(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ヒンジ部と前記第2ヒンジ部との少なくともいずれか一方に開口部が設けられ、前記開口部に他方の前記ヒンジ部が挿入されることで交差部が形成されている、請求項1又は2に記載のヒンジ装置。
上下方向からの平面視において、前記第1取付部及び前記第2取付部の少なくとも一方は、他方の前記取付部と重ならないか、又は、他方の前記取付部と重なる部分全体が前記支持部に連続して繋がっている、請求項1から5のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るヒンジ装置及び収納庫について詳細に説明する。本明細書では、ヒンジ装置が有する回転軸の延びる方向を上下方向とする。また、上下方向と直交する互いに垂直な2つの方向のうち、一方を前後方向、他方を左右方向とする。更に、本明細書では、ヒンジ装置が取り付けられる取付面に直交する方向を前後方向とする。ただし、本明細書における上下、前後、左右は、あくまで説明の便宜のために定義した方向であって、本発明に係るヒンジ装置の使用時の姿勢を限定する意図はない。
<1.収納庫>
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るヒンジ装置が適用される収納庫の一例である冷蔵庫100を示す概略正面図である。
図2は、
図1に示す冷蔵庫100の扉が開いた状態を示す概略正面図である。
図1及び
図2に示すように、冷蔵庫100は、断熱箱体を構成するキャビネット101を有する。キャビネット101は、上側に冷蔵室102、下側に冷凍室103を有する。
【0019】
冷蔵室102には、観音開き式の冷蔵室用扉104、105が設けられている。また、冷凍室103には、観音開き式の冷凍室用扉106、107、108が設けられている。各扉104〜108は、上下に配置されるヒンジを利用した回動によって開閉可能になっている。なお、
図1及び
図2において、各ヒンジの回動軸は上下方向に延びる。
【0020】
本発明の実施形態に係るヒンジ装置Hは、上下方向に延びる回動軸周りに回動可能に、冷蔵室用扉104及び冷凍室用扉106をキャビネット101に連結する。キャビネット101は、本発明の取付対象の一例である。なお、本発明のヒンジ装置は、上下に並ぶ冷蔵室用扉105及び冷凍室用扉107をキャビネット101に連結するために適用されるのが好ましい。また、本発明のヒンジ装置は、上下に並ぶ2つの冷凍室用扉107、108をキャビネット101に連結するために適用されてもよい。
<2.ヒンジ装置の第1実施形態>
【0021】
図3は、本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置H1を示す概略斜視図である。
図4は、
図3のA−A位置における概略断面図である。なお、
図4には、理解を容易とするために、ヒンジ装置H1が取り付けられる取付面109も示されている。
図3及び
図4に示すように、ヒンジ装置H1は、第1ヒンジ部11と第2ヒンジ部12とを備える。第1ヒンジ部11は、冷蔵室用扉104とキャビネット101の取付面109とを連結する。第2ヒンジ部12は、冷蔵室用扉104の下側に配置される冷凍室用扉106と取付面109とを連結する。なお、取付面109は、キャビネット101の上下方向の略中央部に位置する(
図2参照)。冷蔵室用扉104は、本発明の第1扉の一例である。冷凍室用扉106は、本発明の第2扉の一例である。
【0022】
図5は、本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置H1が備える第1ヒンジ部11を示す概略上面図である。
図6は、本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置H1が備える第1ヒンジ部11を示す概略正面図である。
図5及び
図6に示すように、第1ヒンジ部11は、第1回動軸部111と、第1支持部112と、第1取付部113とを有する。
【0023】
第1回動軸部111は上下方向に延びる。第1回動軸部111は、外形略円柱状の金属ピンである。第1回動軸部111は、冷蔵室用扉104の下端部に設けられる穴(不図示)に嵌め込まれる。本実施形態では、第1回動軸部111は、下部寄りにフランジ部111aを有する。フランジ部111aは、第1回動軸部111の第1支持部112からの上方への突出量を所定量とする位置決め機能を有する。
【0024】
第1支持部112は前後左右に広がる。第1支持部112は、前後左右に広がる平面部を有する板金部材で構成される。本実施形態では、第1支持部112は、前後方向に比べて左右方向が長い略矩形状である。なお、前後方向は、
図5における上下方向が該当し、
図6における紙面と直交する方向が該当する。左右方向は、
図5及び
図6における左右方向が該当する。
【0025】
第1支持部112は、第1回動軸部111の下部側を支持する。本実施形態では、第1支持部112は、左右方向の一端部である左端部に第1貫通孔112a(
図4参照)を有する。第1貫通孔112aは、前後方向において、第1支持部112の中央部より前側に設けられる。第1回動軸部111は、その下端部が貫通孔112aに入れられて、かしめにより第1支持部112に固定される。
【0026】
第1取付部113は、第1支持部112の後端部から下方に延びる。第1取付部113は、取付面109に固定される。取付面109は、上下方向と平行な平面である。第1取付部113は、取付面109に平行な平面を有する。第1取付部113は、第1支持部112と同一の部材で構成され、第1支持部112から突出する部分を折り曲げて得られる。
【0027】
本実施形態では、第1取付部113は、左右方向において、第1支持部112の左端から中央部よりもやや左端寄りの位置までの範囲に設けられている。第1取付部113は、前方からの平面視において略矩形状となる板状部である。前方からの平面視において、第1回動軸部111の下方には、第1支持部112と連続して繋がる第1取付部113が存在する(例えば
図6参照)。
【0028】
第1取付部113には、左右方向に間隔をあけて配置される2つの第1長孔113aが設けられる。第1長孔113aは、左右方向に延びる。第1長孔113aは、第1取付部113を前後方向に貫通する。第1長孔113aには、第1ヒンジ部11を取付面109に固定する際に留め具が挿入される。留め具としては、例えばボルト又はネジが挙げられる。第1取付部113に長孔が設けられる理由は、冷蔵室用扉104の左右方向の位置調整を可能とするためである。
【0029】
図7は、本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置H1が備える第2ヒンジ部12を示す概略上面図である。
図8は、本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置H1が備える第2ヒンジ部12を示す概略正面図である。
図7及び
図8に示すように、第2ヒンジ部12は、第2回動軸部121と、第2支持部122と、第2取付部123とを有する。
【0030】
第2回動軸部121は上下方向に延びる。第2回動軸部121は、外形略円柱状の金属ピンである。第2回動軸部121は、冷凍室用扉106の上端部に設けられる穴(不図示)に嵌め込まれる。本実施形態では、第2回動軸部121は、上部寄りにフランジ部121aを有する。フランジ部121aは、第2回動軸部121の第2支持部122からの下方への突出量を所定量とする位置決め機能を有する。
【0031】
第2支持部122は前後左右に広がる。第2支持部122は、前後左右に広がる平面部を有する板金部材で構成される。本実施形態では、第2支持部122は、前後方向に比べて左右方向が長い略矩形状である。第2支持部122は、第1支持部112と略同一形状及び略同一サイズである。なお、第1支持部121と第2支持部122とは、形状が異なってもよいし、サイズが異なってもよい。
【0032】
第2支持部122は、第2回動軸部121の上部側を支持する。本実施形態では、第2支持部122は、左右方向の一端部である左端部に第2貫通孔122a(
図4参照)を有する。第2貫通孔122aは、前後方向において、第2支持部122の中央部より前側に設けられる。第2回動軸部121は、その上端部が貫通孔122aに入れられて、かしめにより第2支持部122に固定される。
【0033】
第2取付部123は、第2支持部122の後端部から上方に延びる。第2取付部123は、取付面109に固定される。第2取付部123、取付面109に平行な平面を有する。第2取付部123は、第2支持部122と同一の部材で構成され、第2支持部122から突出する部分を折り曲げて得られている。
【0034】
本実施形態では、第2取付部123は、左右方向において、第2支持部122の右端から中央部よりもやや右端寄りの位置までの範囲に設けられている。第2取付部123は、前後方向からの平面視において略矩形状となる板状部である。第2取付部123の前後方向の長さ(厚み)は、第1取付部113の前後方向の長さと略同一である。
【0035】
第2取付部123には、左右方向に間隔をあけて配置される2つの第2長孔123aが設けられる。第2長孔123aは、左右方向に延びる。第2長孔123aは、第1取付部123を前後方向に貫通する。第2長孔123aには、第2ヒンジ部12を取付面109に固定する際に留め具(例えばボルト等)が挿入される。第2取付部123に長孔が設けられる理由は、冷凍室用扉106の左右方向の位置調整を可能とするためである。
【0036】
第1ヒンジ部11においては、前後方向に関して、第1取付部113が設けられる部分の幅が、第1取付部113が設けられない部分の幅に比べて広い。第1ヒンジ部11は、後面側に第1段差部114を有する(
図5参照)。また、第2ヒンジ部12においては、前後方向に関して、第2取付部123が設けられる部分の幅が、第2取付部123が設けられない部分に比べて広い。第2ヒンジ部12は、後面側に第2段差部124を有する(
図7参照)。
図3に示すように、これら2つの段差部114、124を利用して、第1ヒンジ部11と第2ヒンジ部12とは交差部C1を有する。
【0037】
図3及び
図4に示すように、ヒンジ装置H1においては、第1支持部112が第2支持部122の上側に配置される。本実施形態では、第1支持部112と第2支持部122とは、上下方向からの平面視において四隅の位置が略一致する。また、上下方向からの平面視において、第1回動軸部111と第2回動軸部121とは重なる位置に設けられる。なお、第1回動軸部111と第2回動軸部121とは回動中心の位置が一致してもよいし、ずれてもよい。場合によっては、第1回動軸部111と第2回動軸部121とは、上下方向からの平面視において、全く重らなくてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、上下方向において、第1支持部112と第2支持部122との間に隙間が形成される構成になっている。このために、第1ヒンジ部11または第2ヒンジ部12を位置調整する際に、他方のヒンジ部に干渉することなくスムーズに位置調整を行える。また、上下方向にも若干量位置調整することができる。なお、第1ヒンジ部11および第2ヒンジ部12が上下方向の位置調整を不要とする場合は、第1支持部112と第2支持部122とは接触してもよい。このようにすれば、冷蔵室用扉104の荷重がかかる第1ヒンジ部11を、第2ヒンジ部12によっても支えることができる。
【0039】
第1支持部112が第2支持部122の上側に配置された状態で、第1取付部113と第2取付部123とは左右方向の反対位置に設けられており、互いに当接しない。第1取付部113は、第2ヒンジ部12の前後方向の幅が狭い部分の後側を通過して下方に突出する。一方、第2取付部123は、第1ヒンジ部11の前後方向の幅が狭い部分の後側を通過して上方に突出する。すなわち、第1取付部113は、第2支持部122より下方に配置され、第2取付部123は、第1支持部112より上方に配置される。なお、第1取付部113及び第2取付部123は、
図4に示すようにその後面が略面一となって、取付面109に取り付けられる。
【0040】
図9は本発明の第1実施形態に係るヒンジ装置H1が適用される冷蔵庫100のヒンジ装置H1周りを拡大して示した概略断面図である。
図9は、冷蔵庫100の扉104、106が閉じられた状態を示す。第1ヒンジ部11及び第2ヒンジ部12は、第1支持部112が第2支持部122の上に配置された状態で取付面109に取り付けられている。第1ヒンジ部11及び第2ヒンジ部12は留め具F(例えばボルト)によって取付面109に固定されている。
【0041】
冷蔵室用扉104の下面104aには、挿入穴1041が設けられる。挿入穴1041は上下方向に延び、第1回転軸部111が挿入される。冷凍室用扉106の上面106aには、挿入穴1061が設けられる。挿入穴1061は上下方向に延び、第2回転軸部121が挿入される。前方から見て(
図9の矢印V方向から見て)、第1取付部113の留め具Fが取り付ける箇所は、閉じられた冷凍室用扉106に隠されるが、閉じられた冷蔵室用扉104には隠されない。また、前方から見て、第2取付部123の留め具Fが取り付ける箇所は、閉じられた冷蔵室用扉104に隠されるが、閉じられた冷凍室用扉106には隠されない。
【0042】
このような冷蔵庫100の組み立てにおいては、例えば、冷凍室用扉106をキャビネット101に取り付けた後に、冷蔵室用扉104がキャビネット101に取り付けられる。第2ヒンジ部12は、まず、第2回転軸部121が挿入穴1061に挿入され、冷凍室用扉106を保持する。この状態で第2ヒンジ部12が取付面109に固定されることによって、冷凍室用扉106はキャビネット101に回動可能に取り付けられる。冷凍室用扉106を閉めた姿勢としても、第2取付部123が冷蔵庫100前方から見える状態で、扉106の左右調整を行える。この結果、冷凍室用扉106の位置調整を経験や勘に頼ることなく、効率良く行うことができる。
【0043】
第1ヒンジ部11は、第2ヒンジ部12が取付面109に留め具Fで固定された状態において、段差部114、124を利用して、第2ヒンジ部12に組み合わせることができる。第2ヒンジ部12に組み合わされた第1ヒンジ部11は、第1回転軸部111が挿入穴1041に挿入され、冷蔵室用扉104を保持する。この状態で第1ヒンジ部11が取付面109に固定されることによって、冷蔵室用扉104はキャビネット101に回動可能に取り付けられる冷蔵室用扉104の取付の際に、冷凍室用扉106を開けておけば、冷蔵室用扉104を閉めた姿勢としても、第1取付部113が見える状態で、扉104の左右調整を行える。この結果、冷蔵室用扉104の位置調整を経験や勘に頼ることなく、効率良く行うことができる。
【0044】
本実施形態のヒンジ装置H1では、2つのヒンジ部11、12は交差部C1を有する。このために、上下方向に2つのヒンジ部11、12を並べているにもかかわらず、ヒンジ装置H1に要する上下方向のスペースを小さくすることができる。したがって、本実施形態のヒンジ装置H1を利用すれば、冷蔵庫100の上下方向の小型化を図ることができる。また、2つの回動軸部111、121が上下方向に重なる位置に設けられているために、冷蔵室102及び冷凍室103のいずれか一方の左右方向の幅が小さくなることを避けることができる。
【0045】
第1ヒンジ部11は、扉104を下側から支える。このために、第1ヒンジ部11には、大きな荷重がかかりやすい。この点、本実施形態では、前方からの平面視において、第1回動軸部111の下方には、第1支持部112と連続して繋がる第1取付部113が存在し、第1回動軸111近傍の強度が強くされている。このために、扉104をしっかりと支えることができる。
【0046】
本実施形態では、上下方向からの平面視において、第1取付部113と第2取付部123とは重ならない。このために、第1ヒンジ部11は、第2ヒンジ部12が取付面109に固定された状態のままでも、上側に引き抜くことができる。また、第2ヒンジ部12は、第1ヒンジ部11が取付面109に固定された状態のままでも、下側に引き抜くことができる。例えば、2つのヒンジ部11、12が留め具Fによって取付面109に固定された後に、いずれか一方のみを調整し直したいことがある。このような場合に、調整したい方のヒンジ部の留め具だけを外せばよいので便利である。
<3.ヒンジ装置の第2実施形態>
【0047】
次に、第2実施形態のヒンジ装置について説明する。なお、第2実施形態のヒンジ装置の説明にあたっては、第1実施形態と重複する内容の説明は適宜省略する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置H2を示す概略斜視図である。
図11は、
図10のB−B位置における概略断面図である。なお、
図11には、理解を容易とするために、ヒンジ装置H2が取り付けられる取付面109も示されている。
図10及び
図11に示すように、ヒンジ装置H2は、第1ヒンジ部21と第2ヒンジ部22とを備える。第1ヒンジ部21は、冷蔵室用扉104とキャビネット101の取付面109とを連結する。第2ヒンジ部22は、冷凍室用扉106と取付面109とを連結する。
【0048】
図12は、本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置H2が備える第1ヒンジ部21を示す概略上面図である。
図13は、本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置H2が備える第1ヒンジ部21を示す概略正面図である。
図12及び
図13に示すように、第1ヒンジ部21は、第1回動軸部211と、第1支持部212と、第1取付部213とを有する。
【0049】
上下方向に延びる第1回動軸部211は、第1実施形態の第1回動軸部111と同様の構成であるので、その詳細な説明は省略する。また、前後左右に広がる第1支持部212も、第1実施形態の第1支持部112と概ね同様の構成であるので、重複する部分については、その説明を省略する。
【0050】
第1取付部213は、第1支持部212の後端部から下方に延びる。第1取付部213は、取付面109に平行な平面を有し、取付面109に固定される。第1取付部213は、第1支持部212と同一の部材で構成され、第1支持部212から突出する部分を折り曲げて得られる。第1取付部213には、第1実施形態の場合と同様に、左右方向に間隔をあけて配置される2つの第1長孔213aが設けられる。
【0051】
本実施形態では、第1取付部213の左右方向の長さは、第1支持部212の左右方向の長さと同じである。第1取付部213は、前方からの平面視において略矩形状となる板状部である。前方からの平面視において、第1回動軸部211の下方には、第1支持部212と連続して繋がる第1取付部213が存在する。このために、大きな荷重が加わる第1回動軸部211近傍の強度が強く、扉104をしっかりと支えることができる。
【0052】
第1ヒンジ部21は開口部214を有する。開口部214は、本発明の開口部の一例である。開口部214は、第1支持部212と第1取付部213とに跨って設けられる。開口部214は、左右方向の略中央部に設けられる。開口部214は貫通孔である。開口部214は、例えば、第1取付部213が折り曲げ形成される前に板金部材をプレス成形して得られる。本実施形態では、板金部材に略矩形状の孔を形成することによって、開口部214は得られる。
【0053】
図14は、本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置H2が備える第2ヒンジ部22を示す概略上面図である。
図15は、本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置H2が備える第2ヒンジ部22を示す概略正面図である。
図14及び
図15に示すように、第2ヒンジ部22は、第2回動軸部221と、第2支持部222と、第2取付部223とを有する。
【0054】
第2実施形態の第2ヒンジ部22は、第1実施形態の第2ヒンジ部12と概ね同様の構成であるので、重複する部分については、その説明を省略する。第2ヒンジ部22は、第1実施形態の第2ヒンジ部12と同様に、2つの長孔223aを有する第2取付部223を有する。ただし、第2取付部223は、第1実施形態の場合と異なり、左右方向の略中央部に設けられている。
【0055】
第2ヒンジ部22においては、前後方向に関して、第2取付部223が設けられる部分の幅が、第2取付部223が設けられない部分の幅に比べて広い。第2ヒンジ部22は、後面側に2つの段差部224を有する(
図14参照)。第1ヒンジ部21に設けられる開口部214と、第2ヒンジ部22に設けられる2つの段差部224を利用して、
図10に示すように、第1ヒンジ部21と第2ヒンジ部22とは交差部C2を有する。
【0056】
図10及び
図11に示すように、ヒンジ装置H2においては、第1実施形態のヒンジ装置H1と同様に、第1支持部212が第2支持部222の上側に配置される。第1支持部212が第2支持部222の上側に配置された状態で、第2取付部223が開口部214に挿入される。このために、第2取付部223は、第1ヒンジ部21に当接することなく上方に突出する。開口部214の左右方向の幅は、第2取付部223の左右方向の幅より大きい。また、第1取付部213は、段差部224を利用して第2ヒンジ部22に当接することなく下方に突出する。すなわち、第1取付部213は、第2支持部222より下方に配置され、第2取付部223は、第1支持部212より上方に配置される。なお、第1取付部213及び第2取付部223は、
図11に示すように、それらの後面が略面一となって、取付面109に取り付けられる。
【0057】
冷蔵庫100の組み立てにおいては、例えば、冷蔵室用扉104をキャビネット101に取り付けた後に、冷凍室用扉106がキャビネット101に取り付けられる。なお、この手順は、第1実施形態の場合と逆である。第1ヒンジ部
21は、下方に延びる第1取付部213を有する。このため、冷蔵室用扉104の取付の際に、冷蔵室用扉104を閉めた姿勢としても、第1取付部213が見える状態で、扉104の左右調整を行える。この結果、冷蔵室用扉104の位置調整を経験や勘に頼ることなく、効率良く行うことができる。
【0058】
第2ヒンジ部22は、第1ヒンジ部21が取付面109に留め具(例えばボルト等)で固定された状態において、開口部214及び段差部224を利用して、第1ヒンジ部21に組み合わせることができる。第1ヒンジ部21に組み合わされた第2ヒンジ部22は、上方に延びる第2取付部223を有する。このため、冷凍室用扉106の取付の際に、冷蔵室用扉104を開けておけば、冷凍室用扉106を閉めた姿勢としても、第2取付部223が見える状態で、扉106の左右調整を行える。この結果、冷凍室用扉106の位置調整を経験や勘に頼ることなく、効率良く行うことができる。
【0059】
この他、第2実施形態のヒンジ装置H2は、第1実施形態のヒンジ装置H1と同様の効果を得られる。また、第2実施形態のヒンジ装置H2では、第1実施形態のヒンジ装置H1に比べて、第1取付部213に設けられる2つの長孔213aの左右方向の間隔を広くできる。
【0060】
なお、第2実施形態のヒンジ装置H2では、上下方向からの平面視において、第1取付部213は、一部(
図12において破線で囲まれる部分)が第2取付部223と重なる。当該重なった部分は、開口部214の存在によって第1支持部212と分断されており、第1支持部212に連続して繋がっていない。第2ヒンジ部22が取付面109に固定された状態で第1ヒンジ部21を上側に引き抜こうとしても、第2ヒンジ部22が邪魔して第1ヒンジ部21は上側に引き抜けない。
【0061】
図16は、本発明の第2実施形態に係るヒンジ装置H2が備える第1ヒンジ部21の変形例を示す概略正面図である。変形例の第1ヒンジ部21は、第1取付部213が左右方向に分断されており、上下方向からの平面視において、第1取付部213は第2取付部223と重ならない。このために、第1ヒンジ部21は、第2ヒンジ部22が取付面109に固定された状態で上側に引き抜くことができる。
【0062】
第2実施形態のヒンジ装置H2では、上下方向からの平面視において、第2取付部223は、第1取付部213の一部と重なる。ただし、第2取付部223は、その全体が第2支持部222に連続して繋がっている。第2ヒンジ部22は、第1ヒンジ部21が取付面109に固定されていても、第2取付部223が開口部214を通過できるために下側から引き抜くことができる。
【0063】
なお、開口部214の前後方向の幅W1は、第1取付部213の前後方向の幅(厚み)W2と第2取付部223の前後方向の幅W3との合計より大きいのが好ましい(
図11参照)。これにより、第1ヒンジ部21又は第1ヒンジ部21を固定する留め具との接触を回避して、第2ヒンジ部22の引き抜きを行い易くできる。本実施形態では、第1取付部213の前後方向の幅W2と、第2取付部223の前後方向の幅W3とは同じである。
<4.ヒンジ装置の第3実施形態>
【0064】
次に、第3実施形態のヒンジ装置について説明する。なお、第3実施形態のヒンジ装置の説明にあたっては、第1実施形態と重複する内容の説明は適宜省略する。
図17は、本発明の第3実施形態に係るヒンジ装置H3を示す概略斜視図である。
図18は、
図17のD−D位置における概略断面図である。
図19は、
図17のE−E位置における概略断面図である。なお、
図18及び
図19には、理解を容易とするために、ヒンジ装置H3が取り付けられる取付面109も示されている。
【0065】
図17から
図19に示すように、ヒンジ装置H3は、第1ヒンジ部31と第2ヒンジ部32とを備える。第1ヒンジ部31は、冷蔵室用扉104とキャビネット101の取付面109とを連結する。第2ヒンジ部32は、冷蔵室用扉104の下側に配置される冷凍室用扉106と取付面109とを連結する。
【0066】
図20は、本発明の第3実施形態に係るヒンジ装置H3が備える第1ヒンジ部31を示す概略上面図である。
図21は、本発明の第3実施形態に係るヒンジ装置H3が備える第1ヒンジ部31を示す概略正面図である。
図20及び
図21に示すように、第1ヒンジ部31は、第1回動軸部311と、第1支持部312と、第1取付部313とを有する。
【0067】
上下方向に延びる第1回動軸部311は、第1実施形態の第1回動軸部111と同様の構成であるので、その詳細な説明は省略する。前後左右に広がる第1支持部312は、第1実施形態の第1支持部112とは形状が異なる。ただし、第1支持部312の形状は適宜変更可能であり、第1実施形態と同様にしてもよい。第1支持部312が第1回動軸部311を支持する構造は、第1実施形態の第1支持部112が第1回動軸部111を支持する構造と同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
第1取付部313は、第1支持部312の後端部から下方に延びる。第1取付部313は、取付面109に平行な平面を有し、取付面109に固定される。第1取付部313は、第1支持部312と同一の部材で構成され、第1支持部312から突出する部分を折り曲げて得られる。
【0069】
本実施形態では、第1取付部313は、第1開口部314を左右方向に挟む板状の第1部分3131と第2部分3132とを有する。第1部分3131、第2部分3132、及び、第1開口部314は、ぞれぞれ、前方からの平面視において略矩形状である。第1部分3131は、左右方向において、第1支持部312の左端から中央部よりもやや左端寄りの位置までの範囲に設けられている。第2部分3132は、第1支持部312の右端よりやや中央部寄りの位置から中央部よりも右端寄りの位置までの範囲に設けられている。第1部分3131の左右方向の幅は、第2部分3132の左右方向の幅より大きい。前方からの平面視において、第1回動軸部311の下方には、第1支持部312と連続して繋がる第1取付部313が存在する。このために、大きな荷重が加わる第1回動軸部311近傍の強度が強く、扉104をしっかりと支えることができる。
【0070】
第1取付部313は、第1部分3131と第2部分3132とにそれぞれ1つずつ配置される第1長孔313aを有する。第1長孔313aの形状、及び、第1長孔313aが設けられる目的は第1実施形態と同様である。
【0071】
図22は、本発明の第3実施形態に係るヒンジ装置H3が備える第2ヒンジ部32を示す概略上面図である。
図23は、本発明の第3実施形態に係るヒンジ装置H3が備える第2ヒンジ部32を示す概略正面図である。
図22及び
図23に示すように、第2ヒンジ部32は、第2回動軸部321と、第2支持部322と、第2取付部323とを有する。
【0072】
上下方向に延びる第2回動軸部321は、第1実施形態の第2回動軸部121と同様の構成であるので、その詳細な説明は省略する。前後左右に広がる第2支持部322は、第1実施形態の第2支持部122とは形状が異なる。ただし、第2支持部322の形状は適宜変更可能であり、第1実施形態と同様にしてもよい。第2支持部322が第2回動軸部321を支持する構造は、第1実施形態の第2支持部122が第2回動軸部121を支持する構造と同様であるので、その説明を省略する。
【0073】
第2取付部323は、第2支持部322の後端部から上方に延びる。第2取付部
323は、取付面109に平行な平面を有して取付面109に固定される。第2取付部323は、第2支持部322と同一の部材で構成され、第2支持部322から突出する部分を折り曲げて得られる。
【0074】
本実施形態では、第2取付部323は、左右方向において、第2支持部322の右端から左端手前の位置までの範囲に設けられる。第2取付部323は、前方からの平面視において略矩形状となる板状部である。第2取付部323には、左右方向に間隔をあけて配置される2つの第2長孔323aが設けられる。第2長孔323aの形状、及び、第2長孔323aが設けられる目的は第1実施形態と同様である。
【0075】
第2ヒンジ部32は、第2支持部322と第
2取付部323とに跨って設けられる2つの第2開口部324を有する。詳細には、2つの第2開口部324は、左右方向に間隔をあけて設けられ、形状が異なる。右側に設けられる第2開口部324は孔形状であり、左側に設けられる第2開口部324は左端が開放された切り欠き形状である。第2開口部324は、例えば、第2取付部323が折り曲げ形成される前に板金部材をプレス成形して得られる。本実施形態では、板金部材に略矩形状の貫通孔或いは切り欠きを形成することによって、第2開口部324は得られる。
【0076】
図17から
図19に示すように、ヒンジ装置H3においては、第1実施形態のヒンジ装置H1と同様に、第1支持部312が第2支持部322の上側に配置される。第1開口部
314及び第2開口部
324の存在により、第1ヒンジ部31と第2ヒンジ部32とは交差部C3を有する。
【0077】
第1支持部312が第2支持部322の上側に配置された状態で、第1部分3131が左側の第2開口部3
24に挿入され、第2部分3132が右側の第2開口部3
24に挿入される。これにより、第1取付部313は、第2支持部322より下方に配置される。また、第2取付部323は、第1支持部312より上方に配置される。
【0078】
なお、本実施形態では、第1部分3131の左右方向の幅の方が左側の第2開口部3
24の左右方向の幅より大きい。ただし、左側の第2開口部3
24の左端部が開放されているために、第1部分3131は左側の第2開口部3
24に挿入することができる。また、第2部分3132の左右方向の幅は、右側の第2開口部3
24の左右方向の幅より小さい。第1取付部313及び第2取付部323は、
図18及び
図19に示すように、それらの後面が略面一となって、取付面109に取り付けられる。
【0079】
冷蔵庫100の組み立てにおいては、例えば、冷凍室用扉106をキャビネット101に取り付けた後に、冷蔵室用扉104がキャビネット101に取り付けられる。第2ヒンジ部32は、上方に延びる第2取付部323を有する。このため、冷凍室用扉106の取付の際に、冷凍室用扉106を閉めた姿勢としても、第2取付部323が見える状態で、扉106の左右調整を行える。この結果、冷凍室用扉106の位置調整を経験や勘に頼ることなく、効率良く行うことができる。
【0080】
第1ヒンジ部31は、第2ヒンジ部32が取付面109に留め具(例えばボルト等)で固定された状態において、第1開口部314及び第2開口部324を利用して、第2ヒンジ部32に組み合わせることができる。第2ヒンジ部32に組み合わされた第1ヒンジ部31は、下方に延びる第1取付部313を有する。このため、冷蔵室用扉104の取付の際に、冷凍室用扉106を開けておけば、冷蔵室用扉104を閉めた姿勢としても、第1取付部313が見える状態で、扉104の左右調整を行える。この結果、冷蔵室用扉104の位置調整を経験や勘に頼ることなく、効率良く行うことができる。
【0081】
この他、第3実施形態のヒンジ装置H3は、第1実施形態のヒンジ装置H1と同様の効果を得られる。また、第3実施形態のヒンジ装置H2では、第1実施形態のヒンジ装置H1に比べて、第1取付部313及び第2取付部323に設けられる2つの長孔313aの左右方向の間隔を広くできる。
【0082】
なお、第3実施形態のヒンジ装置H3では、上下方向からの平面視において、第1取付部313は、第2取付部323と重なる部分を有する。当該重なった部分の全体は、第1支持部312に連続して繋がっている。第1ヒンジ部31は、第2ヒンジ部32が取付面109に固定された状態であっても、第1取付部313が第2開口部324を通過できるために上側から引き抜くことができる。
【0083】
第2開口部324の前後方向の幅W4は、第1取付部313の前後方向の幅W5と第2取付部323の前後方向の幅W6との合計より大きいのが好ましい(
図19参照)。更には、第2開口部324の前後方向の幅W4は、第1取付部313の前後方向の幅W5と、第2取付部323の前後方向の幅W6と、
図19に破線で示す留め具F(例えばボルト等)が第2取付部323から前方に突出する長さW7との合計より大きいのが好ましい。これにより、第2ヒンジ部32又は第2ヒンジ部32を固定する留め具Fとの接触を回避して、第1ヒンジ部31の引き抜きを行い易くできる。本実施形態では、第1取付部313の前後方向の幅W5と、第2取付部323の前後方向の幅W6とは同じである。
【0084】
第3実施形態のヒンジ装置H3では、上下方向からの平面視において、第2取付部323は、第1取付部313と重なる部分を有する。当該重なる部分の一部は、第2開口部324の存在によって第2支持部322と分断されており、第2支持部322に連続して繋がっていない。第1ヒンジ部31が取付面109に固定された状態で第2ヒンジ部32を下側に引き抜こうとしても、第1ヒンジ部31が邪魔して第2ヒンジ部32は下側に引き抜けない。下側への引き抜きを可能とするために、上下方向からの平面視において、第2取付部323は、第1取付部313と重ならないか、又は、第1取付部313と重なる部分全体が第2支持部322に連続して繋がっている構成に変更してもよい。
【0085】
また、第3実施形態では、好ましい構成として、第1開口部314の左右方向の幅W8が、2つの第2開口部324の左右方向の幅の合計(W9+W10)より小さくなっている。このように構成すると、第2ヒンジ部32に比べて大きな荷重がかかる第1ヒンジ部31について、第1取付部313の左右方向の幅を大きくできるので好ましい。
【0086】
図24は、本発明の第3実施形態のヒンジ装置H3の変形例を示す概略正面図である。変形例の構成では、第2ヒンジ部32の第2支持部322が段差構造を有する。詳細には、第2回動軸部321が設けられる位置近傍が下に下がる段差構造になっている。第2回動軸部321は中空軸である。取付面109に設けられる開口109aは、第1開口部314と重なっている。開口109aから引き出された配線40は、第1開口部314と、段差を構成する上下方向に延びる壁部3221に設けられる貫通孔(不図示)を介して第
2回動軸部321に至る。配線40は、第
2回動軸部321の内部を通って所定の箇所に導かれる。本変形例の構成では、第1開口部314を利用してハーネス処理を行っている。この構成では、ヒンジ装置H3は、配線40を覆うカバーを有するのが好ましい。
【0087】
以上に示した実施形態や変形例の構成は、本発明の例示にすぎない。実施形態や変形例の構成は、本発明の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、複数の実施形態及び変形例は、可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0088】
例えば、以上においては、ヒンジ装置H1〜H3を構成する第1ヒンジ部と第2ヒンジ部とは、上下方向から組み合わされる構成とした。しかし、これらの構成は例示にすぎない。
図25は、本発明のヒンジ装置の更なる他の実施形態を示す概略斜視図である。
図25に示すように、ヒンジ装置は、第1ヒンジ部51と第2ヒンジ部52とを有する。
【0089】
第1回動軸部511を有する第1ヒンジ部51は、第1支持部512と第1取付部513とに跨って第1開口部514を有する。第1開口部514は、左右方向において、右端から中央部を超える位置まで延びる。第2回動軸部521を有する第2ヒンジ部52は、第2支持部522と第2取付部523とに跨って第2開口部524を有する。第2開口部524は、左右方向において、左端から中央部を超える位置まで延びる。第1ヒンジ部51と第2ヒンジ部52とは、2つの開口部514、524を利用して左右方向から組み合わせて交差部を有する構成にできる。2つのヒンジ部51、52の組み合わせによって、ヒンジ装置は、第1支持部512が第2支持部522の上側に配置された状態で、第1取付部513が第2支持部521より下方に配置され、第2取付部523が第1支持部512より上方に配置される。
【0090】
本発明のヒンジ装置は、観音開き式の扉に限らず、片開き式の扉にも適用可能である。また、本発明のヒンジ装置は、冷蔵庫に限らず、2つの扉が回動軸の延びる方向に並ぶ収納庫に適用することができる。収納庫は、例えば、電気機器を構成する要素であってもよいし、家具を構成する要素であってもよい。