(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1種の薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、抗ガン剤、抗接着剤、組織マトリックス分解阻害剤、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
前記少なくとも1種の薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、抗ガン剤、抗接着剤、組織マトリックス分解阻害剤、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載のエンドエフェクタ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全体的な理解が得られるように、特定の例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例が、添付の図面に示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に説明され、かつ添付の図面に例示される装置及び方法が、非限定的な例示的実施形態であること、並びに本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような修正及び変形は、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0014】
更に、本開示においては、実施形態の同様の参照符号を付した構成要素は概して同様の特徴を有するものであり、したがって特定の実施形態において、同様の参照符号を付した各構成要素の各特徴について必ずしも完全に詳しく述べることはしない。加えて、開示されるシステム、装置、及び方法の説明で直線寸法又は円寸法が使用される場合、かかる寸法は、かかるシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用することができる形状の種類を限定しようとするものではない。当業者には、任意の幾何学的形状についてかかる直線寸法及び円寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点が認識されるであろう。システム及び装置並びにその構成要素のサイズ及び形状は、少なくともシステム及び装置が用いられる被験者の解剖学的構造、システム及び装置がそれらと共に用いられる構成要素のサイズ及び形状、並びにシステム及び装置が用いられる方法及び処置によって決まり得る。
【0015】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、装置のハンドルを握っている、臨床医などのユーザについて使用されることが認識されるであろう。「前方」及び「後方」といった他の空間的用語は、同様に、遠位及び近位にそれぞれ対応する。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」といった空間的な用語が、図面に対して使用されている点も更に認識されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの空間的用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0016】
外科的処置を行うための、様々な例示的な装置及び方法が提供される。いくつかの実施形態において、切開外科的処置のための装置及び方法が提供され、他の実施形態において、腹腔鏡下、内視鏡的、及び他の低侵襲的外科的処置のための装置及び方法が提供される。これらの装置は、人間のユーザによって直接、又はロボット若しくは類似の操作ツールの直接制御下でリモート発射されてよい。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される様々な方法及び装置が、多数の外科的処置及び用途で用いられ得ることを理解するであろう。本明細書で開示される様々な器具が、例えば、自然開口部を通して、組織に形成された切開又は穿刺孔を通して、又はトロカールカニューレなどのアクセスデバイスを使用してなどの、何らかの方法で体内へ挿入され得ることを当業者は更に認識するであろう。例えば、これらの器具の作動部分、すなわちエンドエフェクタ部分は、患者の体内に直接に挿入できる、又は、手術用器具のエンドエフェクタ及び細長いシャフトを通過させることが可能な作業用チャンネルを有するアクセス装置を介して挿入され得る。
【0017】
1つ以上の本明細書で集合的に「補助材」と呼ぶ生体材料及び/又は合成材料を、手術用器具と共に使用して、外科的処置の改善を支援することは望ましいことであり得る。種々の異なる手術用エンドエフェクタが、補助材の使用によって利益を得ることがあり、いくつかの例示的実施形態では、エンドエフェクタは、手術用ステープラであり得る。手術用ステープラと共に使用されるときには、補助材は、ステープラのジョーの間及び/又はその上に配置されても、ジョーに配置されたステープルカートリッジに組み込まれても、又はそうでなければ、ステープルの近位に置かれてもよい。ステープルが配備されると、補助材は、ステープルと共に施療部位に残ってもよく、その結果、多くの利益を提供することができる。例えば、補助材は、施療部位における組織を増強して、施療部位において、ステープルにより裂かれ又は引き裂かれるのを防止することができる。組織増強は、組織が病変している、放射線治療など別の処置、化学療法など薬物治療、又は他の組織特性を変更する状況から治癒している場合に、ステープルが組織を裂かないように保つために必要なことがある。いくつかの場合において、補助材は、ステープリング後に生じる組織変形(例えば、肺膨張、消化管膨張など)から生じ得る、ステープル穿刺部位及びその付近における組織の移動を最小化してよい。当業者は、ステープル穿刺部位は応力集中部となることがあり、ステープルによって形成された孔の寸法は、その付近の組織が張力下に置かれると、増大することを認識するであろう。これらの穿刺部位付近での組織の移動を制限することは、張力下で増大し得る孔の寸法を最小化できる。いくつかの場合において、補助材は、例えば、シーラント、血液、接着剤など、更に治癒を促進する有益な流体を吸い上げる(wick)、又は吸収するように構成され得る。また、いくつかの場合において、補助材は、分解して、例えば、シーラントなど、更に治癒を促進するゲルを形成するように構成され得る。いくつかの場合には、補助材が、組織、血管、及び種々の他の対象物又は身体部位に植え込みされるときに、ステープルによって形成される孔の封止の支援に使用されてもよい。また、補助材は、補助材に関連付けられた任意のファイバ又はストランドの間隔、配置、及び/又は配向により、組織成長に影響を及ぼしてもよい。
【0018】
また、補助材は、その上及び/又はその内部に、薬剤を有することもできる。薬剤は、周囲の組織への薬剤の所望の効果に応じて変更することができる。非限定例として、薬剤は、止血、炎症、マクロファージ、及び/又は線維芽細胞に影響を及ぼすのに提供され得る。薬剤は、混合され、又は、任意の組み合わせで組み合わせられることができ、あるいは、薬剤は、再度、組織に対する所望の効果に応じて、単独で提供されることができる。薬剤は、種々の異なる方法で、補助材から溶出され得る。非限定例として、補助材上のコーティングが、異なるタイミングで吸収されることにより、異なるタイミングで薬剤を放出するのに変更され得ること、補助材は、可変速度で補助材間の薬剤の拡散を可能にするように変更され得ること、補助材は、異なるタイミングで薬剤を放出させるために、分子量及び/又は物理的特徴を変更し得ること、などを挙げることができる。
【0019】
手術用ステープル留め器具
様々な手術用器具が、本明細書で開示された補助材及び/又は薬剤と共に使用され得る。「補助材」は、本明細書において、「補助材料」とも呼ばれる。手術用器具は、手術用ステープラを含み得る。様々な手術用ステープラ、例えば、線状手術用ステープラ及び輪状ステープラが使用され得る。概して、線状ステープラが、長手方向ステープルラインを形成するように構成されることができ、細長いジョーを含むことができる。このジョーは、それに連結され、長手方向ステープル列を収容しているカートリッジを有する。細長いジョーは、ジョー内に保持された組織に沿って、ステープル列間の切断を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含み得る。概して、輪状ステープラは、環状ステープルラインを形成するように構成されることができ、輪状ジョーを含むことができる。この輪状ジョーは、環状ステープル列を収容しているカートリッジを有する。輪状ジョーは、ジョー内に保持された組織を通る開口を画定するためのステープル列の内側の切断を形成することができるナイフ又は他の切断部材を含み得る。ステープラは、様々な異なる外科的処置において、例えば、胸部手術又は胃部手術において、様々な組織での様々な異なる外科的処置に使用され得る。
【0020】
図1は、1つ以上の補助材及び/又は薬剤を共に使用するに適した線状手術用ステープラ10の一例を図示する。ステープラ10は、一般に、ハンドルアセンブリ12と、ハンドルアセンブリ12の遠位端12dから遠位に延在するシャフト14と、シャフト14の遠位端14dにあるエンドエフェクタ30と、を含む。エンドエフェクタ30は、対向する下部及び上部ジョー32、34を有するが、他の種類のエンドエフェクタを、シャフト14、ハンドルアセンブリ12、及びそれらに付随する構成要素と共に使用し得る。下部ジョー32は、ステープルカートリッジ40を支持するように構成されているステープルチャネル56を有する。上部ジョー34は、下部ジョー32に面し、ステープルカートリッジ40のステープル(ステープルは、
図1及び
図2において隠れている)を配備するのを支援するように、アンビルとして動作するように構成されているアンビル面33を有する。少なくとも1つの対向する下部及び上部ジョー32、34は、それらの間に配置された組織及び/又は他の物体をクランプするために、他方の下部及び上部ジョー32、34に対して移動可能である。いくつかの実施では、対向する下部及び上部ジョー32、34の一方が、固定されるか、又は別の方法で移動不能であってよい。いくつかの実施では、対向する下部及び上部ジョー32、34の両方が、移動可能であってよい。発射システムの構成要素は、ステープルをクランプされた組織内に放出するために、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通って通過するように構成され得る。様々な実施において、ナイフブレード36又は他の切断部材は、発射システムに接続され、ステープリング処置中に組織を切開し得る。
【0021】
エンドエフェクタ30の作動は、ハンドルアセンブリ12での、例えば、臨床医、外科医などのユーザからの入力によって開始され得る。ハンドルアセンブリ12は、それに連結されるエンドエフェクタ30を扱って操作するように設計された多くの異なる構成を有してもよい。図示した例では、ハンドルアセンブリ12は、その中に配置される様々な機械的及び/又は電気的構成要素を伴うピストルグリップ型のハウジング18を有し、器具10の多様な機能を操作する。例えば、ハンドルアセンブリ12は、ハンドルアセンブリ12に対する、シャフト14の長手方向軸線Lの周りでのシャフト14及び/又はエンドエフェクタ30の回転を促進し得る、その遠位端12dに隣接して取り付けられた回転ノブ26を含み得る。ハンドルアセンブリ12は、クランプトリガ22によって作動されるクランプシステムの一部としてクランプ構成要素と、発射トリガ24によって作動される発射システムの一部として発射構成要素と、を更に含み得る。クランプ及び発射トリガ22、24は、例えば、トーションばねによって、静止ハンドル20に対して開放位置に付勢され得る。静止ハンドル20に向けたクランプトリガ22の移動は、以下に記載のクランプシステムを作動させることができ、これにより、ジョー32、34を互いに向けて倒させ、したがって、それらの間に組織をクランプすることができる。発射トリガ24の移動は、以下に記載の発射システムを作動させることができ、これにより、その中に配置されたステープルカートリッジ40からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフブレード36を前進させて、ジョー32、34の間に捕捉された組織を切断することができる。当業者であれば、機械、油圧、空気圧、電気機械、ロボット、又はその他の発射システムの構成要素の様々な構成が、ステープルの放出及び/又は組織の切開に使用され得ることを認識するであろう。
【0022】
図2に示すように、図示した実施のエンドエフェクタ30は、カートリッジアセンブリ又はキャリアとして機能する下部ジョー32と、アンビルとして機能する、対向する上部ジョー34と、を有する。内部に複数のステープルを有するステープルカートリッジ40は、ステープルトレイ37内に支持され、次に、ステープルトレイ37は、下部ジョー32のカートリッジチャネル内に支持される。上部ジョー34は、複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有し、各ポケットは、ステープルカートリッジ40内に収容される複数のステープルからの対応するステープルの上に位置付けられる。図示した実施では、上部ジョー34は、シャフト14との係合部のすぐ遠位の、ステープルチャネル56の近位端56p内で枢動可能に受け入れられる近位枢動端部34pを有するが、上部ジョー34は、様々な方法で下部ジョー32に接続され得る。上部ジョー34が下向きに枢動すると、上部ジョー34は、アンビル面33を移動させ、その上に形成されたステープル成形ポケットは、対向するステープルカートリッジ40に向けて移動する。
【0023】
ジョー32、34の開閉をもたらして、これらの間に組織を選択的にクランプするために、様々なクランプ構成要素が使用され得る。図示したように、上部ジョー34の枢動端部34pは、ステープルチャネル56との枢動取り付け部より遠位に閉鎖機構34cを含む。したがって、遠位端部が、閉鎖機構34cと係合する馬蹄形開口部46aを含む閉鎖管46は、クランプトリガ22に応答して、閉鎖管46の近位長手方向運動中に上部ジョー34に対して開放運動、及び、閉鎖管46の遠位長手方向運動中に上部ジョー34に対して閉鎖運動を選択的に加える。上記されたように、様々な実施において、エンドエフェクタ30の開閉は、上部ジョー34に対する下部ジョー32の相対運動、下部ジョー32に対する上部ジョー34の相対運動、又は互いに対する両方のジョー32、34の運動によってもたらされてよい。
【0024】
図示した実施の発射構成要素は、
図3に示すように、遠位端にEビーム38を有する発射バー35を含む。発射バー35は、シャフト14内、例えば、シャフト14の長手方向発射バースロット14s内に包含され、ハンドル12からの発射運動によって誘導される。発射トリガ24の作動は、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通るEビーム38の遠位運動に影響し、したがって、ステープルカートリッジ40内に収容されたステープルを発射させ得る。図示したように、Eビーム38の遠位端から突出しているガイド39は、
図2に示したウェッジスレッド47と係合し得る。次に、ウェッジスレッド47は、ステープルカートリッジ40内に形成されたステープル空洞41を通ってステープルドライバ48を押し上げ得る。ステープルドライバ48の上方移動は、カートリッジ40内の複数のステープルのそれぞれに上向きの力を加え、したがって、上部ジョー34のアンビル面33に押し付けてステープルを押し上げ、成形されたステープルを形成する。
【0025】
ステープルを発射させることに加えて、Eビーム38は、ジョー32、34の閉鎖、ステープルカートリッジ40からの上部ジョー34の引き離し、及び/又は、ジョー32、34間に捕捉された組織の切断を促進するように構成され得る。具体的には、一対の頂部ピン及び一対の底部ピンは、上部及び下部ジョー32、34の一方又は両方と係合して、発射バー35がエンドエフェクタ30を通って前進するときに、ジョー32、34を互いに向けて圧迫し得る。同時に、頂部ピンと底部ピンとの間に延在するナイフ36は、ジョー32、34の間で捕捉された組織を切断するように構成され得る。
【0026】
使用中、手術用ステープラ10は、カニューレ又はポート内に配置され、手術部位に配置され得る。切開されてステープル留めされる組織は、手術用ステープラ10のジョー32、34の間に置かれてもよい。ステープラ10の機構が、ユーザによって望みどおりに操作され、ジョー32、34に関する手術部位と組織において、ジョー32、34の所望の位置を達成し得る。適切な位置決めを達成した後に、クランプトリガ22を静止ハンドル20に向けて引いて、クランプシステムを作動させ得る。トリガ22は、閉鎖管46が、シャフト14の少なくとも一部を通過して遠位方向に進んで、ジョー32、34の少なくとも一方を他方に向かって倒し、これらの間に配置された組織をクランプするように、クランプシステムの構成要素を作動させ得る。その後、発射バー35及び/又はEビーム38が、エンドエフェクタ30の少なくとも一部を通って遠位方向に進んで、ステープルの発射をもたらし、任意追加的に、ジョー32、34の間で捕捉された組織を切断するように、トリガ24を、静止ハンドル20に向けて引いて、発射システムの構成要素を作動させ得る。
【0027】
線状手術用ステープラ50の形態における手術用器具の別の例を、
図4に図示する。ステープラ50は、一般に、
図1のステープラ10同様に、構成され、使用され得る。
図1の手術用器具10と同様に、手術用器具50は、遠位に延在し、組織を処置するために遠位端にエンドエフェクタ60を有するシャフト54を備えるハンドルアセンブリ52を含む。エンドエフェクタ60の上部及び下部ジョー64、62は、これらの間で組織を捕捉し、下部ジョー62に配置されたカートリッジ66からステープルを発射することによって組織をステープル留めし、及び/又は、組織に切開部を形成するように構成され得る。この実施において、シャフト54の近位端にある取り付け部67は、シャフト54及びエンドエフェクタ60をハンドルアセンブリ52に取り外し可能に取り付け可能にするように構成され得る。具体的には、取り付け部67の嵌合機構68は、ハンドルアセンブリ52の補助嵌合機構71と嵌合できる。シャフト54をハンドルアセンブリ52に着脱可能に結合するために、任意の数の補助嵌合機構及び任意の種類の結合を使用できるが、嵌合機構68、71は、例えば、スナップフィット結合、バヨネット式結合などによって互いに結合するように構成され得る。図示した実施のシャフト54の全体は、ハンドルアセンブリ52から分離可能に構成されているが、いくつかの実施において、取り付け部67は、シャフト54の遠位部のみを取り外すことができるように構成され得る。シャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の分離可能な結合は、特定の処置のための所望のエンドエフェクタ60の選択的な取り付け、及び/又は、多数の異なる処置のためのハンドルアセンブリ52の再利用を可能にできる。
【0028】
ハンドルアセンブリ52は、その上に、エンドエフェクタ60を扱って操作するための1つ以上の機構を有していてもよい。非限定例として、ハンドルアセンブリ52の遠位端に取り付けられた回転ノブ72は、ハンドルアセンブリ52に対するシャフト54及び/又はエンドエフェクタ60の回転を促進し得る。ハンドルアセンブリ52は、移動可能なトリガ74によって作動されるクランプシステムの一部としてのクランプ構成要素と、これもトリガ74によって作動され得る発射システムの一部としての発射構成要素と、を含み得る。したがって、いくつかの実施において、第1運動範囲を通る、静止ハンドル70に向けたトリガ74の移動は、クランプ構成要素を作動させて、対向するジョー62、64を互いに向けて閉鎖位置に接近させ得る。いくつかの実施において、対向するジョー62、24の一方のみが、ジョー62、64に向けて閉鎖位置に移動し得る。第2運動範囲を通る、静止ハンドル70に向けたトリガ74の更なる移動は、発射構成要素を作動させて、ステープルカートリッジ66からステープルを放出させることができ、及び/又は、ナイフ又は他の切断部材(図示せず)を前進させて、ジョー62、64間に捕捉された組織を切断させることができる。
【0029】
環状手術用ステープラ80の形態における手術用器具の一例を、
図5に図示する。ステープラ80は、一般に、
図1及び
図4の線状ステープラ10、50と同様に構成され、使用され得るが、一部の機構が、輪状ステープラとしてのその機能に適応している。手術用器具10、50と同様に、手術用器具80は、遠位に延在し、組織を処置するために遠位端にエンドエフェクタ90を有するシャフト84を備えるハンドルアセンブリ82を含む。エンドエフェクタ90は、ほぼ円形の形状を有する、組織に接触する表面をそれぞれが有するカートリッジアセンブリ92及びアンビル94を含み得る。カートリッジアセンブリ92及びアンビル94は、アンビル94から延在するシャフト98によってステープラ80のハンドルアセンブリ82に結合されることができ、ハンドルアセンブリ82上のアクチュエータ85を操作すると、シャフト98を後退及び前進させて、カートリッジアセンブリ92に対してアンビル94を移動させることができる。アンビル94及びカートリッジアセンブリ92は、様々な機能を行うことができ、それらの間に組織を捕捉したり、カートリッジアセンブリ92のカートリッジ96からステープルを発射することにより組織をステープル留めしたり、かつ/又は、組織に切開を形成するように構成されることができる。一般的に、カートリッジアセンブリ92は、ステープルを収容しているカートリッジを収容することができ、ステープルをアンビル94に対して配備することにより、円形のステープルパターンを形成し、例えば、管状体内臓器の外周の周りをステープル留めすることができる。
【0030】
一実施において、シャフト98は、アンビル94をカートリッジアセンブリ92から分離することができるように解放可能に互いに連結されるように構成された第1及び第2の部分(図示せず)で構成することができ、これにより、アンビル94及びカートリッジアセンブリ92を、患者の体内に配置するのに、より高い柔軟性を与えることができる。例えば、シャフトの第1の部分は、カートリッジアセンブリ92の内部に配置され、遠位方向にカートリッジアセンブリ92の外部へと延在して、遠位嵌合機構において終端することができる。シャフト84の第2の部分は、アンビル94の内部に配置され、近位方向にカートリッジアセンブリ92の外部へと延在して、近位嵌合機構において終端することができる。使用に際しては、近位嵌合機構と遠位嵌合機構とを互いに連結することにより、アンビル94とカートリッジアセンブリ92とを互いに対して動かすことができる。
【0031】
ステープラ80のハンドルアセンブリ82には、ステープラの動作を制御することができる、様々なアクチュエータを配置することができる。例えば、ハンドルアセンブリ82には、回転によってエンドエフェクタ90の配置を容易にする回転ノブ86、及び/又は、エンドエフェクタ90を作動させるためのトリガ85を配置することができる。第1の運動範囲によるトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、クランプシステムの構成要素をジョーに近づける(すなわち、カートリッジアセンブリ92に向かってアンビル94を動かす)ように作動させることができる。第2の運動範囲によるトリガ85の静止ハンドル87に向かう運動によって、発射システムの構成要素を作動させて、ステープルをステープルカートリッジアセンブリ92から配備させ、かつ/又は、カートリッジアセンブリ92とアンビル94との間に捕捉された組織を切断するためにナイフを前進させることができる。
【0032】
手術用ステープル留め器具10、50、及び80の図示した例は、多くの異なる構成及び関連する使用方法のうちのごく一部の例を提供するものであり、これらは本明細書で提供される開示と共に使用され得る。図示した例は、全て低侵襲処置で使用するように構成されているが、切開外科的処置で使用するように構成されている器具、例えば、米国特許第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)に記載されているようにオープン線状ステープラを本明細書で提供される開示と共に使用できることが理解されるであろう。図示した例の更なる詳細並びに、手術用ステープラ、その構成要素、及びその関連する使用方法の更なる例は、米国特許出願公開第2013/0256377号(発明の名称「Layer Comprising Deployable Attachment Members」、2013年2月8日付けで出願)、米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)、同第8,317,070号(発明の名称「Surgical Stapling Devices That Produce Formed Staples Having Different Lengths」、2007年2月28日付けで出願)、同第7,143,925号(発明の名称「Surgical Instrument Incorporating EAP Blocking Lockout Mechanism」、2005年6月21日付けで出願)、米国特許出願公開第2015/0134077号(発明の名称「Sealing Materials For Use In Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願、発明の名称「Sealing Materials for Use in Surgical Procedures」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0134076号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0133996号(発明の名称「Positively Charged Implantable Materials and Method of Forming the Same」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0129634号(発明の名称「Tissue Ingrowth Materials and Method of Using the Same」、2013年11月8日付けで出願)、同第2015/0133995号(発明の名称「Hybrid Adjunct Materials for Use in Surgical Stapling」、2013年11月8日付けで出願)、米国特許出願第14/226,142号(発明の名称「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」、2014年3月26日付けで出願)、及び同第14/300,954号(発明の名称「Adjunct Materials and Methods of Using Same in Surgical Methods for Tissue Sealing」、2014年6月10日付けで出願)に提供される。これらの文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
植え込み可能な補助材
上記されたように、様々な植え込み可能な補助材が、手術用ステープル留め器具と共に使用するのに提供される。補助材は、様々な構成を有することができ、様々な材料から形成されることができる。一般的に、補助材は、1つ以上のフィルム、発泡体、射出成形熱可塑性材料、真空熱成形材料、繊維性構造体、及びそれらのハイブリッドから形成され得る。また、補助材は、1つ以上の生物由来材料及び1つ以上の薬物も含み得る。これらの材料はそれぞれ、以下により詳細に検討される。
【0034】
補助材は、発泡体、例えば、独立気泡発泡体、連続気泡発泡体、又はスポンジから形成され得る。このような補助材を製造することができる例は、動物由来コラーゲン、例えば、ブタの腱からのものであり、ついで、これが処理され、発泡構造に凍結乾燥され得る。様々な発泡補助材の例は、先で言及された米国特許第8,393,514号(発明の名称「Selectively Orientable Implantable Fastener Cartridge」、2010年9月30日付けで出願)に更に記載されている。
【0035】
また、補助材は、以下で検討された任意の適切な材料又はその組み合わせから形成されたフィルムからも形成され得る。フィルムは、1つ以上の層を含むことができ、同層はそれぞれ、異なる分解速度を有することができる。更に、フィルムは、内部に形成された様々な領域、例えば、多くの異なる形態において、1種以上の薬剤を内部に放出可能に保持することができるリザーバを有することができる。内部に配置された少なくとも1種の薬剤を有するリザーバは、吸収性又は非吸収性ポリマーを含み得る、1つ以上の異なるコーティング層を使用して封止され得る。フィルムは、様々な方法で形成され得る。例えば、フィルムは、押出しフィルム又は圧縮成形フィルムであり得る。
【0036】
また、補助材は、射出成形熱可塑性材料又は真空熱成形材料からも形成され得る。様々な成形補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0221065号(発明の名称「Fastener Cartridge Comprising A Releasably Attached Tissue Thickness Compensator」、2013年2月8日付けで出願)に更に記載されている。同文献は、その全体が参照により組み込まれる。また、補助材は、ファイバベース格子であることもできる。同格子は、織布、編地、又は、メルトブロー、ニードルパンチ、若しくは熱構成ルーズ織布などの不織布であることができる。補助材は、多くの異なる方法で共に補助材を形成し得る、同じ種類の格子又は異なる種類の格子から形成され得る、複数の領域を有し得る。例えば、ファイバは、規則的又は不規則な構造を形成するために、織られ、編まれ(braided又はknitted)、又は他の方法で相互に結び付けられ得る。得られた補助材が比較的緩くなるように、ファイバは、相互に結び付けられ得る。あるいは、補助材は、密に相互に結び付けられたファイバを含み得る。補助材は、シート、チューブ、螺旋、又は、柔らかい部分及び/又はより硬い補強部分を含み得る任意の他の構造の形態であり得る。補助材は、特定の領域がより密なファイバを有することができ、一方で、他の領域がより密でないファイバを有するように構成され得る。ファイバ密度は、補助材の1つ以上の次元に沿って、補助材の意図した用途に基づいて、異なる方向で変わり得る。
【0037】
また、補助材は、積層複合材又はメルトロック相互結合ファイバなどのハイブリッド構造であることもできる。様々なハイブリッド構造補助材の例は、米国特許出願公開第2013/0146643号(発明の名称「Adhesive Film Laminate」、2013年2月8日付けで出願)及び米国特許第7,601,118号(発明の名称「Minimally Invasive Medical Implant And Insertion Device And Method For Using The Same」、2007年9月12日付けで出願)に更に記載されている。これらの文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0038】
材料
記載された技術に基づく補助材は、様々な材料から形成され得る。材料は、異なる目的での様々な実施形態に使用され得る。材料は、組織内方成長を促進するために、組織に提供されるべき所望の治療に従って選択され得る。以下に記載された材料は、任意の所望の組み合わせで、補助材を形成するのに使用され得る。
【0039】
材料は、ホモポリマー及びコポリマーを含めた、生体吸収性及び生体適合性ポリマーを含み得る。ホモポリマー及びコポリマーの非限定例は、p−ジオキサノン(PDO又はPDS)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、トリメチレンカーボネート(TMC)、及びポリ乳酸(PLA)、ポリ(グリコール酸−コ−乳酸)(PLA/PGA)(例えば、Vicryl、Vicryl Rapide、PolySorb、及びBiofixに使用されるPLA/PGA材料)、ポリウレタン(例えば、Elastane、Biospan、Tecoflex、Bionate、及びPellethaneファイバ)、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物(例えば、Gliadel及びBiodelポリマー)、ポリオキサエステル、ポリエステルアミド、及びチロシン系ポリエステルアミドを含む。また、コポリマーは、ポリ(乳酸−コ−ポリカプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(L−乳酸−コ−ポリカプロラクトン)(PLLA/PCL)、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)(PGA/TMC)(例えば、Maxon)、ポリ(グリコール酸−コ−カプロラクトン)(PCL/PGA)(例えば、Monocryl及びCapgly)、PDS/PGA/TMC(例えば、Biosyn)、PDS/PLA、PGA/PCL/TMC/PLA(例えば、Caprosyn)、及びLPLA/DLPLA(例えば、Optima)も含み得る。
【0040】
また、補助材は、活性剤、例えば、活性な細胞培養物(例えば、ダイス状の自家組織、幹細胞療法に使用される作用剤(例えば、Biosutures及びCellerix S.L.)、止血剤、及び組織治癒剤も含み得る。止血剤の非限定例は、セルロース、例えば、酸化再生セルロース(ORC)(例えば、Surgicel及びInterceed)、フィブリン/トロンビン(例えば、Thrombin−JMI、TachoSil、Tiseel、Floseal、Evicel、TachoComb、Vivostat、及びEverest)、自家血小板血漿、ゼラチン(例えば、Gelfilm及びGelfoam)、ヒアルロン酸、例えば、マイクロファイバ(例えば、ヤーン及び織物)若しくはヒアルロン酸に基づく他の構造物、又はヒアルロン酸ベースのヒドロゲルを含み得る。また、止血剤は、ポリマーシーラント、例えば、ウシ血清アルブミン及びグルタルアルデヒド、ヒト血清アルブミン及びポリエチレン架橋剤、並びに、エチレングリコール及びトリメチレンカーボネートなども含み得る。ポリマーシーラントは、Focal Incにより開発されたFocalSeal手術用シーラントを含み得る。
【0041】
本明細書で記載された補助材は、内部に、少なくとも1種の薬剤を放出可能に保持し得る。同薬剤は、多数の異なる薬剤から選択され得る。薬剤としては、所望の機能を有する、補助材内に含まれ、又は、同補助材に関連付けられた薬物又は他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。薬剤としては、例えば、抗菌剤、例えば、抗菌剤及び抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、麻酔剤、組織マトリックス変性阻害剤、抗ガン剤、止血剤、及び生物学的応答を引き起こす他の作用剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
抗菌剤の非限定例は、銀イオン、アミノ配糖体、ストレプトマイシン、ポリペプチド、バシトラシン、トリクロサン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、デメクロサイクリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、ニトロフラン、フラゾリドン、ニトロフラントイン、ベータ−ラクタム、ペニシリン、アモキシシリン、アモキシシリン+、クラブラン酸、アズロシリン、フルクロキサシリン、チカルシリン、ピペラシリン+、タゾバクタム、タゾシン、Biopiper TZ、ゾシン、カルバペネム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ドリペネム、ビアペネム、パニペネム/ベタミプロン、キノロン、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、スルホンアミド、マフェニド、スルファセトアミド、スルファジアジン、銀スルファジアジン、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、バクトリム、プロントシル、アンサマイシン、ゲルダナマイシン、ヘルビマイシン、フィダキソマイシン、グリコペプチド、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、ダルババシン、オリタバンシン、リンコサミド、クリンダマイシン、リンコマイシン、リポペプチド、ダプトマイシン、マクロライド、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、オキサゾリジノン、リネゾリド、アミノ配糖体、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロマイシン、パロモマイシン、セファロスポリン、セフトビプロール、セフトロザン、セフクリジン、フロモキセフ、モノバクタム、アズトレオナム、コリスチン、及びポリミキシンBを含む。
【0043】
抗真菌剤の非限定例は、トリクロサン、ポリエン、アムホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、アゾール、イミダゾール、トリアゾール、チアゾール、アリルアミン、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、エキノカンジン、アニデュラファンジン、カスポファンジン、ミカファンジン、シクロピロックス、及び安息香酸を含む。
【0044】
抗ウイルス剤の非限定例は、脱殻阻害剤、例えば、アマンタジン、リマンタジン、プレコナリルなど;逆転写阻害剤、例えば、アシクロビル、ラミブジン、アンチセンス、フォミビルセン、モルホリノ、リボザイム、リファンピシンなど;及び抗ウイルス薬、例えば、シアノビリン−N、グリフィスシン、シトビリン、α−ラウリル−L−アルギニンエチルエステル(LAE)、並びに銀イオンを含む。
【0045】
抗炎症剤の非限定例は、非ステロイド性抗炎症薬(例えば、サリチル酸塩、アスピリン、ジフルニサール、プロピオン酸誘導体、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、及びロキソプロフェン)、酢酸誘導体(例えば、トルメチン、スリンダク、及びジクロフェナク)、エノール酸誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、ドロキシカム、及びロルノキシカム)、アントラニル酸誘導体(例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、及びフルフェナム酸)、選択的COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ(セレブレックス)、パレコキシブ、ロフェコキシブ(Vioxx)、スルホンアニリド、ニメスリド、及びクロニキシン)、免疫選択的抗炎症誘導体、副腎皮質ホルモン(例えば、デキサメタゾン)、及びiNOS阻害剤を含む。
【0046】
成長因子の非限定例は、細胞の成長、治癒、再形成、増殖、及び分化を刺激する細胞シグナル伝達分子である因子を含む。例示的な成長因子は、短い範囲(パラクリン)、長い範囲(エンドクリン)、又は自己刺激(オートクリン)であり得る。成長因子の更なる例は、成長ホルモン(例えば、組換え成長因子、ニュートロピン、ヒューマトロープ、ゲノトロピン、ノルディトロピン、サイゼン、オムニトロープ、及び生合成成長因子)、表皮成長因子(EGF)(例えば、阻害剤、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、及びセツキシマブ)、へパリン結合EGF様成長因子(例えば、エピレグリン、ベタセルリン、アンフィレグリン、及びエピジェン)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGF−a)、ニューロレグリン1−4、線維芽細胞成長因子(FGF)(例えば、FGF−1−2、FGF2、FGF11−14、FGF18、FGF15/19、FGF21、FGF23、FGF7、又はケラチノサイト成長因子(KGF)、FGF10、又はKGF2、及びフェニトイン)、インスリン様成長因子(IGF)(例えば、IGF−1、IGF−2、及び血小板由来成長因子(PDGF))、血管内皮成長因子(VEGF)(例えば、阻害剤、ベバシズマブ、ラニビズマブ、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、及びベカプレルミン)を含む。
【0047】
成長因子の更なる非限定例は、サイトカイン、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(例えば、炎症応答を阻害する阻害剤並びに組換えDNA技術を使用して及び組換え酵母由来ソースにより製造されたGM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)(例えば、フィルグラスティム、レノグラスティム、及びニューポジェン)、組織成長因子ベータ(TGF−B)、レプチン、及びインターロイキン(IL)(例えば、IL−1a、IL−1b、カナキヌマブ、IL−2、アルデスロイキン、インテルキング、デニロイキン、ジフチトックス、IL−3、IL−6、IL−8、IL−10、IL−11、及びオプレルベキン)を含む。成長因子の非限定例は、エリスロポエチン(例えば、ダルベポエチン、エポセプト、ダイネポ、エポマックス、ネオレコルモン、シラポ、及びレタクリット)を更に含む。
【0048】
鎮痛薬の非限定例は、麻酔剤、オピオイド、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、トラマドール、非麻酔剤、パラセタモール、アセトアミノフェン、NSAID、及びフルピルチンを含む。
【0049】
麻酔剤の非限定例は、局所麻酔剤(例えば、リドカイン、ベンゾカイン、及びロピバカイン)及び全身麻酔剤を含む。
【0050】
メタロプロテイナーゼ(MMP)及び他のプロテアーゼの作用を阻害する組織マトリックス分解阻害剤の非限定例は、MMP阻害剤(例えば、外来性MMP阻害剤、ヒドロキシメート系MMP阻害剤、バチマスタット(BB−94)、イロマスタット(GM6001)、マリマスタット(BB2516)、チオール、ペリオスタット(ドキシサイクリン)、スクアリン酸、BB−1101、ヒドロキシ尿素、ヒドラジン、内在性、カルバモイルリン酸塩、ベータラクタム、及びMMPの組織阻害剤(TIMP))を含む。
【0051】
抗ガン剤の非限定例は、モノクローナル抗体、ベバシズマブ(アバスチン)、細胞/化学遊走剤、アルキル化剤(例えば、二重機能性(bifunctional)、シクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、単機能性(monofunctional)、ニトロソ尿素及びテモゾロミド)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、及びバルルビシン)、細胞骨格分解剤(例えば、パクリタキセル及びドセタキセル)、微小管機能を阻害することにより細胞分裂を制限するエポチロン剤、細胞分裂又は特定の細胞機能に必要とされる様々な酵素をブロックする阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(例えば、ボリノスッタト及びロミデプシン)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン及びトポテカン)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テニポシド、及びタフルポシド)、キナーゼ阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ、及びビスモデジブ)、ヌクレオチド類似体(例えば、アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、5−FU、アドルシル、カラック、エフジックス、エフデックス、フルオロプレックス、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、及びチオグアニン)、DNAを開裂させ、DNAの巻戻し/巻取りを中断させるペプチド抗生物質(例えば、ブレオマイシン及びアクチノマイシン)、DNAに架橋し、DNAの修復及び/又は合成を阻害するプラチナ系抗新生物剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、及びエロキサチン)、レチノイド(例えば、トレチノイン、アルトレチノイン、及びベクサロテン)、有糸分裂及び微小管形成を阻害するビンカアルカロイド剤(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、抗イレウス剤、運動促進剤、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス)、血液アスペクト改変剤(例えば、血管拡張剤、バイアグラ及びニフェジピン)、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−CoA(HMG CoA)還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン)、及び抗血管新生剤を含む。
【0052】
また、例示的な薬剤は、創傷治癒に受動的に寄与する作用剤、例えば、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランなども含む。また、例示的な薬剤は、抗接着剤も含む。その非限定例は、ヒアルロン酸/カルボキシメチルセルロース(seprafilm)、酸化再生セルロース(Interceed)、及びイコデキストリン4%(Extraneal、Adept)も含む。
【0053】
薬物放出
記載された技術に基づく補助材は、例えば、組織内方成長に対して、所望の様式で所望の効果を提供するために、多くの異なる方法で、少なくとも1種の薬剤と関連付けられ得る。少なくとも1種の薬剤は、施療部位において、所望の治癒プロセスをトリガするために、複数の空間的及び時間的パターンにおいて、補助材から放出されるように構成され得る。薬剤は、補助材内に配置され、補助材に結合し、補助材内に組み込まれ、補助材内に分散され、又は補助材と他の方法で関連付けられ得る。例えば、補助材は、内部に、1種以上の異なる薬剤を放出可能に保持している、1つ以上の領域を有し得る。この領域は、様々なサイズ及び形状の、様々な方法で内部に薬剤を保持する、別個のリザーバであるか、又は、補助材内の他の別個の、若しくは連続した領域であることができる。いくつかの態様では、補助材の特定の構成により、1種の薬剤又は2種以上の異なる薬剤を、内部に放出可能に保持することができる。
【0054】
薬剤が補助材内に配置される方法に関わらず、有効量の少なくとも1種の薬剤が、容器、例えば、マイクロカプセル、マイクロビーズ、又は任意の他の容器の形態にあることができるペレット内に封入され得る。この容器は、生体吸収性ポリマーから形成され得る。
【0055】
補助材からの少なくとも1種の薬剤の標的化運搬及び放出は、様々な要因に応じた多くの方法において達成され得る。一般的に、少なくとも1種の薬剤は、薬剤が補助材料の組織への運搬後実質的に直ちに放出されるように、ボーラス投与量として、補助材料から放出され得る。あるいは、少なくとも1種の薬剤は、特定に期間にわたって、補助材料から放出され得る。同期間は、数分、数時間、数日以上であり得る。タイミングを合わせた放出(timed release)の速度及び放出される薬剤量は、様々な要因、例えば、薬剤が放出される領域の分解速度、補助材内に薬剤を保持するのに使用される1つ以上のコーティング又は他の構造の分解速度、施療部位の環境条件、及び様々な他の要因により決まり得る。いくつかの態様では、補助材が内部に配置された2つ以上の薬剤を有する場合、第1の薬剤のボーラス投与量放出は、第1の薬剤が放出された後に放出し始めるように、第2の薬剤の放出を調節し得る。補助材は、複数の薬剤を含み得る。同薬剤はそれぞれ、1種以上の他の薬剤の放出に、任意の適切な方法で影響を及ぼし得る。
【0056】
ボーラス投与量として又はタイミングを合わせた放出としての少なくとも1種の薬剤の放出は、補助材料の組織への運搬後実質的に直ちに生じ若しくは開始してもよいし、又は、所定のタイミングまで遅延されてもよい。遅延は、補助材又は1つ以上のその領域の構造及び性質により決まり得る。
【0057】
補助材料は、補助材内に保持された有効量の1種以上の薬剤の分配を促進する構造を有し、所望の効果をもたらすように構成され得る。例えば、薬剤の標的化運搬は、薬剤の特定の空間的分布をその運搬に基づいて可能にするパターンで形成された補助材内の領域(例えば、リザーバ、例えば、孔又は他の構造)に、薬剤を組み込むことにより達成され得る。リザーバ内に配置された薬剤は、別個の容器内に組み込まれ得る。リザーバは、2種類以上の異なる薬剤を含み得る。1種以上の薬剤は、均質な様式又は異質な空間的及び/若しくは時間的様式において、補助材から溶出され、所望の治療を提供し得る。補助材の構造及び薬剤がそれから放出される様式は、組織再成長に影響を及ぼし、又は、制御するのに使用され得る。更に、組織再成長は、施療部位の特定の位置において亢進させ、施療部位の他の位置では抑制することができる。
【0058】
図6〜
図8に、生体適合性補助材100が、異なる位置に配置されかつ異なる吸収性コーティングを使用する孔内に封入された異なる薬剤を担持する複数の孔を有することを図示する。コーティングは、薬剤が異なるタイミングでかつ異なる方向に放出するのも可能にするために、補助材100の施療部位への運搬及びステープル配備後、異なるタイミングで吸収し、溶解し、又は他の方法で分解し得る。このため、薬剤は、補助材100から、非均質な様式で放出され得る。例えば、薬剤のうちの1つが、運搬及び/又はステープル配備後直ちに放出されることができ、一方で、1種以上の他の薬剤が、より遅いタイミングで、例えば、処置の放出プロファイルにわたって放出されることができる。これらの続けて放出される薬剤の放出は、第1の薬剤の放出により、又は、同放出に応じて制御され得る。補助材100の両側は、特定の薬剤が補助材の一方の側において放出され、一方で、他の薬剤が補助材の他方の側において放出されるように、異なる吸収速度を有するコーティングにより覆われ(又は、材料から形成され)得る。これにより、組織に治療を提供するためのより制御され、標的化された方法が提供される。
【0059】
この例では、補助材100は、複数の多孔性領域を有する層の形態にあり、そのうちの2つは、例として、孔101、103で示される。
図6に示したように、多孔性領域101、103はそれぞれ、第1及び第2の薬剤102、104を担持する。同薬剤は、異なる薬剤であり得る。補助材100は、薬剤102、104を担持し得る複数の多孔性領域を、交互の様式又は任意の他のパターンで有すると理解されたい。
【0060】
図6に示したように、補助材100の第1の側100aは、コーティングA、Cを有する。これにより、コーティングAは、第1の薬剤102を有する多孔性領域101を封止し、コーティングCは、第2の薬剤104を有する多孔性領域103を封止する。補助材100の第2の対向側100bは、コーティングBにより覆われている。図示した例では、薬剤の放出に影響を及ぼす障壁を形成するコーティングA、B、Cは、コーティングAがステープル配備後にまず吸収し、コーティングAが少なくとも部分的に吸収された後に、コーティングBが吸収し、コーティングCは吸収性ではないように選択され得る。
【0061】
図7に示したように、運搬及び/又はステープル配備後に、第1の薬剤102が、補助材100の第1の側100aにおける多孔性領域101から放出されるのを可能にするために、まず、コーティングAが吸収される。例えば、第1の側100aが組織に接触する表面である場合、第1の薬剤102は、施療部位における治癒を促進する薬剤であり得る。続けて、特定の期間後、
図8に示したように、第2の薬剤104が、補助材100の第2の側100bにおける多孔性領域103から放出されるのを可能にするために、コーティングBが吸収され得る。例えば、第2の側100bが組織に接触しない表面である場合、第2の薬剤104は、接着を防止する薬剤であり得る。
図8にも示したように、コーティングCは、第1の側100aにおいて多孔性領域103を封止することにより、第2の薬剤104が、補助材100の第1の側100aにおいて放出されるのを防止する。この例では、コーティングCは吸収性ではないが、代替的に、コーティングCは、コーティングBが吸収され、第2の薬剤104が第2の側100bから放出され得た後に吸収性であり得る。多孔性領域が曝され、薬剤が放出されるのを可能にするために、コーティングは、その全体又は少なくとも部分的に吸収され得ると理解されたい。コーティングの吸収速度は、薬剤の放出速度を制御し得る。
【0062】
当業者であれば、3種以上の異なる薬剤が、補助材内の異なる多孔性領域又は他の構造内に放出可能に組み込まれ得ることを理解するであろう。薬剤は、薬剤の放出の速度及び方向を制御するのに選択され得る、様々なコーティングを使用して、補助材内に保持され得る。
【0063】
補助材は、1種以上の薬剤が内部に封入されている複数の容器、例えば、マイクロビーズ又は他の容器を放出可能に保持している領域(例えば、孔又は他のリザーバ)を含み得る。
図9〜
図11に、補助材からの容器の分散を調節する各領域により放出可能に保持された複数の容器に封入された少なくとも1種の薬剤を含む補助材108を図示する。容器は、マイクロカプセル、マイクロビーズ、又は、適切なサイズ及び形状の任意の他の種類の容器であり得る。各容器は、吸収性の外層を有し得、この外層は、容器が補助材から放出された後に、分解されて、その容器内に保持された薬剤を放出することができる。補助材は、少なくとも放出時間及び放出位置に関して非均質な様式で、薬剤を運搬するのに使用され得る。
【0064】
図9に示したように、補助材108は、複数のリザーバ又は領域を有し、そのうちの5つは、領域109a、111a、113a、109b、111bとして示され、それぞれが容器110、112、114、110、112を担持する。このため、
図9に模式的に示したように、領域109a、109bは、同じ第1の種類の容器110を担持し、領域111a、111bは、同じ第2の種類の容器112を担持し、領域113aは、第3の種類の容器114を担持している。
【0065】
図9に示したように、補助材108の第1の側108a上において、コーティングB1の層は、領域111a、113a、及び領域111bを封止している。コーティングA1の層は、第1の側108aの全体上に配置され、コーティングB1の層を覆っている。補助材108の第2の対向側108b上において、コーティングB1の層が、領域109aを封止し、コーティングB1の別の層が、領域109bを封止している。コーティングC1の層は、第2の側108b上で領域113aを封止している。第1の側108aと同様に、第2の側108b全体が、コーティングA1により覆われている。
【0066】
この例では、コーティングA1が、補助材の組織への運搬後に、まず吸収し始め、コーティングA1が少なくとも部分的に吸収された後に、コーティングB1が吸収し、コーティングC1が吸収性ではないように、コーティングA1、B1、C1は、異なる分解速度又は吸収速度を有する。コーティングA1は、補助材の組織への運搬の実質的に直後又はいくらか遅れたタイミングで吸収するように選択され得る。コーティングA1は、コーティングB1の前に吸収され得る。コーティングA1が、補助材の表面に配置されているため、施療側において、水及び/又は他の作用剤に、よりアクセス可能であるためである。コーティングA1の他の性質は、付加的又は代替的に、その吸収速度に寄与し得る。
【0067】
使用されるコーティングの異なる吸収特性のために、
図10に示したように、第1の薬剤110を第1の側108aにおいて領域109a、109bから放出し、第2の薬剤112を第2の側108bにおいて領域111a、111bから放出するために、コーティングA1が吸収する。また、
図10にも示したように、コーティングB1の層は、補助材108に関連付けられたままである。
図11に示したように、第1の薬剤110が第1の側108aにおいて放出され、第2の薬剤112が、第2の側108bにおいて放出された後に、第3の薬剤114を第1の側108aにおける領域113aから放出するために、コーティングB1が吸収する。この方法において、異なる薬剤が、適切な時間で、治療されている組織の望まれる位置に運搬され得る。補助材は、様々な薬剤を放出可能に保持している任意の適切なパターンの領域を有し、所望の治癒プロセス/プロファイルを生じさせ得ると理解されたい。
【0068】
いくつかの態様では、様々なコーティングを使用するのに代えて、又は、同使用に加えて、補助材は、異なる吸収特性を有する領域を有するファイバ格子の形態にあり得る。例えば、これらの領域はそれぞれ、異なる吸収速度を有するファイバ格子の形態にあり得る。ファイバ格子に関連付けられた薬剤は、ファイバ格子が分解するのと共に放出され得る。補助材を形成している吸収性ポリマーの異質な分解のために、補助材は、それに関連付けられた1種以上の薬剤が様々な空間的及び時間的パターンで放出することができるように構成され得る。薬剤は、(例えば、ゴブストッパーのような)溶解性コーティングを有するペレット内に組み込むことができるため、コーティングが分解するのと共に、薬剤は、ボーラス投与量又は徐放(time release)用量として分配され得る。
【0069】
図12〜
図14では、補助材116は、異なる分解速度を有する吸収性ポリマーから形成された第1(上部)及び第2(底部)の層118、120を有することを図示する。例えば、第1の層118は、補助材116が組織に運搬された後の第1の期間中に吸収する低分子量の吸収性ポリマーであることができ、第2の層120は、第1の期間が完了した後の第2の期間中に吸収する高分子量の吸収性ポリマーであることができる。第1及び第2の層118、120は、異なる分解性を有する層又は他の構造を形成するために処理された、異なるポリマー又は同じ種類のポリマーから形成され得る。
【0070】
図12〜
図14の例では、第1の層118は、内部に存在する第1の薬剤119を有し、第2の層120は、内部に存在する第2の薬剤121を有する。ただし、第1及び第2の層118、120はそれぞれ、2種以上の異なる薬剤を含み得ることを理解されたい。薬剤は、第1及び第2の層118、120に、多くの適切な方法で関連付けられて保持され得る。
図13に示したように、第1の薬剤119が、第1の層118の吸収により、まず放出されることができる。
図13では、第1の薬剤119を収容しているペレットが放出されるように、第1の層118が、部分的に分解されているように示されている。示したように、第1の層118は、表面からより遠くに移された第1の層118の部分よりも、水及び他の作用剤によりアクセスしやすい表面から、吸収し始める。第1の層118が全体又は部分的に吸収された後に、
図14に示したように、第2の薬剤121を保持しているペレットを放出するために、第2の層120が、その表面から分解し始め得る。
図14では、第2の層120が、部分的に分解して示され、第2の薬剤121を収容しているペレットが、補助材116から放出されている。
【0071】
いくつかの態様では、1種以上の薬剤を放出可能に保持している補助材は、その薬剤を放出するために、補助材の1つ以上の領域が温度、pH、光、又は他の環境要因の作用により分解するように、構成され得る。あるいは、補助材は、1つ以上のその部分に加えられたひずみ下で破壊され得る。
図15〜
図17に、薬剤124を保持している本体123、本体123上に配置された多孔性層125、及び多孔性層125上に配置された吸収性外側フィルム層126を有する補助材122を図示する。薬剤124は、1種以上の薬剤を放出可能に担持しているペレット(例えば、固体のマイクロカプセル若しくはマイクロビーズ又は他の容器)の形態にあり得る。
【0072】
図示した例では、その元の構成において、補助材122は、
図15に示したように、第1の幅X1を有する。このような構成では、外側フィルム層126は、多孔性層125を引き止め、多孔性層125中の孔は、薬剤124が補助材122を出ていくことができないサイズを有する。ただし、補助材122が組織に運搬されることにより、外側フィルム層126がpH、温度、様々な作用剤、及び/又は施療部位における他の環境条件に曝されると、
図16での外側フィルム層126における引き裂き又は開口127により示したように、吸収性の外側フィルム層126が分解し始め得る。加えて又は代えて、外側フィルム層126は、ステープルの配備によるひずみ又は補助材122上での他の機械的ひずみにより破壊され得る。
【0073】
外側フィルム層126の分解又は破壊をもたらす特定の要因に関わらず、元の幅X1からより広い幅X2に、その幅が広がるように、補助材122は、膨潤し、又は、その構造を他の方法で変化させ得る。
図15にも示したように、多孔性層125の孔サイズが大きくなり、孔の内容物である薬剤124を担持しているペレットが、広がった孔を通過することができるために、補助材122から放出されることができる。
【0074】
補助材本体123が膨らみ、薬剤124を有するペレットが放出される間の期間は、外側フィルム126の吸収速度、補助材本体123の性質、補助材122が運搬された環境の特性、及び他の要因に基づいて変動し得る。
図17に示したように、特定の期間後、薬剤124の全体又は実質的に全体が本体123から放出され、適切な治療を提供し、又は、所望の効果を達成するように、外側フィルム層126が分解することができ、補助材122は、幅X3を有するように更に膨らむことができる。補助材122は、容器の分散を調節する、少なくとも1つの吸収性ポリマー(例えば、ゼラチン、セルロースなど)から形成され得る。このため、補助材122は、施療部位における時間的封止を形成し、ついで、溶解され、その後組織により置き換えられる空間充填材として機能し得る。
【0075】
図18及び
図19に、異なる薬剤を放出可能に保持し、非均質な様式で薬剤を放出するように構成されている補助材128の別の例を図示する。補助材128は、補助材128上の温度、pH、様々な作用剤、及び/又は他の環境要因の影響により、薬剤を放出するように構成され得る。補助材128は、環境要因に応じて、1つ以上のその部分の構造を変化させ得る。
図18に示したように、補助材128は、複数の領域又はリザーバを有し得る。その内の2つ、第1及び第2の薬剤131、133をそれぞれ担持している第1及び第2のリザーバ130、132が示される。リザーバ130、132は、管、空洞、孔、又は任意の他の構造の態様にあり得る。第1のリザーバ130は、補助材128の第1の側128aにおいて、第1のコーティングA2により封止されており、補助材128の第2の側128bにおいて、第2のコーティングB2により封止されている。第2のリザーバ131は、第1の側128aにおいて、第2のコーティングB2により封止されており、第2の側128において、第1のコーティングA2により封止されている。この例では、第1及び第2のコーティングA2、B2は、第1のコーティングA2並びにその性質及び/又は構成が、温度、pH、活性剤、及び/又は他の要因の影響により変化されることにより、それが封止しているリザーバが開き得るように選択される。例えば、第1のコーティングA2が、膨潤し、軟化し、又は他の方法で変化し得る。
【0076】
したがって、
図19に示したように、補助材128の施療部位への運搬後に、第1のコーティングA2は、第1のコーティングA2が補助材128の第1の側128aにおいてリザーバ130をもはや封止せず、補助材128の第2の側128bにおいてリザーバ132をもはや封止しないように、その構成を変化し得る。結果として、
図19にも示したように、第1及び第2の薬剤131、133は、補助材の第1及び第2の側128a、128bそれぞれにおいて放出される。第2のコーティングB2は、少なくとも薬剤全体が所望の組織位置に放出されるまでそのままである。これにより、薬剤の放出を防止する。
【0077】
いくつかの態様では、補助材は、薬剤を保持している1つ以上の粘性流体構成要素(例えば、容器)に関連付けられたファイバ又は他の構造的構成要素の形態にあり得る。粘性構成要素は、乾燥状態(例えば、凍結乾燥粉末状態)にあり得る。それは、補助材の配備により再水和し得る。粘性構成要素が再水和すると、同構成要素が開くことにより、薬剤を放出し得る。加えて又は代えて、薬剤を保持している容器は、ひずみ、例えば、ステープル又は他の手段によりそれに課された機械的破壊などにより破壊され得る。
【0078】
図20及び
図21に、補助材140を複数のファイバの形態で図示し、複数のファイバのうちの3つが、ファイバ142、144、146として例として表示されている。示したように、ファイバ142、144、146それぞれは、薬剤を保持する容器143、145、147のそれぞれ1つと関連付けられている。容器143、145、147は、同一の又は異なる薬剤を保持することができる。図示した例では、容器143、145、147は、異なるサイズを有する不規則形状の円形ビーズの形態であるが、これらの容器は、任意の他の様式の形状であることができ、様々なサイズを有することができる。容器は、粉末としてファイバに適用することができるか、又は、容器は、ファイバストランドに結合させるか、つなぎ止めるか、若しくは、ファイバストランドと他の方法で関連付けることができる。容器は、ファイバと関連付けられたままであることができ、又は、容器は、ファイバから放出されることにより、補助材を使用する所望の処置を提供することができる。
【0079】
図21に示したように、ひずみが補助材140に加えられると(同ひずみは、矢印141により模式的に示される)、ファイバは変形することができ、容器は破壊され、内部に組み込まれた薬剤を放出することができる。ひずみの大きさは、薬剤の放出速度を制御し得る。例えば、
図21に示したように、容器143が破壊され、薬剤148が放出される。いくつかの態様では、容器は、そのサイズ及び/又は他の性質に応じて、異なるタイミングで破壊され得る。この例では、容器143は、
図21に示したように、最初に破壊されて、内部に保持されていた薬剤148を放出することができる。その後、より小さい容器145及びついで更に小さい容器147が破壊されることにより、各薬剤を異なるタイミングで放出することができる(図示せず)。ただし、加えられた圧力及び他の要因に応じて、1つ以上の容器が同時に破壊され得る。更に、上記されたように容器143、145、147は、各薬剤を異なるタイミングで放出するために、異なるタイミングで吸収し得る。
【0080】
いくつかの態様では、補助材は、そのファイバの様々な表面テクスチャを有することができ、1種以上の薬剤を、様々な方法で放出して、組織の再成長に影響を及ぼし、又は、制御することができる。ステープルがステープルの配備により変形されると、薬剤が放出するように、補助材は、補助材を担持するステープルにより運搬され得る。例えば、
図22に、補助材150を運搬するのに使用される手術用装置のステープル151上に配置された内層154を封入している外層又はコーティング152を有する補助材150を図示する。ただし、いくつかの態様では、ステープル上に配置されるのではなく、補助材150は、管又は他の形状に折りたたまれ得るファイバ格子上に配置され得る。
【0081】
第1の薬剤は、外側コーティング152と内層154との間に保持されることができ、第2の薬剤は、内層154内に組み込まれることができる。内層154は、ファイバ156上に巻かれた可撓性メッシュの形態にあり得る。
図23における矢印153により模式的に示されたように、ひずみが補助材150に加えられると(例えば、ステープル151が変形されると)、外側コーティング152も変形し、壊れ得る。外側コーティング152の破壊により、外側コーティング152と内層154との間に保持されていた第1の薬剤が、ボーラス投与量として、第1の薬剤を放出し得る(155)。内層154内に組み込まれた第2の薬剤は、第1の薬剤が放出された後、又は、第1の薬剤が放出されている時間中に、タイミングを合わせた放出として、その放出を開始し得る。第2の薬剤の組織への放出は、第1の薬剤の放出により調節され得る。第2の薬剤は、ボーラス投与量で交互に放出され得る。補助材150は、ボーラス投与量として放出し得る、内層154内に配置された1つ薬剤を含み得ると理解されたい。
【0082】
上記されたように、補助材内に配置され、又は、同補助材と関連付けられた有効量の少なくとも1種の薬剤は、補助材により担持された別個の容器内に保持され得る。容器は、補助材の1つ以上の領域内に配置されることができ、又は、補助材と他の方法で関連付けられることができる。
図24及び
図25に、少なくとも1種の薬剤160を内部に封入している外側コーティング159を有するペレット又はカプセルの形態にある容器158の例を図示する。この例では、容器158は、球形を有し、ゴブストッパーに似ている。ただし、容器は、任意の他の形状を有し得ると理解されたい。更に、いくつかの例示的な実施では、外側コーティング159は、内部に組み込まれた少なくとも1種の薬剤を有する、少なくとも1つの生体吸収性ポリマーを含む内部領域を封入し得る。容器158は、異なる分解速度を有し、1種以上の薬剤を内部に放出可能に保持している複数の層を含み得る。層はそれぞれ、異なる薬剤を保持することができ、又は、2つ若しくはそれ以上の層は、同じ薬剤を担持することができる。
【0083】
図25における矢印161により模式的に示したように、ひずみが容器158に加えられると、外側コーティング159が、少なくとも1種の薬剤160の形態にあるその内容物が放出されるように、破壊され又は裂け得る。加えて又は代えて、外側コーティング159は、容器158の1つ以上の環境条件への曝露の際に、少なくとも1種の薬剤160が、容器158から放出されるように、吸収し、溶解し、又は他の方法で分解し得る。
【0084】
図26及び
図27に、例えば、補助材が施療部位において供される水又は他の作用剤の作用により変化可能な特定の構造を有するファイバ格子の形態にある補助材162の例を図示する。
図26に示したように、密に巻かれた螺旋形状を有する補助材162は、薬剤164を担持している1つ以上の容器を、内部に保持し得る。薬剤164は、補助材のファイバにより密に保持されることにより、補助材162に関連付けられて保持され得る。例えば、薬剤は、多層化薬剤/吸収性ポリマー構造を含み得る。同構造では、最外側の層が、補助材のファイバに結合し得る吸収性ポリマーを含む。例えば、当業者により理解されるように、ある吸収性ポリマーが別の吸収性ポリマーに結合している。
【0085】
補助材162が施療部位に運搬されると、
図27に示したように、その巻かれたファイバは膨潤し、長さが長くなり、又は、伸張し得る。これにより、ファイバ間の距離が長くなり、補助材162が「ほどけ」、補助材162内に「捕捉されていた」薬剤164を放出する。
図26及び
図27の例におけるように、補助材162のファイバは、補助材162全体が異なる構造をとるようにほどけ得る。ただし、いくつかの態様では、補助材のファイバは、補助材の端部又は他の表面から、ほどけるか、又はほつれ始め得る。
【0086】
図28及び
図29に、内部に放出可能に保持された薬剤168を有する補助材166の別の例を図示する。この例では、補助材166は、シート様ファイバ織物メッシュの形態にある。
図28に示したように、その元の構成において補助材166の密なファイバは、薬剤168が内部に保持されるのを可能にする。補助材166が施療部位に運搬されると、
図28において滴167a、167bとして模式的に示された水及び/又は他の作用剤は、ファイバを膨潤させ、伸張させ得る。これにより、
図29に示したように、ファイバ間の距離が長くなる。この方法において、
図29にも示したように、薬剤168が放出される。当業者であれば、補助材166が、異なる種類のファイバから形成され得ることを理解するであろう。ファイバは、異なる吸収速度、密度、方向、パターン、サイズ、及び所望の組織再成長を提供するように選択される他の性質を有し得る。補助材の一部の領域は、少なくとも1種の薬剤を組織再成長を亢進させるために放出するように構成され得る一方で、補助材の1つ以上の領域は、少なくとも1種の薬剤を、組織再成長を抑制するために放出するように構成され得る。
【0087】
少なくとも1種の薬剤が薬剤を封入する生体吸収性ポリマーコーティングから形成された容器内に配置される態様では、薬剤は、様々な要因に基づいて特定のタイミングで、容器から放出されるように構成され得る。この要因は、例えば、生体吸収性ポリマーの分解速度、容器の体積、容器の表面積、容器を取り囲む生理学的環境における環境条件、及び生体吸収性ポリマーのこのような条件に対する応答性、生体吸収性ポリマーの層数、薬剤濃度、並びに薬剤と生体吸収性ポリマーとの間の関連付けの種類を含み得る。
【0088】
図30に、模式的に示された補助材171と関連付けられ得る第1及び第2の容器170、172の例を図示する。この例では、第1及び第2の容器170、172は、球状ビーズの形態にある。ただし、補助材171が異なる種類の薬剤を担持している1つ以上の異なる種類の容器を含み得るように、他の種類の容器が、付加的又は代替的に使用され得る。第1及び第2の容器170、172は、異なる分解速度を有する吸収性ポリマーの外側コーティングA3、B3を有する。このため、これらのコーティングは、コーティングA3、B3内に封入された第1及び第2の薬剤D1、D2の放出を、異なる様式で制御する。外側コーティングA3の分解速度は、外側コーティングB3の分解速度より高いことができる。このため、第1の薬剤D1は、第1の容器170から放出され、その後に、第2の薬剤D2が、第2の容器172から放出される。例えば、第1の薬剤D1は、補助材171が施療部位に運搬された後1〜2日以内に放出される催炎剤であり得る。第2の薬剤D2は、補助材171の運搬後3〜5日以内に放出される抗炎症剤であり得る。この方法では、第1及び第2の容器170、172からの薬剤D1、D2の放出は、組織内方成長に対する所望の効果を提供し得る。
【0089】
内部に封入された少なくとも1種の薬剤を有する容器は、多くの異なる方法で容器と関連付けられた複数の薬剤を有し得る。
図31に、それぞれ少なくとも1種の薬剤を担持している、複数の同心層を有する球の形態にある容器174の例を図示する。この例では、
図31に示したように、容器174は、外側から内側に向かって、第1、第2、第3、及び第4の薬剤F1、F2、F3、F4をそれぞれ有する、4つの別個の層E1、E2、E3、E4を有する。層E1、E2、E3、E4はそれぞれ、異なる分解速度、厚み、密度、環境条件に対する応答性、及び内部に配置された薬剤の放出を制御する他の性質を有し得る。例えば、最外の第1の層E1は、薬剤が最初に放出されるように、最初に分解するように構成されていることができ、他の層E2、E3、E4は、内側層が分解する前に外側層が分解するように、分解するように構成されていることができる。
【0090】
各層が分解すると、内部に組み込まれていた各薬剤が放出される。少なくとも1つの外側層の一部のみが分解された後に、少なくとも1つの内側層が分解を開始し得るように、層が選択され得ると理解されたい。多層容器174内に配置された薬剤F1、F2、F3、F4は異なることができ、又は、少なくとも一部の薬剤は同じであることができる。薬剤は、ボーラス投与量として、又は、他の様式で放出され得る。例えば、第1の層E1内に配置された第1の薬剤F1は、容器174を保持している補助材の組織への運搬後実質的に直ちに、ボーラス投与量として放出され得る。第2の層E2内に配置された第2の薬剤F2の放出は、第1の薬剤F1の放出により調節され得る。
【0091】
補助材中の薬剤の空間的分布は、薬剤の種類及び組織内方成長に対する所望の効果に応じて変更することができる。薬剤の標的化運搬は、多くの方法で達成され得る。例えば、様々な薬剤が異なるタイミングで組織に運搬され、所望の治癒を促進し得るように、補助材は、1種以上の薬剤を異質な様式で放出するように構成され得る。補助材の異なる部分は、異なる材料又は異なる吸収速度を有するように処理された同じ材料から形成され得る。
【0092】
図32に、異なる分解速度を有し、かつ、異なる薬剤を組み込んだ異質な部分又は層を含む、積層体の形態にある補助材176を図示する。示したように、補助材176は、異なる分解速度を有する、上部層又は部分178及び底部層又は部分180を有する。更に、上部及び底部部分178、180はそれぞれ、個別的な又は連続的な様式で変化する分解速度を有する様々な部分を有し得る。分解速度は、補助材にわたって、補助材により提供される所望の処置効果に応じた多くの適切な様式で変動し得る。
【0093】
図32の例では、補助材176の上部部分178は、異なる分解速度を有する2つの部分178a、178bを有する。底部部分180は、異なる分解速度を有する2つの部分180a、180bを有する。これらの部分はそれぞれ、異なる薬剤を含み得る。これにより、部分が分解すると、各薬剤が溶出され又は放出される。部分178a、178b、180a、180bのうちの1つ以上における、分解速度、及び薬剤の分布は、補助材176が
図32のグラフ177に示した溶出プロファイルを提供し得るように、個別的な又は連続的な様式で更に変動し得る。示したように、補助材176のその中心点179を中心とした中央領域182は、中心点179でピークに達する1種以上の薬剤の増大した溶出速度を有する。一方、より少量の薬剤が、補助材176の長さLに沿って補助材176の両側方から放出される。増大した溶出速度は、中央領域182における補助材176の性質及び薬剤の濃度によるものであり得る。
【0094】
図32に更に示したように、補助材176は、異なる溶出プロファイルで、その長さL及びその幅Wに沿って、薬剤を放出するように構成されている。例えば、薬剤は、幅Wに沿ってボーラス投与量として、及び、長さに沿って徐放投与量として放出され得る。1種以上の薬剤の放出は、少なくとも1種の他の薬剤の放出を調節し得る。ただし、薬剤は、任意の他の様式で、運搬される所望の処置に応じて放出され得る。
【0095】
図33に、上部及び底部の層又は部分186、188を有する補助材184の別の例を図示する。
図32における補助材176と同様に、補助材184の上部及び底部の部分186、188はそれぞれ、内部に配置された異なる薬剤を有し得る。このため、
図33に示したように、上部部分186は、第1及び第2の薬剤G1及びG2を、その各部分に有し得る。底部部分188は、
図34にも示したように、第3及び第4の薬剤G3及びG4を、第3の薬剤G3が第4の薬剤G4を担持している部分上に配置された部分にあるように配置された、その各部分に有し得る。
【0096】
図35に、補助材176(
図32)又は補助材184(
図33)に類似し得る、補助材185の一部の例を図示する。
図35に示したように、補助材185は、内部に配置された異なる薬剤G5、G6を有する並列部分185a、185bを有し得る。
図36に、内部に配置された異なる薬剤G7、G8を有する内側部分187a及び外側部分187bを有する補助材187の一部の別の例を図示する。
【0097】
いくつかの態様では、少なくとも1種の生体吸収性ポリマーから形成された1つ以上の別個の部分を有する補助材からの少なくとも1種の薬剤の溶出速度は、補助材内でのそれらの部分の位置、少なくとも1種の生体吸収性ポリマーの分解速度、少なくとも1種の生体吸収性ポリマーの環境条件に対する応答性、及び補助材の全体構成により決まり得る。
【0098】
図37に、異なる種類の吸収性ポリマーから形成されることができ、異なる厚み及び他の性質を有することができる、外側及び内側同心層191、192を有する円筒の形態にある補助材190の例を図示する。外側及び内側層191、192は、内部に配置され、各層191、192から異なるタイミング及び異なる速度で放出され得る、異なる薬剤B4、A4を有し得る。この例では、内側層192により画定されている最内の空洞193は、空であり得る。薬剤A4は、薬剤B4が放出される前に、放出し始めるように構成され得る。いくつかの態様では、外側及び内側層191、192は、ファイバ上に配置され得ると理解されたい。
【0099】
図38は、異なる種類の吸収性ポリマーから形成された複数の放射状部分を有する管状補助材194の例を図示する。示したように、補助材194は、その周りに同心円状に配置された放射状部分を有する内側空洞194aを有する。図示した例では、この部分は、第1及び第2のポリマーそれぞれから形成された
図38における部分195、196により示したように、第1及び第2の種類のポリマーから、交互の様式で形成され得る。第1のポリマーから形成された部分195は、内部に配置された薬剤A5を有し、第2のポリマーから形成された部分197は、内部に配置された薬剤B5を有し、第1及び第2のポリマーから形成された他の部分は、
図38に示したように、同じ交互の様式で、内部に配置された薬剤A5、B5を有する。先の例と同様に、薬剤A5、B5は、各層から異なるタイミング及び異なる速度で放出され得る。例えば、薬剤A5は、薬剤B5が放出される前に、放出し始めるように構成され得る。
【0100】
図39に、補助材190(
図37)に類似する管状補助材197の例を図示する。
図39に示したように、補助材197は、異なる種類の吸収性ポリマーから形成されることができ、異なる厚み及び他の性質を有することができる、外側及び内側同心層198、199を有する。外側及び内側層198、199は、内部に配置され、各層198、199から異なるタイミング及び異なる速度で放出され得る、異なる薬剤B6、A6を有し得る。例えば、
図39中のグラフ197aに示したように、薬剤A6は、薬剤B6が放出される前に放出され得る。更に、薬剤A6は、グラフ197aにも示したように、薬剤B6より高い用量で放出し得る。
【0101】
少なくともいくつかの実施では、ステープルカートリッジは、ステープルカートリッジに塗布された、少なくとも1種の薬剤(例えば、LAE、ドキシサイクリン、及び/又は他の抗菌剤)を放出可能に含む滑材(例えば、ステアリン酸ナトリウム又は他の滑材)を含み得る。滑材は、ステープルカートリッジに、スプレーとして塗布されることができ、カートリッジ及び内部に解放可能に配置されたステープルをコーティングすることができる。1種以上の薬剤を含む滑材は、薬剤がステープルに塗布されるのを可能にしてもよい。この方法において、薬剤は、(例えば、ステープルにより画定されるステープルラインに沿って)標的化領域に運搬されてもよい。この場合、薬剤は、本明細書で検討されたように、創傷治癒を最も促進することができる。1種以上の薬剤を含む滑材は、1種以上の薬剤を含む補助材と共に使用され得る。これは、標的化創傷治癒を促進し得る。
【0102】
創傷治癒
外科的処置の実行中に、患者の組織は、様々な様式のいずれかにおいて、傷つく場合がある(例えば、切除、引き裂き、穿刺など)。創傷は、例えば、吻合術において、及び/又は、組織が切断され、手術用装置、例えば、手術用ステープラを使用してファスナ留めされる場合、外科的処置の意図した態様である場合がある。傷ついた組織は、典型的には、全ての患者について一般的に同じ様式で経時的に治癒する。
【0103】
創傷治癒は、伝統的には、4つの段階:止血、炎症、増殖、及び再形成を含むと考えられている。止血段階は、一般的には、血液凝固、例えば、出血の停止を含む。一般的に、傷ついた血管は、血流を遅く制限し、血小板が凝集して、創傷部位を封止するのに役立ち、血小板は、フィブリンを活性化させて、創傷のシーリングを更に促進し、血餅が、創傷部位に形成する。炎症段階は、一般的には、創傷部位のクリーニングを含む。一般的に、免疫系が、創傷部位における可能性のある感染の恐れに対する応答を、防御型免疫細胞、例えば、好中球及びマクロファージに対するシグナル伝達を介して提供する。増殖段階は、一般的には、組織成長及び血管新生(血管成長)により、組織を再構築することを含む。一般的に、線維芽細胞が、創傷部位に到着し、線維芽細胞が、コラーゲンを定着させ、線維芽細胞が、上皮細胞を誘引する成長因子を放出し、上皮細胞が、内皮細胞を誘引する。再形成段階(成熟段階とも呼ばれる)は、一般的には、創傷部位における瘢痕組織を増強することを含む。一般的に、コラーゲン繊維が整列し、架橋し、瘢痕が成熟して、最終的に消えていく。これらの4つの段階はそれぞれ、以下に更に検討される。
【0104】
創傷治癒の4つの段階はそれぞれ、治癒プロセスの異なる態様を含むが、段階は、典型的には、互いに重なる。すなわち、最後の3つの段階はそれぞれ、典型的には、それに先立つ段階と重なる。例えば、炎症は止血と重なり、増殖は炎症と重なり、再形成は増殖と重なる。段階間の遷移が生じる速度は、一般的には、創傷治癒全体の速度に影響を及ぼすため、一般的には、患者の回復時間、合併症を生じる恐れ、及び/又は患者の快適性に影響を及ぼす。同様に、4つの個々の段階それぞれの長さは、一般的には、創傷治癒全体の速度及び患者の全身回復に影響を及ぼす。一般的には、創傷治癒プロセスが遅いほど、及び特に、再形成段階を開始するのに長くかかるほど、おそらくより、創傷が感染性になり、患者の不快さの原因となり、慢性創傷になり、潰瘍の原因となり、及び/又は、病的な瘢痕化を進行するであろう。
【0105】
止血段階は、基礎となる凝固障害が無い限り(そのような場合には、止血は遅延する場合がある)、最初の傷害の数分以内に始まる。止血段階は、典型的には、炎症段階が始まる前(例えば、以下で検討された好中球が到着する前)の30〜60分間継続し、典型的には、傷害後数時間、例えば、傷害後2〜6時間で終了する。より長い止血段階をもたらす乏しい止血制御により、出血の増加及び組織損傷がもたらされ得る。加えて、遅延した止血段階は、増殖及び再形成段階を遅延させる更なる瘢痕形成をもたらし得る。
【0106】
止血段階において、創傷部位において傷付けられた血管が封止される。血管は、傷害に応じて、例えば、切断に応じて収縮するが、この攣縮は、最終的には弛緩する。血小板は、このプロセスを支援するために、血管収縮性物質を分泌する。また、血小板は、傷ついた血管を封止する安定した血餅も形成する。創傷部位において傷ついた組織から漏れるアデノシン二リン酸(ADP)の影響下において、血小板が凝集し、露出したコラーゲンに接着する。血小板は、トロンビンの生成を介した内在性凝固カスケードと相互作用し、同カスケードを刺激する因子を分泌する。同カスケードは、次に、フィブリノゲンからフィブリンの形成を開始する。凝固カスケードは、フィブリン血餅により、止血を達成し、又は、血液損失を止めるために生じる。より具体的には、フィブリンは、血小板凝集体を安定した止血栓又は血餅に強化するメッシュを形成することにより、出血を減少させ、及び/又は、防止する。このメッシュは、炎症及び増殖段階中において、侵襲細胞、例えば、好中球、マクロファージ、線維芽細胞、及び内皮細胞用の足場として機能する。加えて、血小板は、様々な可溶性因子、例えば、ケモカイン、サイトカイン、及び血小板由来成長因子(PDGF)を分泌する。この分泌は、一般的には、可溶性因子が材料(例えば、デブリ、微生物、例えば、細菌、及び傷ついた組織)を貪食する細胞を誘引するのと共に、創傷治癒の炎症段階を開始する。
【0107】
凝固カスケードは、炎症段階が始まる直前の止血段階において生じる。炎症段階は、典型的には、傷害の1時間以内に始まり、典型的には、2〜6日間継続するが、更に長く、例えば、最長10日継続する場合がある。炎症段階が長いほど、おそらく、更なる瘢痕化が生じることにより、増殖及び再形成段階をより遅延させるであろう。炎症段階中に、傷ついた組織は、炎症の様々な兆候、例えば、紅斑、熱、浮腫、疼痛、及び機能障害を示す場合がある。これらの兆候は、炎症段階の大部分又は全ての間に継続し得る。したがって、炎症段階が長いほど、組織は、炎症のこれらの有害作用をより長く経験し、次に、患者の不快さがより長くなり、及び/又は、患者が感染に対して特に感受性である期間がより長くなる場合がある。炎症の有害作用は、一部の患者において、死に至るのに十分なほど重篤である場合がある。炎症は、適切な創傷治癒中に生じるべきものであるが、創傷治癒の最終段階を開始するために耐えなければならないその有害作用も生じる。
【0108】
炎症段階において、止血段階に分泌された可溶性因子により誘引された細胞は、材料を貪食する。すなわち、貪食細胞、好中球、及びマクロファージを含めた免疫細胞は、感染を防止するのに役立つ取り組みにおいて材料を破壊する。好中球の到着は、一般的には、炎症段階開始のシグナルである。好中球は、典型的には、創傷部位に、創傷の1時間以内に到着する。好中球は、デブリ及び微生物を貪食することができ、感染に対する第1線の防御を提供することができる。好中球は、局所的なマスト細胞により支援される。フィブリンが破壊され、分解生成物は、マクロファージを誘引する。マクロファージは、典型的には、傷害後1〜2日で現れる。マクロファージは、細菌を貪食することができ、感染に対する第2線の防御を提供することができる。マクロファージは、様々な走化性因子及び成長因子、例えば、線維芽細胞成長因子(FGF)、表皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング成長因子ベータ(TGF−β)、及びインターロイキン−1(IL−1)を分泌する。これらは、伝統的には、その後の増殖及び再形成段階に向かわせると認識されている。すなわち、マクロファージは、増殖段階を開始し、毛細血管成長及び肉芽を刺激することにより、再形成段階のための段階を設定するのに役立つ血管新生物質を放出する。創傷部位に誘引されたリンパ球(例えば、Tリンパ球)は、典型的には、創傷部位に、マクロファージが現れた後に現れる。
【0109】
増殖段階は、典型的には、傷害後2〜5日で始まり、典型的には、2〜21日間継続する。増殖段階において、マクロファージの分泌により、線維芽細胞の増殖が誘発される。線維芽細胞は、創傷部位に入り、コラーゲン及びフィブロネクチンを分泌することにより、細胞外マトリックス(ECM)を形成する。このため、創傷は、コラーゲン及びECMを含む新たな肉芽組織により「再構築」される。同組織内では、血管の新たなネットワークが発達している。このプロセスは、血管新生として従来から公知である。コラーゲンは、創傷の強度を増大させる。したがって、コラーゲンが早く生成され得るほど、例えば、線維芽細胞が創傷領域に早く入るほど、創傷が早く強度を得るほど、これにより、例えば、感染及び患者の不快さなどの様々な問題が生じにくくなると考えられる。
【0110】
ECM形成と同時に、上皮細胞(例えば、ケラチノサイト)は、創傷の縁部から遊走して、創傷を覆い、創傷とその環境との間に障壁を形成する。すなわち、上皮細胞は、従来から上皮化として公知のプロセスにおいて、創傷の表面を治す。上皮細胞は、肉芽組織上であるが、創傷上のかさぶた(かさぶたが早期に形成された場合)の下を遊走する。上皮細胞は、創傷上を適切に遊走するために、血餅、デブリ、及びECMの一部を溶解しなければならない。上皮細胞の遊走を促進するために、上皮細胞は、プラスミノーゲンアクティベータを分泌する。同プラスミノーゲンアクティベータは、プラスミノーゲンを活性化して、プラスミンに変えて、血餅、デブリ、及びECMの一部を溶解する。加えて、細胞が、生きた組織上のみを遊走し得るため、上皮細胞は、コラゲナーゼ及びプロテアーゼ、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を分泌して、その遊走経路におけるECMの損傷箇所を溶解する。上皮化の最終段階において、線維芽細胞が筋線維芽細胞に分化して、保護外層又は角質層を形成するのと共に、創傷の収縮が生じる。収縮は、数日又は数週間継続する場合があり、創傷が完全に上皮再形成された後にも継続する。収縮は、創傷治癒に関連する瘢痕化の主な原因である。
【0111】
再形成段階は、一般的には、コラーゲン生成と分解のレベルが等しくなった時点で始まる。すなわち、再形成は、一般的には、瘢痕が形成され、創傷の引っ張り強度が増大し始めると始まる。再形成段階は、典型的には、傷害後7〜21日で始まり、典型的には、少なくとも3週間継続し、創傷サイズ及び再傷害などの要因に応じて、数ヶ月又は数年間継続する場合がある。
【0112】
再形成段階において、創傷は成熟して、より強くなる、例えば、増大した引っ張り強度を有する。一般的に、増殖段階において創傷部位に一般的なより弱いIII型コラーゲンは、より強いI型コラーゲンにより置き換えられる。この置換えは、一般的には、一時的なコラーゲン繊維を再組織化し、架橋し、整列させることを伴う。再形成が進行すると、瘢痕が消える。
【0113】
図40に、経時的な創傷治癒の説明を図示する。
図40の上部は、組織強度(引っ張り力F)対時間(t)の第1の創傷治癒グラフ200を示す。
図40の下部は、薬剤投与量対時間(t)の第2の創傷治癒グラフ202を示す。第1及び第2のグラフ200、202は、第1及び第2のグラフ200、202に示されたデータの比較を容易にするために、水平軸を共有してプロットされている。第1及び第2のグラフ200、202における時間ゼロ(t=0)は、傷害の時点、例えば、創傷が生じた時点を表わす。このため、第1のグラフ200における第1の組織強度F1は、傷害時の創傷における組織の強度を表わす。
【0114】
第1のグラフ200は、典型的な創傷治癒中の経時的な組織強度の第1の曲線204を含み、本明細書で提供された少なくともいくつかの方法、システム、及び装置に従って加速された創傷治癒中の経時的な組織強度の第2の曲線206を含む。加速された創傷治癒の第2の曲線206は、以下で更に検討されたように、第2のグラフ202において提供された1つ以上の投与量の薬剤を使用して達成され得る。創傷治癒の段階(止血段階208、炎症段階210、及び増殖段階212)が、第2のグラフ202を参照し、このため、第1のグラフ200の第2の曲線206も参照して、
図40に示される。第1のグラフ200における第1の曲線204は、以下で検討されたように、異なるタイミングの止血、炎症、及び増殖段階を有する。
【0115】
図40における時間スケールは、単なる例である。上記検討されたように、創傷治癒のタイミングは変動し得る。例えば、創傷治癒の段階は、異なる創傷及び/又は異なる患者について異なるタイミングで始まり得る。
図40は、同じ患者における同じ創傷について、第1の曲線204により図示された創傷の典型的な治癒が、第2の曲線206により図示されたように、1種以上の薬剤が、第2のグラフ202に従って患者に投与された場合に改善されることを説明している。すなわち、第1及び第2のグラフ200、202の水平軸の時間スケールに関わらず、1種以上の薬剤の投与は、典型的な創傷治癒より早い創傷治癒を提供することができ、典型的な創傷治癒より短い期間の最低組織引っ張り強度を提供することができる。
【0116】
第1の曲線204により説明されたように、典型的な創傷治癒は、時間ゼロにおける第1の組織強度F1を有し、炎症段階中の4日目の間(5>t>4)に始まり、場合により、6日目の間(7>t>6)まで持続する最低組織強度F4に、強度が経時的に低下し、その後、組織強度が、第1の組織強度F1に戻るように徐々に改善し始める、組織に関係する。第1の組織強度F1は、第1の曲線204により示したように、増殖段階中のいくつかの時点又は増殖段階後において、典型的な創傷治癒中に再度達成され得る。組織の強度は、第1の組織強度F1から、炎症に応じて、例えば、炎症段階に入ったのに応じて、1日目の間(2>t>1)に低下し始め、組織の炎症が鎮まり始めるまで、例えば、増殖段階が、6日目の間に始まるまで、その最低レベルF4に向かって低下し続け、及び/又は、レベルF4のままである。このため、組織は、強度が低下し、1日目の間に始まり、6日目に継続する比較的長い期間、任意の数の炎症の有害作用に屈するその最も敏感な状態にある。
【0117】
第2の曲線206により説明したように、本明細書で提供された方法、システム、及び装置の少なくともいくつかの実施形態に従って加速された創傷治癒は、時間ゼロにおいて第1の組織強度F1を有し、炎症段階210中の3日目の間(4>t>3)に始まり、場合により、4日目の間(5>t>4)まで持続する最低組織強度F3に、強度が経時的に低下し、その後、組織強度が、第1の組織強度F1に戻るように徐々に改善し始める、組織に関係する。加速された創傷治癒における最低組織強度F3は、典型的な創傷治癒における最低組織強度F4より高い。このため、加速された創傷治癒を経験している組織は、典型的な創傷治癒中の強度と同じ程度低い強度を有することはない。すなわち、加速された創傷治癒は、典型的な創傷治癒ほどは、組織を弱らせないことができる。組織の強度は、第1の組織強度F1から、炎症に応じて、例えば、炎症段階210に入ったのに応じて、1日目の間(2>t>1)に低下し始め、炎症が改善し始めるまで、例えば、増殖段階212が、4日目の間に始まるまで、その最低レベルF3に向かって低下し続け、及び/又は、レベルF3のままである。このため、組織は、強度が低下し、典型的な創傷治癒より早くかつ短い期間、すなわち、1日目の間に始まり、6日目に継続するのに代えて、1日目の間に始まり、4日目に継続する期間、任意の数の炎症の有害作用に屈するその最も敏感な状態にある。すなわち、加速された創傷治癒は、典型的な創傷治癒より短い炎症段階を提供し得る。組織の強度は、加速された治癒における炎症段階210後に、その創傷前組織強度F1に戻るように増大しない場合があるが、第2の曲線206により示したように、それに近いレベルに増大し、増殖段階212中に新たな最大組織強度F2に達し得る。
【0118】
第2のグラフ202は、第2の曲線206により示した加速された創傷治癒を達成するために、患者に投与され得る薬剤の投与量の例を図示する。薬剤の投与量は、
図41にも示したように、止血段階208において、止血を促進するように構成されている薬剤Aの投与量を含み得る。
図42にも示したように、薬剤B、薬剤B
1、薬剤C、及び薬剤C
1の投与量は、炎症段階210において、炎症を促進するように構成されている。
図43にも示したように、薬剤D及び薬剤D
1の投与量は、炎症段階210のマクロファージ期214中(例えば、炎症段階210において、マクロファージが存在し、炎症部位において活性である間)にMMPを阻害するように構成されている。
図44にも示したように、薬剤Eの投与量は、増殖段階212の線維芽細胞期216中(例えば、増殖段階212において、繊維芽細胞が存在し、創傷部位において活性である間)に、増殖段階212における炎症を防止するように構成されている。
図44にも示したように、薬剤Fの投与量は、増殖段階212の線維芽細胞期216中(例えば、増殖段階212において、繊維芽細胞が存在し、創傷部位において活性である間)に、増殖段階212における組織成長を促進するように構成されている。薬剤A、B、B
1、C、C
1、D、D
1、E、Fはそれぞれ、更に以下に検討される。
【0119】
一例において、少なくとも1種の薬剤は、創傷治癒の止血、炎症、及び増殖段階208、210、212のそれぞれの間に、組織に投与され、創傷治プロセスを全体的に改善することができる。ここで、第2のグラフ202に示した薬剤は全て投与される。例えば、薬剤Aが、止血段階208で投与され、薬剤B、B
1、C、C
1、D、D
1が、炎症段階210で投与され、薬剤E、Fが、増殖段階212で投与される。別の例では、少なくとも1種の薬剤は、創傷治癒の止血、炎症、及び増殖段階208、210、212のそれぞれの間に、組織に投与され、創傷治プロセスを全体的に改善することができる。ここで、第2のグラフ202に示した薬剤が全て投与されるわけではない。例えば、薬剤Aが、止血段階208で投与され、薬剤B、B
1、C、C
1、D、D
1のうちの少なくとも1つ(及び、更なる例では、薬剤B、B
1、C、C
1、D、D
1のうちの少なくとも2つ)が、炎症段階210で投与され、薬剤E、Fの一方又は両方が、増殖段階212で投与される。投与される薬剤A、B、B
1、C、C
1、D、D
1、E、Fの部分集合は、任意の1つ以上の要因、例えば、創傷の種類、創傷のサイズ、外科医の優先順位、手術時に利用できる薬剤、患者の医療履歴などに基づいて、症例毎に決定され得る。更に別の例では、少なくとも1種の薬剤は、止血、炎症、及び増殖段階208、210、212のうちの1つ又は2つのみの間に、組織に投与され、創傷治癒プロセスの選択段階を改善し得る(ここで、上記検討されたように、1つの段階における改善は、創傷治癒プロセスのその後の段階を改善することができる)。ここで、第2のグラフ202に示した薬剤が全て投与されるわけではない。更に、薬剤は、第2のグラフ202に示したように、選択された1つ又は2つの段階に投与されることができ(例えば、薬剤Aが、止血段階で投与され、薬剤B、B
1、C、C
1、D、D
1が、炎症段階210で投与され、薬剤E、Fが、増殖段階212で投与される)、又は、選択された1つ又は2つの段階に選択的に投与されることができる(例えば、薬剤Aが、止血段階208で投与され、薬剤B、B
1、C、C
1、D、D
1のうちの少なくとも1つ(及び、更なる例では、薬剤B、B
1、C、C
1、D、D
1のうちの少なくとも2つ)が、炎症段階210で投与され、薬剤E、Fの一方又は両方が、増殖段階212で投与される)。薬剤投与量が投与される段階208、210、212のうちの1つ又は2つは、任意の1つ以上の要因、例えば、創傷の種類、創傷のサイズ、外科医の優先順位、手術時に利用できる薬剤、患者の医療履歴などに基づき、症例毎に決定され得る。
【0120】
本明細書で検討されたように、1種以上の薬剤を放出可能に含む補助材料は、例えば、手術用ステープラを使用して、組織に運搬され得る。補助材料の1種以上の薬剤は、投与される薬剤A、B、B
1、C、C
1、D、D
1、E、Fそれぞれを、薬剤A、B、B
1、C、C
1、D、D
1、E、F全てであるか、又は、それらの部分集合であるかのどちらかで含み得る。このため、薬剤A、B、B
1、C、C
1、D、D
1、E、Fのうちの投与される薬剤は、傷害の時点(t=0)と同時に、患者に運搬され得る。本明細書で検討されたように、補助材料の薬剤は、様々な様式で補助材料から放出可能であり得る。本明細書でも検討されたように、放出のタイミングが、創傷治癒過程中の適切な時間での組織への薬剤の投与を可能にし得る。このため、薬剤A、B、B
1、C、C
1、D、D
1、E、F(又は、それらの選択された部分集合)は、患者に同時に運搬され得るが、所望の効果を達成するために、患者の組織に対して、異なるタイミングでかつ経時的に放出され得る。
【0121】
止血を促進するように構成されている薬剤Aは、様々な構成を有し得る。一般的に、薬剤Aは、止血を促進するように構成された止血剤を含み得る。このため、薬剤Aの投与は、出血を止めるのに役立ち、止血段階208の長さを短くするのに役立ち、したがって、炎症段階210が典型的な創傷治癒におけるより早く始まるのに役立ち得る。薬剤Aの例は、フィブリン及びトロンビンを含む。また、止血を促進するように構成されている止血剤及びその運搬は、米国特許出願公開第2013/0149343号(発明の名称「Hemostatic Bioabsorbable Device with Polyethylene Glycol Binder」、2011年12月13日付けで出願)、米国特許第8,383,147号(発明の名称「Reinforced Absorbable Synthetic Matrix For Hemostatic Applications」、2012年8月22日付けで出願)、及び、同第8,329,211号(発明の名称「Reinforced Absorbable Multi−Layered Fabric For Hemostatic Applications」、2010年5月17日付けで出願)に記載されている。これらの文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0122】
薬剤Aは、様々な様式で投与され得る。一例において、薬剤Aは、容器から投与され得る。容器は、薬剤Aを取り囲む、生体吸収性又は溶解性コーティング、例えば、糖類コーティングなどを含み得る。コーティングは、傷ついた組織に傷害の数分以内、例えば、t=0の数分以内に投与されるために、比較的素早く生体吸収する/溶解するように構成され得る。このため、薬剤Aの止血効果は、炎症段階210の開始前に始まり得る。
図40及び
図41に示したように、薬剤Aの投与量は、この作用剤が組織/患者の身体中に散逸するのと共に、経時的に減少し得る。
【0123】
炎症を促進するように構成されている薬剤B、B
1、C、C
1はそれぞれ、様々な構成を有し得る。一般的に、薬剤B、B
1、C、C
1はそれぞれ、炎症を促進するように構成された催炎剤を含み得る。このため、薬剤B、B
1、C、C
1は、炎症プロセスの速度を上げるのに役立ち、したがって、炎症段階210を典型的な創傷治癒と比較して短くするのに役立ち、増殖段階212が典型的な創傷治癒におけるより早く始まるのに役立ち、組織がその最低強度F3に、定型的な創傷治癒において最低強度F4に達する場合より早く達するのに役立ち、組織がその最低強度F3にある期間を、典型的な創傷治癒と比較して短くするのに役立ち得る。薬剤B、B
1、C、C
1の例は、炎症促進性の薬剤を含む。いくつかの態様では、薬剤B、B
1、C、C
1はそれぞれ、同じ作用剤を含み得る。他の態様では、薬剤B、B
1はそれぞれ、同じ作用剤を含んでいてもよく、薬剤C、C
1は互いにそれぞれ、薬剤B、B
1とは異なる、同じ作用剤を含んでいてもよい。更に他の態様では、薬剤B、B
1、C、C
1はそれぞれ、互いに異なる作用剤を含み得る。
【0124】
薬剤B、B
1、C、C
1はそれぞれ、様々な様式で投与され得る。一例において、薬剤Bは、容器として投与され得る。ここで、薬剤B
1は、薬剤Bの容器のコーティングである。薬剤Cは、別の容器として投与され得る。ここで、薬剤C
1は、薬剤Cの容器のコーティングである。
図40及び
図42に示したように、容器のコーティングは、典型的には、コーティングにより取り囲まれる容器より少ない物質を含むため、容器の薬剤B、Cの用量は、コーティングの薬剤B
1、C
1の用量より多くあり得る。
【0125】
一例において、薬剤B
1は、薬剤Bの前に放出を開始するように構成され得る。薬剤Bは、薬剤C
1の前に放出を開始するように構成され得る。薬剤C
1は、薬剤Cの前に放出を開始するように構成され得る。このため、炎症性薬剤B、B
1、C、C
1は、異なるタイミングで(例えば、第2のグラフ202の時間t軸に沿った異なる点)で各薬剤の投与量ピークが来るように、ずらして放出されるように構成され得る。炎症性薬剤B、B
1、C、C
1の異なるピーク用量は、薬剤B、B
1、C、C
1が、その個々の投与量のいずれよりも高い、
図40及び
図42中に「BC」として示した累積炎症投与量を有するのを可能にし得る。すなわち、個々の薬剤B、B
1、C、C
1のピーク用量は、それらの投与量により個々に達成され得るより全体として高い炎症投与量「BC」に寄与するようにタイミングが合わせられ得る。炎症投与量「BC」は、一般的には、
図40及び
図42にも示したように、方形波の形状を有し得る。
【0126】
炎症性薬剤B、B
1、C、C
1はそれぞれ、炎症段階210において有効な他の薬剤である、MMPを阻害するように構成されている薬剤D、D
1の放出前に放出を開始するように構成され得る。この様式では、創傷部位における組織は、炎症されることができ、3日目(t=3)の前の短い時間で、その最低引っ張り強度F3に近づく。その時点で、炎症段階210のマクロファージ期214が、一般的に始まり、その間に、薬剤D、D
1が投与され得る。
【0127】
MMPを阻害するように構成されている薬剤D、D
1はそれぞれ、様々な構成を有し得る。一般的に、薬剤D、D
1はそれぞれ、MMPを阻害するように構成されている作用剤、例えば、MMP阻害剤を含み得る。このため、薬剤D、D
1は、炎症段階210において、MMPがより放出されないのに役立つことにより、炎症段階210において、ECMがより破壊されないのを可能にし得る。このため、創傷部位における組織は、より壊されず、一方で、炎症プロセスをいまだに可能であり、したがって、典型的な創傷治癒プロセスにおけるより高い強度、例えば、F3>F4を、組織が有することできる。薬剤D、D
1の例は、MMP及び他のプロテアーゼの作用を阻害する組織マトリックス分解阻害剤を含む。一例において、薬剤D、D
1はそれぞれ、同じ作用剤を含むが、薬剤D、D
1は、少なくともいくつかの例では、互いに異なり得る。
【0128】
薬剤D、D
1はそれぞれ、様々な様式で投与され得る。一例において、薬剤D、D
1はそれぞれ、容器により投与され得る。2つの容器それぞれは、創傷治癒プロセスにおける適切なタイミングで、例えば、炎症性薬剤B、B
1、C、C
1の放出後の時点、例えば、場合により、傷害後4〜7日(4<t<7)で、薬剤D、D
1の放出を促進するように構成されているコーティングを含み得る。コーティングの例は、90%のポリグリコリド(ポリグリコール酸(PGA)とも呼ばれる)と、10%のポリラクチド(ポリ乳酸(PCA)とも呼ばれる)とを有するコポリマー、例えば、Vicryl(商標)Rapideを含む。
【0129】
一例において、薬剤Dは、薬剤D
1の前に放出を開始するように構成され得る。このため、MMP阻害薬剤D、D
1は、各薬剤の投与量ピークについて、異なるタイミングで(例えば、第2のグラフ202の時間t軸に沿った異なる点で)、ずらして放出されるように構成され得る。異なるピーク用量のMMP阻害薬剤D、D
1は、薬剤D、D
1がその個々の投与量よりも高い、
図40及び
図43中の「DD
1」として示した累積MMP阻害投与量を有するのを可能にし得る。すなわち、個々の薬剤D、D
1のピーク用量は、それらの投与量により個々に達成され得るより全体として高いMMP阻害投与量「DD
1」に寄与するようにタイミングが合わせられ得る。
【0130】
MMP阻害薬剤D、D
1はそれぞれ、薬剤E、Fの放出前に、放出を開始するように構成され得る。この方法では、創傷部位における組織は、炎症されることができ、その最低引っ張り強度F3を持続することができる。その後、増殖段階212は、場合により、4日目の間に始まる。
【0131】
炎症を防止するように構成されている薬剤Eは、様々な構成を有し得る。一般的に、薬剤Eは、炎症を阻害するように構成された作用剤、例えば、抗炎症剤を含み得る。このため、薬剤Eは、創傷部位における炎症を減少させるのに役立ち、したがって、炎症段階210を終わらせるのに役立つように構成され得る。薬剤Eの例は、ジクロフェナクを含む。
【0132】
薬剤Eは、様々な様式で投与され得る。一例において、薬剤Eは、容器として投与され得る。容器は、創傷治癒プロセスにおける適切なタイミングで、例えば、MMP阻害薬剤D、D
1の放出後の時点、例えば、傷害後少なくとも4日(4<t)、例えば、場合により、傷害後7〜10日(7<t<10)で、薬剤Eの放出を促進するように構成されているコーティングを含み得る。コーティングの例は、90%のPGAと10%のPCAとを有し、高分子量、例えば、MMP阻害薬剤D、D
1の後に放出されるために、MMP阻害薬剤D、D
1に使用されるコーティングより高い分子量を有するコポリマーを含む。
【0133】
組織成長を促進するように構成されている薬剤Fは、様々な構成を有し得る。一般的に、薬剤Fは、組織成長を促進するように構成されている作用剤、例えば、成長因子を含み得る。このため、薬剤Fは、増殖段階212において、組織が再形成するのに役立つように構成され得る。薬剤Fの例は、TGF−βを含む。
【0134】
薬剤Fは、様々な様式で投与され得る。一例において、薬剤Fは、容器として投与され得る。容器は、創傷治癒プロセスにおける適切なタイミングで、例えば、抗炎症剤Eの放出後の時点、例えば、傷害後少なくとも5日(5<t)で、例えば、場合により、傷害後5〜10日(5<t<10)で、薬剤Fの放出を促進するように構成されているコーティングを含み得る。コーティングの例は、65%のPGAと35%のPCAとを有するコポリマーを含む。
【0135】
実施
組織成長を促進するための、種々の例示的な補助材料は、本明細書で記載されている。概して、植え込み可能な補助材は、ステープルと併用する手術用ステープラにより組織に適用されるように構成され得る。補助材は、所定の様式で組織内方成長に対する所望の効果を提供するのに有効な、その内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有することができる。補助材に関連する1つ以上の特徴は、例えば、組織成長を特定の方向に亢進させることにより、並びに/又は、特定の領域及び/若しくは特定の構造における組織成長を抑制することにより、創傷治癒中での所望の様式における秩序的組織再形成を促進するための種々の実施間で変更され得る。補助材に関連する特徴は、補助材の構造(例えば、補助材を形成するファイバの間隔(例えば、ファイバの密度)、補助材を形成するファイバの配向、補助材を形成するファイバの太さ又は直径、補助材を形成するファイバの材料、補助材を形成するファイバの弾性、及び補助材を形成するファイバの電荷)、1種以上の薬剤が補助材内に配置される位置(例えば、補助材の特定の側上及び補助材の特定の領域内)、及び、1種以上の薬剤の機能(例えば、組織内方成長における薬剤の所望の効果、薬剤の溶出速度、薬剤の投与量、及び薬剤の種類)を含む。特定の補助材の特徴に応じて、補助材が、秩序的組織再形成を促進するように構成されることができ、1種以上の薬剤が、秩序的組織再形成を促進するように構成されることができ、又は、補助材及び1種以上の薬剤の両方が、秩序的組織再形成を促進するように構成されることができる。
【0136】
補助材に関連する特定の特徴の選択は、補助材及び内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤の有効性を、創傷治癒のプロセス中に、組織成長を特定の様式で亢進させることにより、及び/又は、組織成長を特定の様式で抑制することにより、最適化し得る。このため、補助材及び内部に放出可能に保持された薬剤は、組織の非等方性の利点を得ることができる。すなわち、補助材及び内部に放出可能に保持された薬剤は、組織成長を組織の好ましい方向に亢進させることにより、組織が引き裂かれやすい組織の好ましくない方向の反対の、組織が引き裂きに抵抗する組織の好ましい方向の利点を得ることができる。このため、組織は、組織が組織の本来の構造に従って成長するのを、例えば、組織繊維の好ましい方向を模倣する様式で亢進させることにより、効率的で効果的な様式において治癒するように亢進させられ得る。このため、創傷は、本来の組織構造に対応する組織成長により、より強くより速くなることができ、及び/又は、治癒された組織は、治癒中に組織が組織の好ましい方向に模倣された様式で成長するのを亢進させられたために、より強くなった構造を有することができる。加えて又は代えて、補助材に関連する特定の特徴の選択は、補助材及び内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤の有効性を、創傷治癒のプロセス中に、組織成長の抑制に役立つことにより最適化し得る。例えば、補助材の構造、1種以上の薬剤が補助材内に配置される位置、及び/又は、1種以上の薬剤の機能は、補助材に接触した組織の成長を防止するように選択され得る。同防止は、創傷治癒中に、望ましくない組織接着、例えば、隣接する臓器の接着を防止するのに役立ち得る。
【0137】
内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材に関連する特定の特徴は、特定の臓器についての補助材の使用に標的化され、例えば、特定の臓器に対する補助材の意図したステープル留めに標的化され得る。当業者に理解されるように、異なる臓器は、異なる組織構造を有する。例えば、組織繊維は、異なる臓器について、異なる方向に延びる。また、当業者に理解されるように、一部の臓器は、他の臓器より隣接する身体構造に近い。これにより、組織成長は、おそらく、隣接する身体構造に対して相対的に近いために、他の臓器より一部の臓器について、望ましくない組織接着をより生じるおそれがある。補助材に関連する特定の特徴は、1種以上の薬剤を放出可能に保持している補助材が他の身体構造への臓器の接近を反映するように使用され、及び/又は、選択されるように意図された、臓器の組織構造に対応するように選択され得る。このため、組織は、(例えば、臓器の組織繊維の方向を模倣する様式において)組織が臓器の本来の組織構造に従って成長するのを亢進させることにより、及び/又は、隣接する身体構造に近づく組織成長を抑制することにより、効率的で効果的な様式での治癒を亢進させられ得る。このため、創傷は、臓器の本来の組織構造に対応する組織成長により、より強くより速くなることができ、治癒された組織は、治癒中に組織が組織の本来の構造に模倣された様式で成長するのを亢進させられ、及び/又は、組織接着が防止され得るために、より強くなった構造を有することができる。
【0138】
補助材は、上記検討されたように、規則的又は不規則な構造を形成するために、織られ、編まれ(braided又はknitted)、又は他の方法で相互に結び付けられ得る、複数のファイバから形成されたファイバ格子(本明細書において、「ファイバベース格子」とも呼ばれる)の形態にあり得る。ファイバ格子に関連する1つ以上の特徴は、例えば、創傷治癒中に組織成長を特定の方向に亢進させることにより、所望の様式で、秩序的組織再形成を促進するための様々な補助材の実施間で変更され得る。これらの特徴は、上記言及された特徴、すなわち、ファイバ格子の構造、1種以上の薬剤がファイバ格子内に配置される位置、及び1種以上の薬剤の機能を含み得る。
【0139】
ファイバ格子は、少なくとも2つの別個の異質なファイバ格子区画を有し得る。すなわち、2つ以上のファイバ格子区画はそれぞれ、互いに異なる特徴を有することにより、例えば、異なる構造を有することにより、互いに異なり得る。ファイバ格子区画はそれぞれ、所望の様式での秩序的組織再形成を促進するように構成されたパターンで配置され得る。ファイバ格子の構造は、パターンを画定し得る。複数の異質なファイバ格子区画を有する補助材は、1つのファイバ格子構造を有する補助材より速い及び/又はより制御された組織成長を生じさせ得る。区画が異なる組織種、異なる組織サイズ、及び/又は異なる意図した効果(例えば、組織成長を亢進させ、又は、組織成長を抑制する)について適切に選択され得るためである。複数の異質なファイバ格子区画を有する1つの補助材は、1つの構造(1つの補助材)により、組織成長に複数の異なる様式で影響を及ぼす、例えば、組織成長を異なる様式で亢進させる、組織成長を異なる様式で抑制する、又は、組織成長の亢進及び抑制を組み合わせるのを可能にし得る。1つの構造体の組織への運搬は、複数の異なる構造体を運搬するより速く、及び/若しくは、容易であることができ、並びに/又は、1つの構造体は、複数の構造体より、組織への運搬のための手術用ステープラに解放可能に結合させるのが容易であることができる。同複数の構造体は、1つの補助材とは異なり、ステープラを使用して、組織に同時に運搬することができない場合さえもある。
【0140】
1種以上の薬剤は、ファイバ格子区画それぞれに放出可能に保持されることができ、補助材から、均質な様式で放出する、例えば、補助材から均一に放出するように構成されていることができる。1種以上の薬剤の均質な放出は、1種以上の薬剤全てが、実質的に同時に効果的に組織に適用されるのに役立ち得る。これにより、1種以上の薬剤は全て、そのそれぞれの所望の効果を、実質的に同時に提供し始める。当業者であれば、1種以上の薬剤はそれぞれ、時間測定装置の精度及び/又は補助材から放出された薬剤が組織に直接接触する際のわずかな時間差などの任意の1つ以上の要因により、正確に同時に、組織に対して効果的に適用され得ないが、実質的に同時に効果的に、組織に対して効果的に適用されたと考えられ得ることを理解されるであろう。加えて、本明細書で検討されたように、薬剤は、補助材からの同時放出のために、様々な様式で、例えば、コーティング分解のタイミング、ポリマー溶解のタイミングに、補助材への圧力の適用などにより、タイミングが合わせられ得る。
【0141】
図45に、複数のファイバ302から形成された補助材300の一実施を図示する。
図45では、補助材300の一部分のみが示されている。この図示した実施形態におけるファイバ302は、補助材300の異なるファイバ格子区画304a、304b、304cにおいて、互いに異なる間隔を有する。図示したように、補助材300は、3つの異質なファイバ格子区画304a、304b、304cを含むが、別の複数の区画を含み得る。一般的に、隣接するファイバ302間の空間が小さいほど(例えば、ファイバ302がより高密度であるか、又は、ファイバ302がより密に充填されているほど)、より多くのファイバ302が存在するため、ECM成長がより亢進させられる。細胞は、組織再成長中にファイバに隣接して定着する。このため、特定の領域に存在するファイバが多いほど、より多くの細胞が、その領域に定着するであろう。例えば、より多くのECMが、その領域に形成するであろう。補助材300は、創傷治癒中に最も多くのECM成長が望まれる領域、例えば、創傷におけるステープルラインに沿った、創傷の中心部などに、最も近い間隔のファイバ302を有するファイバ格子区画304aが位置するようにして、組織に運搬され得る。次に最も近い間隔のファイバ302を有するファイバ格子区画304c及び最も近くない間隔のファイバ302を有するファイバ格子区画304bも、例えば、ECM成長が強力に亢進させられる必要がほとんどない位置に配置されたファイバ格子区画304bより、創傷に対して適切に配置され得る。組織が身体機能の本来の経路において最も伸張し又は拡張するであろう領域に位置した、最も低密度のファイバ格子区画304bにより、補助材300は、組織に運搬され得る。伸長又は拡張を阻害することが、患者の不快さ、組織機能の低下、及び/又は他の有害な結果を生じさせ得るために、組織が最も伸長し又は拡張するであろう領域において、伸長又は拡張の阻害を防止するのに役立つのには、組織成長は、一般的には、ほとんど望ましくない。このため、異なるファイバ間隔を有するファイバ格子区画304a、304b、304cを有する補助材300は、より密な間隔のファイバを有する区画により亢進させられた場合、組織が最も必要とされる箇所で成長するのを可能にするのに役立ち、より密でない間隔のファイバを有する区画により亢進させられた場合、成長がほとんど望まれない箇所での組織成長を制限するのに役立ち得る。
【0142】
この図示した実施におけるファイバ302は、第1の方向302Xに延びる第1の複数のファイバ302と、第1の方向30Xに実質的に垂直な第2の対向する方向302Yに延びる第2の複数のファイバ302とによる格子パターンで配置されている。当業者であれば、2つの方向302X、302Yにおけるファイバ302は、任意の1つ以上の要因、例えば、ファイバ302の柔軟性及び/又は測定装置の精度により、互いに正確に垂直でないが、実質的に互いに垂直であると考えられてもよいことを、理解するであろう。
【0143】
上記言及されたように、細胞は、組織再成長中に、ファイバに隣接して定着する。このため、ファイバ302の配向は、組織が再成長する仕方に影響を及ぼす。このため、補助材300が適用される組織は、格子パターンでの成長を亢進させられ得る。ここで、一部の再成長した組織は、第1の複数のファイバ302により亢進させられるため、第1の方向302Xに延び、一部の再成長した組織は、第2の複数のファイバ302により亢進させられるため、第2の方向302Yに延びる。このため、異なる配向のファイバ302を有する補助材300は、相互接続した組織繊維の強力なマトリックスの成長を亢進させるのに役立ち得る。特定の方向に配向したファイバ302は、組織の本来の構造に従って、その本来の方向に延びるファイバ302を有することにより、組織の本来の方向における組織成長を亢進させることにより、組織成長を亢進させられ得る。加えて、組織の本来の方向に延びるファイバ302が多いほど、より多くの組織が、その方向に成長するのが亢進させられ得る。同亢進は、より強い治癒した組織を提供するのに役立ち、及び/又は、治癒中により強い組織を提供するのに役立ち得る。例えば、第1の方向302Xは、標的組織の本来の繊維方向に対応し得る。このため、第1の方向302Xに延びるファイバ302がより密な間隔であるほど、より多くの組織成長を、補助材300が、本来の組織構造を模倣した様式で亢進させられ得る。
【0144】
補助材300が、ステープラがステープルを適用する組織に対して望み通りに配置され、かつ、補助材300、例えば、ファイバ高密度ファイバ格子区画304aが、ECM成長が最も望まれる箇所に配置され、例えば、第1の方向302Xに延びるファイバ302が組織の本来の繊維方向に延びるように、補助材300は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。
【0145】
図46に、複数のファイバ308a、308b、308c、308dから形成された補助材306の別の実施を図示する。
図46では、補助材306の一部分のみが示されている。この図示した実施形態におけるファイバ308a、308b、308c、308dは、
図45の格子パターンと同様に、格子パターンで配置されている。この図示した実施形態におけるファイバ308a、308b、308c、308dは、互いに異なる材料構成を有する。第1の複数のファイバ308aは、第1の材料構成を有し、第2の複数のファイバ308bは、第2の材料構成を有し、第3の複数のファイバ308cは、第3の材料構成を有し、第4の複数のファイバ308dは、第4の材料構成を有する。この図示した実施における補助材306は、異なる材料構成を有するファイバ308a、308b、308c、308dの4つのセットを有するが、補助材は、異なる材料構成を有する別の複数のセットを有し得る。材料構成は、任意の1つ以上の様式、例えば、任意の1つ以上の異なる弾性、異なる太さ(例えば、異なる直径)、異なる表面仕上げ、及び異なる電荷で、互いに異なり得る。
【0146】
異なる弾性を有するファイバは、組織の本来の構造に従って、組織成長を亢進させるのに役立ち得る。組織は、特定の方向に、自然に伸長し又は拡張する傾向にある。この方向は、本明細書で言及され、かつ、当業者に理解されるように、組織の種類によって変動し得る。より弾性を有するファイバは、組織の本来の伸長又は拡張の方向に整列され得る。同整列は、より強い治癒した組織及び/又は治癒中のより強い組織をもたらす組織成長を亢進させるのに役立ち得る。
【0147】
異なる太さを有するファイバは、太さに従って、異なる量の組織成長を亢進させるのに役立ち得る。より太いファイバ、例えば、
図46の最も太いファイバ308a及び
図46の次に太いファイバ308bは、より細いファイバ、例えば、
図46の最も細いファイバ308d及び
図46の次に細いファイバ308より少なく、組織成長を亢進させる。したがって、より太いファイバは、より少ない組織成長が望まれる箇所に配置されることができ、より細いファイバは、より多くの組織成長が望まれる箇所に配置されることができる。例えば、より細いファイバは、例えば、創傷におけるステープルラインに沿って、創傷の中心部に配置され得る。別の例について、より太いファイバは、補助材の中央領域にあることができ、より細いファイバは、同中央領域を囲む周辺領域にあることができる。このため、より多くの組織成長が、補助材の周辺における領域で亢進させられ得る。
【0148】
異なる太さを有するファイバは、創傷に対して、異なる量の構造的支持を提供し得る。より太いファイバは、一般的には、より細いファイバより多くの構造的支持を提供する。したがって、より太いファイバを含む補助材の部分は、創傷の別の領域より多くの構造的支持が必要とされ得る創傷の領域に配置され得る。同別の領域には、補助材のより細いファイバが配置されてもよい。より太いファイバは、一般的には、より細いファイバより少なく組織成長を亢進させるであろうが、より太いファイバにより創傷に提供された増大した構造的支持は、創傷領域の構造的完全性を全体として改善するのに役立ち、したがって、補助材のより太いファイバにより提供された増大した強度により生じる、創傷治癒の任意の1つ以上の有害作用のおそれを減少させ得る。増大した構造的支持は、より太いファイバにおいて生じ得る、より遅い及び/又はより少ない量の組織成長を補償するのに役立ち得る。
【0149】
より細いファイバは、互いに束ねられ得る。同結束は、ファイバの直径はより小さくなるが、個々の細いファイバのいずれかが個々に提供することができるより、一体としてより構造的完全性を提供することにより、組織成長を亢進させるのに役立ち得る。したがって、束ねられた細いファイバは、構造的完全性を創傷に提供するのに役立つ一方で、組織成長を亢進させ得る。
【0150】
異なる表面仕上げを有するファイバは、異なる仕上げに従って、異なる様式で、組織成長に影響を及ぼすのに役立ち得る。平滑な表面仕上げは、一般的には、組織成長を抑制する(例えば、組織接着を防止するのに役立つ)。非平滑な表面仕上げは、一般的には、(例えば、細胞が付着することができる荒れた表面を提供することにより)組織成長を亢進させる。このため、平滑な表面仕上げを有するファイバを含む補助材の部分は、組織成長が一般的には望まれない箇所に、例えば、補助材がステープル留めされる組織が、隣接する組織構造に接着するリスクにある領域に配置され得る。また、非平滑な表面仕上げを有するファイバを含む補助材の部分は、例えば、ステープルラインに沿って、組織成長が望まれる箇所に配置され得る。非平滑な表面仕上げの例は、非平滑な表面仕上げを有するファイバがマイクロエッチングされ、又は、孔が開けられたように、マイクロエッチングされ、又は、孔が開けられた表面を含む。非平滑な表面仕上げは、米国特許出願公開第2015/129634号(発明の名称「Tissue Ingrowth Materials And Method Of Using The Same」、2013年11月8日付けで出願)に更に記載されている。同文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0151】
異なる電荷(例えば、正又は負)を有するファイバは、異なる電荷に従って、異なる様式で、組織成長に影響を及ぼすのに役立ち得る。当業者であれば、血液と血液成分は、負に荷電されていることを理解するであろう。このため、正に荷電したファイバは、創傷の治癒を担う炎症細胞及び血液成分(言及されたように、これらは、負に荷電し得る)(血小板、PDGF、T細胞1704、マクロファージ、及び好中球を含む)を誘引し得る。これにより、正に荷電したファイバは、創傷治癒を促進し得る。加えて、正に荷電したファイバは、組織マクロファージを活性化し得る。本明細書で検討されたように、活性化されると、マクロファージは、成長因子と活性サイトカインとを創傷内に放出し、細胞増殖とコラーゲンマトリックス沈着のための刺激を提供する。このため、正に荷電したファイバは、治癒を更に向上させ得る。同様に、負に荷電したファイバは、創傷の治癒を担う炎症細胞及び血液成分を寄せ付けず、これにより、組織成長の抑制に役立ち得る。このため、正の電荷を有するファイバは、例えば、ステープルラインに沿って、組織成長が望まれる箇所に配置され得る。中性の電荷(無荷電)又は負の電荷を有するファイバは、組織成長があまり望まれない箇所に配置され得る。荷電した補助材料は、米国特許出願公開第2015/0133996号(発明の名称「Positively Charged Implantable Materials And Method Of Forming The Same」、2013年11月8日付で出願)に更に記載されている。同文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0152】
補助材306が、ステープラがステープルを適用する組織に対して望み通りに配置され、かつ、補助材306、例えば、異なる材料構成のファイバ308a、308b、308c、308dが、必要に応じて組織成長を亢進させ、又は抑制し得る領域に対して配置されるように、補助材306は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。
【0153】
図47に、複数のファイバ312a、312bから形成された補助材310の別の実施を図示する。
図47では、補助材310の一部分のみが示されている。垂直配置されたファイバを有する
図45及び
図46の補助材300、306とは異なり、
図47の補助材310は、放射状に配置されたファイバ312a、312bを有する。このため、補助材310が適用される組織は、放射状に配置されたファイバ312a、312bにより画定された放射パターンで、組織が成長するのを亢進させられ得る。第1の複数のファイバ312aは、補助材310の放射中心314に向かう/同中心から離れるように概ね延びる第1の方向312Xに延びることができ、第2の複数のファイバ312bは、補助材310の放射中心314の周りに概ね延びる第2の方向312Yに延びることができる。放射中心314は、一般的には、補助材310の開口、例えば、その開いた中心部分により画定され得る。
【0154】
第1及び第2の複数のファイバ312a、312bは、一般的には、放射中心314に近いほど、より密な間隔である。図示したように、放射中心314に最も近い第1の複数のファイバ312aそれぞれの末端は、放射中心314から最も遠い第1の複数のファイバ312aのそれぞれの末端より、互いにより近くあり得る。このため、第1の複数のファイバ312aは、放射中心314に近いほど、より多くの組織成長を亢進させるのに役立ち得る。図示したように、第2の複数のファイバ312bは、放射中心314に近いほど、互いにより近い間隔であり得る。また、互いに遠いほど、第2の複数のファイバ312bは、放射中心314からより遠くなる。このため、第2の複数のファイバ312bは、放射中心314に近いほど、より多くの組織成長を亢進させるのに役立ち得る。したがって、補助材310は、放射中心314が、組織成長が最も望まれる創傷の領域に対して最も接近するように、配置され得る。例えば、このため、第1の複数のファイバ312aのより近い間隔のもの及び第2の複数のファイバ312bのより近い間隔のものが、組織成長が最も望まれる創傷の領域に対して、最も近くに配置される。
【0155】
補助材310のファイバ312a、312bは、互いに異なる材料構成を有し得る。本明細書で記載された補助材の他の実施も、互いに異なる材料構成を有することに関して具体的に言及していない場合でも、互いに異なる材料構成を有し得る。例えば、第1の複数のファイバ312aは、第2の複数のファイバ312bより少ない弾性を有し得る。同弾性は、補助材310が、第2の方向312Yより第1の方向312Xにおいて、より伸張し又は拡張するのを可能にし得る。この構成は、補助材310により画定された開口の拡張及び退縮を容易にし得る。同拡張及び退縮は、物質(例えば、血液及び/又は他の身体物体)が開口を通過するのを容易にし得る。結腸に取り付けられた補助材310は、例えば、結腸の本来の半径方向の収縮及び拡張に従って、結腸の本来の半径方向の拡張及び収縮をほとんど制限せず、又は、同拡張及び収縮を制限せずに、補助材310の収縮及び拡張を容易にする第2の複数のファイバ312bの弾性により、収縮及び拡張してもよい。別の例について、図示したように、補助材310の内側周縁部314a及び側部周縁部314bにおけるファイバ312a、312bの一方は、ファイバ312a、312bの他方より太くあり得る。これにより、内側及び側部周縁部314a、314bにおける補助材310は、向上した構造的支持を創傷領域に提供するように構成され得る。
【0156】
補助材310が、ステープラがステープル及び補助材310を適用する組織に対して望み通りに配置されるように、補助材310は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。
【0157】
図48は、複数のファイバから形成され、複数の異質なファイバ格子区画318a、318b、318c、318d、318eを含む補助材316の別の実施を図示する。この図示した実施における補助材316は、5つのファイバ格子区画318a、318b、318c、318d、318eを含むが、本明細書で言及されたように、補助材は、別の数のファイバ格子区画を有し得る。図示したように、第1のファイバ格子区画318aは、上面に、かつ補助材316の両長さ方向の面に、位置しており、組織成長を抑制する、例えば、接着を防止するように構成されている。第1のファイバ格子区画318aは、本明細書で検討されたように、様々な様式で、組織成長を抑制するように構成され得る。図示したように、第1のファイバ格子区画318aは、内部に放出可能に保持され、組織成長を抑制するように構成された第1の薬剤(図示せず)、例えば、抗接着剤を有する。
【0158】
図示したように、第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cはそれぞれ、補助材316の底面上に位置し、それぞれ、組織成長を亢進させるように構成されている。第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cは、本明細書で検討されたように、様々な様式で、組織成長を亢進させるように構成され得る。図示したように、第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cはそれぞれ、内部に放出可能に保持され、組織成長を亢進させるように構成された第2の薬剤(図示せず)、例えば、成長因子を有する。第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cは、互いに同じ構造を有し、内部に放出可能に保持された同じ薬剤を有するが、他の実施では、第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cはそれぞれ、組織成長を亢進させるように構成される一方で、構造及び/又は保持される薬剤において、互いに異なっていてもよい。
【0159】
この図示した実施における補助材316の底面上の第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cの間は、第4のファイバ格子区画318dであり、同区画318dは、止血を促進するように構成されている。また、
図48は、第1及び第5のファイバ格子区画318a、318eの下にある第4のファイバ格子区画318dを、補助材316の上面に破線により示す。図示したように、第4のファイバ格子区画318dは、補助材316の中央長手方向部分に沿って延び、これにより、以下で更に検討されたように、その止血特性の組織への運搬を容易にし得る。第4のファイバ格子区画318dは、本明細書で検討されたように、様々な様式で、止血成長を容易にするように構成され得る。図示したように、第4のファイバ格子区画318dは、内部に放出可能に保持され、止血を容易にするように構成された第3の薬剤320(
図49及び
図50に図示)、例えば、止血剤を有する。
【0160】
図示したように、第5のファイバ格子区画318eは、補助材316の上面、両長さ方向の面、及び底面によって画定される空洞内の、補助材316の内部領域に位置しており、補助材316の上面と底面とを分離することにより、補助材316の組織成長亢進部分と組織成長抑制部分とが分離されるように構成されている。すなわち、第5のファイバ格子区画318eは、第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cを、第1のファイバ格子区画318aから離すように構成されている。第5のファイバ格子区画318eは、内部に放出可能に保持された第4の薬剤(図示せず)を有し得る。第4の薬剤は、例えば、抗接着剤を含むことができ、又は、ORC及び/又は別の止血剤を含むことができる。
【0161】
補助材316が、ステープラがステープル及び補助材316を適用する組織に対して望み通りに配置されるように、補助材316は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。概ね、補助材316の組織に対する所望の位置は、組織に面するその底面と、組織とは反対に向くその上面とを含み得る。このため、止血亢進ファイバ格子区画318d及び組織成長亢進ファイバ格子区画318b、318cは、そのそれぞれの薬剤を組織に提供するのを容易にし、その利益にかなうために、組織に面し得る。また、このため、組織成長抑制区画318aは、その薬剤を組織に提供するのを容易にし、その利益にかなうために、組織とは反対に向き得る。
【0162】
図49及び
図50に、複数のステープル324で組織322にステープル留めされた補助材316の例を図示する。
図49及び
図50は、補助材316の切断縁部316c及び組織322の切断縁部322cに沿って、第4のファイバ格子区画318dから放出されている第3の薬剤320を示す。切断縁部316c、322cは、ステープル留めプロセス中にステープラの切断部材によって形成されたものである。本明細書で記載されたように、ステープラの切断部材は、テープルカートリッジの中心に沿って長手方向に移動し得る。補助材316は、カートリッジ及び/又は内部に設置されたカートリッジを有するエンドエフェクタに解放可能に保持されることができ、切断部材の長手方向経路に整列された第4のファイバ格子区画318dを備える。補助材316中央の長手方向部分に沿って延在する第4のファイバ格子区画318dは、かかる配置を容易にし得る。このため、切断部材がカートリッジに沿って移動して、組織322を切断するとき、切断部材は、第4のファイバ格子区画318dも切断する。これにより、第4のファイバ格子区画318dからの第3の薬剤320の漏出、滴下、及び/又は他の放出を容易にし得る。すなわち、第4のファイバ格子区画318dの切断は、第3の薬剤320が補助材316から出るのに役立ち得る。更に、
図49及び
図50に示したように、組織322上での第4のファイバ格子区画318dの位置は、第3の薬剤320が組織322、及び特に、出血の影響を最も受けやすい組織の縁部である切断縁部322c、及びこのため、第3の薬剤の止血特性を最も必要とする組織322の領域上に滴下し、又は、他の方法で流れ落ちるのに役立ち得る。
【0163】
図50に図示したように、第2のファイバ格子区画318bは、組織322に面する面326、例えば、補助材316の底面の面画定部分に沿って、ほどけるか、又はほつれるように構成され得る。すなわち、第2のファイバ格子区画318bのファイバは、「ほどける」ように構成され得る。ほどけ又はほつれは、本明細書で検討されたように、第2のファイバ格子区画318bからの第2の薬剤の放出を容易にし得る。また、本明細書でも検討されたように、ほどけ又はほつれは、流体、例えば、組織322の水分とファイバが接触することによりトリガされ得る。第3のファイバ格子区画318cは、同様に、ほどけるか、又はほつれるように構成され得る。第1のファイバ格子区画318aは、ほどけず又はほつれないように構成されることにより、抗接着を促進し得る。
【0164】
補助材316は、線状ステープラへのその使用を容易にするため、概ね、矩形形状を有する。他の補助材は、輪状ステープラとのその使用を容易にするため、異なる形状を有し得る。
図51に、補助材328のこのような実施を図示する。
【0165】
図51の図示した実施における補助材328は、複数のファイバから形成され、複数の異質なファイバ格子区画330a、330b、330c、330dを含む。補助材328は、上記言及されたように、補助材328が環状手術用ステープラと共に使用するのに構成されていることを除いて、概ね、
図48の補助材316と同様に構成されている。このため、補助材328は、概ね輪の形状を有する。第1のファイバ格子区画330aは、
図48の第1のファイバ格子区画318aと同様であり、補助材328の上面及び外側側面上に位置し、組織成長を抑制するように構成されている。第2のファイバ格子区画330bは、
図48の第2及び第3のファイバ格子区画318b、318cと同様であり、補助材328の底面上に位置し、組織成長を亢進させるように構成されている。第3のファイバ格子区画330cは、
図48の第4のファイバ格子区画318dと同様であり、補助材328の内側側面上に位置し、止血を促進するように構成されている。第4のファイバ格子区画330dは、
図48の第5のファイバ格子区画318eと同様であり、補助材328の内部領域に位置し、補助材328の上面と底面とを分離するように構成されている。
【0166】
補助材は、補助材に加えられた負荷に応じて、例えば、ひずみに応じて、及び、補助材から負荷が除かれるのに応じて、ひずみが解放されるのに応じて、その構造を変化するように構成され得る。構造は、負荷の増大又は減少に応じて変化する、補助材の三次元(3D)のサイズ及び/又は形状により変化し得る。このため、補助材は、負荷が補助材に加えられ、又は、補助材から除かれるイベントにおいて、完全性を構造的に保持するように構成され得る。補助材は、負荷の適用/除去に応じて傷付けられ、及び/又は、完全に使用できなくなるのとは対照的に、その形状に完全に従い得るためである。負荷に応じてその構造を変化するように構成されている補助材は、自然に柔軟及び/又は圧縮可能な組織、例えば、胃組織に、特に有用であり得る。柔軟/圧縮可能な組織は、同組織に補助材が運搬された後に、幅、長さ、及び/又は高さが、変化し得ることから、適合可能な補助材は、補助材がこれらの幅、長さ、及び/又は高さの組織変化を、補助材が組織の治癒に関するその意図した機能を全体として失うことなく、動的に調整するのを可能にし得る。
【0167】
図52及び
図53に、複数のファイバから形成され、補助材に加えられた負荷に応じて、その構造が変化するように構成されている補助材332の実施を図示する。負荷は、
図53において、補助材332に下向きの圧力を加える矢印340として模式的に図示されている。補助材332は、
図52に示した拡張形体(同構成では、補助材332は、最高高さ332h
1を有する)と
図53に示した折り畳まれた構成(同構成では、補助材332は、最低高さ332h
2を有する)との間で動くように構成され得る。補助材332は、拡張形体と折り畳まれた構成との間の複数の中間構成(同構成では、補助材332は、その最高及び最低高さ332h
1、332h
2の間の高さを有する)を有するように構成され得る。
【0168】
図示したように、補助材332は、複数のファイバ336及び複数のファイバの間に延びる中心ファイバ338を有する、第1及び第2のシート様ファイバ織物メッシュ334a、334bを含む。複数のファイバ336は、中心ファイバ338の周囲に放射状に配置され得る。この図示した実施におけるファイバ336の放射配置は、円形336cにある。ここで、中心ファイバ338は、円336cの中心338cに位置している。中心ファイバ338及び複数のファイバ336のそれぞれは、これらに加えられた負荷340に応じて、変形することにより、補助材332の高さを変化させるように構成され得る。中心ファイバ338は、
図52に示したように、負荷340の適用に応じて、最大太さ(最大直径)を増大させるように構成され得る。同図では、中心ファイバ338は、
図53における中心ファイバの最大直径より小さい最大直径を有する。中心ファイバ338は、図示したように、メッシュ334a、334bを含む面に対して実質的に垂直な方向に延びて、中心ファイバ338の均一な太さ変化を容易にし得る。放射ファイバ336はそれぞれ、負荷340の適用に応じて、中心ファイバ338の周囲に放射状に曲がるように構成され得る。放射ファイバ336はそれぞれ、図示したように、円336cの周囲に実質的に沿って、曲がるように構成され得る。これは、補助材332がその構造を変化させた際に、ファイバ336が互いに、かつ/又は中心ファイバ338ともつれるのを防止するのに役立ち得る。放射ファイバ336は、図示したように、中心ファイバ338が延びる方向を横断し、メッシュ334a、334bを含む面を横断する方向に延び得る。すなわち、放射ファイバ336は、メッシュ334a、334bに、角度を有して付着し得る。放射ファイバ336の角度付けは、ファイバ336が、特定の方向に(折り畳まれた構成に向かって)曲がり、(拡張形体に向かって)伸びるように付勢されて、ファイバ336が、予想通りに変形し、もつれないのに役立ち得る。
【0169】
負荷340の適用により、ファイバ336、338が変形される。同変形は、創傷治癒中にECMの密度を促進し得る。変形したファイバは、より秩序化された様式でのファイバの伸長、例えば、
図52に示したより長手方向の伸長より強力なマトリックスを形成するために、より秩序化されていない方向における成長を亢進させ得る。
【0170】
負荷340の適用により、補助材332により放出可能に保持されている1種以上の薬剤の溶出速度が制御され得る。負荷340が大きいほど、より多くの1種又はそれ以上の薬剤が、補助材332から放出され得る。
【0171】
補助材332は、内部に放出可能に保持された少なくとも1種の薬剤を、例えば、内部に配置された1種以上の薬剤を有するメッシュ334a、334bの一方若しくは両方により、及び/又は、
図25に関して上記検討されたように、ひずみに応じて裂けることにより、薬剤を放出するように構成された外側コーティングを有する任意の1つ以上のファイバ336、338により有し得る。
【0172】
補助材332が、ステープラがステープル及び補助材332を適用する組織に対して望み通りに配置されるように、補助材332は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。一般的に、組織に対する補助材332の所望の位置は、補助材332が組織の本来の移動と同じ方向に折り畳まり/拡張するのを可能にするように配置された対向するメッシュ334a、334bを含み得る。このため、ひずみが組織及び/又は補助材332に加えられ、これらから除かれた場合、補助材332は、組織の本来の移動に従って動き得る。加えて、そのように配置された場合、ファイバ336、338の方向は、組織繊維の本来の方向を模倣するであろう。これにより、組織の本来の方向に従って、組織成長を促進し得る。
【0173】
図54に、シート様ファイバ織物メッシュを形成するように一緒に織られた複数のファイバ344から形成された補助材342の実施を図示する。補助材342は、補助材の周辺に沿って、ほどけ又はほつれるように構成され得る。すなわち、補助材342の縁部におけるファイバ344は、ほつれ又はほどけるように構成され得る。これにより、本明細書で検討されたように、より多くのファイバ表面を細胞の相互作用に提供することにより、組織成長を亢進させ得る。補助材342のほどけ又はほつれることができる縁部は、補助材342の第1のファイバ格子区画を画定することができ、補助材342の内部は、補助材342の第2のファイバ格子区画を画定することができる。図示したように、ファイバは、補助材の周辺全体の周りでほつれるように構成され得る。本明細書で検討されたように、ほどけ又はほつれは、任意の1つ以上の要因により、例えば、補助材342が体液と接触することにより生じ得る。また、本明細書で検討されたように、1種以上の薬剤が、補助材342により放出可能に保持され得る。ほどけ又はほつれは、補助材342からの薬剤放出を促進し得る。
【0174】
補助材342を形成しているファイバ344はそれぞれ、ファイバ344のその関連付けられたものをほどくか、又はほつれさせるために、ほどけ又はほつれるように構成された、複数の巻かれたファイバ344aを含む。ファイバ344はそれぞれ、5本の巻かれたファイバ344aを含むが、それぞれ、別の複数の巻かれたファイバ、例えば、2本、3本などを含み得る。巻かれたファイバ344aのうちの1本は、図示したように、中心コアファイバであることができ、同中心コアファイバの周りに、ファイバ344aの他のものが巻かれ、同中心コアファイバを中心に、同他のものがほどける。中心コアファイバは、構造的完全性を個々のファイバ344に提供するのに役立ち得る。個々のファイバ344は、補助材342が全体としてより構造的に安定であることにより、より良好な強度を創傷治癒中に創傷に提供するのに役立ち得る。
【0175】
補助材342が、ステープラがステープル及び補助材342を適用する組織に対して望み通りに配置されるように、補助材342は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。その周辺全体の周囲でほどけ又はほつれることができる補助材342は、補助材342が組織に対してステープル留めされる仕方に関わらず、補助材342が組織成長を亢進させるのを可能にし得る。
【0176】
図55に、シート様ファイバ織物メッシュを形成するために一緒に織られた複数のファイバから形成された補助材346の別の実施を図示する。
図55において、補助材346の縁部348の一部のみが示されている。同図には、組織350に運搬された補助材346も示す。補助材348の一部の拡大図が、
図56に図示されている。上記検討された補助材342と同様に、補助材346は、その周辺に沿って、例えば、縁部348に沿って、ほどけ又はほつれるように構成され得る。周辺全体が、ほどけ又はほつれ得る。また、上記検討された補助材342と同様に、補助材346を形成するファイバはそれぞれ、ファイバのその関連付けられたものをほどけ又はほつれさせるために、ほどけ又はほつれるように構成されている複数の巻かれたファイバを含む。本明細書で検討されたように、1種以上の薬剤が、補助材346により放出可能に保持され得る。ほどけ又はほつれは、補助材346からの薬剤の放出を促進し得る。
【0177】
補助材346の縁部348は、非直線であることができ、これにより、直線的な縁部より多くのファイバ表面を細胞の相互作用に提供することができる。図示したように、非直線的な縁部348は、うねっていることができ、例えば、波状パターンを画定することができる。非直線的な縁部348は、補助材の周辺全体の周囲に延びることができ、これにより、補助材346全体の周囲に、組織成長を亢進させるのに役立ち得る。対照的に、
図54の補助材342の縁部は、直線的な縁部を有する。
【0178】
補助材346が、ステープラがステープル及び補助材346を適用する組織に対して望み通りに配置されるように、補助材346は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。その周辺全体の周囲でほどけ又はほつれることができる補助材346は、補助材346が、補助材346が組織に対してステープル留めされる仕方に関わらず、組織成長を亢進させるのを可能にし得る。加えて、非直線的な縁部348は、組織の非直線的な領域に沿って、補助材346が組織成長を亢進させるのに役立ち得る。これにより、共に成長し得る組織の異なる領域において組織成長を亢進させることにより、組織がより強くより速くなるのに役立ち得る。
【0179】
図57に、シート様ファイバ織物メッシュを形成するために一緒に織られた複数のファイバ352から形成された補助材の実施を図示する。補助材の一部のみが、その縁部354の領域に示される。ファイバ352はそれぞれ、ほつれるか、又はほどけるように構成されることができ、補助材の縁部354の外側356から始まって、補助材の内部356iに向かう方向にほどけ又はほつれる。補助材342に関して上記検討されたのと同様に、ファイバ352はそれぞれ、ファイバ352のその関連付けられたものをほどくか、又はほつれさせるために、中心コアファイバ354cを中心にほどけ又はほつれるように構成されている、複数の巻かれたファイバ354aを含み得る。ファイバ354はそれぞれ、4本の巻かれたファイバ354aを含むが、それぞれ、別の複数の巻かれたファイバ、例えば、2本、3本などを含み得る。中心コアファイバ354cは巻かれたファイバ354aそれぞれより、大きい直径を有し得る。巻かれたファイバ354aはそれぞれ、同じ、より小さい直径を有し得る。より大きい直径のコアファイバ354cは、強度を有するファイバ352を提供するのに役立ち得る。巻かれたファイバ354aは、縁部354の内側のファイバ352の一部に示したように、コアファイバ354cが巻かれたファイバ354cによりほどける前に完全に覆われるように、中心コアファイバ354cの周囲に密に巻かれ得る。この密な巻きは、ファイバ352を提供し、これにより、強度を有する補助材を提供するのに役立つことができ、及び/又は、制御された薬剤放出、例えば、ほどけ若しくはほつれる前には「隠され」かつ未放出の薬剤の放出を促進することができる。本明細書で検討されたように、ほどけ又はほつれは、任意の1つ以上の要因により、例えば、補助材が体液と接触することにより引き起こされ得る。また、本明細書で検討されたように、1種以上の薬剤は、補助材により放出可能に保持されていることができ、ほどけ又はほつれは、補助材からの薬剤の放出を促進することができる。補助材が、ステープラがステープル及び補助材を適用する組織に対して望み通りに配置されるように、
図57の補助材は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。
【0180】
図58に、補助材を形成し得るシート様ファイバ織物メッシュを形成するために他のファイバと一緒に織られ得るファイバ358の実施を図示する。図示したように、補助材342に関して上記検討されたのと同様に、ファイバ358は、中心コアファイバ360d周囲に巻かれ、中心コアファイバ360dを中心に、ほどけるように構成されている、複数の巻かれたファイバ360a、360b、360cを含み得る。巻かれたファイバ360a、360b、360cは、図示したように、コアファイバ360d周囲に層状であり得る。ここで、内部の巻かれたファイバ360cは、コアファイバ360d周囲に巻かれ、中央の巻かれたファイバ350bは、内部の巻かれたファイバ360c周囲に巻かれ、外部の巻かれたファイバ360aは、中央の巻かれたファイバ350b周囲に巻かれる。示したように、巻かれたファイバ360a、360b、360cはそれぞれ、1本以上の個々のファイバを含み得る。
【0181】
巻かれたファイバ360a、360b、360cはそれぞれ、図示したように、コアファイバ360dの終端360tから異なる距離で終端することができ、又は、それらは全て、コアファイバの終端360tから同じ距離で終端することができる。コアファイバの終端360tから異なる距離であることにより、異なる巻かれたファイバ360a、360b、360cがほどける際、ファイバがその終端からほどける傾向があるため、図示した実施では、内部層360cがほどけ始め、その後、中央層360bがほどけ始め、その後、外部層360aがほどけ始めるように制御するのに役立ち得る。
【0182】
巻かれたファイバ360a、360b、360cはそれぞれ、互いに同じであることができ、又は、互いに異なることができる。図示したように、巻かれたファイバ360a、360b、360cはそれぞれ、互いに異なる。ここで、内部の巻かれたファイバ360cは、中央の巻かれたファイバ360bより小さい直径を有し、中央の巻かれたファイバ360bは、外部の巻かれたファイバ360aより小さい直径を有する。巻かれたファイバ360a、360b、360cの中でも最も大きい直径を有する外部の巻かれたファイバ360aは、その構造全体を通して、例えば、コア360dから外部ファイバ360aに向かって、ファイバ358に構造的完全性を提供するのに役立ち得る。加えて、コアファイバ360dは、巻かれたファイバ360a、360b、360cのいずれかと同じであることができ、又は、異なることができる。図示したように、コアファイバ360dは、外部の巻かれたファイバ360dより大きい直径を有する。
【0183】
巻かれたファイバ360a、360b、360cはそれぞれ、異なる薬剤と関連付けられることができ、例えば、ファイバのほどけ又はほつれに応じて、内部に「隠された」異なる薬剤の放出を可能にするように構成されることができる。例えば、薬剤はそれぞれ、異なるファイバのほどけが組織に対して異なる効果を提供するように、組織に対する異なる所望の効果を有し(例えば、止血に影響を及ぼし、組織成長に影響を及ぼし、抗微生物効果を提供するなど)得る。あるいは、任意の1本以上の巻かれたファイバ360a、360b、360cは、同じ薬剤に関連付けられ得る。
【0184】
補助材が、ステープラがステープル及び補助材を適用する組織に対して望み通りに配置されるように、複数のファイバ358から形成された補助材は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。
【0185】
図59に、シート様ファイバ織物メッシュを形成するために一緒に織られた複数のファイバから形成された補助材361の別の実施を図示する。補助材361の一部分のみが、補助材361の外縁部363において示されている。示したように、補助材361を形成しているファイバは、4種類365a、365b、365c、365dの撚りファイバを含む。補助材は、
図59に示したファイバの種類365a、365b、365c、365dの任意の組み合わせを含み得る。
【0186】
ファイバの第1、第2、及び第3の種類365a、365b、365cはそれぞれ、例えば、補助材361が施療部位において供される、水及び/又は他の作用剤の作用によって変化し得る、特定の構造を有するファイバを含むことができ、例えば、第1、第2、及び第3の種類のファイバ365a、365b、365cはそれぞれ、ほどけるように、又はほつれるように構成されている。第1の種類のファイバ365aは、その上に、コーティングについて本明細書デ検討されたように、吸収、溶解、又は他の方法で分解するように構成されたコーティング367を含む。コーティング367は、それ自体が薬剤を含むことができ、又は、コーティング367は、コーティングの分解によりファイバから放出可能な薬剤で、ファイバの外面上を覆うことができる。第2の種類のファイバ365bは、それに取り付けられた複数のペレット剤369を有する。上記検討されたように、ペレット剤369はそれぞれ、溶解性のコーティングを有することができ、これにより、コーティングが分解する際に、薬剤が、ボーラス投与量として又は徐放用量として分配され得る。ペレット剤369は、ファイバ365bが補助材361の中心より近接するほど、ファイバ365b上に、より密集させることができ、これにより、より多くの薬剤を運搬することができ、より多くのファイバが、コーティングを溶解させる流体又は他の物体と相互作用する。追加的に又は代替的に、ペレット剤369の薬剤は、累進的な徐放パターンとすることができ、同パターンにおいて、外縁部363に隣接した薬剤が、ペレット剤369から、補助材361のより中心側のペレット剤369からより速く放出する。第3の種類のファイバ365cは、編み合わされてファイバを形成する複数の小径ファイバ371を含む。薬剤は、組紐内に「隠され」、組紐がほどけ又はほつれるのに応じて、放出され得る。
【0187】
第4の種類のファイバ365dは、変化し得ない特定の構造を有するファイバを含み、例えば、第4の種類のファイバ365dは、ほどけず又はほつれないように構成されている。第4の種類のファイバ365dは、補助材361の基部を形成して、補助材361に対して構造的安定性を提供し、これにより、補助材361が運搬される創傷に対して構造的安定性を提供する。
【0188】
上記言及されたように、異なる補助材は、補助材の有効性を最適化するために異なる位置で内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤、及び、創傷治癒のプロセス中に補助材内に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有し得る。このようは補助材の一例は、異なる薬剤を組み込んでいる複数の異質な部分又は層178a、178b、180a、180bを含む、
図32の補助材176である。このような補助材の別の例は、内部に異なる薬剤をそれぞれ有し得る上部及び底部の層又は部分186、188を含む、
図33の補助材184である。このような補助材の更に別の例は、内部に配置された異なる薬剤G5、G6を有する並列部分185a、185bを含む、
図35の補助材185である。このような補助材の更に別の例は、内部に配置された異なる薬剤G7、G8を有する内側及び外側部分187a、187bを含む、
図36の補助材187である。このような補助材の別の例は、内部に異なる薬剤A4、B4をそれぞれ有し得る外側及び内側同心層191、192を含む、
図37の補助材190である。このような補助材の更に別の例は、内部に配置された異なる薬剤A5、B5を有する放射状に交互の部分195、196を含む、
図38の補助材194である。このような補助材の更に別の例は、内部に配置された異なる薬剤B6、A6を有する外側及び内側部分198、199を含む、
図39の補助材197である。
【0189】
図60に、複数の異質な層又は部分を含む補助材362の別の例を図示する。
図32における補助材176と同様に、補助材は、上部層又は部分364と、底部層又は部分366とを含む。
図60の例では、上部部分364は、2つの部分364a、364bを有し、底部部分366は、2つの部分366a、366bを有する。この例における上部部分の2つの部分364a、364bは、補助材176の2つの上部部分178a、178bと同様であることができ、底部部分の2つの部分366a、366bは、
図33における補助材184の2つの底部部分と同様であることができる。
【0190】
部分364a、364b、366a、366bはそれぞれ、内部に放出可能に保持された薬剤を有し得る。部分364a、364b、366a、366bの薬剤はそれぞれ、任意の1種以上の他の薬剤と同じであることができ、又は、薬剤はそれぞれ、任意の1種以上の他の薬剤と、薬剤の種類、投与量、及び溶出速度を含む1つ以上の様式のいずれかにおいて異なることができる。加えて、上記で検討されたのと同様に、部分364a、364b、366a、366bはそれぞれ、個別的な又は連続的な様式で変化する分解速度を有し得る。1つ以上の部分364a、364b、366a、366b内の薬剤の分解速度及び分布は、補助材362が
図61のグラフ368に示される溶出プロファイルを提供し得るように、個別的な又は連続的な様式で変化し得る。
【0191】
グラフ368は、補助材362を横切るその左側362Lからその右側362Rへの薬剤吸収の異なる速度を図示する。「左」及び「右」という空間的用語は、
図60に示したように、補助材362の向きを参照して使用され、制限的及び絶対的であると意図されるものではない。グラフ368のX軸上にあるゼロ(「0」)は、補助材362の中央部分を中心にした補助材362の中央領域370を表わす。グラフ368は、補助材362が運搬される組織の切断(例えば、手術用ステープラの切断部材による切断)後の例示的な溶出プロファイルを表わす。組織に運搬された際の補助材362の右側362Rは、切断ライン又は切断縁部に沿って配置されることができ、組織に運搬された際の補助材362の左側362Lは、組織の非切断部分、例えば、組織の非切断縁部に沿って、組織の周辺内の一部の位置における組織の外面上、又は、組織の周辺内の一部の位置における組織の内面上に、配置されることができる。示したように、補助材362に配置された1種以上の薬剤の溶出速度は、右側362Rでピークを示し、左側362Lに向かうにつれ下方へ曲がり、そこで溶出速度が最低となる。したがって、補助材362の右側362Rに薬剤がより近いほど、より高投与量の薬剤が運搬される。この方法では、右側362Rが組織の切断ライン又は切断縁部に沿って配置された場合、より多くの薬剤が、切断された組織縁部に沿って運搬され得る。同組織縁部は、本明細書で検討されたように、創傷治癒の有害作用に対して特に影響を受けやすい領域であり得る。例示的な実施において、補助材362の上部部分364の第1の部分364aに配置された1種以上の薬剤は、止血剤を含むことができ、これにより、比較的高投与量の止血剤が、組織にその切断ライン又は縁部に沿って運搬されることが可能となって、グラフ368に示した溶出プロファイルに従って、それに沿った血液凝固を容易にする。
【0192】
補助材362が肺に運搬されるという文脈において、補助材362は、補助材362の右側362Rが肺の外側縁部に沿って配置されるように、肺組織に運搬され得る。肺をステープル留めする際、漏出現象は、慣例上、肺の外側縁部に沿って最大である。このため、溶出プロファイル368に従って、補助材362から溶出する1種以上の薬剤は、肺の縁部に沿って最高投与量を有し、これにより、それに沿った漏出現象の特定の問題に対処するのに役立ち得る。
【0193】
図62に、補助材362が、分解速度及び部分364a、364b、366a、366b内の1種以上の薬剤の分布に従って提供し得る別の溶出プロファイルを示す別のグラフ372を図示する。補助材362中に配置された1種以上の薬剤の溶出速度が、右側362Rでピークを示し、左側362Lへ向かうにつれ下方へ傾斜し、そこで溶出速度が最低となるという点で、グラフ372は、
図61のグラフ368と類似する。グラフ372の傾斜は、グラフ368の曲線とは異なり、直線的な線である。グラフ368に関して上記検討されたのと同様に、補助材362の上部部分364の第1の部分364aに配置された1種以上の薬剤は、止血剤を含むことができ、これにより、比較的高投与量の止血剤が、組織にその切断ライン又は縁部に沿って運搬されることが可能となって、補助材362の右側362Rが組織の切断ライン又は切断縁部に沿って配置された際に、グラフ372に示した溶出プロファイルに従って、それに沿った血液凝固を容易にする。加えて、溶出プロファイル368に関して上記検討されたのと同様に、溶出プロファイル372に従って、補助材362から溶出する1種以上の薬剤は、肺の縁部に沿って最高投与量を有することにより、補助材362の右側362Rが肺の縁部に沿って配置された際に、それに沿った漏出現象の特定の問題に対処するのに役立ち得る。
【0194】
図63に、補助材362が、分解速度及び部分364a、364b、366a、366b内の1種以上の薬剤の分布に従って提供し得る別の溶出プロファイルを示す別のグラフ374を図示する。グラフ374は、補助材362が運搬される組織の切断(例えば、手術用ステープラの切断部材による切断)前の例示的な溶出プロファイルを表わす。補助材362の中央領域370は、補助材362から放出された1種以上の薬剤の最高投与量が計画された切断ラインに沿って最高になることができるように、組織の計画された切断ラインに沿って配置されることができる。この方法では、組織が切断ラインに沿って切断された時点で、組織には、比較的高投与量の薬剤が、切断ラインに沿って、既に運搬され始めている。同運搬は、切断の有害作用を制限するのに役立ち得る。例えば、比較的高投与量の止血剤、抗菌剤、抗真菌剤、及び/又は抗ウイルス剤が、補助材362の中央領域370から運搬され得る。
【0195】
上記検討されたように、複数の投与量の薬剤が、補助材から放出されて、薬剤の累積投与量を達成し得る。
図64に、3つの薬剤378A、378B、378Cそれぞれについての、経時的な可能性のある累積投与量のグラフ376の一例を示す。
図64における時間スケールは、単なる例である。薬剤378A、378B、378Cそれぞれの単回投与量は、グラフ376において、実線で示される。その関連付けられた単回投与量と実質的に同時に放出された各更なる累積投与量は、破線で示される。例えば、薬剤378Aの2回の投与量は、破線A
1として示され、薬剤378Aの3回の投与量は、破線A
2として示され、薬剤378Aの4回の投与量は、破線A
3として示され、薬剤378Bの2回の投与量は、破線B
1として示される、などである。例示的な実施では、第1の薬剤378Aは、創傷治癒の止血段階において、止血を促進するように構成され得る。第2及び第3の薬剤378B、378Cはそれぞれ、創傷治癒の炎症段階において、炎症を促進するように構成され得る。第2及び第3の薬剤378B、378Cの個々の投与量は、
図40及び
図42における累積投与量「BC」と同様に、累積投与量(例えば、累積炎症投与量)を協働して提供するように構成され得る。
【0196】
図65に、補助材から放出可能な3つの薬剤404A、404B、404Cそれぞれについて、経時的な可能性のある累積投与量のグラフ402の一例を示す。
図65における時間スケールは、単なる例である。グラフ402に示したように、第1の薬剤404Aは、創傷形成の時間ゼロにおいて補助材から放出し始め、1日目の開始時に用量がピークになる。第2の薬剤404Bは、1日目の開始時に補助材から放出し始め、2日目の開始時に用量がピークになる。第3の薬剤404Cは、2日目の開始時に補助材から放出し始め、3日目の開始時に用量がピークになる。このため、3つの薬剤404A、404B、404Cは、時間をずらしたピーク用量を有し得る。加えて、示したように、第1の薬剤404Aは、3日目の開始時に、補助材からの放出を停止し(例えば、補助材から完全に放出され)得る。第2の薬剤404Bは、3日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。第3の薬剤404Cは、4日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。3つの薬剤404A、404B、404Cの個々の投与量は、
図40及び
図42における累積投与量「BC」と同様に、累積投与量406を協働して提供するように構成され得る。例示的な実施では、3つの薬剤404A、404B、404Cはそれぞれ、創傷治癒の炎症段階において、創傷治癒を促進するように構成され得る。
【0197】
図66に、補助材から放出可能な7つの薬剤410A、410B、410C、410D、410E、410F、410Gそれぞれについて、経時的な可能性のある累積投与量のグラフ408の一例を示す。
図66における時間スケールは、単なる例である。グラフ408に示したように、第1の薬剤410Aは、創傷形成の時間ゼロにおいて補助材から放出し始め、時間ゼロ後すぐに用量がピークになる。第2の薬剤410Bは、時間ゼロにおいて補助材から放出し始め、1日目の開始時に用量がピークになる。第3の薬剤410Cは、1日目の開始時に、補助材から放出し始め、2日目の開始時に用量がピークになる。第4の薬剤410Dは、2日目の開始時に、補助材から放出し始め、3日目の開始時に用量がピークになる。第5の薬剤410Eは、3日目の開始時に、補助材から放出し始め、4日目の開始時に用量がピークになる。第6の薬剤410Fは、4日目の開始時に、補助材から放出し始め、5日目の開始時に用量がピークになる。第7の薬剤410Gは、5日目の開始時に、補助材から放出し始め、6日目の開始時に用量がピークになる。このため、7つの薬剤410A、410B、410C、410D、410E、410F、410Gは、時間をずらしたピーク用量を有し得る。加えて、示したように、第1の薬剤410Aは、1日目の開始時に、からの放出を停止し得る。第2の薬剤410Bは、2日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。第3の薬剤410Cは、3日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。第4の薬剤410Dは、4日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。第5の薬剤410Eは、5日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。第6の薬剤410Fは、6日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。第7の薬剤410Fは、7日目の開始時に、補助材からの放出を停止し得る。例示的な実施では、第1の薬剤410Aは、創傷治癒の止血段階において、止血を促進するように構成され得る。第2、第3、及び第4の薬剤410B、410C、410Dはそれぞれ、創傷治癒の炎症段階において、炎症を促進するように構成され得る。第5及び第6の薬剤410E、410Fはそれぞれ、創傷治癒の炎症段階において、MMPを阻害するように構成され得る。第7の薬剤410Gは、創傷治癒の増殖段階において、炎症を防止するように構成され得る。
【0198】
図67に、補助材から放出可能な3つの薬剤382A、382B、382Cそれぞれについて、経時的な可能性のある投与量のグラフ380の一例を示す。示したように、薬剤382A、382B、382Cの投与量はそれぞれ、単回投与量又は累積投与量のいずれかを使用して達成され得る。グラフ380に示したように、第1及び第2の薬剤382A、382Bは、創傷形成の時間ゼロにおいて補助材から放出し始める。第3の薬剤382Cは、時間ゼロ後の時点で放出される。示したように、第1の薬剤382Aは、第2の薬剤382Bがそのピーク投与量に達する前に、そのピーク用量に達し得る。第2の薬剤382Bは、第3の薬剤382Cがそのピーク投与量に達する前に、そのピーク用量に達し得る。このため、3つの薬剤382A、382B、382Cは、時間をずらしたピーク用量を有し得る。加えて、示したように、第2の薬剤382Bは、第1の薬剤382Aの投与量が終了し、かつ、第3の薬剤382Cの投与量が始まるのと実質的に同時に、そのピーク用量に達し得る。例示的な実施では、第1の薬剤382Aは、創傷治癒の止血段階において、止血を促進するように構成され得る。第2及び第3の薬剤382B、382Cはそれぞれ、止血段階後の段階において、例えば、炎症、増殖、及び再形成段階のうちの1つ以上において、創傷治癒を促進するように構成され得る。
【0199】
図68に、グラフ380に従って経時的に補助材384から放出可能な3つの薬剤382A、382B、382Cを含む補助材384の一例を図示する。示したように、第1の薬剤382Aは、補助材384の第1の部分又は層386に放出可能に配置され、第2の薬剤382Bは、補助材384の第2の部分又は層388に放出可能に配置され、第3の薬剤382Cは、補助材384の第3の部分又は層390に放出可能に配置されている。補助材384は、内部に配置された薬剤を有さない第4の部分又は層392を含み得る。ただし、他の実施では、第4の部分又は層392は、内部に放出可能に配置された少なくとも1種の薬剤を有し得る。
【0200】
図68に、例えば、ステープル(図示せず)と共に組織394に運搬されることにより、組織394に運搬された補助材384を図示する。補助材384は、示したように、補助材384が組織394の上部にあり、ここで、組織394の外縁部396が、露出した少なくとも第1の部分又は層386を有する補助材384の外縁部398と整列するように、組織394に対して配置され得る。このため、第1の薬剤382Aは、第1の部分又は層386から放出されるように構成されることができ、組織の外縁部396上に漏出し、又は、滴下する。組織の外縁部396は、組織394の本来の縁部であることができ、又は、組織394の切断縁部であることができる。組織の外縁部396が切断縁部である場合、補助材384は、2つの半分を有し得る。これらの半分のうちの1つは、
図68に示した部分であり、補助材384の他の半分は、組織394の他の切断半分におけるその鏡像である。
【0201】
補助材384が、ステープラがステープル及び補助材394を適用する組織394に対して望み通りに配置されるように、例えば、補助材384の第1の部分又は層386が、組織394の本来の縁部396又は、ステープラが組織394を切断した後の組織394の切断縁部396の位置と整列するように、補助材384は、ステープラに(例えば、ステープラのエンドエフェクタに、及び/又は、ステープラに保持可能なカートリッジに)解放可能に連結され得る。
【0202】
図69に、第2の部分又は層388内で開始した組織成長(細胞400の遊走)を伴う、組織394に取り付けられた補助材384を図示する。ついで、
図70に示したように、一定量の時間が経過した後に、第1の薬剤382Aが、補助材384から完全に放出されることができ、第2の薬剤382Bは、補助材384から部分的に放出されることができ、第3の薬剤382Cは、補助材384から放出し始めることができる(第3の薬剤382Cの放出された部分382R及び第3の薬剤382Cの放出されていない又は不活性な部分が、
図70に示される)。この図示した実施では、第3の薬剤382Cは、組織394から第2の部分又は層388を通って補助材384に遊走された細胞400の相互作用に応じて、補助材384からのその放出を開始する。すなわち、第3の薬剤382Cは、組織内殖に応じて、補助材384からのその放出を開始する。
【0203】
上記言及されたように、内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材に関連付けられた特定の特徴は、特定の臓器、例えば、結腸、胃、肺、及び肝臓に対する補助材の使用を目的とし得る。結腸に関して、その組織構造は、半径方向の拡張又は伸張(拡張)を容易にし、かつ長手方向の拡張又は伸張(例えば、結腸の長手方向軸線に沿った拡張又は伸張)を制限するように、概ね秩序化されている。加えて、輪状ステープラ又は線状ステープラを使用して形成された結腸切除術における吻合では、ステープルラインは、結腸内に残される。大腸直腸処置について、吻合創傷部位での漏出は、よく見られかつ生命を脅かすおそれがある事象である。内部に放出可能に保持され、吻合創傷部位における結腸組織に運搬される1種以上の薬剤を有する補助材は、吻合創傷部位における漏出を防止し、これにより、創傷治癒を改善するのに役立ち、かつ、漏出及び創傷治癒全般により引き起こされる有害作用を防止するのに役立つように構成され得る。補助材は、結腸組織に対して、ステープルラインに沿って適用されて、ステープルラインの腔内性質を反映し、吻合組織が一緒に取り付けられているステープルラインに沿って強度を提供し、かつ/又は、漏出が最もよく見られる領域に沿って補助材及び/若しくは補助材に関連付けられた薬剤の創傷治癒の利点に重点を置くことに役立ち得る。例示的な実施では、結腸に運搬された補助材中に配置された薬剤は、マクロファージ機能及び/又は産生を遅くすること、線維芽細胞活性及び誘引を増加させること、並びに炎症を低減することのうちの任意の1つ以上の機能を行うように構成され得る。
【0204】
上記検討されたように、内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材は、結腸の本来の半径方向の拡張及び収縮に従った方向に、組織成長を亢進させるのに重点を置くように、組織に運搬され得る。この亢進は、上記検討されたように、任意の数の様式で引き起こされ得る。
【0205】
図71は、輪状手術用ステープラ(図示せず)を使用する側々吻合術において、複数のステープル416により結腸414に運搬された補助材412の一実施を図示する。示したように、補助材412は、腔内に配置され、例えば、結腸414の内側通路418内に位置している。ステープル416により形成されたステープルラインは、示したように、結腸の本来の拡張方向に対して概ね横方向に延在してもよい。
【0206】
この図示した実施形態における補助材412は、接続された組織414a、414bの対向側に配置された対向面412a、412bを有する輪状のファイバベース格子を含む。補助材412の内部開口420は、正常な結腸の機能を容易にするために、結腸の内側通路418と連通している。この図示した例における輪状補助材、例えば、輪状補助材412は、側々吻合術に、特に効果的であることができる。補助材412は、結腸414の内周の周り、例えば、内側通路418周囲の周りの創傷領域全体を取り囲むことができるためである。創傷領域全体を取り囲むことは、創傷部位の周りの任意の箇所からの漏出を防止するのに役立ち得る。
【0207】
図72に、端々吻合術において、複数のステープルにより管状組織構造424に運搬された補助材422の一実施を図示する。管状組織構造424は、例えば、結腸又は肺の管状部分(例えば、その気管支)を含み得る。ステープルにより形成されたステープルラインは、示したように、管状組織構造の本来の拡張方向に対して概ね横方向に延在してもよい。補助材422は、複数の部材を含み、同部材はそれぞれ、
図22の補助材150と同様に、(
図72において省略された)ステープル上に配置された(
図72において省略された)内側層を封入している外側層又はコーティング426を有する。外側層426及び/又は内側層には、二次作用剤(例えば、嚥下ピル、坐剤など)の存在下において、色が変化するように構成され得る、反応性染料又は反応性ポリマーが充填され得る。色の変化は、漏出428が、視覚的に及び/又は他の方法で色の変化を観察することにより、例えば、x線により検出されるのを可能にし得る。このため、補正処理が、漏出に対処するのに採用され得る。色変化補助材は、米国特許出願第[]、発明の名称「Surgical Adjuncts With Medicants Affected By Activator Materials」、これも本願と同日付けで出願[代理人整理番号47364−169F01US(END7632USNP)]に更に記載されている。同出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【0208】
色の変化に変えて、結腸組織に運搬された補助材、例えば、補助材422により放出可能に保持された1種以上の薬剤は、少なくとも1つのシグナル及び補助材上での効果、例えば、発泡又は補助材の構造変化を、何らかの方法で生じるように構成され得る。このような薬剤及び補助材の例は、上記言及された米国特許出願第[]、発明の名称「Surgical Adjuncts With Medicants Affected By Activator Materials」、本願と同日付けで出願[代理人整理番号47364−169F01US(END7632USNP)]に更に記載されている。
【0209】
胃に関して、その組織構造は、半径方向の拡張又は伸張を容易にし、かつ、その長手方向軸線に沿った拡張又は伸張を制限するように、概ね秩序化されている。このため、内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材は、結腸組織に関して本明細書で検討されたのと同様に、胃の本来の半径方向の拡張及び収縮に従った方向に、組織成長を亢進させるのに重点を置くように、胃組織に運搬され得る。内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材は、様々な外科的処置のいずれか、例えば、直線的な切断が胃組織に形成される線状ステープラを使用する手術、及び、端側吻合が形成される輪状ステープラを使用する手術において、胃組織に運搬され得る。
【0210】
補助材と接触している組織が成長するのを防止するように構成されている、内部に配置された1種以上の薬剤を有する補助材を、胃に運搬するのは有益であり得る。胃は、様々な他の組織構造、例えば、食道、腸などに近く、それらへの胃の接着は、一般的には望ましくない。接触している組織が成長するのを防止するように構成されている1種以上の薬剤は、本明細書で記載された様々な様式のいずれかで、胃が接着すべきでない組織に隣接する領域において、補助材から放出されるように構成され得る。
【0211】
胃に運搬可能な補助材及び薬剤の例は、米国特許出願第[]、発明の名称「Adjunct Material For Delivery To Stomach Tissue」、本願と同日付けで出願[代理人整理番号47364−173F01US(END7636USNP)]に更に記載されている。同出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【0212】
肺に関して、その組織構造は、半径方向の拡張又は伸張を容易にし、かつ、その長手方向軸線に沿った拡張又は伸張を制限するように、概ね秩序化されている。このため、内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材は、結腸組織に関して本明細書で検討されたのと同様に、肺の本来の半径方向の拡張及び収縮に従った方向に、組織成長を亢進させるのに重点を置くように、肺組織に運搬され得る。内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材は、様々な外科的処置のいずれか、例えば、直線的な切断が肺組織に形成される線状ステープラを使用する手術において、肺組織に運搬され得る。肺組織に適用されたステープルラインの長さに沿った肺組織の拡張を可能にするのが有益であり得る。このため、拡張を容易にする組織の本来の方向、及びこのため、補助材が本明細書で記載された様々な様式のいずれかにおいて組織成長を亢進させるように構成され得る方向は、ステープルラインの長手方向軸線に沿っていることができる。肺に運搬可能な補助材及び薬剤の例は、米国特許出願第[]、発明の名称「Surgical Adjuncts And Medicants For Promoting Lung Function」、本願と同日付けで出願[代理人整理番号47364−174F01US(END7637USNP)]及び同第[]、発明の名称「Inducing Tissue Adhesions Using Surgical Adjuncts And Medicants」、本願と同日付けで出願[代理人整理番号47364−179F01US(END7642USNP)]に更に記載されている。これらの出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【0213】
肝臓に関して、その組織構造は、半径方向の拡張又は伸張を容易にし、かつ、その長手方向軸線に沿った拡張又は伸張を制限するように、概ね秩序化されている。このため、内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材は、肝臓組織に関して本明細書で検討されたのと同様に、肝臓の本来の半径方向の拡張及び収縮に従った方向に、組織成長を亢進させるのに重点を置くように、肝臓組織に運搬され得る。内部に放出可能に保持された1種以上の薬剤を有する補助材は、様々な外科的処置のいずれか、例えば、直線的な切断が肝臓組織に形成される線状ステープラを使用する手術において、肝臓組織に運搬され得る。肝臓に運搬可能な補助材及び薬剤の例は、米国特許出願第[]、発明の名称「Adjunct Material For Delivery To Liver Tissue」、本願と同日付けで出願[代理人整理番号47364−177F01US(END7640USNP)]に更に記載されている。同出願は、その全体が参照により組み込まれる。
【0214】
本発明には従来の低侵襲性及び開放手術用器具における用途、並びにロボット支援手術における用途があることを当業者は認識するであろう。
【0215】
本明細書に開示される装置は、1回の使用後に廃棄されるように設計することができ、又は複数回使用されるように設計することができる。しかしながら、いずれの場合も、本装置は、少なくとも1回の使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、装置の分解工程、それに続く洗浄工程又は特定の部品の交換工程、及びその後の再組立工程の任意の組み合わせを含むことができる。特に、本装置は分解可能であり、装置の任意の数の特定の部品又は部分を、任意の組み合わせで選択的に交換するか又は取り外すことができる。特定の部分を洗浄及び/又は交換した後、装置を後の使用のために、再調整施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによって再組立することができる。当業者であれば、装置の再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本出願の範囲内にある。
【0216】
当業者には、上述の実施形態に基づいて本発明の更なる特徴及び利点が認識されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除き、具体的に示され説明される内容により限定されるものではない。本明細書に引用される全ての刊行物及び参照文献は、それらの全容が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0217】
〔実施の態様〕
(1) 手術用ステープラと共に使用するためのステープルカートリッジアセンブリであって、
複数のステープル空洞を有するカートリッジ本体であって、各ステープル空洞は、内部に配置された手術用ステープルを有する、カートリッジ本体と、
前記カートリッジ本体に解放可能に保持され、前記カートリッジ本体内の前記ステープルを配備することによって、組織に運搬されるように構成されている生体適合性補助材料であって、前記補助材料は、ファイバ格子の形態にあり、前記ファイバ格子は、少なくとも2つの別個の異質なファイバ格子区画を有し、前記補助材料の前記ファイバ格子区画はそれぞれ、所望の様式での秩序的組織再形成を促進するように構成されたパターンで配置されている、生体適合性補助材料と、
前記補助材料内に配置され、前記補助材料から放出可能な、有効量の少なくとも1種の薬剤であって、前記少なくとも1種の薬剤はそれぞれ、所定の様式で組織内方成長に所望の効果を提供するのに有効であり、前記少なくとも1種の薬剤はそれぞれ、均質な様式で前記補助材料から放出可能である、有効量の少なくとも1種の薬剤と、を備える、ステープルカートリッジアセンブリ。
(2) 前記補助材料は、生体吸収性及び溶解性のいずれかを有する、複数のファイバから構成されている、実施態様1に記載のアセンブリ。
(3) 前記少なくとも1種の薬剤は、前記ファイバの吸収又は溶解の際に溶出する、実施態様2に記載のアセンブリ。
(4) 前記ファイバ格子区画は、第1の方向におけるファイバ密度、第2の方向におけるファイバ密度、ファイバ材料、ファイバ構造、ファイバ径、ファイバの表面特性、ファイバ電荷、及びファイバ弾性のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる、実施態様1に記載のアセンブリ。
(5) 前記少なくとも2つの別個の異質なファイバ格子区画は、3つのファイバ格子区画を含み、前記3つのファイバ格子区画はそれぞれ、第1の方向におけるファイバ密度、第2の方向におけるファイバ密度、ファイバ材料、ファイバ構造、ファイバ径、ファイバの表面特性、ファイバ電荷、及びファイバ弾性のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる、実施態様1に記載のアセンブリ。
【0218】
(6) 前記少なくとも1種の薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、抗ガン剤、抗接着剤、組織マトリックス分解阻害剤、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤(collageno synthetic agent)、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランのうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載のアセンブリ。
(7) 手術用器具用のエンドエフェクタであって、
着脱可能に取り付けられたカートリッジ本体を有する第1のジョーであって、前記カートリッジ本体は、内部にステープルを設置するように構成されている複数のステープル空洞を、組織に面する表面に有する、第1のジョーと、
組織に面する表面上に形成された複数のステープル成形空洞を有するアンビルを有する第2のジョーであって、前記第1のジョー及び前記第2のジョーの少なくとも一方は、他方に対して移動可能である、第2のジョーと、
前記第1のジョー及び第2のジョーの前記組織に面する表面の少なくとも一方上に解放可能に保持され、前記カートリッジ本体内の前記ステープルを配備することによって、組織に運搬されるように構成されている生体適合性補助材料であって、前記補助材料は、少なくとも2つの別個の異質なファイバ格子区画を有する、ファイバ格子の形態にあり、前記補助材料の前記ファイバ格子区画はそれぞれ、所望の様式での秩序的組織再形成を促進するように構成されたパターンで配置されている、生体適合性補助材料と、
前記補助材料内に配置され、前記補助材料から放出可能な、有効量の少なくとも1種の薬剤であって、前記少なくとも1種の薬剤はそれぞれ、所定の様式で組織内方成長に所望の効果を提供するのに有効であり、前記少なくとも1種の薬剤はそれぞれ、均質な様式で前記補助材料から放出可能である、有効量の少なくとも1種の薬剤と、を備える、エンドエフェクタ。
(8) 前記補助材料は、生体吸収性及び溶解性のいずれかを有する、複数のファイバから構成されている、実施態様7に記載のエンドエフェクタ。
(9) 前記少なくとも1種の薬剤は、前記ファイバの吸収又は溶解の際に溶出する、実施態様8に記載のエンドエフェクタ。
(10) 前記ファイバ格子区画は、第1の方向におけるファイバ密度、第2の方向におけるファイバ密度、ファイバ材料、ファイバ構造、ファイバ径、ファイバの表面特性、ファイバ電荷、及びファイバ弾性のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる、実施態様7に記載のエンドエフェクタ。
【0219】
(11) 前記少なくとも2つの別個の異質なファイバ格子区画は、3つのファイバ格子区画を含み、前記3つのファイバ格子区画はそれぞれ、第1の方向におけるファイバ密度、第2の方向におけるファイバ密度、ファイバ材料、ファイバ構造、ファイバ径、ファイバの表面特性、ファイバ電荷、及びファイバ弾性のうちの少なくとも1つにおいて互いに異なる、実施態様7に記載のエンドエフェクタ。
(12) 前記少なくとも1種の薬剤は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、成長因子、鎮痛薬、抗ガン剤、抗接着剤、組織マトリックス分解阻害剤、栄養、酸素排除剤、アミノ酸、コラーゲン合成剤、グルタミン、インスリン、ブチレート、及びデキストランのうちの少なくとも1つを含む、実施態様7に記載のエンドエフェクタ。