【実施例1】
【0044】
図3は、実施例1に係る注水筒部4の一例を示す。
図3において、
図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0045】
この注水筒部4は、後側口部20を本体部4−2と別部材にし、本体部4−2と着脱可能としてよい。たとえば、本体部4−2の空間部18の開口部40にはねじ部42を備え、後側口部20の径小部44にもねじ部46を形成すれば、本体部4−2の後端側開口部に後側口部20の径小部44を挿入し、ねじ部42、46間を合体させ、後側口部20を本体部4−2に装着できる。この場合、後側口部20の装着で空間部18の後部側が閉じられ、空間部18が後側口部20側の注水路12と連通する。本体部4−2は冷水タンク8の取付部48に貫通させて、冷水タンク8に溶接などにより固定すればよい。
【0046】
図4は、注水筒部4および水容器10の一例を示している。冷水タンク8は一例として容器部50と蓋部52が備えられている。蓋部52に形成された周回状の湾曲部54にOリング56が装着されており、このOリング56を介在させて蓋部52に容器部50の開口縁部を密着させる。蓋部52には既述の注水筒部4とともに、エアー抜き機構部6のエアー抜き筒58が取り付けられている。このエアー抜き筒58には既述のエアー抜き弁30が取り付けられる。
【0047】
水容器10は合成樹脂などで形成され、剛性材料としてたとえば、ダンボール紙などで形成された立方体状の保形容器60に収容されている。この保形容器60の開口部62には注水筒部4用の差込み部64が形成されている。この差込み部64にはガイド部66で包囲された穿孔可能部68が形成されている。穿孔可能部68は合成樹脂など、素材の持つ柔軟性により穿孔可能に形成されている。この穿孔可能部68に対し、ガイド部66に注水筒部4をガイドさせてニードル部4−1を突き刺し、挿入部22を差し込めば、水容器10と冷水タンク8を容易に合体させ、両者を密閉状態に維持することができる。
【0048】
<実施例1の効果>
【0049】
この実施例1によれば、次の効果が得られる。
【0050】
(1) 一実施の形態で述べたのと同様の効果が実施例1で得ることができる。
【0051】
(2) 実施例1では本体部4−2と後側口部20を別部材として構成し、本体部4−2と後側口部20を着脱可能にしたので、注水筒部4の製造加工を容易化するとともに、注水筒部4内の注水路12や空間部18を容易に清掃することができる。
【0052】
(3) 空間部18を備えた本体部4−2では空間部18を持たない場合に比較して軽量化および堅牢化することができ、これにより、注水筒部4の軽量化と堅牢化を図ることができる。
【実施例2】
【0053】
図5は、実施例2に係るウォーターサーバーの一例を示している。
図5において、
図1〜
図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0054】
このウォーターサーバー70では、筐体72の上部に水容器10が設置され、この水容器10はたとえば、伸縮性のある合成樹脂容器であり、冷水タンク8に給水すると、水Wを流出させた分だけ収縮して容積を縮小して変形する。
【0055】
この水容器10と冷水タンク8の注水筒部4との着脱構造については既述の通りであるから、その説明を割愛する。
【0056】
冷水タンク8のエアー抜き機構部6に接続されたエアー抜きパイプ32にはフィルタ74が接続されている。
【0057】
冷水タンク8には分離板78が備えられ、冷水タンク8の冷水LW側と水容器10から給水される水Wが分離板78で分離される。この分離板78の中央には温水タンク80側に水Wを導く給水管82が連結されている。
【0058】
冷水タンク8には外壁部に冷却装置として、エバポレータ84が備えられる。エバポレータ84にはコンプレッサー86より冷媒が循環し、冷水タンク8側の熱を奪う。冷水タンク8内の冷水LWの温度が温度センサ88−1で検出される。この検出温度によってコンプレッサー86が制御され、冷水LWが一定の冷水温度に制御される。このコンプレッサー86の制御は、制御部90によって実行される。
【0059】
冷水タンク8の冷水LWの提供は冷水口92から行われる。この冷水口92には冷水タンク8の底面側から冷水供給路94により給水され、冷水電磁弁96−1の開閉で給水、またはその解除が行われる。冷水電磁弁96−1は、制御部90で制御され、操作パネル部98にある冷水スイッチ100の押下中に開状態、その押下の解除で閉状態となる。
【0060】
温水タンク80には外壁部に加熱手段として、温水ヒーター102が備えられる。温水ヒーター102はたとえば、電熱ヒーターであり、発熱によって温水タンク80を加熱する。温水タンク80内の温水HWの温度は温度センサ88−2で検出される。この検出温度によって温水ヒーター102が制御され、温水HWが一定の温水温度に制御される。この温水ヒーター102の制御は、制御部90によって実行される。
【0061】
温水タンク80の温水HWの提供は温水口104から行われる。温水口104には温水HWが温水タンク80の天井側から温水供給路106により給水され、温水電磁弁96−2の開閉で給水、またはその解除が行われる。温水電磁弁96−2は、制御部90で制御され、温水スイッチ108の押下中に開状態、その押下の解除で閉状態となる。
【0062】
冷水タンク8と温水タンク80の間には給水管82と並行してバイパス管路110が連結されている。このバイパス管路110にはバイパス弁96−3が備えられる。高温水循環時、バイパス弁96−3が開状態に制御されることにより、給水管82およびバイパス管路110を高温水循環路として高温水VHWが温水タンク80側から冷水タンク8側に循環する。この高温水循環時、制御部90で温水ヒーター102を制御し、温水タンク80の温水HWが高温水VHWに高温化される。
【0063】
図6は、制御部90の一例を示している。この制御部90はコンピューターで構成される。この制御部90にはプロセッサ112、メモリ部114、マルチタイマー116、入出力部(I/O)118が備えられる。
【0064】
プロセッサ112は、メモリ部114にあるプログラムを実行し、冷温水の制御を行う一方、既述の高温水循環の制御を行う。このプログラムには高温水循環プログラムが含まれる。
【0065】
メモリ部114は、記憶手段の一例であって、プロセッサ112で実行するプログラムや、スイッチに割り付けられる高温水循環の開始時点、高温水循環時間などのデータが格納される。このメモリ部114にはROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)が備えられ、ハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体を用いればよい。
【0066】
マルチタイマー116はたとえば、電源投入時を契機に時間を計測し、システム内のクロックをカウントアップし、電源投入時点からの経過時間を連続して計測する。
【0067】
水位センサ38、温度センサ88−1、88−2の検出信号、ロック解除スイッチ120、操作パネル部98にある冷水スイッチ100、温水スイッチ108、省エネスイッチ122のオン・オフ信号がI/O118に入力される。I/O118からエアー抜き弁30、コンプレッサー86、冷水電磁弁96−1、温水電磁弁96−2、バイパス弁96−3、温水ヒーター102に対して制御出力が発せられ、操作パネル98にある冷水タンクアラームランプ124−1、ロック解除表示ランプ124−2、温水表示ランプ124−3、高温表示ランプ124−4、冷水表示ランプ124−5、弱冷表示ランプ124−6、繰返し設定表示ランプ124−7、省エネ中表示ランプ124−8、高温水循環表示ランプ124−9に対して表示出力が発せられる。冷水タンクアラームランプ124−1は、冷水タンク8への給水を促す表示を生成し、水位センサ38のOFFで、短周期の点滅を開始させ、冷水スイッチ100および温水スイッチ108の同時長押しで長周期の点滅に移行し、水位センサ38のONで消灯させる。
【0068】
<ウォーターサーバー70の制御>
【0069】
図7は、ウォーターサーバー70の制御動作の処理手順を示している。
【0070】
この処理手順では、給電開始は電源スイッチの投入により行われる。この給電開始を契機とし、ウォーターサーバー70の初期化を実行し(S101)、初期化の後、水位センサ38がONか否かの判定を行う(S102)。
【0071】
水位センサ38がONしていなければ(S102のNO)、冷水タンクアラームランプ124−1が点滅する(S103)。この場合、ユーザーに次の操作を促すため、点滅は短周期に設定されている。
【0072】
冷水スイッチ100および温水スイッチ108の同時押しに割りつけられた所定時間の同時押しを判定する(S104)。冷水スイッチ100および温水スイッチ108の同時押しが所定時間を超えれば(S104のYES)、冷水タンクアラームランプ124−1の長周期の点滅が開始される(S105)。
【0073】
これを契機に温度センサ88−2の検出温度Tの取り込みが行われ(S106)、検出温度Tが基準温度Tr以上かを判定する(S107)。Trはたとえば、50〔℃〕とすればよい。
【0074】
T<Trであれば(S107のNO)、バイパス弁96−3を開状態に切り替え(S108)、バイパス弁96−3の切り替えが終了するまでの所定時間(たとえば、90〔秒〕)だけ待機し(S109)、エアー抜き弁30を開状態に切り替える(S110)。T≧Trであれば(S107のYES)、S108、S109をスキップし、S110の処理となる。エアー抜き弁30の開状態により、水容器10とともに密閉状態に維持されている冷水タンク8および温水タンク80のエアーAirがエアー抜き弁30を通して外気に放出される。このとき、水容器10の水Wが冷水タンク8および温水タンク80に給水される。
【0075】
この状態で水位センサ38がONしたかを判定する(S111)。水位センサ38がONすれば(S111のYES)、冷水タンクアラームランプ124−1を消灯させる(S112)。これにより、給水が終了することが告知される。
【0076】
バイパス弁96−3が閉状態に切り替えられ(S113)、エアー抜き弁30を閉状態にする(S114)。エアー抜き弁30が閉状態となれば、水容器10とともに冷水タンク8および温水タンク80が密閉状態に回復し、水容器10から給水が停止される。
【0077】
この結果、冷水タンク8および温水タンク80は基準水位に維持され、通常制御に移行する(S115)。
【0078】
また、S102において、水位センサ38がONすれば(S102のYES)、S103〜S114の処理をスキップし、S115の通常制御に移行し、この通常制御を継続させる。
【0079】
この通常制御には、冷水タンク8および温水タンク80の温度制御や、所定期間を単位として実行される殺菌のための高温水循環制御が含まれる。
【0080】
<高温水循環の制御>
【0081】
図8は、高温水循環制御の処理手順を示している。この温度制御において、温度センサ88−1の検出温度をT1、高温水基準温度をTVH、高温水基準継続時間をtrefとする。一例として、TVH=85〔℃〕、tref=30〔分〕とする。
【0082】
この処理手順では、高温水循環モードに移行するとコンプレッサー86を停止し(S201)、温水ヒーター102をON状態にし、温水HWの加熱を開始する(S202)。
【0083】
バイパス弁96−3を開き、温水タンク80側から高温水VHWを冷水タンク8に循環させる高温水循環を行う(S203)。
【0084】
この高温水循環において、高温水温度および高温水継続時間を監視する。すなわち、高温水VHWの検出温度T1がT1≧TVHであり、その状態の継続時間である高温水継続時間tが、t≧trefであるかを判断する(S204)。
【0085】
T1<TVH、またはT1≧TVHであっても、t<trefであれば(S204のNO)、S203に戻り、S203およびS204の処理を行う。T1≧TVH、t≧trefであれば(S204のYES)、高温水循環を完了する。これにより、バイパス弁96−3を閉じ、通常動作状態に移行し(S205)、既述の冷水タンク8および温水タンク80の温度制御を実行する。
【0086】
<実施例2の効果>
【0087】
この実施例2によれば、次のような効果が得られる。
【0088】
(1) 実施例2に係るウォーターサーバー70によっても、既述の一実施の形態および実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(2) 水容器10の交換や繰り返し実行される注水動作において、水容器10側へのエアー侵入を防止でき、ウォーターサーバー70の信頼性が高められる。
【0090】
〔実験結果〕
【0091】
注水筒部4を用いた注水実験を行った。この実験には、注水路12の口径φ1=6.5〔mm〕、空間部18の口径φ2=12〔mm〕、後側口部20の注水路12の口径φ3=6〔mm〕の注水筒部4(実施例)を作成し、比較例として口径φ1=6.5〔mm〕の注水路12のみからなる注水筒部(比較例)を作成した。これらを用いて注水実験を行ったところ、比較例では多数の気泡の通過が確認されたのに対し、実施例では気泡の通過が殆ど確認できない程度であった。この実験により、注水筒部4に空間部18を備えることが有効であることが確認された。
【0092】
〔他の実施の形態〕
【0093】
(1) 上記実施の形態では冷水タンク8を例示したが、水を溜めるタンクであればよく、冷水タンク8に限定されない。
【0094】
(2) 上記実施の形態では冷水タンク8に注水筒部4を備え、実施例1では冷水タンク8の蓋部52に注水筒部4を備えているが、容器部50側に備えてもよい。
【0095】
(3) 実施例1では注水筒部4と本体部4−2から後側口部20を分離させ、本体部4−2と後側口部20を着脱可能にしているが、本体部4−2で分割して本体部4−2側で着脱可能にしてもよい。
【0096】
(4) 上記実施例2では、冷水または温水を供給するウォーターサーバーを提示しているが、炭酸水供給源およびカーボネーションタンクを含む炭酸水生成機能を備え、カーボネーションタンクに冷水タンク側から冷水LW、炭酸水供給源から炭酸水を供給することにより炭酸水を生成し、提供してもよい。
【0097】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。