特許第6797954号(P6797954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6797954吸収性物品のための吸収性構造体を作製する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6797954
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】吸収性物品のための吸収性構造体を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/535 20060101AFI20201130BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   A61F13/535 200
   A61F13/49 100
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-23934(P2019-23934)
(22)【出願日】2019年2月13日
(62)【分割の表示】特願2017-27244(P2017-27244)の分割
【原出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2019-93194(P2019-93194A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年2月21日
(31)【優先権主張番号】61/495,406
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】カルシュテン、ハインリヒ、クロイツァー
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ、ロザーティ
(72)【発明者】
【氏名】ブランカ、アリッティ
(72)【発明者】
【氏名】ハンス、アドルフ、ヤッケルス
(72)【発明者】
【氏名】エルネスト、ヘ.ビアンキ
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド、キャロル、ロー
【審査官】 住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−132055(JP,A)
【文献】 特開2007−054219(JP,A)
【文献】 特開2010−068954(JP,A)
【文献】 特表2010−529900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品のための吸収性構造体(15)を作製する方法であって、
前記吸収性構造体(15)は、
基材層(16)と、前記基材層に支持された吸収性層(17)であって、少なくとも超吸収性ポリマー材料を含む吸収性材料(50)を含む吸収性層(17)と、を含んでおり
前記吸収性層(17)は、長手方向軸と、前記長手方向軸に直交する横方向軸と、を有しており、
前記吸収性層(17)は、前記長手方向軸の一方側で長手方向に延びる第1の側部(20)と、前記長手方向軸の他方側で長手方向に延びる第2の側部(20)と、を含んでおり、
前記吸収性層(17)は、少なくとも前記第1の側部(20)に存在する長手方向に延びる第1のチャネル(26)と、前記第2の側部(20)に存在する長手方向に延びる第2のチャネル(26)と、を有しており、
前記チャネル(26)は、前記超吸収性ポリマー材料を含んでおらず、前記吸収性層(17)の高さにわたって延びており、
前記吸収性構造体(15)は、前記基材層(16)に前記吸収性層(17)を少なくとも部分的に不動化するための1つ以上の接着剤(40、60)を含んでおり、
前記方法は、
前記第1のチャネル(26)および前記第2のチャネル(26)に対応する形状および寸法の隆起部を有する支持手段に前記基材層(16)を配置して、前記基材層(16)を隆起部および残部に設けることと、
前記基材層(16)に前記吸収性材料(50)を堆積させることと、を含んでおり、
前記吸収性材料(50)は、前記基材層(16)の前記隆起部に存在せず、前記基材層(16)の前記残部にのみ存在するように堆積され、
前記吸収性構造体(15)の前記1つ以上の接着剤(40、60)は、前記チャネル(26)に存在しており、前記基材層(16)は、前記チャネル(26)またはその一部に折り込まれており、前記基材層(16)は、前記チャネル(26)の長手方向の壁または前記壁の一部を形成する吸収性材料(50)に接着される、方法。
【請求項2】
前記吸収性構造体(15)の前記吸収性層(17)は、一対の長手方向側縁部(18)と、横方向前縁部(19)と、横方向後縁部(19)と、を有しており、前記チャネル(26)は、前記一対の長手方向側縁部(18)、前記横方向前縁部(19)および前記横方向後縁部(19)のいずれまでも延びていない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記基材層(16)は、前記チャネル(26)に折り込まれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
手方向に延びる前記第1のチャネル(26)および前記第2チャネル(26)は、曲線的または角度付きであり、長手方向軸において互いの鏡像である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記吸収性構造体(15)の前記1つ以上の接着剤(40、60)は、前記吸収性層(17)またはその一部に適用される第1の接着剤(40)を含んでおり、前記第1の接着剤(40)は、熱可塑性接着剤であり、前記吸収性層(17)が前記基材層(16)に存在するとき、前記第1の接着剤(40)は、繊維の形態である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記吸収性構造体(15)の前記1つ以上の接着剤(40、60)は、前記基材層(16)と前記吸収性層(17)との間に存在する第2の接着剤(60)であって、前記基材層(16)への前記吸収性層(17)またはその前記吸収性材料(50)の堆積の前に、前記基材層(16)またはその一部に適用される第2の接着剤(60)を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記吸収性構造体(15)は、前記吸収性層(17)に隣接して存在する更なる基材層(16’)を更に含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記吸収性構造体(15)の前記チャネル(26)は、乾燥状態および湿潤状態の両方において少なくとも部分的に維持されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥及び湿潤(すなわち、体液で充填された)状態におけるより良いフィットをもたらし、よりよい液体移送をもたらす、使い捨ておむつに関連する。
【背景技術】
【0002】
尿又は糞などの身体排出物を受容しかつ保持するための使い捨て吸収性物品は、当該技術分野において周知である。これらの例としては、使い捨ておむつ、トレーニングパンツ、及び成人失禁用物品が挙げられる。典型的には、使い捨ておむつは、着用者の身体に面する液体透過性トップシートと、着用者の衣類に面する液体不透過性バックシートと、液体透過性トップシートとバックシートとの間に介在する吸収性コアと、を含む。
【0003】
使い捨ておむつが市場に導入されて以来、使い捨ておむつは、快適性、フィット感、及び機能性に関して改善され続けてきた。
【0004】
使い捨て吸収性物品の重要な構成要素は、吸収性コア構造体である。吸収性コア構造体は典型的には、例えば吸収性ゲル化材料(AGM)又は超吸収性ポリマー(SAP)とも称されるヒドロゲル形成ポリマー材料などの吸収性ポリマー材料を含む。この吸収性ポリマー材料は、多量の体液、例えば尿を、吸収性物品が使用されている間、当該吸収性物品によって吸収し、閉じ込めることができ、それによって染み出るような再湿潤を低減し、皮膚を良好に乾燥させることを確実にする。
【0005】
典型的には、吸収性ポリマー材料は、セルロース又はセルロース繊維を備える吸収性コア構造体に組み込まれる。しかしながら、過去数年にわたり、大量の排泄された体液(特に尿)を更に捕捉及び貯蔵することができる、より薄い吸収性コア構造体を作製するために、多大な労力が費やされてきた。この点に関し、これらのセルロース繊維を吸収性コア構造体から削減又は排除することが提案されている。吸収性コア構造体の機械的安定性を維持するために、少量の熱可塑性接着剤、例えば、繊維性熱可塑性接着剤が、吸収性ポリマー材料を安定化させるために追加され得る。結果として、必要な透過性/多孔性、より低いゲル遮断を有し、かつ使用中又は移送中における安定な構造を形成する、吸収性構造が提供される。
【0006】
しかしながら、より少ないセルロース繊維容量を備え、一方で体液が充填されないときにより薄いいくつかの吸収性コア構造体は、特に、吸収性物品の吸収性能の大部分を含む区域、例えば、おむつの前方区域、及び股部区域において、部分的に又は完全に充填される際に、より高い堅牢性を有し得ることが見い出された。より高い堅牢性は、これが、着用された際の着用者の身体に対して適合する吸収性物品の能力を低減させるために、望ましくない。更に、高い吸収性能の吸収性ポリマー粒子を含む、いくつかの吸収性コア構造体は、身体排泄物を充填する際に著しく膨張することがまた見い出された。結果として、吸収性物品の体積は、特に、おむつの前方区域及び股部区域などの吸収性物品の吸収性能の大部分を含む区域において、使用中に著しく増加し得る。このような体積の増加は、吸収性物品を着用者にとって不快なものとし得る。より低いセルロース繊維容量を有するこれらの吸収性コア構造体のいくつかが、液体捕捉速度に悪影響を与える、より低い空隙容量を有し得ることが見出され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、良好な液体処理特性を有し、及び物品の全使用中により高い可撓性を有し、特に湿潤状態におけるより良好なフィットをもたらす、使い捨ておむつに対する必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
横方向及び長手方向寸法を有し、バックシート、トップシート、及びこれらの間に配置される吸収性コアを含む、使い捨ておむつと関連する。吸収性コアは、基材層及び吸収性層を含む、少なくとも1つの吸収性構造体を含む。吸収性層は、基材層上に支持され、かつ不動化された、吸収性ポリマー粒子、及び任意のセルロース繊維を含む。吸収性層は、横方向及び長手方向寸法、並びに厚さを有し、一対の対向する長手方向縁部が長手方向寸法に延び、一対の対向する横方向縁部がその横方向寸法に延び、前方、股部、及び後方区域は、長手方向寸法でこの順で配置される。吸収性層の中央長手方向軸に対して垂直な平面は、2つの長手方向部分を画定する。吸収性層は、その長手方向寸法において、その厚さを通じて延びる上記吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない少なくとも2つのチャネルを含み、吸収性層の各長手方向部分は、上記チャネルの1つを含む。各チャネルは、少なくとも3mm、又は吸収性層の横方向寸法の少なくとも4%の幅を有し、吸収性層の長手方向寸法の少なくとも15%にわたって延び、少なくとも股部区域又はその一部に存在する。吸収性層は、股部区域におけるその横方向寸法で延びる吸収性ポリマー粒子を実質的に含まないチャネルを含まず、その長手方向及び横方向縁部まで延びる吸収性ポリマー粒子を実質的に含まないチャネルを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】使い捨ておむつの平面図。
図2】2つの長手方向主要チャネルを備える吸収性層を含む、吸収性構造体の斜視図。
図3A】4つの長手方向主要チャネルを含む、吸収性層の斜視図。
図3B】4つの長手方向主要チャネルを備える吸収性層を含む、吸収性構造体の平面図。
図3C図3Bの吸収性構造体の斜視図。
図4A】チャネルの概略図。
図4B】チャネルの概略図。
図4C】チャネルの概略図。
図4D】チャネルの概略図。
図4E】チャネルの概略図。
図5】少なくとも股部区域に存在する2つの長手方向主要チャネル、及び前方区域における2つの長手方向二次チャネルを含む、吸収性層の斜視図。
図6】少なくとも股部区域に存在する2つの長手方向主要チャネル、前方区域における2つの長手方向二次チャネル、及び後方前方区域における2つの長手方向二次チャネルを含む、吸収性層の斜視図。
図7】横方向寸法でとった吸収性コアの概略的断面図。
図8】横方向寸法でとった吸収性コアの概略的断面図。
図9】横方向寸法でとった吸収性コアの概略的断面図。
図10】横方向寸法でとった吸収性コアの概略的断面図。
図11】横方向寸法でとった吸収性コアの概略的断面図。
図12】横方向寸法でとった吸収性コアの概略的断面図。
図13】横方向寸法でとった吸収性コアの概略的断面図。
図14】チャネルを備える吸収性層を含む、吸収性構造体を作製するためのプロセスの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書で使用するとき、「おむつ」とは、身体から排出される様々な排泄物を吸収及び収容するために着用者の皮膚に対して着装されることを意図する装置を指す。おむつは、一般に、着用者の腰及び脚を取り囲むように、乳幼児及び尿失禁者により胴体下部の周囲に着用される。おむつの例としては、乳幼児又は成人用おむつ、及びトレーニングパンツなどのパンツ様おむつが挙げられる。
【0011】
「トレーニングパンツ」という用語は、本明細書で使用するとき、乳幼児又は成人の着用者に合わせて設計されているウエスト開口部及び脚部開口部を備えている使い捨て衣類を指す。パンツは、着用者の脚を脚部開口部に挿入し、パンツを着用者の胴体下部の周囲にまでずらすことによって着用者に対して定位置に置くことができる。パンツは、再締着可能及び/又は再締着不可能な結合を使用して、物品の一部分を一緒に接合するなどの非限定的な任意の好適な技術(例えば、シーム、溶接、接着、凝集結合、留め具など)によって予備形成され得る。パンツは、物品の外周に沿った任意の位置において予備成形することができる(例えば、側面固定、前腰部固定)。
【0012】
「使い捨て」は、本明細書においては、洗濯若しくは他の方法で、復元又は再使用することを通常想定していない(すなわち、1回使用した後に廃棄され、リサイクル、堆肥化、又は他の環境に適合する方法で処理され得ることを前提としている)物品を説明するために使用する。
【0013】
本明細書で使用するとき「吸収性構造体」とは、尿などの液体を吸収及び収容するために有用な三次元構造体を指す。本明細書において更に記載されるように、吸収性構造体は、吸収性物品の吸収性コアであってもよく、又は吸収性物品の吸収性コアの一部(すなわち、吸収性コアの吸収性構成要素)であってもよい。
【0014】
本明細書において使用するとき「吸収性コア」とは、一般的に吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置された、吸収性物品の構成要素を指す。吸収性物品の吸収性コアは、1つ以上の吸収性構造体、及び任意により更に、カバー層などの層を更に含み得る。
【0015】
本明細書で使用するとき、「粒子状吸収性ポリマー粒子」とは、遠心分離保持容量(Centrifuge Retention Capacity)試験(Edana 441.2−01)で測定した場合に、それらの重量の少なくとも10倍の、脱イオン水に溶解した0.9%塩溶液を吸収することができる、実質的に非水溶性のポリマー粒子を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、「不織布材料」は、配向性繊維又は不規則に配向された繊維で製造されたウェブを指し、紙と、更なるニードル加工の有無を問わず、接合糸若しくは長繊維を組み込んだ織り製品、編み製品、タフテッド製品、ステッチで接合した製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品とを除く。不織布材料及びそれらを作製するためのプロセスは、当該技術分野において既知である。一般に、スパンレイ法、メルトブロー法、カード法、エアレイ法、湿式レイ法、コフォーム、及びこれらの組み合わせを含むことができる不織布材料の製造プロセスは、繊維を成形平面上に置くことを含む。繊維は、天然起源のものであっても人工起源のものであってもよく、短繊維若しくは連続フィラメントであっても、又はその場で形成されたものであってもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「坪量」とは、単位面積当たりの材料の質量、すなわち、単位面積当たりの乾燥シートの吸収性ポリマー粒子、例えば、1平方メートル当たりのグラム数(gsm)を指す。
【0018】
「ホットメルト接着剤」とは、本明細書で使用するとき、Alphonsus V.Pocius(Hanser publishers Munich,1997)によってもたらされる、「Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction」に掲載の説明と一致する、接着剤を指す。そこでは、ホットメルトは、溶解物から適用され、凝固で強度を得る接着剤として定義されている。
【0019】
本発明の以下の記載において、使用中に着用者の方を向く、使い捨ておむつ、又はその要素の表面は、「着用者に面する表面」と称される。反対に、使用中に衣類の方向を向く表面は、「衣類に面する表面」と称される。使い捨ておむつ、加えてその要素、例えば、吸収性構造体などはしたがって、着用者に面する表面、及び衣類に面する表面を有する。
【0020】
他に明確に記載されないかぎり、本明細書において使用される吸収性層の長手方向寸法、又は長さは、平均長さとして理解される。
【0021】
他に明確に記載されないかぎり、本明細書において使用される吸収性層の横方向寸法、又は幅は、平均幅として理解される。
【0022】
使い捨ておむつ
図1に例示されるような、使い捨ておむつ1は、長手方向寸法(長手方向軸Aに沿って)、及び長手方向寸法に垂直の横方向寸法(横方向軸Bに沿って)を有する。
【0023】
おむつの一方の端部は前側腰部領域2(物品の前側3分の1であり、物品の長さの3分の1を有する)として形成される。反対側の端部は、おむつの後側腰部領域3(これは、物品の後側3分の1であり、物品の長さの3分の1を有する)として形成される。おむつの中間部は、股部区域4(これは、物品の中央3分の1である)として構成される。股部区域は、前方腰部区域と後方腰部区域との間で長手方向において延びる。股部区域は、おむつを着用した際に、一般に着用者の脚の間に位置するおむつの部分である。
【0024】
おむつは典型的にはトップシート5、バックシート6、及びその間の吸収性コア7を含む。
【0025】
トップシートは液体透過性であり得る。トップシートは、少なくとも部分的に親水性であってよい。いわゆる有孔トップシートも使用できる。1つ以上の(大きな)開口部を有するトップシートも使用できる。トップシートはまた、スキンケア組成物、例えばローションを含むことができる。トップシートは全体的又は部分的に伸縮性を持たせてもよく、又はトップシートと吸収性コアとの間に隙間が形成されるように短縮させてもよい。伸縮性の又は縮小させたトップシートを包含する代表的な構造体は、米国特許第5,037,416号(アレン(Allen)ら、1991年8月6日発行)、名称「弾性的延伸性のトップシートを有する使い捨て吸収性物品(Disposable Absorbent Article Having Elastically Extensible Topsheet)」、及び同第5,269,775号(フリーランド(Freeland)ら、1993年12月14日発行)、名称「使い捨て吸収性物品用の三分割トップシート及びその三分割トップシートを有する使い捨て吸収性物品(Trisection Topsheets for Disposable Absorbent Articles and Disposable Absorbent Articles Having Such Trisection Topsheets)」に更に詳細に記載されている。
【0026】
バックシートは、液体不透過性であるが、蒸気透過性であってもよい。バックシートは、吸収性コアに吸収され収容されている流体が、パンツ、ズボン、パジャマ、下着、及びシャツ又はジャケットなどの吸収性物品と接触する材料を濡らすことを防ぐのに用いることができ、これにより、流体移動に対するバリアとして作用するように使用されてもよい。特定の実施形態では、バックシートは、液体(例えば、尿)に対して実質的に不透過性であってもよく、不織布と約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムとの積層体で構成することができる。好適なバックシートフィルムとしては、インディアナ州テレホート所在のTredegar Industries Inc.の製造する、X15306、X10962、及びX10964の商品名で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材料としては、おむつから蒸気を逃がす一方で、液体排出物のバックシートからの通過を防止する通気性材料を挙げることができる。代表的な通気性材料としては、織布ウェブ、不織ウェブ、フィルムコーティング不織ウェブなどの複合材料、並びにエスポアール(ESPOIR)NOの呼称で日本の三井東圧株式会社(Mitsui Toatsu Co.)により製造されているミクロ孔質フィルム及びエグザイア(EXXAIRE)の名称でテキサス州ベイシティーのエクソンケミカル社(EXXON Chemical Co.)により製造されているようなミクロ孔質フィルムなどの材料を挙げることができる。ポリマーブレンドを含む適した通気性複合材料は、名称ハイトレル(HYTREL)ブレンドP18−3097として、クロペイ社(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティ)から入手可能である。このような通気性複合材料は、E.I.DuPont.の名義で1995年6月22日に出願された、PCT特許出願番号WO 95/16746号により詳細に記載される。不織布ウェブ及び孔あき成形フィルムなどの他の通気性バックシートについては、Dobrinらに付与された1996年11月5日発行の米国特許第5,571,096号に述べられている。
【0027】
吸収性コア7は、吸収性物品のトップシートとバックシートとの間に配置される。吸収性コアは、本明細書に開示される1つ以上の吸収性構造体を含み得る。
【0028】
更に、おむつは、当該技術分野において既知のように、典型的にはウェストバンドに接合される、前側及び後側のウェストバンド及び/又は締結装置を更に含んでいてもよい。
好ましい締結システムは、締結タブ8及びランディングゾーン9を含み、締結タブがおむつの後方腰部区域に取り付けられるか又は接合され、ランディングゾーンは、おむつの前方腰部区域の一部である。おむつはレッグカフ10及び/又はバリアカフ、例えば、伸縮性バリアカフ11を有してもよい。好適なカフは、例えば、米国特許第3,860,003号、第4,808,178号及び4,909号、第4,695,278号及び第4,795,454号に記載されている。
【0029】
図1に例示されるよに、吸収性コアは、上方捕捉層12及び下方捕捉層13、並びに任意のコアカバー14を含む、捕捉システムを含み得る。
【0030】
おむつを組み立てる方法は、使い捨て吸収性物品を構築及び構成するための当該技術分野における既知の従来の技術を含む。例えば、バックシート及び/又はトップシートは、接着剤の均一な連続層、接着剤の模様付き層、又は接着剤の別個の線、螺旋、若しくは点の配列により、吸収性コアに結合させるか、又は互いに結合させることができる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller Company(St.Paul,Minnesota)によって、HL−1258又はH−2031の名称で製造されている。トップシート、バックシート、及び吸収性コアを様々な公知の構成で組み立ててもよいが、好適なおむつの構成は、概して、Roeらに付与された1996年9月10日発行の米国特許第5,554,145号「Absorbent Article
With Multiple Zone Structural Elastic−Like Film Web Extensible Waist Feature」、Buellらに付与された1996年10月29日発行の米国特許第5,569,234号「Disposable Pull−On Pant」、及びRoblesらに付与された1999年12月21日発行の米国特許第6,004,306号「Absorbent
Article With Multi−Directional Extensible Side Panels」に記載されている。
【0031】
上記のように、吸収性コアは、尿などの液体を吸収及び収容する1つ以上の吸収性構造体を含み得る。吸収性構造体は、吸収性物品の吸収性コアであってもよく、又は吸収性物品の吸収性コアの一部であってもよい。
【0032】
吸収性構造体
吸収性構造体15は、基材層16、及びこの基材層16によって支持され、これに不動化された吸収性ポリマー粒子及び任意のセルロースを含む吸収性層17を含む三次元構造体である。吸収性構造体15の例は、図2、3B及び3Cに例示される。
【0033】
基材層は、おむつの長手方向寸法において延びる長手方向寸法、及びおむつの横方向寸法において延びる横方向寸法を有する。
【0034】
吸収性層は、おむつの長手方向寸法において延びる長手方向寸法Mを有し(すなわち、吸収性層は長さMを有する)、おむつの横方向寸法において延びる横方向寸法Nを有する(すなわち、吸収性層は幅Nを有する)。吸収性層は、中央長手方向軸x、この中央長手方向軸xに対して垂直な中央横方向軸y、使い捨ておむつの長手方向寸法において延びる一対の対向する長手方向縁部18、及び使い捨ておむつの横方向寸法において延びる一対の対向する横方向縁部19を有する。吸収性層の長手方向縁部又は横方向縁部は、中央長手方向軸又は中央横方向軸とそれぞれ並行であってもよく(図2に示される)、又はこれらは、厳密に並行ではないがこれらの軸の一般的方向に沿っていてもよく、例えば、これらは例として股部区域により狭い横方向寸法をもたらすように湾曲していてもよい(図3A、5及び6に示される)。
【0035】
吸収性層17の中央長手方向軸xは、本明細書において長手方向の区域20と称される吸収性層の2つの区域を画定する(中央長手方向軸の垂直な平面は、吸収性層17を上記平面の両側に配置される2つの長手方向区域20へと分割する)。
【0036】
吸収性層の一方の端部は、前方区域21として構成され(これは、使い捨ておむつの前方腰部区域の方に向けられた区域である)、これは、吸収性層17の長手方向寸法Mの25%を構成する。反対側の端部区域は後方区域22として構成され(これは、おむつの後方腰部区域の方に向けられる区域である)、これは吸収性層17の長手方向寸法Mの25%を構成する。吸収性層17の中間部分は股部区域23として構成され、吸収性層の長手方向寸法Mの50%を構成する。前方、股部、及び後方区域は、吸収性層の長手方向寸法で、この連続して構成される。
【0037】
吸収性構造体の吸収性層は、吸収性ポリマー粒子を支持することができる任意の材料であり得る。典型的には、これはフォーム、フィルム織布及び/又は不織布材料などの、ウェブ又はシート材料である。本明細書で使用するとき、「不織布材」は、摩擦及び/又は凝集及び/又は接着により接合された、配向性繊維又は不規則に配向された繊維で製造されたウェブを指し、紙と、更なるニードル加工の有無を問わず、結合糸若しくは長繊維を組み込んだ織り製品、編み製品、タフテッド製品、ステッチで結合した製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品とを除く。不織布材料及びそれらを作製するためのプロセスは、当該技術分野において既知である。一般的に不織布材料を作製するプロセスは、成形表面への繊維の配置及び繊維の結合という2つの工程を含んでよい。繊維の配置工程は、スパンレイイング、メルトブローイング、カーディング、エアレイイング、湿式積層法、コフォーム及びこれらの組み合わせを含んでよい。繊維の結合工程は、水流交絡、コールドカレンダ、ホットカレンダ、スルーエアーサーマルボンド、ケミカルボンド、ニードルパンチ法、及びこれらの組み合わせを含んでよい。不織布材料は積層体であってもよい。積層体は、スパンボンド層(S)、及び/若しくはメルトブローン層(M)、並びに/又はカード層(C)を含み得る。好適な積層体としては、SS、SSS、SMS又はSMMSが挙げられるが、これらに限定されない。不織布材料は、約5〜100g/m、又は約10〜40g/m、又は約10〜30g/mの坪量を有してもよい。織布又は不織布材料は、天然繊維、若しくは合成繊維、又はこれらの組み合わせを含み得る。天然繊維の実施例は、広葉樹源、針葉樹源、又はその他の非木材植物からの繊維など、セルロース天然繊維を含んでもよい。天然繊維は、セルロース、デンプン、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。合成繊維は、例えば、ポリオレフィン類(ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマー、ポリエチレン及びポリエチレンコポリマー)、ポリエステル類(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリエーテル類、ポリアミド類、ポリエステルアミド類、ポリビニルアルコール類、ポリヒドロキシアルカノエート類、多糖類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものであるがこれらに限定されない、任意の材料であることができる。更に、合成繊維は、単一構成成分(すなわち、単一合成材料又は混合物が繊維全体を構成する)、2構成成分(すなわち、繊維は領域に分けられ、領域は2つ以上の異なる合成材料又はその混合物を包含し、並びに共押出繊維及びコア・シース繊維を包含する場合がある)、及びこれらの組み合わせであることができる。2成分繊維は、不織布材の成分繊維として使用することができ、及び/又は不織布材料中に存在するその他の繊維の接合剤として作用するために存在してもよい。繊維のいずれか又は全ては、繊維のいずれかの望ましい性質を変えるために、製造前、製造中、又は製造後に処理されてもよい。
【0038】
基材層16、及び吸収性層17は同一の広がりを有してもよく、又は基材層16は、吸収性層17よりも僅かに長く、かつ広くてもよい(図2、3B及び3Cに示される)。
【0039】
吸収性層17は、吸収性ポリマー粒子50、及び任意によりセルロースを含む。吸収性ポリマー粒子は、本明細書において以下で更に詳細に記載される。吸収性ポリマー粒子は、単独又は、他の材料と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態において、吸収性層は、セルロースと組み合わされた、吸収性ポリマー粒子を含む。「セルロース」は、繊維の形態の粉砕木材パルプと称され、典型的には当該技術分野において「エアフェルト」とも称される。いくつかの実施形態において、吸収性層は、吸収性ポリマー粒子の70重量%超、又は80重量%超、又は90重量%超、又は95重量%超、又は更に100重量%を含む。いくつかの他の実施形態において、吸収性層は、5重量%未満のセルロース、より典型的には2重量%未満のセルロースを含み、最も典型的には吸収性層はセルロースを含まない。吸収性層がセルロースを含まない実施形態において、吸収性層は、吸収性ポリマー粒子のみを含む。生じる吸収性構造体は、セルロース繊維を含む、従来的な吸収性構造体と比較して、乾燥状態においてより薄い厚さを有する。薄い厚さは、着用者に対する吸収性物品のフィット感及び快適性を改善するのを助ける。
【0040】
吸収性層17は、吸収性層の長手方向寸法における吸収性層の厚さを通じて延びる吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない、少なくとも2つのチャネル26を含む。吸収性層の長手方向寸法において延びるとは、チャネルが本質的に長手方向寸法に伸びていることを意味し、すなわちこれらは横方向寸法よりも長手方向寸法に伸びている(例えば、長手方向で横方向寸法の少なくとも2倍)。これらの2つのチャネルは本明細書において、「長手方向主要チャネル」と称される。
【0041】
これらの長手方向主要チャネル26に加えて、吸収性層17は更に、「二次チャネル」と称されるチャネル26’を含み得る。
【0042】
本明細書において使用されるとき「チャネル」とは、吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない吸収性層の厚さを通じて延びる吸収性層の別個の部分を指し、すなわち、吸収性構造体のこのようなチャネル(長手方向主要チャネル、又は二次チャネル)に吸収性ポリマー粒子が意図的に存在しない。しかしながら、ごく少量の吸収性ポリマー粒子が意図せずしてチャネル内に存在する場合があることが理解されるべきであり、これは、全体的な機能(例えば、吸収性構造体の吸収性)に寄与しない。典型的に、チャネルは2つの横方向縁部(最も短い寸法)、及び横方向縁部の間で走る2つの長手方向縁部(最も長い寸法)を有する。チャネルの横方向縁部は、直線的(すなわち、長手方向側縁部に対して垂直)、角度付き、又は曲線的であり得る。チャネルは、少なくとも3mmの(チャネルの平均は、長手方向側縁部の間の平均距離)、又は吸収性層の幅の少なくとも4%の平均幅Wを有する。いくつかの実施形態において、長手方向チャネルは複合的な形状を有してもよく、チャネルは直線的、角度付き、又は曲線的な横方向縁部で終わらなくてもよく、これらの縁部の1つ又は2つにおいて1つ以上の分岐を有してもよい(本明細書において分岐チャネルとして称される)。分岐はまた、長手方向縁部、及び1つの横方向縁部を有する。
チャネル、並びにこれらの分岐は、少なくとも3mm、又は吸収性層の幅の少なくとも4%の平均幅Wを有する。
【0043】
チャネルは、好ましくは恒久的である。恒久的とは、チャネルの一体性が乾燥状態及び湿潤状態の両方において少なくとも一部維持されていることを意味し、すなわち、チャネルが、おむつの着用者の運動により生じる摩擦に抵抗し、尿などの体液による湿潤に抵抗する。恒久的なチャネルは、例えば、吸収性層にわたり熱可塑性接着剤を適用することによって、基材層上に吸収性ポリマー粒子を不動化することによって得られる。あるいは、チャネルは、以下でより詳細に記載されるように、吸収性層を折ってチャネルにすること、又は吸収性層をチャネルに入れて吸収性ポリマー粒子を不動化することによって、恒久化され得る。
【0044】
本発明の吸収性コア(7)は、特にチャネルを通じて第1基材層(16)及び第2基材層(16’)を接合することによって形成された、特定の恒久的チャネルを含み得る。典型的に、チャネルを通じて基材層の両方を接合するために接着剤が使用されてもよいが、例えば、超音波結合、又は熱結合などの他の既知の手段を介して結合することが可能である。支持層は、チャネルに沿って連続的に結合されるか、又は断続的に結合され得る。
【0045】
以下に記載される湿潤チャネル一体性試験は、チャネルが湿潤飽和の後に恒久的であるか、及びそれがどの程度であるかを試験するために使用され得る。
【0046】
湿潤チャネル完全性試験
この試験は、湿潤飽和後のチャネルの完全性を点検するように構成されている。試験は、吸収性構造体を含む、吸収性構造体又は吸収性コアで直接行われ得る。
1.チャネルの長さ(mm)は、乾燥状態で測定される(チャネルが真っ直ぐでない場合、チャネルの中央を通じた曲線上の長さが測定される)。
2.吸収性構造体又はコアがその後、5リットルの合成尿「生理食塩水」に浸漬される(適量の塩化ナトリウムを蒸留水に溶かすことにより調製される、1000ml当たり9.00g NaCl濃度の溶液)。溶液の温度は20±5℃でなくてはならない。
3.生理食塩水に1分浸漬した後、吸収性構造体又はコアが取り出されて、排水のために一端を把持して5秒間垂直に保ち、その後衣類に面する面(この面が認識可能である場合)を下にして、水平面に平坦に広げる。吸収性構造体又はコアは、伸張要素を含み、吸収性構造体、又はコアは、収縮が観察されないように、X寸法及びY寸法の両方において、ピンと張られた。吸収性構造体又はコアの端/縁部は、収縮が生じないように水平面に固定された。
4.吸収性構造体又はコアは、好適な重さの剛性プレートで被覆され、寸法は;吸収性構造体又はコアの伸張した長さと等しい長さ、横断方向における最大吸収性構造体又はコア幅と等しい幅、である。
5.上記の剛性プレートの領域にわたり、18.0kPaの圧力が30秒間適用される。圧力は、剛性プレートによって包囲される全領域に基づいて計算される。圧力は、剛性プレートの重量及び追加的な重量の合計が、剛性プレートの全領域にわたり18.0kPaを生じるように、剛性プレートの幾何学的中心に追加的な重量を配置することにより、達成される。
6.30秒後、追加的な重量及び合成プレートが取り除かれる。
7.その直後、完全な状態のままであるチャネルの部分の合計長さが測定される(mm、チャネルが真っ直ぐでないとき、チャネルの中央を通じた曲線状の長さが測定される)。チャネルのいずれの部分も完全でない場合、チャネルは恒久的でない。
8.恒久的なチャネルの一体性の割合は、完全なままのチャネルの部分の合計長さを、乾燥状態のチャネルの長さで割り、その商に100を掛けることによって算出される。
【0047】
有利なことに、本発明による恒久的なチャネルは、この試験に従い、少なくとも20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%の完全性の割合を有する。
【0048】
吸収性構造体が吸収性ポリマー粒子及びセルロースを含むとき、上記チャネル、すなわち長手方向主要チャネル及び/又は第2チャネルがまた、このようなセルロースを含まないことが好ましい場合がある。
【0049】
以下において(適用可能である場合)、記載は個別にとられた各チャネルに適用される。例えば、「2つの長手方向チャネルが少なくとも15%である距離Lにわたって延びる場合がある」とは、2つの長手方向チャネルのそれぞれが、少なくとも15%の...である距離Lにわたって伸び得る」ことを意味し、すなわち、チャネルは同じ又は異なる場合がある。
【0050】
長手方向主要チャネル
2つの長手方向主要チャネル26は、吸収性層の各長手方向部分20が1つの長手方向主要チャネル26を含むようにして、吸収性層17に分布する。
【0051】
図2に示されるように、2つの長手方向主要チャネルは、少なくとも吸収性層の股部区域に存在する。「少なくとも股部区域に存在する」とは、チャネルが股部区域にのみ存在し得るか、又はこれらが股部区域から前方区域まで及び/又は後方区域まで延びてもよく、すなわち、これらは股部区域を超えて延びることを意味する。いくつかの実施形態において、2つの長手方向主要チャネルは、吸収性層の長手方向寸法の少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも30%、かつ50%以下、又は70%以下、又は90%以下にわって延びる場合がある(すなわち、これらは、吸収性層の長さMの少なくとも15%、かつ50%以下、又は70%以下、90%以下である、距離Lを超えて延びることがある)。いくつかの実施形態において、2つの長手方向主要チャネルが、股部区域にのみ存在する場合がある。股部区域にのみ存在する場合、長手方向主要チャネルは、股部区域の全長手方向寸法にわたって延びてもよく(すなわち、吸収性層の長手方向寸法Mの50%)、又はこれらは、股部区域の一部にわたってのみ延びてもよい(すなわち、吸収性層の長手方向寸法の少なくとも15%以上、又は少なくとも20%以上、又は少なくとも30%〜40%、又は45%以下、又は50%未満)。いくつかの実施形態において、2つの長手方向主要チャネル26は、股部区域、又はその一部、及び前方区域の一部及び/又は後方区域の一部に存在してもよい(例えば、図2に示される)。いくつかの実施形態において、長手方向主要チャネルは、前方区域及び股部区域に存在してもよく、すなわち、チャネルは股部区域(又はその一部)、及び前方区域の一部を通じて延びる。これらの実施形態において、長手方向主要チャネルは、吸収性層の長手方向寸法の最大70%、典型的には吸収性層の長手方向寸法の15%以上、又は30%以上、又は35%以上、又は40%〜70%まで延びてもよい(すなわち、これらは、吸収性層の長さMの最大70%までである、距離Lにわたって延びる場合がある)。いくつかの実施形態において、長手方向主要チャネルは、後方区域及び股部区域に存在してもよく、すなわち、チャネルは股部区域(又はその一部)、及び後方区域の一部を通じて延びる。これらの実施形態において、長手方向主要チャネルは、吸収性層の長手方向寸法の最大70%、典型的には吸収性層の長手方向寸法の15%以上、又は30%以上、又は35%以上、又は40%〜70%まで延びてもよい(すなわち、これらは、吸収性層の長さMの最大70%までである、距離Lにわたって延びる場合がある)。いくつかの実施形態において、長手方向主要チャネルは、前方区域、股部区域、及び後方区域に存在し得る。これらの実施形態において、長手方向主要チャネルは、吸収性層の長手方向寸法Mの最大90%、典型的には吸収性層の長手方向寸法の55%以上、又は60%〜70%、又は80%以下まで延びてもよい(すなわち、これらは、吸収性層の長さMの最大90%までである、距離Lにわたって延びる場合がある)。
【0052】
長手方向主要チャネル26は、吸収性層17の中央長手方向軸xに関して互いに鏡像であってもよく、すなわち、一方の長手方向区域20における長手方向主要チャネルは、吸収性層17の他方の長手方向区域の長手方向主要チャネルの鏡像であり得る。
【0053】
長手方向主要チャネル26は、吸収性層17の横方向縁部19まで延び、すなわち、一方の横方向縁部から他方へと延びる。典型的には、吸収性層は、各横方向縁部に沿って、及び上記縁部にすぐ隣接して、吸収性層の横方向寸法において、長手方向縁部の一方から他方へと延びるストリップを有さないチャネルを含む。上記ストリップはそれぞれ、吸収性層の長手方向寸法の少なくとも5%である、幅F’又はG’を有する(すなわち、吸収性層の長さの少なくとも5%の幅)。換言すれば、吸収性層のチャネルの縁部と横方向縁部との間の最小距離F’又はG’は、吸収性層の長手方向寸法Mの少なくとも5%である。いくつかの実施形態において、幅F’又はG’は、吸収性層の長手方向の寸法の少なくとも5%〜15%、又は10%以下である。
【0054】
更に、流体の漏れ、及び逃げの危険性を低減するために、長手方向主要チャネルは、吸収性層17の長手方向縁部18まで延びない。典型的には、吸収性層は、各長手方向縁部に沿って、及び上記縁部にすぐ隣接して、吸収性層の長手方向寸法において、横方向縁部の一方から他方へと延びるストリップを有さないチャネルを含む。上記のストリップは、所定の区域の吸収性層の横方向寸法Nの少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも12%〜25%の幅I’又はF’を有する(すなわち、吸収性層の幅Nの少なくとも5%である、幅I’又はF’)。換言すると、チャネルの縁部と、吸収性層の長手方向縁部との間の最短距離I’又はF’は、吸収性層の横方向寸法の少なくとも5%〜25%である。例えば、股部区域の距離I’又はF’は、上記股部区域の吸収性層の横方向寸法Nの少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも12%に対応し得る。いくつかの実施形態において、距離I’及び/又はF’は、10mm、又は15mm、又は20mmである。
【0055】
長手方向主要チャネルは、吸収性層の長手方向軸と平行に走る直線的なチャネルであり得る(図4Aに概略的に示される)。直線的なチャネルは、吸収性物品の折り畳み線として機能し、これは、着用される際におむつに望ましいバケツ型の形状をもたらすことに寄与する。着用されたおむつは、着用者の太腿の内側と適合する。結果として、漏れを最小化し、快適性を向上させるU字形の形状が得られる。これらのチャネルは、吸収性構造体内の流体移送を改善し、したがって、迅速な排泄物の捕捉に寄与する。
【0056】
あるいは、長手方向主要チャネルは、図4Bに示されるように湾曲していることがある。湾曲したチャネルは、吸収性構造体における折り畳み線として機能し、これは吸収性構造体が、おむつの着用者のモルホロジーに適合するのを補助し、すなわち、チャネルは、おむつが着用され、着用者の大腿によって圧迫される際にU字形形状をとるように製品を拘束する。したがって、チャネルは、液体移送の改善を可能にすることに加えて、快適性及び優れたフィットをもたらす。
【0057】
図4Cに示されるように、長手方向主要チャネル26は、傾いたチャネルであってもよく、すなわち、直線的なチャネルが、吸収性構造の長手方向中心軸に対して30°以下、又は20°以下、又は10°以下の角度θで向けられている。
【0058】
いくつかの他の実施形態において、長手方向主要チャネルは、図4Dに示されるように角度を有するチャネルであってもよい。角度付きチャネルは、互いに対して角度σで接続される2つ以上の部分からなるチャネルである。典型的には、角度を有するチャネルは、少なくとも150°、又は少なくとも160°、又は少なくとも170°の角度σで接続された2つの部分からなる。
【0059】
いくつかの実施形態において、長手方向主要チャネルは、いわゆる「分岐」チャネルであり、すなわち、直線的、角度付き、又は曲線的横方向縁部28ではなく、分岐29で終わる少なくとも1つの端部を有するチャネルである。分岐29は、チャネルの長手方向中心軸に対して30°以下、又は20°以下、又は10°以下の角度αを形成してもよい。
【0060】
長手方向主要チャネル26は、3mm〜15mm、又は4mm〜14mm、又は5mm〜12mmの平均幅Wを有し得る(チャネルの平均幅は、その長手方向側縁部27の間の平均距離である)。長手方向主要チャネルの平均幅は、吸収性層の幅の少なくとも4%、又は少なくとも7%、かつ15%、又は20%、又は25%以下である。いくつかの実施形態において、長手方向主要チャネルは、3mm〜18mm、又は5mm〜15mm、又は6〜10mmの平均幅Wを有してもよい。加えて分岐29は、3mm又は吸収性層の幅の少なくとも4%、又は少なくとも7%、かつ15%以下、又は20%以下、又は25%以下の平均幅Wを有する(分岐29の長手方向縁部27’の間の平均距離)。
【0061】
好ましくは、長手方向主要チャネル26は、股部区域において、この股部区域の吸収性層の横方向寸法(幅)の少なくとも5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%の距離D(図2に示される)だけ離間している。これらの2つの長手方向主要チャネルが、股部区域において、吸収性層の横方向寸法の少なくとも5%の距離だけ離間しているとき、使い捨ておむつは、おむつのフィットを改善する所望のバケツ形状を有する。いくつかの実施形態において、長手方向主要チャネルは股部区域において、少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも30mmの距離だけ離間していてもよい。いくつかの実施形態において、股部区域において長手方向主要チャネルを分離する距離は、20〜30mmである。
【0062】
発明者らは、吸収性構造体が、上記の少なくとも2つのチャネル(すなわち、2つの長手方向主要チャネル)を備えるとき、特に吸収性層に吸収性ポリマー粒子のみを含む吸収性構造体に関して、吸収性構造体の可撓性が増加することを見出した。2つのチャネルは、着用者の解剖学的構造に適合し、よっておむつのフィットを改善するようにおむつの曲げを推進する、折り曲げ線を生成する。
【0063】
更に、発明者は、上記の少なくとも2つチャネルを有する吸収性構造体が、チャネルを含まない同じ種類の吸収性構造体に対してより良好な流体移送を呈することを見出した。
実際、チャネルは、漏れの可能性を低減する迅速な排泄物の捕捉をもたらすことが観察された。チャネルは、漏れの可能性を増加させる流体排泄物の区域のおける吸収性層の飽和を避ける。
【0064】
二次チャネル
吸収性層は、吸収性物品の流体移送及び/又はフィットを更に増加させるチャネル26’(本明細書において二次チャネルと称される)を更に含む場合がある。長手方向主要チャネルの上記の記載は、上記二次チャネル26’のいずれかに等しく適用され得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、二次チャネルは、長手方向主要チャネルよりも短いことがある。
【0065】
二次チャネルは、吸収性層の長手方向寸法(長手方向二次チャネル)及び/又は吸収性層の横方向寸法(横方向第2チャネル)において延びることがあるが、ただし、これらは吸収性層の長手方向縁部及び/又は横方向縁部まで延びない。したがって、吸収性層はチャネルを有さず、すなわち、長手方向主要チャネル及び二次チャネルは、その長手方向縁部及びその横方向縁部まで延びる。
【0066】
長手方向二次チャネルは、吸収性層の長手方向寸法Mの少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%の距離V’にわたって延びてもよい(図6に示される)。これらは、吸収性層の長手方向寸法の90%まで延びてもよい。典型的には、長手方向二次チャネルは、吸収性層の長手方向寸法の30%又は45%まで延びる。
【0067】
横方向二次チャネルは、吸収性層の横方向寸法(幅)Nの少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%の距離にわたって延びてもよい。これらは、吸収性層の横方向寸法の90%まで延びてもよい。典型的には、横方向二次チャネルは、吸収性層の横方向寸法の30%又は45%まで延びる。いくつかの実施形態において、吸収性層は、横方向チャネルを含まない。
【0068】
典型的には、二次チャネルは、吸収性層の各横方向縁部にそって、かつ上記縁部にすぐ隣接して、吸収性層の横方向寸法において、距離F’又はG’にわたり一方の長手方向縁部から他方において延びるストリップがチャネルを含まないように、分布する(長手方向主要チャネル分布において上記に開示されたように)。
【0069】
典型的には、二次チャネルは、各長手方向縁部にそって、かつ上記縁部にすぐ隣接して、吸収性層の長手方向寸法において、距離H’又はI’にわたり一方の横方向縁部から他方において延びるストリップがチャネルを含まないように、分布する(長手方向主要チャネル分布において上記に開示されたように)。
【0070】
長手方向主要チャネル、及び(存在する場合は)二次チャネルは、吸収性層中において、吸収性層の中央長手方向軸に沿って(この軸を含む)一方の横方向縁部から他方へと延び、吸収性層の横方向寸法の少なくとも5%、又は少なくとも10%、かつ60%以下、又は70%以下、又は75%以下の幅D’を有するストリップが、チャネルを含まないままであるようにして、分布し得る。吸収性ポリマー粒子は、好ましくは上記ストリップ中に連続的に存在する。例えば、上記ストリップは、少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は20mm、かつ70mm以下、又は40mm以下の幅D’を有し得る。上記ストリップのチャネルの不在は、おむつが着用される際にこれがV字形の反対の構成をとることを防ぐために有利である。V字形の反対の構成は、流体が漏れる可能性を増加させる。いくつかの実施形態において、上記ストリップの吸収性ポリマー粒子の平均坪量は高く、すなわち、少なくとも350gsmかつ1000gsm以下、又は例えば、450gsm〜750gsmである。
【0071】
二次チャネルは、横方向二次チャネルであり得るが、吸収性層は、股部区域にこのようなチャネルを全く含まない。股部区域の横方向寸法で延びるチャネルは、液体を横方向縁部に移送し、流体が漏れる及び/又は逃れる危険性を望ましくない程に増加させる。しかしながら、このような二次チャネルは、吸収性層の前方区域及び/又は後方区域に存在してもよい。
【0072】
長手方向二次チャネルは、吸収性層の前方区域、後方区域、及び/又は股部区域に存在してもよい。
【0073】
長手方向主要チャネルのそれぞれに開示されるように、二次チャネルは、吸収性構造体の長手方向中心軸と平行な直線的なチャネル(図4Aに示される)、曲線的なチャネル(図4Bに示される)、角度付きチャネル(図4Dに示される)、斜めのチャネル(図4Cに示される)、又は分岐したチャネル(図4Eに示される)であり得る。斜めの長手方向チャネルは、吸収性層の前方又は後方区域に存在する(すなわち、股部区域に存在しない)ときに、吸収性層の長手方向中心軸と60°以下、又は50°以下、又は45°以下の角度θを形成してもよい。
【0074】
二次チャネルは、3mm〜15mm、又は4mm〜14mm、又は5mm〜12mmの平均幅W’を有していてもよく(チャネルの平均幅は、長手方向側縁部27の間の平均距離である)、又は、二次チャネルの平均幅は、吸収性層の幅の少なくとも4%、又は少なくとも7%、かつ15%以下、又は20%以下、又は25%以下であってもよい。いくつかの実施形態において、二次チャネルは、3mm〜18mm、又は5mm〜15mm、又は6〜10mmの平均幅W’を有してもよい。加えて分岐29は、3mm又は吸収性層の幅の少なくとも4%、又は少なくとも7%、かつ15%以下、又は20%以下、又は25%以下の平均幅W’を有する(分岐29の長手方向縁部27’の間の平均距離)。
【0075】
長手方向主要チャネル、及び二次チャネルは、少なくとも5mm、又は少なくとも8mmだけ、互いに離間していてもよい。
【0076】
吸収性層は、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つなど、1つ以上の上記二次チャネルを含んでもよい。好ましくは、吸収性層は、偶数の二次チャネルを含む。二次チャネルは吸収性層において、吸収性層の各長手方向区域が、二次チャンネルと同数を含むように、分布し得る。いくつかの実施形態において、チャネルを含む長手方向区域(すなわち、長手方向主要チャネル及び二次チャネル)は、吸収性層の中央長手方向軸に対して互いに鏡像である。
【0077】
いくつかの実施形態において、例えば、図3A〜3Cに例示されるように、長手方向二次チャネル、及び長手方向主要チャネルは区別可能ではなく、すなわち長手方向二次チャネル、及び長手方向主要チャネルは同様である。生じる吸収性層はしたがって、股部区域に少なくとも存在する3つ以上の長手方向主要チャネル26(例えば、4つの長手方向主要チャネル)を含むものとして見られてもよい。いくつかの実施形態において、股部区域におけるチャネルの最大数は、チャネル26の幅Wの合計が股部区域の吸収性層の横方向寸法(幅)の50%未満であるようなものであることが好ましい場合がある。
【0078】
いくつかの実施形態において、図5に示されるように、吸収性層17は、上記の2つの長手方向主要チャネル26、及び後方区域26’の2つの二次長手方向チャネルを含み得る。2つの長手方向主要チャネル26は、少なくとも股部区域に存在する。少なくとも股部区域に存在するとは、上記2つの長手方向主要チャネルが、前方区域及び/又は後方区域まで延びてもよいことを意味する。少なくとも股部区域に存在する2つの長手方向主要チャネル26は、吸収性層の長手方向寸法Mの少なくとも15%である距離Lにわたって延びてもよい。前方区域の二次長手方向チャネル26’は、吸収性層の長手方向寸法Mの少なくとも10%〜20%である、距離V’にわたって延びる場合がある。股部区域の2つの長手方向主要チャネル26は、曲線的なチャネルであってもよく、前方区域の2つの二次長手方向チャネル26’は、傾いたチャネルであってもよい。好ましくは、長手方向区域の1つのチャネルが、他の長手方向区域において、互いに鏡像である。
【0079】
いくつかの他の実施形態において、図6に示されるように、吸収性層17は、股部区域において2つの長手方向主要チャネル26、前方区域における2つの長手方向二次チャネル26’、及び後方区域における2つの長手方向二次チャネル26’を含み得る。股部区域25の長手方向主要チャネル26は、吸収性層の長手方向寸法の少なくとも15%にわたって延びてもよい。前方区域及び後方区域の二次長手方向チャネル26’は、吸収性層の長手方向寸法Mの少なくとも10%〜20%である、距離V’にわたって延びる場合がある。股部区域の長手方向主要チャネル26は、曲線的なチャネルであってもよく、前方区域及び後方区域の2つの二次長手方向チャネル26’は、傾いたチャネルであってもよい。好ましくは、長手方向区域の1つのチャネルが、他の長手方向区域において、互いに鏡像である。
【0080】
二次チャネル26’が、股部区域内において延びる長手方向二次チャネルであるとき、吸収性層内のチャネルの最大数は、チャネルの幅W及びW’の合計(二次チャネル及び長手方向主要チャネル)が、股部区域内の吸収性層の横方向寸法の50%未満であるようなものであることが好ましい場合がある。
【0081】
本明細書におけるいくつかの実施形態において、チャネル26及び26’にすぐ隣接し、チャネルの縁部から少なくとも3mm、又は少なくとも5mm、又は少なくとも7mmの距離kにわたって延びている吸収性層の区域30は、実質的に連続的存在する吸収性ポリマー粒子を含む。好ましくは、これらの区域30において、吸収性ポリマー粒子の平均坪量は高く、すなわち、少なくとも350gsm,又は少なくとも400gsm、又は少なくとも500gsm、又は少なくとも600gsmである。
【0082】
吸収性層
上記のように、チャネル26、及び26’は、吸収性層の厚さにわたって延びる吸収性ポリマー粒子を含まない区域である。吸収性層は、吸収性ポリマー粒子50を単独で、又はセルロースなどの他の材料と組み合わせて含む。好ましくは吸収性層は、吸収性ポリマー粒子のみを含む。吸収性ポリマー粒子は、典型的には熱可塑性接着剤40により、基材層上に不動化される。
【0083】
典型的には、吸収性層内で使用するために好適な吸収性ポリマー粒子は、例えば、Modern Superabsorbent Polymer Technology,F.L.Buchholz,A.T.Graham,Wiley 1998.において記載されるように、超吸収性材料の文献において既知である、いずれかの吸収性ポリマー粒子を含む場合がある。
【0084】
吸収性ポリマー粒子は、球形、球形様、又は不規則な形状の粒子、例えばウインナーソーセージの形状の粒子、又は典型的に逆相懸濁重合により得られる種類の楕円形の粒子であり得る。粒子はまた、任意により、より大きな不規則な粒子を形成するために少なくとも一定程度集塊化してもよい。
【0085】
吸収性ポリマー粒子は、ポリアクリレート、及びポリアクリレート系材料(例えば、部分的に中和架橋されたポリアクリレート、及び酸ポリアクリレートなど、内部及び/又は表面架橋されている)から選択され得る。本発明に好適な吸収性ポリマー粒子の例は、例えば、PCT特許出願第07/047598号、同第07/046052号、同第2009/155265号、及び同第2009/155264号に記載されている。
【0086】
吸収性ポリマー粒子は好ましくは内部架橋され、すなわち、重合は、ポリマー網状組織へとフリーラジカル的に共重合され得る、2つ以上の重合可能な基を有する化合物の存在下において行なわれる。有用な架橋剤としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、欧州特許第A 530 438号に記載されるテトラアリルオキシエタン、同第A 547 847号、同第A 559 476号、同第A 632 068号、国際公開第93/21237号、同第03/104299号、同第03/104300号、同第03/104301号及び独国特許出願第A 103 31 450号に記載されるジ−及びトリアクリレート類、同第A 103 31 456号、及び同第A 103 55 401号に記載されるような、アクリレート基とエチレン性不飽和基とを更に含む混合アクリレート類、又は例えば独国特許第A 195
43 368号、同第A 196 46 484号、国際公開第90/15830号及び同第02/32962号に記載されるような架橋剤混合物、加えて国際公開第2009/155265に記載の架橋剤が挙げられる。
【0087】
吸収性ポリマー粒子は、外部架橋され得る(架橋後)。有用な後架橋剤としては、ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成可能な2つ以上の基を含む化合物が挙げられる。有用な化合物としては例えば、欧州特許第A 083 022号、A 543 303号、及びA 937 736号に記載される、アルコキシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジ−又はポリグリシジル化合物、独国特許C 33 14 019号に記載の多価アルコール、同A 40 20 780号に記載の環式カーボネート、同A 198 07 502号に記載のN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンなどの、2−オキサゾリドン及びその誘導体、同第A 198 07 992号に記載のビス−及びポリ−2−オキサゾリドン、同第A 198 54 573号に記載される2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びその誘導体、同A 198 54 574号に記載のN−アシル−2−オキサゾリドン、同第A 102 04 937号に記載の環状尿素、同第A 103 34 584号に記載の二環式アミドアセタル、欧州特許番号第A 1 199 327号に記載のオキセタン及び環状尿素、及び国際公開第03/031482号に記載のモルホリン−2,3−ジオン及びその誘導体が挙げられる。
【0088】
吸収性ポリマー粒子は、コーティング剤によってコーティングされるか、又は部分的にコーティングされるなど、表面修正を有してもよい。コーティングされた吸収性ポリマー粒子の例は、国際公開第2009/155265号に開示される。コーティング剤は、これが吸収性ポリマー粒子を親水性とするようなものであり得る。コーティング剤は、弾性ポリマー、若しくはフィルム形成ポリマー、又は粒子にエラストマー(弾性)フィルムを形成する弾性フィルム形成ポリマーであり得る。コーティングは、吸収性ポリマー粒子の表面上に均質及び/又は均一なコーティングであり得る。コーティング剤は、表面修飾吸収性ポリマー粒子の、0.1重量%〜5重量%、又は0.2重量%〜1重量%の濃度で適用されてもよい。
【0089】
典型的には、吸収性ポリマー粒子は、選択される粒径分布を有し得る。例えば、吸収性ポリマー粒子は、45μm〜4000μm、より具体的には45μm〜約1000μm、又は約100μm〜約850μm、又は約100μm〜600μmの範囲の粒径分布を有し得る。特定の形状における材料の粒径分布は、例えば、乾燥ふるい分析(EDANA 420.02「粒径分布」)の手段により、当該技術分野において既知であるように決定され得る。例えば、光散乱及び画像解析法に基づく光学的方法を用いることもできる。
【0090】
吸収性構造体の吸収性層は、吸収性ポリマー粒子を実質的に含まない区域を含むにもかかわらず、連続的な層(すなわち、吸収性ポリマー粒子、及び存在する際はセルロースの連続的な層)を形成するように、基材層上に分布する、吸収性ポリマー粒子、及び任意により、セルロースを含み得る。吸収性粒子を実質的に含まないこれらの別個の区域は、吸収性構造体のチャネルに対応する。いくつかの実施形態において、吸収性層はセルロースを含まない。あるいは、例えば吸収性層は不連続の層を形成するように基材層の上に分布する、吸収性ポリマー粒子及び任意により、セルロースを含み得る。いくつかの実施形態において、吸収性層はセルロースを含まない。これらの実施形態において、吸収性ポリマー粒子、及び存在する場合はセルロースは、粒子(及び存在する場合はセルロース)の集塊として基材層状に堆積されてもよく、したがって、吸収性ポリマー粒子の集塊を実質的に含まない区域を含む、吸収性ポリマー粒子(及び存在する場合はセルロース)の不連続層、又は断絶層を形成する。吸収性粒子の集塊を実質的に含まないこれらの別個の区域は、吸収性構造体のチャネルに対応する。吸収性ポリマー粒子(及び存在する場合はセルロース)の集塊は、円形、楕円、正方形、矩形、三角形などが挙げられるがこれらに限定されない様々な形状を有し得る。粒子を粒子の集塊に堆積するための好適な方法は、欧州特許第1621167 A2号、同第1913914 A2号、及び同第2238953 A2号に開示される。典型的に、吸収性ポリマー粒子は、このような2つの吸収性構造体が組み合わされて吸収性コアを形成する際に、粒子の集塊として基材層上に堆積される。
2つの吸収性構造体は、生じる吸収性コアが、チャネルが存在する区域を除いて2つの基材層の間に実質的に連続的に分布する吸収性ポリマー粒子を含むようにして組み合わされる。「実質的に連続的に分布する」とは、本明細書において使用するとき、第1基材層及び第2基材層が、多数の吸収性ポリマー粒子によって分離されることを意味する。吸収性粒子ポリマー材料領域内の第1基材層と第2基材層との間に僅かな偶発的接触領域(すなわち、2つの基材層の間の領域)が存在し得ることが認識される。第1の基材と第2の基材との間にある偶然接触領域は、意図的であっても意図的でなくてもよい(例えば人工物の製造)が、枕状体(pillows)、ポケット、管、キルトパターンなどのような幾何学的配置を形成しない。
【0091】
吸収性ポリマー粒子は、基材層上で不動化される。吸収性ポリマー粒子、及び存在する場合はセルロースを、基材層上に保持及び不動化する熱可塑性接着剤を適用することによって達成され得る。いくつかの熱可塑性接着剤はまた、吸収性ポリマー粒子の層内、及び基材層内に貫入して、更なる不動化及び固定をもたらし得る。熱可塑性接着剤は、基材層上への吸収性ポリマー粒子の不動化を補助するのみではなくまた、チャネルの一体性の維持を補助する。熱可塑性接着剤は、大量の吸収性ポリマー粒子が、チャネル内に移動することを防ぐ。
【0092】
チャネルの一体性/不動化はまた、吸収性ポリマー粒子を支持する基材層が、チャネルになるように折り畳まれる、すなわち、チャネル内に波状にうねっていることを可能にすることにより、達成され得る。あるいは、一体性/不動化は、更なる基材層、例えば、存在する場合はコアカバーなどが、チャネルになるように折り込まれる、すなわち、チャネル内に波状にうねっていることを可能にすることにより達成され得る。上記の2つの吸収性構造体が組み合わされるとき、一体化/不動化は、吸収性構造体の一方の基材層がチャネルになるように折り込まれることを可能にすることによって達成され得る。いくつかの実施形態において、接着剤(例えば、熱可塑性接着剤)が、更なる固定をもたらすためにチャネル内に波状にうねっている基材層の部分上に適用され得る。
【0093】
熱可塑性接着剤は、吸収性層にわたる連続層として(すなわち、均一に)適用されてもよい。いくつかの実施形態において、吸収性ポリマー粒子(及び存在する場合はセルロース)が集塊に堆積されるとき、熱可塑性接着剤は、吸収性ポリマー粒子(存在する際はセルロース)、及び基材層の一部と接触する。
【0094】
いくつかの実施形態において、熱可塑性接着剤は、吸収性層にわたり繊維製ネットワークを形成する繊維製層として適用され得る。熱可塑性接着剤繊維性層は、吸収性ポリマー粒子(及び存在するときはセルロース)が集塊に堆積されるときに、吸収性ポリマー粒子(及び存在するときはセルロース)と接触し、吸収性構造体の基材層と少なくとも一部接触することがある。したがって、熱可塑性接着剤は、吸収性ポリマー粒子を被覆するために空洞を提供してもよく、したがって、この材料及び存在する場合にチャネルを不動化する。
【0095】
吸収性ポリマー粒子を不動化するために好適な熱可塑性接着剤は典型的に、良好な凝集及び良好な接着挙動を組み合わせる。良好な接着剤は、熱可塑性接着剤と、吸収性ポリマー粒子及び基材層との間の良好な接触を促進する。優れた凝集性は、特に外力、すなわち歪みに応じて接着剤が破断する可能性を低減するものである。吸収性構造体/コアは、液体を吸収し、吸収性ポリマー粒子は膨張し、熱可塑性接着剤を外力に晒す。熱可塑性接着剤は、破断することなく、吸収性ポリマー粒子の膨張を制限する多くの圧迫力を付与することなく、このような膨張を可能にし得る。
【0096】
本発明で使用するために好適な熱可塑性接着剤は、少なくとも熱可塑性ポリマーを、可塑剤、及び粘着付与樹脂などの他の熱可塑性希釈剤、並びに抗酸化剤などの添加剤と一緒に含むホットメルト接着剤を包含する。代表的な好適なホットメルト接着剤は、欧州特許第1447067(A2)号に記載されている。特定の実施形態では、熱可塑性ポリマーは、10,000を超える分子量(Mw)、及び室温未満又は−6℃<Tg<16℃のガラス転移温度(Tg)を有する。特定の実施形態では、ホットメルト中のポリマーの典型的な濃度は、約20〜約40重量%の範囲内である。特定の実施形態では、熱可塑性ポリマーは水の影響を受けないものでよい。例示的なポリマーは、A−B−A三元ブロック構造体、A−B二元ブロック構造体、及び(A−B)n放射状ブロックコポリマー構造体を含む(スチレン)ブロックコポリマーであり、ただしAブロックは、一般的にポリスチレンからなる非エラストマーポリマーブロックであり、Bブロックは不飽和共役ジエン又はその(部分)水素添加物である。Bブロックは典型的には、イソプレン、ブタジエン、エチレン/ブチレン(水素添加ブタジエン)、エチレン/プロピレン(水素添加イソプレン)、及びこれらの混合物である。
【0097】
使用することが可能な他の好適な熱可塑性ポリマーとして、シングルサイト触媒又はメタロセン触媒を使用して調製されるエチレンポリマーであるメタロセンポリオレフィンがある。その場合、少なくとも1種類のコモノマーをエチレンと重合して、コポリマー、ターポリマー、又はより高次のポリマーを調製することができる。C2〜C8のαオレフィンのホモポリマー、コポリマー、又はターポリマーである、非晶質ポリオレフィン又は非晶質ポリαオレフィン(APAO)も同様に適用可能である。
【0098】
熱可塑性接着剤(典型的にはホットメルト接着剤)は一般的に、繊維の形態で存在し、すなわちホットメルト接着剤は繊維化され得る。いくつかの実施形態において、熱可塑性接着剤は、吸収性ポリマー粒子の上に繊維状ネットワークを形成する。典型的には繊維は、約1μm〜約100μm、又は約25μm〜約75μm、の平均厚さ、約5mm〜約50cmの平均長さを有することがある。特にホットメルト接着剤層は、ネット様構造を含むようにもたらされる。いくつかの実施形態において、熱可塑性接着剤は、基材層あたり、0.5〜30g/m、1〜15g/m、1〜10g/m、又は更に1.5〜5g/mの量で適用されてもよい。
【0099】
本発明で使用するために好適なホットメルト接着剤の典型的なパラメータは、1の値未満、又は0.5の値未満の60℃における損失正接Δであり得る。60℃での損失正接Δは、高い室温での接着剤の液体特性と関連がある。損失正接Δが低くなればなるほど、接着剤は液体よりも固体のような特性を示し、すなわち流れ又は移動する傾向がより低下し、本明細書に記載の接着剤超格子構造体が劣化し又は更に経時的に崩懐する傾向は低くなる。したがって、この値は吸収性物品が暑い気候で使用される場合に特に重要である。
【0100】
例えばプロセス上の理由及び/又は性能上の理由から、熱可塑性接着剤は、ASTM D3236−88により、175℃において、27、20pmpのスピンドルで20分の予備加熱、及び10分間の攪拌を使用して測定可能な、800〜4000mPa・s、又は1000mPa・s、若しくは1200mPa・s、若しくは1600mPa・s〜3200mPa・s、若しくは3000mPa・s、若しくは2800mPa・s、若しくは2500mPa・sの粘度を有することが有益であり得る。
【0101】
熱可塑性接着剤は、ASTM E28−99(Herzog法、グリセリン使用)で測定可能な、60℃〜150℃、75℃〜135℃、又は90℃〜130℃、又は100℃〜115℃の軟化点を有してよい。
【0102】
本明細書における一実施形態において、熱可塑性接着剤成分は親水性であり、ASTM
D 5725−99で測定して、90°未満、又は80°未満、若しくは75°未満、又は70°未満の接触角を有する。
【0103】
いくつかの実施形態において、吸収性構造体はまた、吸収性ポリマー粒子を基材層に適用する前に基材に堆積された、本明細書において補助接着剤と称される接着剤を含み得る。補助接着剤は、基材層上における吸収性ポリマー粒子の不動化を向上させることができる。これは熱可塑性接着剤であってもよく、上記と同じ熱可塑性接着剤を含み、又はこれは異なってもよい。市販の接着剤の例は、H.B.Fuller Co.(St.Paul,MN)Product No.HL−1620−B.である。熱可塑性接着剤は、任意の好適な手段により基材層に適用され得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、吸収性ポリマー粒子、及び任意のセルロースは、上記のように吸収性ポリマー粒子の均一な分布を有する吸収性コアをもたらすために、吸収性層が吸収性ポリマー粒子及び任意により、セルロースの連続的な層であるか、又は不連続的な層であるかにかかわらず、吸収性層の長手方向及び/又は横方向の寸法で均一に分布し得る。吸収性ポリマー粒子の平均坪量は、これが組み込まれ得る特定のおむつに依存し得る。いくつかの実施形態において、吸収性ポリマー粒子の平均坪量は、吸収性コアにおいて、350gsm〜1500gsmであり得る。各区域の吸収性ポリマー粒子の量は、この区域の吸収性ポリマー材料の重量を決定し、これをこの区域の総表面積で割る(したがって、平均量を得る)ことによって計算される。
【0105】
いくつかの実施形態において、吸収性ポリマー粒子、及び任意により、セルロースは、浮き上がった吸収性コアをもたらすために、吸収性層の少なくとも1つの長手方向及び/又は横方向寸法において不均一に分布し得る。例えば、吸収性構造体/コアの股部区域は、吸収性構造体/コアの前方及び後方区域と比較し、領域当たりより多くの吸収性ポリマー粒子を含み得る。いくつかの実施形態において、吸収性コアの前側半分が、吸収性能の大部分を含み、すなわちこれは、吸収性ポリマー粒子の総重量に基づき、吸収性ポリマー粒子の約60重量%超、又は約65重量%超、又は70重量%超を含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、上記の吸収性構造体は使い捨ておむつの吸収性コアを形成してもよく、又はその構成要素であってもよい(すなわち、吸収性コアは、吸収性構造体の積層体であり得る)。
【0107】
吸収性コアは更に、典型的に熱可塑性接着剤上に配置された、カバー層を更に含み得る。カバー層は、別個の層であってもよく、又はこれは基材層と一体であってもよい。このような場合において、吸収性ポリマー粒子を支持する基材層は、吸収性ポリマー粒子を包囲する上層及び下層を形成するように折り畳まれる。このカバー層は、基材層と同じ材料から提供されても、又は異なる材料から提供されてもよい。層は、例えば、接着剤結合及び/又は熱結合により、内部に吸収性ポリマー粒子を包囲するために、周囲に一緒に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、コアカバーは、チャネル内に波状にうねっていてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、吸収性コアは、吸収性構造体のトップシートと着用者に面する面との間に配置される、捕捉システムを含む場合がある。捕捉システムは、吸収性構造体が液体を吸収できるまで液体の一時的なリザーバとしての機能を果たし得る。捕捉システムは、単一層を含んでもよく、又は着用者の皮膚に面する上部捕捉層及び着用者の衣類に面する下部捕捉層などの多層を含んでもよい。捕捉システムは、吸収性構造体と直接接触してもよい。これらの実施形態において、捕捉システムは、チャネル又はその一部を満たし得る。いくつかの実施形態において、捕捉システムは存在するときに、コアカバーの上部に配置されてもよい。コアカバー又は基材層がチャネルになるように折り込まれる、すなわちチャネル内に波状にうねっている実施形態において、捕捉システムが、チャネル又はその一部を満たすことがある。いくつかの実施形態において、捕捉システム又はその一層は、チャネル内に波状にうねっているようにされ、上記捕捉システムに波状外径をもたらす、コアカバー又は基材層に結合されてもよい。
【0109】
ある実施形態では、捕捉システムは、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。このような架橋されたセルロース繊維は、所望の吸収特性を有し得る。代表的な化学的に架橋されたセルロース繊維については、米国特許第5,137,537号に開示されている。特定の実施形態では、化学的に架橋されたセルロース繊維は、グルコース単位に基づいて約0.5モル%〜約10.0モル%のC〜Cポリカルボン酸架橋剤、又は約1.5モル%〜約6.0モル%のC〜Cポリカルボン酸架橋剤により架橋される。クエン酸は代表的な架橋剤の1つである。他の実施形態では、ポリアクリル酸を使用することもできる。更に、特定の実施形態によれば、架橋されたセルロース繊維は約25〜約60、又は約28〜約50、又は約30〜約45の保水値を有する。保水値を求めるための方法については、米国特許第5,137,537号に開示されている。特定の実施形態によれば、架橋されたセルロース繊維は、捲縮、撚糸、若しくはカールさせるか、又は捲縮、撚糸、及びカールさせることを含むこれらの組み合わせを行うことができる。
【0110】
ある実施形態では、上部捕捉層及び下部捕捉層の一方又は両方は、不織布を含んでもよく、不織布は親水性であってもよい。更に、ある実施形態によると、上部捕捉層及び下部捕捉層の一方又は両方は、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよく、これらセルロース繊維は不織布材料の一部を形成しても形成しなくてもよい。代表的な実施形態によると、上部捕捉層は、架橋されたセルロース繊維を有さない不織布を含んでもよく、下部捕捉層は、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。更に、一実施形態によると、下部捕捉層は、天然又は合成高分子繊維などの他の繊維と混合された、化学的に架橋されたセルロース繊維を含んでもよい。代表的な実施形態によれば、このような他の天然又は合成ポリマー繊維としては、表面積の大きな繊維、熱可塑性結合繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、PET繊維、レーヨン繊維、リオセル繊維、及びこれらの混合物を挙げることができる。上部及び下部捕捉層に好適な不織布材料にはスパンボンド、メルトブロー及び更なるスパンボンド層を含むSMS材料が挙げられるが、限定ではない。特定の実施形態では、永久的に親水性の不織布、特に耐久的に親水性のコーティングを有する不織布が望ましい。別の好適な実施形態は、SMMS構造体を含む。特定の実施形態では、不織布は多孔質である。
【0111】
いくつかの実施形態において、図7図10に示されるように、使い捨ておむつの吸収性コアは、本明細書において開示される2つ以上の吸収性構造体(すなわち、組み合わされる又は重ねられる、チャネルを含む吸収性構造体)を含む場合がある。典型的に、吸収性構造体は、第1吸収性構造体の熱可塑性接着剤が、第2吸収性構造体の熱可塑性接着剤に直接接触するように、組み合わされ得る。
【0112】
図7、8、9、及び10は、チャネル26を備える吸収性層17を含む第1吸収性構造体15が、チャネル26’を備える吸収性17’を含む第2吸収性構造体15’と組み合わされる。示される実施形態において、第1吸収性構造体の熱可塑性接着剤40が、第2吸収性構造体の熱可塑性接着剤40’と直接接触する。補助接着剤60は、吸収性ポリマー粒子の更なる不動化のために第1及び/又は第2吸収性構造体の基材層上に存在してもよい(図7に示される)。いくつかの実施形態において、第2吸収性構造体15’の基材層16’は波状化されて、第2吸収性構造体のチャネル26’となり(図8及び10に示される)、更に第1吸収性構造体15のチャネル26となり、これは第1吸収性構造体の基材層16へと接着される場合がある(図9に示される)。典型的に、一吸収性構造体の基材層がチャネル内に波状にうねっているとき、2つの吸収性構造体の基材層は同一の広がりをもたず、すなわち、基材層の一方が、広いか又は長く、チャネル26及び/又は26’に貫入する。基材層がチャネル内に波状でうねっていることは、乾燥及び湿潤状態におけるチャネルの一体性に寄与する。
【0113】
2つ以上の吸収性構造体がチャネルを含む実施形態において、第1及び第2吸収性構造体は、互いに鏡像である場合がある。これらの実施形態において、第1吸収性構造体15のチャネル26は、図7、8、及び9に示されるように、隣接する第2吸収性構造体26’のチャネル26’に実質的に重なる。生じる吸収性コアは、吸収性構造体17及び17’の積層体であり、チャネルは吸収性コアの厚さを通じて実質的に延びる(本明細書において実質的にとは、基材層の厚さが無視できることを意味する)。
【0114】
2つ以上の吸収性構造体がチャネルを含む実施形態において、第1及び第2吸収性構造体は異なる場合がある。これらの実施形態のいくつかにおいて、2つの吸収性層のチャネルのいくつかは重なることがある(図10に示される)。他の実施形態において、吸収性構造体のチャネルは、隣接する吸収性構造体のチャネルと重ならず、隣接する構造体のチャネルと補完的である。補完的とは、第2吸収性構造体のチャネルが、第1吸収性構造体のチャネルの延長部を形成することを意味する。
【0115】
図11〜13に示されるように、いくつかの実施形態において、使い捨ておむつの吸収性コアは、本明細書において開示される1つ以上の吸収性構造体を含む場合があり、チャネルを含まない吸収性層を含む吸収性構造体と組み合わされる。これらの実施形態において、チャネルを有さない吸収性構造体は、開示により基材層及び吸収性層を含む(しかしながらこれはチャネルを含まない)。吸収性構造体の一方のみが上記チャネルを含む場合、チャネルを備える吸収性構造体は、本明細書におけるいくつかの実施形態において、使用中において、チャネルを有さない吸収性構造体よりも、着用者に近いことがある。
【0116】
図11、12及び13は、チャネル26を備える第1吸収性構造体15は、チャネルを有さない第2吸収性構造体15’と組み合わされる実施形態が示される。図11に示される実施形態において、第1吸収性構造体15の熱可塑性接着剤40は、第2吸収性構造体15’の熱可塑性接着剤40’と直接接触し、図12及び図13において、第2吸収性構造体15’は、いずれのこのような熱可塑性接着剤40’をも含まない(しかしながら、これは基材層上に吸収性層を不動化するために存在し得る)。補助接着剤60は、吸収性ポリマー粒子50の更なる不動化のために第1及び/又は第2吸収性構造体の基材層上に存在してもよい(図11に示される)。いくつかの実施形態において、第1吸収性構造体15の基材層16は、第1吸収性構造体のチャネル26内部で波状にうねっていてもよい(図12及び図13に示される)。吸収性コアは、チャネルに貫入してこれを満たす、捕捉システムを更に含み得る(いくつかの実施形態において、捕捉システムはチャネルを満たさない)。図13は、捕捉システムが第1層12及び第2層13を含む実施形態を示し、第2層はチャネルを満たす。
【0117】
吸収性構造体を作製する方法
本明細書におけるチャネルを有する吸収性構造体は、製造される上記チャネルの形状及び寸法の隆起部上に最初に上記基材層を配置し、その後上記吸収性ポリマー粒子、及び任意により上部にセルロースを堆積させ、よって吸収性ポリマー粒子及び任意によりセルロースが上記隆起部上に残らず、基材層の残部にのみ残るようにすることで、基材層上に吸収性層を形成するために吸収性ポリマー粒子及び任意によりセルロースを堆積する工程を含む、いずれかの方法で作製され得る。
【0118】
本明細書におけるチャネルを含まない吸収性構造体は、基材層上の吸収性層として、吸収性ポリマー粒子及び任意によりセルロースを堆積する工程を含むいずれかの方法により作製され得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、実質的に吸収性材料を含まない、内部の2つ以上のチャネルを備える基材層を備える吸収性構造体は、以下の工程を含む方法により得ることができる:
a)上記吸収性材料(吸収性ポリマー粒子及び任意によりセルロース)を、ホッパーなどの第1運動無端表面に送達するためのフィーダーを提供する工程と、
b)基材層を第2運動無端表面に移送するための移送手段を提供する工程と、
c)長手方向寸法及び平均長さ、垂直な横方向寸法及び平均幅、並びに双方に対して垂直な深さ寸法及び平均深さ、加えて上記内部の吸収性材料を受容するための空隙堆積を備える、1つ以上の吸収性層形成リザーバを有する第1移動無端表面を提供する工程であって、上記リザーバは、空隙堆積を有さない1つ以上の実質的に長手方向において延びる隆起ストリップを含み、例えばそれぞれは、リザーバの平均幅の少なくとも4%又は少なくとも5%の平均幅W、リザーバの平均長手方向寸法の5%〜30%の平均長さLを有し、上記リザーバは、上記リザーバは上記吸収性材料を、隣接し、近位にある上記第2移動無端表面に移送するためのものである、工程と、
d)受容領域を備え、空気不透過性であり得かつ例えば、少なくとも2.5mm、好ましくは、0.5×W〜1.2×Wの平均幅W’、例えば約0.8×L〜1.2×Lの平均長さL’を有する、1つ以上の実質的に長手方向において延びる係合ストリップを備える、上部又は内部に上記基材層を受容するための、1つ以上の空気透過性又は一部空気透過性の貯蔵部を有する外殻を有する第2移動表面を提供する工程であって、
前記空気透過性外殻は、基材層及び/又はその上の上記吸収性材料の保持を促進するための1つ以上の二次真空システムに接続され、
接合点において、上記第1移動無端表面、及び上記外殻が、上記吸収性材料の移送中において少なくとも互いに隣接し、互いに近接し、かつ各係合ストリップは、上記吸収性材料の移送中において、隆起ストリップと実質的に完全に隣接し、これと近接している工程と、
e)上記フィーダーにより、吸収性材料を、上記第1移動無端表面の少なくとも上記リザーバに送達する工程と、
f)任意により上記隆起ストリップ上のいずれかの吸収性材料を取り除く工程と、
g)同時に、上記基材層を、上記第2移動無端表面の上記貯蔵部の上部又は内部に移送する工程と、
h)上記接合点において、上記第1移動無端表面を備える上記吸収性材料を、上記貯蔵部の上記受容領域の上部又は内部の支持シートの上記部分にのみ選択的に移送する工程。
【0120】
上記リザーバは、内部の上記吸収性材料を受容するための、空隙堆積を備える複数の溝及び/又は空洞により形成され得る。いくつかの実施形態において、(各)ストリップの平均幅Wは、好ましくは6mm、例えば少なくとも7mm、及び/又は各リザーバの平均幅の少なくとも7%、又は例えば、少なくとも10%である。
【0121】
前記溝及び/又は空洞はそれぞれ例えば、少なくとも3mmの最大横方向寸法を有し、実質的に横方向の寸法における直接隣接する空洞及び/又は溝の間の最短距離は、5mm未満である。隆起ストリップに直に隣接する空洞及び/又は溝は、上記ストリップ又は別のストリップと直に隣接していない、これらの隣り合う空洞又は溝の1つ以上、又は全ての体積よりも大きな体積を有してもよい(したがって、ストリップから更に除去されている)。
【0122】
前記第1移動無端表面のリザーバは、少なくとも一部空気透過性であってもよく、上記第1移動無端表面は上記リザーバを備える円筒形表面を有してもよく、真空チャンバを含む固定子を中心に回転移動する。上記第2移動表面の外殻は円筒形であってもよく、上記二次真空システムに接続された二次真空チャンバを含む固定子を中心に回転移動する。
【0123】
方法は更に、i)接着剤を工程hの吸収性構造体に適用する工程、及び任意により、工程fの前又は同時に(いずれにせよ工程gの前)接着剤(すなわち、第2接着剤)を上記基材層に適用する工程を更に含む。
工程i)1)は、上記第1接着剤を、繊維の形態で上記吸収性層、又はその一部に、例えば、実質的に連続的に、つまりこれが上記チャネル内にも存在するように、分離する工程を含み得る。
工程i)2)は、連続的に、又は例えば、チャネルパターンに対応するパターンのいずれかで、支持シートをスロットコーティング又はスプレーコーティングすることを含み得る。上記方法により得られる吸収性構造体はその後吸収性コアをもたらすために、チャネルを含まない吸収性構造体、又はこの方法により作製される別の吸収性構造体と組み合わされることがあり得る。
【0124】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものである。
【0125】
本発明の「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に援用するが、いずれの文献の引用もそうした文献が本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいては、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0126】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14