイッチング素子であっても、複数のスイッチング素子であってもよい。