特許第6797973号(P6797973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6797973
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 25/00 20060101AFI20201130BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20201130BHJP
   B66B 29/08 20060101ALI20201130BHJP
【FI】
   B66B25/00 A
   B66B31/00 C
   B66B29/08 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-122872(P2019-122872)
(22)【出願日】2019年7月1日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敬仁
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−200178(JP,A)
【文献】 特開2015−037201(JP,A)
【文献】 特開2019−099337(JP,A)
【文献】 特開2010−064884(JP,A)
【文献】 特表2007−521206(JP,A)
【文献】 特開2014−005112(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106241584(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 − 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客の携帯端末と接続し、前記携帯端末の位置情報と乗客が減速を希望することを示す乗客情報とを送受信する送受信機と、
前記送受信機を介して、乗客の前記携帯端末から第1位置情報及び前記乗客情報を取得し、前記第1位置情報が乗り口に設定された所定の領域内に位置する場合には、乗客が乗客コンベアの前記乗り口に接近していると判断し、前記乗客情報が減速を希望している場合には、低速運転に切り換える制御装置を有し、
前記制御装置が、前記第1位置情報の取得から所定時間経過後の乗客の第2位置情報を取得し、前記第2位置情報が前記乗り口に設定された前記領域外であって乗客コンベア上に位置しない場合には、乗客が乗客コンベアに乗り込まずに、前記乗り口から離れたと判断し、前記低速運転から通常運転へと切り換える、乗客コンベア。
【請求項2】
前記制御装置が、前記第1位置情報の取得から所定時間経過後の乗客の第2位置情報を取得し、前記第2位置情報が前記乗り口に設定された前記領域外であって乗客コンベア上に位置する場合には、乗客が乗客コンベアに乗り込んだと判断し、前記低速運転から通常運転に切り換える、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記制御装置が、前記第2位置情報の取得から所定時間経過後の乗客の第3位置情報を取得し、前記第3位置情報が降り口に設定された所定の領域内に位置する場合には、乗客が乗客コンベアの前記降り口に接近していると判断し、前記低速運転に切り換える、請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記制御装置が、前記第3位置情報の取得から所定時間経過後の乗客の第4位置情報を取得し、前記第4位置情報が前記降り口に設定された前記領域外に位置する場合には、乗客が乗客コンベアから降りたと判断し、前記低速運転から前記通常運転に切り換える、請求項3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記制御装置に接続されたスピーカを有し、
前記制御装置が、前記低速運転に切り換える際に、運転速度が変わることを、前記スピーカ及び/又は乗客の前記携帯端末を用いて報知する、請求項1又は3に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記制御装置に接続されたスピーカを有し、
前記制御装置が、前記低速運転から前記通常運転に切り換える際に、運転速度が変わることを前記スピーカ及び/又は乗客の前記携帯端末を用いて報知する、請求項2又は4に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記制御装置に接続されたスピーカを有し、
前記制御装置が、前記第1位置情報の取得から所定時間経過後の乗客の第2位置情報を取得し、前記第2位置情報が前記乗り口に設定された前記領域内に所定時間以上留まっている場合、乗客が乗客コンベアに乗り込まずに、前記乗り口前に留まっていると判断し、乗り込むように前記スピーカ及び/又は乗客の前記携帯端末を用いて報知する、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
前記制御装置が、前記送受信機を介して、乗客の前記携帯端末から第1位置情報及び前記乗客情報を取得し、前記第1位置情報が降り口に設定された所定の領域内に位置する場合であって、過去のある時点から現時点までの間に前記携帯端末が乗り口に設定された所定の領域内に位置した履歴がない場合には、乗客が前記降り口側から乗客コンベアに接近していると判断し、乗客の前記携帯端末を用いて乗り口ではないことを報知する、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項9】
トラス内又は前記トラスの上部に設けられたスカートガード内に、前記送受信機が設けられた、請求項1に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの踏段は一定速度で走行しており、乗客が乗り込む際や、降りる際に速度が変わることはない。
【0003】
このような場合、高齢者や子供などにとっては、踏段の速度が速く、乗り込めないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−37201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、乗客の携帯端末に登録された乗客情報に応じて、運転速度を調整することができる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、乗客の携帯端末と接続し、前記携帯端末の位置情報と乗客が減速を希望することを示す乗客情報とを送受信する送受信機と、前記送受信機を介して、乗客の前記携帯端末から第1位置情報及び前記乗客情報を取得し、前記第1位置情報が乗り口に設定された所定の領域内に位置する場合には、乗客が乗客コンベアの前記乗り口に接近していると判断し、前記乗客情報が減速を希望している場合には、低速運転に切り換える制御装置を有し、前記制御装置が、前記第1位置情報の取得から所定時間経過後の乗客の第2位置情報を取得し、前記第2位置情報が前記乗り口に設定された前記領域外であって乗客コンベア上に位置しない場合には、乗客が乗客コンベアに乗り込まずに、前記乗り口から離れたと判断し、前記低速運転から通常運転へと切り換える、乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態を示すエスカレータの側面から見た説明図。
図2】本発明の一実施形態のエスカレータにおける送受信機の検出エリアを示す説明図。
図3】本発明の一実施形態のエスカレータにおける電気的構成を説明するブロック図。
図4】本発明の一実施形態を示すエスカレータのフローチャート。
図5】本発明の一実施形態のエスカレータの降り口を上から見た、降り口エリアCを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態の乗客コンベアを図1図5に基づいて説明する。下記の実施形態では、乗客コンベアが、降り口が乗り口よりも上方にある昇りエスカレータ10を例に説明を行うが、乗客コンベアは、降り口が乗り口よりも下方にある降りエスカレータであってもよい。
【0009】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10の構造について、図1,2を参照して説明する。
【0010】
エスカレータ10の枠組みであるトラス12が、建屋1の上階と下階に跨がって支持アングル2,3を用いて支持されている。
【0011】
トラス12の上端部にある上階側の機械室14内部には、踏段30を走行させる駆動装置18、左右一対の駆動スプロケット24,24、左右一対のベルトスプロケット27,27が設けられている。駆動装置18は、誘導電動機(インダクションモータ)よりなるモータ20と、減速機と、この減速機の出力軸に取り付けられた出力スプロケットと、この出力スプロケットにより駆動する駆動チェーン22と、モータ20の回転を停止させ、かつ、停止状態を保持するディスクブレーキとを有している。この駆動チェーン22により駆動スプロケット24が回転する。左右一対の駆動スプロケット24,24と左右一対のベルトスプロケット27,27とは、不図示の連結ベルトにより連結されて同期して回転する。また、上階側の機械室14内部には、モータ20やディスクブレーキなどを制御する制御装置50が設けられている。
【0012】
トラス12の下端部にある下階側の機械室16内部には、従動スプロケット26が設けられている。上階側の駆動スプロケット24と下階側の従動スプロケット26との間には、左右一対の無端の踏段チェーン28,28が掛け渡されている。すなわち、左右一対の踏段チェーン28,28には、複数の踏段30の車輪301が等間隔で取り付けられている。踏段30の車輪301はトラス12に固定された不図示の案内レールに沿って走行すると共に、駆動スプロケット24の外周部にある凹部と従動スプロケット26の外周部にある凹部に係合して上下に反転する。また、車輪302はトラス12に固定された案内レール25を走行する。
【0013】
トラス12の左右両側には、左右一対のスカートガード44,44と左右一対の欄干36,36が立設されている。欄干36の上部に手摺りレール39が設けられ、この手摺りレール39に沿って手摺りベルト38が移動する。欄干36の上階側の正面下部には上階側の正面スカートガード40が設けられ、下階側の正面下部には下階側の正面スカートガード42が設けられ、正面スカートガード40,42から手摺りベルト38の出入口であるインレット部46,48がそれぞれ突出している。スカートガード44は、欄干36の側面下部に設けられ、左右一対のスカートガード44,44の間を踏段30が走行する。上下階のスカートガード44の内側面には、操作盤52,56、スピーカ54,58がそれぞれ設けられている。
【0014】
手摺りベルト38は、上階側のインレット部46から正面スカートガード40内に侵入し、案内ローラ群64を介してベルトスプロケット27に掛け渡され、その後、案内ローラ群66を介してスカートガード44内を移動し、下階側のインレット部48から正面スカートガード42外に表れる。そして、手摺りベルト38は、ベルトスプロケット27が駆動スプロケット24と共に回転することにより踏段30と同期して移動する。また、回転するベルトスプロケット27に走行する手摺りベルト38を押圧するための押圧部材68を有する。
【0015】
上階側の機械室14の天井面にある乗降口には、上階側の乗降板32が水平に設けられ、下階側の機械室16の天井面にある乗降口には、下階側の乗降板34が水平に設けられている。乗降板32の先端には櫛歯状のコム60が設けられ、このコム60から踏段30が進出、又は、侵入する。また、乗降板34にも櫛歯状のコム62が設けられている。
【0016】
また、機械室14,16には、乗客の携帯端末74と無線により接続する送受信機70が設けられている。
【0017】
(2)エスカレータ10の電気的構成
エスカレータ10の電気的構成について、図2図3を参照して説明する。
【0018】
送受信機70は、制御装置50の有する送受信手段72に接続されている。そして、乗客の携帯端末74と送受信機70とが無線により接続される。具体的には、送受信機70がエスカレータ10の周囲に常に信号を送信している。そして、その信号を受信した携帯端末74が信号を送受信機70に返すことで、エスカレータ10は、携帯端末74を検知し、携帯端末74と接続することができる。携帯端末74と送受信機70との接続には、例えば、ビーコンを用いることができる。ここで、ビーコンとは、半径数十メートルの範囲内にある携帯端末74とBluetooth(登録商標)により接続し、端末の位置情報と下記で示す乗客情報を受け渡す装置をいう。
【0019】
また、制御装置50には、駆動装置18、操作盤52,56、スピーカ54,58も接続されている。
【0020】
また、携帯端末74には、専用アプリが搭載され、エスカレータ10の運転を低速運転に切り換えることを希望するか否かの乗客情報を登録することができる。
【0021】
携帯端末74と接続し、取得した位置情報や乗客情報は、携帯端末74が持つ固有の識別子と取得時刻とに紐付けられて、制御装置50に記憶される。
【0022】
(3)乗客がエスカレータ10に乗り込む場合の制御方法
上記実施形態において、エスカレータ10に乗り込む際に、エスカレータ10の低速運転への切り換えを希望することを携帯端末74に登録した乗客がエスカレータ10に乗り込む場合について図2〜4を参照して説明する。なお、以下の制御方法では、特定の携帯端末74の移動を追跡することとなるが、これは携帯端末74の固有の識別子を同時に受信しているため、同じ識別子を受信すると、その位置情報を紐付けして携帯端末74の移動を追跡できる。
【0023】
ステップS1において、乗客がエスカレータ10の乗降口に接近し、乗客の携帯端末74が送受信機70の検出エリアA内に入ることで、送受信機70が送信している信号を携帯端末74が受信し、携帯端末74が信号を返すことで携帯端末74と送受信機70とが無線により接続される。そして、携帯端末74の位置情報と携帯端末74に登録されている乗客情報が、送受信手段72に送られる。その情報をもとに、制御装置50は運転速度の切り換えが必要な乗客か否かを判断する。乗客がエスカレータ10の運転を低速運転に切り換えることを希望している場合ステップS2に進み(YES)、希望していない場合この制御を終了する(NO)。なお、検出エリアAは、下階の乗降口から上階の乗降口までのエスカレータ10全体をカバーする範囲であり、この検出エリアAを設定することにより、乗降口付近に限らず踏段に乗っている乗客の位置も把握することができる。この検出エリアAは、例えば、下階の乗降口と上階の乗降口の間の中心位置から半径10mの範囲に設定する。
【0024】
ステップS2において、制御装置50は、取得した携帯端末74の第1位置情報から、乗客がエスカレータ10の乗降口に接近していることを検知する。ここで、事前に設定した乗り口エリアB内、又は降り口エリアC内に携帯端末74が位置する場合に、乗客が乗降口に接近していると判断することができる。なお、乗り口エリアBは、例えば、下階側の送受信機70から半径3メートル以内の領域とし、降り口エリアCは、例えば、上階側の送受信機70から半径3メートル以内の領域とすることができる。次いで、ステップS3に進む。
【0025】
ステップS3において、制御装置50は、取得した携帯端末74の第1位置情報から、乗客が接近しているのが乗り口であるか否かを判断する。乗り口でない場合ステップS4に進み(NO)、乗り口である場合ステップS5に進む(YES)。ここで、乗り口エリアB内に携帯端末74が位置する場合に、乗客が接近しているのが乗り口であると判断することができる。
【0026】
ステップS4において、制御装置50は、送受信手段72を介して、携帯端末74に「乗り口ではありません」などの警告を表示する。これにより、ステップS2に戻る。
【0027】
ステップS5において、制御装置50は、低速運転に切り換える。この際、通常運転時の定格速度、例えば30m/minから、低速運転時の運転速度、例えば20m/minまで、0.1m/s以下の加減速度で減速するものとする。次いで、ステップS6に進む。
【0028】
ステップS6において、制御装置50は携帯端末74の第2位置情報を取得する。次いで、ステップS7に進む。
【0029】
ステップS7において、制御装置50は、取得した携帯端末74の第2位置情報から、乗客がエスカレータ10に乗り込んだか否かを判断する。エスカレータ10に乗客が乗り込んだ場合ステップS9に進み(YES)、乗り込んでいない場合ステップS8に進む(NO)。ここで、携帯端末74がエスカレータ10上に位置し、かつ、乗り口エリアB外に位置する場合に、乗客がエスカレータ10に乗り込んだと判断することができる。
【0030】
ステップS8において、制御装置50は、取得した携帯端末74の第2位置情報から、乗客が乗り口から離れたか否かを判断する。乗客が乗り口から離れていない場合ステップS6に戻り(NO)、乗り口から離れている場合ステップS15に進む(YES)。ここで、携帯端末74がエスカレータ10上には位置せず、かつ、乗り口エリアB外に位置する場合に、乗客が乗り口から離れたと判断することができる。
【0031】
ステップS9において、制御装置50は、通常運転に切り換える。この際、例えば、低速運転時の運転速度、例えば20m/minから、通常運転時の定格速度、例えば30m/minまで、0.1m/s以下の加速度で加速するものとする。次いで、ステップS10に進む。
【0032】
ステップS10において、制御装置50は携帯端末74の第3位置情報を取得する。次いで、ステップS11に進む。
【0033】
ステップS11において、制御装置50は、取得した携帯端末74の第3位置情報から、乗客がエスカレータ10の降り口に接近しているか否かを判断する。乗客が降り口に接近している場合ステップS11に進み(YES)、接近していない場合ステップS10に戻る(NO)。ここで、携帯端末74が降り口エリアC内に位置する場合に、乗客がエスカレータ10の降り口に接近していると判断することができる。
【0034】
ステップS12において、制御装置50は、上記と同様に低速運転に切り換える。次いで、ステップS13に進む。
【0035】
ステップS13において、制御装置50は携帯端末74の第4位置情報を取得する。次いで、ステップS14に進む。
【0036】
ステップS14において、制御装置50は、取得した携帯端末74の第4位置情報から、乗客がエスカレータ10に降りたか否かを判断する。エスカレータ10に乗客が降りた場合ステップS15に進み(YES)、降りていない場合ステップS13に戻る(NO)。ここで、携帯端末74が降り口エリアC外に位置する場合に、乗客がエスカレータ10に降りたと判断することができる。
【0037】
ステップS15において、制御装置50は、上記と同様に通常運転に切り換える。そして、制御を終了する。
【0038】
すなわち、携帯端末74が検出エリアA内に位置する場合、その乗客はエスカレータ10に接近していることを示し、携帯端末74が乗り口エリアB内に位置する場合、その乗客は乗り口に接近していることを示し、その後、携帯端末74がエスカレータ10上であって乗り口エリアB外に位置する場合、その乗客はエスカレータ10の乗り込んだことを示す。
【0039】
次いで、携帯端末74が降り口エリアC内に位置する場合、エスカレータ10に乗り込んだ乗客は降り口に接近していることを示し、その後、携帯端末74が降り口エリアC外に位置する場合、乗客はエスカレータ10から降りたことを示す。
【0040】
また、乗り口エリアB内に位置した携帯端末74が、乗り口エリアB外であって、エスカレータ10上に位置しない場合、その乗客はエスカレータ10には乗らず、乗り口から離れたことを示す。
【0041】
また、携帯端末74が降り口エリアC内に位置する場合であって、制御装置50が記憶する、過去のある時点から現時点までの位置情報、具体的には、携帯端末74の識別子に紐付けられた位置情報の中に、乗り口エリアB内に位置したことを示す履歴がなければ、その乗客は降り口側からエスカレータ10に接近していることを示す。
【0042】
(4)効果
本実施形態によれば、乗客の携帯端末74に登録された乗客情報に応じて、エスカレータ10の運転速度を調整することができる。
【0043】
本実施形態によれば、乗客が降り口側からエスカレータ10に接近している場合、乗客に対して、乗り口ではないことを報知することができる。
【変更例】
【0044】
上記実施形態において、送受信機70は機械室14,16内部に設けた例について説明したが、スカートガード44内に設けたものであってもよい。
【0045】
上記実施形態において、制御装置50が送受信手段72を有する例について説明したが、制御装置50と送受信手段72とがそれぞれ別の装置として設けられたものであってもよい。
【0046】
上記実施形態において、乗り口エリアB及び降り口エリアCが送受信機70から半径3メートル以内の領域である例について説明したが、さらに、図5に示すように、踏段30の走行方向aに垂直な幅bを所定数値範囲内とする領域であってもよい。幅bは、数値範囲は、エスカレータ10の規格によって異なるが、踏段30の幅以下とすることが好ましい。幅bを所定範囲内とすることにより、乗り口と降り口が隣接している場合であっても、乗り口エリアBと降り口エリアCとが干渉せず、乗客が、乗り口に近づいているのか、降り口に近づいているのか、高い精度で判別することができる。
【0047】
上記実施形態のステップS8において、乗客が乗り口から離れていない場合、ステップS6に戻るものについて説明したが、所定時間経過しても乗客がエスカレータ10に乗り込まない場合、エスカレータ10の運転速度の変更が完了後に、乗客の携帯端末74やエスカレータ10のスピーカ54,58から「お乗り下さい」などの音声を発し、乗客の乗り込みを促すものであってもよい。さらに、乗客に乗り込みを促してから、所定時間経過しても乗客がエスカレータ10に乗り込まない場合、乗客の携帯端末74やエスカレータ10のスピーカ54,58から「低速運転を終了します」などの音声を発し、エスカレータ10の運転を通常運転に切り換えるものであってもよい。
【0048】
上記実施形態において、エスカレータ10の運転速度を変更する場合、乗客の携帯端末74やエスカレータ10のスピーカ54,58から「エスカレータの速度を落とします」などの音声を発し、乗客に注意喚起するものであってもよい。
【0049】
上記実施形態において、エスカレータ10の運転速度を変更する場合、乗客の携帯端末74やエスカレータ10のスピーカ54,58から「エスカレータの速度を落とします」などの音声を発し、その他の乗客に注意喚起するものであってもよい。
【0050】
上記実施形態において、エスカレータ10の運転速度を変更している途中に、乗客の携帯端末74やエスカレータ10のスピーカ54,58から「安全のためエスカレータの速度を遅くしています」などの音声を発し、乗客に注意喚起するものであってもよい。これにより、変速までの時間を短縮することができる。
【0051】
上記実施形態において、エスカレータ10の運転速度を変更した後に、乗客の携帯端末74やエスカレータ10のスピーカ54,58から「安全のためエスカレータの速度を遅くしました」などの音声を発し、乗客に注意喚起するものであってもよい。これにより、変速までの時間を短縮することができる。
【0052】
上記実施形態において、乗客がエスカレータ10に接近する場合、乗客の携帯端末74から「気をつけてお乗り下さい」などの音声を発し、乗客に注意喚起するものであってもよい。
【0053】
上記実施形態において、乗客が降り口に接近する場合、乗客の携帯端末74やエスカレータ10のスピーカ54,58から「降り口です。足元にご注意下さい」などの音声を発し、乗客に注意喚起するものであってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、エスカレータ10に適用して説明したが、これに代えて動く歩道に適用してもよい。
【0055】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・建屋、10・・・エスカレータ、12・・・トラス、30・・・踏段、36・・・欄干、38・・・手摺りベルト、39・・・手摺りレール、50・・・制御装置、70・・・送受信機、72・・・送受信手段、74・・・携帯端末
【要約】
【課題】携帯端末に登録された乗客情報に応じて、運転速度を調整することができる、乗客コンベアを提供する。
【解決手段】乗客の携帯端末74と接続し、携帯端末74の位置情報と乗客が減速を希望することを示す乗客情報とを送受信する送受信機70と、送受信機70を介して、乗客の携帯端末74から第1位置情報及び乗客情報を取得し、前記第1位置情報が乗り口に設定された所定の領域内に位置する場合には、乗客が乗客コンベアの前記乗り口に接近していると判断し、前記乗客情報が減速を希望している場合には、低速運転に切り換える制御装置50を有する、乗客コンベアとする。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5