特許第6797790号(P6797790)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6797790無電解及び電解メッキの連続工程を用いた不織布のメッキ方法
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  • 特許6797790-無電解及び電解メッキの連続工程を用いた不織布のメッキ方法 図000023
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797790
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】無電解及び電解メッキの連続工程を用いた不織布のメッキ方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/40 20060101AFI20201130BHJP
   C23C 18/18 20060101ALI20201130BHJP
   C23C 18/36 20060101ALI20201130BHJP
   C25D 5/56 20060101ALI20201130BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20201130BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   C23C18/40
   C23C18/18
   C23C18/36
   C25D5/56 A
   C25D7/00 R
   D06M11/83
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-502868(P2017-502868)
(86)(22)【出願日】2015年6月30日
(65)【公表番号】特表2017-526816(P2017-526816A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】KR2015006719
(87)【国際公開番号】WO2016010287
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年1月20日
【審判番号】不服2019-9834(P2019-9834/J1)
【審判請求日】2019年7月25日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0090300
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500432538
【氏名又は名称】クリーン アンド サイエンス カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515329687
【氏名又は名称】ブルスウォン マテリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】キュボム・クァク
(72)【発明者】
【氏名】スンウォン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ナムグィ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ミンファン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンギル・リ
(72)【発明者】
【氏名】スヒョン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】ミニョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ビョンロク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジフン・カン
【合議体】
【審判長】 亀ヶ谷 明久
【審判官】 本多 仁
【審判官】 粟野 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−6660(JP,A)
【文献】 特開2009−163976(JP,A)
【文献】 特開2010−126824(JP,A)
【文献】 特開平6−326113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含む炭素繊維で製作された湿式不織布の無電解及び電解連続工程の金属メッキ方法:
(a)炭素繊維で製作された湿式不織布を純水の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜3.5g/l、EDTA 20〜55g/l、ホルマリン2.5〜3.0g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン0.008〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間湿式不織布に銅をメッキさせる段階;及び
(b)前記段階(a)の銅メッキされた湿式不織布をNi(NHSO 280〜320g/l、NiCl 15〜25g/l及びHBO 35〜45g/lを含み、pH4.0〜4.2及び温度50〜60℃である電解メッキ液に通過させて、1〜3分間銅メッキされた湿式不織布にニッケルをメッキさせる段階:
前記湿式不織布は、繊維をチョップに切断し圧着させることによって生成され、
前記段階(a)の湿式不織布は、段階(a)の実施前の次の段階を含む方法で前処理される:
(i)湿式不織布を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン性界面活性剤を含む水溶液に通過させて湿式不織布を脱脂及び軟化させる段階;
(ii)前記段階(i)の結果物である湿式不織布を亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)、硫酸(HSO)、過硫酸アンモニウム((NH)及び純水を含む水溶液に通過させて、中和、洗浄及び調質作用を行うエッチング工程を実施する段階;
(iii)前記段階(ii)の結果物である湿式不織布をPdCl水溶液に通過させてセンシタイジング工程を実施する段階;及び
(iv)前記段階(iii)の結果物である湿式不織布を硫酸(HSO)水溶液に通過させて活性化工程を実施する段階。
【請求項2】
前記段階(b)は、定電圧(CV)5〜15Voltを加えて実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記段階(i)の水溶液は、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比40〜49:1〜10で混合した溶液15〜35重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール50〜80重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル5〜15重量%、そして、400〜600ppmの非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記段階(ii)の水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)0.1〜10重量%、硫酸(HSO)0.1〜3重量%、過硫酸アンモニウム((NH)5〜25重量%及び純水62〜94.8重量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記段階(i)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、前記段階(ii)は、温度20〜25℃で1〜5分間実施し、前記段階(iii)は、温度20〜40℃で1〜5分間実施し、前記段階(iv)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記湿式不織布が、低融点PETチョップ(low melting PET chop)をさらに加えることによって生成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年7月17日付で大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10−2014−0090300号に対して優先権を主張し、前記特許出願の開示事項は、本明細書に参考として組み込まれる。
本発明は、無電解及び電解メッキの連続工程を用いた不織布のメッキ方法、及び該方法によってメッキされた不織布に係り、より詳細には、不織布に表面処理される金属と不織布を構成する繊維との結合力を高めて、導電性を向上させた金属メッキ不織布の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
航空、宇宙産業の発達につれて、急速に開発され始めた炭素繊維強化複合材料は、現在航空、宇宙産業だけではなく、電気、電子材料、土木、建築材料、自動車、船舶、軍事装備、スポーツ用品など多様な分野で使われている先端素材中の一種である。
【0003】
しかし、最近、炭素繊維強化複合材料は、短所である低導電性の問題によって機械的物性と電磁波遮蔽機能とを同時に具現しなければならない自動車電装品及び通信用デバイスハウジング(device housing)などには、非常に制限的に使われている。
したがって、それを解消するために、高分子複合素材に電磁波遮蔽機能を具現するためのフィラー(filler)として、炭素繊維(carbon fiber)、カーボンブラック(carbon black)、CNT、TiO、ニッケルコーティング黒鉛(nickel coated graphite)、及び最も最近に発表したグラフェンなどを添加して、電磁波遮蔽効率を有する高分子複合素材を開発しているが、分散の問題と機械的物性の低下などの理由によって、その商用化に多くの問題点を有している。そして、コスト問題及び機械的物性のために、多くの試行錯誤を経験している。
【0004】
一方、以前方式である無電解または電解表面の処理工程、すなわち、各段階を分離して処理した後、再処理する場合には、工程時間を短縮することができず、価格競争力がなく、生産設備も簡素化することができない問題点があった。
そして、炭素繊維と金属間の結合力を高めるために、以前にはCVD工程あるいはスパッタリング方式を使っていたが、これは、生産コストが高くて、価格競争力を有することができないために、多くの問題点を有していた。
また、無電解炭素繊維のメッキ方法が化学的イオン結合によってリン成分を含有して、炭素繊維に導電性を高める部分で多少制限的であり、電解メッキの場合、伝導度は高めることができるが、炭素繊維の各フィラメント(filament)には均一にメッキされなくて、各フィラメントの役割が重要な複合素材としては不適である。電解メッキで生産されたメッキ炭素繊維は、毛羽が多く発生し、フィラメント断絶現象が多くて、製品のメッキ状態を保持しなければならない複合材料としての使用が制限的である。
【0005】
本発明で開発した連続工程のハイブリッドタイプ(hybrid type)の場合、1次無電解メッキを通じて炭素繊維のあらゆるフィラメントにメッキにし、化学的試薬を完壁に除去した後、電解を通じるようになれば、あらゆる炭素繊維に均等に均一にメッキになるだけではなく、短い電解メッキ時間にもかかわらず、金属間に緻密なメッキ層が形成されて、厚さが薄いながらも、導電性が急激に向上して、複合材料の用途として非常に適したことを見つけることができた。
【0006】
従来の生産において、それぞれ異なる生産工程で進めて、生産工程のコストが非常に大きく、生産設備も高く、また製品のメッキ厚を調整して、導電性をコントロールすることが非常に難しかった。
しかし、本発明で開発した連続工程上のハイブリッドタイプの場合、単一生産設備で連続して無電解及び電解を進行させることによって、低コストであり、コントロールが容易であって、競争力のある製品の生産が可能であり、品質検査が容易であるという長所を有している。
本明細書の全般に亘って多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体として本明細書に参照して挿入されて、本発明が属する技術分野のレベル及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、経済性と導電性とに優れた金属メッキされた繊維不織布を製造する方法を開発するために努力してきた。その結果、無電解と電解表面の処理工程を連続して進行させる方法を採択した場合、以前方式である無電解または電解表面の処理工程のみを実施する場合よりも、工程時間を短縮、価格競争力、生産設備の簡素化などの長所があり、以前方式による製品よりも金属構造間に緻密なメッキになって、導電性に優れるだけではなく、生産コストが安価であることを確認した。
【0008】
したがって、本発明の目的は、無電解及び電解連続工程の不織布金属(銅及びニッケル)のメッキ方法を提供することである。
本発明の他の目的は、無電解及び電解連続工程の不織布金属(ニッケル及びニッケル)のメッキ方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、前述した本発明の方法によって金属(銅及びニッケル)メッキされた不織布を提供することである。
本発明の他の目的は、前述した本発明の方法によって金属(ニッケル及びニッケル)メッキされた不織布を提供することである。
本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、本発明は、次の段階を含む不織布(non−woven fabric)の無電解及び電解連続工程の金属メッキ方法を提供する:(a)不織布を純水(pure water)の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜5.5g/l、EDTA 20〜55g/l、ホルマリン2.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン(bipiridine)0.008〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間不織布に銅をメッキさせる段階;及び(b)前記段階(a)の銅メッキされた不織布をNi(NHSO 280〜320g/l、NiCl 15〜25g/l、及びHBO 35〜45g/lを含み、pH4.0〜4.2及び温度50〜60℃である電解メッキ液に通過させて、1〜3分間銅メッキされた不織布にニッケルをメッキさせる段階。
【0010】
本発明の他の態様によれば、本発明は、次の段階を含む不織布の無電解及び電解連続工程の金属メッキ方法を提供する:(a)不織布を純水の体積を基準にして、Niイオン5〜7g/l、NaHPO 20〜30g/l、Na 20〜30g/l及びチオ硫酸カリウム0.0005〜0.001g/lを含み、pH8.5〜9.5及び温度30〜35℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間不織布にニッケルをメッキさせる段階;及び(b)前記段階(a)のニッケルメッキされた不織布をNi(NHSO 280〜320g/l、NiCl 15〜25g/l、及びHBO 35〜45g/lを含み、pH4.0〜4.2及び温度50〜55℃である電解メッキ液に通過させて、1〜3分間ニッケルメッキされた不織布にニッケルをメッキさせる段階。
【0011】
本発明者らは、経済性と導電性とに優れた金属メッキされた繊維不織布を製造する方法を開発するために鋭意研究した結果、無電解と電解表面の処理工程を連続して進行させる方法を採択した場合、以前方式である無電解または電解表面の処理工程のみを実施する場合よりも、工程時間を短縮、価格競争力、生産設備の簡素化などの長所があり、以前方式による製品よりも金属構造間に緻密なメッキになって、導電性に優れるだけではなく、生産コストが安価であることを確認した。
【0012】
本発明の方法の特徴は、繊維(fiber)不織布を非酸化方法によって表面処理して1次的に無電解メッキ(銅またはニッケル)後、電解(ニッケル)メッキするものであって、これは、生産工程を最小化して陽極酸化のように連続工程が可能であり、相対的に優越した伝導度を有する高機能性不織布を製造することができる。
【0013】
本発明の方法は、無電解銅メッキ、または無電解ニッケルメッキを1次でした後に電解メッキにつながる方式で進行させる。
本発明の方法は、公知の多様な製造方法による不織布に適用可能であり、例えば、乾式不織布、湿式不織布またはスパンボンド(spunbond)不織布などに適用可能である。
【0014】
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、湿式不織布として炭素繊維不織布またはPET不織布に適用可能である。前述した乾式不織布、湿式不織布またはスパンボンド不織布の製造方法は、当業者に広く知られており、大韓民国公開特許第10−2012−0121079号、大韓民国登録特許第101049623号、大韓民国登録特許第101133851号、及び大韓民国登録特許第101156844号が参考として組み込まれる。
【0015】
本発明のメッキ方法は、公知の多種の不織布に適用可能であり、例えば、炭素繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、ポリイミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、天然繊維、またはこれらの混合繊維で製作された不織布に適用可能である。
ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート(PHBV)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びベクトラン(Vectran)を含み、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、炭素繊維不織布またはPET繊維不織布に適用可能である。
一方、本発明の方法が適用される不織布は、前述した繊維(第1繊維と称する)に強化繊維として第2繊維を混合して製造することができる。強化繊維とは、不織布の強度を増加させるための材料であって、低融点繊維(low melting fiber)または低融点フィラメント(low melting filament)であり、例えば、L/Mポリエステル繊維(LMP)を使うことができる。低融点ポリエステル繊維は、一般的なポリエステルの融点である255℃よりも低い融点を有し、熱融着の目的として使われる。
【0017】
本発明によれば、前記第2繊維として低融点繊維は、L/Mポリエチレンテレフタレート(low melting PET)である。L/Mポリエチレンテレフタレートは、溶融点が比較的低いので、約100℃に加熱圧着時に溶融されて第1繊維に混合されることによって、全体不織布の強度を増加させる。
本発明の不織布の無電解及び電解連続工程の金属メッキ方法は、最終的に金属メッキ不織布を製造するためのものであって、無電解及び電解連続工程で金属メッキ不織布の製造方法と同じ意味として使われる。
【0018】
以下、無電解及び電解連続工程で金属メッキ不織布を製造するための本発明の方法を段階別に詳細に説明すれば、次の通りである。
(a)無電解メッキ工程
まず、不織布に金属を無電解メッキさせる段階を経る。
一具現例として、炭素繊維不織布に銅をメッキさせる場合には、無電解メッキ液は、純水、銅金属塩、錯化剤、還元剤、安定剤及びpH調節剤を含む。
前記無電解メッキ液に含まれる銅金属塩は、炭素繊維に導電性を付与するための銅イオンを供給し、還元剤は、ホルマリンを用い、錯化剤としてEDTA、安定剤としてTEA(トリエタノールアミン)及び2,2’−ビピリジン、そして、pH調節剤としては、濃度25%のNaOHを用いた。
実施例から確認できるように、無電解メッキ液に含まれる還元剤であるホルマリン及びpH調節剤であるNaOHの濃度が増加するにつれて、メッキ速度は上昇したが、メッキ液の寿命が短くなる短所があって、それを考慮して還元剤とpH調節剤の含量を採択した。
【0019】
一方、実施例から明確に確認できるように、銅イオン及び錯化剤の含量が同じ比率で増加する時、還元剤の含量を調節することによって、メッキ速度及び液の安定性試験を実施した結果、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度の調節でメッキ速度及びメッキ層の厚さを調節し、メッキ層の厚さ調節を通じて比重、強度、弾性率及びストレイン(strain)を調節することができるが、本発明では、メッキ層の厚さが厚くなるほど、比重が増加し、強度、弾性率及びストレインが低下するので、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度調節と共に電解メッキを実施して、薄い厚さで伝導度が向上して、前記問題点を解決し、これは、本発明で無電解及び電解連続工程を採択した理由である。
【0020】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、不織布を純水の体積を基準にして、Cuイオン4.5〜5.5g/l、EDTA 45〜55g/l、ホルマリン3.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)4〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l、及び2,2’−ビピリジン0.01〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度40〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間不織布に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0021】
他の具現例として、不織布にニッケルをメッキさせる場合には、無電解メッキ液は、純水、ニッケル金属塩、pH緩衝剤、還元剤及び安定剤を含む。
前記無電解メッキ液に含まれるニッケル金属塩は、不織布に導電性を付与するためのニッケルイオンを供給し、還元剤は、NaHPOを用い、安定剤としてチオ硫酸カリウム、そして、pH緩衝剤としては、Naを利用できる。
そして、無電解メッキ後、水洗3段を行い、水洗3段のうち、3番目には、HSO 1〜2%を混ぜて水洗する。これは、電解メッキ槽のpHを保存するための手段であり、無電解メッキされた炭素繊維の表面を活性化させるためである。
【0022】
(b)電解メッキ工程
段階(a)過程以後、銅またはニッケル無電解メッキされた不織布に対して電解メッキ工程でニッケルを連続してメッキさせる。
本発明の特徴の1つは、無電解メッキ工程を実施した後、ニッケル電解メッキ工程を実施して、繊維または不織布の電気伝導度を改善させたという点である。
前記電解メッキ工程を実施するための電解メッキ液は、ニッケル金属塩としてNi(NHSO及びNiClを、pH緩衝剤としてHBOを用いる。
実施例から明確に確認できるように、無電解及び電解連続工程を通じてメッキされない炭素繊維に比べて、電気抵抗値が約32〜37倍減少し、比較例に比べては、約2倍減少して、電気伝導度が改善された。これにより、炭素繊維で製作した不織布の場合にも、電気伝導度が改善されることが分かる。
これは、無電解メッキ後、銅またはニッケルの空隙を早い時間にNi電解メッキを実施して埋める方式で電気伝導度が改善されたと判断される。
【0023】
本発明の一具現例によれば、前記段階(c)の電解メッキ工程は、定電圧(CV、Constant Voltage)5〜15Voltを加えて実施する。
無電解銅メッキ及び電解ニッケルメッキの連続工程の場合、電解メッキ工程は、定電圧(CV)5〜10Voltを加えて実施し、より望ましくは、6〜8Voltを加えて実施する。
無電解ニッケルメッキ及び電解ニッケルメッキの連続工程の場合、電解メッキ工程は、定電圧(CV)10〜15Voltを加えて実施する。
このような無電解及び電解メッキの長所は、電気伝導度の優秀性を帯び、密着力及び軟性に効果的であり、無電解メッキで生じた金属の空間に電解金属が張り付いて、厚さは薄く、伝導度に優れた形態の合金層が形成される。また、繊維または不織布に均一にメッキができる効果を有する。
【0024】
1次無電解メッキ(銅またはニッケル)後、連続して電解メッキを実施し、浴中に不織布を置き、電圧を印加することによって、無電解メッキで生じた空隙に電解イオンが結合して、メッキ厚が薄く、伝導度は向上した製品が生産される。
【0025】
本発明によれば、前記段階(a)の不織布は、段階(a)の実施前の次の段階を含む方法で前処理(pre−treatment)されることを特徴とする。(i)不織布を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン界面活性剤を含む水溶液に通過させて不織布を脱脂及び軟化させる段階;(ii)前記段階(i)の結果物である不織布を亜硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfite;NaHSO)、硫酸(HSO)、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate;(NH)及び純水を含む水溶液に通過させて、中和、洗浄及び調質(conditioning)作用を行うエッチング工程を実施する段階;(iii)前記段階(ii)の結果物である不織布をPdCl水溶液に通過させてセンシタイジング(sensitizing)工程を実施する段階;及び(iv)前記段階(iii)の結果物である不織布を硫酸(HSO)水溶液に通過させて活性化(activating)工程を実施する段階。
【0026】
(i)炭素繊維の脱脂及び軟化
本発明の方法のうち、不織布の前処理は、まず、炭素繊維を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン界面活性剤を含む水溶液に通過させて不織布を脱脂及び軟化させる段階を経る。
前記界面活性剤、有機溶媒及び非イオン界面活性剤を含む水溶液は、炭素繊維にサイジングされたエポキシやウレタンを除去する脱脂作用を行い、同時に繊維表面を膨潤(swelling)させて軟化(softening)させる。
本発明によれば、前記段階(i)の水溶液は、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比40〜49:1〜10で混合した溶液15〜35重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール(diethyl propanediol)50〜80重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル(dipropylene glycol methyl ether)5〜15重量%、そして、400〜600ppmの非イオン性界面活性剤を含み、さらに望ましくは、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比45〜48:2〜5で混合した溶液20〜30重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール58〜72重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル8〜12重量%、そして、450〜550ppmの非イオン性界面活性剤を含む。
【0027】
前記非イオン性界面活性剤は、当業者に公知の多様な非イオン性界面活性剤を含むが、望ましくは、エトキシル化リニアアルコール(ethoxylated linear alcohol)、エトキシル化リニアアルキルフェノール(ethoxylated linear alkyl−phenol)またはエトキシル化リニアチオール(ethoxylated linear thiol)であり、より望ましくは、エトキシル化リニアアルコールである。
本発明のさらに他の望ましい具現例によれば、前記段階(i)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、より望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
【0028】
(ii)エッチング工程
引き続き、強アルカリ成分を中和させ、次の工程であるセンシタイジング工程のために洗浄作用を助け、調質作用を行うエッチング工程を実施する。
エッチング工程のための水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)、硫酸(HSO)、過硫酸アンモニウム((NH)及び純水を含む。
本発明によれば、前記段階(ii)の水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)0.1〜10重量%、硫酸(HSO)0.1〜3重量%、過硫酸アンモニウム((NH)5〜25重量%及び純水62〜94.8重量%を含み、さらに望ましくは、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)0.8〜2重量%、硫酸(HSO)0.3〜1重量%、過硫酸アンモニウム((NH)10〜20重量%及び純水77〜88.9重量%を含む。
本発明の一具現例によれば、前記段階(ii)は、温度20〜25℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度20〜25℃で1〜3分間実施する。
【0029】
(iii)センシタイジング工程
次いで、前記段階(ii)の結果物である不織布をPdCl水溶液に通過させてセンシタイジング工程を実施する段階を経る。
前記センシタイジング工程は、表面改質された繊維または不織布の表面に金属イオンを吸着させるためである。
より望ましくは、PdCl水溶液の濃度は、10〜30%であり、さらに望ましくは、15〜25%である。
本発明の一具現例によれば、前記段階(iii)は、温度20〜40℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度25〜35℃で1〜3分間実施する。
【0030】
(iv)活性化工程
引き続き、前記段階(iii)の結果物である不織布を硫酸(HSO)水溶液に通過させて活性化工程を実施する。
前記活性化工程は、センシタイジング工程以後に実施したと記載したが、センシタイジング工程と共に実施することも、本発明の範囲に含まれる。
活性化工程は、Pdの酸化防止のためにコロイド化されたSnの除去のために実施する。
より望ましくは、硫酸(HSO)水溶液の濃度は、5〜15%である。
【0031】
本発明のより望ましい具現例によれば、前記段階(iv)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
このような方法で不織布を前処理し、該前処理された不織布に金属である銅及びニッケル、そして、ニッケル及びニッケルを無電解及び電解連続工程でメッキさせることができる。一方、前記前処理過程は、不織布製作後になされると記載されているが、不織布を製作する以前の繊維自体に前処理過程が適用されることもある。
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の方法によって製造された金属(銅及びニッケル)メッキされた不織布を提供する。
本発明の他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の方法によって製造された金属(ニッケル及びニッケル)メッキされた不織布を提供する。
本発明の銅及びニッケル、またはニッケル及びニッケルがメッキされた不織布は、前述した本発明の無電解及び電解連続工程で金属メッキされた炭素繊維の製造方法で製造されるものであるために、両者間の共通内容は、繰り返し記載による明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。
【発明の効果】
【0032】
本発明の特徴及び利点を要約すれば、次の通りである。
(a)本発明で使ったメッキ方法は、連続工程が可能であり、安定した処理が可能であると共に、炭素繊維の表面に銅−ニッケル合金またはニッケル−ニッケル金属を導入させることによって、繊維または不織布が高い電気伝導度を有する。
(b)また、それを用いて複合素材を製作時に、炭素繊維と銅−ニッケルメッキまたはニッケル−ニッケルメッキが製品成形時に剥離される現象がなくて、複合材料の完成時にも同じ伝導度を保持するので、従来の製品とは異なって、電気伝導度を高めるために導電性フィラーを追加する工程及びコストを節減し、複合材料の重要な特性の1つである機械的物性にも問題がない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本発明による不織布の表面処理装置を示す(側面図)。この図1は、設けられたローラーを通じて矢印の方向に装置が進行する概略図である。炭素繊維不織布またはPET不織布は、ローラーによって、メッキの密着力及びメッキ前処理を決定する前処理槽を通過した以後、無電解メッキ槽で1次メッキを進行させる。この際、無電解メッキは、銅またはニッケルを選択することができる。1次無電解メッキを行った後、電解メッキ槽では、無電解メッキが進行した不織布に最終的にニッケルメッキを実施する。電解板は、+電極をかけ、ローラーには、−電極をかけて、電解メッキを進行させ、最終的に、製品は、銅−ニッケルまたはニッケル−ニッケルの二重構造を有する導電性不織布を製造する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これら実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨によって、本発明の範囲が、これら実施例によって制限されるものではないということは、当業者にとって自明である。
【0035】
実施例
本明細書の全般に亘って、特定物質の濃度を表わすために使われる“%”は、別途の言及のない場合、固体/固体は、(重量/重量)%、固体/液体は、(重量/体積)%、そして、液体/液体は、(体積/体積)%である。
【0036】
実施例1:炭素繊維不織布及びPET不織布の製作
炭素繊維不織布
炭素繊維不織布は、湿式不織布(wet laid)の形態で製作された。
まず、炭素繊維(12K、購入先:東レ(Toray)社、暁星社または泰光(TK)社)を約6mmの長さで切断した後、該切断された炭素繊維チョップ(chop)を水に分散させた。該分散された炭素繊維を水に浮かべて左右振動を通じて水中で一定厚さの層を形成させた。引き続き、前記炭素繊維層を吸い取って乾燥させた後、ローラー(roller)で圧着して不織布を製作した。
一方、不織布の強度を高めるために、L/M PET(low melting PET chop 6mm)を炭素繊維6mmチョップと共に水に分散させた後、加熱ローラーで、約100℃で圧着して不織布を生成することができる。L/M PETは、約100℃で溶融性があるので、それを炭素繊維に少量混合した後、加熱圧着して生成された不織布は、100%の炭素繊維で製作された不織布と比較して強度が増加する。
【0037】
PET不織布
PET不織布は、湿式不織布の形態で製作され、炭素繊維の代わりに、PET(購入先:日本TEIJIN社)6mmチョップを使った点を除き、前述した炭素繊維不織布の製作方法と同じ方法で製作された。一方、前述したように、PET不織布の強度を高めるために、一定量のL/M PETを混合して不織布を生成することができる。
【0038】
炭素繊維不織布及びPET不織布の前処理
1)脱脂及び軟化工程
まず、有機溶媒を用いて炭素繊維にサイジングされたエポキシやウレタンを除去し、同時に繊維表面を膨潤させて軟化させる工程を実施した。
界面活性剤として純水及びNaOHを重量比47:3で混合した溶液25重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール65重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル10重量%、そして、500ppmの非イオン界面活性剤(non−ionic surfactant、low foam)としてエトキシル化リニアアルコールを含む前処理槽に実施例1の炭素繊維不織布またはPET不織布を通過させて脱脂及び軟化工程を実施した。脱脂及び軟化工程は、温度50℃で2分間実施した。
【0039】
2)エッチング工程
NaOHの強アルカリ成分を、硫酸(HSO)を用いて中和させ、次の工程であるセンシタイジング工程の負担を減らし、過硫酸アンモニウム((NH)を用いて洗浄作用を助け、調質作用を行って、パラジウムの吸着を強力にするために、エッチング工程を実施した。
具体的に、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO)1重量%、硫酸(HSO)0.5重量%、過硫酸アンモニウム((NH)15重量%及び純水83.5重量%を含む前処理槽に脱脂及び軟化工程を経た不織布を通過させて、中和、洗浄及び調質作用を行うエッチング工程を実施した。前記エッチング工程は、温度20〜25℃で2分間実施した。
【0040】
3)センシタイジング工程(触媒付与工程)
前記エッチング工程を実施した不織布に濃度20%のPdClを温度30℃で2分間処理して、センシタイジング工程を実施した。センシタイジング工程は、表面改質された炭素繊維またはPETの表面に金属イオンを吸着させるために実施した。
【0041】
4)活性化工程
センシタイジング工程と共に実施する工程でPdの酸化防止のために、コロイド化されたSnの除去のために、温度50℃で濃度10%の硫酸(HSO)を不織布に2分間処理した。
前記工程で不織布を前処理し、炭素繊維不織布及びPET不織布は、同じ工程で前処理した。
【0042】
実施例2及び実施例3:無電解及び電解連続メッキ工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維
下記の添付の図1のメッキ装置を用いて、前記実施例1の工程で前処理された炭素繊維(12K、購入先:東レ社)、そして、前記実施例1で前処理された炭素繊維(12K、購入先:泰光(TK)社)を次の表1の組成及び条件で無電解銅メッキを実施し、連続工程で次の表2の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を製造し、それをそれぞれ実施例2及び実施例3として用いた。以下の実施例に記載のメッキ液成分の含量は、純水1Lを基準とする。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
実施例4:無電解及び電解連続メッキ工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維
下記の添付の図1のメッキ装置を用いて、前記実施例1の工程で前処理された炭素繊維を次の表3の組成及び条件で無電解銅メッキを実施し、連続工程で次の表4の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を製造した。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
電解メッキの場合、電解ニッケル槽に定電圧(CV)5〜10Voltを加えた。正極として用いられた金属板は、Ni金属板またはNiボール(ball)を用いた。
【0048】
実施例5:無電解及び電解連続メッキ工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維
下記の添付の図1のメッキ装置を用いて、前記実施例1の工程で前処理された炭素繊維を次の表5の組成及び条件で無電解銅メッキを実施し、連続工程で次の表6の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維を製造した。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
電解メッキの場合、電解ニッケル槽に定電圧(CV)5〜10Voltを加えた。正極として用いられた金属板は、Ni金属板またはNiボールを用いた。
【0051】
実施例6:無電解及び電解連続メッキ工程でニッケル及びニッケルメッキされた炭素繊維
下記の添付の図1のメッキ装置を用いて、前記実施例1の工程で前処理された炭素繊維を次の表7の組成及び条件で無電解ニッケルメッキを実施し、連続工程で次の表8の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、ニッケルがメッキされた炭素繊維を製造した。
【0052】
【表7】
【0053】
【表8】
電解メッキの場合、電解ニッケル槽に定電圧(CV)10〜15Voltを加えた。正極として用いられた金属板は、Ni金属板またはNiボールを用いた。
【0054】
実験例1:電流密度の変化及びメッキされた炭素繊維の線抵抗値の測定
前記実施例4の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維を製造する組成及び条件のうち、pHを調節するNaOHの濃度とCuの還元反応を助けるHCHOの濃度調節を通じて無電解及び電解メッキの最適化条件を設定した。
濃度25%のNaOHを8、9、10、11及び12ml/l、そして、HCHOを2.5、2.7、2.9、3.1、3.3g/lにそれぞれ変化させながら、炭素繊維に流れる電流密度(A)の変化を測定し、最終的に得られた製品(銅及びニッケルメッキされた炭素繊維)の線抵抗値(Ω/30cm)で評価した。その結果は、下記の表9に整理し、電解ニッケル槽に定電圧(CV)7Voltを加え、その他の一定に保持した条件は、次の表10及び表11に整理した。
【0055】
【表9】
前記の表9で、1turnは、無電解銅メッキ1建浴量を示す。
【0056】
【表10】
【0057】
【表11】
前記の表9から確認できるように、還元剤及びNaOHの量が増加するにつれて、メッキ速度は上昇するということが分かるが、メッキ液の寿命が短くなる短所が分かった。これにより、還元剤の量は、最小(2.5〜3.0g/l)に保持し、NaOHの量を最大に上げて作業することが望ましいと言える。
【0058】
実験例2:メッキ速度及び液の安定性試験
銅イオン及び錯化剤(EDTA)の濃度調節を通じてメッキ速度及び液の安定性試験は、銅イオンと錯化剤とが同じ比率で上昇する時、還元剤の量を調節して(表12)、銅メッキの最適化条件を試験し、その他の一定に保持される成分及び条件については、下記の表13及び表14に整理した。
【0059】
【表12】
【0060】
【表13】
【0061】
【表14】
前記の表12から分かるように、銅濃度とHCHOの濃度とが高いほど、高速メッキが可能となり、メッキ層の厚さも高まることを確認した(メッキ厚0.7μm以上)。炭素繊維に望ましいメッキ厚0.3μmを有するためには、銅イオン濃度2.5〜3.0g/l及びHCHO濃度2.5〜3.0g/l以下で最も良い結果物を得た。
炭素繊維のメッキ厚が増加するほど、比重も増加し、強度、弾性率及びストレインが低下するために、無電解メッキで無理にメッキ厚を上げるよりは、無電解メッキ後、Cuの空隙を早い時間にNi電解メッキを行って、優れた電気伝導度を有する炭素繊維を製造することが望ましいと判断される。
【0062】
実験例3:物性及び電気伝導度の比較
次の表15には、実施例2及び実施例3の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維と販売中である無電解メッキ工程で製造されたニッケルメッキ炭素繊維とを比較例1にして、物性及び電気伝導度などの特性を比較して整理した。
【0063】
【表15】
前記の表15から分かるように、無電解メッキ工程でよって製造された比較例1に比べて、実施例2及び実施例3の銅及びニッケルメッキされた炭素繊維は、物性に優れ、電気抵抗値が低くて、優れた電気伝導度値を示していることが分かった。
【0064】
実施例7:無電解及び電解連続メッキ工程で銅及びニッケルメッキされた炭素繊維不織布及びPET不織布
下記の添付の図1のメッキ装置を用いて、前記実施例1の炭素繊維不織布及びPET不織布を次の表16の組成及び条件で無電解銅メッキを実施し、連続工程で次の表17の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、銅及びニッケルがメッキされた炭素繊維不織布及びPET不織布を製造した。
【0065】
【表16】
【0066】
【表17】
電解メッキの場合、電解ニッケル槽に定電圧(CV)5〜10Voltを加えた。正極として用いられた金属板は、Ni金属板またはNiボールを用いた。
【0067】
実施例8:無電解及び電解連続メッキ工程でニッケルメッキされた炭素繊維不織布及びPET不織布
下記の添付の図1のメッキ装置を用いて、前記実施例1の工程で前処理された不織布を次の表18の組成及び条件で無電解ニッケルメッキを実施し、連続工程で次の表19の組成及び条件で電解ニッケルメッキ工程を実施して、ニッケルがメッキされた不織布を製造した。
【0068】
【表18】
【0069】
【表19】
電解メッキの場合、電解ニッケル槽に定電圧(CV)10〜15Voltを加えた。正極として用いられた金属板は、Ni金属板またはNiボールを用いた。
【0070】
実験例4:不織布の電気的特性
前記実施例7及び実施例8のメッキされた不織布に対して、それぞれ表20及び表21のように電気的特性を分析した。
【0071】
【表20】
【0072】
【表21】
C/F:炭素繊維
L/M PET:低融点PET
PET:ポリエチレンテレフタレート
【0073】
以上、本発明の特定の部分を詳しく記述したところ、当業者にとって、このような具体的な技術は、単に望ましい具現例であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物とによって定義される。
図1