【実施例】
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0031】
<実施例1:式(I)で表される糖化合物の製造>
(Benzyl 4,6-O-benzylidene-2-O-tert-butyldimethylsilyl-3-O-pivaroyl-α-
D-mannopyranosyl-(1-3)-[4,6-O-benzylidene-2-O-tert-butyldimethylsilyl
-3-O-pivaroyl-α-D-mannopyranosyl-(1-6)]-β-D-galactopyranosyl
-(1-4)-3,6-di-O-benzyl-2-deoxy-2-phthalimido-β-D-glucopyranoside (3)の合成)
【化23】
モレキュラーシーブズ4A(7.8g)とN−ヨードスクシンイミド(NIS,936mg,4.16mmol)存在下、化合物1(940mg,1.26mmol)と化合物2(1.55g,2.77mmol)のジクロロメタン溶液(16mL)を加えた。−78℃にてトリフルオロメタンスルホン酸(122μL,1.39mmol)を加え2日間撹拌した。トリエチルアミン(290μL)を加え、反応を停止した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈、不溶物をセライトで濾過し、有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水、1M塩酸溶液、飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=96/4〜60/40)にて精製し、化合物3(1.00g,48%)を得た。Rf=0.29(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)。
【0032】
(Benzyl 4,6-O-benzylidene-2-O-tert-butyldimethylsilyl-3-O-pivaroyl-α-
D-mannopyranosyl-(1-3)-[4,6-O-benzylidene-2-O-tert-butyldimethylsilyl
-3-O-pivaroyl-α-D-mannopyranosyl-(1-6)]-2-O-acetyl-4-azide-4-deoxy-β-D-
mannopyranosyl-(1-4)-3,6-di-O-benzyl-2-deoxy-2-phthalimido-β-
D-glucopyranoside (4)の合成)
【化24】
化合物3(456mg,0.278mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶かし、0℃にてピリジン(672μL,8.34mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(468μL,2.78mmol)を加えた。室温で2.5時間攪拌後、反応液を酢酸エチルにて希釈、有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル=100/0〜83/17)にて精製し、2,4−ジトリフルオロメタンスルホニル化合物(417mg,79%)を得た。得られた化合物をトルエンにて共沸、真空乾燥した後に、トルエン(9mL)に溶かし、0℃にてテトラブチルアンモニウムアジド(78mg,0.263mmol)を加え、室温にて1.5時間撹拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈、有機層を飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル=100/0〜83/17)にて精製し、4−位がアジド化された化合物(384mg,97%)を得た。得られた化合物をトルエン共沸、真空乾燥した後にトルエン(9mL)に溶かし、酢酸セシウム(410mg,2.13mmol)、18−クラウン−6(562mg,2.13mmol)を加え、一晩超音波処理をおこなった。反応液を酢酸エチルで希釈後、有機層を順次、飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/酢酸エチル=97/3〜82/18)にて精製し、化合物4(290mg,61% in 3 steps)を得た。Rf=0.35(トルエン/酢酸エチル=5/1)。
【0033】
(α-D-mannopyranosyl-(1-3)-[α-D-mannopyranosyl-(1-6)]
-4-amino-4-deoxy-β-D-mannopyranosyl-(1-4)-2-acetamido-2-deoxy-D-glucopyranose (5)の合成)
【化25】
化合物4(82.5mg,48.4μmol)をTHF(1.4mL)に溶解させ、0℃にて1M TBAF/THF溶液(144μL,0.145mmol)を加え、室温にて一晩反応させた。反応液を減圧濃縮後、残渣にn−ブタノール(2mL)、エチレンジ
アミン(200μL)を加え、アルゴンガス雰囲気下、90℃にて一晩攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣をピリジン(2mL)に溶かし、氷浴中、無水酢酸(500μL)を加え、アルゴン雰囲気下、40℃にて一晩攪拌した。メタノール(1mL)を加え反応を停止し、反応液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルにて希釈し、有機層を飽和重曹水、食塩水にて順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(1mL)に溶かし、氷浴中1M ナトリウムメトキシド/メタノール(500μL)を加え、アルゴンガス雰囲気下、40℃で一晩攪拌した。反応液をアンバーリスト(オルガノ株式会社製,登録商標)にて中和後、アンバーリストを濾別し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0〜93/7)にて精製し、脱保護中間体(44mg,77%)を得た。得られた中間体(58mg,49.2μmol)をテトラヒドロフラン(5mL)に溶かし、水(5mL)を加えた。反応容器をアルゴンガスにて置換し、水酸化パラジウム(50mg)を加え、再び反応容器をアルゴンガスで置換した。ついで反応容器を水素ガスで置換後、40℃にて一晩攪拌した。セライト濾過にて水酸化パラジウムを除去した後、反応液を凍結乾燥した。残渣をISOLUT 18C(バイオタージ社製,登録商標,水100%)にて精製後、凍結乾燥し、化合物5(32mg,93%)を得た。Rf=0.17(アセトニトリル/水=2/1)。
【0034】
(α-D-mannopyranosyl-(1-3)-[α-D-mannopyranosyl-(1-6)]
-4-deoxy-4-N-methylanthraniloylamido-β-D-mannopyranosyl-(1-4)-
2-acetamido 2-deoxy-β-D-glucopyranose (6)の合成)
【化26】
化合物5(4.0mg,5.7μmol)をジメチルスルホキシド(370μL)に溶解し、ジメチルアミノピリジン(1.4mg,11μmol)、N−メチルアントラニル酸(1.0mg,8.4μmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(HATU,4.13mg,10μmol)を加え、室温にて5時間反応させた。反応液を水にて希釈、水層をジエチルエーテルにて洗浄後、水層を凍結乾燥した。得られた残渣をISOLUTE
C18(水〜メタノール)にて精製した。その後、HPLC(Imtakt Unison US−C18,5μm,20×250mm,水/アセトニトリル=97/3,0.1%TFA溶液)により精製し、化合物6(3.5mg,74%)を得た。Rf=0.5(アセトニトリル/水=3/1)。
【0035】
(2-Methyl-[α-D-mannopyranosyl-(1-3)-[α-D-mannopyranosyl
-(1-6)]-4-deoxy-4-N-methylanthraniloylamido-β-D-mannopyranosyl-(1-4)
-1,2-dideoxy-α-D-glucopyrano]-[2,1-d]-oxazoline (7)の合成)
【化27】
化合物6(1mg,1.2μmol)と炭酸カリウム(6.2mg,44.6μmol)を重水(60μL)に溶かし、0℃にて2−クロロ−1,3−ジメチル−1H−ベンズイミダゾール−3−イウム塩化物(CDMBI,3.9mg,17.8μmol)を加え、2時間反応させた。反応液(5μL)を分注し、重水にて希釈後NMRを測定し、反応の終了を確認した。反応混合物から不溶性の塩を遠心ろ過により除去し、化合物7溶液(20mM,55μL)を得た。
【0036】
(3-N-benzyl-3-(N-benzyloxycarbonyl)aminopropyl
4-O-acetyl-3,6-di-O-benzyl-2-deoxy-2-phthalimido-β-D-glucopyranoside (10)の合成)
【化28】
モレキュラーシーブズ4A(0.9g)とN−ヨードスクシンイミド(64mg,285μmol)存在下、化合物8(53mg,177μmol)と化合物9(119mg,190μmol)のジクロロメタン溶液(5mL)を加えた。−78℃にてトリフルオロメタンスルホン酸(17μL,190μmol)を加え、−20℃にて1時間撹拌した。反応混合物にトリエチルアミン(50μL)を加え、反応を停止した後,酢酸エチルで希釈、不溶物をセライトで濾過した。得られたろ液をチオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水、1M塩酸溶液、飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=75/25)にて精製し、化合物10(93mg,63%)を得た。Rf=0.45(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)。
【0037】
(3-Aminopropyl 2-acetamido-2-deoxy-β-D-glucopyranoside (11)の合成)
【化29】
化合物10(66.0mg,79.6μmol)にn−ブタノール(1mL)、エチレ
ンジアミン(100μL)を加え、アルゴンガス雰囲気下、80℃にて一晩攪拌した。反応液を減圧濃縮後、残渣をピリジン(1mL)に溶かし、氷浴中、無水酢酸(500μL)を加え、アルゴン雰囲気下40℃にて一晩攪拌した。メタノール(1mL)を加え反応を停止し、反応液を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルにて希釈し、有機層を飽和重曹水、食塩水にて洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。残渣をテトラヒドロフラン(1mL)に溶かし、氷浴中1Mナトリウムメトキシド/メタノール(500μL)を加え、アルゴンガス雰囲気下、40℃で一晩攪拌した。反応液をアンバーリストにて中和後、アンバーリストを濾別し、溶液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=100/0〜90/10)にて精製し、脱保護中間体(40mg,72% in 3 steps)を得た。得られた中間体(40mg,57.2μmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶かし、水(2mL)を加えた。反応容器をアルゴンガスにて置換後、水酸化パラジウム(20mg)を加えた。反応容器を水素ガスで置換後、室温にて一晩攪拌した。反応液に再度、水酸化パラジウム(20mg)、水(2mL)を加え、一晩撹拌した。セライト濾過にて水酸化パラジウムを除去後、得られたろ液を凍結乾燥した。残渣をISOLUT 18C(水100%)にて精製後、凍結乾燥し、化合物11(11.8mg,74%)を得た。Rf=0.18(2−プロパノール/水=2/1)。
【0038】
(3-N-2,4-di-nitrophenyl-3-aminopropyl 2-acetamido-2-deoxy-β-D-glucopyranoside (12)の合成)
【化30】
化合物11(8.7mg,31.4μmol)を飽和重曹水(200μL)に溶解し、2,4−ジニトロフェニルフルオリド(8.9mg,47.1μmol)のメタノール溶液(100μL)を加えた。1時間反応させた後、2,4−ジニトロフェニルフルオリド(8.9mg,47.1μmol)のメタノール溶液(100μL)を再度加えた。1時間反応させた後、反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルにて洗浄した。水層を凍結乾燥し、得られた残渣をISOLUTE C18(水〜メタノール)にて精製し、化合物12(3.19mg,23%)を得た。Rf=0.62(アセトニトリル/水=5/1)。
【0039】
(3-N-2,4-di-nitrophenyl-3-aminopropyl
α-D-mannopyranosyl-(1-3)-[α-D-mannopyranosyl-(1-6)]
-4-deoxy- 4-N-methylanthraniloylamido-β-D-mannopyranosyl
-(1-4)-2-acetamido-2-deoxy-β-D-glucopyranoside (MANT−Man
3GN
2−DNP)の合成)
【化31】
20mMの糖供与体溶液7を50μL、40mMの糖受容体溶液12を50μL、水92μL、1Mリン酸バッファー(pH7)を50μL、Endo−M−N175Q(4mU,東京化成工業株式会社)を8μLを加えた(終濃度200mMリン酸バッファー(pH7)、全量250μLに調製)。37℃で2時間インキュベーションした後、アセトニトリルを100μL加え、反応を停止した。反応混合液を凍結乾燥し、得られた残渣をISOLUTE C18にて精製(水〜60%メタノール溶液)、生成物を含む画分を凍結乾燥した。得られた残渣をHPLC(Imtakt Unison US−C18,5μm,20×250mm,水/アセトニトリル=73/27,0.1%TFA溶液)にて精製し、MANT−Man
3GN
2−DNP(0.2mg,16%)を得た。得られたMANT−Man
3GN
2−DNPの
1HNMRの測定結果(NMRチャート)を
図1に、ESIMSの測定結果(スペクトル)を
図2に示す。
1H NMR (600 MHz, D
2O) δ 9.12 (d, 1H, J = 2.4 Hz, Ar-H), 8.30 (m, 1H, Ar-H), 7.53 (m, 2H, Ar-H), 7.11 (d, 1H, J = 9.6 Hz, Ar-H), 7.04 (d, 1H, J = 7.9 Hz, Ar-H),
6.97 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 4.95 (s, 1H, H-1), 4.85 (s, 1H, H-1), 4.60 (d, 1H, J = 7.6 Hz, H-1), 4.51 (d, 1H, J = 8.2 Hz, H-1), 4.43-4.39 (m, 1H), 4.31 (d, 1H, J
= 2.7 Hz), 4.03 (m, 1H), 3.96-3.48 (m, 33H), 2.88 (s, 3H, -NHCH
3), 2.07 (s, 3H,
-COCH
3), 1.99 (m, 2H, -CH
2CH
2CH
2-), 1.91 (s, 3H, -COCH
3). ESI-MS: m/z: calcd for : C
51H
75N
7NaO
30: 1288.4455; found 1288.4434 [M+Na]
+.
【0040】
<実施例2:エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(ENGase)の活性検出>
(方法1:HPLCを用いた加水分解反応の活性検出)
MANT−Man
3GN
2−DNPプローブ溶液(5mM)を2μLと、DMSOを2μL、リン酸ナトリウムバッファー(250mM,pH6)を4μLの混合溶液に酵素液を2μL(Endo−M,0.1mU,東京化成工業株式会社)加え、10μLの反応混合液(終濃度1mM MANT−Man
3GN
2−DNP,20%DMSO,100mMリン酸バッファー)を37℃で2時間インキュベートした。反応は、15、30、60、120分ごとに反応液を2μLずつ分注し、8μLのアセトニトリルに加え、反応を停止した。反応混合液を30μLの水で希釈し、HPLC(TOSOH TSK−gel ODS−100V,5μm,4.6mm×15cm,水/アセトニトリル=97/3〜60/40,0.1%TFA溶液,流速1mL/min,15分間、島津超高速液体クロマトグラフ Nexera)にて分析した。反応混合液のHPLCクロマトグラムの結果を
図3に示す。
【0041】
(方法2:マイクロプレートリーダーを用いた加水分解反応の活性検出)
MANT−Man
3GN
2−DNPプローブ溶液(25μM)を20μLとDMSOを20μL、リン酸ナトリウムバッファー(250mM,pH6)を40μLの混合溶液に酵素液を20μL(Endo−M,0.01、0.02、0.05、0.1mU,東京化成工業)加え、100μLの反応混合液(終濃度5μM MANT−Man
3GN
2−DNP,20% DMSO 100mM リン酸バッファー)を37℃で2時間インキュベートした。反応は、マイクロプレートリーダー(TECAN Infinite(登録商標
) M200 PRO)を使用し、励起波長340nm、蛍光波長440nmにて追跡した。マイクロプレートリーダーにより反応混合液の蛍光強度変化を追跡した結果を
図4に示す。酵素反応の進行に伴い、蛍光強度が上昇していることから,基質の切断を確認することができる。