特許第6797798号(P6797798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6797798フィルターの分解を促進するよう適合された流量制限器を備えた喫煙物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797798
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】フィルターの分解を促進するよう適合された流量制限器を備えた喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20201130BHJP
   A24D 3/10 20060101ALI20201130BHJP
   A24D 3/14 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   A24D3/04
   A24D3/10
   A24D3/14
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-528891(P2017-528891)
(86)(22)【出願日】2015年12月1日
(65)【公表番号】特表2018-500890(P2018-500890A)
(43)【公表日】2018年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2015078248
(87)【国際公開番号】WO2016087463
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2018年11月13日
(31)【優先権主張番号】14196164.9
(32)【優先日】2014年12月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パパキリロー ステファノス
(72)【発明者】
【氏名】ナッピ レオナルド
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0080044(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/102096(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0220349(US,A1)
【文献】 特表2013−514802(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0174324(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0000481(US,A1)
【文献】 特表2010−520755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/00 − 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たばこロッドおよびフィルター構成要素を備えた喫煙物品であって、前記フィルター構成要素が、
フィルターの長軸方向に対して直角に測定した直径を持つ、濾過材料でできたフィルターセグメントと、
前記フィルターセグメント内に包埋されている流量制限器とを備え、
前記フィルターセグメントの横断方向に測定した前記流量制限器の少なくとも一つの断面寸法が、前記フィルターセグメントの前記直径の少なくとも約50パーセントであり、
前記流量制限器が不通気性、非圧縮性および水溶性または水溶解性の材料から作製され、
前記流量制限器が、前記濾過材料の分解を促進する組成物を含み、
前記流量制限器がビーズを含み、前記濾過材料の分解を促進する組成物が少なくとも部分的に前記ビーズの表面を覆う、喫煙物品。
【請求項2】
請求項に記載の喫煙物品であって、前記濾過材料の分解を促進する組成物が、
微生物の増殖を維持するのに適した1つ以上の栄養物、
前記濾過材料の酵素加水分解または酸性加水分解を開始または維持するように適合された1つ以上の化合物と、
1つ以上の酸と、
1つ以上の酸性塩と、
1つ以上の塩基とのうち少なくとも一つを含む、喫煙物品。
【請求項3】
前記1つ以上の酸が、酢酸、アスコルビン酸、アスコルビル−2−リン酸、アスコルビル−2−硫酸、アスパラギン酸(アミノコハク酸)、桂皮クエン酸、葉酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸(1−ヒドロキシコハク酸)、ニコチン酸(ナイアシン)、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、ホウ酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、およびその組み合わせから成る群から選択され、あるいは前記1つ以上の酸塩が、金属塩であって、金属がアルミニウム、カリウム、ナトリウムまたは亜鉛から成る群から選択され、アニオンが、硝酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩、およびその組み合わせから成る群から選択され、あるいは前記1つ以上の塩基が、金属水酸化物、酸化カルシウム(石灰)、尿素、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)およびその組み合わせから成る群から選択される、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項4】
前記流量制限器のすべての側が前記濾過材料によって囲まれている、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項5】
前記流量制限器が、実質的に球体のビーズとして提供され、前記フィルターの横断方向に測定される前記ビーズの前記少なくとも一つの断面寸法が、前記実質的に球体ビーズの直径である、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項6】
前記流量制限器が実質的に円筒形のビーズとして提供され、前記フィルターの長軸方向に対して直角に測定された前記ビーズの前記少なくとも一つの断面寸法が、前記実質的に円筒形のビーズの直径である、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項7】
前記円筒形のビーズが前記フィルターセグメントの長さの約90パーセント未満の長さを持つ、請求項に記載の喫煙物品。
【請求項8】
前記流量制限器の圧縮降伏強度が約8.0 kPaより大きい、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項9】
前記流量制限器が前記フィルターの下流端から少なくとも約6ミリメートルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項10】
前記たばこロッドおよび前記フィルターに取り付けられたチッピング材料を含み、
前記チッピング材料に、前記チッピング材料を貫く穿孔を含む換気帯域が含まれる、請求項1〜のいずれか1項に記載の喫煙物品。
【請求項11】
前記換気帯域が前記流量制限器の中央の下流から少なくとも約1ミリメートルに位置する少なくとも一つの周辺の穿孔の列を持つ、請求項1に記載の喫煙物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこロッドおよびフィルターを含む喫煙物品に関連する。
【背景技術】
【0002】
フィルター紙巻たばこは通常、紙ラッパーで囲まれたたばこカットフィラーの円筒形のロッドと、包まれたたばこロッドと端と端を接して軸方向に整列された円筒形のフィルターとを備える。円筒形のフィルターは通常、紙プラグラップによって囲まれている濾過材料を含む。従来的には、包まれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの全長および包まれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は、紙材料によって形成されるチッピングラッパーの帯により結合される。
【0003】
主流煙の換気はチッピングペーパー内のフィルターに沿った位置付近にある一列または複数列の穿孔によって達成できる。換気は、喫煙物品を通したすべての材料の流れを希釈する。例えば、従来的な紙巻たばこの換気は、主流煙の粒子相の成分とガス相の成分の両方を減少させる。しかし、高レベルの換気度を持つ喫煙物品は、消費者にとって許容可能と考えられるには低すぎかねない引き出し抵抗(RTD)レベルを持ちうる。例えば、1つ以上の高密度の酢酸セルロース製フィルターセグメントを含める方法を、換気度の高い喫煙物品の全体RTDを許容可能なレベルに高めるために使用しうる。ところが、粒子相(例えば、タール)の送達を効率良く減少させることは周知である一方、高密度の酢酸セルロースフィルターセグメントは、高品質のたばこによって発生される風味ノートに影響しうる。その上、高密度の酢酸セルロースフィルターセグメントは、ガス相(例えば、一酸化炭素)の送達に対してはほとんどあるいは全く影響しない。
【0004】
フィルター内に制限要素を含めることによってこれを解決することが提案されてきた。高い換気度とともに使用した場合、制限要素は、主流煙の微粒子相およびガス相の両方の成分を減少させつつもRTDを高めることができる。制限要素は、例えば、濾過材料のプラグまたはチューブ内に包埋されうる。さらに、制限要素を含むフィルターセグメントは、例えば、その他の添加剤(吸収材または風味剤など)を含む、その他のフィルターセグメントと組み合わせてもよい。
【0005】
最も一般的に使用されている濾過材料である、酢酸セルロースは生物分解性ではない。従って、生物分解性材料でできた制限要素が酢酸セルロースのプラグと組み合わせて使用される時でさえも、紙巻たばこフィルターは一般的に非常にゆっくりと分解され、そのため廃棄されたフィルターの処分は環境面の課題をもたらすことがある。
【0006】
フィルターは、喫煙物品の崩壊または分解を促進する能力を持つ液体を含む送達要素を含むものが第WO 2011/077141号から周知である。第WO 2011/077141号によれば、送達要素は、喫煙物品を処分する直前に、または処分後のある時点で、壊して液体を放出させるカプセルとして提供されうる。送達要素は、例えば、喫煙物品を「揉み消す」動作が作用して液体を放出するように、フィルターに作用する長軸方向の力または曲げ力によって作動されうるように配置される。したがって、実際には、第WO 2011/077141号によるフィルターでは、喫煙物品の崩壊を促進することが意図された機構は、喫煙物品の処分時またはその後の所定の作動手順を実行することが求められるユーザーの意識的な介入によってのみ起動させることができる。
【0007】
それによって、濾過材料の分解がより効率的なものとなる一方、同時に、満足できる値およびRTD、気流、COレベルの調節可能性が保証されるフィルター付き喫煙物品を提供することが望ましいであろう。さらに、製造が比較的簡単かつ安価であるフィルター付き喫煙物品を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、たばこロッドおよびフィルター構成要素を備えた喫煙物品が提供されており、ここでフィルター構成要素は、フィルターの長軸方向に直角に測定された直径を持つ濾過材料のフィルターセグメントと、フィルターセグメント内に包埋されている流量制限器とを備える。フィルターセグメントの横断方向に測定した流量制限器の少なくとも一つの断面寸法は、フィルターセグメントの直径の少なくとも約50パーセントである。流量制限器は、不通気性、非圧縮性および水溶性または水溶解性の材料から作製される。さらに、流量制限器は、濾過材料の分解を促進する組成物を含む。
【0009】
本明細書に使用される時、「上流」および「下流」という用語は、消費者がその使用の間に喫煙物品を吸う方向に関連して、喫煙物品の要素または要素の部分の相対位置を記述するために使用される。本明細書で記述される喫煙物品は、下流端と反対側の上流端とを備える。使用時には、消費者は喫煙物品の下流端で吸引する。口側の端としても記述される下流端は、遠位端としても記述される場合がある上流端の下流である。
【0010】
本明細書で使用される「濾過材料の分解を促進する組成物」という用語は、所定の条件下での材料(例えば、ポリマー)の分解レートを(分解を加速または助長することにより)を増加させる能力を持つ薬剤を意味する。本発明の文脈では、「濾過材料の分解を促進する組成物」は、濾過材料(例えば、酢酸セルロース)の分解を促進できる分解加速剤に言及するために使用される。本発明の文脈では、「分解」という用語は、非生物的分解および生物的分解(生分解)の両方を含むことが意図される。非生物的分解には、化学的または物理的なプロセス、例えば、加水分解または光分解による物質の分解が関与する。生物的分解は、生物体による、通常は微生物による代謝によって物質がより単純な構成要素に崩壊することを意味する。「濾過材料の分解を促進する組成物」は、その単なる存在が、分解プロセスをより高速化またはより効率化するのに十分なものとしうる。代案として、「濾過材料の分解を促進する組成物」は、その活性化に予め決定されたある一定の条件が要求されるものでもよい。一例として、「濾過材料の分解を促進する組成物」は、水の存在、閾値を超える温度上昇、ある一定のpHへの暴露などによって活性化されうる。
【0011】
「ガス浸透性」という用語は、本明細書を通して、浸透、すなわち、材料を通したガスまたはガス状混合物(浸透物)の分子の拡散を許容する所定の材料の傾向を描写するために使用される。浸透は拡散を通じて機能し、したがって浸透物は濃度勾配に基づき移動する。浸透性は、面積の単位で、一般には平方メートルで測定される。
【0012】
本明細書で使用される「不通気性」および「ガス不浸透性」という用語は、材料の隙間または空孔を、あるいは一般的には材料の内部を通した流体(特に、空気および煙)の通過を許容しない材料を描写する。本発明による喫煙物品の流量制限器は、空気および煙を浸透できない材料で作製されており、そのためフィルターを通して引き込まれる空気および煙は、流量制限器の周りを強制的に流れ、また減少した濾過材料の断面を通して強制的に流れる。こうして、流量制限器はフィルター浸透可能な断面積を効果的に減少させる。
【0013】
「非圧縮性」という用語は本明細書全体にわたり、喫煙物品がパックから除去される際の手による取り扱い、指による圧縮(すなわち、フィルターに触れるユーザーの指による圧縮)、口内の圧縮(すなわち、フィルターの口側の端に触れるユーザーの唇または歯による圧縮)、または手で消す(「揉み消し」)の過程のうちいずれかによる圧縮に対する耐性を意味する。言い換えれば、「非圧縮性」という用語は、製造および使用中の喫煙物品の通常の取扱いで変形または破壊されない、本発明による喫煙物品の流量制限器などの構成要素を描写するために使用される。
【0014】
本明細書の文脈では、「圧縮降伏強度」という表現は、流量制限器の永久的変形に達した時点での一軸性の圧縮応力の値を意味するために使用される。
【0015】
本発明によるフィルター付き喫煙物品では、流量制限器は濾過材料のセグメント内に包埋され、喫煙物品のフィルター構成要素の部分を形成する。流量制限器は、フィルター直径の少なくとも50パーセントである、フィルターの長軸方向軸に直角に測定された断面寸法を持つ。流量制限器は実質的にガス不透過性であるため、フィルター内に引き込まれる主流煙の流れをフィルターの周辺に向けてそらす。実際には、主流煙の流れの大半は流量制限器の周りを回って、フィルターの断面積に比べて小さな断面積を持つ通路を通って流れるように配向される。従って、流量制限器は、消費者にとって容認できるRTDを発生する。
【0016】
さらに、流量制限器は、例えば、加水分解、光分解または生分解プロセスを開始、促進または触媒することにより濾過材料の分解を促進する組成物を含む。特に、組成物は、水の存在または最低値を超える湿度など、ある一定の周囲条件下で、濾過材料の分解プロセスを開始して維持できる。従って、喫煙物品のフィルターが廃棄されると、濾過材料(例えば、酢酸セルロースがあるが、その特定の材料に限定されない)は、本発明の流量制限器を持たないフィルターと比較して効果的かつ急速に分解する。
【0017】
さらに、流量制限器は水溶性または水溶解性の材料から作製されるため、分解加速剤の放出は、有利なことに、フィルターが自然環境条件、雨およびそれに類するものなどに晒されることに起因し、消費者の側での何らかの作用(機械的な作用など)は必要とされない。
【0018】
有利なことに、制限器は濾過(トウ)材料内に直接組み込まれうるため、本発明による流量制限器を備えたフィルターの製造は簡単である。こうして、制限器が埋め込まれたセルローストウ材料がフィルターセグメントに切断される、従来的な製造技術を使用しうる。他の周知のフィルターとは対照的に、制限器を挿入する別個の工程は要求されない。
【0019】
さらに、制限器は濾過材料の分解を促進する材料を含むため、単一のフィルター構成要素内で2つの機能が実質的に組み合わされる。従って、フィルターの構造は複雑ではなく、フィルター全体のサイズは有利にも控えめにしうる。さらに、フィルターセグメント内での制限器のサイズおよび配置を適切に選択することで、フィルターのRTD、そしてその結果として喫煙物品のRTDは、有利なことに調節できる一方で、同時に濾過材料の環境的影響が著しく低減される。
【0020】
本発明による喫煙物品は、たばこロッドとたばこロッドに接続されたフィルター構成要素とを備える。フィルター構成要素は、濾過材料でできたフィルターセグメントと、フィルターセグメントに包埋されている流量制限器とを備える。フィルターセグメントは、プラグラップの帯によって囲まれる。プラグラップは約90gsm未満の坪量を持ちうるが、約60gsm未満であることが好ましく、約40gsm未満であることがより好ましい。プラグラップの帯は、フィルターセグメントに、例えば接着剤を使用して貼り付けられうる。
【0021】
濾過材料は、適切な任意の材料(単一または複数)を含みうる。適切な材料の例は、酢酸セルロース、PLA繊維、ビスコース繊維、捲縮した紙またはその組み合わせを含む。本発明の一定の実施形態では、制限器の周りでフィルター材料は圧縮されることから、低密度の濾過媒体が好ましい場合がある。
【0022】
制限器は、不通気性および非圧縮性の材料から作製されることが好ましい。一般に、制限器はビーズとして提供されうるが、分解加速剤は、ビーズ内に封じ込められているか、または分散されている。
【0023】
一部の好ましい実施形態では、ビーズは水溶性の材料から作製された高分子マトリクスとして形成されうるが、分解加速剤は高分子マトリクス内にほぼ均質に封入され分散されることができる。別の実施形態では、制限器は水溶解性の材料から作製され、かつ濾過材料の分解を促進する組成物を含むコアを含んだ中空のビーズを備えうる。
【0024】
水溶性の材料は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、デンプン、糖、およびその組み合わせから成る群から選択されることが好ましい。糖は、グルコース、スクロース、ラクトース、およびその組み合わせである。
【0025】
その他の実施形態で、制限器は、ビーズと、少なくとも部分的にビーズ表面を覆う濾過材料の分解を促進する組成物とを含むことが好ましい。これらの実施形態では、被覆は水溶性の材料を含む。これらの実施形態では、被覆は完全に水溶性の材料から形成されることが好ましい。
【0026】
ビーズは多様な材料から作製されうる。適切な材料の例には、ゼラチンまたはその他の種類の親水コロイド、アルギネート、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース、澱粉、ポリ乳酸、ポリ(ブチレンコハク酸塩)およびその共重合体、ポリ(ブチレンアジピン酸塩−co−テレフタル酸塩)およびその組み合わせが含まれるが、これに限定されない。
【0027】
濾過材料の分解を促進する組成物は、微生物の増殖を維持するのに適した栄養物と、濾過材料の酵素加水分解または酸性加水分解を開始するか維持するように適合された1つ以上の化合物と、1つ以上の酸と、1つ以上の酸性塩と、1つ以上の塩基のうち、少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。
【0028】
好ましい実施形態で、濾過材料の分解を促進する組成物は、微生物による消費に適した1つ以上の栄養物を含む。理論に拘束されることを望むものではないが、フィルターが廃棄され、フィルター内の組成物の単なる存在によって、または上述してきた通りの放出機構の起動によって、栄養物が微生物にとって消費可能となった時に、微生物の急速な増殖を助長することが期待される。その結果、増殖する微生物は、酢酸セルロースの分解(例えば、加水分解)を開始し維持する分解酵素(例えば、セルラーゼ)、酸性の化合物または両方を分泌する。
【0029】
微生物用の栄養物には、濾過材料の分解を促進する能力を持つバクテリア、菌類、または両方の増殖および繁殖を助ける能力のある任意の材料が含まれうる。濾過材料の分解を促進する組成物内に微生物用の栄養物を使用することは、濾過材料の分解レートが著しく増加するようにバクテリアまたは菌類の急速な繁殖を促進するという点で有利である。
【0030】
さらに、濾過材料の分解を促進する組成物は、以下から選択される微生物をさらに含みうることが好ましい:
【0031】
(a)栄養物の消費後に酸を生成するバクテリアであって、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ビフィオバクテリアム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、アセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobacterium woodii)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)(酢酸菌)またはその組み合わせなど、
【0032】
(b)酢酸セルロースを直接攻撃するバクテリアであって、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Alcaligenes xylosoxidans)またはその組み合わせなど、
【0033】
(c)セルラーゼ酵素を生成するバクテリアであって、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、スポロトリクム・サーモフィレ(Sporotrichum thermophile)、カエトミウム・コクリオデス(Chaetomium cochliodes)またはその組み合わせなど。
【0034】
本明細書の文脈では、「セルラーゼ酵素」とは、セルロース分解および一部の関連する多糖類の分解を、すなわち、セルロース、ヘミセルロース、リケニン、および穀物のβ−D−グルカルの1,4−β−D−グリコシド結合の加水分解を触媒する、菌類、バクテリア、および原生動物により生成されるいくつかの酵素のうちどれかに言及するものである。理論に拘束されることを望むものではないが、セルラーゼは、セルロース分子をβ−グルコースなどの単糖類(「単糖」)に、または短めの多糖類および少糖類に分解すると理解されている。本発明の文脈では、「セルラーゼ」も、連続的にまたは相乗的に作用してセルロース系材料を分解する、こうした多様な酵素の天然混合物または複合体のどれかに言及するものである。例としては、エンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、カルボキシメチルセルラーゼ(CMCase)、アビセラーゼ、セルデキストリナーゼ、セルラーゼA、セルロシンAP、アルカリセルラーゼ、セルラーゼA 3、9.5セルラーゼ、およびパンセラーゼSSなどがある。
【0035】
さらに、または代案として、濾過材料の分解を促進する組成物は、酢酸セルロースの酵素加水分解または酸性加水分解を開始または維持するよう適合された1つ以上の化合物を含む。例えば、濾過材料の分解を促進する組成物は、微生物由来の分解酵素または酸性の化合物など微生物によって生成された物質を含みうる。微生物により生成される好ましい物質には、セルラーゼ酵素、酸、および塩基が含まれる。
【0036】
好ましい酸には、酢酸、アスコルビン酸、アスコルビル−2−リン酸、アスコルビル−2−硫酸、アスパラギン酸(アミノコハク酸)、桂皮クエン酸、葉酸、グルタル酸、乳酸、リンゴ酸(1−ヒドロキシコハク酸)、ニコチン酸(ナイアシン)、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、ホウ酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、およびその組み合わせが含まれる。
【0037】
好ましい酸性塩には、金属がアルミニウム、カリウム、ナトリウムまたは亜鉛から選択される金属塩が含まれ、またアニオンは、硝酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩、硫酸水素塩、硫酸塩およびその組み合わせから構成される群から選択される。
【0038】
好ましい塩基には、金属水酸化物、酸化カルシウム(石灰)、尿素、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)およびその組み合わせが含まれる。
【0039】
濾過材料の分解を促進する組成物は、フィルターセグメントの合計重量1ミリグラム当たり少なくとも約0.05ミリグラム、好ましくは少なくともフィルターセグメントの合計重量1ミリグラム当たり約0.10ミリグラム、より好ましくは少なくともフィルターセグメントの合計重量1ミリグラム当たり約0.20ミリグラムの量で存在する。「フィルターセグメントの合計重量」という表現は、濾過材料のセグメントおよび組み立てられた喫煙物品内の濾過材料のセグメントを囲む任意の材料(任意のプラグラップまたはチッピングペーパーまたは両方)の全重量を記述するために使用される。十分に速い分解速度を達成するためには低い比率の分解加速剤で十分であるため、制限器を形成するために使用される材料の機械的属性は、有利なことに、いかなる有意な程度にも影響しない。
【0040】
制限器は濾過材料によってすべての側が囲まれることが好ましい。「すべての側が囲まれた」という表現は、流量制限器が、上流および下流の方向(長軸方向)にも、また横断方向にも(すなわち、ビーズが別個の空洞内にあるのではない)、直に隣接した濾過材料であることを意味する。好ましくは、流量制限器は、フィルター材料の製造時に濾過材料内に組み込まれる。したがって、制限器の周りのフィルター内の空隙率は実質的に均質であり、また好ましい低圧力降下の経路を主流煙が利用できるようにはならず、したがって、ビーズの周りを均質にそれることになる。よって、実質的にすべての制限器の利用可能な外側表面領域は濾過材料と接触し、これは、後者が起動された時に、濾過材料の分解加速剤との接触を最大化するという点で有利である。
【0041】
流量制限器は、円筒形、プリズム形、卵形、楕円体、球状体、円錐、または涙の滴形を含む、適切な任意の形状のビーズとして提供されうる。ビーズは実質的に球体が好ましい。球体形状の利点は、とりわけ製造しやすさである。さらに、濾過材料内でのビーズの向きについて心配する必要がない。代案として、ビーズは実質的に円筒形が好ましい。円筒形ビーズも、例えば押し出しによるなど製造しやすく、フィルターセグメント内での流量制限器の方向付けも比較的簡単である。
【0042】
制限器の断面寸法は、フィルターセグメントの直径の好ましくは少なくとも60パーセント、より好ましくは少なくとも70パーセント、さらに好ましくは少なくとも80パーセントとしうる。さらに、または代案として、約95パーセント未満、好ましくは約90パーセント未満である。制限器が円筒形のビーズとして提供されている場合、ビーズの長さはフィルターセグメントの長さの約90パーセント未満であることが好ましい。
【0043】
流量制限器は、生物分解性高分子材料で形成されることが好ましい。
【0044】
流量制限器は、降伏時に少なくとも約8.0 kPaの圧縮応力持つことが好ましい。降伏時の圧縮応力は、標準検査ISO 604を用いて実験的に得ることができる。この試験において、試料(流量制限器)は、喫煙者が喫煙物品を掴んでいる時に喫煙者の指がそれに沿って制限器にかける圧力方向に相当する軸に沿った圧縮板によって圧縮される。試験中、板は負荷または変形が所定値に到達するまで一定の変位レートでずらされる。この手順中に、試料(流量制限器)が持ち応えた負荷が測定される。
【0045】
流量制限器は、フィルターの下流端から少なくとも約6ミリメートルであることが好ましい。さらに、または代案として、流量制限器は、フィルターの下流端から約25ミリメートル未満である。
【0046】
流量制限器は、少なくとも約200ミリメートルH2O(約1960 Pa)、好ましくは少なくとも約300ミリメートルH2O(約2940 Pa)のRTDを発生できることが好ましい。別の方法としてまたは追加的に、ビーズは、約500ミリメートルH2O(約4900 Pa)未満、好ましくは少なくとも約400ミリメートルH2O(約3920 Pa)未満のRTDを発生できる。ビーズによって発生されたRTDは、任意の換気を塞いだ状態で、フィルターセグメントを通して安定した空気流量17.5ミリリットル/秒を維持するために、ISO 3402で定義された試験条件下で、ビーズを含むフィルターセグメントの出力端にかけられるべき陰圧として評価されうる。
【0047】
たばこロッドは一般に、紙ラッパーによって囲まれた一回分のたばこを含む。より詳細には、たばこロッドは、任意の適切な形態において、任意の適切なたばこ材料のタイプまたは複数タイプもしくはたばこ代用品を含んでもよい。好ましくは、たばこロッドは、熱風送管乾燥処理したたばこ、バーレー種たばこ、メリーランド種たばこ、オリエント葉たばこ、珍しいたばこ、特別品たばこまたはそれらの任意の組み合わせを含む。好ましくは、たばこは、たばこラミナ、ボリュームエクスパンデッドまたはパフトたばこなどの加工たばこ材料、カットロールドまたはカットパフトステムなどの加工たばこ茎、再構成たばこ材料、それらの混合物および同様のものの形態で提供される。いくつかの好ましい実施形態において、たばこは、カットフィラーの形態で、すなわち、約2.5ミリメートル〜約1.2ミリメートルの範囲または約0.6ミリメートルの幅に切断した断片またはひもの形態である。
【0048】
たばこロッドは、少なくとも約200ミリグラム/立方センチメートルのたばこパッキング密度を持ちうる。好ましくは、たばこロッドは、少なくとも約220ミリグラム/立方センチメートルのたばこパッキング密度を持ちうる。より好ましくは、たばこロッドは、少なくとも約240ミリグラム/立方センチメートルのたばこパッキング密度を持ちうる。さらに、または代案として、たばこロッドは、約620ミリグラム/立方センチメートル未満のたばこパッキング密度を持ちうる。好ましくは、たばこロッドは、約600ミリグラム/立方センチメートル未満のたばこパッキング密度を持ちうる。一部の好ましい実施形態では、たばこロッドは、約400ミリグラム/立方センチメートル〜約550ミリグラム/立方センチメートルのたばこパッキング密度を持つ。
【0049】
フィルター構成要素をたばこロッドに接続するために、喫煙物品は、フィルターおよびたばこロッドの少なくとも一部分を囲むチッピングラッパーの帯を含みうる。チッピングラッパーは、約70グラム/立方メートル未満の坪量を持つ紙を含みうるが、約50グラム/立方メートル未満であることが好ましい。チッピングラッパーは、約20グラム/立方メートルを超える坪量を持つことが好ましい。よって、チッピングラッパーは、フィルターのための追加的な強度および構造剛性を提供し、流量制限器がフィルター構成要素内に配置された場所でのフィルター外側表面の変形の可能性を低下させうる。
【0050】
チッピングラッパーは、チッピングラッパーおよび下にあるプラグラップを貫く穿孔を備え、周囲空気がフィルター構成要素内に引き込まれるようにする換気帯域を含みうることが好ましい。換気帯域は、チッピングペーパーおよび下にあるプラグラップを貫いて提供された周辺の少なくとも1列の穿孔を含むことが好ましい。一部の実施形態では、換気帯域は、チッピングペーパーおよび下にあるプラグラップを貫いて提供された周辺の2列の穿孔を含みうる。
【0051】
換気は、流量制限器と共に、有利にも望ましいレベルのRTDの発生に寄与する。さらに、本発明による流量制限器を備えたフィルターを換気帯域と組み合わせて提供することで、非常によく換気された喫煙物品の製造が可能となり、主流煙の一酸化炭素対タール比が有利にも容認可能な値に維持される。
【0052】
チッピングラッパーは標準的な予め穿孔されたチッピングラッパーとしうる。別の方法として、チッピングラッパーは製造プロセス中に、穿孔の望ましい数、サイズおよび位置に従い(例えば、レーザーを使用して)穿孔しうる。周辺の穿孔の各列は、8〜30個の穿孔を含むことが好ましい。
【0053】
換気空気が流量制限器の下流の位置でフィルターセグメント内に導入されるように、換気帯域が流量制限器の下流に配置されることが好ましい。少なくとも一つの円周列の穿孔は、流量制限器の中心から下流の少なくとも約1ミリメートルにあることが好ましい。少なくとも一つの円周列の穿孔は、流量制限器の中心から下流の少なくとも約3ミリメートルにあることがより好ましい。
【0054】
換気帯域は、フィルターの口側の端から少なくとも約2ミリメートル上流に位置することが好ましい。換気帯域は、フィルターの口側の端から少なくとも約5ミリメートル上流に位置することがより好ましい。これにより、消費者が喫煙物品を口にくわえた時に換気帯域を塞ぐ可能性が有利なことに低くなる。換気帯域は、フィルターの口側の端から少なくとも約10ミリメートル上流に位置することが好ましい。
【0055】
さらに、または別の方法として、換気帯域はフィルターの口側の端から約20ミリメートル未満上流に位置することが好ましい。換気帯域は、フィルターの口側の端から約15ミリメートル未満上流に位置することがより好ましい。一部の好ましい実施形態では、換気帯域は、フィルターの口側の端から約2ミリメートル〜20ミリメートル上流に位置することが好ましい。一部のより好ましい実施形態では、換気帯域は、フィルターの口側の端から約10ミリメートル〜15ミリメートル上流に位置することが好ましい。これにより、換気空気と主流煙が喫煙物品の口側の端に達する前に混合するための中空管の適切な長さが提供される。
【0056】
上述の喫煙物品は標準的な製造設備を使用して組み立てることができる。流量制限器は、オフラインで製造してトウ材料に挿入し、フィルターセグメントを形成してもよい。たばこロッドなど喫煙物品のその他の部品は、標準製造機器を使用した標準プロセスに従い製造ができる。
【0057】
本発明は、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、本発明による喫煙物品の側面断面図を図示したものである。
図2図2は、本発明による喫煙物品用のフィルターの第一の実施形態(実施例1)の試料について、従来の技術によるフィルターと比較した場合の、時間経過に伴う重量変化の棒グラフを図示したものである。
図3図3は、本発明による喫煙物品用のフィルターの第一の実施形態(実施例1)の試料について、従来の技術によるフィルターと比較した場合の、時間経過に伴う体積変化の棒グラフを図示したものである。
図4図4は、本発明による喫煙物品用のフィルターの第二の実施形態(実施例2)の試料について、時間経過に伴う重量変化の棒グラフを図示したものである。
図5図5は、本発明による喫煙物品用のフィルターの第二の実施形態(実施例2)の試料について、時間経過に伴う体積変化の棒グラフを図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、本発明による喫煙物品10を示す。喫煙物品10は、ラッパー13によって囲まれたたばこカットフィラーのロッド12を備える。たばこロッド12は、一方の端で、軸方向に並んだフィルター構成要素14に取り付けられている。チッピングペーパー16の帯は、フィルター14とたばこの包まれたロッド12の一部分を囲んで、フィルター構成要素とたばこロッドを結合する。
【0060】
フィルター構成要素14は、プラグラップ20によって囲まれ、フィルター構成要素14の長軸方向に対して直角に測定された直径DFを持つ、濾過材料のフィルターセグメント18を備える。さらに、フィルター構成要素14は、フィルターセグメント内に包埋された流量制限器22を備える。特に、流量制限器22は、濾過材料によってすべての側が囲まれている。換気穿孔24の列は、流量制限器22の下流の位置にチッピングペーパー16を貫いて提供される。
【0061】
図1の実施形態では、流量制限器22は、直径DRを持つ実質的に球体のビーズとして提供される。直径DRは、フィルターセグメント18の直径DFの約80パーセントである。
【0062】
流量制限器は、濾過材料の分解を促進する組成物を含む。実際には、流量制限器は、上述の機構のうちどれか一つに従い、酢酸セルロース生分解を促進する物質を組み込むためのチャンバーとして使用される。
【実施例】
【0063】
本発明による喫煙物品のフィルターの分解性が、Deutsch、Lance J − 紙巻たばこの吸い残し分解性タスクフォース(Cigarette Butt Degradability Task Force)に記載のある通り、自然条件下で紙巻たばこの吸い残しの分解を評価するためのCORESTA試験プロトコルに従い評価された。最終報告書 − 2000年8月 − CORESTA − http://legacy.library.ucsf.edu/tid/qtg33a00.
【0064】
より詳細には、複数の実質的に同一の紙巻たばこの吸い残し標本が、コンクリート上および土壌上にそれぞれ配置した2つの別個の6区画金属ケージ内に置かれた。プロトコルの目的で、紙巻たばこの吸い残しは、そのプラグラップに加えてチッピングオーバーラップの付いたフィルターとして定義される。10個の標本が各区画内に置かれ、各区画には標本タイプの識別用にタグが提供された。標本は、6カ月間にわたり風化作用に晒された。天候条件、すなわち、太陽放射、風、降水、湿度および温度が、試験の継続期間全体を通して監視・記録された。標本は、試験開始時に検査された。標本は、所定の時間間隔で、天候条件への暴露の1カ月後、3カ月後および6カ月後に回収され検査された。特に、時間経過に伴うセルロース分解を評価するために、試料の重量およびかさ容積が測定された。さらに、試料について視覚的比較が実施された。
【0065】
比較例
基準として、Marlboro Gold(登録商標)紙巻たばこの吸い残し試料がセルロース分解について試験された。これらのフィルターは、従来的な酢酸セルロースセグメントを含み、セルロース分解を促進する能力を持つ薬剤は含まれていない。
【実施例1】
【0066】
本発明による第一の組の紙巻たばこの吸い残しが、紙ラッパーおよびチッピングペーパーによって囲まれた酢酸セルロースのセグメント内に、クエン酸のセルロース分解を促進する能力を持つ薬剤として含む制限器ビーズを含めることにより準備された。制限器ビーズを唯一の例外として、Marlboro Gold(登録商標)紙巻たばこの吸い残しにあるものと同一材料が使用された。各マウスピースには、70重量パーセントのクエン酸および30重量パーセントの微結晶性セルロースを含み、エチルセルロースで表面を覆われたコアのある制限器ビーズが含まれていた。エチルセルロース被覆は、ビーズの全重量の15パーセントを占めた。従って、ビーズの全体的組成は、59.5重量パーセントのクエン酸、25.5重量パーセントの微結晶性セルロースおよび15重量パーセントのエチルセルロースであった。制限器の全重量は、約45mgであった。制限器を除く紙巻たばこの吸い残しの全重量は約202mgであった。よって、濾過材料の分解を促進する組成物は、濾過セグメントの合計重量1mg当たり約0.22mgを占めた。実施例1に従い準備した標本が、それぞれコンクリート上および土壌上に配置された2つの別個の6区画金属ケージ内に置かれた。10個の標本が各区画内に置かれた。標本は、2014年1月〜6月の6カ月間にわたり風化作用に晒された(試験はベルギー・ヘント市で実施された)。
【実施例2】
【0067】
本発明による第二の組の紙巻たばこの吸い残しが、紙ラッパーおよびチッピングペーパーによって囲まれた酢酸セルロースのセグメント内に、重硫酸ナトリウムのセルロース分解を促進する能力を持つ薬剤として含む制限器ビーズを含めることにより準備された。制限器ビーズを唯一の例外として、Marlboro Gold(登録商標)紙巻たばこの吸い残しにあるものと同一材料が使用された。各マウスピースには、80重量パーセントの重硫酸ナトリウムおよび20重量パーセントの微結晶性セルロースを含み、エチルセルロースで表面を覆われたコアのある制限器ビーズが含まれていた。エチルセルロース被覆は、ビーズコアの全重量の15パーセントを占めた。従って、ビーズの全体的組成は、68重量パーセントのクエン酸、17重量パーセントの微結晶性セルロースおよび15重量パーセントのエチルセルロースであった。制限器の全重量は、約26mgであった。制限器を除く紙巻たばこの吸い残しの全重量は約202mgであった。よって、濾過材料の分解を促進する組成物は、フィルターセグメントの合計重量1mg当たり約0.13mgを占めた。実施例2に従い準備した標本が、それぞれコンクリート上および土壌上に配置された2つの別個の6区画金属ケージ内に置かれた。10個の標本が各区画内に置かれた。標本は、2014年2月〜7月の6カ月間にわたり風化作用に晒された(試験はベルギー・ヘント市で実施された)。
【0068】
重量測定
図2および図4は、実施例1および実施例2および比較例の紙巻たばこの吸い残しについて測定した時間経過に伴う重量変化を、棒グラフを用いて図示したものである。
【0069】
図2からわかる通り、実施例1の紙巻たばこの吸い残しの重量減少は、比較例の基準の紙巻たばこの吸い残しの重量減少よりも常に大きい。特に、6カ月後、土壌上に置かれた実施例1の紙巻たばこの吸い残しについて約40パーセントの重量減少が測定されたのに対して、土壌上に置かれた比較例の紙巻たばこの吸い残しでは20パーセント未満の重量減少が測定された。コンクリート上に置かれた試料については、6カ月後、実施例1の紙巻たばこの吸い残しについて20パーセントを超える重量減少が測定されたのに対して、比較例の紙巻たばこの吸い残しでは重量減少は10パーセントをわずかに下回るものであった。従って、実験データは、概して、実施例1の紙巻たばこの吸い残しについて酢酸セルロースの分解レートはおよそ2倍であることを示しているようである。
【0070】
実施例2のフィルターについても、図4から推論される通り、重量減少は、比較例の基準の紙巻たばこの吸い残しについて測定された重量減少よりも一貫して大きいが、効果は実施例1の紙巻たばこの吸い残しよりも明白性が低い。
【0071】
体積測定
図3および図5は、実施例1および実施例2および比較例の紙巻たばこの吸い残しについて測定した時間経過に伴う重量変化を、棒グラフを用いて図示したものである。
【0072】
図3からわかる通り、実施例1の紙巻たばこの吸い残しの体積減少は、比較例の基準の紙巻たばこの吸い残しの体積減少よりも常に大きい。特に、6カ月後、土壌上に置かれた実施例1の紙巻たばこの吸い残しについて約20パーセントの体積減少が測定されたのに対して、土壌上に置かれた比較例の紙巻たばこの吸い残しでは約8パーセントの体積減少が測定された。コンクリート上に置かれた試料については、6カ月後、実施例1の紙巻たばこの吸い残しについて約5パーセントの体積減少が測定されたのに対して、比較例の紙巻たばこの吸い残しでは体積減少は約2パーセントのみであった。従って、実験データは、概して、実施例1の紙巻たばこの吸い残しについて酢酸セルロースの分解レートはおよそ2倍であることを確証しているようである。
【0073】
実施例2(強力な化学反応)の紙巻たばこの吸い残しについても、図5から推論される通り、体積減少は、比較例の基準の紙巻たばこの吸い残しについて測定された体積減少よりも一貫して大きいが、効果は実施例1の紙巻たばこの吸い残しよりも明白性が低い。
図1
図2
図3
図4
図5