【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、亜塩素酸及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩とを含む水性液剤を、ガス滅菌処理された容器に収容した場合、亜塩素酸及び/又はその塩の含量が低下するという課題が生じることをつきとめた。更に亜塩素酸及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩と、ブリモニジン及び/又はその塩とを含む水性液剤を、ガス滅菌処理された容器に収容した場合には、亜塩素酸及び/又はその塩の含量の低下が抑制できることを見出した。
【0008】
加えて、本発明者は、ブリモニジン及び/又はその塩と、亜塩素酸及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩とを含む水性液剤を、ガス滅菌処理された容器に収容すると、ブリモニジン及び/又はその塩の含量の低下も抑制できることを見出した。
【0009】
本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、一実施態様として以下に掲げる医薬製品を提供する。
項1-1. 亜塩素酸及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩と、ブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤が、ガス滅菌処理された容器に収容されている、医薬製品。
項1-2. 前記亜塩素酸及び/又はその塩が、亜塩素酸ナトリウムである、項1-1に記載の医薬製品。
項1-3. 前記亜塩素酸及び/又はその塩の濃度が、0.0001〜1w/v%である、項1-1又は1-2に記載の医薬製品。
項1-4. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項1-1〜1-3のいずれかに記載の医薬製品。
項1-5. 前記ホウ酸及び/又はその塩の濃度が、0.01〜10w/v%である、項1-1〜1-4のいずれかに記載の医薬製品。
項1-6. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項1-1〜1-5のいずれかに記載の医薬製品。
項1-7. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項1-1〜1-6のいずれかに記載の医薬製品。
項1-8. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、項1-1〜1-7のいずれかに記載の医薬製品。
項1-9. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項1-8に記載の医薬製品。
項1-10. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項1-8又は1-9に記載の医薬製品。
項1-11. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項1-8〜1-10のいずれかに記載の医薬製品。
項1-12. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%である、項1-10又は1-11に記載の医薬製品。
項1-13. 前記水性液剤が、点眼液である、項1-1〜1-12のいずれかに記載の医薬製品。
項1-14. 前記容器が、ポリオレフィン製である、項1-1〜1-13のいずれかに記載の医薬製品。
項1-15. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン又はポリエチレンである、項1-14に記載の医薬製品。
項1-16. 前記容器が、マルチドーズ型容器である、項1-1〜1-15のいずれかに記載の医薬製品。
項1-17. 前記ガス滅菌が、エチレンオキサイドガス滅菌である、項1-1〜1-16のいずれかに記載の医薬製品。
項1-18. 前記医薬製品を60℃で2週間保存後の亜塩素酸及び/又はその塩の残存率が95%以上である、項1-1〜1-17のいずれかに記載の医薬製品。
項1-19. 前記医薬製品を60℃で2週間保存後のブリモニジン及び/又はその塩の残存率が99.0%以上である、項1-1〜1-18のいずれかに記載の医薬製品。
項1-20. 亜塩素酸ナトリウムと、ホウ酸及び/又はホウ砂と、ブリモニジン酒石酸塩とを含む水性液剤が、エチレンオキサイドガス滅菌処理された容器に収容されている、医薬製品であって、
前記亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.0001〜1w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が0.01〜10w/v%であり、
前記ブリモニジン酒石酸塩の濃度が0.05〜0.5w/v%であり、
前記容器が、ポリプロピレン又はポリエチレン製のマルチドーズ型容器である、医薬製品。
項1-21. 亜塩素酸ナトリウムと、ホウ酸及び/又はホウ砂と、ブリモニジン酒石酸塩とを含む水性液剤が、エチレンオキサイドガス滅菌処理された容器に収容されている、医薬製品であって、
前記亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.005〜0.02w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が0.1〜0.5w/v%であり、
前記ブリモニジン酒石酸塩の濃度が0.05〜0.2w/v%であり、
前記容器が、ポリプロピレン又はポリエチレン製のマルチドーズ型容器である、医薬製品。
項1-22. 亜塩素酸ナトリウムと、ホウ酸及び/又はホウ砂と、ブリモニジン酒石酸塩とを含む水性液剤が、エチレンオキサイドガス滅菌処理された容器に収容されている、医薬製品であって、
前記亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.005〜0.02w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が0.1〜0.5w/v%であり、
前記ブリモニジン酒石酸塩の濃度が0.05〜0.2w/v%であり、
前記医薬製品を60℃で2週間保存したときの亜塩素酸ナトリウムの残存率が95%以上、且つブリモニジン酒石酸塩の残存率が99.0%以上であり、
前記容器が、ポリプロピレン又はポリエチレン製のマルチドーズ型容器である、医薬製品。
項1-23. 緑内障治療のために使用される、項1-1〜1-22のいずれかに記載の医薬製品。
【0011】
また、本発明は、他の実施態様として、以下に掲げる、亜塩素酸及び/又はその塩の含量を安定化する方法を提供する。
項2-1. 亜塩素酸及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩とを含む水性液剤における亜塩素酸及び/又はその塩の含量を安定化する方法であって、
亜塩素酸及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びにブリモニジン及び/又はその塩を含む水性液剤を、ガス滅菌処理された容器に収容する工程を含む、前記方法。
項2-2. 前記亜塩素酸及び/又はその塩が、亜塩素酸ナトリウムである、項2-1に記載の方法。
項2-3. 前記亜塩素酸及び/又はその塩の濃度が、0.0001〜1w/v%である、項2-1又は2-2に記載の方法。
項2-4. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はホウ砂である、項2-1〜2-3のいずれかに記載の方法。
項2-5. 前記ホウ酸及び/又はその塩の濃度が、0.01〜10w/v%である、項2-1〜2-4のいずれかに記載の方法。
項2-6. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項2-1〜2-5のいずれかに記載の方法。
項2-7. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項2-1〜2-6のいずれかに記載の方法。
項2-8. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、項2-1〜2-7のいずれかに記載の方法。
項2-9. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項2-8に記載の方法。
項2-10. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項2-8又は2-9に記載の方法。
項2-11. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項2-8〜2-10のいずれかに記載の方法。
項2-12. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%である、項2-10又は2-11に記載の方法。
項2-13. 前記水性液剤が、点眼液である、項2-1〜2-12のいずれかに記載の方法。
項2-14. 前記容器が、ポリオレフィン製である、項2-1〜2-13のいずれかに記載の方法。
項2-15. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン又はポリエチレンである、項2-14に記載の方法。
項2-16. 前記容器が、マルチドーズ型容器である、項2-1〜2-15のいずれかに記載の方法。
項2-17. 前記ガス滅菌が、エチレンオキサイドガス滅菌である、項2-1〜2-16のいずれかに記載の方法。
項2-18. 亜塩素酸ナトリウムと、ホウ酸及び/又はホウ砂とを含む水性液剤における亜塩素酸ナトリウムの含量を安定化する方法であって、
亜塩素酸ナトリウム、ホウ酸及び/又はホウ砂、並びにブリモニジン酒石酸塩を含む水性液剤を、エチレンオキサイドガス滅菌処理された容器に収容する工程を含み、
前記亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.005〜0.02w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が0.1〜0.5w/v%であり、
前記ブリモニジン酒石酸塩の濃度が0.05〜0.2w/v%であり、
前記容器が、ポリプロピレン又はポリエチレン製のマルチドーズ型容器である、前記方法。
【0012】
更に、本発明は、他の実施態様として、以下に掲げる、ブリモニジン及び/又はその塩の含量を安定化する方法を提供する。
項3-1. ブリモニジン及び/又はその塩と、ホウ酸及び/又はその塩とを含む水性液剤におけるブリモニジン及び/又はその塩の含量を安定化する方法であって、ブリモニジン及び/又はその塩、ホウ酸及び/又はその塩、並びに亜塩素酸及び/又はその塩を含む水性液剤を、ガス滅菌処理された容器に収容する工程を含む、前記方法。
項3-2. 前記ブリモニジン及び/又はその塩が、ブリモニジン酒石酸塩である、項3-1に記載の方法。
項3-3. 前記ブリモニジン及び/又はその塩の濃度が、0.05〜0.5w/v%である、項3-1又は3-2に記載の方法。
項3-4. 前記ホウ酸及び/又はその塩が、ホウ酸及び/又はその塩である、項3-1〜3-3のいずれかに記載の方法。
項3-5. 前記ホウ酸及び/又はその塩の濃度が、0.01〜10w/v%である、項3-1〜3-4のいずれかに記載の方法。
項3-6. 前記亜塩素酸及び/又はその塩が、亜塩素酸ナトリウムである、項3-1〜3-5のいずれかに記載の方法。
項3-7. 前記亜塩素酸及び/又はその塩の濃度が、0.0001〜1w/v%である、項3-1〜3-6のいずれかに記載の方法。
項3-8. 前記水性液剤が、金属塩化物を含む、項3-1〜3-7のいずれかに記載の方法。
項3-9. 前記金属塩化物として、少なくとも、塩化ナトリウムを含む、項3-8に記載の方法。
項3-10. 前記金属塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムである、項3-8又は3-9に記載の方法。
項3-11. 前記金属塩化物の総量の濃度が、0.01〜2w/v%である、項3-8〜3-10のいずれかに記載の方法。
項3-12. 前記塩化ナトリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化カリウムの濃度が0.01〜2w/v%、前記塩化マグネシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%、且つ前記塩化カルシウムの濃度が0.001〜0.2w/v%である、項3-10又は3-11に記載の方法。
項3-13. 前記水性液剤が、点眼液である、項3-1〜3-12のいずれかに記載の方法。
項3-14. 前記容器が、ポリオレフィン製である、項3-1〜3-13のいずれかに記載の方法。
項3-15. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレン又はポリエチレンである、項3-14に記載の方法。
項3-16. 前記容器が、マルチドーズ型容器である、項3-1〜3-15のいずれかに記載の方法。
項3-17. 前記ガス滅菌が、エチレンオキサイドガス滅菌である、項3-1〜3-16のいずれかに記載の医薬製品。
項3-18. ブリモニジン酒石酸塩と、ホウ酸及び/又はホウ砂とを含む水性液剤におけるブリモニジン酒石酸塩の含量を安定化する方法であって、
ブリモニジン酒石酸塩、ホウ酸及び/又はホウ砂、並びに亜塩素酸ナトリウムを含む水性液剤を、エチレンオキサイドガスで滅菌処理された容器に収容する工程を含み、
前記ブリモニジン酒石酸塩の濃度が0.05〜0.2w/v%であり、
前記ホウ酸及び/又はホウ砂の濃度が0.1〜0.5w/v%であり、
前記亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.005〜0.02w/v%であり、
前記容器が、ポリプロピレン又はポリエチレン製のマルチドーズ型容器である、前記方法。