特許第6797903号(P6797903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6797903外側から固定される、輸送手段の側面のグレージングユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797903
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】外側から固定される、輸送手段の側面のグレージングユニット
(51)【国際特許分類】
   B61D 25/00 20060101AFI20201130BHJP
   E06B 3/58 20060101ALI20201130BHJP
   E06B 3/64 20060101ALI20201130BHJP
   B60J 1/00 20060101ALN20201130BHJP
【FI】
   B61D25/00 A
   E06B3/58 Z
   E06B3/64
   !B60J1/00 Q
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-512611(P2018-512611)
(86)(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公表番号】特表2018-534189(P2018-534189A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】FR2016052202
(87)【国際公開番号】WO2017042465
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】1558382
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ガスタル,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】オデュランスキー,アンジェイ
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0145214(US,A1)
【文献】 特表2010−510954(JP,A)
【文献】 特開平11−268686(JP,A)
【文献】 実開昭55−087809(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 25/00
E06B 3/58
E06B 3/64
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送手段の側面の固定式グレージングユニット(1)が
−外側空間(E)を向く外側面(11)と、内側空間(I)を向く内側面(12)と、ならびに周縁部(13)とを有するガラス構成要素(10)、
−前記ガラス構成要素(10)の内側面(12)と向かい合って位置する外側面(21)と、前記内側空間(I)の方へ向けられる内側面(22)と、ならびに周縁部(23)とを有する少なくとも一つの取付け板(20)であって、また前記取付け板(20)の前記外側面(21)が、接着剤層(19)を介して前記ガラス構成要素(10)の前記内側面(12)に接着される少なくとも一つの取付け板、
−周囲の形鋼ストリップ(4)であって、前記取付け板(20)より前記ガラス構成要素(10)の前記内側面(12)の周囲に位置し、また前記内側面(12)上の少なくとも一部に位置する周囲の形鋼ストリップ、
−前記ガラス構成要素(10)の前記内側面(12)にほぼ垂直にかつ前記内側空間(I)に向かって延在するネジ棒(5)、を含むグレージングユニットであって、
前記取付け板(20)が、取付け板(20)の外側面(21)と内側面(22)とに通じる貫通孔(24)を一つ有し、また前記ガラス構成要素(10)が、ガラス構成要素(10)の外側面(11)と内側面(12)とに通じる貫通孔(14)を少なくとも一つ有し、ガラス構成要素(10)の前記孔(14)が、前記取付け板(20)の前記孔(24)と同軸であることを特徴とするグレージングユニット。
【請求項2】
前記取付け板(20)の前記孔(24)の周囲部分が、前記外側面(21)と比べて内側空間(I)の方へ引っ込んでいることを特徴とする、請求項1に記載のグレージングユニット(1)。
【請求項3】
前記ガラス構成要素(10)が、個々がガラス構成要素(10)の外側面(11)と内側面(12)とに通じる貫通孔である複数の孔(14)ならびに複数の取付け板(20)を有し、また該取付け板が孔と同数だけあることを特徴とする、請求項1または2に記載のグレージングユニット(1)。
【請求項4】
前記ガラス構成要素(10)が、外側基材(15)、内側基材(17)、および外側基材(15)と内側基材(17)との間に位置するプラスチック材料の挿入薄板(16)を有する積層ガラス構成要素であり、前記基材と前記プラスチック材料の薄板とが個々に縁部を有し、また前記縁部が互いに連続していることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載のグレージングユニット(1)。
【請求項5】
前記ネジ棒(5)が、前記孔(14)内に少なくとも部分的に位置しかつ前記ガラス構成要素(10)の前記外側面(11)からはみ出ない頭部(51)を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載のグレージングユニット(1)。
【請求項6】
前記ネジ棒(5)が、ガラス構成要素(10)の孔(14)内に円形である外側断面を有する前記頭部(51)を有し、ガラス構成要素(10)の前記孔(14)が円形の内側断面を有し、またガラス構成要素(10)の前記孔(14)が、ネジ棒(5)の前記頭部(51)の前記外側断面の直径の1.2倍と1.4倍との間に含まれる直径を有することを特徴とする、請求項5に記載のグレージングユニット(1)。
【請求項7】
前記ネジ棒(5)が、前記孔(14)の外に、前記外側空間内に位置する頭部を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載のグレージングユニット(1)。
【請求項8】
前記形鋼ストリップ(4)が、前記接着剤層(19)の厚みと前記取付け板(20)の厚みの和を超える厚みを有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載のグレージングユニット(1)。
【請求項9】
前記接着剤層(19)が、前記ガラス構成要素(10)の内側面(12)のうちの、前記取付け板(20)の外側面(21)と向かい合っている面の表面の全体にわたって存在することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載のグレージングユニット(1)。
【請求項10】
輸送手段の側面壁(3)の開口部(30)内への、側面の固定式グレージングユニット(1)の固定方法であり、前記グレージングユニット(1)が請求項1から9のいずれか一つに記載のものである固定方法であって、前記ネジ棒(5)が、前記ガラス構成要素(10)の孔(14)からついで前記取付け板(20)の孔(24)から前記内側空間(I)に向かって挿入され、それからナット(52)が開口部(30)の溝(33)に対して前記ネジ棒(5)に締められることを特徴とする固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送手段の側面のグレージングユニットの製作、またとりわけ路面電車または列車のグレージングユニットの製作に関するものであり、前記グレージングユニットは、固定式グレージングユニットであり、場合によっては積層グレージングユニットである。
【0002】
このようなグレージングユニットは、通常以下を含む:
−外側空間を向く外側面と、内側空間を向く内側面と、ならびに周縁部とを有するガラス構成要素、
−前記ガラス構成要素の内側面と向かい合って位置する外側面と、前記内側空間の方へ向けられる内側面と、ならびに周縁部とを有する少なくとも一つの取付け板であって、また前記取付け板の前記外側面が、接着剤層を介して前記ガラス構成要素の前記内側面に接着される少なくとも一つの取付け板、
−周囲の形鋼ストリップであって、前記取付け板より前記ガラス構成要素の前記内側面の周囲に位置し、また前記内側面上の少なくとも一部に位置する周囲の形鋼ストリップ、
−前記ガラス構成要素の前記内側面にほぼ垂直にかつ前記内側空間に向かって延在するネジ棒。
【背景技術】
【0003】
先行技術により斯くして、グレージングユニットを開口部内に固定することを可能にする解決案を提示する米国特許第7080874号明細書が知られている。
【0004】
この文献内では、ネジ棒が取付け板に、取付け板の内側面に、固定されることが提案されている。
【0005】
先行技術によりまた、グレージングユニットを開口部内に固定することを可能にする別の解決案である欧州特許出願公開第2796334号明細書も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7080874号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2796334号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、先行技術におけるものよりも固定するのが簡単な固定式グレージングユニット、場合によっては積層グレージングユニットを製作することを可能にすることである。
【0008】
すなわち、ガラス構成要素、開口部、ならびにガラス構成要素に対する取付け板の位置決めは、各々が製作公差を有し、また実際には、(推奨されるように)一つのグレージングユニットにつき複数の取付け板があるとき、また(特定の応用例について安全上の理由から必要であり得るように)ガラス構成要素が積層ガラス構成要素であるときは、互いの位置決めは、設計図に応じて要求される理論上の位置との相違をなおさら引き起こし得る。
【0009】
グレージングユニットの構成要素および輸送手段の構成要素の理論上の位置と実際の位置との間で生じ得るこのずれは、破損後のグレージングユニットの交換の際の特に重要な問題であり、というのは、輸送手段の停止による費用を制限するために、この交換が出来る限り簡単かつ出来る限り迅速であることが求められるからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は斯くして、ネジ棒が、適切な道具によって外側空間からそれ自体が回転するように導かれることができること、または外側空間から回転を止めることができることを準備するということに基礎を置く。
【0011】
本発明はそのうえ、グレージングユニットの固定による嵩張りを減少させることを可能にし、また斯くしてグレージングユニットをより外側で固定し、したがって輸送手段の内側の利用可能な体積を増すことを可能にする。
【0012】
本発明は、その最も広い意味において、請求項1に記載される輸送手段の側面のグレージングユニット、とりわけ路面電車のグレージングユニットを対象とする。このグレージングユニットは、以下を含む固定式グレージングユニットである:
−外側空間を向く外側面と、内側空間を向く内側面と、ならびに周縁部とを有するガラス構成要素、
−前記ガラス構成要素の内側面と向かい合って位置する外側面と、前記内側空間の方へ向けられる内側面と、ならびに周縁部とを有する少なくとも一つの取付け板であって、また前記取付け板の前記外側面が、接着剤層を介して前記ガラス構成要素の前記内側面に接着される少なくとも一つの取付け板、
−周囲の形鋼ストリップであって、前記取付け板より前記ガラス構成要素の前記内側面の周囲に位置し、また前記内側面上の少なくとも一部に位置する周囲の形鋼ストリップ、
−前記ガラス構成要素の前記内側面にほぼ垂直にかつ前記内側空間に向かって延在するネジ棒。
【0013】
本発明によるグレージングユニットは、前記取付け板が、取付け板の外側面と内側面とに通じる貫通孔を一つ有し、また前記ガラス構成要素が、ガラス構成要素の外側面と内側面とに通じる貫通孔を少なくとも一つ有し、ガラス構成要素の前記孔が、前記取付け板の前記孔と同軸であるということを特徴とする。
【0014】
前記取付け板の孔はこのように、前記外側空間に向かった前記ネジ棒の延長線上に位置している。
【0015】
取付け板内のこの孔は、外側空間に向かったネジ棒の通過と、取付け板に対するネジ棒の自由回転とを可能にすることを目的としている。
【0016】
前記取付け板の前記孔の周囲部分は好ましくは、グレージングユニットと開口部との理論上の位置決めに対する公差調整を容易にするために、取付け板の前記外側面と比べて内側空間の方へ引っ込んでいる。
【0017】
前記ガラス構成要素は好ましくは、個々がガラス構成要素の外側面と内側面とに通じる貫通孔である複数の孔、ならびに複数の取付け板を有し、また該取付け板は孔と同数だけある。グレージングユニットと開口部との間の公差調整は、一つの孔につき一つの取付け板がある場合の方が、一つの取付け板が複数の孔に組み合わされる場合よりも効率的である。
【0018】
第一の実施形態において、ガラス構成要素は、ガラス製または非常に硬いプラスチック材料製(例えばポリカーボネート製)のただ一枚の薄板である。
【0019】
第二の実施形態において、ガラス構成要素は、複層構成要素、すなわち積層構成要素である。この第二の形態において、前記ガラス構成要素は、外側基材、内側基材、および外側基材と内側基材との間に位置するプラスチック材料の挿入薄板を有し、前記基材と前記プラスチック材料の薄板とは個々に縁部を有し、また前記縁部は好ましくは互いに連続している。
【0020】
本発明による積層ガラス構成要素のために利用されるプラスチック材料の薄板または該薄板のそれぞれは、上に配置される薄板ガラスを下に配置される基材に付着させることにより機械的強度をさらに高める能力を有する。この積層ガラス構成要素において、これらのプラスチック材料薄板のうちの少なくとも一つ、さらにはこれらのプラスチック材料薄板の全ては、遮音性能をそのうえ有し得る。
【0021】
この第二の実施形態において、ガラス構成要素における孔の製作はより複雑であり、というのも積層の前に穿孔を実現しなければならないからであるが、しかしこの複雑さは本発明のメリットによって補われる。
【0022】
一変形例において、頭部がガラス構成要素によって保護されるために、また同時に頭部が輸送手段の全体の輪郭を越えて突き出ることになるであろう突出構成要素とならないために、前記ネジ棒は好ましくは、前記孔内に少なくとも部分的に位置しかつ前記ガラス構成要素の前記外側面からはみ出ない頭部を有する。
【0023】
ネジ棒の頭部は、ガラス構成要素の固定の際に取付け板の外側面に直接にまたは間接に押し当てられる状態となる。取付け板内の孔はこのように、輸送手段の車体の開口部へネジ棒がつながれる際に取付け板がガラス構成要素へ反力を伝え得るために、ネジ棒の頭部を留め置くことを目的とする。
【0024】
ネジ棒の前記頭部はそのとき好ましくは、ガラス構成要素の孔内に円形である外側断面を有し、ガラス構成要素の前記孔は円形の内側断面を有し、またガラス構成要素の前記孔は、グレージングユニットと開口部との理論上の位置決めに対する公差調整を容易にするために、ネジ棒の前記頭部の前記外側断面の直径の1.2倍と1.4倍との間に含まれる直径を有する。
【0025】
別の変形例において、前記ネジ棒は、ガラス構成要素をよりよく支えることのできる大きな頭部を利用することを可能にするために、ガラス構成要素の孔の外に、前記外側空間内に位置する頭部を有する。
【0026】
この変形例において好ましくは、頭部と取付け板との間にくさびまたはワッシャーが介在する。
【0027】
前記形鋼ストリップは好ましくは、完全に周辺である。該形鋼ストリップは、ガラス構成要素の全周囲で一続きである。該形鋼ストリップは好ましくは、前記接着剤層の厚みと前記取付け板の厚みとの和を超える厚みを有し、これは一方では前記取付け板と、取付け板と向かい合っている車体側板との間の接触を避けるためであり、また他方ではグレージングユニットの固定の際に形鋼ストリップを圧縮応力下に保持するためである。
【0028】
前記接着剤層は、前記ガラス構成要素の内側面のうちの、前記取付け板の外側面と向かい合っている面の表面の全体にわたって存在する。
【0029】
本発明はまた、輸送手段の側面壁とりわけ路面電車の側面壁の開口部内への、側面の固定式グレージングユニットの固定方法に関しており、前記グレージングユニットは本発明によるものであり、前記ネジ棒は、前記ガラス構成要素の孔からついで前記取付け板の前記孔から前記内側空間に向かって挿入され、それからナットが溝に対して前記ネジ棒に締められる。
【0030】
本発明は有利にはこのように、信頼でき、正確なかつ迅速な仕方で、車体の開口部にガラス構成要素を固定することを可能にする。
【0031】
本発明はとりわけ、車体の開口部に対する固定位置調整における複数の自由点を提供することを可能にし、またそのとき、車体の開口部に対する、ガラス構成要素と取付け板ごとの固定部との各々の位置決めにおけるより大きなずれを補うことを可能にする。
【0032】
本発明は有利にはこのように、凹凸のない外観を示す、すなわちガラス構成要素の外側面よりも外側に機械部品のない固定式複層グレージングユニットを製作することを可能にする。
【0033】
本発明の詳細および有利な特徴は、以下のような添付の図面を用いて説明される、後続の非限定的な例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明による固定式グレージングユニットの一実施形態であって、内側空間から見たものである。
図2図1のグレージングユニットであって、この図のAAにしたがったグレージングユニットの縦断面図で見たものである。
図3図2の取付け板であって、その外側面から見たものである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1から図3において、さまざまな構成要素の寸法間の比率は、それらの読解を容易にするために順守されている。全ての図面において、同じ符号は同じ要素を意味する。
【0036】
図1は、本発明による、輸送手段の側面のグレージングユニット1を示しており、該グレージングユニットはこの輸送手段の内側に位置する乗客が見ることのできるようなものである。
【0037】
これはとりわけ路面電車の側面のグレージングユニットであり、また図1はこのように、路面電車の乗客が、路面電車の一般的な進行方向に対する左側または右側を向きながら見るものを示している。
【0038】
このグレージングユニットはこのように、路面電車の内側である内側空間Iと路面電車の外側である外側空間Eとの間の垂直の仕切りを実現している。
【0039】
図1の実施形態において、グレージングユニット1は一続きであって、グレージングユニットの内側に加工可能な窓はない。
【0040】
示される実施例において、ガラス構成要素10は、以下を含む積層ガラス構成要素である:
−外側空間Eを向く外側面と外側面とは反対側にある中間面とである二つの主要面を有する外側基材15であって、この基材はまた周縁部を有する、
−内側空間Iを向く内側面と内側面とは反対側にある中間面とである二つの主要面を有する内側基材17であって、この基材はまた周縁部を有する、および
−外側基材の方へ向けられる面と内側基材の方へ向けられる面とである二つの主要面ならびに周縁部を有する、外側基材15と内側基材17との間に位置するプラスチック材料の挿入薄板16。
【0041】
外側基材15、プラスチック材料の挿入薄板16および内側基材17は、それぞれが一続きである。これらの三つの構成要素は積み重ねられ、したがって、それらの各々の縁部は互いに連続している。プラスチック材料の挿入薄板は、それらの面のうちのそれぞれの上で、その面に対して位置決めされる基材に付着する。
【0042】
このグレージングユニット1は、グレージングユニットが輸送手段(ここでは路面電車)の構造体に固定されることを目的とし、路面電車の運転の際にこの構造体との関係において動く可能性がないという意味において、固定式グレージングユニットである。
【0043】
ガラス構成要素10はまた、(図1でのように内側から見ると)水平方向の上縁および下縁ならびに側方の左縁および右縁を有する。
【0044】
グレージングユニット1は、輸送手段の側面壁3、とりわけ路面電車の側面壁に固定されることを目的とする。より具体的には、該グレージングユニットは、そのような壁の開口部30内に、該開口部を閉じるために固定されることを目的とする。
【0045】
ただし、グレージングユニットが損傷した場合にグレージングユニットを交換することを可能にするために、グレージングユニットが閉じなければならない開口部へのグレージングユニットの固定手段が解除され得ることが必要である。
【0046】
開口部のこの壁は、外側空間Eの方へ向けられる外側面31と、内側空間Iの方へ向けられる内側面32とを有する。
【0047】
グレージングユニット1は好ましくは、グレージングユニットの縁を輸送手段の構造体と接着することを可能にするであろう周囲の接着剤ビードを有さない。
【0048】
グレージングユニット1は、開口部30内へのその固定のために以下を有する:
−ガラス構成要素10の内側面12と向かい合って位置する外側面21と、内側空間Iの方へ向けられる内側面22と、ならびに周縁部23とを有する、図3で見ることができるような少なくとも一つの取付け板20であって、また取付け板20の外側面21は、図2で見ることができるような接着剤層19を介してガラス構成要素10の前記内側面12に接着される、
−周囲の形鋼ストリップ4であって、また取付け板20よりガラス構成要素10の内側面12の周囲に位置し、また内側面12上の少なくとも一部に位置する周囲の形鋼ストリップ、
−取付け板20を貫通しながらガラス構成要素10の内側面12にほぼ垂直にかつ内側空間Iに向かって延在するネジ棒5。
【0049】
取付け板20はここでは、およそ2mmの厚みの金属合金製板である。
【0050】
本発明によると、取付け板20は、その外側面21とその内側面22とに通じる貫通孔24を一つ有し、またガラス構成要素10は、その外側面11とその内側面12とに通じる貫通孔14を少なくとも一つ有し、ガラス構成要素10の孔14は、取付け板20の孔24と同軸である。
【0051】
取付け板の孔24がガラス構成要素への取付け板の接着の前に製作されており、またガラス構成要素の孔14がガラス構成要素への取付け板の接着の前に製作されているので、同軸度を正確に実現しなければならないのは、ガラス構成要素への取付け板の接着の際である。
【0052】
ガラス構成要素を固定するためにこのように、内側空間Iに向かって外側空間から孔14を通ってネジ棒5を挿入すること、取付け板の外側面21に対してネジ棒5の頭部を押し当てること、開口部30の溝33の孔34内にネジ棒5を挿入すること、そして開口部にグレージングユニットを堅固に固定するために溝33の内側面に対してネジ棒5にナット52を締めることが可能である。
【0053】
この固定して動かなくする操作のために、ネジ棒は、外側空間から適切な道具によってそれ自体が回転するように導かれることができ、または外側空間から回転を止めることができる。
【0054】
この解決案は、図2で示されるような、開口部の外側面31に対する溝33の深さpを、先行技術の解決案より低い値に減少させることを可能にする。このことはこのように、輸送手段の内側の利用可能な空間を増すことを可能にする。
【0055】
深さpはこのように、20.0mmと90.0mmとの間であり得る。該深さはここではおよそ60mmである。
【0056】
図1で見ることができるように、グレージングユニット1が取付け板20を複数有するほうがよく、またしたがってガラス構成要素10が開口部30内へのその固定のための孔14を複数有するほうがよい。
【0057】
例えば30cm(二つの孔24の軸間距離)ごとに、ガラス構成要素10の上縁および下縁に沿って取付け板を準備することが例えば可能である。
【0058】
ネジ棒5は、円形である外側断面を有し、また取付け板20の孔24もまた円形の内側断面を有する。取付け板20の孔24は、ネジ棒5の外側断面の直径の1.1倍と1.4倍との間に含まれる直径を有する。
【0059】
溝33の孔34もまた、ネジ棒5の外側断面の直径の1.1倍と1.4倍との間に含まれる直径を有する。
【0060】
図2は、取付け板20(またしたがってガラス構成要素10)に対するまた開口部30の溝33に対するネジ棒5の理論上の位置、すなわち設計図において準備されるような理想的な位置を示している。この溝は、孔34を有し、また理想的な位置において、ガラス構成要素、取付け板および溝の各々の孔14、24、34のそれぞれが一つの軸を有し、またすべての軸は同軸である。対応する軸は、A軸によって示される。
【0061】
このA軸は好ましくは、ガラス構成要素の縁部13から10.0mmと40.0mmとの間に含まれる距離dに位置し、また該距離はここでは20.0mmである。
【0062】
ただし、実際には、ガラス構成要素、取付け板および溝の各々の製作公差の見地から、同じグレージングユニットの他の単数(または複数)の取付け板については三軸間の同軸度が完璧であるのに、グレージングユニットの少なくとも一つの取付け板について、三軸間の同軸度が完璧ではないことがあり得る。
【0063】
斯くして、孔のうちの少なくとも一つをネジ棒の外径よりもわずかに大きく選択することにより、二つの孔14、24の連続は、同軸度の修正の可能性を提供しながら、その孔からネジ棒を通すことを可能にする。
【0064】
図2および図3で見ることができるように、取付け板20の孔24の周囲部分は好ましくは、外側面21と比べて内側空間Iの方へ引っ込んでおり、すなわち例えば、円錐形の引っ込み部25は、頭部50がこの引っ込み部に対して止められるときネジ棒の軸を容易に修正することを可能にするために孔24の全周囲に製作される。このことは、グレージングユニットと開口部との理論上の位置決めに対する公差調整を容易にする。取付け板20の、その円錐形の引っ込み部のついた、突出部を含めて測った厚みは、ここではおよそ10.0mmである。
【0065】
頭部51はここで、ガラス構成要素10の孔14内に円形である外側断面を有し、ガラス構成要素10の孔14もまた円形の内側断面を有する。ガラス構成要素10の前記孔14は、グレージングユニットと開口部との理論上の位置決めに対する公差調整を容易にするために、頭部51の前記外側断面の直径の1.2倍と1.4倍との間に含まれる直径を有する。
【0066】
ガラス構成要素10は好ましくは、個々がガラス構成要素10の外側面11と内側面12とに通じる貫通孔である複数の孔14ならびに複数の取付け板20を有し、また該取付け板は孔と同数だけある。すなわち、グレージングユニットと開口部との間の公差調整は、一つの孔につき一つの取付け板がある場合の方が、一つの取付け板が複数のネジ棒とともに複数の孔に組み合わされる場合よりも効率的なのである。
【0067】
以下のときに、適切な機械的耐性が図1の例に基づいて得られることが確認された:
−二つの基材15、17がそれぞれ、熱処理またとりわけ焼入れの熱処理のようなガラスを強化することを目的とした処理を受けたガラス製であり、またそれぞれ1mmから4mmの厚み、例えば2mmの厚みであるとき、
−プラスチック材料の薄板16がPVB製でありまた0.76mmの厚みであるとき。
【0068】
示されている実施例において、ネジ棒5は、孔14内に少なくとも部分的に位置しかつガラス構成要素10の外側面11からはみ出ない頭部51を有する。頭部51はこのように、ガラス構成要素によって保護されると同時に、また輸送手段の全体の輪郭を越えて突き出ることになるであろう突出構成要素にもならない。
【0069】
示されていない実施例において、ネジ棒5が、ガラス構成要素をよりよく支えることのできる大きな頭部を利用することを可能にするために、孔14の外に、前記外側空間内に位置する頭部を有することが可能である。
【0070】
形鋼ストリップ4はここでは、二重リップのストリップであり、その二つのリップは溝33と接触している。該形鋼ストリップは、接着剤層19の厚み(およそ1mm)と取付け板20の厚み(およそ10mm)の和を超える厚みを有し、これは一方では取付け板と、取付け板と向かい合っている溝33との間の接触を避けるためであり、また他方では密封性を保証するためにグレージングユニットの固定の際に形鋼ストリップを圧縮応力下に保持するためである。
【0071】
接着剤層19は、ガラス構成要素10の内側面12のうちの、取付け板20の外側面21と向かい合っている面の表面の全体にわたって、この内側面への取付け板の密着を最大にするために存在する。
【0072】
場合によっては、グレージングユニットは、ガラス構成要素10の内側面12の一部に対して位置する保護フィルム6を有するが、そのとき前記取付け板20はより内側に保護フィルム6上に延在する拘束部材を有しない。
【0073】
前記ネジ棒は好ましくは、前記取付け板に接合固定される。つまり該ネジ棒は例えば、グレージングユニットの位置決めを容易にするために、前記取付け板の外にネジ棒が抜けないようにする肩部を有する。
【0074】
本発明は、前述部分において例として記述されている。当業者が本発明のさまざまな変形例を、請求項によって定義されるような特許の範囲から逸脱することなく実現することができると理解される。
【0075】
ガラス構成要素の下部におけるいくつかの固定用取付け板が位置決め用取付け板に替えられること、または別のいくつかの取付け板が位置決めのためにガラス構成要素の下部においてその内側面に対して準備されることを例えば想定することができる。そのような位置決め用取付け板は、ネジ棒のついた取付け板のようにガラス構成要素の決定的な固定を実現することを可能にするものではないが、しかしネジ棒のついた単数または複数の取付け板によるガラス構成要素の決定的な固定を容易にするために、車体の開口部に対する仮の位置決めおよび/または仮のクリップ留めを可能にするものである。
【0076】
位置決め用取付け板において、ネジ棒はこのように、位置決め用取付け板に固定されるクリップ留め用の駒に替えられる。
【0077】
別の例として、位置決め用取付け板は、縦断面でhの形を有するが、これは、開口部内へのグレージングユニットの位置決めの際に、hの切り込みが溝に跨るようになることができるためである。
【0078】
そのとき、位置決め用取付け板と向かい合っているガラス構成要素内に孔が製作される必要はない。
【符号の説明】
【0079】
1 グレージングユニット
4 形鋼ストリップ
5 ネジ棒
10 ガラス構成要素
11 外側面
12 内側面
13 周縁部
19 接着剤層
20 取付け板
21 外側面
22 内側面
23 周縁部
24 貫通孔
図1
図2
図3