特許第6798036号(P6798036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798036
(24)【登録日】2020年11月20日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】インバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20201130BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M7/48 R
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-540387(P2019-540387)
(86)(22)【出願日】2017年8月24日
(65)【公表番号】特表2020-505897(P2020-505897A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】KR2017009279
(87)【国際公開番号】WO2018159911
(87)【国際公開日】20180907
【審査請求日】2019年7月25日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0027508
(32)【優先日】2017年3月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ヒョク−イル
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0122669(US,A1)
【文献】 特開2000−251977(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/110975(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/090754(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源を交流電源に変換して負荷に供給するインバータモジュールを備えたインバータ装置において、
内部に前記インバータモジュールを収め、後面に複数の放熱孔が形成された筐体;
第1の締結部材を介して前記筐体の前面上部に固定され、内側一面に第2の締結部材を介して複数のケーブルが通電可能に連結される入出力端子部;及び、
前記入出力端子部の下側に配置された状態で、前記筐体の前面に固定され、前記インバータモジュールによって発生した熱を前記放熱孔を介して筐体の外部へ排出する放熱ファン;
を含むものであり、
前記入出力端子部は、前方及び上部が開口し、内部にスロットが形成された複数の端子ブロックを備え、
前記端子ブロックは、水平方向に配列され、前記筐体にそれぞれ締結される、インバータ装置。
【請求項2】
前記端子ブロックは、側部が互いに接触するように配置され、
前記端子ブロックの接触面には、前記第1の締結部材が挿入される半球状の第1の締結孔がそれぞれ形成されており、前記端子ブロックの側部が互いに接触したとき、前記第1の締結孔は、円状を成す、
請求項に記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記端子ブロックの側部には絶縁部材が設置される、
請求項に記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記第2の締結部材を介して前記入出力端子部に締結されるバスバー(bus bar)をさらに含む、
請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項5】
前記入出力端子部の前面に設置される端子カバーをさらに含む、
請求項1に記載のインバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムのエネルギー貯蔵装置(ESS)に貯蔵された直流電力を交流電力に変換して負荷に供給するインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、化石エネルギーの無分別な使用によって化石エネルギーの枯渇及び環境問題等が深刻となり、新再生エネルギーに関する研究及び関心が集まっている。
【0003】
従って、多様なる新再生エネルギーが開発されて実用的に活用されており、その中でも太陽光発電は、脚光を浴びているエネルギー源の一つである。
【0004】
このような太陽光発電システムは、エネルギー源から得た直流電力を交流電力に変換するインバータ装置と、インバータ装置の出力を系統又は負荷に供給するための装備から構成される。
【0005】
ここで、インバータ装置の直流入力端子は、通常、バッテリー又はエネルギー貯蔵装置(ESS:Energy Storage System)に連結され、交流出力端子は、安定した電力供給のためフィルターと変圧器等の装置に連結されてもよい。
【0006】
一方、図1は、従来技術によるインバータ装置の正面を示した分解斜視図であり、図2は、図1に示したインバータ装置の背面を示した図面である。図1図2を参照して従来のインバータ装置について説明すれば、次のとおりである。
【0007】
図1図2に示したように、従来のインバータ装置1は、インバータモジュールを内部に収める筐体10と、筐体10の前面に設置される放熱ファン20と、筐体10の後面に設置された直流入力端子30及び交流出力端子40を含む。
【0008】
かかる構造は、直流入力端子30及び交流出力端子40が筐体10の後面に設置されているため、直流入力端子30及び交流出力端子40が壊れた場合、入れ替えが難しい問題があった。
【0009】
また、直流入力端子30及び交流出力端子40が筐体10の後面に設置されたことにより、空間確保のため放熱孔10aを筐体10の上部に形成しなければならなかった。
【0010】
しかし、放熱ファン20が筐体10の前面に配置されており、放熱ファン20によって流入した空気は、筐体10内の前方から後方へ移動することになるが、放熱孔10aは、筐体10の上部に配置されているため、熱交換された空気が筐体10の外部へ円滑に排出されない問題があった。
【0011】
また、直流入力端子30及び交流出力端子40の内部にケーブルが挿入される形態からなるため、直流入力端子30及び交流出力端子40に異物が付着するか外部から力が加わると、接触不良を引き起こす問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、入出力端子部及び放熱ファンを筐体の前面に露出するように設置し、補修が容易であり、放熱ファンと放熱孔が互いに向かい合うように配置し、放熱効率の向上したインバータ装置を提供することにある。
【課題を解決しようとする手段】
【0013】
上記課題を達成するために本発明によるインバータ装置は、直流電源を交流電源に変換して負荷に供給するインバータモジュールを備えたインバータ装置において、筐体と、入出力端子部及び放熱ファンを含む。筐体は、内部にインバータモジュールを収め、後面に複数の放熱孔が形成される。入出力端子部は、第1の締結部材を介して筐体の前面上部に固定され、内側一面に第2の締結部材を介して複数のケーブルが通電可能に連結される。放熱ファンは、入出力端子部の下側に配置された状態で筐体の前面に固定され、インバータモジュールによって発生した熱を放熱孔を介して筐体の外部へ排出する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入出力端子部と放熱ファンが筐体の前面に露出するように設置されるため、入出力端子部と放熱ファンのメンテナンスが容易となる。
【0015】
また、放熱ファンは、放熱孔と向かい合うように配置されているため、構造上、インバータモジュールと熱交換された空気を直接に排出させることができるようになり、放熱効率が向上する。
【0016】
また、入出力端子部に複数のケーブルが締結部材を介して固定されるため、端子部に異物が付着するか外力によって入出力端子部からケーブルが分離されることを防ぐことができるようになる。
【0017】
さらに、入出力端子部が複数の端子ブロックからなり、締結部材を介して筐体に固定されるため、端子ブロックがそれぞれ筐体から分離できるようになる。これによって、入出力端子部が壊れた場合、締結部材を分離すれば、壊れた端子ブロックのみ入れ替られるため、入れ替え費用を減らせるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術によるインバータ装置の正面を示した斜視図。
図2図1に示したインバータ装置の背面を示した斜視図。
図3】本発明の一実施形態によるインバータ装置を示した斜視図。
図4図3に示したインバータ装置の背面図。
図5図3において、入出力端子部を抜粹して示した斜視図。
図6図3に示したインバータ装置に取り付けるケーブル及びバスバーを示した図面。
図7図3において、他の実施形態によるインバータ装置を示した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付する図面を参照して、好ましい実施形態によるインバータ装置について詳説すれば、次のとおりである。ここで、同一の構成に対しては同じ符号を付し、繰り返される説明、発明の要旨を曖昧にする公知機能及び構成に対する詳細な説明は省略する。発明の実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のため誇張してもよい。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態によるインバータ装置を示した斜視図であり、図4は、図3に示したインバータ装置の背面図である。そして、図5は、図3において、入出力端子部を抜粹して示した斜視図であり、図6は、図3に示したインバータ装置に取り付けるケーブル及びバスバーを示した図面である。
【0021】
図3図6に示したように、インバータ装置100は、筐体110と、入出力端子部120及び放熱ファン130を含む。ここで、インバータ装置100は、太陽光集電板のエネルギー貯蔵装置(ESS:Energy Storage System)に連結されたインバータモジュールを介して、エネルギー貯蔵装置の直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する役割を果たす。
【0022】
筐体110は、内部にインバータモジュールを収める。ここで、インバータモジュールは、抵抗、ヒューズ(fuse)、直流を交流に変換するスイッチング素子、出力電流を検出するCT(current transducer)、スイッチング時に発生するスパイク性電圧を抑制するスナバ(snubber)等から構成されてもよい。このようなインバータモジュールの構成及び動作は、既に周知した技術であるので、詳説は省略する。
【0023】
このように、インバータモジュールが各種の発熱素子を備えることにより、インバータモジュールで発生する熱を外部へ排出させるために、筐体110の後面には複数の放熱孔110aが形成されてもよい。
【0024】
放熱孔110aは、インバータモジュールで発生する熱を外部へ放出させるためのものであって、筐体110の後面を穿孔して形成してもよい。そして、放熱孔110aは、筐体110の長さ方向にそれぞれ離隔して配置され、様々な形態に具現することができる。
【0025】
入出力端子部120は、第1の締結部材140を介して筐体110の前面上部に固定される。
【0026】
このため、入出力端子部120の一面には第1の締結孔120aが形成され、筐体110の前面には第1の締結孔120aと対応する部位に第2の締結孔(未図示)が形成されてもよい。これによって、第1の締結部材140を第1の締結孔120a及び第2の締結孔(未図示)に挿入した後、締結方向に回転させると、筐体110の前面に入出力端子部120が固定される。
【0027】
入出力端子部120の内側一面には、第2の締結部材150を介して複数のケーブル160が通電可能に連結されてもよい。ここで、ケーブル160は、入力ケーブル及び出力ケーブルからなってもよく、各ケーブル160の端部には端子161を備えてもよい。このとき、ケーブル160の端子161は、中央に貫通孔161aが形成された円環状からなってもよい。
【0028】
具体的には、入出力端子部120は、前方及び上部が開口し、内部にスロット121aが形成された複数の端子ブロック121を備えてもよい。
【0029】
端子ブロック121の側部には、電圧が他の相に誘起されることを防ぐために絶縁部材122が設置されてもよい。そして、端子ブロック121のスロット121aには、複数のケーブル160のうち一つのケーブル160のみ設置されてもよい。
【0030】
端子ブロック121にケーブル160を固定させるために、各端子ブロック121の一面には第3の締結孔120bが形成されてもよい。これによって、第2の締結部材150をケーブル160端子の貫通孔161a及び第3の締結孔120bに挿入した後、締結方向に回転させると、端子ブロック121のスロット121a内にケーブル160が固定されるようになる。
【0031】
端子ブロック121は、水平方向に配列され、筐体110にそれぞれ締結されてもよい。そして、端子ブロック121は、側部が互いに接触するように配置されてもよく、端子ブロック121の接触面には、第1の締結部材140が挿入される半球状の第1の締結孔120aがそれぞれ形成されており、端子ブロック121の側部が互いに接触したとき、第1の締結孔120aは、円状を成すように形成されてもよい。
【0032】
すなわち、端子ブロック121は、第1の締結部材140を介して互いに結合されるとともに、筐体110に固定されてもよい。
【0033】
例えば、図5図6に示したように、端子ブロック121を6個備えた場合には、先ず、一対の端子ブロック121の側部が互いに接触するように配列する。
【0034】
ここで、端子ブロック121は、右側方向に交流3相(R相端子、S相端子、T相端子)、直流1(P(+)端子)、中性(N相端子)、直流2(P(−)端子)からなってもよい。
【0035】
そうすると、一つの端子ブロック121に形成された半球状の第1の締結孔120aと、残り一つの端子ブロック121に形成された半球状の第1の締結孔120aとが互いに向かい合うように配置される。
【0036】
これによって、一対の端子ブロック121の接触部には円状の第1の締結孔120aが形成される。この状態で、第1の締結孔120aに第1の締結部材140を挿入した後、第1の締結部材140を締結方向に回転させると、一対の端子ブロック121は、筐体110に固定される。そして、このような方法で締結されていない残りの端子ブロック121等を筐体110にそれぞれ固定させることができる。
【0037】
放熱ファン130は、入出力端子部120の下側に配置された状態で、筐体110の前面に固定され、インバータモジュールによって発生した熱を放熱孔110aを介して筐体110の外部へ排出する。
【0038】
前述したように、インバータモジュールが各種の発熱素子を備えることにより、インバータモジュールで発生する熱をより効率的に放出させるための放熱ファン130が筐体110の前面に設置されることである。
【0039】
このように、放熱ファン130が筐体110の前面に露出するように配置されることにより、放熱ファン130と放熱孔110aは、互いに向かい合う状態になる。これによって、放熱ファン130は、筐体110の外部空気をインバータモジュールに供給し、インバータモジュールの放熱を誘導するとともに、インバータモジュールで発生する熱を放熱孔110aへ排出させることができる。
【0040】
一方、インバータ装置100は、図6に示したように、第2の締結部材150を介して入出力端子部120に締結されるバスバー(bus bar)170をさらに含んでいてもよい。
【0041】
バスバー170は、ケーブル160端子と向かい合うように配置され、内部に第2の貫通孔171aが形成された第1のプレート171と、第1のプレート171の下側端部からケーブル端子161の方向に伸びた第2のプレート172からなってもよい。
【0042】
これによって、バスバー170の第2の貫通孔171aと、ケーブル160端子の貫通孔161a、及び第3の締結孔120bに第2の締結部材150を挿入した後、第2の締結部材150を締結方向に回転させると、入出力端子部120にバスバー170及びケーブル160が固定される。
【0043】
図7は、図3において、他の実施形態によるインバータ装置200を示した斜視図である。本実施形態では、前述した実施形態と異なる内容を中心に説明する。
【0044】
図7に示したように、インバータ装置200は、入出力端子部120の前面に設置された端子カバー180をさらに含んでいてもよい。このように、入出力端子部120の前面に端子カバー180が設置されることにより、入出力端子部120の露出面を最少にして、入出力端子部120に異物等が付着することを防ぐことができる。
【0045】
従って、異物によって入出力端子部120とケーブル160との間に発生する接触不良に対する事故を未然に防ぐことができる。
【0046】
前述したように、インバータ装置100は、筐体110の前面に入出力端子部120と放熱ファン130が露出するように設置されるため、入出力端子部120と放熱ファン130のメンテナンスが容易となる。
【0047】
また、放熱ファン130は、放熱孔110aと互いに向かい合うように配置されているため、構造上、インバータモジュールと熱交換された空気を直接に排出させることができるようになり、放熱効率が向上する。
【0048】
また、入出力端子部120に複数のケーブル160が第2の締結部材150を介して固定されるため、端子部に異物が付着するか、外力によって入出力端子部120からケーブル160が分離されることを防ぐことができるようになる。
【0049】
さらに、入出力端子部120が複数の端子ブロック121からなり、第1の締結部材140を介して筐体110に固定されるため、端子ブロック121がそれぞれ筐体110から分離できるようになる。これによって、入出力端子部120が壊れた場合、第1の締結部材140を分離すると、壊れた端子ブロック121のみ入れ替られるため、入れ替え費用を減らせるようになる。
【0050】
本発明は、添付の図面に示した一実施形態を参考にして説明したが、これは例示的なものに過ぎず、該技術分野で通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能である点を理解することができる。従って、本発明の真の保護範囲は、添付の請求範囲によって定めなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7