(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、検知システム、ホイール及び検知方法の実施形態を詳細に説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態のホイール1とホイール1に接する構造物の例を示す概略図である。
図2は
図1のホイール1の縦断面を示す概略図である。
図1の例は、ホイール1が、レール4上を走る車両の車輪として使用される場合を示す。
図1では、ホイール1に接する構造物の例として、車両の車体枠6、及び、レール4が示されている。なお、
図1では、ホイール1の回転軸2の軸受は省略されている。
【0009】
図1では、4つのAE(Acoustic Emission)センサ3a、3b、3c及び3dが、ホイール1の外縁の内壁に、そのセンサ面をホイール1外周向きに接地するように配置されている。
図1の例では、AEセンサ3は、例えば一定間隔で配置される。
【0010】
以下、AEセンサ3a、3b、3c及び3dを区別しない場合は、単にAEセンサ3という。AEセンサ3は、弾性波(AE波)を検知し、当該弾性波を電圧信号等の検知信号に変換する。なお、AEセンサ3の数は任意でよい。AEセンサ3は、少なくとも1つあればよいが、AEセンサ3の数が多いほど、損傷箇所5の位置の診断精度を向上させることができる。
【0011】
弾性波は、材料内部の劣化の進展に伴い発生し、破壊に至る以前から破壊の予兆として検知される。また、弾性波は、部材同士が密に接していれば、接している部品に大きく減衰することなく伝わる。そのため、AEセンサ3は、ホイール1と接する回転軸2及びレール4等からホイール1を介して伝わる弾性波も検知することができる。
【0012】
AEセンサ3は、ホイール1の内部に格納されたセンサモジュール(センサユニット)11に接続されている。センサモジュール11は、ホイール1の内部に設置された給電部15により電力が供給される。給電部15には、例えばバッテリのほか、エナジーハーベストを用いることができる。エナジーハーベストは、例えば振動発電及び太陽光発電等である。センサモジュール11をホイール1内部に格納することで、外部配線やスリップリング等を設けることなく、ホイール1を回転駆動しながらの検査モニタリングが可能となる。
【0013】
ホイール1が回転してレール4上を移動するとき、レール4上にある損傷箇所5がAE源となって発生する弾性波がホイール1に伝わる。この弾性波は、ホイール1の内壁面に設置されたAEセンサ3により検出される。損傷箇所5は、例えばレール4上のクラック等である。
【0014】
落下防止カバー14は、ホイール1の側面を覆うように、ホイール1の回転面に平行に取り付けられている。落下防止カバー14は、ホイール1に内蔵されたAEセンサ3及びセンサモジュール11等の落下を防ぐ。落下防止カバー14は、モジュール11の無線通信を妨げないアルミ、樹脂材料及びパンチメタルシート等の電波透過性を有する部材により作成される。
【0015】
ホイール1側面落下防止カバー14上、本体枠6と干渉しない位置に、回転検出センサ12が設置されている。回転検出センサ12は、ホイール1の回転量を検出する。回転検出センサ12は、例えば光電センサである。回転検出センサ12は、センサモジュール11に電気的に接続される。回転検出センサ12は、車体枠6内部に固定した遮光板13を介して、ホイール1の回転量を検出する。回転量は、1回転を1カウントとして検出される。なお、回転検出センサ12として、磁気式エンコーダ、光学式エンコーダ及びレゾルバ等を使用してもよい。
【0016】
次に、
図2を参照して、AEセンサ3の設置位置、及び、AEセンサ3によって検出される損傷箇所5の位置の例について説明する。AEセンサ3は、ホイール1の外縁の内壁に、設置面がホイール外周方向を向くように設置される。これにより、ホイール1が回転するときに、AEセンサ3の検出面には、AEセンサ3が固定される力の他に、ホイール1の外周方向に押し付けられる遠心力が加わる。なお、ホイール1の回転面に垂直にAEセンサ3を設置した場合、遠心力により外周方向にかかる力が、AEセンサ3本体をせん断する力としてAEセンサ3本体にかかるので、AEセンサ3の寿命を縮める恐れがある。
【0017】
AEセンサ3は、ホイール1が接するレール4上の損傷箇所5a、ホイール1を保持する車体枠6上の損傷箇所5b、軸受け7a上の損傷箇所5c、及び、回転軸2上の損傷箇所5dを検出する。
【0018】
[設置例]
図3A−1は第1実施形態のAEセンサ3の設置例1を説明するための断面の拡大概略図である。
図3A−1は、AEセンサ3が、ホイール1の外縁101の内壁面102に形成された設置面103に設置される例を示す。AEセンサ3の設置面103は、平坦で凹凸が無いことが望ましい。しかしながら、ホイール1の外縁101に沿った内壁面102は、曲率があるので平面度が出ない。そのため、ホイール1の内部には、AEセンサ3の検出面がホイール1の外周方向を向くように、平坦な設置面103が設けられている。
図3A−1の例では、設置面103は、ホイール1の回転により生じる遠心力の向きと垂直に形成された平坦な面である。平面度が確保された設置面103は、例えばフライス等で切削加工することにより、ホイール1の外縁101の内壁に形成される。
【0019】
ケーシング40は、内部にAEセンサ3を収める。ケーシング40は、マグネット部43を備えており、材料に鉄を含むホイール1に磁力により固着される。AEセンサ3は、ケーシング40内部のバネ41により、設置面103に固定される。このとき、バネ41により、F1=kx(k:バネ41の定数、x:バネ41の縮み)、及び、ホイール1の回転による遠心力により、F2=m(v
2/r)(m:ホイール1の重さ、v:ホイール1の回転速度、r:設置面103のホイール1中心からの距離)の力が、設置面103にかかる。すなわち、回転運動による遠心力F2を、AEセンサ3の固定に利用することができる。AEセンサ3の検知面は圧電素子であり、シリコングリス42等で保護される。シリコングリス42は、音響カップラントとして働くので、AEセンサ3は、効率的に弾性波を検知することができる。なお、
図3A−2に示す設置例2のように、AEセンサ3の断面サイズ(図中左右方向の断面幅サイズ)がホイール1の曲率半径に対して十分小さく、シリコングリス42等により略均一にホイール1とAEセンサ3を媒介できる場合には、平面度が確保された設置面103を切削加工で形成する必要はない。この場合は、ホイール1の内壁面102が設置面103となる。その場合、マグネット部43のホイール1との接触面の形状をホイール1内壁に沿うように形成することが望ましい。
【0020】
図3Bは第1実施形態のAEセンサ3の設置例3を説明するための断面の拡大概略図である。
図3Bの例は、AEセンサ3をホイール1の内壁面102に形成された設置面103に、ネジによって固定する場合を示す。ケーシング40は、ボルト44を貫通可能な取り付け穴を備えている。ケーシング40は、ホイール1の外縁101に設けられたネジ穴にボルト44により固定される。
【0021】
図3Cは第1実施形態のAEセンサ3の設置例4を説明するための断面の拡大概略図である。
図3Cの例では、ケーシング40自身がネジ部45を備え、ホイール1の外縁101の内壁102にタップ加工されたネジ穴に固定される。AEセンサ3の検出面は、ケーシング40内部のバネ41により設置面103に押し付けられる。設置面103が外周方向を向いていることで、ホイール1が回転するときに、AEセンサ3が押し付けられる方向に回転による遠心力が働く。これにより、より少ない力でAEセンサ3を設置面103に固定することができる。
【0022】
[機能構成の例]
図4は第1実施形態の検知システム100の機能構成の例を示す図である。第1実施形態の検知システム100は、AEセンサ3、センサモジュール11、回転検出センサ12、給電部15及びサーバ装置20を備える。センサモジュール11は、アンプ31、特定部32、生成部33、記憶部34及び通信部35を備える。サーバ装置20は、通信部21、記憶部22及び診断部23を備える。
【0023】
AEセンサ3は、ホイール1を介して弾性波を検知すると、当該弾性波を電圧信号等の検知信号に変換する。AEセンサ3は、検知信号をセンサモジュール11に入力する。
【0024】
センサモジュール11のアンプ31は、AEセンサ3から検知信号を受け付けると、当該検知信号を増幅する。なお、AEセンサ3に増幅器が内蔵されている場合は、アンプ31の処理は省略されてもよい。
【0025】
回転検出センサ12は、ホイール1の回転量を検出すると、当該回転量を示す回転量情報をセンサモジュール11に入力する。
【0026】
センサモジュール11の特定部32は、回転検出センサ12から回転量情報を受け付けると、当該回転量情報から、ホイール1の回転角度と、ホイール1が当該回転角度の位置にあった時刻とを特定する。特定部32は、回転角度を示す回転角度情報と、ホイール1が当該回転角度の位置にあった時刻を示す時刻情報とを生成部33に入力する。
【0027】
生成部33は、アンプ31から増幅された検知信号を受け付けると、当該検知信号のデータ形式をアナログ形式からデジタル形式に変換する。生成部33は、デジタル形式に変換された検知信号が検知閾値以上である場合、当該検知信号が検知された時刻を示す時刻情報と、当該検知信号の特徴を示す特徴量情報とを生成する。生成部33は、特徴量情報と時刻情報とを記憶部34に記憶する。
【0028】
特徴量情報は、例えば検知信号の波形の振幅[mV]、検知信号の波形の持続時間[usec]、検知信号のゼロクロスカウント数[times]、検知信号の波形のエネルギー[arb.]、及び、検知信号の周波数[Hz]等である。
【0029】
また、生成部33は、特定部32から回転角度情報と時刻情報とを受け付けると、当該時刻情報を検知信号が検知された時刻を示す時刻情報と同じ時間軸上で記憶部34に記憶することにより、記憶部34に記憶された特徴量情報と回転角度情報とを紐付ける。そして、生成部33は、特徴量情報と回転角度情報と時刻情報とを通信部35に入力する。
【0030】
通信部35は、生成部33から特徴量情報と回転角度情報と時刻情報とを受け付けると、特徴量情報と回転角度情報と時刻情報とをサーバ装置20に送信する。
【0031】
サーバ装置20の通信部21は、センサモジュール11から特徴量情報と回転角度情報と時刻情報とを受け付けると、当該特徴量情報と回転角度情報と時刻情報とを記憶部22に記憶する。
【0032】
診断部23は、記憶部22から特徴量情報と回転角度情報と時刻情報とを読み出し、当該特徴量情報と回転角度情報と時刻情報を使用して、ホイール1、及び、ホイール1に接する構造物の少なくとも一方の損傷箇所5の位置と、損傷箇所5の損傷度合いとを診断する。損傷箇所5の損傷度合いは、例えば上述の特徴量情報から診断することができる。
【0033】
AEセンサ3は、ホイール1に少なくとも1つ配置されていればよいが、AEセンサ3がホイール1に2個以上配置されている場合は、特徴量情報の差、及び、回転角度情報に基づいて、損傷箇所5の位置をより高い精度で特定することができる。損傷箇所5の特定精度は、AEセンサ3の数が多いほど上げることができる。
【0034】
なお
図4に示す検知システム100の構成は一例であり、適宜変更してもよい。例えば診断部23は、センサモジュール11内に備えられていてもよい。
【0035】
[特定方法の例]
図5は第1実施形態の弾性波の発生源の位置を特定する方法の例を説明するための図である。
図5は、損傷箇所5があるレール4上を走行するホイール1の正面の例を示す概略図である。
図5の例では、AEセンサ3a〜3dは、位相差π/2でホイール1内に均等配置される。これにより、ホイール1が回転しても、AEセンサ3a〜3dのうち、少なくとも2つはレール4の近傍の位置にあるようにすることができる。
【0036】
ホイール1が損傷箇所5の上を通過するとき、ホイール1が回転角度θの位置にあるとする。このとき、AEセンサ3a〜3dの位置を示す回転角度φa〜φdは、下記式(1)〜(4)により表される。
【0037】
φa=(θ+π/4) ・・・(1)
φb=(θ+3π/4) ・・・(2)
φc=(θ+5π/4)=(3π/4−θ) ・・・(3)
φd=(θ+7π/4)=(π/4−θ) ・・・(4)
【0038】
損傷箇所5から発生する弾性波は、ホイール1の外周を通じて、AEセンサ3a〜3dに伝わる。ホイール1の半径がrのとき、損傷箇所5からAEセンサ3a〜3dまでの距離Sa〜Sdは下記式(5)〜(8)により表される。
【0039】
Sa=r×φa=r(θ+π/4) ・・・(5)
Sb=r×φb=r(θ+3π/4) ・・・(6)
Sc=r×φc=r(3π/4−θ) ・・・(7)
Sd=r×φd=r(π/4−θ) ・・・(8)
【0040】
また、
図5の例では、損傷箇所5から最も近いAEセンサ3dで弾性波を検出した時刻をtとし、弾性波の伝達速度をv[m/s]とすると、上記距離Sa〜Sdは下記式(9)〜(12)により表される。
【0041】
Sa=v(t+Δt1) ・・・(9)
Sb=v(t+Δt3) ・・・(10)
Sc=v(t+Δt2) ・・・(11)
Sd=vt ・・・(12)
【0042】
ここで、Δt1〜Δt3(Δt1<Δt2<Δt3)は、弾性波の到達時刻差を示す。AEセンサ3a〜3dの位置は、ホイール1の回転角度に応じて変わる。AEセンサ3a〜3dは、ホイール1の外縁101の内壁102の異なる場所に設置されているので、AEセンサ3a〜3dが、ホイール1の外周部分から弾性波を検出した場合は、各AEセンサ3a〜3dに当該弾性波が到達する時刻に差が生じる。一方、弾性波の発生源が、ホイール1の回転中心に近いほど、ホイール1の回転角度によらず、各AEセンサ3a〜3dに当該弾性波の到達時刻差Δtは小さくなる。このように、診断部23は、到達時刻差Δtの有無によって、弾性波の発生源(損傷箇所5の位置)を診断することができる。
【0043】
なお、回転検出センサ12が故障又は設置されていない等の理由で、回転角度情報が得られない場合は、ホイール1の回転角度により変わるAEセンサ3の位置が特定できない。この場合は、ホイール1の外縁101を介して到達する弾性波の発生源(損傷箇所5の位置)の特定精度は、AEセンサ3の位置を特定できる場合に比べて低くなる。なお、診断部23は、回転角度情報が得られない場合でも、弾性波の到達時刻差Δtが小さい場合(例えば位置判定閾値よりも小さい場合)、弾性波の発生源が、ホイール1の内部(例えば回転中心付近等)にあることを診断できる。
【0044】
以上説明したように、第1実施形態の検知システム100では、ホイール1は、外縁101の内壁102に設置面103を有する。少なくとも1つのセンサ(AEセンサ3)が、設置面103に設置され、ホイール1、及び、ホイール1に接触する構造物の少なくとも一方からの弾性波を検知する。生成部33が、弾性波が検出された時刻を示す時刻情報と、弾性波の特徴を示す特徴量情報とを生成する。そして、診断部23が、時刻情報と特徴量情報とから、ホイール1、及び、ホイール1に接触する構造物の少なくとも一方の損傷箇所5の位置と、当該損傷箇所5の損傷度合いとを診断する。
【0045】
これにより第1実施形態の検知システム100によれば、回転機構を持つ機械が使用されている状態でも、回転機構のホイール1、及び、ホイール1に接する構造物の状態を検査することができる。
【0046】
(第1実施形態の変形例)
次に第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態の変形例の説明では、第1実施形態と同様の説明については省略し、第1実施形態と異なる箇所について説明する。
【0047】
図6は第1実施形態の変形例のAEセンサ3の配置例を示す図である。
図6の例では、2つのAEセンサ3a及び3bがホイール1に配置されている場合を示す。2つのAEセンサ3a及び3bは、AEセンサ3aが設置された位置を示す回転角度と、AEセンサ3bが設置された位置を示す回転角度との位相差が、π+α(0<α<π/4)となるように設置される。これにより、例えば損傷箇所5e及び5fの位置が弾性波の発生源になる場合でも、どちらか一方のAEセンサ3が発生源により近い状態となる。そのため、診断部23は、上述の
図5で説明した特定方法により、損傷箇所5e及び5fの位置を特定することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の説明については省略し、第1実施形態と異なる箇所について説明する。
【0049】
図7Aは第2実施形態のホイール1−2の正面の例を示す概略図である。
図7Aの例は、ロープに動力を伝達することで動作する滑車のホイール1−2についての実施形態を示す。ホイール1−2は、外周に溝があり、軸受を内蔵する。ホイール1−2は、固定された回転軸2をもち、先端に荷重を持つロープ8が1本または複数本、かけられている。
【0050】
AEセンサ3a〜3dは、ホイール1−2の内壁に、その設置面を外周方向に向けて設置されている。AEセンサ3a〜3dは、ホイール1−2、ホイール1−2に接触するロープ8、及び、回転軸2等から発生する弾性波を、それぞれの部品の故障の予兆として検知する。AEセンサ3a〜3dは、ホイール1−2の内部に固定されたセンサモジュール11に接続されている。
【0051】
センサモジュール11は、ホイール1−2に内蔵された給電部15により電源が供給されている。給電部15には、バッテリのほか、太陽光発電モジュール及び振動発電モジュール等のエナジーハーベスタを用いることができる。
【0052】
図7Bは第2実施形態のホイール1−2とAEセンサ3a−3cの中心を通る縦断面の例を示す概略図である。
図7Bのように、AEセンサ3を、ホイール1−2の幅の中心に配置することで、ホイール1−2を通じて伝わる弾性波を効率よく検知できるほか、運用時に重心の偏りを減らしてホイール1−2を回すことができる。
【0053】
図7Cは第2実施形態のホイール1−2の縦断面の例を示す概略図である。
図7Cは、センサモジュール11及び給電部15の設置の例を示す。
図7Cのように、ホイール1−2の内部にセンサモジュール11及び給電部15を収めることにより、当該センサモジュール11及び給電部15をホイール1外部と干渉することなく運用することができる。
【0054】
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明では、第2実施形態と同様の説明については省略し、第1実施形態と異なる箇所について説明する。
【0055】
図8は第3実施形態のホイール1−3の断面の例を示す概略図である。
図8の例は、ロープ8が複数本、滑車のホイール1−3にかけられている場合のAEセンサ3の設置例を示す。AEセンサ3は、ホイール1−3の内壁の傾斜面に、その設置面を外周方向に向けて設置されている。傾斜面の角度は、遠心力を重力で相殺しない45°以内であることが望ましい。ホイール1−3の片側側面であっても、弾性波の振幅の違いにより損傷箇所5の位置を標定(診断)することが可能である。また、このホイール1−3には、AEセンサ3が、回転面の両側面に設置されているので、ロープ8a〜8fからの弾性波の発生源(AE源)を特定することができる。具体的には、例えば、側面内のAEセンサ3a及び3cの組により検知された弾性波により、AE源の位相が特定され、さらに、対面するAEセンサ3a及び3bの組により検知された弾性波により、故障箇所5のあるロープ8を特定される。
【0056】
最後に実施形態及び変形例のサーバ装置20のハードウェア構成の例について説明する。
【0057】
[ハードウェア構成の例]
図9は第1乃至第3実施形態のセンサモジュール11のハードウェア構成の例を示す図である。第1乃至第3実施形態のセンサモジュール11は、制御装置201、主記憶装置202、補助記憶装置203及び通信装置204を備える。制御装置201、主記憶装置202、補助記憶装置203及び通信装置204は、バス210を介して接続されている。
【0058】
制御装置201は、補助記憶装置203から主記憶装置202に読み出されたプログラムを実行する。主記憶装置202は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリである。補助記憶装置203はメモリカード等である。
図4の記憶部34は、主記憶装置202及び補助記憶装置203に対応する。
【0059】
通信装置204は、サーバ装置20等と通信するためのインタフェースである。
【0060】
第1乃至第3実施形態のセンサモジュール11で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、メモリカード、CD−R及びDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されてコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供される。
【0061】
また第1乃至第3実施形態のセンサモジュール11で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また第1乃至第3実施形態のセンサモジュール11で実行されるプログラムをダウンロードさせずにインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成してもよい。
【0062】
また第1乃至第3実施形態のセンサモジュール11のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0063】
第1乃至第3実施形態のセンサモジュール11で実行されるプログラムは、上述した
図4のセンサモジュール11の機能ブロックのうち、プログラムによっても実現可能な機能ブロックを含むモジュール構成となっている。当該各機能ブロックは、実際のハードウェアとしては、制御装置201が記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各機能ブロックが主記憶装置202上にロードされる。すなわち上記各機能ブロックは主記憶装置202上に生成される。
【0064】
なお上述した
図4の各機能ブロックの一部又は全部をソフトウェアにより実現せずに、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。
【0065】
また複数のプロセッサを用いて各機能を実現する場合、各プロセッサは、各機能のうち1つを実現してもよいし、各機能のうち2以上を実現してもよい。
【0066】
図10は第1乃至第3実施形態のサーバ装置20のハードウェア構成の例を示す図である。第1乃至第3実施形態のサーバ装置20は、制御装置301、主記憶装置302、補助記憶装置303、表示装置304、入力装置305及び通信装置306を備える。制御装置301、主記憶装置302、補助記憶装置303、表示装置304、入力装置305及び通信装置306は、バス310を介して接続されている。
【0067】
制御装置301は、補助記憶装置303から主記憶装置302に読み出されたプログラムを実行する。主記憶装置
302は、ROM及びRAM等のメモリである。補助記憶装置303は、HDD(Hard Disk Drive)及びメモリカード等である。
図4の記憶部22は、主記憶装置302及び補助記憶装置303に対応する。
【0068】
表示装置304は、サーバ装置20の状態等を表示する。表示装置304は、例えば液晶ディスプレイ等である。入力装置305は、サーバ装置20を操作するためのインタフェースである。入力装置305は、例えばキーボードやマウス等である。サーバ装置20がスマートフォン及びタブレット型端末等のスマートデバイスの場合、表示装置304及び入力装置305は、例えばタッチパネルである。通信装置306は、センサモジュール11等と通信するためのインタフェースである。
【0069】
第1乃至第3実施形態のサーバ装置20で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、メモリカード、CD−R及びDVD等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されてコンピュータ・プログラム・プロダクトとして提供される。
【0070】
また第1乃至第3実施形態のサーバ装置20で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また第1乃至第3実施形態のサーバ装置20で実行されるプログラムをダウンロードさせずにインターネット等のネットワーク経由で提供するように構成してもよい。
【0071】
また第1乃至第3実施形態のサーバ装置20のプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0072】
第1乃至第3実施形態のサーバ装置20で実行されるプログラムは、上述した
図4のサーバ装置20の機能ブロックのうち、プログラムによっても実現可能な機能ブロックを含むモジュール構成となっている。当該各機能ブロックは、実際のハードウェアとしては、制御装置301が記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、上記各機能ブロックが主記憶装置302上にロードされる。すなわち上記各機能ブロックは主記憶装置302上に生成される。
【0073】
なお上述した
図4の各機能ブロックの一部又は全部をソフトウェアにより実現せずに、IC等のハードウェアにより実現してもよい。
【0074】
また複数のプロセッサを用いて各機能を実現する場合、各プロセッサは、各機能のうち1つを実現してもよいし、各機能のうち2以上を実現してもよい。
【0075】
また第1乃至第3実施形態のサーバ装置20の動作形態は任意でよい。第1乃至第3実施形態のサーバ装置20を、例えばネットワーク上のクラウドシステムとして動作させてもよい。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0077】
例えば上述の実施形態の検知システム100を、エレベータに使用されるホイール及びワイヤロープの劣化の検知に適用してもよい。