【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、本発明は、次の段階を含む不織布(non−woven fabric)の無電解及び電解連続工程の金属メッキ方法を提供する:(a)不織布を純水(pure water)の体積を基準にして、Cuイオン2.5〜5.5g/l、EDTA 20〜55g/l、ホルマリン2.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)2〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l及び2,2’−ビピリジン(bipiridine)0.008〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度36〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間不織布に銅をメッキさせる段階;及び(b)前記段階(a)の銅メッキされた不織布をNi(NH
2SO
3)
2 280〜320g/l、NiCl
2 15〜25g/l、及びH
3BO
3 35〜45g/lを含み、pH4.0〜4.2及び温度50〜60℃である電解メッキ液に通過させて、1〜3分間銅メッキされた不織布にニッケルをメッキさせる段階。
【0010】
本発明の他の態様によれば、本発明は、次の段階を含む不織布の無電解及び電解連続工程の金属メッキ方法を提供する:(a)不織布を純水の体積を基準にして、Niイオン5〜7g/l、NaH
2PO
2 20〜30g/l、Na
3C
6H
5O
7 20〜30g/l及びチオ硫酸カリウム0.0005〜0.001g/lを含み、pH8.5〜9.5及び温度30〜35℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間不織布にニッケルをメッキさせる段階;及び(b)前記段階(a)のニッケルメッキされた不織布をNi(NH
2SO
3)
2 280〜320g/l、NiCl
2 15〜25g/l、及びH
3BO
3 35〜45g/lを含み、pH4.0〜4.2及び温度50〜55℃である電解メッキ液に通過させて、1〜3分間ニッケルメッキされた不織布にニッケルをメッキさせる段階。
【0011】
本発明者らは、経済性と導電性とに優れた金属メッキされた繊維不織布を製造する方法を開発するために鋭意研究した結果、無電解と電解表面の処理工程を連続して進行させる方法を採択した場合、以前方式である無電解または電解表面の処理工程のみを実施する場合よりも、工程時間を短縮、価格競争力、生産設備の簡素化などの長所があり、以前方式による製品よりも金属構造間に緻密なメッキになって、導電性に優れるだけではなく、生産コストが安価であることを確認した。
【0012】
本発明の方法の特徴は、繊維(fiber)不織布を非酸化方法によって表面処理して1次的に無電解メッキ(銅またはニッケル)後、電解(ニッケル)メッキするものであって、これは、生産工程を最小化して陽極酸化のように連続工程が可能であり、相対的に優越した伝導度を有する高機能性不織布を製造することができる。
【0013】
本発明の方法は、無電解銅メッキ、または無電解ニッケルメッキを1次でした後に電解メッキにつながる方式で進行させる。
本発明の方法は、公知の多様な製造方法による不織布に適用可能であり、例えば、乾式不織布、湿式不織布またはスパンボンド(spunbond)不織布などに適用可能である。
【0014】
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、湿式不織布として炭素繊維不織布またはPET不織布に適用可能である。前述した乾式不織布、湿式不織布またはスパンボンド不織布の製造方法は、当業者に広く知られており、大韓民国公開特許第10−2012−0121079号、大韓民国登録特許第101049623号、大韓民国登録特許第101133851号、及び大韓民国登録特許第101156844号が参考として組み込まれる。
【0015】
本発明のメッキ方法は、公知の多種の不織布に適用可能であり、例えば、炭素繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、ポリイミド繊維、ポリベンズオキサゾール繊維、天然繊維、またはこれらの混合繊維で製作された不織布に適用可能である。
ポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシバレレート(PHBV)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びベクトラン(Vectran)を含み、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明の一実施例によれば、本発明の方法は、炭素繊維不織布またはPET繊維不織布に適用可能である。
一方、本発明の方法が適用される不織布は、前述した繊維(第1繊維と称する)に強化繊維として第2繊維を混合して製造することができる。強化繊維とは、不織布の強度を増加させるための材料であって、低融点繊維(low melting fiber)または低融点フィラメント(low melting filament)であり、例えば、L/Mポリエステル繊維(LMP)を使うことができる。低融点ポリエステル繊維は、一般的なポリエステルの融点である255℃よりも低い融点を有し、熱融着の目的として使われる。
【0017】
本発明によれば、前記第2繊維として低融点繊維は、L/Mポリエチレンテレフタレート(low melting PET)である。L/Mポリエチレンテレフタレートは、溶融点が比較的低いので、約100℃に加熱圧着時に溶融されて第1繊維に混合されることによって、全体不織布の強度を増加させる。
本発明の不織布の無電解及び電解連続工程の金属メッキ方法は、最終的に金属メッキ不織布を製造するためのものであって、無電解及び電解連続工程で金属メッキ不織布の製造方法と同じ意味として使われる。
【0018】
以下、無電解及び電解連続工程で金属メッキ不織布を製造するための本発明の方法を段階別に詳細に説明すれば、次の通りである。
(a)
無電解メッキ工程
まず、不織布に金属を無電解メッキさせる段階を経る。
一具現例として、炭素繊維不織布に銅をメッキさせる場合には、無電解メッキ液は、純水、銅金属塩、錯化剤、還元剤、安定剤及びpH調節剤を含む。
前記無電解メッキ液に含まれる銅金属塩は、炭素繊維に導電性を付与するための銅イオンを供給し、還元剤は、ホルマリンを用い、錯化剤としてEDTA、安定剤としてTEA(トリエタノールアミン)及び2,2’−ビピリジン、そして、pH調節剤としては、濃度25%のNaOHを用いた。
実施例から確認できるように、無電解メッキ液に含まれる還元剤であるホルマリン及びpH調節剤であるNaOHの濃度が増加するにつれて、メッキ速度は上昇したが、メッキ液の寿命が短くなる短所があって、それを考慮して還元剤とpH調節剤の含量を採択した。
【0019】
一方、実施例から明確に確認できるように、銅イオン及び錯化剤の含量が同じ比率で増加する時、還元剤の含量を調節することによって、メッキ速度及び液の安定性試験を実施した結果、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度の調節でメッキ速度及びメッキ層の厚さを調節し、メッキ層の厚さ調節を通じて比重、強度、弾性率及びストレイン(strain)を調節することができるが、本発明では、メッキ層の厚さが厚くなるほど、比重が増加し、強度、弾性率及びストレインが低下するので、銅イオン及び還元剤であるホルマリンの濃度調節と共に電解メッキを実施して、薄い厚さで伝導度が向上して、前記問題点を解決し、これは、本発明で無電解及び電解連続工程を採択した理由である。
【0020】
本発明の一具現例によれば、前記段階(a)の無電解メッキ段階は、不織布を純水の体積を基準にして、Cuイオン4.5〜5.5g/l、EDTA 45〜55g/l、ホルマリン3.5〜4.5g/l、TEA(トリエタノールアミン)4〜6g/l、濃度25%のNaOH 8〜12ml/l、及び2,2’−ビピリジン0.01〜0.15g/lを含み、pH12〜13及び温度40〜45℃である無電解メッキ液に通過させて、6〜10分間不織布に銅をメッキさせることを特徴とする。
【0021】
他の具現例として、不織布にニッケルをメッキさせる場合には、無電解メッキ液は、純水、ニッケル金属塩、pH緩衝剤、還元剤及び安定剤を含む。
前記無電解メッキ液に含まれるニッケル金属塩は、不織布に導電性を付与するためのニッケルイオンを供給し、還元剤は、NaH
2PO
2を用い、安定剤としてチオ硫酸カリウム、そして、pH緩衝剤としては、Na
3C
6H
5O
7を利用できる。
そして、無電解メッキ後、水洗3段を行い、水洗3段のうち、3番目には、H
2SO
4 1〜2%を混ぜて水洗する。これは、電解メッキ槽のpHを保存するための手段であり、無電解メッキされた炭素繊維の表面を活性化させるためである。
【0022】
(b)
電解メッキ工程
段階(a)過程以後、銅またはニッケル無電解メッキされた不織布に対して電解メッキ工程でニッケルを連続してメッキさせる。
本発明の特徴の1つは、無電解メッキ工程を実施した後、ニッケル電解メッキ工程を実施して、繊維または不織布の電気伝導度を改善させたという点である。
前記電解メッキ工程を実施するための電解メッキ液は、ニッケル金属塩としてNi(NH
2SO
3)
2及びNiCl
2を、pH緩衝剤としてH
3BO
3を用いる。
実施例から明確に確認できるように、無電解及び電解連続工程を通じてメッキされない炭素繊維に比べて、電気抵抗値が約32〜37倍減少し、比較例に比べては、約2倍減少して、電気伝導度が改善された。これにより、炭素繊維で製作した不織布の場合にも、電気伝導度が改善されることが分かる。
これは、無電解メッキ後、銅またはニッケルの空隙を早い時間にNi電解メッキを実施して埋める方式で電気伝導度が改善されたと判断される。
【0023】
本発明の一具現例によれば、前記段階(c)の電解メッキ工程は、定電圧(CV、Constant Voltage)5〜15Voltを加えて実施する。
無電解銅メッキ及び電解ニッケルメッキの連続工程の場合、電解メッキ工程は、定電圧(CV)5〜10Voltを加えて実施し、より望ましくは、6〜8Voltを加えて実施する。
無電解ニッケルメッキ及び電解ニッケルメッキの連続工程の場合、電解メッキ工程は、定電圧(CV)10〜15Voltを加えて実施する。
このような無電解及び電解メッキの長所は、電気伝導度の優秀性を帯び、密着力及び軟性に効果的であり、無電解メッキで生じた金属の空間に電解金属が張り付いて、厚さは薄く、伝導度に優れた形態の合金層が形成される。また、繊維または不織布に均一にメッキができる効果を有する。
【0024】
1次無電解メッキ(銅またはニッケル)後、連続して電解メッキを実施し、浴中に不織布を置き、電圧を印加することによって、無電解メッキで生じた空隙に電解イオンが結合して、メッキ厚が薄く、伝導度は向上した製品が生産される。
【0025】
本発明によれば、前記段階(a)の不織布は、段階(a)の実施前の次の段階を含む方法で前処理(pre−treatment)されることを特徴とする。(i)不織布を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン界面活性剤を含む水溶液に通過させて不織布を脱脂及び軟化させる段階;(ii)前記段階(i)の結果物である不織布を亜硫酸水素ナトリウム(sodium bisulfite;NaHSO
3)、硫酸(H
2SO
4)、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate;(NH
4)
2S
2O
8)及び純水を含む水溶液に通過させて、中和、洗浄及び調質(conditioning)作用を行うエッチング工程を実施する段階;(iii)前記段階(ii)の結果物である不織布をPdCl
2水溶液に通過させてセンシタイジング(sensitizing)工程を実施する段階;及び(iv)前記段階(iii)の結果物である不織布を硫酸(H
2SO
4)水溶液に通過させて活性化(activating)工程を実施する段階。
【0026】
(i)
炭素繊維の脱脂及び軟化
本発明の方法のうち、不織布の前処理は、まず、炭素繊維を界面活性剤、有機溶媒及び非イオン界面活性剤を含む水溶液に通過させて不織布を脱脂及び軟化させる段階を経る。
前記界面活性剤、有機溶媒及び非イオン界面活性剤を含む水溶液は、炭素繊維にサイジングされたエポキシやウレタンを除去する脱脂作用を行い、同時に繊維表面を膨潤(swelling)させて軟化(softening)させる。
本発明によれば、前記段階(i)の水溶液は、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比40〜49:1〜10で混合した溶液15〜35重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール(diethyl propanediol)50〜80重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル(dipropylene glycol methyl ether)5〜15重量%、そして、400〜600ppmの非イオン性界面活性剤を含み、さらに望ましくは、界面活性剤として純水及びNaOHを重量比45〜48:2〜5で混合した溶液20〜30重量%、有機溶媒としてジエチルプロパンジオール58〜72重量%及びジプロピレングリコールメチルエーテル8〜12重量%、そして、450〜550ppmの非イオン性界面活性剤を含む。
【0027】
前記非イオン性界面活性剤は、当業者に公知の多様な非イオン性界面活性剤を含むが、望ましくは、エトキシル化リニアアルコール(ethoxylated linear alcohol)、エトキシル化リニアアルキルフェノール(ethoxylated linear alkyl−phenol)またはエトキシル化リニアチオール(ethoxylated linear thiol)であり、より望ましくは、エトキシル化リニアアルコールである。
本発明のさらに他の望ましい具現例によれば、前記段階(i)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、より望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
【0028】
(ii)
エッチング工程
引き続き、強アルカリ成分を中和させ、次の工程であるセンシタイジング工程のために洗浄作用を助け、調質作用を行うエッチング工程を実施する。
エッチング工程のための水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO
3)、硫酸(H
2SO
4)、過硫酸アンモニウム((NH
4)
2S
2O
8)及び純水を含む。
本発明によれば、前記段階(ii)の水溶液は、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO
3)0.1〜10重量%、硫酸(H
2SO
4)0.1〜3重量%、過硫酸アンモニウム((NH
4)
2S
2O
8)5〜25重量%及び純水62〜94.8重量%を含み、さらに望ましくは、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO
3)0.8〜2重量%、硫酸(H
2SO
4)0.3〜1重量%、過硫酸アンモニウム((NH
4)
2S
2O
8)10〜20重量%及び純水77〜88.9重量%を含む。
本発明の一具現例によれば、前記段階(ii)は、温度20〜25℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度20〜25℃で1〜3分間実施する。
【0029】
(iii)
センシタイジング工程
次いで、前記段階(ii)の結果物である不織布をPdCl
2水溶液に通過させてセンシタイジング工程を実施する段階を経る。
前記センシタイジング工程は、表面改質された繊維または不織布の表面に金属イオンを吸着させるためである。
より望ましくは、PdCl
2水溶液の濃度は、10〜30%であり、さらに望ましくは、15〜25%である。
本発明の一具現例によれば、前記段階(iii)は、温度20〜40℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度25〜35℃で1〜3分間実施する。
【0030】
(iv)
活性化工程
引き続き、前記段階(iii)の結果物である不織布を硫酸(H
2SO
4)水溶液に通過させて活性化工程を実施する。
前記活性化工程は、センシタイジング工程以後に実施したと記載したが、センシタイジング工程と共に実施することも、本発明の範囲に含まれる。
活性化工程は、Pdの酸化防止のためにコロイド化されたSnの除去のために実施する。
より望ましくは、硫酸(H
2SO
4)水溶液の濃度は、5〜15%である。
【0031】
本発明のより望ましい具現例によれば、前記段階(iv)は、温度40〜60℃で1〜5分間実施し、さらに望ましくは、温度45〜55℃で1〜3分間実施する。
このような方法で不織布を前処理し、該前処理された不織布に金属である銅及びニッケル、そして、ニッケル及びニッケルを無電解及び電解連続工程でメッキさせることができる。一方、前記前処理過程は、不織布製作後になされると記載されているが、不織布を製作する以前の繊維自体に前処理過程が適用されることもある。
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の方法によって製造された金属(銅及びニッケル)メッキされた不織布を提供する。
本発明の他の態様によれば、本発明は、前述した本発明の方法によって製造された金属(ニッケル及びニッケル)メッキされた不織布を提供する。
本発明の銅及びニッケル、またはニッケル及びニッケルがメッキされた不織布は、前述した本発明の無電解及び電解連続工程で金属メッキされた炭素繊維の製造方法で製造されるものであるために、両者間の共通内容は、繰り返し記載による明細書の過度な複雑性を避けるために、その記載を省略する。