(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、実績情報と指標との相関関係に基づく予測モデルを用いて、前記第3期間の前記第3サービスの利用実績から前記第4期間の前記第4指標を予測する請求項1記載のシステム。
前記処理部は、実績情報と指標との相関関係に基づく予測モデルを用いて、前記第3期間の前記第3サービスの利用実績及び前記第3期間より過去の実績情報から前記第4期間の前記第4指標を予測する請求項1記載のシステム。
前記処理部は、前記第3期間の前記第3サービス編成を示すベクトルと前記第1期間の前記第1サービス編成を示すベクトルとのコサイン類似度に基づいて、前記第3期間の前記第3サービス編成と前記第1期間の前記第1サービス編成とが類似することを判定する請求項1記載のシステム。
前記処理部は、実績情報と指標との相関関係に基づく予測モデルを用いて、前記第3期間の前記第3サービスの利用実績から前記第4期間の前記第4指標を予測する請求項9記載の方法。
前記処理部は、実績情報と指標との相関関係に基づく予測モデルを用いて、前記第3期間の前記第3サービスの利用実績及び前記第3期間より過去の実績情報から前記第4期間の前記第4指標を予測する請求項9記載の方法。
前記処理部は、前記第3期間の前記第3サービス編成を示すベクトルと前記第1期間の前記第1サービス編成を示すベクトルとのコサイン類似度に基づいて、前記第3期間の前記第3サービス編成と前記第1期間の前記第1サービス編成とが類似することを判定する請求項9記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0012】
サービス提供事業の例は、スポーツクラブ(フィットネスクラブとも称する)、ビデオコンテンツ配信サービス、有料テレビ放送等がある。ビデオコンテンツ配信サービスはビデオオンデマンド以外にもWeb大学、Web予備校、eラーニング、通信講座等の学習コンテンツ配信も含む。
【0013】
第1実施形態ではサービス提供事業としてスポーツクラブを説明する。スポーツクラブは種々のフィットネスマシン、プール、スタジオ、テニスコート等の施設を有し、加入契約した会員に対してサービスを提供する。スポーツクラブはこれらの施設を会員に自由に利用させるのみならず、これらの施設を利用した各種スクールを開催する。多くの会員を獲得するためには、サービスの質が重要である。サービスの質は施設の数や種類又はスクールの数や種類等に関連する。例えば、フィットネスマシンに関しては、一般的には、旧型のマシンよりも新型のマシンの方がサービスの質が高い、数や種類が少ないよりも数や種類が多い方がサービスの質が高い又は旧いマシンよりも新しいマシンの方がサービスの質が高いと言える。スクールに関しては、一般的には、新人や人気のない講師よりもベテランや人気のある講師の方がサービスの質が高い又は利用し難い時間帯よりも利用し易い時間帯の方がサービスの質が高いと言える。会員契約は契約期間が定められており、契約期間、例えば一か月が経過すると契約更新の必要がある。しかし、サービスの質が低下すると、会員は契約を更新しないで、契約を解消、すなわち解約することがある。全会員数に対する解約者の数の比である解約率は一定期間毎に増減する。解約率が増加することはスポーツクラブ事業者にとって好ましくない。
【0014】
第1実施形態は、会員制サービス提供事業においてサービス利用についての契約状況がより悪い状況に変化した場合、変化の原因を推定し、推定した原因に関する情報を出力することにより、スポーツクラブ事業者等が経営改善の参考になる情報を得ることができるシステムを提供する。例えば、解約率が増加した場合、マシンの種類や数を変更することや、マシンを新機種へ変更することにより解約率が下がる可能性がある。また、解約率が増加した場合、スクール等の時間帯を変更することや、魅力あるインストラクターや講師を変更することによっても解約率が減少する可能性がある。しかし、解約率の増加の原因が判らないと、提供するサービス内容をどのように変更したら良いか判断できない。
【0015】
図1はスポーツクラブの契約状況変更の原因に関する情報を提供するシステムの一例を示すブロック図である。
図2は
図1に示すサーバの構成の一例を示すブロック図である。システムは端末装置10とサーバ40とからなる。端末装置10は例えばスポーツクラブの店舗等に配置され、スポーツクラブが提供するサービスに関する情報を入力してサーバ40に送信するとともにサーバ40から送信される契約状況変更の原因に関する情報を受信して表示する。スポーツクラブの店舗数が複数である場合、単一の端末装置10をいずれかの店舗に設置してもよいし、複数の店舗毎に複数の端末装置10を設置してもよい。また、1店舗に多数の施設がある場合、施設毎に複数の端末装置10を設置してもよい。なお、端末装置10は施設に設置される据置機器ではなく、ノートブック型パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯機器でもよい。端末装置10は例えばインターネット、LAN等のネットワーク40を介してサーバ40に接続される。サーバ40は、端末装置10で入力された情報を蓄積・分析する、契約状況の変更を検出する、変更の原因を推定し原因に関する情報を端末装置10に送信する等を行う。なお、サーバ40の機能の一部を端末装置10に移してもよいし、反対に端末装置10の機能の一部をサーバ40に移してもよい。
【0016】
図1に示すように、端末装置10は編成情報入力部12、実績情報入力部14、指標入力部16、表示部18、通信装置20、これらを統括的に制御するシステムコントローラ22を含む。システムコントローラ22はメモリ26に格納されたプログラムを実行するCPU24により制御される。システムコントローラ22は編成情報入力部12、実績情報入力部14、指標入力部16から入力された情報を通信装置20に供給する。通信装置20はこれらの情報をネットワーク30を介してサーバ40に送信する。ネットワーク30を介してサーバ40から送信された情報は通信装置20で受信される。システムコントローラ22は通信装置20が受信した情報を表示部18に供給し、表示部18はこの情報を表示する。表示部18の一例は液晶表示部である。
【0017】
編成情報、実績情報及び指標は、ある任意の期間毎の情報である。期間の一例は一日、一週間等でもよいが、以下の説明では、会員の加入契約の期間、例えば一か月とする。
【0018】
編成情報とはスポーツクラブが任意の期間、例えば一か月に提供するサービス内容に関する情報であり、前月までに決定され、会員に知らされる。編成情報は、例えばマシンの種類(ランニングマシン、エアロバイク(登録商標)、クロストレーナー等)、型(最新型、旧型)又は数、施設の種類又は数、レッスンやスクールのプログラム(種類、回数、トータル時間、時間帯又は講師)、付帯サービス(駐車場、託児所等)等の複数のサービスの種類、時間、回数等を含む。図示しないが、編成情報はスポーツクラブの別の端末で作成され、スポーツクラブのサーバに一旦格納され、サーバから本システムの端末装置10に転送され、編成情報入力部12により入力されてもよいし、編成情報の決定時又は決定後に編成情報入力部12により入力されてもよい。
【0019】
実績情報はスポーツクラブが任意の期間、例えば一か月に提供したサービス編成に含まれる複数のサービスの利用実績に関する情報である。実績情報は、例えばサービスがマシンであれば、稼働率や稼働時間、サービスが施設であれば利用率や利用時間、サービスがレッスンやスクールであれば、参加者数や参加率等を含む。さらに付帯サービスの場合は、駐車場、託児所等の利用時間、利用率等を含む。実績情報はマシンや施設に設置される入力端末から本システムの端末装置10に転送され、リアルタイムで実績情報入力部14から自動的に入力されてもよいし、スポーツクラブのスタッフにより集計された利用者の利用ログが実績情報入力部14から入力されてもよい。
【0020】
指標は契約状況の変更を示す情報である。指標の例は、
契約率、契約者の減少数若しくは減少率、
解約率、解約者の増加数若しくは増加率、
契約中断率、契約中断者の増加数若しくは増加率、
契約休止率、契約休止者の増加数若しくは増加率又は
より高額なサービス契約からより低額なサービス契約への変更者の増加率若しくは増加数等を含む。
【0021】
以下の説明では、指標は解約率であるとする。指標が良いことは解約率が低いことに対応し、指標が悪いことは解約率が高いことに対応する。毎月、オペレータにより前月の解約率が指標入力部16から入力されてもよいし、スポーツクラブのサーバで管理している解約率が端末装置10に転送され、指標入力部16から入力されてもよい。
【0022】
このように編成情報入力部12、実績情報入力部14、指標入力部16はそれぞれ別個のデータ受信装置でもよいし、オペレータが操作する入力装置、例えばキーボードでもよい。
【0023】
通信装置20は有線又は無線通信回線を介してネットワーク30に接続される。
【0024】
サーバ40は、
図2に示すように、指標予測部42、類似編成検索部44、指標変化判定部46、対策情報生成部48、通信装置52、編成情報格納部54、実績情報格納部56、指標格納部58、予測モデル格納部60、対策情報格納部62、これらを統括的に制御するシステムコントローラ64を含む。システムコントローラ64はメモリ66に格納されたプログラムを実行するCPU68により制御される。システムコントローラ64は編成情報格納部54、実績情報格納部56、指標格納部58、予測モデル格納部60、対策情報格納部62から情報を読み出し、読み出した情報を指標予測部42、類似編成検索部44、指標変化判定部46、対策情報生成部48、通信装置52のいずれかに供給するとともに、指標予測部42、類似編成検索部44、指標変化判定部46、対策情報生成部48の処理結果を編成情報格納部54、実績情報格納部56、指標格納部58、予測モデル格納部60、対策情報格納部62のいずれかに格納する。また、システムコントローラ22は対策情報生成部48により生成された対策情報を通信装置52に供給し、通信装置50はこれらの情報をネットワーク30を介して端末装置10に送信する。システムコントローラ22は通信装置52がネットワーク30を介して端末装置10から受信した情報を指標予測部42、類似編成検索部44、指標変化判定部46、対策情報生成部48のいずれかに供給する。
【0025】
指標予測部42は過去の実績情報を基に将来の解約率を予測する。解約率は会員のサービスの利用実績によって変化するため、将来の解約率は過去の実績情報と何らかの関係がある。過去のある期間又は時刻taにおける実績情報をx
taとし、将来のある期間又は時刻tbにおける解約率をy
tbとすると、解約率は予測モデルf(x)を用いて次のように表される。
【0026】
y
tb=f(x
ta)
予測モデルf(x)はサービスの利用実績と解約率との関係に基づき過去の実績情報から将来の解約率がどのようになるか傾向が分かるものであれば何でもよい。例えば、予測モデルf(x)は先月taの実績情報xから今月tbの解約率yを求めるものでもよい。解約率が過去の単月の実績情報ではなく、過去の数か月の実績情報に基づく場合、上記モデルの数式における実績情報x
taは数か月の実績情報となる。予測モデルf(x)は予測モデル格納部60に格納されている。
【0027】
類似編成検索部44は編成情報格納部54を検索し前月の編成情報に類似する編成情報を見つける。類似の判定の一例は、編成情報を、例えば
図3に示す初級、クロール、バタフライ、アクアビクス等のプールに関するスクール回数、ヨガ、太極拳、ダンス、エアロビクス等のスタジオに関するスクール回数からなる特徴ベクトルとして表し、特徴ベクトル間のコサイン類似度を求めることにより行うことができる。前月の編成情報に類似する編成情報を有する月を類似月と称する。予測モデルが以前の数か月の実績情報に基づく場合は、例えば数か月の実績情報の平均に類似する編成情報を見つける。
【0028】
指標変化判定部46は類似月の解約率(指標格納部58に格納されている実績値)に比べて今月の解約率(予測値)が悪くなっている、すなわち増加しているか否かを判定する。指標変化判定部46が類似月の解約率に比べて今月の解約率が増加していると判定した場合、対策情報生成部48は後述する対策情報を生成する。対策情報はスポーツクラブの事業者が解約率の増加を防ぐための対策を講じるのに役立つ可能性がある情報であれば、何でもよく、一例を
図6に示す。対策情報は対策情報格納部62に格納されてもよい。
【0029】
通信装置52は有線又は無線通信回線を介してネットワーク30に接続される。
【0030】
図3を参照して、編成情報と実績情報の具体的な一例を説明する。編成情報は前月までに決定される。例えば、2017年8月に提供されるサービスの集合であるサービス編成情報が2017年7月に決定される。1レッスンや1スクールの時間が決まっている場合、レッスンやスクールの回数が編成情報に含まれ得る。また、ジムにインストラクターが居る場合、インストラクター毎の指導時間も編成情報に含まれ得る。そのため、
図3に示す例では、プールに関しては、初級スクール、クロールスクール、バタフライスクール、アクアビクススクール等の回数が編成情報として決定される。スタジオに関しては、ヨガスクール、太極拳スクール、ダンススクール、エアロビクススクール等の回数が編成情報として決定される。テニスに関しては、初級スクール、中級スクール等の回数が編成情報として決定される。ジムに関しては、インストラクターの担当時間が編成情報として決定される。
【0031】
この編成情報に従ってスポーツクラブは2017年8月にサービスを提供する。2017年8月が終わった段階、最も早い時点は9月1日に、2017年8月の実績情報が得られる。実績情報は、サービス編成に含まれるサービス毎の利用実績である。
図3に示す例では、実績の一例はレッスンやスクールの受講者数である。プールに関する初級スクール、クロールスクール、バタフライスクール、アクアビクススクール等の受講者数、スタジオに関するヨガスクール、太極拳スクール、ダンススクール、エアロビクススクール等の受講者数、テニスに関する初級スクール、中級スクール等の受講者数、インストラクター毎の受講者数等が実績情報として得られる。2017年8月が終わった段階で2017年8月の指標(解約率)も得られる。
【0032】
2017年8月の実績情報が得られると、予測モデルを用いてこの実績情報から2017年9月の解約率が予測される。このように2017年8月が終わった段階で2017年9月の解約率の予測値が判る。
【0033】
図4、
図5を参照して、この予測値に基づいて契約状況変更の原因に関する情報を出力する動作の一例を説明する。
図4は動作の一例を示すフローチャートである。
図5は編成情報格納部54、実績情報格納部56、指標格納部58に格納されている月別の編成情報、実績情報、解約率を示す。
図4のフローチャートのスタート時期は何時でもよいが、例えば2017年7月とする。ステップ102で、
図3に示したように2017年8月の編成情報が決定され、編成情報入力部12は2017年8月の編成情報を入力する。入力された編成情報はサーバ40に送信され、編成情報格納部54に格納される。
【0034】
2017年8月に、ステップ104で、スポーツクラブはこの編成情報に従ってサービスを提供する。
【0035】
2017年9月1日以降に、ステップ106で、2017年8月の実績情報と指標が得られ、実績情報入力部14と指標入力部16はそれぞれ2017年8月の実績情報と指標を入力する。入力された実績情報と指標はサーバ40に送信され、実績情報格納部56、指標格納部58にそれぞれ格納される。なお、実績情報は2017年8月中にリアルタイムで入力され、入力されつつ集計されてもよい。
【0036】
ステップ108で、指標予測部42は予測モデルを用いて2017年8月の実績情報から2017年9月の解約率を予測する。解約率は単月のデータであり、この数値の大小だけでは解約者数が増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかが判らない。解約者数の増減傾向は基準となる解約率との比較により判断することができる。
【0037】
ステップ110で、類似編成検索部44は編成情報格納部54を検索し、実績が解約率の予測に使われた月、すなわち2017年8月の編成情報に類似する編成情報を見つける。ここでは、2016年8月の編成情報が2017年8月の編成情報に最も類似しているとする。2016年8月を類似月と称する。編成情報が類似していると解約率も類似すると推定されるので、類似月の解約率を基準解約率とする。
【0038】
ステップ112で、指標変化判定部46は2017年9月(今月)の解約率の予測値が類似月の基準解約率(指標格納部58に格納されている実績値)より増加しているか否かを判定する。指標変化判定部46が今月の解約率の予測値が類似月の基準解約率より増加していると判定した場合、利用契約の状況が悪化したと推定できるので、ステップ114で、対策情報生成部48は対策情報を生成する。対策情報の一例は、類似月と2017年8月との実績情報の比較がある。類似月と2017年8月の編成情報は類似しているので、実績情報も類似することが想定される。実績情報が類似していれば、解約率もほぼ同じであることが想定される。そのため、編成情報が類似しているにも関わらず解約率が増加している場合、実績情報に差があり、その差が解約率の増加の原因であると推定し得る。対策情報生成部48は類似月と2017年8月との実績情報を対比して示す対策情報を生成する。対策情報は通信装置52からネットワーク30を介して端末装置10に送信される。その後、動作は終了する。なお、
図4の動作は毎月繰り返されてもよい。
【0039】
ステップ112で、今月の解約率の予測値が類似月の基準解約率より増加していないと判定した場合(判定結果がノーの場合)、ステップ114をスキップして、直ぐに動作は終了する。
【0040】
なお、ステップ112でノーと判定された場合、直ぐに動作終了せずに、解約率を予測する月の編成情報に2番目に類似する編成情報であった月の解約率とさらに比較してもよい。2番目に類似する編成情報であった月の解約率より増加している場合、利用契約の状況が悪化したと推定し、ステップ114で、対策情報生成部48が対策情報を生成してもよい。さらに、2番目に類似する編成情報であった月の解約率より増加していないと判定された場合、同様に第3番目(以下、同様に第4番目等)に類似する編成情報であった月の解約率と比較してもよい。すなわち、類似月を複数としてもよい。
【0041】
あるいは、ステップ110で最も類似する単一の類似月を求めるのではなく、一定の類似度以上の類似度の複数の月(単数の場合もある)を求め、ステップ112でこれらの月の解約率と比較してもよい。これらの比較に基づいて総合的に利用契約の状況が悪化したか否かを判定してもよい。例えばこれらの月の解約率の単純な平均値との比較、又は類似度に応じてこれらの月の解約率を重み付け平均した値との比較等に基づいて判定してもよい。
【0042】
図6は、対策情報の一例を示す。説明の便宜上、編成情報はヨガスクール回数、ダンススクール回数、テニススクール回数とする。2016年8月の編成情報と2017年8月の編成情報が類似し、2016年8月の基準解約率よりも2017年9月の解約率の予測値の方が高い場合、2016年8月と2017年8月とのヨガスクール、ダンススクール、テニススクールの実績情報の対比が端末装置10の表示部18で表示される。対比表示の一例は、それぞれの月の実績情報を棒グラフで並べて示すことがあるが、これに限定されない。
【0043】
対比表示から、ダンススクールとテニススクールの受講者数(実績)は2016年8月と2017年8月とで大差ないが、2017年8月のヨガスクールの受講者数が2016年8月に比べて減少していることが認識される。その結果、スポーツクラブの事業者はヨガスクールの受講者数の減少が解約率の増加の原因であると推定でき、ヨガスクールの受講者数を増加する対策を講じることができる。
【0044】
対策の例は、ヨガスクールの宣伝を増やす、受講者に特典を与える、会員に向けてメールマガジンを配信する等がある。ヨガスクールの受講者が増え、2017年9月のヨガスクールの受講者数が2016年8月の受講者数とほぼ等しくなると、2017年9月の解約率が2016年8月の解約率とほぼ等しくなることが想定される。さらに、2017年9月のサービス編成が変更可能であれば、サービス編成を変更して、ヨガスクールの回数を増やす、時間を増やす、講師を人気のある講師に変更する等も対策の例である。
指標を解約率とし、指標の値が増加することが指標が悪くなることに対応するとして説明したが、指標の良し悪しはこれに限らない。良し悪しはビジネス等の各種基準に基づいて判定されるものであればどのようなものであってもよい。例えば、指標が良いことの例は、
サービスの契約締結増加数が大きいこと、サービスの契約締結低減数が少ないこと、
「解約率、解約人数、サービスの中断率、中断人数、休止率、休止人数」が小さいこと、
「サービスの再開率、再開人数」が大きいこと、
「より低額な(スタンダード)有料サービスへの移行率、移行人数」が小さいこと、
「より高額な(プレミアム)有料サービスへの移行率、移行人数」が大きいこと、
「オプションサービスの解約率、解約人数等」が小さいこと又は
「オプションサービスの契約率、契約人数等」が大きいこと等を含む。
【0045】
指標が悪いことは、上記の逆である。 以上説明したように、実施形態によれば、スポーツクラブ等の会員制サービス提供事業において、サービス利用実績から将来のサービス利用契約の変更に関する指標が予測される。そして、指標がより悪い指標に変化される場合は、指標の変化の原因に関するサービス利用実績の変化に関する情報が出力されるので、サービスの質を向上する有効な対策を講じることが可能である。
【0046】
会員制サービスの一例としてスポーツクラブを説明したが、実施形態の会員制サービスはスポーツクラブこれに限定されない。次に、第2実施形態としてビデオコンテンツ配信サービスの例を説明する。代表的なビデオコンテンツ配信サービスはビデオオンデマンドである。ビデオオンデマンドのサービス編成はコンテンツの総数、ジャンル毎のコンテンツの数、コンテンツの新しさ等である。利用実績は各コンテンツの視聴者数、視聴回数、視聴割合等である。
【0047】
図7、
図8は第2実施形態によるビデオオンデマンドシステムの一例を示す。
図1、
図2と同様な構成は同じ参照数字を付して詳細な説明は省略する。端末装置10Aはテレビジョン受像機又はパーソナルコンピュータを応用して構成することが可能である。システムコントローラ22には、通信装置20、CPU24、メモリ26以外に、表示部18、視聴ログ記憶部72、リモートコントローラ74からの光を受光する受光部76が接続される。ビデオオンデマンドのメニューが表示部18で表示され、ユーザはリモートコントローラ74を使用してコンテンツを選択し、サーバ40Aにコンテンツの視聴要求を送信することができる。コンテンツの視聴ログ(例えば、誰が何時どのコンテンツを視聴したかを表す)は視聴ログ記憶部72に一旦記憶される。適宜なタイミングで視聴ログ記憶部72から視聴ログが読み出され、読み出された視聴ログは通信装置20に供給され、通信装置20からサーバ40Aに送信される。
【0048】
サーバ40Aのシステムコントローラ64には、指標予測部42、類似編成検索部44、指標変化判定部46、対策情報生成部48、通信装置52、編成情報格納部54、
指標格納部58、予測モデル格納部60、対策情報格納部62以外に、コンテンツ格納部82、視聴ログ格納部84、出現率格納部56A、視聴ログ収集部86、出現率計算部88、指標生成部90が接続される。コンテンツ格納部82は会員に提供されるコンテンツを格納する。システムコントローラ64は端末装置10Aから送信された視聴要求に関するコンテンツをコンテンツ格納部82から読み出し、読み出したコンテンツを端末装置10Aに送信する。端末装置10Aから送信された視聴ログは視聴ログ収集部86により収集され、収集された視聴ログが視聴ログ格納部84に格納される。
【0049】
第2実施形態ではサービス利用の実績は視聴ログから計算される「出現率」で定義される。出現率は映画、音楽、ドラマなどの番組ジャンルの番組を一定時間以上視聴した会員の割合である。そのため、出現率計算部88は視聴ログ格納部84から当該月の視聴ログを読み出し、出現率を計算する。計算された出現率は出現率格納部56Aに格納される。第1実施形態では、解約率は端末装置10から入力可能であるが、第2実施形態では、解約率はサーバ40A側で求められる。端末装置10Aからの入会申し込みや解約申し込みが指標生成部90に入力され、指標生成部90が解約率を計算する。
【0050】
第2実施形態の動作は
図4に示したフローチャートと同様であるが、
図4の「実績情報」が第2実施形態では「出現率」に変わり、
図4では解約率が端末装置10から入力されたが第2実施形態ではサーバ40Aの指標生成部90が解約率を計算する点が異なる。
【0051】
図8のサーバはコンテンツ提供者のサーバを想定しているが、このサーバとは別の分析サーバで出現率から解約率を予測し、解約率が増加傾向の場合、解約率の増加の原因に関する出現率の変化に関する情報を出力してもよい。この場合、コンテンツ格納部82、視聴ログ収集部86、視聴ログ格納部84等をコンテンツ提供者のサーバに配置し、それ以外の構成を分析サーバに配置してもよい。
【0052】
図9は、第2実施形態の対策情報の一例を示す。編成情報は提供可能な映画、音楽、ドラマのコンテンツ数とする。2016年8月の編成情報と2017年8月の編成情報が類似し、2016年8月の基準解約率よりも2017年9月の解約率の予測値の方が高い場合、2016年8月と2017年8月との映画、音楽、ドラマの出現率の比較が端末装置10の表示部18で表示される。
【0053】
対比表示から、音楽とドラマの出現率は2016年8月と2017年8月とで大差ないが、2017年8月の映画の出現率が2016年8月に比べて減少していることが認識される。その結果、ビデオオンデマンドの事業者は映画の出現率の減少が解約率の増加の原因であると推定でき、映画の出現率を増加する対策を講じることができる。
【0054】
対策の例は、映画の番組宣伝を増やす、映画の視聴者に特典を与える、会員に向けてお薦め映画を紹介するメールマガジンを配信する等がある。映画の出現率が増え、2017年9月の映画の出現率が2016年8月の出現率とほぼ等しくなると、2017年9月の解約率が2016年8月の解約率とほぼ等しくなることが想定される。さらに、2017年9月のサービス編成が変更可能であれば、映画の本数を増やす等も対策の例である。
【0055】
第2実施形態は配信するコンテンツを教育用のコンテンツに変更すれば、Web大学、Web予備校、eラーニング、通信講座等のサービス提供事業にも応用可能である。教育事業の場合、サービス編成はクラスの種類や数、講師の質や数等を含み、サービス利用実績はクラスの受講生の数、割合、出席率、テストの成績等に関する内容を含む。
さらに、第2実施形態はコンテンツ配信に限らずテレビの有料放送にも応用可能である。テレビの有料放送のサービス編成は放送コンテンツの総数、ジャンル毎の放送コンテンツの数、放送コンテンツの新しさ等である。利用実績は各放送コンテンツの視聴者数、視聴回数、視聴割合等である。
【0056】
第2実施形態によれば、会員制コンテンツ提供事業において、コンテンツの視聴実績から将来のサービス利用契約の変更に関する指標が予測される。そして、指標がより悪い指標に変化される場合は、指標の変化の原因に関するコンテンツの視聴実績の変化に関する情報が出力されるので、提供するサービスの質を向上する有効な対策を講じることが可能である。
【0057】
本実施形態の処理はコンピュータプログラムによって実現することができるので、このコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのコンピュータプログラムをコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。