【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト/超低消費電力データ収集システムの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トランジスタの第1の端子がソース端子で且つ前記トランジスタの第2の端子がドレイン端子で且つ前記制御端子がゲート端子であるか、或いは前記トランジスタの第1の端子がエミッタ端子で且つ前記トランジスタの第2の端子がコレクタ端子で且つ前記制御端子がベース端子である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電圧電流変換回路。
前記トランジスタの第1の端子がドレイン端子で且つ前記トランジスタの第2の端子がソース端子で且つ前記制御端子がゲート端子であるか、或いは前記トランジスタの第1の端子がコレクタ端子で且つ前記トランジスタの第2の端子がエミッタ端子で且つ前記制御端子がベース端子である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電圧電流変換回路。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0009】
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態の第1の構成例に係る電圧電流変換回路の構成を示した電気回路図である。
【0010】
図1に示す電圧電流変換回路は、増幅器A1と、トランジスタM1と、抵抗R1及びR2と、電流源Ib1と、キャパシタCdcと、抵抗Rbとを備えている。
【0011】
増幅器A1は、第1の入力1、第2の入力2及び第3の入力3を有している。第1の入力1は非反転入力(+入力)であり、第2の入力2及び第3の入力3は反転入力(−入力)である。第1の入力1には、キャパシタCdcを介して入力電圧信号が入力される。
【0012】
トランジスタM1は、N型MOSトランジスタであり、ゲート端子(制御端子)、ソース端子(第1の端子)及びドレイン端子(第2の端子)を有している。ゲート端子は、増幅器A1の出力に接続されている。
【0013】
抵抗R1及びR2は、トランジスタのソース端子と交流的接地点AC−GNDとの間に直列に接続されている。交流的接地点AC−GNDと抵抗R2との接続点は、増幅器A1の第2の入力2に接続されている。トランジスタのソース端子と抵抗R1との接続点は、増幅器A1の第3の入力3に接続されている。
【0014】
電流源Ib1は、トランジスタM1にバイアス電流を供給するものであり、トランジスタM1のソース端子と電源Vssとの間に接続されている。
【0015】
キャパシタCdcは、入力信号電圧Vinの交流成分のみを通過させて、交流成分を増幅器A1の第1の入力1に供給するDCカット用のものである。
【0016】
抵抗Rbは、交流的接地点AC−GNDのバイアス電圧を増幅器A1の第1の入力1に印加するためのものである。
【0017】
図1に示した電圧電流変換回路により、入力信号電圧VinがトランジスタM1に流れる電流Ioutに変換される。
【0018】
なお、
図1に示した例では、電圧電流変換係数を1/Roとし、R1=R2=Roとし、増幅器A1の第1の入力1から出力への利得を+A、第2の入力2及び第3の入力3から出力への利得をいずれも−A/2としている。
【0019】
図2は、
図1の等価回路を示した図である。ここで、Inoise は抵抗R1+抵抗R2による熱雑音電流を表す。つまり、
Inoise = {4kT/(2Ro)}
1/2 (1)
となる。
図2より、増幅器A1の第2の入力2には等価的にゼロが入力されるため、以下の式
(Vin-Vout/2)Agm = Vout/(2Ro) + Inoise (2)
Iout = (Vin-Vout/2)Agm (3)
が得られる。
【0020】
増幅器の利得Aが大きいので、近似的に
Vout = 2Vin (4)
Iout = Vin/Ro + Inoise = Vin/Ro + {4kT/(2Ro)}
1/2 (5)
となる。
【0021】
上述した式(4)より、VoutはVinの2倍となる。このとき、Voutが抵抗2Roに印加されて電圧電流変換が行われるため、式(5)のように信号電流はVin/Roとなり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。
【0022】
図3は、本実施形態の第2の構成例に係る電圧電流変換回路の構成を示した電気回路図である。なお、基本的な事項は第1の構成例と同様であるため、第1の構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0023】
本構成例では、増幅器A1の第2の入力2が抵抗R1と抵抗R2との接続点に接続されている。本構成例では、電圧電流変換係数を1/Roとし、R1=4Ro/3、R2=2Ro/3とし、増幅器A1の第1の入力1から出力への利得を+A、第2の入力2から出力への利得を−3A/4、第3の入力3から出力への利得を−A/4としている。
【0024】
図4は、
図3の等価回路を示した図である、ここで、ここで、Inoise1 及び Inoise2 はそれぞれ、抵抗R1及びR2による熱雑音電流を表す。つまり、
Inoise1 = {4kT/(4Ro/3)}
1/2 (6)
Inoise2 = {4kT/(2Ro/3)}
1/2 (7)
となる。
図4より、以下の式
[A{Vin - (3Vf + Vout)/4} - Vout]gm = Iout (8)
[A{Vin - (3Vf + Vout)/4} - Vout]gm = 3(Vout - Vf)/(4Ro) + Inoise1 (9)
3(Vout - Vf)/(4Ro) + Inoise1 = 3Vf/(2Ro) + Inoise2 (10)
が得られる。
【0025】
増幅器の利得Aが大きく、Inoise1 とInoise2 とは無相関の雑音なので、近似的に、
Vout = 2Vin (11)
Iout = Vin/Ro + {3kT/(Ro)}
1/2 (12)
となる。
【0026】
上述した式(11)より、VoutはVinの2倍となる。このとき、Voutが抵抗2Roに印加されて電圧電流変換が行われるため、式(12)のように信号電流はVin/Roとなり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、{3kT/(Ro)}
1/2 ととなり、従来の(3/4)
1/2 に低減する。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、電圧電流変換回路において、電圧電流変換用の抵抗による雑音を低減することができ、SN比を改善することが可能となる。
【0028】
(実施形態2)
図5は、第2の実施形態に係る電圧電流変換回路の構成例を示した電気回路図である。
【0029】
図5に示す電圧電流変換回路は、増幅器A1と、トランジスタM1及びM2と、抵抗R1及びR2と、電流源Ib1と、キャパシタCdcと、抵抗Rbとを備えている。
【0030】
増幅器A1は、第1の入力1、第2の入力2及び第3の入力3を有している。第1の入力は反転入力(−入力)であり、第2の入力2及び第3の入力3は非反転入力(プラス入力)である。第1の入力には、キャパシタCdcを介して入力電圧信号が入力される。
【0031】
トランジスタM1は、P型MOSトランジスタであり、ゲート端子(制御端子)、ドレイン端子(第1の端子)及びソース端子(第2の端子)を有している。ゲート端子は、増幅器A1の出力に接続されている。ソース端子は、Vddに接続されている。
【0032】
トランジスタM2は、P型MOSトランジスタであり、ゲート端子、ドレイン端子及びソース端子を有している。ゲート端子は、増幅器A1の出力に接続されている。ソース端子は、Vddに接続されている。また、トランジスタM2のサイズは、トランジスタM1のサイズと同じである。
【0033】
抵抗R1及びR2は、トランジスタのドレイン端子と交流的接地点AC−GNDとの間に直列に接続されている。交流的接地点AC−GNDと抵抗R2との接続点は、増幅器A1の第2の入力2に接続されている。トランジスタM1のドレイン端子と抵抗R1との接続点は、増幅器A1の第3の入力3に接続されている。
【0034】
電流源Ib1は、トランジスタM1にバイアス電流を供給するものであり、トランジスタM1のドレイン端子と電源Vssとの間に接続されている。
【0035】
キャパシタCdcは、入力信号電圧Vinの交流成分のみを通過させて、交流成分を増幅器A1の第1の入力1に供給するDCカット用のものである。
【0036】
抵抗Rbは、交流的接地点AC−GNDのバイアス電圧を増幅器A1の第1の入力1に印加するためのものである。
【0037】
図5に示した電圧電流変換回路により、入力信号電圧VinがトランジスタM1に流れる電流に変換される。
【0038】
トランジスタM2のサイズとトランジスタM1のサイズとが同じであるため、トランジスタM2に流れる電流はトランジスタM1に流れる電流と等しい。すなわち、トランジスタM1に流れる電流が、トランジスタM2に流れる電流として出力される。
【0039】
なお、
図5に示した例では、電圧電流変換係数を1/Roとし、R1=R2=Roとし、増幅器A1の第1の入力1から出力への利得を−A、第2の入力2及び第3の入力3から出力への利得をいずれも+A/2としている。
【0040】
第1の実施形態の第1の構成例と同様に、抵抗R1+抵抗R2による熱雑音電流をInoise とすると、
Inoise = {4kT/(2Ro)}
1/2 (13)
となる。
【0041】
また、増幅器A1の利得が大きいので、近似的に
Vout = 2Vin (14)
Iout = Vin/Ro + Inoise = Vin/Ro + {4kT/(2Ro)}
1/2 (15)
となる。
【0042】
上述した式(14)より、VoutはVinの2倍となる。このとき、Voutが抵抗R1+抵抗R2(抵抗値=2Ro)に印加されて電圧電流変換が行われるため、式(15)のようにトランジスタM1を流れる信号電流はVin/Roとなり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。
【0043】
なお、第1の実施形態の第1の構成例では、入力信号電圧を電流に変換する抵抗R1及びR2がトランジスタのソース端子に接続されている。そのため、信号電流を取り出すドレイン端子の動作点電圧は、バイアス電圧よりトランジスタM1が飽和領域で動作するためのオーバードライブ電圧Vov_M1だけ高くなくてはならない。これに対して、本実施形態では、信号電流を取り出すトランジスタM2のドレイン端子の電圧は、電源電圧VddからトランジスタM2が飽和領域で動作するためのオーバードライブ電圧Vov_M2だけ低い電圧あればよい。したがって、本実施形態では、第1の実施形態よりも設定電圧範囲を広くすることが可能である。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、電圧電流変換回路において、電圧電流変換用の抵抗による雑音を低減することができ、SN比を改善することが可能となる。
【0045】
(実施形態3)
図6は、第3の実施形態の第1の構成例に係る電圧電流変換回路の構成を示した電気回路図である。
【0046】
図6に示す電圧電流変換回路は、増幅器A1及びA2と、トランジスタM1及びM2と、抵抗R1及びR2と、電流源Ib1及びIb2とを備えている。
【0047】
増幅器A1及びA2の第1の入力1はいずれも非反転入力(+入力)であり、第2の入力2及び第3の入力3は反転入力(−入力)である。増幅器A1の第1の入力1には入力信号電圧Vin−Pが入力されており、増幅器A2の第1の入力1には入力信号電圧Vin−Mが入力されている。
【0048】
トランジスタM1及びM2はいずれも、P型MOSトランジスタである。トランジスタM1及びM2はいずれも、ゲート端子(制御端子)、ソース端子(第1の端子)及びドレイン端子(第2の端子)を有している。トランジスタM1のゲート端子は増幅器A1の出力に接続されており、トランジスタM2のゲート端子は増幅器A2の出力に接続されている。
【0049】
抵抗R1及びR2は、トランジスタM1のソース端子とトランジスタM2のソース端子との間に直列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2の接続点は、増幅器A1の第2の入力2及び増幅器A2の第2の入力2に接続されている。トランジスタM1のソース端子と抵抗R1との接続点は増幅器A1の第3の入力3に接続されており、トランジスタM2のソース端子と抵抗R2との接続点は増幅器A2の第3の入力3に接続されている。
【0050】
電流源Ib1はトランジスタM1にバイアス電流を供給するものであり、電流源Ib2はトランジスタM2にバイアス電流を供給するものである。
【0051】
図6に示した電圧電流変換回路により、入力信号電圧Vin−Pと入力信号電圧Vin−Mとの差分信号電圧(Vin-P)−(Vin-M)が、トランジスタM1及びM2に流れる電流に変換される。
【0052】
なお、
図6に示した例では、電圧電流変換係数を1/Roとし、R1=R2=Roとし、増幅器A1及びA2の第1の入力1から出力への利得をいずれも+Aとし、増幅器A1及びA2の第2の入力2及び第3の入力3から出力への利得をいずれも−A/2としている。
【0053】
第1の実施形態の第1の構成例と同様に、抵抗R1+抵抗R2による熱雑音電流をInoise とすると、
Inoise = {4kT/(2Ro)}
1/2 (16)
となる。
【0054】
また、増幅器A1及びA2の利得が大きいので、近似的に
Vout-P = 2Vin-P (17)
Vout-M = 2Vin-M (18)
Vout-P - Vout-M = 2(Vin-P - Vin-M) (19)
Iout-M = -(Vin-P - Vin-M)/Ro - Inoise = -Vin/Ro - {4kT/(2Ro)}1/2 (20)
Iout-P = (Vin-P - Vin-M)/Ro + Inoise = Vin/Ro + {4kT/(2Ro)}1/2 (21)
となる。
【0055】
上述した式(17)及び式(18)より、Vout−P及びVout−Mはそれぞれ、Vin−P及びVin−Mの2倍となる。このとき、(Vout-P)−(Vout-M)が抵抗R1+抵抗R2(抵抗値=2Ro)に印加されて電圧電流変換が行われるため、式(20)のようにトランジスタM1を流れる信号電流は(-(Vin-P - Vin-M)/Ro)となり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、−{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。また、式(21)のようにトランジスタM2を流れる信号電流は((Vin-P - Vin-M)/Ro)となり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。
【0056】
図7は、本実施形態の第2の構成例に係る電圧電流変換回路の構成を示した電気回路図である。なお、基本的な事項は第1の構成例と同様であるため、第1の構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0057】
上述した第1の構成例では、抵抗R1及びR2により入力信号電圧を電流に変換していたが、本構成例では、電流源Ib1及びIb2の代わりに抵抗R3及びR4を接続し、入力信号電圧を抵抗R1+R2と抵抗R3+R4との並列接続された抵抗によって電流に変換している。本構成例では、抵抗R1+R2と抵抗R3+R4との並列接続の抵抗値が2Roとなるように設定することで、第1の構成例の電流源Ib1及びIb2が発生する雑音を無くすことができる。
【0058】
図8は、本実施形態の第3の構成例に係る電圧電流変換回路の構成を示した電気回路図である。なお、基本的な事項は第1の構成例と同様であるため、第1の構成例で説明した事項の説明は省略する。
【0059】
図8に示す電圧電流変換回路は、増幅器A1及びA2と、トランジスタM1及びM2と、抵抗R1及びR2と、電流源Ib1及びIb2とを備えている。
【0060】
増幅器A1及びA2の第1の入力はいずれも非反転入力(+入力)であり、第2の入力2及び第3の入力3はいずれも反転入力(−入力)である。増幅器A1の第1の入力1には入力信号電圧Vin−Pが入力されており、増幅器A2の第1の入力1には入力信号電圧Vin−Mが入力されている。
【0061】
トランジスタM1及びM2はいずれも、P型MOSトランジスタである。トランジスタM1及びM2はいずれも、ゲート端子(制御端子)、ソース端子(第1の端子)及びドレイン端子(第2の端子)を有している。トランジスタM1のゲート端子は増幅器A1の出力に接続されており、トランジスタM2のゲート端子は増幅器A2の出力に接続されている。
【0062】
抵抗R1及びR2は、トランジスタM1のソース端子とトランジスタM2のソース端子との間に直列に接続されている。トランジスタM1のソース端子と抵抗R1との接続点は、増幅器A1の第3の入力3並びに増幅器A2の第2の入力2に接続されている。トランジスタM2のソース端子と抵抗R2との接続点は、増幅器A2の第3の入力3並びに増幅器A1の第2の入力2に接続されている。
【0063】
電流源Ib1はトランジスタM1にバイアス電流を供給するものであり、電流源Ib2はトランジスタM2にバイアス電流を供給するものである。
【0064】
図8に示した電圧電流変換回路により、入力信号電圧Vin−Pと入力信号電圧Vin−Mとの差分電圧(Vin-P)−(Vin-M)が、トランジスタM1及びM2に流れる電流に変換される。
【0065】
なお、
図8に示した例では、電圧電流変換係数を1/Roとし、R1=R2=Roとし、増幅器A1及びA2の第1の入力1から出力への利得をいずれも+A、増幅器A1及びA2の第2の入力2から出力への利得をいずれも−A/4とし、増幅器A1及びA2の第3の入力3から出力への利得をいずれも−3A/4としている。
【0066】
第1の実施形態の第1の構成例と同様に、抵抗R1+抵抗R2による熱雑音電流をInoise とすると、
Inoise = {4kT/(2Ro)}
1/2 (22)
となる。
【0067】
また、増幅器A1及びA2の利得が大きいので、近似的に
Vout-P = 2Vin-P (23)
Vout-M = 2Vin-M (24)
Vout-P - Vout-M = 2(Vin-P - Vin-M) (25)
Iout-M = -(Vin-P - Vin-M)/Ro - Inoise = -Vin/Ro - {4kT/(2Ro)}
1/2 (26)
Iout-P = (Vin-P - Vin-M)/Ro + Inoise = Vin/Ro + {4kT/(2Ro)}
1/2 (27)
となる。
【0068】
上述した式(23)及び式(24)より、Vout−P及びVout−Mはそれぞれ、Vin−P及びVin−Mの2倍となる。このとき、(Vout-P)−(Vout-M)が抵抗R1+抵抗R2(抵抗値=2Ro)に印加されて電圧電流変換が行われるため、式(26)のようにトランジスタM1を流れる信号電流は(-(Vin-P - Vin-M)/Ro)となり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、−{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。また、式(27)のようにトランジスタM2を流れる信号電流は((Vin-P - Vin-M)/Ro)となり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、電圧電流変換回路において、電圧電流変換用の抵抗による雑音を低減することができ、SN比を改善することが可能となる。
【0070】
(実施形態4)
図9は、第4の実施形態に係る電圧電流変換回路の構成例を示した電気回路図である。
【0071】
図9に示す電圧電流変換回路は、増幅器A1及びA2と、トランジスタM1、M2、M3及びM4と、抵抗R1、R2、R3、R4、R5及びR6と、電流源Ib1及びIb2とを備えている。
【0072】
増幅器A1及びA2それぞれの第1の入力1は反転入力(−入力)であり、第2の入力2及び第3の入力3は非反転入力(+入力)である。増幅器A1の第1の入力1には入力信号電圧Vin−Pが入力されており、増幅器A2の第1の入力1には入力信号電圧Vin−Mが入力されている。
【0073】
トランジスタM1、M2、M3及びM4はいずれも、N型MOSトランジスタである。トランジスタM1、M2、M3及びM4はいずれも、ゲート端子(制御端子)、ドレイン端子(第1の端子)及びソース端子(第2の端子)を有している。トランジスタM1及びM3のゲート端子はいずれも増幅器A1の出力に接続されており、トランジスタM2及びM4のゲート端子はいずれも増幅器A2の出力に接続されている。
【0074】
抵抗R1及びR2は、トランジスタM1のドレイン端子とトランジスタM2のドレイン端子との間に直列に接続されている。抵抗R1と抵抗R2の接続点は、増幅器A1の第2の入力2及び増幅器A2の第2の入力2に接続されている。トランジスタM1のドレイン端子と抵抗R1との接続点は増幅器A1の第3の入力3に接続されており、トランジスタM2のドレイン端子と抵抗R2との接続点は増幅器A2の第3の入力3に接続されている。
【0075】
抵抗R3はトランジスタM1と電源Vssとの間に接続され、抵抗R4はトランジスタM2と電源Vssとの間に接続され、抵抗R5はトランジスタM3と電源Vssとの間に接続され、抵抗R6はトランジスタM4と電源Vssとの間に接続されている。
【0076】
電流源Ib1はトランジスタM1にバイアス電流を供給するものであり、電流源Ib2はトランジスタM2にバイアス電流を供給するものである。
【0077】
図9に示した電圧電流変換回路により、入力信号電圧Vin−Pと入力信号電圧Vin−Mとの差分信号電圧(Vin-P)−(Vin-M)が、トランジスタM1及びM2に流れる電流に変換される。
【0078】
なお、説明を簡単にするため、トランジスタM1、M2、M3及びM4のサイズは同じとし、抵抗R3、R4、R5及びR6の抵抗値は等しいとする。このような構成により、トランジスタM3及びM4に流れる電流はそれぞれ、トランジスタM1及びM2に流れる電流と等しくなる。すなわち、トランジスタM1に流れる電流はトランジスタM3のドレイン電流として、トランジスタM2に流れる電流はトランジスタM4のドレイン電流として出力される。なお、
図9に示した例では、電圧電流変換係数を1/Roとし、R1=R2=Roとし、増幅器A1及びA2の第1の入力1から出力への利得をいずれも−Aとし、増幅器A1及びA2の第2の入力2及び第3の入力3から出力への利得をいずれも+A/2としている。
【0079】
第1の実施形態の第1の構成例と同様に、抵抗R1+抵抗R2による熱雑音電流をInoise とすると、
Inoise = {4kT/(2Ro)}
1/2 (28)
となる。
【0080】
また、増幅器A1及びA2の利得が大きいので、近似的に
Vout-P = 2Vin-P (29)
Vout-M = 2Vin-M (30)
Vout-P - Vout-M = 2(Vin-P - Vin-M) (31)
Iout-M = -(Vin-P - Vin-M)/Ro - Inoise = -Vin/Ro - {4kT/(2Ro)}
1/2 (32)
Iout-P = (Vin-P - Vin-M)/Ro + Inoise = Vin/Ro + {4kT/(2Ro)}
1/2 (33)
となる。
【0081】
上述した式(29)及び式(30)より、Vout−P及びVout−Mはそれぞれ、Vin−P及びVin−Mの2倍となる。このとき、(Vout-P)−(Vout-M)が抵抗R1+抵抗R2(抵抗値=2Ro)に印加されて電圧電流変換が行われるため、式(32)のようにトランジスタM1及びM3を流れる信号電流は(-(Vin-P - Vin-M)/Ro)となり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、−{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。また、式(33)のようにトランジスタM2及びM4を流れる信号電流は((Vin-P - Vin-M)/Ro)となり、電圧電流変換係数は1/Roとなる。雑音電流は、{4kT/(2Ro)}
1/2 となり、従来の(1/2)
1/2 に低減する。
【0082】
以上のように、本実施形態によれば、電圧電流変換回路において、電圧電流変換用の抵抗による雑音を低減することができ、SN比を改善することが可能となる。
【0083】
(実施形態5)
本実施形態は、
図1、
図3、
図6、
図7及び
図8で用いる増幅器の具体例に関するものであり、その具体例が
図10に示されている。
【0084】
図10に示した増幅器は、差動対を構成するトランジスタMs1〜Ms4と、能動負荷を構成するトランジスタMs5及びMs6と、抵抗Rs1及びRs2と、差動対に電流を供給する電流源Ib10とを備えている。
【0085】
トランジスタMs1とトランジスタMs3のサイズは等しく、トランジスタMs2とトランジスタMs4のサイズは等しいとする。
【0086】
電流源Ib10から供給される電流は、トランジスタのサイズに比例してトランジスタMs1〜Ms4に流れる。トランジスタMs1〜Ms4の電圧電流変換係数をgm_s1〜gm_s4とすると、gm_s1=gm_s3、gm_s2=gm_s4、となる。
【0087】
例えば、
図1の増幅器の場合には、gm_s3=gm_s4となるようにトランジスタMs3及びMs4のサイズを同じにすることで、増幅器の第1の入力1(Vin1)から増幅器の出力(Vout)までの利得を+A、増幅器の第2の入力2及び第3の入力3(Vin2、Vin3)から増幅器の出力(Vout)までの利得をいずれも−A/2とすることができる。
【0088】
また、
図3の増幅器の場合には、トランジスタMs3のサイズとトランジスタMs4のサイズとの比を3:1に設定することにより、増幅器の第1の入力1(Vin1)から増幅器の出力(Vout)までの利得を+A、増幅器の第2の入力2(Vin2)から増幅器の出力(Vout)までの利得を−3A/4、増幅器の第3の入力3(Vin3)から増幅器の出力(Vout)までの利得を−A/4とすることができる。このように、トランジスタMs3及びMs4のサイズ比を選ぶことにより、第2の入力2から出力への利得と第3の入力3から出力への利得を適宜設定することが可能である。
【0089】
なお、
図5及び
図9で用いる増幅器は、
図1、
図3、
図6、
図7及び
図8で用いる増幅器と利得の極性が逆となっている。これは、
図11に示すようにトランジスタMs3及びMs4のゲート端子を第1の入力1に、トランジスタMs1のゲート端子を第2の入力2に、トランジスタMs2のゲート端子を第3の入力3とすることにより、実現可能である。
【0090】
(実施形態6)
本実施形態では、上述した第1〜第5の実施形態で説明した事項を一般化する。すなわち、上述した実施形態では、入力信号電圧の2倍の信号電圧が、電流変換用の抵抗に印加される例で説明してきたが、G倍の信号電圧が電流変換用の抵抗に印加されるように一般化することができる。
【0091】
例えば、第1の実施形態に関しては、
図12に示すように、直列に接続した抵抗R1〜RNのいずれか2つの接続点から増幅器A1の第2の入力2及び第3の入力3に帰還されることができる。このとき、第2の入力2にはbVoutが帰還され、第3の入力3にはaVoutが帰還されている。ここで、第2の入力2からの利得を(1−α)A、第3の入力3からの利得をαAとし、式(34)
(1-α)b + αa = 1/G (34)
を満足するようにa、b及びαを選べばよい。
【0092】
図1の場合には、G=2、a=1、b=0であり、α=1/2となる。
図3の場合には、G=2、a=1、b=1/3であり、α=1/4となる。したがって、例えば、3倍の信号電圧が電流変換用の抵抗に印加されるようにG=3とし、a=1、b=0とすると、α=1/3となる。抵抗R1〜RNの和が3Roとすると、出力される信号電流は、3Vin/(3Ro) = Vin/Roであり、雑音電流は、{4kT/(3Ro)}
1/2と従来の(1/3)
1/2に低減する。
【0093】
図13は、第2の実施形態を一般化した例である。
図13に示すように、直列に接続された抵抗R1〜RNのいずれか2つの接続点から増幅器A1の第2の入力2及び第3の入力3に帰還を行う。このとき、第2の入力2にはbVoutが、第3の入力3にはaVoutが帰還されている。ここで、第2の入力2からの利得を−(1−α)A、第3の入力3からの利得を−αAとし、式(34)を満足するように、a、b及びαを選べばよい。
図5は、a=1、b=0、G=2で、α=1/2の例である。
【0094】
図14は、第3の実施形態を一般化した例である。
図14は差動回路なので、Vin-P = Vin、Vin-M = -Vin、Vout-P = Vout、Vout-M = -Voutとする。
図14に示すように、増幅器A1の第2の入力2にはbVoutが、第3の入力3にはaVoutが帰還されるように、増幅器A2の第2の入力2には−bVoutが、第3の入力3には−aVoutが帰還されるように、直列に接続された抵抗R1〜RNの接続点から増幅器A1及びA2の第2の入力2及び第3の入力3に接続する。ここで、第2の入力2からの利得を(1−α)A、第3の入力3からの利得をαaとし、式(34)を満足するように、a、b及びαを選べばよい。
図6及び
図7は、a=1、b=0、G=2で、α=1/2の例である。
図8は、a=1、b=−1、G=2で、α=3/4の例である。
【0095】
図15は、第4の実施形態を一般化した例である。
図15は差動回路なので、Vin-P = Vin、Vin-M = -Vin、Vout-P = Vout、Vout-M = -Voutとする。
図15に示すように、増幅器A1の第2の入力2にはbVoutが、第3の入力3にはaVoutが帰還されるように、増幅器A2の第2の入力2には−bVoutが、第3の入力3には−aVoutが帰還されるように、直列に接続された抵抗R1〜RNの接続点から増幅器A1及びA2の第2の入力2及び第3の入力3に接続する。ここで、第2の入力2からの利得を(1−α)A、第3の入力3からの利得をαaとし、式(34)を満足するように、a、b及びαを選べばよい。
図9は、a=1、b=0、G=2で、α=1/2の例である。
【0096】
なお、式(34)が概ね満足されていれば、雑音低減の効果は変わらない。例えば、
図12において、a=1、b=0.1、α=1/2となった場合でも、雑音電流は技術の(1/2)
1/2である。出力電流は0.91倍と若干小さくなるが、雑音電流の方が(1/2)
1/2 ? 0.71とより小さくなっているので、信号対雑音比は改善する。また、a=1、b=0、α=0.55となった場合も同様、出力電流は0.91倍と若干小さくなるが、雑音電流は従来の(1/2)
1/2であり信号対雑音比は改善する。
【0097】
以上、第1〜第6の実施形態について説明したが、上述した実施形態で説明した事項は、種々の変更及び応用が可能である。
【0098】
例えば、
図1の構成では、トランジスタの第1の端子(ソース端子)と交流的接地点AC−GNDとの間に直列に抵抗R1及び抵抗R2を設けていたが、
図16に示すように、抵抗R1及び抵抗R2を1つの抵抗R10で構成してもよい。
【0099】
また、例えば、
図8の構成では、第1のトランジスタM1の第1の端子(ソース端子)と第2のトランジスタM2の第1の端子(ソース端子)との間に直列に抵抗R1及び抵抗R2を設けていたが、
図17に示すように、抵抗R1及び抵抗R2を1つの抵抗R20で構成してもよい。
【0100】
また、以上の説明では、トランジスタとして電界効果トランジスタ(FET)を用いて説明したが、ゲート端子をベース端子に、ソース端子をエミッタ端子に、ドレイン端子をコレクタ端子に置き換えることにより、バイポーラトランジスタを用いても同様の構成を実現することが可能である。
【0101】
また、上述した電圧電流変換回路は、特に微小な信号を扱うセンサ(角速度センサ、加速度センサ等)に適用することで、高精度のセンサを得ることが可能である。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。