特許第6797780号(P6797780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6797780情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797780
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20201130BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20201130BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   G06Q50/10
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-214789(P2017-214789)
(22)【出願日】2017年11月7日
(65)【公開番号】特開2019-87030(P2019-87030A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2019年7月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(72)【発明者】
【氏名】柿元 満
(72)【発明者】
【氏名】進 博正
(72)【発明者】
【氏名】志賀 慶明
(72)【発明者】
【氏名】高田 正彬
【審査官】 衣川 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−076091(JP,A)
【文献】 特開2007−233639(JP,A)
【文献】 特開2013−196037(JP,A)
【文献】 特開2004−164388(JP,A)
【文献】 特開2017−121133(JP,A)
【文献】 特開2017−169289(JP,A)
【文献】 特開2010−218394(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/163277(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0124466(US,A1)
【文献】 Julia Kopf,The potential of model-based recursive partitioning in the social sciences - Revisiting Ockham's Razor,[online],2010年 2月11日,[令和2年5月12日検索],URL,https://web.archive.org/web/20170812135605/https://epub.ub.uni-muenchen.de/11933/1/mob_techreport.pdf
【文献】 Mitsuo Shimohata,ハイブリッド型樹木法,[online],2014年 6月14日,[令和2年5月12日検索],URL,https://web.archive.org/web/20141209221919/https://www.slideshare.net/mitsuoshimohata/ss-35827973
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の説明変数及び複数の目的変数をクラス分けするための指示情報を入力する入力部と、
前記指示情報に基づいて複数のクラスを生成するクラス生成部と、
前記複数のクラスに対応する複数の予測モデルを生成する予測モデル生成部と、を備え、
前記予測モデル生成部は、
前記複数の説明変数及び前記複数の目的変数の中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する説明変数及び目的変数を含む学習用のデータセットを抽出する学習用データセット抽出部と、
前記複数の説明変数及び前記複数の目的変数の中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する説明変数及び目的変数を含む評価用のデータセットを抽出する評価用データセット抽出部と、
前記学習用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルを規定するパラメータを生成するパラメータ生成部と、
前記評価用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルの予測性能を評価する予測性能評価部と、を備え
前記パラメータ生成部は、前記複数の予測モデルのそれぞれごとに、
対応するパラメータに基づいて、複数の予測サブモデルのそれぞれを生成する複数の予測サブモデル生成部と、
前記複数の予測サブモデルのそれぞれに与える重みを設定する重み設定部と、を有し、
前記複数の予測モデルのそれぞれによる予測値は、前記複数の予測サブモデルのそれぞれの予測値と対応する重みとを乗じた値を足し合わせた値である、情報処理装置。
【請求項2】
複数の説明変数を記憶する第1記憶部と、
複数の目的変数を記憶する第2記憶部と、を備え、
前記学習用データセット抽出部は、前記第1記憶部に記憶された前記複数の説明変数と、前記第2記憶部に記憶された前記複数の目的変数との中から、前記学習用のデータセットを抽出し、
前記評価用データセット抽出部は、前記第1記憶部に記憶された前記複数の説明変数と、前記第2記憶部に記憶された前記複数の目的変数との中から、前記評価用のデータセットを抽出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記クラス生成部は、前記複数のクラスを識別するクラス識別子を出力し、
前記学習用データセット抽出部は、前記クラス識別子に応じた学習用のデータセットを抽出し、
前記評価用データセット抽出部は、前記クラス識別子に応じた評価用のデータセットを抽出し、
前記パラメータ生成部は、前記クラス識別子に応じた予測モデルのパラメータを生成する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数のクラスと、前記パラメータと、前記複数の予測モデルとを対応づけて表示する表示部を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測性能評価部は、前記複数のクラスのそれぞれごとに、前記複数の予測サブモデルの重みの比率を示す情報を表示する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記予測モデル生成部は、所定の対象物または対象サービスの需要予測を行うための前記複数の予測モデルを生成する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記クラス分けは、日時条件及び環境条件の少なくとも一方に基づいて行われる、請求項1乃至のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の説明変数及び複数の目的変数をクラス分けするための指示情報を入力部にて入力し、
前記指示情報に基づいて複数のクラスを生成し、
前記複数のクラスに対応する複数の予測モデルを生成する際に、
前記複数の説明変数と、前記複数の目的変数との中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する説明変数及び目的変数を含む学習用のデータセットを抽出し、
前記複数の説明変数と、前記複数の目的変数との中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する説明変数及び目的変数を含む評価用のデータセットを抽出し、
前記学習用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルを規定するパラメータを生成し、
前記評価用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルの予測性能を評価し、
前記複数の予測モデルのそれぞれごとに、
対応するパラメータに基づいて、複数の予測サブモデルのそれぞれを生成し、
前記複数の予測サブモデルのそれぞれに与える重みを設定し、
前記複数の予測モデルのそれぞれによる予測値は、前記複数の予測サブモデルのそれぞれの予測値と対応する重みとを乗じた値を足し合わせた値である、情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の説明変数及び複数の目的変数をクラス分けするための指示情報を入力するステップと、
前記指示情報に基づいて複数のクラスを生成するステップと、
前記複数のクラスに対応する複数の予測モデルを生成するステップと、を実行させるものであり、
前記複数の予測モデルを生成するステップは、
前記複数の説明変数及び前記複数の目的変数の中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する説明変数及び目的変数を含む学習用のデータセットを抽出するステップと、
前記複数の説明変数及び前記複数の目的変数の中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する説明変数及び目的変数を含む評価用のデータセットを抽出するステップと、
前記学習用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルを規定するパラメータを生成するステップと、
前記評価用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルの予測性能を評価するステップと、を実行させるものであり、
前記複数の予測モデルのそれぞれごとに、
対応するパラメータに基づいて、複数の予測サブモデルのそれぞれを生成し、
前記複数の予測サブモデルのそれぞれに与える重みを設定し、
前記複数の予測モデルのそれぞれによる予測値は、前記複数の予測サブモデルのそれぞれの予測値と対応する重みとを乗じた値を足し合わせた値である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、予測モデル生成装置、予測モデル生成方法及び予測モデル生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
何らかの量の数値的な予測を行う場合、予測のためのモデルを生成する手法が知られている。しかしながら、全ての条件において同一の予測モデルが有効であるとは限らない。例えば、電力の需要を予測する場合、任意の時点で電力の需要と供給が一致していなければならない。発電設備の出力は短時間で大きく変更させるのは困難なため、電力の需要量を前もって予測し、その予測量に合わせて発電設備の運転を計画する必要がある。
【0003】
電力の需要は、日時や気象条件等の影響を受けるため、需要に影響する可能性のある要素を説明変数として、予測値を目的変数とする予測モデルを生成して、需要予測を行うのが望ましい。
【0004】
しかしながら、予測モデルが一つだけだと、日時や気象条件等によって、予測性能が大きく変動するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−221310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、構成を複雑化することなく、予測性能を向上させることができる予測モデル生成装置、予測モデル生成方法及び予測モデル生成プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態によれば、複数の説明変数を記憶する第1記憶部と、
複数の目的変数を記憶する第2記憶部と、
クラス分けに関する指示情報を入力する入力部と、
前記指示情報に基づいて複数のクラスを生成するクラス生成部と、
前記複数のクラスに対応する複数の予測モデルを計算する予測モデル計算部と、を備え、
前記予測モデル計算部は、
前記複数の説明変数及び前記複数の目的変数の中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する学習用のデータセットを抽出する学習用データセット抽出部と、
前記複数の説明変数及び前記複数の目的変数の中から、前記複数のクラスのそれぞれに対応する評価用のデータセットを抽出する評価用データセット抽出部と、
前記学習用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルのそれぞれに含まれるパラメータを計算するパラメータ計算部と、
前記評価用のデータセットに基づいて、前記複数の予測モデルの予測性能を評価する予測性能評価部と、を備える、予測モデル生成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態による予測モデル生成装置1の概略構成を示すブロック図。
図2】電力の需要予測を行う場合の説明変数の一例を示す図。
図3】電力の需要予測を行った結果を示す電力需要量を目的変数とする例を示す図。
図4図1の予測モデル計算部の内部構成を具体化した一例を示すブロック図。
図5図1の予測モデル生成装置の処理動作を示すフローチャート。
図6】第2の実施形態による予測モデル生成装置の概略構成を示すブロック図。
図7】複数の予測モデルのそれぞれを構成する複数のサブモデルの重みの比率を示す情報を視覚化したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、本件明細書と添付図面においては、理解のしやすさと図示の便宜上、一部の構成部分を省略、変更または簡易化して説明および図示しているが、同様の機能を期待し得る程度の技術内容も、本実施の形態に含めて解釈することとする。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態による予測モデル生成装置1の概略構成を示すブロック図である。図1の予測モデル生成装置1が予測する対象は特に問わないが、以下では、例えば電力の需要を予測する例を主に説明する。電力の需要はその日時に大きく影響される。例えば、夏は冷房、冬は暖房のための電力の需要が大きく増える。また、平日は、業務のための電力需要があるため、休日よりも一般に需要が大きい。さらに、通常は、夜間よりも人々の活動が活発な昼間の時間帯の方が需要が大きい。また、需要は気象条件の影響を受ける。夏であれば気温が高いほど冷房の使用量が増えるので、需要も増える。逆に冬であれば、気温が低いほど需要が増える。また、雨量や日射量なども需要に影響する可能性がある。図1の予測モデル生成装置1は、日時や気象条件等によって需要が変動することを念頭に置いて、予測性能を向上可能な予測モデルを生成するものである。
【0011】
図1の予測モデル生成装置1は、説明変数データベース(説明変数DB、第1記憶部)2と、目的変数データベース(目的変数DB、第2記憶部)3と、入力部4と、クラス生成部5と、予測モデル計算部6と、表示部7とを備えている。
【0012】
説明変数DB2は、複数の説明変数を記憶する。説明変数は、予測モデル8に入力される入力データである。図2は例えば電力の需要予測を行う場合の説明変数の一例を示す図である。図2の例では、識別番号と、西暦年、月、日、曜日、時間、気温(℃)、降水量(mm/H)、日射量(W)などの複数の説明変数を含んでいる。図2の各行ごとに、複数の説明変数が対応づけられている。予測モデル8には、図2の各行の複数の説明変数が入力データとして入力される。
【0013】
目的変数DB3は、複数の目的変数を記憶する。目的変数は、予測モデル8から出力される予測値である。図3は電力の需要予測を行った結果を示す電力需要量(Mwh)を目的変数とする例を示している。図3の目的変数DB3内の識別番号は、図2の説明変数DB2内の識別番号と対応づけられている。すなわち、図2の説明変数DB2内の各行の複数の説明変数は、図3の目的変数DB3内の対応する行の目的変数に対応づけられている。
【0014】
入力部4は、クラス分けに関する指示情報を入力する。例えば、ユーザが曜日ごとに予測モデル8を生成することを希望する場合には、ユーザは各曜日ごとにクラス分けを行うための指示情報を入力する。あるいは、ユーザは1時間単位でクラス分けを行うための指示情報を入力してもよい。この場合は、24個のクラスに分けられることになる。ユーザは、必ずしも細かい単位でクラス分けを行うとは限らない。例えば、ユーザは、夜明け前、日中、夜間の3つのクラス分けを行うための指示情報を入力してもよい。なお、クラス分けは、一つの属性(例えば、日時情報)だけで行うとは限らない。例えば、複数の属性(例えば、日時情報と気象条件)を組み合わせてクラス分けを行ってもよい。
【0015】
クラス生成部5は、入力部4で入力された指示情報に基づいて複数のクラスを生成する。n(nは2以上の整数)個のクラスに分ける場合は、n個の予測モデル8が生成されることになる。すなわち、各予測モデル8は、各クラスに対応づけて生成される。クラス生成部5は、例えば各クラスを識別するクラス識別子を生成する。例えばn個のクラスに分ける場合は、n個のクラス識別子が生成される。クラス生成部5は、日時条件及び環境条件の少なくとも一方に基づいてクラス分けを行ってもよいし、他の任意の条件でクラス分けを行ってもよい。
【0016】
予測モデル計算部6は、複数のクラスに対応する複数の予測モデル8を計算する。図4図1の予測モデル計算部6の内部構成を具体化した一例を示すブロック図である。図4の予測モデル計算部6は、学習用データセット抽出部11と、評価用データセット抽出部12と、パラメータ計算部13と、予測性能評価部14とを有する。
【0017】
学習用データセット抽出部11は、説明変数DB2に記憶された説明変数と目的変数DB3に記憶された目的変数の中から、複数のクラスのそれぞれに対応する学習用のデータセットを抽出する。例えば、クラス分けが曜日別であって、金曜日のクラスについては、学習用データセット抽出部11は、説明変数DB2と目的変数DB3から、金曜日のエントリのデータだけを抽出する。
【0018】
評価用データセット抽出部12は、説明変数DB2に記憶された説明変数と目的変数DB3に記憶された目的変数の中から、複数のクラスのそれぞれに対応する評価用のデータセットを抽出する。例えば、クラス分けが曜日別であって、金曜日のクラスについては、評価用データセット抽出部12は、説明変数DB2と目的変数DB3の中から、金曜日のエントリのデータだけを抽出する。
【0019】
パラメータ計算部13は、学習用のデータセットに基づいて、複数の予測モデル8のそれぞれに含まれるパラメータを計算する。パラメータは、予測モデル8の特性を決める値である。例えば、予測モデル8として線形回帰モデルを用いる場合、説明変数の組を行列X、目的変数の組をベクトルYで表すと、線形回帰モデルからなる予測モデル8は、以下の(1)式で表される。
Y=AX+b …(1)
【0020】
ここで、Aとbが決定すべきパラメータである。パラメータを決定するには、最小二乗法などを用いることができる。学習用データセットの説明変数をXL、目的変数をYLとすると、パラメータは以下の(2)式で求めることができる。
【数1】
【0021】
予測性能評価部14は、評価用のデータセットに基づいて、複数の予測モデル8の予測性能を評価する。評価指標としては、例えば、RMSE(Root Mean Square error)を用いる。RMSEは、以下の(3)式で表される。
【数2】
【0022】
ここで、YEとXEはそれぞれ評価表データセットの目的変数と説明変数、Nは評価用データセットのエントリ数である。各クラスに対応する予測モデル8で計算された予測値と予測モデル8の性能は、クラス生成部5に返される。クラス生成部5は、予測性能評価部14で評価された各予測モデル8の性能が所定の基準レベルよりも低い場合には、クラス分けをやり直す。これにより、予測モデル計算部6が計算する複数の予測モデル8が更新される。このように、予測性能評価部14の評価結果をクラス生成部5に返すことで、クラス分けと予測モデル8の更新が行われ、この更新処理を繰り返す行うことで、各予測モデル8の予測性能を向上させることができる。
【0023】
表示部7は、予測性能評価部14の評価結果などを表示する。例えば、表示部7は、複数のクラスと、パラメータと、複数の予測モデル8とを対応づけて表示する。なお、表示部7の表示態様は任意であり、種々の表示態様を取り得る。
【0024】
図5図1の予測モデル生成装置1の処理動作を示すフローチャートである。まず、ユーザは、入力部4を介して、クラス分けに関する指示情報を入力する(ステップS1)。次に、クラス生成部5は、指示情報に基づいて複数のクラスを生成する(ステップS2)。次に、予測モデル計算部6は、複数のクラスに対応する複数の予測モデル8を計算する(ステップS3)。
【0025】
図5の右側には、ステップS3の詳細な処理手順を示すフローチャートが示されている。まず、学習用データセット抽出部11は、説明変数DB2と目的変数DB3の中から、複数のクラスのそれぞれに対応する学習用のデータセットを抽出する(ステップS11)。評価用データセット抽出部12は、説明変数DB2と目的変数DB3の中から、複数のクラスのそれぞれに対応する評価用のデータセットを抽出する(ステップS12)。次に、パラメータ計算部13は、学習用のデータセットに基づいて、複数の予測モデル8のそれぞれに含まれるパラメータを計算する(ステップS13)。次に、予測性能評価部14は、評価用のデータセットに基づいて、複数の予測モデル8の予測性能を評価する(ステップS14)。以上により、図5のステップS3の処理が終了する。
【0026】
図5のステップS3の処理が終了すると、次に、各予測モデル8のパラメータと、予測性能評価部14による性能評価とを収集し(ステップS4)、収集した情報、すなわち各予測モデル8のパラメータと予測性能を表示部7に表示する(ステップS5)。
【0027】
図5のフローチャートでは省略しているが、予測性能評価部14による性能評価に基づいて、各予測モデル8の性能が所定の基準レベルより高いか否かを判定し、高くないと判定された場合には、ステップS1に戻って、クラス分けからやり直してもよい。
【0028】
このように、第1の実施形態では、ユーザの指示情報に基づいてクラス分けを行い、クラス分けに基づいて学習用のデータセットと評価用のデータセットとを抽出し、抽出された学習用のデータセットに基づいて複数の予測モデル8のパラメータを計算するとともに、抽出された評価用のデータセットに基づいて複数の予測モデル8の予測性能を評価する。これにより、クラス分けを工夫することで、各予測モデル8の予測性能を向上できる。
【0029】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、各予測モデル8を、複数の予測サブモデルを合成したアンサンブルモデルにするものである。
【0030】
図6は第2の実施形態による予測モデル生成装置1の概略構成を示すブロック図である。図6の予測モデル生成装置1は、予測モデル計算部6内のパラメータ計算部13の処理動作が図4のパラメータ計算部13とは異なっている。
【0031】
図6のパラメータ計算部13は、複数の予測モデル8のそれぞれごとに、複数の予測サブモデル計算部15と、重み設定部16とを有する。各予測サブモデル計算部15は、対応するパラメータに基づいて、複数の予測サブモデル17のそれぞれを計算する。
【0032】
重み設定部16は、複数の予測サブモデル17のそれぞれに与える重み18を設定する。重み18の設定手法には種々のものが考えられる。ここでは、一例として、予測誤差に反比例するように重み18を与える例を説明する。予測サブモデル17の数をM、各予測サブモデル17の予測性能すなわちRMSEをei(i=1…M)とする。各予測サブモデル17に与えられる重みwi(i=1…M)は、以下の(4)式で表される。
【数3】
【0033】
このとき、予測モデル8が生成する予測値yは、各予測サブモデル17が生成する予測値yi(i=1…M)を用いると、以下の(5)式で表される。
【数4】
【0034】
(5)式に示すように、各予測モデル8の予測値yは、各予測モデル8を構成する各予測サブモデル17の予測値と対応する重み18とを乗じた値を足し合わせた値になる。
【0035】
図7は複数のクラスに対応する複数の予測モデル8のそれぞれを構成する複数のサブモデルの重み18の比率を示す情報を視覚化したグラフである。図7のグラフは、表示部7に表示してもよい。図7の例では、各クラスごとに、予測サブモデル17の重み18がそれぞれ相違している。表示部7には、図7のグラフとともに、各予測モデル8の性能評価値を表示してもよい。ユーザは、各予測モデル8の性能評価値が高くなるように、各予測サブモデル17の重み18を調整したり、クラス分けを見直すことができる。図7では、各予測サブモデル17の重み18の比率を棒グラフで示している。他の表示形態にて各予測サブモデル17の重み18の比率を表示してもよい。
【0036】
このように、第2の実施形態では、重み18を個別に調整可能な複数の予測サブモデル17にて各予測モデル8を構成するため、クラス分けの見直しだけでなく、各予測サブモデル17の重み18を調整することで、各予測モデル8の性能をより向上させやすくなる。
【0037】
上述した第1及び第2の実施形態による予測モデル生成装置1は、種々の目的に適用可能である。例えば、電力の需要予測のための予測モデル8を生成したり、天気予報のための予測モデル8を生成してもよい。
【0038】
上述した実施形態で説明した予測モデル生成装置1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、予測モデル生成装置1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0039】
また、予測モデル生成装置1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 予測モデル生成装置、2 説明変数DB、3 目的変数DB、4 入力部、5 クラス生成部、6 予測モデル計算部、7 表示部、8 予測モデル、11 学習用データセット抽出部、12 評価データセット抽出部、13 パラメータ計算部、14 予測性能評価部、15 予測サブモデル計算部、16 重み設定部、17 予測サブモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7