【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電子内視鏡用プロセッサは、
CMOS型のイメージセンサである撮像素子を用いて撮影された被写体の画像信号を処理する電子内視鏡用プロセッサであって、
被写体に照射する照明光を、
モニタに表示する第1の観察画像を得るための第1の照明光と、該第1の照明光とは単位時間当たりの光束の時間積分量が異なる
、前記モニタに表示する第2の観察画像を得るための第2の照明光と、の間で交互に切り替える照明光切替手段と、
前記撮像素子の露光時間及び電荷の読出しタイミングを制御する撮像素子制御手段と、を備え、
前記撮像素子制御手段は、
前記被写体に前記第1の照明光が照射されている時の前記撮像素子の露光時間T1と該被写体に前記第2の照明光が照射されている時の該撮像素子の露光時間T2を、該第1の照明光の単位時間当たりの光束の時間積分量R1及び該第2の照明光の単位時間当たりの光束の時間積分量R2に基づいて制御する
ことにより、前記露光時間T1を前記露光時間T2に比べて短くする。
前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面上の受光位置における露光の開始と終了のタイミングをずらしながら、前記受光位置における前記電荷を読み出すローリングシャッタ方式で読み出しを行い、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光は、前記第1の照明光と前記第2の照明光との間で照明光を切り替える際に、前記切り替え後の照明光の光強度が一定になる前に、前記切り替え前の照明光の光強度が低下し、前記切り替え後の照明光の光強度が照射開始から時間とともに増加
し、さらに、前記第1の照明光及び前記第2の照明光が同時に照射する期間を少なくとも含む遷移期間を有して前記被写体を照明し、前記第1の照明光及び前記第2の照明光それぞれが照明する時の、前記撮像素子による前記ローリングシャッタ方式における露光期間は、前記遷移期間を含まない。
前記撮像素子制御手段は、前記第2の照明光の光強度が一定を維持する期間内に、前記撮像素子の前記受光位置のすべてにおける前記ローリングシャッタ方式の前記露光の開始と前記露光の終了が行われるように前記露光時間T2を定め、定めた前記露光時間T2に基づいて前記露光時間T2に比べて短い前記露光時間T1を定める。
【0008】
ここで、前記照明光切替手段は、後述する一実施形態によれば、回転フィルタ部260を含む。
前記撮像素子制御手段は、後述する一実施形態によれば、システムコントローラ202、タイミングコントローラ204、あるいはドライバ信号処理回路110の回路である。前記撮像素子制御手段が、撮像素子の露光時間及び電荷の読出しタイミングを制御するとは、一実施形態によれば、これらの回路の少なくとも一部であるシステムコントローラ202が、露光時間及び電荷の読出しタイミングを制御する制御信号を生成し、制御信号をタイミングコントローラ204及びドライバ信号処理回路110を介して、前記撮像素子に送信するように構成されていることをいう。前記撮像素子は前記制御信号を受信し、前記制御信号に従がって制御信号に対応した動作をするように構成されていることをいう。後述する照明光切替手段及び撮像素子制御手段においても上記内容を援用する。
【0009】
このような構成によれば、光量(単位時間当たりの光束の時間積分量)の異なる2つの第1の照明光と第2の照明光を交互に被写体に照射する場合に、被写体に照射されている照明光の光量に応じて撮像素子の露光時間が調整される。そのため、第1の照明光で照明された被写体と第2の照明光で照明された被写体の両方を適正な露出で撮影することができる。
【0010】
また、本発明の一実施形態によれば、撮像素子制御手段は、例えば、露光時間T1及び露光時間T2を、T1×R1=T2×R2を満たすように調整することが好ましい。
【0011】
また、本発明の一実施形態によれば、電子内視鏡プロセッサは、例えば、撮像素子を備えた電子スコープを着脱可能である。この構成において、撮像素子制御手段は、電子スコープと電子内視鏡用プロセッサの少なくとも一方において、画像信号に対して施される増幅処理の増幅率を取得し、第1の照明光が照射された被写体の画像信号に対して施される増幅処理の増幅率をG1と定義し、第2の照明光が照射された被写体の画像信号に対して施される増幅処理の増幅率をG2と定義した場合に、露光時間T1及び露光時間T2を、T1×R1×G1=T2×R2×G2を満たすように調整することが好ましい。
【0012】
ここで、前記撮像素子制御手段が、画像信号に対して施される増幅処理の増幅率を取得するとは、後述する一実施形態では、前記撮像素子制御手段に対応する回路が、前記電子スコープのメモリ112に記憶された増幅率の情報を読み出して取得することをいう。
前記増幅処理は、後述する一実施形態によれば、前記撮像素子制御手段に対応する回路の一部あるいは前段信号処理回路220が行うように構成される。したがって、前記増幅率の調整も、後述する一実施形態によれば、前記撮像素子制御手段に対応する回路の一部が行うように構成される。
【0013】
また、本発明の一実施形態において、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光の少なくとも一方の照明光の光強度が一定を維持する期間のうち期間開始時点及び期間終了時点を除く期間内に、前記撮像素子の前記受光位置のすべてにおける前記ローリングシャッタ方式の前記露光の開始と前記露光の終了が行われる、ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の一実施形態によれば、照明光切替手段は、例えば、白色光を射出するように構成された光源と、白色光を第1の照明光にフィルタリングするように構成された第1のフィルタ、白色光を第2の照明光にフィルタリングするように構成された第2のフィルタがそれぞれ、円周方向において略同じ角度範囲に並べて配置された回転板と、回転板を回転させることにより、第1の照明光の照射期間中、第1のフィルタを白色光の光路に挿入させ、第2の照明光の照射期間中、第2のフィルタを光路に挿入させるように構成された回転駆動部と、を備えることが好ましい。
【0015】
また、本発明の一実施形態によれば、照明光切替手段は、例えば、被写体に照射する照明光を、第1の照明光、第2の照明光、単位時間当たりの光束の時間積分量が第1の照明光又は第2の照明光とは異なる第3の照明光の間で順次切り替えることが好ましい。この場合、撮像素子制御手段は、露光時間T1、露光時間T2及び被写体に第3の照明光が照射されている時の撮像素子の露光時間T3を、時間積分量R1、時間積分量R2及び第3の照明光の単位時間当たりの光束の時間積分量R3に基づいて制御することが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係る電子内視鏡システムは、被写体に照射する照明光を、
モニタに表示する第1の観察画像を得るための第1の照明光と、該第1の照明光とは単位時間当たりの光束の時間積分量の異なる
、前記モニタに表示する第2の観察画像を得るための第2の照明光と、の間で交互に切り替える照明光切替手段と、前記被写体からの光を受光し、受光した光に応じた画像信号を出力するように構成された
、CMOS型のイメージセンサである撮像素子と、前記撮像素子の露光時間及び電荷の読出しタイミングを制御する撮像素子制御手段と、を備える。この構成において、撮像素子制御手段は、被写体に前記第1の照明光が照射されている時の前記撮像素子の露光時間T1と該被写体に前記第2の照明光が照射されている時の該撮像素子の露光時間T2を、該第1の照明光の単位時間当たりの光束の時間積分量R1及び該第2の照明光の単位時間当たりの光束の時間積分量R2に基づいて制御
することにより、前記露光時間T1を前記露光時間T2に比べて短くする。
前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面上の受光位置における露光の開始と終了のタイミングをずらしながら、前記受光位置における前記電荷を読み出すローリングシャッタ方式で読み出しを行い、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光は、前記第1の照明光と前記第2の照明光との間で照明光を切り替える際に、前記切り替え後の照明光の光強度が一定になる前に、前記切り替え前の照明光の光強度が低下し、前記切り替え後の照明光の光強度が照射開始から時間とともに増加
し、さらに、前記第1の照明光及び前記第2の照明光が同時に照射する期間を少なくとも含む遷移期間を有して前記被写体を照明し、前記第1の照明光及び前記第2の照明光それぞれが照明する時の、前記撮像素子による前記ローリングシャッタ方式における露光期間は、前記遷移期間を含まない。
前記撮像素子制御手段は、前記第2の照明光の光強度が一定を維持する期間内に、前記撮像素子の前記受光位置のすべてにおける前記ローリングシャッタ方式の前記露光の開始と前記露光の終了が行われるように、前記露光時間T2を定め、定めた前記露光時間T2に基づいて前記露光時間T2に比べて短い前記露光時間T1を定める。
【0017】
また、本発明の一実施形態によれば、撮像素子制御手段は、例えば、露光時間T1及び露光時間T2を、T1×R1=T2×R2を満たすように調整することが好ましい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、電子内視鏡システムは、前記照明光切替手段と前記撮像素子制御手段を有する電子内視鏡用プロセッサと、
前記撮像素子を有し、前記電子内視鏡用プロセッサに対して着脱可能に接続されるように構成された電子スコープと、を備える。
前記電子内視鏡用プロセッサあるいは前記電子スコープは、前記撮像素子から出力された前記画像信号に対して増幅処理を施す増幅手段と、前記増幅処理の増幅率を制御する制御手段と、を備える。
前記第1の照明光の第1波長帯域は、前記第2の照明光の第2波長帯域とお互いに異なる。
この場合において、前記制御手段は、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光のいずれか一方の照射を受けた被写体の前記画像信号に施す前記増幅率を、前記第1波長帯域における前記第1の照明光に関する算出量K1及び前記第2波長帯域における前記第2の照明光に関する算出量K2と、前記露光時間T1,T2とに基づいて制御し、
前記算出量K1は、前記第1波長帯域における前記第1の照明光の光強度分布と前記第1波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第1波長帯域の範囲で積分することにより得られた量であり、
前記算出量K2は、前記第2波長帯域における前記第2の照明光の光強度分布と前記第2波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第2波長帯域の範囲で積分することにより得られた量である、ことが好ましい。
【0019】
前記制御手段は、後述する一実施形態によれば、ドライバ信号処理回路110あるいはシステムコントローラ202を含むことが好ましい。前記増幅手段は、後述する一実施形態によれば、ドライバ信号処理回路110あるいは前段信号処理回路220を含む。前記制御手段が前記増幅率を制御するとは、これらの回路の少なくとも一部が、前記増幅率を設定する制御信号を生成し、制御信号を前記増幅手段に対応する回路に送信するように構成されていることをいう。前記増幅手段に対応する回路は前記制御信号を受信し、前記制御信号に従がって動作するように構成されていることをいう。後述する制御手段及び前記増幅手段においても上記内容を援用する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の照明光及び前記第2の照明光の照射を受けた被写体の前記画像信号に施す前記増幅率をそれぞれG3,G4と定義し、前記第1の照明光及び前記第2の照明光が照射されている時の前記撮像素子の露光時間をそれぞれT3、T4と定義した場合、前記制御手段は、G3×T3×K1=G4×T4×K2に基づいて、前記増幅率G3,G4を制御する、ことが好ましい。
【0021】
また、本発明の一実施形態によれば、電子内視鏡システムは、例えば、照明光切替手段と撮像素子制御手段を有する電子内視鏡用プロセッサと、撮像素子を有し、電子内視鏡用プロセッサに対して着脱可能に接続される電子スコープと、撮像素子から出力された画像信号に対して増幅処理を施す増幅手段と、を更に備える。この構成において、増幅手段は、第1の照明光が照射された被写体の画像信号に対し、増幅率G1で増幅処理を施し、第2の照明光が照射された被写体の画像信号に対し、増幅率G2で増幅処理を施すことが好ましい。また、撮像素子制御手段は、露光時間T1及び露光時間T2を、T1×R1×G1=T2×R2×G2を満たすように調整する、ことが好ましい。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の照明光の波長帯域と前記第2の照明光の波長帯域は互いに異なり、前記撮像素子における、前記第1の照明光及び第2照明光の波長帯域における平均量子効率それぞれを、AQE1,AQE2と定義した場合、
前記撮像素子制御手段は、
前記露光時間T1及び前記露光時間T2を、T1×R1×AQE1=T2×R2×AQE2を満たすように調整する、ことが好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、
前記照明光切替手段及び前記撮像素子制御手段を有する電子内視鏡用プロセッサを備え、
前記撮像素子を備えた電子スコープ
は前記電子内視鏡用プロセッサに対して着脱可能であり、
前記第1の照明光の波長帯域と前記第2の照明光の波長帯域は互いに異なり、
前記撮像素子制御手段は、
前記電子スコープと前記電子内視鏡用プロセッサの少なくとも一方において、前記画像信号に対して施される増幅処理の増幅率を取得し、
前記第1の照明光が照射された前記被写体の前記画像信号に対して施される増幅処理の増幅率をG1と定義し、前記第2の照明光が照射された前記被写体の前記画像信号に対して施される増幅処理の増幅率をG2と定義し、さらに、前記撮像素子における、前記第1の照明光及び第2照明光の波長帯域における平均量子効率をそれぞれ、平均量子効率AQE1,AQE2と定義した場合に、前記露光時間T1及び前記露光時間T2を、T1×R1×AQE1×G1=T2×R2×AQE2×G2を満たすように調整する、ことが好ましい。
【0024】
本発明の一態様に係る電子内視鏡システムは、被写体に照射する照明光を、
モニタに表示する第1の観察画像を得るための第1の照明光と、該第1の照明光とは単位時間当たりの光束の時間積分量の異なる
、前記モニタに表示する第2の観察画像を得るための第2の照明光と、の間で交互に切り替える照明光切替手段と、
前記被写体からの光を受光し、受光した光に応じた画像信号を出力する、
CMOS型のイメージセンサである撮像素子と、
前記撮像素子の露光時間及び電荷の読出しタイミングを制御する撮像素子制御手段と、を備える。
前記撮像素子制御手段は、
前記被写体に前記第1の照明光が照射されている時の前記撮像素子の露光時間T1と該被写体に前記第2の照明光が照射されている時の該撮像素子の露光時間T2を、前記第1の照明光の第1波長帯域における前記第1の照明光に関する算出量K1及び前記第2の照明光の第2波長帯域における前記第2の照明光に関する算出量K2に基づいて制御
することにより、前記露光時間T1を前記露光時間T2に比べて短くし、
前記算出量K1は、前記第1波長帯域における前記第1の照明光の光強度分布と前記第1波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第1波長帯域の範囲で積分することにより得られた量であり、
前記算出量K2は、前記第2波長帯域における前記第2の照明光の光強度分布と前記第2波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第2波長帯域の範囲で積分することにより得られた量である。
前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面上の受光位置における露光の開始と終了のタイミングをずらしながら、前記受光位置における前記電荷を読み出すローリングシャッタ方式で読み出しを行い、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光は、前記第1の照明光と前記第2の照明光との間で照明光を切り替える際に、前記切り替え後の照明光の光強度が一定になる前に、前記切り替え前の照明光の光強度が低下し、前記切り替え後の照明光の光強度が照射開始から時間とともに増加
し、さらに、前記第1の照明光及び前記第2の照明光が同時に照射する期間を少なくとも含む遷移期間を有して前記被写体を照明し、前記第1の照明光及び前記第2の照明光それぞれが照明する時の、前記撮像素子による前記ローリングシャッタ方式における露光期間は、前記遷移期間を含まない。
前記撮像素子制御手段は、前記第2の照明光の光強度が一定を維持する期間内に、前記撮像素子の前記受光位置のすべてにおける前記ローリングシャッタ方式の前記露光の開始と前記露光の終了が行われるように、前記露光時間T2を定め、定めた前記露光時間T2に基づいて前記露光時間T2に比べて短い前記露光時間T1を定める。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記撮像素子制御手段は、前記露光時間T1,T2を、T1×K1=T2×K2が満足するように制御する、ことが好ましい。
【0026】
本発明の一態様に係る電子内視鏡システムは、被写体に照射する照明光を、
モニタに表示する第1の観察画像を得るための第1の照明光と、該第1の照明光とは単位時間当たりの光束の時間積分量の異なる
、前記モニタに表示する第2の観察画像を得るための第2の照明光と、の間で交互に切り替える照明光切替手段と、
前記被写体からの光を受光し、受光した光に応じた画像信号を出力するように構成された
、CMOS型のイメージセンサである撮像素子と、
前記撮像素子の露光時間及び電荷の読出しタイミングを制御し、前記撮像素子が前記第1の照明光で照射された前記被写体を露光時間T3で撮像し、前記第2の照明光で照射された前記被写体を露光時間T4で撮像するように前記撮像素子を制御する撮像素子制御手段と、
前記撮像素子から出力された前記画像信号に対して増幅処理を施す増幅手段と、
前記増幅処理の増幅率を制御する制御手段と、を備える。
前記第1の照明光の第1波長帯域は、前記第2の照明光の第2波長帯域とお互いに異なり、
前記制御手段は、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光のいずれか一方の照射を受けた前記被写体の前記画像信号に施す増幅率を、他方の照射を受けた前記被写体の前記画像信号に施す増幅率と、前記第1波長帯域における前記第1の照明光に関する算出量K1及び前記第2波長帯域における前記第2の照明光に関する算出量K2と、前記露光時間T3,T4と、に基づいて制御
し、前記露光時間T3は前記露光時間T4に比べて短い。
前記算出量K1は、前記第1波長帯域における前記第1の照明光の光強度分布と前記第1波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第1波長帯域の範囲で積分することにより得られた量であり、
前記算出量K2は、前記第2波長帯域における前記第2の照明光の光強度分布と前記第2波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第2波長帯域の範囲で積分することにより得られた量である。
前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面上の受光位置における露光の開始と終了のタイミングをずらしながら、前記受光位置における前記電荷を読み出すローリングシャッタ方式で読み出しを行い、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光は、前記第1の照明光と前記第2の照明光との間で照明光を切り替える際に、前記切り替え後の照明光の光強度が一定になる前に、前記切り替え前の照明光の光強度が低下し、前記切り替え後の照明光の光強度が照射開始から時間とともに増加し、さらに、前記第1の照明光及び前記第2の照明光が同時に照射する期間を少なくとも含む遷移期間を有して前記被写体を照明し、前記第1の照明光及び前記第2の照明光それぞれが照明する時の、前記撮像素子による前記ローリングシャッタ方式における露光期間は、前記遷移期間を含まない。
前記撮像素子制御手段は、前記第2の照明光の光強度が一定を維持する期間内に、前記撮像素子の前記受光位置のすべてにおける前記ローリングシャッタ方式の前記露光の開始と前記露光の終了が行われるように、前記露光時間T4を定め、定めた前記露光時間T4に基づいて前記露光時間T4に比べて短い前記露光時間T3を定める。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記第1の照明光及び前記第2の照明光の照射を受けた被写体の前記画像信号に施す前記増幅率をそれぞれG3,G4と定義し、前記第1の照明光及び前記第2の照明光が照射されている時の前記撮像素子の露光時間をそれぞれT3、T4と定義した場合、前記制御手段は、G3×T3×K1=G4×T4×K2に基づいて、前記増幅率G3、G4を制御する、ことが好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記撮像素子の露光の開始と終了のタイミングの、前記受光位置におけるずれの最小時間は、前記リセット時間に等しい、ことが好ましい。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、前記
第1の照明光及び前記第2の照明光のいずれか一方の照射時間内で最初に行う前記電荷の読み出しの前に行う前記ノイズ蓄積電荷のリセットの期間は、前記遷移期間内にある、ことが好ましい。
【0031】
また、本発明の一実施形態によれば、例えば、第1の照明光が連続して被写体に照射される照射時間と、第2の照明光が連続して被写体に照射される照射時間は等しいことが好ましい。
【0032】
また、本発明の一実施形態によれば、照明光切替手段は、例えば、白色光を射出するように構成された光源と、白色光を第1の照明光にフィルタリングするように構成された第1のフィルタ、白色光を第2の照明光にフィルタリングするように構成された第2のフィルタがそれぞれ、円周方向において同じ角度範囲に並べて配置された回転板と、回転板を回転させることにより、第1の照明光の照射期間中、第1のフィルタを白色光の光路に挿入させ、第2の照明光の照射期間中、第2のフィルタを光路に挿入させるように構成された回転駆動部と、を備えることが好ましい。
【0033】
また、本発明の一実施形態によれば、照明光切替手段は、例えば、被写体に照射する照明光を、第1の照明光、第2の照明光、単位時間当たりの光束の時間積分量が第1の照明光又は第2の照明光とは異なる第3の照明光の間で順次切り替えることが好ましい。この場合、撮像素子制御手段は、露光時間T1、露光時間T2及び被写体に第3の照明光が照射されている時の撮像素子の露光時間T3を、時間積分量R1、時間積分量R2及び第3の照明光の単位時間当たりの光束の時間積分量R3に基づいて制御することが好ましい。
【0034】
本発明の
一態様に係る電子内視鏡システムは、被写体に照射する照明光を、モニタに表示する第1の観察画像を得るための第1波長帯域の第1の照明光と、該第1の照明光とは単位時間当たりの光束の時間積分量が異なる、前記モニタに表示する第2の観察画像を得るための照明光であって、前記第1波長帯域と異なる第2波長帯域の第2の照明光と、の間で交互に切り替える照明光切替手段と、
前記被写体からの光を受光し、受光した光に応じた画像信号を出力するように構成された、CMOS型のイメージセンサである撮像素子と、を備える。
前記被写体に前記第1の照明光が照射されている時の前記撮像素子の露光時間T1と該被写体に前記第2の照明光が照射されている時の該撮像素子の露光時間T2は、T1×K1=T2×K2を満足し、前記露光時間T1は前記露光時間T2に比べて短い。
前記K1は、前記第1波長帯域における前記第1の照明光の光強度分布と前記第1波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第1波長帯域の範囲で積分することにより得られた量であり、
前記K2は、前記第2波長帯域における前記第2の照明光の光強度分布と前記第2波長帯域における前記撮像素子の量子効率の分布の積を前記第2波長帯域の範囲で積分することにより得られた量である。
前記撮像素子は、前記撮像素子の受光面上の受光位置における露光の開始と終了のタイミングをずらしながら、前記受光位置における蓄積した電荷を読み出すローリングシャッタ方式で読み出しを行い、
前記第1の照明光及び前記第2の照明光は、前記第1の照明光と前記第2の照明光との間で照明光を切り替える際に、前記切り替え後の照明光の光強度が一定になる前に、前記切り替え前の照明光の光強度が低下し、前記切り替え後の照明光の光強度が照射開始から時間とともに増加し、さらに、前記第1の照明光及び前記第2の照明光が同時に照射する期間を少なくとも含む遷移期間を有して前記被写体を照明し、前記第1の照明光及び前記第2の照明光それぞれが照明する時の、前記撮像素子による前記ローリングシャッタ方式における露光期間は、前記遷移期間を含まない。
前記電子内視鏡システムは、前記第2の照明光の光強度が一定を維持する期間内に、前記撮像素子の前記受光位置のすべてにおける前記ローリングシャッタ方式の前記露光の開始と前記露光の終了が行われるように、前記露光時間T2を定め、定めた前記露光時間T2に基づいて前記露光時間T2に比べて短い前記露光時間T1を定める。