(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<鋳型造型用粘結剤組成物>
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物(以下、粘結剤組成物ともいう)は、フェノール樹脂と、水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物(以下、環状ケタール化合物ともいう)とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物である。本実施形態の粘結剤組成物によれば、鋳型造型時の鋳型強度を低下させることなく、鋳造後の鋳型の残留鋳型圧縮強度の向上を抑制することができるため、鋳型の崩壊性が向上し、鋳造後の鋳型の解枠作業の生産性を改善できる。鋳型の崩壊性が向上するので、鋳物砂の解砕処理時に発生する砂単粒子に壊すことができないダマが低減し廃棄物量が低減する。また、鋳物砂の再生時の残留樹脂が容易に除去されるので、再生砂のLOI(灼熱減量)が低減し、再生砂を用いた鋳型強度が向上する。また、加熱による2次硬化がほとんどないことから、凝固収縮の大きい鋳鋼分野において、鋳造後の鋳物の凝固収縮に対して鋳型が追随できるため、鋳物の収縮時の割れ欠陥も低減すると考えられる。このような効果を発現する理由は定かではないが以下のように考えられる。
【0012】
鋳型用組成物にフェノール樹脂が含まれている場合、一般に、フェノール樹脂は鋳造等によって鋳型が加熱されると2次硬化が起こり、鋳型圧縮強度が向上するため、鋳型が崩壊しにくくなる。しかし、本実施形態の粘結剤組成物に含まれる、水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物は、適度な疎水性を有するためにフェノール樹脂と適度に相溶し、フェノール樹脂の反応サイトであるフェノールの水酸基等に適度に配位し、フェノール樹脂の2次硬化を抑制することによって残留鋳型圧縮強度の向上を抑制し、鋳型の崩壊性を向上させることができると考えられる。
【0013】
〔フェノール樹脂〕
前記フェノール樹脂は、一般にはアルカリ条件下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを重縮合させることによって得られるものである。このうちフェノール化合物としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ノニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール、その他の置換フェノールを含めたフェノール類や、カシューナット殻液のような各種のフェノール化合物の混合物等を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等を1種又は2種以上混合して使用することができる。これらの化合物は必要に応じて水溶液として用いることができる。また、これらに、尿素、メラミン、シクロヘキサノン等のアルデヒド化合物と縮合が可能なモノマーや、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコール等の1価の脂肪族アルコール化合物や、水溶性高分子のポリアクリル酸塩や、セルロース誘導体高分子、ポリビニルアルコール、リグニン誘導体などを混合しても差し支えない。
【0014】
前記フェノール樹脂の合成に用いられるアルカリ触媒としては、LiOH、NaOH、KOHなどのアルカリ金属の水酸化物が挙げられるが、特にNaOH、KOHが好ましい。また、これらのアルカリ触媒を混合して用いてもよい。
【0015】
前記フェノール樹脂は水溶液とする事が好ましく、固形分質量(105℃で3時間乾燥後の固形質量)としては、鋳型強度を向上させる観点から、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。前記フェノール樹脂水溶液の固形分質量は、鋳型強度を向上させる観点及び作業性を向上させる観点から、85質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。また、前記フェノール樹脂水溶液の固形分質量は、鋳型強度を向上させる観点及び作業性を向上させる観点から、30〜80質量%が好ましく、50〜75質量%がより好ましい。
【0016】
前記フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、鋳型強度を向上させる観点から、500以上が好ましく、800以上がより好ましく、1200以上が更に好ましい。フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、鋳型強度を向上させる観点及び作業性を向上させる観点から、8000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下が更に好ましい。また、前記フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、鋳型強度を向上させる観点及び作業性を向上させる観点から、500〜8000が好ましく、800〜5000がより好ましく、1200〜3000がより好ましい。なお、フェノール樹脂の重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定する。
【0017】
前記粘結剤組成物中の前記フェノール樹脂の含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。前記粘結剤組成物中の前記フェノール樹脂の含有量は、鋳型強度を向上させる観点、及び作業性を向上させる観点から、95質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましく、60質量%以下がより更に好ましい。また、前記粘結剤組成物中の前記フェノール樹脂の含有量は、鋳型強度を向上させる観点、及び作業性を向上させる観点から、10〜95質量%が好ましく、25〜80質量%がより好ましく、25〜70質量%が更に好ましく、40〜60質量%がより更に好ましい。
【0018】
〔水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物〕
前記環状ケタール化合物の炭素数は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、5以上であり、好ましくは6以上である。また、前記環状ケタール化合物の炭素数は、同様の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下である。
【0019】
前記環状ケタール化合物の分子量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、好ましくは110以上、より好ましくは115以上、更に好ましくは130以上である。また、前記環状ケタール化合物の分子量は、同様の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは170以下、更に好ましくは150以下、より更に好ましくは140以下である。
【0020】
前記環状ケタール化合物の1分子中の環状ケタール構造の数は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。
【0021】
前記環状ケタール化合物の1分子中の水酸基の数は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、好ましくは4以下であり、より好ましくは3以下であり、更に好ましくは2以下であり、より更に好ましくは1である。
【0022】
また、前記環状ケタール化合物は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、環状ケタール構造を1つ有し、水酸基を2つ有する化合物、及び環状ケタール構造を1つ有し、水酸基を1つ有する化合物が好ましく、環状ケタール構造を1つ有し、水酸基を1つ有する化合物がより好ましい。
【0023】
前記環状ケタール化合物は、3価以上の多価アルコールと、アルデヒド及びケトンから選ばれる1種以上を反応させることによって得られる。
【0024】
前記多価アルコールの価数は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、好ましくは3価以上であり、好ましくは8価以下、より好ましくは6価以下、更に好ましくは4価以下である。
【0025】
3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ジペンタエリスリト−ル等が挙げられる。
【0026】
アルデヒド及びケトンの炭素数は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、同様の観点から、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは4以下であり、より更に好ましくは3以下である。
【0027】
アルデヒド及びケトンとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、プロピオンアルデヒド、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、ジエチルケトン等が挙げられる。
【0028】
前記環状ケタール化合物は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
【0029】
【化1】
(上記一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R3及びR4はそれぞれ水素又は−CH
2OH基を示す。但し、R3及びR4は同時に水素ではない。)
【0030】
前記環状ケタール化合物は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、下記一般式(2)で示される化合物がより好ましい。
【0031】
【化2】
(上記一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、R1及びR2は同時に水素ではない。)
【0032】
前記一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2の炭素水素基は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、アルキル基が好ましい。
【0033】
前記一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2の炭素数は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、好ましくは1〜4であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1〜2であり、より更に好ましくは2である。
【0034】
前記一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2の炭化水素基は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0035】
前記一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2の少なくとも1つは、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、アルキル基が好ましく、両方がアルキル基であることがより好ましい。
【0036】
前記一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、R1がメチル基かつR2がメチル基、R1がメチル基かつR2がエチル基、R1がメチル基かつR2が水素、R1がエチル基かつR2がエチル基であることが好ましく、R1がメチル基かつR2がメチル基、R1がメチル基かつR2がエチル基、R1がメチル基かつR2が水素であることがより好ましく、R1がメチル基かつR2がメチル基、R1がメチル基かつR2が水素であることが更に好ましく、R1がメチル基かつR2がメチル基であることがより更に好ましい。
【0037】
前記一般式(2)におけるR3及びR4は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、R1が水素かつR2が−CH
2OH基が好ましい。すなわち、前記一般式(1)で示される化合物は、前記一般式(2)で示される化合物が好ましい。
【0038】
前記環状ケタール化合物中の一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び入手性の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
【0039】
前記粘結剤組成物中の前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。前記粘結剤組成物中の前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.2〜30質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜25質量%、更に好ましくは1〜20質量%、より更に好ましくは2〜20質量%、より更に好ましくは4〜20質量%、より更に好ましくは8〜20質量%である。
【0040】
前記フェノール樹脂100質量部に対する前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは4質量部以上、より更に好ましくは8質量部以上、より更に好ましくは16質量部以上であり、同様の観点から、好ましくは65質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。前記フェノール樹脂100質量部に対する前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.5〜65質量部、より好ましくは0.5〜50質量部、更に好ましくは0.5〜40質量部、より更に好ましくは1〜40質量部、より更に好ましくは2〜40質量部、より更に好ましくは4〜40質量部、より更に好ましくは8〜40質量部、より更に好ましくは16〜40質量部である。
【0041】
〔その他の成分〕
前記粘結剤組成物は、更に、本実施形態の効果を阻害しない程度に水、アルコール、シランカップリング剤、オキシアニオン化合物、界面活性剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0042】
[アルコール]
前記粘結剤組成物は、鋳型強度を向上させる観点から、アルコールを含有することが好ましい。前記アルコールとして、多価アルコール、グリコールエーテル、脂環式グリコール化合物及び芳香族アルコールから選ばれる1種以上が好ましい。前記アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールモノフェニルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル、シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール化合物、2−フェノキシエタノール、2−フェノキシプロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール等のフェノキシアルコール及びベンジルアルコール等の芳香族アルコールが挙げられる。硬化剤として炭酸ガスを用いる場合、鋳型強度を向上させる観点から、グリコールエーテル及び芳香族アルコールから選ばれる1種以上が好ましく、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及び2−フェノキシエタノールから選ばれる1種以上がより好ましい。
【0043】
前記アルコール中の多価アルコール、グリコールエーテル、脂環式グリコール化合物及び芳香族化合物アルコールから選ばれる1種以上の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。
【0044】
前記粘結剤組成物中の前記アルコールの含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であり、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは9質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下、より更に好ましくは6質量%以下である。前記粘結剤組成物中の前記アルコールの含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜12質量%、更に好ましくは2〜10質量%、より更に好ましくは2〜9質量%、より更に好ましくは2〜7質量%、より更に好ましくは4〜6質量%である。
【0045】
前記フェノール樹脂100質量部に対する前記アルコールの含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは4質量部以上、より更に好ましくは8質量部以上であり、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは20質量部以下、より更に好ましくは18質量部以下、より更に好ましくは13質量部以下である。前記フェノール樹脂100質量部に対する前記アルコールの含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは1〜40質量部、より好ましくは2〜35質量部、更に好ましくは4〜35質量部、より更に好ましくは4〜20質量部、より更に好ましくは4〜18質量部、より更に好ましくは4〜13質量部、より更に好ましくは8〜13質量部である。
【0046】
前記アルコールを含有した粘結剤組成物中の前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは18質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下である。前記粘結剤組成物中の前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.2〜18質量%、より好ましくは0.2〜15質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%、より更に好ましくは1〜10質量%、より更に好ましくは2〜10質量%、より更に好ましくは4〜10質量%、より更に好ましくは4〜7質量%である。
【0047】
前記アルコールを含有した粘結剤組成物において、前記フェノール樹脂100質量部に対する前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは4質量部以上、より更に好ましくは8質量部以上であり、同様の観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは18質量部以下、より更に好ましくは14質量部以下である。前記アルコールを含有した粘結剤組成物において、前記フェノール樹脂100質量部に対する前記環状ケタール化合物の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは0.5〜25質量部、更に好ましくは0.5〜20質量部、より更に好ましくは2〜20質量部、より更に好ましくは4〜20質量部、より更に好ましくは8〜18質量部、より更に好ましくは8〜14質量部である。
【0048】
前記粘結剤組成物中の前記環状ケタール化合物と前記アルコールの合計含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは4質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上であり、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。前記粘結剤組成物中の前記環状ケタール化合物と前記アルコールの合計含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜20質量%、更に好ましくは4〜20質量%、より更に好ましくは4〜15質量%、より更に好ましくは8〜12質量%である。
【0049】
前記フェノール樹脂100質量部に対する前記環状ケタール化合物と前記アルコールの合計含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上、更に好ましくは8質量部以上、より更に好ましくは16質量部以上であり、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。前記フェノール樹脂100質量部に対する前記環状ケタール化合物と前記アルコールの合計含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは4〜40質量部、更に好ましくは4〜35質量部、より更に好ましくは8〜35質量部、より更に好ましくは16〜25質量部である。
【0050】
前記アルコールと前記環状ケタール化合物の合計含有量に対する前記環状ケタール化合物の含有量の比は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.4以上であり、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下である。前記アルコールと前記環状ケタール化合物の合計含有量に対する前記環状ケタール化合物の含有量の比は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点と鋳型強度を向上させる観点を両立させる点から、好ましくは0.1〜0.8、より好ましくは0.2〜0.8、更に好ましくは0.4〜0.6であり、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、好ましくは0.4〜0.8であり、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.2〜0.7、より好ましくは0.2〜0.6である。
【0051】
[シランカップリング剤]
前記粘結剤組成物は、鋳型強度を向上させる観点から、シランカップリング剤を含有することが好ましい。前記シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。前記粘結剤組成物中の前記シランカップリング剤の含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜1質量%である。
【0052】
[オキシアニオン化合物]
前記粘結剤組成物を炭酸ガスで硬化させる場合、鋳型強度を向上させる観点及び鋳型の硬化速度を向上させる観点から、オキシアニオン化合物を含有することが好ましい。オキシアニオン化合物が炭酸ガスを吸収してはじめてアイオノマーを形成し、水溶性フェノール樹脂を高分子化すると考えられるためである。前記オキシアニオン化合物としては、硼酸及び硼酸塩、アルミン酸塩、スズ酸塩等が挙げられる。硼酸塩としては、四硼酸ナトリウム10水和物(硼砂)、四硼酸カリウム10水和物、メタ硼酸ナトリウム、五硼酸ナトリウム、五硼酸カリウム等が挙げられる。アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウが挙げられる。前記粘結剤組成物中のオキシアニオン化合物の含有量は、鋳型強度を向上させる観点及び鋳型の硬化速度を向上させる観点から、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜12質量%、更に好ましくは1〜8質量%である。
【0053】
<鋳型の製造方法>
本実施形態の鋳型の製造方法において、従来の鋳型の製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。好ましい鋳型の製造方法として、少なくとも耐火性粒子、及び前記粘結剤組成物を混合して鋳型造型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型造型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型造型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。
【0054】
〔混合工程〕
[耐火性粒子]
本実施形態の鋳型の製造方法で使用可能な耐火性粒子としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂、アルミナボールサンド等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収して再生処理した再生砂も使用できる。なお、耐火性粒子は、単独で使用又は2種以上を併用することができる。
【0055】
前記耐火性粒子の平均粒子径は、好ましくは50μm超、より好ましくは70μm以上、更に好ましくは120μm以上、より更に好ましくは150μm以上であり、同様の観点から、好ましくは600μm以下、より好ましくは400μm以下、更に好ましくは300μm以下、より更に好ましくは250μm以下である。なお、本明細書において、平均粒子径は実施例に記載の方法により測定する。
【0056】
前記混合工程において、各原料を混合する方法としては、公知一般の手法を用いることが出来、例えば、バッチミキサーにより各原料を添加して混練する方法や、連続ミキサーに各原料を供給して混練する方法が挙げられる。
【0057】
前記耐火性粒子と前記粘結剤組成物との比率は適宜設定できるが、鋳型強度を向上させる観点及び経済性の観点から、前記耐火性粒子1000質量部に対して、前記粘結剤組成物の含有量は10質量部以上が好ましく、100質量部以下が好ましい。また、前記耐火性粒子1000質量部に対して、フェノール樹脂は5質量部以上が好ましく、80質量部以下が好ましい。
【0058】
前記混合工程において、鋳型造型用組成物を得る際に、前記粘結剤組成物とは別に前記環状ケタール化合物を更に混合してもよい。その場合、鋳型造型用組成物中の前記環状ケタール化合物の含有量は、前記フェノール樹脂100質量部に対する前記環状ケタール化合物の含有量の範囲であることが好ましい。
【0059】
また、耐火性粒子、フェノール樹脂を含むが環状ケタール化合物を含まない粘結剤組成物及び前記環状ケタール化合物を混合して鋳型造型用組成物を得ることもできる。この場合の環状ケタール化合物の配合量は、前記粘結剤組成物において記載した含有量と同じである。
【0060】
さらに、耐火性粒子、フェノール樹脂、環状ケタール化合物及び粘結剤組成物に用いられるその他の成分を別々に混合して鋳型造型用組成物を得ることもできる。この場合のフェノール樹脂の含有量は、耐火性粒子1000質量部に対して5質量部以上が好ましく、80質量部以下が好ましい。また、環状ケタール化合物及び粘結剤組成物に用いられるその他の成分の配合量は、前記粘結剤組成物において記載した含有量と同じである。
【0061】
上記のように環状ケタール化合物を粘結剤組成物とは別に混合する場合、環状ケタール化合物は鋳型造型用添加剤である。本実施形態の鋳型造型用添加剤は、水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物を含有する。鋳型造型用添加剤は、鋳造後の鋳型の残留強度を低下させ、鋳型の崩壊性を向上させ、鋳造後の解枠作業の生産性を改善できる。本発明の鋳型造型用添加剤における環状ケタール化合物の好ましい態様は、鋳型造型用粘結剤組成物における環状ケタール化合物の好ましい態様と同じである。
【0062】
〔硬化工程〕
前記硬化工程において、前記鋳型造型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型造型用組成物を
硬化させる。当該鋳型造型用組成物を硬化させる方法としては、公知一般の手法を用いることができる。当該鋳型造型用組成物を硬化させる手法としては硬化剤で硬化させる方法が挙げられる。当該硬化剤としては、有機エステル化合物、炭酸ガス等が挙げられる。
【0063】
前記有機エステル化合物としては、炭素数3〜10のラクトン類、炭素数1〜10の1価又は多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸より導かれる有機エステル、或いは炭素数1〜8のアルキレンカーボネートが単独で又は混合して用いられる。自硬性鋳型造型法では、γ−ブチロラクトン、プロピオンラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸エチル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、トリアセチン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を用いるのが好ましく、有機エステルを使用するガス硬化性鋳型造型法ではギ酸メチルを用いるのが好ましい。
【0064】
前記硬化剤として有機エステルを用いる場合、有機エステルの量は、鋳型強度を向上させる観点、硬化速度を向上させる観点及び経済性の観点から、前記粘結剤組成物100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、また、35質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
【0065】
前記硬化剤として有機エステルを用いる場合、有機エステルの量は、鋳型強度を向上させる観点、硬化速度を向上させる観点及び経済性の観点から、フェノール樹脂100質量部に対して、20質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、また、70質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。
【0066】
前記硬化剤として炭酸ガスを用いる場合、炭酸ガスの流速は、鋳型強度を向上させる観点から、鋳型100cm
3当り、好ましくは0.2L/分以上、より好ましくは1L/分以上であり、経済性の観点から、鋳型100cm
3当り、好ましくは30L/分以下、より好ましくは15L/分以下、更に好ましくは7L/分以下、より更に好ましくは4L/分以下である。炭酸ガスの流通時間は、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは10秒以上、より好ましくは20秒以上、更に好ましく30秒以上であり、経済性の観点から、好ましくは90秒以下、より好ましくは70秒以下、更に好ましくは50秒以下である。硬化時の温度は、鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは−5℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上であり、経済性の観点から、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下である。
【0067】
前記硬化剤として炭酸ガスを用いる場合、炭酸ガスの量は、鋳型強度を向上させる観点、硬化速度を向上させる観点及び経済性の観点から、前記粘結剤組成物100質量部に対して、25質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましく、また、100質量部以下が好ましく、75質量部以下がより好ましい。
【0068】
前記硬化剤として炭酸ガスを用いる場合、炭酸ガスの量は、鋳型強度を向上させる観点、硬化速度を向上させる観点及び経済性の観点から、フェノール樹脂100質量部に対して、50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、また、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。
【0069】
<鋳型造型用組成物>
本実施形態の鋳型造型用組成物は、耐火性粒子、及び前記粘結剤組成物を含有する。すなわち、本実施形態の鋳型造型用組成物は、耐火性粒子、フェノール樹脂及び前記環状ケタール化合物を含有する。
【0070】
前記粘結剤組成物の含有量は、耐火性粒子に対して、前記鋳型の製造法の混合工程において記載したとおりである。
【0071】
フェノール樹脂の含有量は、耐火性粒子に対して、前記鋳型の製造法の混合工程において記載したとおりである。また、前記環状ケタール化合物の含有量は、フェノール樹脂に対して、前記粘結剤組成物において記載したとおりである。
【0072】
〔無機粒子〕
本実施形態の鋳型造型用組成物は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子は硬化した粘結剤組成物中に存在すると考えられ、無機粒子の熱膨張率は硬化した粘結剤組成物の熱膨張率と異なるため、加熱後の残留強度の低下を促進すると考えられる。
【0073】
無機粒子としては、シリカ、ムライト、カオリン、フライアッシュが挙げられる。
無機粒子は、非晶質でも結晶性でもよい。
【0074】
無機粒子の形状は、球状、塊状、不定形等いずれでも構わないが、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは球状粒子である。
無機粒子の平均粒子径は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは1μm以上、より更に好ましくは2μm以上であり、同様の観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは18μm以下である。
【0075】
前記フェノール樹脂100質量部に対する前記無機粒子の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、更に好ましくは12質量部以上、より更に好ましくは15質量部以上であり、同様の観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、より更に好ましくは25質量部以下である。前記フェノール樹脂100質量部に対する前記無機粒子の含有量は、鋳造後の鋳型の崩壊性を向上させる観点及び鋳型強度を向上させる観点から、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは7〜35質量部、より更に好ましくは12〜30質量部、より更に好ましくは15〜25質量部である。
【0076】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の実施態様を開示する。
<1> フェノール樹脂と、水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物とを含有する鋳型造型用粘結剤組成物。
<2> 該環状ケタールの炭素数が20以下である、<1>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<3> 該環状ケタール化合物が下式一般式(1)で示される化合物を含む、<1>又は<2>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
【化3】
(上記一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R3及びR4はそれぞれ水素又は−CH
2OH基を示す。但し、R3及びR4は同時に水素ではない。)
<4> 該環状ケタール化合物が下式一般式(2)で示される化合物を含む、<1>又は<2>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
【化4】
(上記一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、R1及びR2は同時に水素ではない。)
<5> 前記一般式(1)及び(2)において、R1及びR2が、R1がメチル基かつR2がメチル基、R1がメチル基かつR2がエチル基、R1がメチル基かつR2が水素、R1がエチル基かつR2がエチル基からなる群から選ばれる1種以上である、<3>又は<4>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<6> 前記環状ケタール中の前記一般式(1)又は前記一般式(2)で示される化合物の含有量が、80質量%以上である、<3>乃至<5>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<7> 前記環状ケタール化合物の含有量が、前記鋳型造型用粘結剤組成物中0.2質量%以上20質量%以下である、<1>乃至<6>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<8> 前記環状ケタール化合物の含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して0.5質量部以上40質量部以下である、<1>乃至<7>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<9> フェノール樹脂と、水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物と、アルコールと、を含有し、該アルコールが多価アルコール、グリコールエーテル、脂環式グリコール化合物及び芳香族アルコールから選ばれる1種以上を含む、鋳型造型用粘結剤組成物。<10> 該環状ケタールの炭素数が20以下である、<9>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<11> 該環状ケタール化合物が下式一般式(1)で示される化合物を含む、<9>又は<10>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
【化5】
(上記一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R3及びR4はそれぞれ水素又は−CH
2OH基を示す。但し、R3及びR4は同時に水素ではない。)
<12> 該環状ケタール化合物が下式一般式(2)で示される化合物を含む、<9>又は<10>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
【化6】
(上記一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、R1及びR2は同時に水素ではない。)
<13> 前記一般式(1)及び(2)において、R1及びR2が、R1がメチル基かつR2がメチル基、R1がメチル基かつR2がエチル基、R1がメチル基かつR2が水素、R1がエチル基かつR2がエチル基からなる群から選ばれる1種以上である、<11>又は<12>に記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<14> 前記環状ケタール中の前記一般式(1)又は前記一般式(2)で示される化合物の含有量が、80質量%以上である、<11>乃至<13>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<15> 前記アルコール中の多価アルコール、グリコールエーテル、脂環式グリコール化合物及び芳香族化合物アルコールから選ばれる1種以上の含有量が、80質量%以上である、<9>乃至<14>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。<16> 前記環状ケタール化合物の含有量が、前記鋳型造型用粘結剤組成物中0.2質量%以上10質量%以下である、<9>乃至<15>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<17> 前記アルコールの含有量が、前記鋳型造型用粘結剤組成物中0.5質量%以上15質量%以下である、<9>乃至<16>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<18> 前記環状ケタール化合物の含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して0.5質量部以上20質量部以下である、<9>乃至<17>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<19> 前記アルコールの含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して2質量部以上35質量部以下である、<9>乃至<18>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<20> 前記環状ケタール化合物と前記アルコールの合計含有量が、前記鋳型造型用粘結剤組成物中1質量%以上20質量%以下である、<9>乃至<19>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<21> 前記環状ケタール化合物と前記アルコールの合計含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して4質量部以上40質量部以下である、<9>乃至<20>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<22> 前記アルコールと前記環状ケタール化合物の合計含有量に対する前記環状ケタール化合物の含有量の比が、0.1以上0.8以下である、<9>乃至<21>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物。
<23> 耐火性粒子、及び<1>乃至<22>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物を混合して鋳型造型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型造型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型造型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
<24> 前記硬化工程で鋳型造型用組成物を硬化させる硬化剤が有機エステル化合物又は炭酸ガスである、<23>に記載の鋳型の製造方法。
<25> <1>乃至<22>の何れか1つに記載の鋳型造型用粘結剤組成物及び耐火性粒子を含有する鋳型造型用組成物。
<26> 前記粘結剤組成物の含有量が、耐火性粒子1000質量部に対して、10質量部以上100質量部以下である、<25>に記載の鋳型造型用組成物。
<27> フェノール樹脂、水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物及び耐火性粒子を含有する、鋳型造型用組成物。
<28> 該環状ケタールの炭素数が20以下である、<27>に記載の鋳型造型用組成物。
<29> 該環状ケタール化合物が下式一般式(1)で示される化合物を含む、<27>又は<28>に記載の鋳型造型用組成物。
【化7】
(上記一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R3及びR4はそれぞれ水素又は−CH
2OH基を示す。但し、R3及びR4は同時に水素ではない。)
<30> 該環状ケタール化合物が下式一般式(2)で示される化合物を含む、<27>又は<28>に記載の鋳型造型用組成物。
【化8】
(上記一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、R1及びR2は同時に水素ではない。)
<31> 前記一般式(1)及び(2)において、R1及びR2が、R1がメチル基かつR2がメチル基、R1がメチル基かつR2がエチル基、R1がメチル基かつR2が水素、R1がエチル基かつR2がエチル基からなる群から選ばれる1種以上である、<29>又は<30>に記載の鋳型造型用組成物。
<32> 前記環状ケタール中の前記一般式(1)又は前記一般式(2)で示される化合物の含有量が、80質量%以上である、<29>乃至<31>の何れか1つに記載の鋳型造型用組成物。
<33> 前記フェノール樹脂の含有量が、前記耐火性粒子1000質量部に対して、5質量部以上80質量部以下である、<25>乃至<32>に記載の鋳型造型用組成物。
<34> 前記環状ケタール化合物の含有量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して0.5質量部以上40質量部以下である、<25>乃至<33>の何れか1つに記載の鋳型造型用組成物。
<35> 更に平均粒子径が0.1〜50μmである無機粒子を含有する、<25>乃至<34>の何れか1つに記載の鋳型造型用組成物。
<36> 前記無機粒子の含有量が、フェノール樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下である、<35>に記載の鋳型造型用組成物。
<37> 水酸基を有する炭素数5以上の環状ケタール化合物を含有する鋳型造型用添加剤。
<38> 該環状ケタールの炭素数が20以下である、<37>に記載の鋳型造型用添加剤。
<39> 該環状ケタール化合物が下式一般式(1)で示される化合物を含む、<37>又は<38>に記載の鋳型造型用添加剤。
【化9】
(上記一般式(1)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R3及びR4はそれぞれ水素又は−CH
2OH基を示す。但し、R3及びR4は同時に水素ではない。)
<40> 該環状ケタール化合物が下式一般式(2)で示される化合物を含む、<37>又は<38>に記載の鋳型造型用添加剤。
【化10】
(上記一般式(2)において、R1及びR2はそれぞれ水素又は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。但し、R1及びR2は同時に水素ではない。)
<41> 前記一般式(1)及び(2)において、R1及びR2が、R1がメチル基かつR2がメチル基、R1がメチル基かつR2がエチル基、R1がメチル基かつR2が水素、R1がエチル基かつR2がエチル基からなる群から選ばれる1種以上である、<39>又は<40>に記載の鋳型造型用添加剤。
<42> 前記環状ケタール中の前記一般式(1)又は前記一般式(2)で示される化合物の含有量が、80質量%以上である、<39>乃至<41>の何れか1つに記載の鋳型造型用添加剤。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。
【0078】
<原料の評価方法>
〔水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)〕
水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定した。
(a)サンプル調製:試料に同重量のイオン交換水を加え、0.1質量%のH2SO4を加えて中和した。生成した沈殿を濾過分離し、水洗し、乾燥した。これをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、GPC用のサンプルを調製した。
(b)カラム:ガードカラムTSX(東洋曹達工業社製)HXL(6.5mmφ×4cm)1本と、TSK3000HXL(7.8mmφ×30cm)1本と、TSK2500HXL(7.8mmφ×30cm)1本を使用する。注入口側よりガードカラム−3000HXL−2500HXLの順に接続した。
(c)標準物質:重量平均分子量が既知の単分散ポリスチレン(東洋曹達工業社製)
(d)溶出液:THF(流速:1cm
3/min)
(e)カラム温度:25℃
(f)検出器:紫外分光光度計(フェノールの紫外吸収の最大ピークの波長において定量)
(g)分子量計算の為の分割法:時間分割(2sec)
【0079】
〔平均粒子径〕
(53μm以上の粒子の場合)
JIS Z2601(1993)「鋳物砂の試験方法」附属書2に規定する方法に基づいて、850、600、425、300、212、150、106、75、53μmのふるいを用いて測定し、質量累積50%の粒径を平均粒子径とする。
(53μm未満の粒子の場合)
レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−920)を用いて測定された体積累積50%の平均粒子径である。分析条件は下記の通りである。
・測定方法:フロー法
・分散媒:イオン交換水
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・試料濃度:2mg/100cc
【0080】
<フェノール樹脂水溶液の調製>
温度計及び撹拌機を装着した2リットルガラス容器に、フェノール380g、48質量%水酸化カリウム水溶液670g、水165g、92%パラホルムアルデヒド265gを混合後85℃で反応を行い、フェノール樹脂水溶液を得た。フェノール樹脂水溶液の固形分濃度は63.9質量%である。また、当該水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は1820である。
【0081】
<実施例1〜16、比較例1〜14>
〔粘結剤組成物の調製〕
前記フェノール樹脂水溶液74質量部(フェノール樹脂47.3質量部)、アルミン酸ナトリウム3質量部、四硼酸ナトリウム10水和物(硼砂)6質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM−403)1質量部及びそれぞれ表1に記載の化合物を所定量混合した後、100質量部となるように水を混合し粘結剤組成物を得た。
【0082】
〔耐火性粒子〕
耐火性粒子は、珪砂(「三河珪砂R品6号」三河珪石株式会社製)を用いた。平均粒子径は181μmであった。
【0083】
〔残留鋳型圧縮強度評価用サンプルの調製〕
アルミビーター攪拌羽根を具備したキッチンミキサー(「ケンミックス・アイコー・シェフ」株式会社愛工舎製作所製)に耐火性粒子1000質量部に対して、前記粘結剤組成物30質量部を投入し、回転速度300rpmで2分間混合後、50mm×50mmφのテストピース用木型に充填した。その後、25℃にて、炭酸ガスを2.5L/分の流量で、30秒間通気させ、評価用テストピースを得た。前記テストピースを25℃にて24時間静置した後、全表面を覆うようにアルミホイル(「マイホイル」株式会社UACJ製)を巻いた後、200℃に加熱した電気炉で1時間加熱した。その後、25℃環境下で1時間静置した。その後アルミホイルを取り除き、残留鋳型圧縮強度評価用サンプルを得た。
【0084】
〔残留鋳型圧縮強度の評価方法〕
残留鋳型圧縮強度評価用サンプルを圧縮強度評価試験機(「SDW 2000SH特型」株式会社今田製作所製)を用い、5mm/秒の速度で評価し、破断時の荷重より残留鋳型圧縮強度を算出した。また、25℃にて24時間静置した後のテストピースの鋳型圧縮強度も測定した。結果を表1及び表2に示す。残留鋳型圧縮強度(A)と鋳型圧縮強度(B)の差が小さいほど、残留鋳型圧縮強度の向上を抑制し、鋳型の崩壊性が良好であることを示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
表1より、実施例1〜5の粘結剤組成物は比較例2及び比較例4〜14の粘結剤組成物に比べ、残留鋳型圧縮強度(A)と鋳型圧縮強度(B)の差が小さく、残留鋳型圧縮強度の向上を抑制し、鋳型の崩壊性に優れることが判る。また、比較例1及び比較例3の粘結剤組成物は残留鋳型圧縮強度(A)と鋳型圧縮強度(B)の差が小さいが、25℃にて24時間静置後の鋳型圧縮強度が低く、実用に耐えない。
【0088】
表2より、アルコールを含有した実施例6〜16の粘結剤組成物は、鋳型圧縮強度が向上し、残留鋳型圧縮強度(A)と鋳型圧縮強度(B)の差も小さい。
【0089】
<実施例17〜21>
アルミビーター攪拌羽根を具備したキッチンミキサー(「ケンミックス・アイコー・シェフ」株式会社愛工舎製作所製)に耐火性粒子1000質量部に対して、実施例10の粘結剤組成物30質量部、表4に示す無機粒子3質量部を投入し、回転速度300rpmで2分間混合後、50mm×50mmφのテストピース用木型に充填した。その後、25℃にて、炭酸ガスを2.5L/分の流量で、30秒間通気させ、評価用テストピースを得た。得られた評価用テストピースを用いて、実施例10と同様の評価を行った。結果を表3に示す。また、用いた無機粒子の性状を表4に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
上記の結果から、無機粒子を鋳型組成物に含有させることにより、さらに残留鋳型圧縮強度(A)と鋳型圧縮強度(B)の差が小さく、残留鋳型圧縮強度の向上を抑制し、鋳型の崩壊性に優れることが判る。