(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797799
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】湾曲した小レンズ配列を有する頭部装着型画像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20201130BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-531501(P2017-531501)
(86)(22)【出願日】2016年1月6日
(65)【公表番号】特表2018-502322(P2018-502322A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】US2016012376
(87)【国際公開番号】WO2016112128
(87)【国際公開日】20160714
【審査請求日】2018年12月21日
(31)【優先権主張番号】62/100,355
(32)【優先日】2015年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516201548
【氏名又は名称】ビュージックス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Vuzix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】ミール, ジョセ, エム.
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, ロバート, ジェイ.
【審査官】
河村 麻梨子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−190072(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0105310(US,A1)
【文献】
特開平10−301055(JP,A)
【文献】
特開2010−145922(JP,A)
【文献】
特開2004−101197(JP,A)
【文献】
特開2014−026088(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0116547(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02−27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持光を投影するよう稼働可能なプロジェクタと、
上記プロジェクタからの像担持光を方向づけして整形し、実像面を形成する光調整要素と、
部分的に透過性があり観察者の一方の目に周囲の環境の少なくとも一部を見ることができるようにする曲面鏡と、
上記実像面に隣接して位置づけられ、かつ部分反射面が実質的に球面である上記曲面鏡から実質的に1つの焦点距離離れて光学的に配置された、小レンズ配列と、
上記小レンズ配列の上記実像からの光の経路にあり、上記実像からの光の少なくとも一部を上記曲面鏡に向けて方向づけするように配置された、ビームスプリッタと、
を備えた頭部装着型画像装置において、
上記曲面鏡は上記ビームスプリッタからの光を方向づけて、上記頭部装着型画像装置を装着する上記観察者の上記一方の目に対して虚像を形成し、
上記小レンズ配列は、上記光の経路における上記曲面鏡側の方を向いているとともに個々の焦点を有している複数の小レンズを含み、上記実像面は、上記像担持光が上記複数の小レンズの上記焦点を通る前の位置にずれて配置されている、ことを特徴とする頭部装着型画像装置。
【請求項2】
上記小レンズ配列は、少なくとも1つの軸を中心に湾曲している基板を含み、上記実像面は上記基板内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型画像装置。
【請求項3】
上記小レンズ配列は基板を含み、上記複数の小レンズはそれぞれ、上記基板から上記曲面鏡に向かって突出する凸面を含み、上記実像面は上記基板内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型画像装置。
【請求項4】
上記プロジェクタの複数の画素が、上記小レンズ配列に、1:1以下の比率で写像されることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型画像装置。
【請求項5】
上記小レンズ配列は、画素の照度をf/5よりも大きくf/4よりも小さく変化させることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型画像装置。
【請求項6】
上記曲面鏡は、上記周囲の環境からの光を遮断又は透過するように配置された、取り外し可能な機械式光バッフル又は電子的光シャッタを含むことを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型画像装置。
【請求項7】
上記小レンズの1又は複数が凹形状であることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型画像装置。
【請求項8】
1又は複数のヘッドフォンをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の頭部装着型画像装置。
【請求項9】
観察者のための虚像を形成する頭部装着型画像装置の組立方法であって、
像面に実像を形成するための、像担持光を投影するよう稼働可能なプロジェクタを配置し、
小レンズ配列を、上記像面に隣接して位置づけし、
曲面鏡を上記像面から実質的に1つの焦点距離離れて配置し、
上記曲面鏡は、部分的に透過性があり上記観察者の一方の目に周囲の環境の少なくとも一部を見ることができるようにし、上記曲面鏡は実質的に球面である部分反射面を含み、
上記小レンズ配列の上記実像からの光の経路に、上記光の少なくとも一部を上記実像から上記曲面鏡に方向づけるために、ビームスプリッタを配置すること、
を含み、
上記曲面鏡は上記ビームスプリッタからの光を方向づけて、上記観察者の上記一方の目に虚像を形成し、
上記小レンズ配列は、上記光の経路における上記曲面鏡側の方を向いているとともに個々の焦点を有している複数の小レンズを含み、上記小レンズ配列を位置づける工程は、上記像担持光が上記複数の小レンズの上記焦点を通る前の位置に上記像面がずれて配置されるように上記小レンズ配列を位置づけることを含む、ことを特徴とする頭部装着型画像装置の組立方法。
【請求項10】
上記小レンズ配列は、少なくとも1つの軸に対して湾曲した基板を含み、上記小レンズ配列を位置づけることは、上記像面を基板内に位置させることを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子ディスプレイに関し、より詳細には、虚像を形成する着用可能な電子ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の眼鏡やサングラスに似た形のニアアイディスプレイを含む頭部装着型ディスプレイ(Head-Mounted Displays)(HMDs)は、軍用、商業用、産業用、消防用、及び娯楽用のアプリケーションを含む多様な用途のために開発されている。これらのアプリケーションの多くでは、HMDユーザの視野にある実世界の画像上に視覚的に重ね合わせ得る虚像を形成することに、特別な価値がある。
【0003】
一般に、HMD光学系は、以下を含む、観者が容認できるいくつかの基本的要件を満たさなければならない。
(i)十分な、射出瞳距離(eye relief)又はアイクリアランス。射出瞳距離の範囲は、観者の快適性及び人間の目自体の光学的構成に基づいて定義される。実際には、HMD光学系の最も後ろの光学面と観者の目との距離は好ましくは約20mm以上である。
(ii)適切な瞳サイズ。瞳サイズの要件は、観者の顔構造の生理学的相違に加えて見ている間の視線の向けなおしに基づいている。少なくとも約10mmの瞳サイズが望ましいことがわかっている。
(iii)視野。広い視野が望ましい。標的設定や物体認識などの多くの視覚的作業では、約50度に近い視野(field of view)(FOV)が望ましいと考えられている。
(iv)輝度。生成される虚像は、良好な視認性及び観者の快適さのために十分な明るさを有するべきである。
【0004】
要素(i)〜(iii)は、視認枠(eye box)に関する。視認枠は、観察者の目が画像を快適にみることができる大きさ(volume)に関係する。視認枠のサイズは、画像源から画像が見える場所までの光の経路の長さ及び画像源のサイズにある程度依存し、並びに、画像源の発散、及び/又は画像源による光放出後の光の視準に、ある程度依存する。視認枠の望ましいサイズは、ディスプレイから期待される視経験の質に大きく依存する。
【0005】
光学的要件に加えて、HMDの設計は、変化しやすい顔の形状や、着用の快適性、重量、及びコストのためのサイズ縮小の期待に伴う許容可能な形状要因や、使いやすさ、などの実用的要因にも対処しなければならない。
【0006】
ほとんどのHMDシステムの目標は、結像/リレーシステムを可能な限りコンパクトにすることである。しかし、従来の光学系を使用する場合、基本的な限界がある。光学システムの出力は、妥当な大きさの虚像を維持するのに十分な大きさで、目の動きも許容する瞳を有していなければならない。双眼システムにおいて、異なるユーザ間のさまざまな眼球内距離(intraocular distance)(IOD)の問題、及びこれを光学システムの出力瞳が許容する必要性がある。特に、60度以上の広い視野の場合、目の動き、ユーザのIODのばらつき、及び人間の瞳孔サイズは、20mm以上の水平方向の出力瞳のサイズを必要とすることがある。これは、画像源から画像が表示される場所まで長い経路を有する非常に大きな没入型ディスプレイ(例えば、Kesslerらの米国特許第6416181号)で達成されるかもしれないが、短い光路を有するコンパクトなHMDは、コリメートされた虚像の発散に重大な問題を残す。結果として、広い視野のコンパクトなHMDは高速光学系の使用をしばしば必要とし、高速光学系は、かさばり、複雑で、コストがかかるとともに、球面収差及び他の収差を示す。
【0007】
ボールレンズを用いた「単一中心(monocentric)」設計を有する広い視野の結像システムは、非常に大きなシステムの従来技術(前述のKesslerらの米国特許第6416181号で見られるような)に記載されている。これらのような大きなシステムは、長い投影距離のために、比較的狭いビーム発散にもかかわらず、大きな出力瞳サイズを容易に得ることができる。対称ボールレンズ光学系によって投影された像は観察者とコリメートミラーとの間の経路にあり、追加のビーム拡大要素を使用できない。ボールレンズ及び単一中心の光学設計を用いるよりコンパクトなHMD光学系もまた提案されている(例えば、Cobbらの米国特許第6522474号)。しかし、これらの場合、球面鏡の焦点面に配置される画像を形成するボールレンズは、短い目距離と仮定すると、大きな出力瞳を得るために大きなビーム発散を必要とする。残念なことに、ボールレンズ、又は高い発散角度に使用される他の単一中心の光学系は、大きな球面収差を示し、この球面収差は、虚像を損なわせるとともに、最終的に、高精細度コンテンツに必要な画像解像度を損なわせる。
【0008】
画像の投影に凹面鏡と「半透過性」の要素を使用するコンパクトなHMDが記載されている(例えば、Takahashiの米国特許第5812323号及びOpheyの米国特許第6487021号参照)。これらの場合、平面的な又は平坦な表面を有するガラスプリズム要素は、半透過性素子の面(facet)の一つに結合されたディスプレイ(例えば、OLED、LCOS)によって生成される画像を、投影することができる。50度より大きい広い視野を達成するために、画像表示は、かなりの大きさ、例えば20mm以上でなければならない。半導体ディスプレイ技術のコストは、サイズとともに劇的に増加するので、そのようなディスプレイは非常に高価になる可能性がある。これは、HMDの価格に悪影響を及ぼす。さらに、半透過性素子のプリズム状の形状は、拡張現実の形態における、それら素子の使用を複雑にする。理由は、それら素子の湾曲又は傾斜した表面が、直接的な「シースルー」の光又は周囲環境からの光を屈折させるからである。したがって、これらのシステムを拡張現実のモードで使用するためには、補正光学系又はデジタルイメージャの何れかを使用しなければならず、コスト、サイズ及び重量が増大する。
【0009】
これらの理由から、従来のHMD設計は、広い視野、非常に大きな出力瞳、平易に拡張現実感を達成する手段、及びデジタル高精細度コンテンツを、装着性のためのコンパクトな形状で、同時に達成する経済的解決策を提供することができない。
【発明の概要】
【0010】
本開示の目的は、コンパクトな頭部装着型装置を用いる仮想画像(虚像)提示の技術を進歩させることである。有利なことに、本開示の実施形態は、最小限の光学的調整で、又は光学的調整が必要とされることなく、広範囲の眼球内距離を有する観者達に高解像度広視界コンテンツを提示する拡大された瞳サイズを提供する。
【0011】
本発明のこれらの及び他の、態様、目的、特徴及び利点は、以下の、好ましい実施形態の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲を検討し、添付の図面を参照することにより、より明確に理解され、認識されるであろう。
【0012】
本開示の一態様によれば、頭部装着型画像装置であって、像担持光を投影するよう稼働可能(energizable)なプロジェクタと、上記プロジェクタからの上記像担持光を方向づけして整形し、実像平面を形成する光調整要素と、上記実像平面に隣接して位置決めされ、曲面鏡から実質的に1つの焦点距離に光学的に配置され、上記曲面鏡の表面が実質的に球面である、小レンズ配列と、上記小レンズ配列における上記実像からの光の経路にあり、上記実像からの光の少なくとも一部を上記曲面鏡に向けて方向づけするように配置されたビームスプリッタと、を備え、上記曲面鏡は上記ビームスプリッタからの光を方向づけて、上記頭部装着型画像装置を装着する観察者に対して虚像を形成することを特徴としている。
【0013】
本明細書は、本発明の主題を特に指摘して明確に主張する特許請求の範囲で結論付けられるが、本発明は、添付の図面と合わせて以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】観察者の片方の目に画像を提供する光学装置の構成要素の概略側面図である。
【
図2】小レンズ配列がどのように瞳サイズを拡大するかを示す概略側面図である。
【
図3】小レンズ配列に適用される像面湾曲を示す図である。
【
図4】瞳拡張に用いられる一般的な原理を示す模式図である。
【
図5】片方の目用の画像の形成を示す斜視図である。
【
図6】虚像を観察者に提供する頭部装着型装置の構成要素を示す、見る側からの斜視図である。
【
図7A】虚像を観察者に提供する頭部装着型装置の構成要素を示す正面斜視図である。
【
図7B】虚像を観察者に提供する頭部装着型装置の構成要素を示す正面斜視図である。
【
図7C】虚像を観察者に提供する頭部装着型装置の構成要素を示す正面斜視図である。
【0015】
本説明は、特に、本発明による装置の一部を形成する要素、又は本発明による装置とより直接的に協働する要素に向けられている。特に示されず、記載されていない要素は、当業者に周知のさまざまな形態をとり得ることが理解されるであろう。
【0016】
本明細書で使用される場合、「第1」、「第2」などの用語は、必ずしも序数的、逐次的、又は優先順位の関係を示すものではなく、別段の定めがない限り、ある要素又は要素の集合を別のものとより明確に区別するために単に用いられる。「上」及び「下」の用語は、必ずしも空間的位置を指定するものではなく、平面的な(平らな)導波路の対向する面を区別するなどの、構造についての相対的な情報を提供する。
【0017】
本開示の文脈において、「観者」、「オペレータ」、「観察者」及び「ユーザ」という用語は、同等であると見なされ、HMD視覚装置を装着する人を指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「稼働可能」という用語は、電力を受け取ったときに、及び任意に許可信号(enabling signal)を受け取ったときに、指示された機能を実行する1つの装置又は部品の集合に関係している。
【0019】
「作動可能」という用語は、その従来の意味を有し、例えば、電気信号に応答するように刺激に応答して作用を生じさせることができる1つの装置又は部品に関する。
【0020】
本明細書で使用される「集合(set)」という用語は、要素の集まり又は集合の元の概念が基本数学において広く理解されているように、空でない集合を指す。特に明記しない限り、「部分集合(subset)」という用語は、空でない適切な部分集合、即ち、1又は複数の元を有する大きな集合の部分集合を指すために本明細書では使用される。集合Sについて、部分集合は完全集合Sを含むことができる。しかし、集合Sの「適切な部分集合」は、集合Sに厳密に含まれ、集合Sの少なくとも1つの元を除外する。
【0021】
本開示の文脈において、「斜め」という用語は、90度の整数倍ではない角度を意味する。例えば、2つの、線、線形構造又は平面は、それらが平行から少なくとも約5度以上離れた角度で、又は直交から少なくとも約5度以上離れた角度で、互いに発散する(それる)か又は収束する(近づく)場合には、互いに斜めであると見なされる。
【0022】
本開示の文脈において、「結合された」という用語は、2つ以上の部品間の物理的な、関連付け、接続、関係、又は連結を指すことを意図しており、その結果、ある部品の配置がその部品が結合される部品の空間的配置に影響を与える。機械的結合の場合、2つの部品は直接接触する必要はなく、1つ又は複数の中間部品を介して連結することができる。光学的結合のための部品は、光エネルギーが光学装置に入力され又は光学装置から出力されることを可能にする。「ビーム拡大器(beam expander)」及び「瞳拡大器(pupil expander)」という用語は、同義語であると見なされ、本明細書では互換的に使用される。
【0023】
実像投影の代替として、光学システムは虚像ディスプレイを生成することができる。実像を形成する方法とは異なり、虚像は表示面には形成されない。すなわち、もし表示面が虚像の知覚された位置に配置されれば、その面には画像が形成されないだろう。虚像ディスプレイは拡張現実感ディスプレイにいくつかの固有の利点を有する。例えば、虚像の見かけ上のサイズは、表示面のサイズ又は位置によって限定されない。さらに、虚像のソースオブジェクトは小さくてもよく、簡単な例として、拡大鏡は物体(object)の虚像を提供する。実像を投影するシステムと比較して、遠くにあるように見える虚像を形成することにより、より現実的な視覚体験を提供することができる。虚像を提供することにより、実像を投影するときに必要とされるようなスクリーン人工物を補う必要はなくなる。
【0024】
本開示の実施形態は、拡大された観察瞳(view pupil)を有する虚像を提供するための光学システムを提供する。
【0025】
プロジェクタの像空間f/#は、画像までの距離を、システムの絞りの直径(最も後ろの光学系の口径サイズで近似される)で割った値に依存する。適度な距離にわたってf/2.6より大きいプロジェクタは、HMDシステムにとっては大きすぎるであろう。8mm以下の出射開口直径を有し、f/3.5より大きい距離で投影する、よりコンパクトなプロジェクタは、その開口を正しく満たしていない。システム光学系の課題は、光学系の大部分にかなりの追加をすることなく、f/#を増加させる光学的解決策を提供することである。
【0026】
図1の概略側面図は、視認枠B内にある射出瞳Eにおいて片方の目に虚像を提供する画像装置10の構成要素を示す。視認枠Bは、示されている2つのほぼ平行な線の間に確定され、且つ画像が観察者に視認可能な領域を規定する。プロジェクタ20は、画像を 小レンズ配列30に像平面(image plane)において投影し、小レンズ配列30に又はその近くに実像を形成する。小レンズ配列30は反射拡散器を利用する解決策とは対照的に、光の伝送において拡散器のように作用する。小レンズ配列30を提供する基板は、その後の光の処理においてペッツヴァール湾曲(Petzval curvature)を減少させるように湾曲している。小レンズ配列30は球面曲面鏡34からの1つの焦点距離に配置されている。
【0027】
図1の図に関して、小レンズ配列30の湾曲は面(page)内に広がり、縁36は、実質的にその面の表面と平行であるとともに、その面の表面の外側にある。小レンズ配列30は有効ビーム幅を拡大し、したがってプロジェクタ20から投影されたビームのf/#を拡大する。ビームスプリッタ32は、拡大されたビームを球面曲面鏡34に向けて方向づけする。球面曲面鏡34は射出瞳Eに向かって光の方向を変えることにより拡大された虚像Vを形成する。虚像Vは、曲面鏡34の外縁の向こうにあるように見える。視認枠Bは、複数の瞳位置を許容するのに十分な大きさである。曲面鏡34の表面は実質的に球形であるが、球形でない湾曲を有してもよい。曲面鏡34は部分的に透過性であってもよく、その結果、観察者が拡張現実感アプリケーションで実際の周囲の環境の少なくとも一部を見ることができる。機械シャッタや、LCD(液晶装置(liquid crystal device))のような光弁などの光シャッタは、任意に設けられてもよく、曲面鏡34を介した光透過を制御し、周囲環境からの光を遮断又は透過させる。
【0028】
図2は、強調のために寸法を誇張して示し、どのように小レンズ配列30がビーム幅を拡大して光学系内により大きなf/#を与えるかを示す。特に重要なことは次の通りである。
(i)小レンズ群(lenslets)への画像画素(image pixel)のマッピング。画像画素と小レンズ群との1:1マッピングが特に有利である。この構成の場合、小レンズの直径は個々の画像画素のサイズにほぼ等しいことが好ましい。1:1よりも少ないマッピングを交互に提供することができる。
(ii)プロジェクタの焦点。小レンズ配列30の焦点面近くのプロジェクタ20の焦点が有利である。プロジェクタ20の焦点面FPは、
図2に破線で示されている。
図2が示しているように、プロジェクタ20の焦点はわずかにずれるかもしれないので、投影画像は小レンズ配列30の基板に沿って又は小レンズ配列30の基板内に集束されるが、光路内の個々の小レンズ38の焦点F1のわずか後方に集束される。この配置では、小レンズ配列は像平面に隣接して位置決めされると見なされる。
(iii)拡大角度。プロジェクタ20から投影された光は、概して約f/5以上の範囲にあり、f/6〜f/10の範囲であってもよい。小レンズ配列30によって拡大された光はf/3.5以下である。
(iv)小レンズの形状。配列30内の小レンズ38は、凸状、凹状、又は他の適切な形状とすることができる。
(v)小レンズ配列30の湾曲。
図3は球面曲面Sに対する小レンズ配列30の湾曲を示す。
図3に示すように、小レンズ配列30は単一軸Aを中心に湾曲している。比較的短い距離にわたって、この湾曲は球面曲面Sに非常に近似する。小レンズ配列30の理想的な湾曲は球面である。しかし、円柱状の湾曲は、図示されているように合理的な代替物を提供する。これは、ペッツヴァール湾曲効果を低減させるのに役立つ。像平面の湾曲はレンズのペッツヴァール湾曲に正確に一致する必要はないが、少なくとも約1ジオプトリ以内でなければならず、観察者集団のかなりの部分によって受け入れられる範囲内でなければならない。
【0029】
図4は、結像システム(imaging system)の動作の原理を示す模式図である。プロジェクタ20は小レンズ配列30上に実像を形成し、小レンズ配列30は各画素からの光を拡げるように動作する。拡大システムは、
図4でレンズLによって概略的に表されるが、本開示の光学結像装置10の曲面鏡34によって実行され、その後虚像を形成する光を観察者の目に提供する。射出瞳における光は少なくとも約f/4である。
【0030】
図5は、観察者の視認枠Bの相対的位置を破線で示す光学システムの一部の図である。
【0031】
図6は、頭部装着型装置(head-mounted device)(HMD)50の光学部品を示す背面斜視図である。
図7A、
図7B及び
図7Cは、観察者の前方から見た図を示す。光調整光学系40は、1つ又は複数の光学素子を含み、その光学素子は、プロジェクタからの像担持光を方向づけするとともに整形し、実像平面を形成する。光調整光学系40は、プロジェクタ20から湾曲した小レンズ配列30を通った光をビームスプリッタ32に導く。
図7A、
図7B及び
図7Cの正面図は曲面鏡34を示し、曲面鏡34は、湾曲した小レンズ配列30上に投影された実像から虚像を形成する。ヘッドホン60は音声出力信号を提供する。
【0032】
小レンズ配列はガラス基板上又はプラスチック基板上に設けることができる。小レンズ配列の湾曲は、配列を永久的に曲げることによって、又は配列を適切な形状に曲げるフレームに配列を搭載することによって、設けることができる。プロジェクタは、例えば、液晶オンシリコン(liquid crystal on silicon)(LCOS)やデジタルライトプロセッサ(DLP)などの1つ又は複数の光変調ディスプレイパネルに結合された発光ダイオード(LED)などの固体光源を使用することができる。光調整光学系40は、レンズ、ミラー、プリズム系導波路、又は他の装置を含むことができ、プロジェクタ20から小レンズ配列30への像担持光を方向づけ、整形し及び修正する。像視野又はペッツヴァール湾曲は、光調整光学系40のすべての要素の適切な設計によって達成することができる。
【0033】
本開示の実施形態は、大きな視認枠で虚像を観察者に表示するための小型プロジェクタ装置の使用を可能にする。
【0034】
本発明は現在の望ましい実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲内で変更及び修正が可能であることが理解されるであろう。したがって、現在開示された実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、その等価物の意味及び範囲内に入るすべての変更は、その中に包含されることが意図される。