特許第6797924号(P6797924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797924
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】薬剤学的複合製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4184 20060101AFI20201130BHJP
   A61K 31/4422 20060101ALI20201130BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20201130BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20201130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20201130BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20201130BHJP
   A61K 9/24 20060101ALI20201130BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   A61K31/4184
   A61K31/4422
   A61P9/12
   A61P9/10 103
   A61P43/00 121
   A61K9/20
   A61K9/24
   A61K47/14
【請求項の数】8
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-534575(P2018-534575)
(86)(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公表番号】特表2019-500392(P2019-500392A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】KR2016015439
(87)【国際公開番号】WO2017116150
(87)【国際公開日】20170706
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0187679
(32)【優先日】2015年12月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518073240
【氏名又は名称】シンプン・ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHIN POONG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ジー‐マン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウ‐イル
(72)【発明者】
【氏名】カン,ギョン‐ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウ‐ギョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ア‐ルム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソ‐ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ヒョン‐ウ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェ‐ヨン
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0048137(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1302883(KR,B1)
【文献】 特表2008−518888(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0085307(KR,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1168136(KR,B1)
【文献】 特表2010−505943(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2165702(EP,A1)
【文献】 国際公開第2014/97209(WO,A1)
【文献】 特表2005−508982(JP,A)
【文献】 特表2002−537317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1活性成分としてカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチル、および第2活性成分としてアムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する錠剤において、
可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを含有することを特徴とする錠剤。
【請求項2】
前記第1活性成分は、カンデサルタンシレキセチルであることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
前記錠剤は、糖アルコールを含まないことを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
前記カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチル対マクロゴール−15−ヒドロキシステアレートの重量比が、1:0.03〜1:2であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項5】
前記錠剤は、単層錠、多層錠または有核錠であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【請求項6】
前記多層錠は、二層錠であることを特徴とする請求項5に記載の錠剤。
【請求項7】
前記二層錠は、第1層および第2層で構成され、
前記第1層は、カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを含有し、前記第2層は、アムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩を含有することを特徴とする請求項6に記載の錠剤。
【請求項8】
前記錠剤の保管期間が、6週〜3年であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルおよびアムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する錠剤において、前記活性成分の安定性および溶出性を有意的に向上させるために特定可溶化剤を使用した錠剤に関する。また、本発明は、前記錠剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧症(hypertension)を患っている患者数は、全世界的に絶えず増加して2025年には約15億人に達するという予測も出ており、韓国でも30歳以上の成人の約30%以上で発見されるほど非常に一般的な疾病の一つである。高血圧症は、動脈硬化症、粥状硬化症、冠動脈疾患、心不全、脳卒中等、全身にわたって様々な合併症を起こすものと知られている。
【0003】
このような高血圧症の非薬物的治療法として、体重減少、運動療法、減塩食のような食餌療法、禁煙、節酒等が提案されている。しかし、ほとんどの患者は、生活習慣を変える非薬物的治療法だけで血圧を所望の程度に調節するのに困難を経験することが一般的であるため、薬物治療が並行されることが通常である。収縮期血圧が140〜159mmHgであるか拡張期血圧が90〜99mmHgである第1期高血圧患者は、生活習慣矯正と薬物治療を同時に始めることが勧められる。収縮期血圧が160mmHg以上であるか拡張期血圧100mmHg以上である第2期高血圧患者は、高血圧により合併症が発生することを防ぐために、可能な限り早く血圧を所望の水準まで下げることができるように2つ以上の薬物を同時に投与することも勧められる。
【0004】
前記高血圧症の治療剤として使用される薬物には、チアジド系利尿薬、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬、アルファ−ベータ遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(Angiotensin-converting enzyme:ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、レニン阻害薬、血管拡張薬等が開発されている。
【0005】
前記アンジオテンシンII受容体遮断薬の代表的な例は、カンデサルタンであって、下記のような化学構造式を有する。
【0006】
【化1】
【0007】
前記カンデサルタンは、高血圧症に対して高い治療能を示すにもかかわらず、水溶性が低いため、経口投与時に体内で生体利用効率(bioavailability)が制限的であるという問題点がある。
【0008】
従って、カンデサルタン化合物の溶解度を増加させ、これによって生体利用効率を増加させるために、下記のような化学構造式を有するカンデサルタンシレキセチルが開発された。
【0009】
【化2】
【0010】
前記カンデサルタンシレキセチルは、AstraZeneca社およびTakeda社でBlopress、Atacand、Amias、Ratacand等の商標名で市販され、カンデサルタン化合物の生体利用効率を高めるためのプロドラッグである。それにもかかわらず、前記カンデサルタンシレキセチルが溶液で使用される時の絶対的生体利用効率は約40%であり、錠剤の剤形で使用される時の絶対的生体利用効率は約15%に過ぎないという問題点が依然として残っている。
【0011】
このように、カンデサルタンまたはそのプロドラッグ形態であるカンデサルタンシレキセチルが有する問題点を克服するために、様々な側面で研究されてきている。
【0012】
例えば、国際公開公報WO2005/084648号(特許文献1)に開示されている薬学組成物は、カンデサルタンシレキセチルと共にポリビニルアルコール、マルトデキストリン、キサンタンガム等のような水溶性ポリマーを含む。BAYER社で特許出願した国際公開公報WO2010/060564号(特許文献2)は、カルシウムチャネル遮断薬としてニフェジピンまたはニソルジピンとカンデサルタンシレキセチルの複合製剤を提案する。国際公開公報WO2007/081232号(特許文献3)、WO2010/150921号(特許文献4)等には、カンデサルタンと共に複合製剤として使用できるカルシウムチャネル遮断薬としてアムロジピンが開示されている。
【0013】
しかし、カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルは、複合製剤を構成する他の活性成分または一部の添加剤との相互作用により保管時に時間が経過するにつれて分解される現象が観察されると報告されている。例えば、カンデサルタンシレキセチルは、固体状態で単独である時には、温度、湿度および光に対して安定性を示すが、カンデサルタンシレキセチルの生体利用効率を高めるか、または高血圧治療能に対する相乗的効果を得るために添加される他の活性成分と共に存在するとき、デスエチルカンデサルタン(desethyl candesartan)のような様々な分解産物が類縁物質として生成される。
【0014】
従って、カンデサルタン活性成分が他の活性成分と共に含有されている複合製剤形態の薬学組成物を長期保管する場合、カンデサルタンシレキセチルまたは他の活性成分が分解されて類縁物質の水準が高くなると、薬学組成物の安定性の側面で好ましくなく、薬効性が低下する結果をもたらす。
【0015】
それだけではなく、前述したように、カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルは、水溶性が低いため、複合製剤に共に含有される他の活性成分または添加剤の種類および性質によって本来持っている溶出性がさらに低下し得る。このように、活性成分が体内胃腸管内で溶出性が低下すると、期待する時間内に血中薬物の濃度を増加または維持できず、結局、所望の程度の疾病の治療または予防効果を得られなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開公報WO2005/084648号
【特許文献2】国際公開公報WO2010/060564号
【特許文献3】国際公開公報WO2007/081232号
【特許文献4】国際公開公報WO2010/150921号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明者らは、カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルおよびアムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩を活性成分として含有する複合製剤に注目し、前記活性成分の相乗効果を阻害することなく錠剤の安定性および溶出性を同時に向上させるために様々な研究を進行した。
【0018】
その結果、複合製剤に特定類型の可溶化剤を使用したとき、驚くべきことに2つの活性成分の分解および類縁物質の生成が顕著に減少し、人体の消化管内で活性成分の溶出性が最適化されるということが実験を通して立証され、本発明に至ることになった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、第1活性成分としてカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチル、および第2活性成分としてアムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する錠剤において、特定類型の可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを含有することを特徴とする錠剤を提供する。
【0020】
本発明において使用される前記カンデサルタンは、高血圧症の治療剤として使用されるアンジオテンシンII受容体遮断薬の薬物に属する化合物であって、その化学構造式は、前述したとおりである。
【0021】
本発明において使用される前記カンデサルタンシレキセチルは、カンデサルタンの溶解度を増加させ、生体利用効率を高めるためのカンデサルタンのプロドラッグであって、その化学構造式は、前述したとおりである。
【0022】
本発明において使用される前記アムロジピンは、高血圧症、狭心症等の治療剤として使用されるカルシウムチャネル遮断薬の薬物に属する化合物であって、下記のような化学構造式を有する。
【0023】
【化3】
【0024】
本発明において使用される前記薬学的に許容可能な塩は、当該技術の分野において常法により製造され得る酸付加塩または塩基付加塩を含む。例えば、酢酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベシル酸、カーボネート酸、スルフェート酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、アスパレート酸等の無機酸または有機酸から形成される酸付加塩、またはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンと反応して形成される金属塩、またはアンモニウムイオンと反応して形成される塩が考慮され得るが、これに限定されるものではない。
【0025】
前記マクロゴール−15−ヒドロキシステアレート(macrogol-15-hydroxystearate)は、本発明において可溶化剤として使用される化合物であって、分子式C479419を有し、分子量は、963.23786g/molである。
【0026】
好ましい一具現例において、前記第1活性成分は、カンデサルタンシレキセチルである。
【0027】
好ましい一具現例において、前記第2活性成分は、アムロジピンベシレートである。
【0028】
本発明に係る錠剤は、当業界で一般的に使用され得る通常の可塑剤、賦形剤、崩壊剤、充填剤、増量剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤、界面活性剤、希釈剤、抗酸化剤等の様々な添加剤を必要に応じてさらに含有することができる。但し、このとき、本発明に係る錠剤は、糖アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール等)を含まないという点に注目すべきである。
【0029】
選択的に、高血圧症の治療または予防効果を示すものと当業界に知られている他の活性成分、例えば、チアジド系利尿薬、アルファ遮断薬、ベータ遮断薬、アルファ−ベータ遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、レニン阻害薬、血管拡張薬等が本発明の複合製剤の相乗効果を阻害するか副作用を起こさない限り、本発明の錠剤にさらに含有され得る。
【0030】
好ましい一具現例において、前記カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチル対マクロゴール−15−ヒドロキシステアレートの重量比は、1:0.03〜1:2である。好ましくは、前記重量比は、1:0.05〜1:0.5であり、特に1:0.2である。前記重量比が1:0.03未満である場合は、錠剤の溶出率が大きく低下する問題点がある。また、前記重量比が1:2超である場合は、顆粒の過度な凝集および凝固現象により錠剤の成形が難しく、打錠性が不良であるだけでなく、溶出率および安定性が減少するという問題点がある。
【0031】
本発明に係る錠剤は、圧縮錠剤、単層錠、多層錠、有核錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、ゼラチンコーティング錠、腸溶錠、咀嚼錠、速崩壊錠等であってよく、これに限定されるものではない。好ましくは、前記錠剤は、単層錠、多層錠または有核錠である。特に、安定性および溶出性の側面で後述の実験例を通して立証されたように、前記錠剤は、二層錠であることが最も有利である。
【0032】
好ましい一具現例において、前記錠剤は、第1層および第2層で構成された二層錠であり、このとき、前記第1層は、カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを含有し、前記第2層は、アムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する。
【0033】
本発明に係る錠剤は、好ましくは、経口投与される。
【0034】
本発明に係る錠剤の投与量および投与間隔は、患者の年齢、性別、体重および健康状態、治療または予防しようとする疾患(例えば、高血圧症)の重症度、発病時点、治療期間等の様々な因子を考慮して適切に選択できる。例えば、当該技術の分野における熟練した医師または薬剤師は、1日1mg〜1.0gの範囲で投与量を決定することができ、前記投与量を1日1回で投与するか、または数回に分けて投与することも可能である。一例として、高血圧症を患っている患者に本発明に係る錠剤を1日1回投与する場合、第1活性成分(カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチル)と第2活性成分(アムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩)を16mg/10mg、16mg/5mg、8mg/5mg、8mg/2.5mg等の服量配合で錠剤を製造して投与することができる。
【0035】
本発明に係る錠剤は、6週以上3年の期間の間保管することができ、室温で保管する場合、3年以上保管することも可能である。
【0036】
本発明に係る錠剤の製造方法は、下記のように大きく3つに分類できる。
【0037】
第一の側面で、本発明に係る錠剤を製造するための方法は、下記ステップを含む:
a)前記第1活性成分および前記可溶化剤を含有する第1顆粒を製造するステップ;
b)前記a)ステップで製造された第1顆粒にケイ化微結晶セルロースおよび滑沢剤を添加して第1滑沢物を製造するステップ;
c)前記第2活性成分を含有する第2顆粒を製造するステップ;
d)前記c)ステップで製造された第2顆粒に滑沢剤を添加して第2滑沢物を製造するステップ;および
e)前記第1滑沢物および第2滑沢物を打錠して二層錠を製造するステップ。
【0038】
第二の側面で、本発明に係る錠剤を製造するための方法は、下記ステップを含む:
a)前記第1活性成分、前記可溶化剤およびケイ化微結晶セルロースを含有する第1顆粒を製造するステップ;
b)前記a)ステップで製造された第1顆粒に滑沢剤を添加して第1滑沢物を製造するステップ;
c)前記第2活性成分を含有する第2顆粒を製造するステップ;
d)前記c)ステップで製造された第2顆粒に滑沢剤を添加して第2滑沢物を製造するステップ;および
e)前記第1滑沢物および第2滑沢物を打錠して二層錠を製造するステップ。
【0039】
第三の側面で、本発明に係る錠剤を製造するための方法は、下記ステップを含む:
a)前記第1活性成分および前記可溶化剤を含有する第1顆粒を製造するステップ;
b)前記第2活性成分を含有する第2顆粒を製造するステップ;
c)前記第1顆粒および第2顆粒にケイ化微結晶セルロースおよび滑沢剤を添加して滑沢物を製造するステップ;および
d)前記滑沢物を打錠して単層錠を製造するステップ。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る錠剤は、第1活性成分としてカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルを含有し、第2活性成分としてアムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩を含有する複合製剤である。
【0041】
このとき、特定類型の可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを使用することで、後述の実験を通して立証されたように、長期間2つの活性成分が分解されることを抑制し、類縁物質が生成されることを最小化させて、薬物の安定性を極大化させることができる。従って、本発明に係る錠剤は、長期にわたって保管されても、活性成分の薬効性を損傷させることなくまともに維持することができる。
【0042】
また、本発明に係る錠剤は、水溶性が低く、生体利用効率が低いカンデサルタン活性成分が体内胃腸管または消化管の環境で錠剤から溶出される性質を顕著に改善させる効果がある。これによって、血中薬物の濃度を落とすことなく一定の水準に維持させることができるので、高血圧等の疾病の治療または予防効果を所望の程度に達成できる。
【0043】
さらに、本発明に係る錠剤は、打錠性および生産性が良好であるので、活性成分の薬効性、安定性、溶出性のいずれにも優れた高血圧症治療または予防用複合製剤を錠剤の形態で産業的な規模で生産するに適している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、下記の実施例に基づいてより詳細に説明されるが、これは、本発明の権利範囲を制限しようとするものではない。また、当該技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の趣旨を害しない範囲内で本発明に対して様々な変形および修正を加えることができるだろう。
【0045】
(実施例1)二層錠の製造
ヒドロキシプロピルセルロース6gおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(1)を製造した。カンデサルタンシレキセチル16g、微結晶セルロース65gおよび前糊化デンプン10gをHigh speed mixerで均一に混合して混合物(1)を製造した。前記混合物(1)に結合液(1)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(1)を得た。
【0046】
前記粉砕顆粒(1)にケイ化微結晶セルロース79gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム1gを添加して滑沢物(1)を製造した。
【0047】
ヒドロキシプロピルセルロース5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(2)を製造した。アムロジピンベシレート13.87g、微結晶セルロース71.13gおよび前糊化デンプン10gをDouble−cone mixerで倍散混合して混合物(2)を製造した。前記混合物(2)に結合液(2)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(2)を得た。
【0048】
前記粉砕顆粒(2)に微結晶セルロース64gおよび前糊化デンプン15gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム1gを添加して滑沢物(2)を製造した。
【0049】
前記滑沢物(1)および滑沢物(2)を打錠機(Ichihashi seiki社製、Autotab−200TR)で直径9.4mmのパンチを利用して二層錠に打錠した(1層の重量:180g、2層の重量:180g)。
【0050】
前記で得られた二層錠をコーティング機(Freund社製、Hi-coater)を利用してオパドライ(10.0g/T)でコーティングした。
【0051】
(実施例2)二層錠の製造
ヒドロキシプロピルセルロース6gおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(1)を製造した。カンデサルタンシレキセチル16g、微結晶セルロース65gおよび前糊化デンプン10gをHigh speed mixerで均一に混合して混合物(1)を製造した。前記混合物(1)に結合液(1)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(1)を得た。
【0052】
前記粉砕顆粒(1)にケイ化微結晶セルロース79gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム1gを添加して滑沢物(1)を製造した。
【0053】
ヒドロキシプロピルセルロース2.5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(2)を製造した。アムロジピンベシレート6.935g、微結晶セルロース35.565gおよび前糊化デンプン5gをDouble-cone mixerで倍散混合して混合物(2)を製造した。前記混合物(2)に結合液(2)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(2)を得た。
【0054】
前記粉砕顆粒(2)に微結晶セルロース32gおよび前糊化デンプン7.5gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム0.5gを添加して滑沢物(2)を製造した。
【0055】
前記滑沢物(1)および滑沢物(2)を打錠機(Ichihashi seiki社製、Autotab−200TR)で直径8.5mmのパンチを利用して二層錠に打錠した(1層の重量:180g、2層の重量:90g)。
【0056】
前記で得られた二層錠をコーティング機(Freund社製、Hi-coater)を利用してオパドライ(7.5g/T)でコーティングした。
【0057】
(実施例3)二層錠の製造
ヒドロキシプロピルセルロース3gおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート1.5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(1)を製造した。カンデサルタンシレキセチル8g、微結晶セルロース32.5gおよび前糊化デンプン5gをHigh speed mixerで均一に混合して混合物(1)を製造した。前記混合物(1)に結合液(1)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(1)を得た。
【0058】
前記粉砕顆粒(1)にケイ化微結晶セルロース39.5gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム0.5gを添加して滑沢物(1)を製造した。
【0059】
ヒドロキシプロピルセルロース2.5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(2)を製造した。アムロジピンベシレート6.935g、微結晶セルロース35.565gおよび前糊化デンプン5gをDouble-cone mixerで倍散混合して混合物(2)を製造した。前記混合物(2)に結合液(2)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(2)を得た。
【0060】
前記粉砕顆粒(2)に微結晶セルロース32gおよび前糊化デンプン7.5gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム0.5gを添加して滑沢物(2)を製造した。
【0061】
前記滑沢物(1)および滑沢物(2)を打錠機(Ichihashi seiki社製、Autotab−200TR)で直径7.5mmのパンチを利用して二層錠に打錠した(1層の重量:90g、2層の重量:90g)。
【0062】
前記で得られた二層錠をコーティング機(Freund社製、Hi-coater)を利用してオパドライ(5.0g/T)でコーティングした。
【0063】
(実施例4)二層錠の製造
ヒドロキシプロピルセルロース3gおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート1.5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(1)を製造した。カンデサルタンシレキセチル8g、微結晶セルロース32.5gおよび前糊化デンプン5gをHigh speed mixerで均一に混合して混合物(1)を製造した。前記混合物(1)に結合液(1)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(1)を得た。
【0064】
前記粉砕顆粒(1)にケイ化微結晶セルロース39.5gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム0.5gを添加して滑沢物(1)を製造した。
【0065】
ヒドロキシプロピルセルロース2.5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(2)を製造した。アムロジピンベシレート3.468g、微結晶セルロース39.032gおよび前糊化デンプン5gをDouble-cone mixerで倍散混合して混合物(2)を製造した。前記混合物(2)に結合液(2)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(2)を得た。
【0066】
前記粉砕顆粒(2)に微結晶セルロース32gおよび前糊化デンプン7.5gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム0.5gを添加して滑沢物(2)を製造した。
【0067】
前記滑沢物(1)および滑沢物(2)を打錠機(Ichihashi seiki社製、Autotab−200TR)で直径7.5mmのパンチを利用して二層錠に打錠した(1層の重量:90g、2層の重量:90g)。
【0068】
前記で得られた二層錠をコーティング機(Freund社製、Hi-coater)を利用してオパドライ(5.0g/T)でコーティングした。
【0069】
(実施例5)単層錠の製造
ヒドロキシプロピルセルロース6gおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(1)を製造した。カンデサルタンシレキセチル16g、微結晶セルロース65gおよび前糊化デンプン10gをHigh speed mixerで均一に混合して混合物(1)を製造した。前記混合物(1)に結合液(1)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(1)を得た。
【0070】
ヒドロキシプロピルセルロース5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(2)を製造した。アムロジピンベシレート13.87g、微結晶セルロース71.13gおよび前糊化デンプン10gをDouble-cone mixerで倍散混合して混合物(2)を製造した。前記混合物(2)に結合液(2)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(2)を得た。
【0071】
前記粉砕顆粒(1)および粉砕顆粒(2)にケイ化微結晶セルロース79g、微結晶セルロース64gおよび前糊化デンプン15gを添加してDouble-cone mixerで後混合し、次いで、ステアリン酸マグネシウム2gを添加して滑沢物を製造した。
【0072】
前記滑沢物を打錠機(Ichihashi seiki社製、Autotab−200TR)で直径9.4mmのパンチを利用して単層錠に打錠した(錠剤重量:360g/T)。
【0073】
前記で得られた単層錠をコーティング機(Freund社製、Hi-coater)を利用してオパドライ(10.0g/T)でコーティングした。
【0074】
(実施例6)二層錠の製造
ヒドロキシプロピルセルロース6gおよびマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(1)を製造した。カンデサルタンシレキセチル16g、微結晶セルロース65g、前糊化デンプン10gおよびケイ化微結晶セルロース79gをHigh speed mixerで均一に混合して混合物(1)を製造した。前記混合物(1)に結合液(1)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(1)を得た。
【0075】
前記粉砕顆粒(1)にステアリン酸マグネシウム1gを添加して滑沢物(1)を製造した。
【0076】
ヒドロキシプロピルセルロース5gを精製水とエタノールに溶解させて結合液(2)を製造した。アムロジピンベシレート13.87g、微結晶セルロース135.13gおよび前糊化デンプン25gをDouble-cone mixerで倍散混合して混合物(2)を製造した。前記混合物(2)に結合液(2)を噴霧しながら顆粒化させた後、乾燥した。半乾燥状態で20meshで造粒し、完全に乾燥した後、30meshで整粒して粉砕顆粒(2)を得た。
【0077】
前記粉砕顆粒(2)にステアリン酸マグネシウム1gを添加して滑沢物(2)を製造した。
【0078】
前記滑沢物(1)および滑沢物(2)を打錠機(Ichihashi seiki社製、Autotab−200TR)で直径9.4mmのパンチを利用して二層錠に打錠した(1層の重量:180g、2層の重量:180g)。
【0079】
前記で得られた二層錠をコーティング機(Freund社製、Hi-coater)を利用してオパドライ(10.0g/T)でコーティングした。
【0080】
下記表1は、実施例1乃至6でそれぞれ製造された錠剤の組成および重量をまとめて示したものである。
【0081】
【表1-1】
【表1-2】
【0082】
(比較例1)
可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gの代わりにポリエチレングリコール−6000 3gを使用することを除いては、実施例1と同様の方法で二層錠を製造した。
【0083】
(比較例2)
可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gの代わりにベータ−シクロデキストリン3gを使用することを除いては、実施例1と同様の方法で二層錠を製造した。
【0084】
(比較例3)
可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gの代わりにd−α−トコフェリルポリエチレングリコール−1000スクシネート3gを使用することを除いては、実施例1と同様の方法で二層錠を製造した。
【0085】
(比較例4)
可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレート3gの代わりにラウリル硫酸ナトリウム3gを使用することを除いては、実施例1と同様の方法で二層錠を製造した。
【0086】
(比較例5)
可溶化剤を使用する代わりに微結晶セルロース3gをさらに加えることを除いては、実施例1と同様の方法で二層錠を製造した。
【0087】
下記表2は、実施例1、比較例1乃至5でそれぞれ製造された錠剤の組成および重量をまとめて示したものである。
【0088】
【表2】
【0089】
(実験例1)安定性試験
カンデサルタン活性成分は、他の活性成分または添加剤と共に錠剤に製造されて保管されるとき、時間が経過するにつれて分解される現象がしばしば観察される。カンデサルタン活性成分から分解されて生成される代表的な類縁物質には、デスエチルカンデサルタン(desethyl candesartan)があり、未知の類縁物質も共に検出される。
【0090】
本発明に係る錠剤に含有されるまた他の活性成分であるアムロジピンまたはその薬学的に許容可能な塩の場合にも同様に複合製剤内に存在する他の活性成分または添加剤の影響を受けて分解産物を生成する。このとき、代表的な類縁物質には、アムロジピン不純物A(USP)があり、未知の類縁物質も共に検出される。前記アムロジピン不純物A(USP)の化合物名は、3−エチル−5−メチル2−[(2−アミノエトキシ)メチル]−4−(2−クロロフェニル)−6−メチルピリジン−3,5−ジカルボキシレートフマレートである。
【0091】
本発明に係る錠剤は、複合製剤という特性上、長期保管する場合、類縁物質の量が増加するようになるが、このような類縁物質の量を測定することで錠剤の安定性を確認することができる。
【0092】
まず、前記実施例1、2、3、4、5、6および比較例1、2、3、4、5で製造したコーティング錠をHDPE body/LDPE cap bottleに入れて、50℃、RH75%の条件下で6週間保管した。
【0093】
次いで、コーティング錠をそれぞれ20錠ずつ200mLフラスコに入れて水20mLを加えて振盪混和することで、錠剤を完全に崩壊させた。次いで、希釈液A95mLを加えて時々振りながら超音波で抽出し、水75mLを加えて混合した後、常温に放置して溶液を冷ました。次いで、希釈液Bを加えて溶液の総体積が200mLとなるようにした。このように製造された溶液をメンブレンフィルタでろ過し、検液として使用した。
【0094】
検液および標準液20μLに対して下記の操作条件を適用し、大韓民国薬局方一般試験法液体クロマトグラフ法に従って試験し、検液および標準液のピーク面積AおよびAを算出した。但し、溶媒ピークおよび添加剤、ベンゼンスルホナートに由来するピークは、計算から除いた。添加剤に由来するピークは、主成分を除くプラシーボ検液を製造し、ピークを確認して、計算から除いた。
【0095】
カンデサルタンシレキセチルに由来した類縁物質は215nmの波長で計算し、アムロジピンベシレートに由来した類縁物質は238nmの波長で計算した。未知の類縁物質は、215nmおよび238nmの波長でそれぞれ計算した。
【0096】
●操作条件
−検出器:紫外線吸光光度計(測定波長215nmおよび238nm)
−カラム:Waters Symmetry C8(4.6×250mm、5μm)
−カラム温度:30℃
−移動相A:トリエチルアミン4mLを水1000mLに加えた後、リン酸でpHを3.0に調整する。
−移動相B:メタノールおよびアセトニトリルの混合液(10:90)
−希釈液A:メタノールおよびアセトニトリルの混合液(5:45)
−希釈液B:メタノール、アセトニトリルおよび水の混合液(5:45:50)
−流量:1.0mL/分
【0097】
下記表3は、時間による移動相Aおよび移動相Bの勾配(gradient)を示したものである。ピーク面積の測定は、36分に遂行された。
【0098】
【表3】
【0099】
下記表4は、カンデサルタンの含量を100%としたとき、カンデサルタンに由来した既知および/または未知の類縁物質の含量を相対的な重量比で示したものである。カンデサルタンに由来した既知の類縁物質は、デスエチルカンデサルタン(desethyl candesartan)の1種だけを代表的に示した。
【0100】
【表4】
【0101】
前記表4から確認できるように、比較例2、3、4および5の錠剤は、50℃、RH75%の条件下で6週間保管したとき、カンデサルタンに由来した既知および/または未知の類縁物質の量が基準値を超えていた。比較例1の錠剤は、カンデサルタンに由来した既知および/または未知の類縁物質の量が基準値を満たしていたが、実施例1乃至6と比較する時には、相対的に高い値が観察された。
【0102】
これに対して、実施例1乃至6の錠剤はいずれもカンデサルタンに由来した既知および/または未知の類縁物質の量が基準値を満たしていた。特に、後混合方法によって製造した実施例1乃至4の二層錠の場合、カンデサルタン活性成分に由来した類縁物質の量が顕著に低い値を示した。
【0103】
これは、本発明に係る錠剤の複合製剤を構成する活性成分のうちカンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルが特定類型の可溶化剤により安定性が有意的に向上したことを意味する。従って、本発明に係る錠剤は、6週間保管しても、カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチルが時間が経過するにつれてよく分解されず、本来の効能を維持して使用することができる。
【0104】
下記表5は、カンデサルタンおよびアムロジピンを含有する複合製剤に由来した未知の類縁物質の総和を複合製剤の含量に対する相対的な重量比で示したものである。
【0105】
【表5】
【0106】
前記表5から確認できるように、比較例1乃至5の錠剤は、50℃、RH75%の条件下で6週間保管したとき、カンデサルタンおよびアムロジピンを含有する複合製剤に由来した未知の類縁物質の総和がいずれも基準値を超えるということが観察された。
【0107】
これに対して、実施例1乃至6の錠剤は、いずれも基準値を満たしていた。特に、後混合方法によって製造した実施例1乃至4の二層錠の場合、未知の類縁物質の総和が顕著に低い値を示した。
【0108】
これは、特定類型の可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートが使用されるとき、本発明に係る錠剤の複合製剤を構成する2つの活性成分の安定性が有意的に向上したということを意味する。従って、本発明に係る錠剤は、6週間保管しても、2つの活性成分のいずれも時間が経過するにつれてよく分解されず、本来の効能を維持して使用することができる。
【0109】
(実験例2)長期安定性試験
実施例1で製造したコーティング錠をHDPE body/LDPE cap bottleに入れて、25℃、RH60%の第1条件下で12ヶ月間保管し、これと並行して40℃、RH70%の第2条件下で6ヶ月間保管した。その後、前記実験例1で遂行されたものと同様の方式で類縁物質の生成量を測定し、その結果は、下記表6乃至8に示した。
【0110】
【表6】
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】
前記表6乃至8から確認できるように、本発明の錠剤は、25℃、RH60%の条件下で12ヶ月間保管した場合だけではなく、40℃、RH70%の条件下で6ヶ月間保管した場合にも、類縁物質の量は、基準値より顕著に低い値を示した。
【0114】
従って、本発明の錠剤で使用される特定類型の可溶化剤、即ち、マクロゴール−15−ヒドロキシステアレートは、12ヶ月に達する長期間保管する場合にも、複合製剤を構成する2つの活性成分の分解を抑制し、類縁物質の生成を最小化させ、保存安定性を有意的に向上させる。
【0115】
(実験例3)溶出試験
前記実施例1、2、3、4、5、6および比較例1、2、3、4、5で製造したコーティング錠に対して、試験液として0.35%ポリソルベート20が含有されたリン酸塩緩衝液(pH6.5)900mLを使用し、大韓民国薬局方溶出試験法第2法(Paddle)によって37.0±0.5℃で毎分75回転で試験した。
【0116】
サンプル採取地点で溶出液10mLを取り、メンブレンフィルタでろ過して検液として使用した。各実施例および比較例に対して6錠ずつ試験し、溶出率(%)の平均値、最小値および最大値を下記表9に示した。
【0117】
●操作条件
−検出器:紫外線吸光光度計(測定波長238nm)
−カラム:Waters Symmetry C18(3.9×150mm、5μm)
−カラム温度:30℃
−リン酸塩緩衝液(pH6.5):1mol/Lリン酸二水素ナトリウム溶液24mLに0.5mol/Lリン酸一水素ナトリウム溶液17.3mLおよび水を加えて総体積1000mLとし、リン酸または水酸化ナトリウム試液を加えてpHを6.45〜6.55に調整する。
−移動相:リン酸水素二ナトリウム無水物1.42gを水1000mLに溶解させ、希リン酸を加えてpHを6.0に調整した後、1−オクタンスルホン酸ナトリウム4.32gを加え、これによって得られた溶液500mLにアセトニトリルとメタノールの混合液(900:100)500mLを加えて混合した後、ろ過する。
−希釈液:メタノール、アセトニトリルおよび水の混合液(5:55:40)
−流量:1.0mL/分
−ピーク面積の測定時間:10分
【0118】
【表9】
【0119】
前記表9から確認できるように、可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを使用したとき、他の可溶化剤を同一量で使用するか、または可溶化剤を使用しない時よりカンデサルタン活性成分の溶出率が顕著に増加した。
【0120】
これは、本発明の錠剤を使用するとき、水溶性が低く、生体利用効率が低いカンデサルタン活性成分が体内胃腸管内で錠剤から溶出される性質が改善されるということを意味する。これによって、血中薬物の濃度を一定の水準に維持させることができ、高血圧治療効果を所望の程度に達成できるようにする。
【0121】
(実験例4)
本実験では、錠剤内糖アルコールの包含有無による錠剤の溶出率、硬度、打錠性、生産性等の効果上の差を確認しようとした。このために、前記実施例1乃至6と同様に錠剤を製造し、糖アルコールとしてマンニトールを含む比較例6乃至11を準備した。このとき、比較例6乃至11は、これに相応する実施例1乃至6と錠剤の総重量が互いに同一であるようにして、これによる実験誤差を最小化させるために、比較例6乃至11でさらに含まれたマンニトールの含量だけ微結晶セルロースまたは微結晶セルロース+ケイ化微結晶セルロースの含量を減少させた。
【0122】
下記表10は、比較例6乃至11による錠剤の組成および重量を具体的に示す。
【0123】
【表10-1】
【表10-2】
【0124】
実施例1乃至6および比較例6乃至11で製造したコーティング錠に対して、前記実験例3に記載されている過程によってカンデサルタン活性成分の溶出率を測定した。各実施例および比較例に対して6錠ずつ試験し、溶出率(%)の平均値、最小値および最大値を下記表11に示した。
【0125】
【表11】
【0126】
前記表11から見られるように、マンニトールのような糖アルコールを含有する錠剤(比較例6乃至11)は、糖アルコールを含有しない錠剤(実施例1乃至6)に比べてカンデサルタン活性成分の溶出率が約20〜30%低いということが確認された。
【0127】
次に、実施例1乃至6および比較例6乃至11で製造したコーティング錠に対してそれぞれ硬度を測定し、その結果を下記表12に示した。
【0128】
【表12】
【0129】
前記表12から見られるように、マンニトールのような糖アルコールを含有する錠剤(比較例6乃至11)は、糖アルコールを含有しない錠剤(実施例1乃至6)に比べて錠剤の硬度が約20〜40%程度低下するということが確認された。硬度が十分に確保されないと、錠剤の製造工程、特にコーティング工程で錠剤の摩損が増加し、コーティング時に不良の可能性が高くなる。このような点は、錠剤の品質の均質化を保障することができず、生産性が良好ではないという側面で不利である。
【0130】
従って、可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを使用する本発明に係る錠剤に糖アルコールが含まれる場合、カンデサルタンまたはカンデサルタンシレキセチル活性成分の溶出率が低下するという点、錠剤の硬度が低下して打錠性および生産性に不利であるという点があるので、本発明に係る好ましい一具現例では、糖アルコールが含まれない。
【0131】
(実験例5)安全性試験
本実験では、本発明に係る複合製剤がヒトに対して安全性を有するか否かを確認しようとした。
【0132】
カンデサルタンシレキセチル16mgおよびアムロジピン10mgを含有し、可溶化剤としてマクロゴール−15−ヒドロキシステアレートを含有する、本発明に係る複合製剤を製造した。このように製造された複合製剤を19歳以上45歳以下の健常な成人男性46人に1錠単回経口投与した。
【0133】
その結果、めまいのような反応が一部の対象体で観察されたが、臨床学的に有意な異常反応は発生しなかった。これは、本発明に係る複合製剤がヒトに対して安全性があるということを示す。