(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような紫外線処理装置において用いる紫外線ランプとしては、紫外線として特に真空紫外線を放射するものが利用されており、また、選択する蛍光体の種類によって種々の波長の紫外線を利用することができることから、エキシマランプが好適に使用されている。
【0006】
一方、紫外線処理装置においては、紫外線照射処理すべき被処理流体の量の増大のために、被処理流体が流通する処理槽が長尺化し、それに応じてエキシマランプも長尺化する傾向にある。
然るに、エキシマランプは、一般に温度が上昇すると発光効率が低下する結果、放出される紫外線の照度が低下してしまうという特性を有するので、長尺のエキシマランプにおいては、温度分布のバラツキに起因して照度ムラが発生してしまう、という問題がある。
また、エキシマランプに蛍光体を使用する場合には、温度分布のバラツキがあると蛍光体の温度特性により照度ムラが発生してしまう、という問題もある。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、長尺なエキシマランプを備えながら、当該エキシマランプの温度分布のバラツキを抑制することができて、光の照度分布に高い均一性が得られるエキシマランプユニットおよびこれを備えるエキシマランプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のエキシマランプユニットは、長尺な管状のエキシマランプと、
当該エキシマランプの長手方向に沿って、前記エキシマランプの外周面と対向するように設けられた冷却ガス送風管とよりなり、
前記エキシマランプから放射される真空紫外線を透過する外套管内に収容されて使用されるエキシマランプユニットであって、
前記冷却ガス送風管には、長手方向に沿って複数の冷却ガス送風口が設けられ、
当該冷却ガス送風口の各々は、当該冷却ガス送風口から吐出される冷却ガスが前記エキシマランプの同一の周方向に指向され
、かつ、前記エキマランプの周壁に送風される位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のエキシマランプユニットにおいては、前記冷却ガス送風管を複数有し、
当該複数の冷却ガス送風管が、前記エキシマランプの外周に沿って均等に離間して配置されていることが好ましい。
【0010】
本発明のエキシマランプ装置は、長尺な管状のエキシマランプ、および、
当該エキシマランプの長手方向に沿って、前記エキシマランプの外周面と対向するように設けられた冷却ガス送風管よりなるエキシマランプユニットと、
当該エキシマランプユニットが同軸状に収容される、一端が開口されると共に他端が閉塞された、前記エキシマランプから放射される真空紫外線を透過する外套管とよりなり、
前記冷却ガス送風管には、長手方向に沿って複数の冷却ガス送風口が設けられ、
当該冷却ガス送風口の各々は、当該冷却ガス送風口から吐出される冷却ガスが前記エキシマランプの同一の周方向に指向され
、かつ、前記エキマランプの周壁に送風される位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明のエキシマランプ装置においては、前記冷却ガス送風管を複数有し、
当該複数の冷却ガス送風管が、前記エキシマランプの外周に沿って均等に離間して配置され、
前記複数の冷却ガス送風管における冷却ガス送風口の各々は、前記エキシマランプの外周に沿った一方向に順次の冷却ガス送風管における長手方向のレベル位置が、前記外套管の一端側方向に変位するよう配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のエキシマランプユニットにおいては、エキシマランプの外周面と対向するように設けられた冷却ガス送風管において、冷却ガス送風口の複数が、当該冷却ガス送風口から吐出される冷却ガスが当該エキシマランプの同一の周方向に指向される位置に設けられている。その結果、複数の冷却ガス送風口から供給された冷却ガス同士が互いに衝突して分散されることなく、エキシマランプの同一の周方向に沿った一定方向に流通される。従って、長尺なエキシマランプを備えながら、当該エキシマランプの温度分布のバラツキを抑制することができて、光の照度分布に高い均一性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のエキシマランプユニットおよびエキシマランプ装置の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明のエキシマランプユニットの構成の一例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
図2は、
図1のエキシマランプユニットが外套管に挿入された状態における他端ベース付近を示す断面図である。
図3は、
図1のエキシマランプユニットにおける中間ベースおよびランプホルダ付近を示す斜視図である。
図4は、
図1のエキシマランプユニットが外套管に挿入された状態における一端ベース付近を示す断面図である。
本発明のエキシマランプ装置は、全体が長尺なエキシマランプユニット10と、当該エキシマランプユニット10が収容される外套管60とよりなり、処理槽中に配置されて真空紫外線を放射するものである。
エキシマランプユニット10は、具体的には、一端ベース20、中間ベース30および他端ベース40が、一方向に沿ってこの順に設けられ、当該一端ベース20、中間ベース30および他端ベース40が互いに冷却ガス送風管35によって連結され、中間ベース30と他端ベース40との間にエキシマランプ11が保持され、さらに、エキシマランプ11に対する給電端子21が、一端ベース20から一方向の外方に突出するよう設けられている。
また、一端ベース20と中間ベース30との間に伸びる状態に、エキシマランプ11と給電端子21とを電気的に接続するリード線(図示せず)を支持するリード線支持ロッド25が設けられている。
【0016】
〔エキシマランプ〕
エキシマランプ11は、内部にエキシマ放電を生成するための放電ガスが封入された、内側管および外側管よりなる二重管構造の発光管12を備えており、発光管12内部に筒状の内側電極(図示せず)が配設されると共に、発光管12の外壁面に網状の外側電極(図示せず)が設けられて構成されている。発光管12の両端部は、各々、発光管12の外径に適合する内径を有する有底筒状の金属キャップ13に外側電極が接触するよう嵌入され、当該金属キャップ13が有底筒状のセラミックキャップ14に挿入されると共にその周壁からネジ止めされることによって当該セラミックキャップ14が発光管12に対して固定されている。また、一方のセラミックキャップ14から外方に、内側電極に電気的に接続されたリード線(図示せず)が伸びている。
外側電極および内側電極の材料は、例えばステンレス鋼(SUS304)が用いられる。
また、放電ガスは例えばキセノンとされ、エキシマランプ11から放射される紫外線の波長は、例えば172〜380nmとされる。
【0017】
〔他端ベース〕
他端ベース40は、
図2に示されるように、略円盤状の他端ベース本体41と、当該他端ベース本体41の下面(
図2において下面)から突出する円錐台状の凸部42とからなる。他端ベース本体41の上面(
図2において上面)には、中央領域にエキシマランプ11の端部を嵌入するための凹所41aが設けられていると共に、冷却ガス送風管35の端部を嵌入するための凹所41bが、外周に沿って均等に設けられている。
他端ベース40が凸部42を有するものであることによって、エキシマランプユニット10が有底円筒状の外套管60に挿入されたときに、当該エキシマランプユニット10と外套管60の管壁との距離が確保されると共に、当該凸部42の周囲に空隙が形成されるために、熱のこもりを抑止することができる。
【0018】
他端ベース40においては、冷却ガス送風管35の下端部(
図2において下端部)およびエキシマランプ11の下端部(
図2において下端部)が固定される。
具体的には、エキシマランプ11は、当該エキシマランプ11のリード線が配設されていない側のセラミックキャップ14が他端ベース本体41の凹所41aに嵌入されることによって当該他端ベース40に保持固定されている。
また、冷却ガス送風管35は、その下端部が他端ベース本体41の凹所41bに嵌入されて溶接されると共に、他端ベース本体41の下面から当該凹所41bに開口されたネジ孔46から挿入されたネジ47によって、当該冷却ガス送風管35の下端部がネジ止めされることによって当該他端ベース40に固定されている。
【0019】
他端ベース40は、ポリテトラフルオロエチレンなどの絶縁物よりなる。
【0020】
〔ランプホルダ〕
エキシマランプ11の上端部(
図1において上端部)は、中間ベース30および他端ベース40との間に配置され、冷却ガス送風管35に保持されたランプホルダ50によって保持固定されている。
ランプホルダ50は、3つの同形状の部材51,51,51がネジ止めによって組み合わせられた、全体が略円盤状のものであり、中央に、エキシマランプ11の金属キャップ13の外径に適合する内径のランプホルダ用貫通孔53が設けられると共に、冷却ガス送風管35を挿通する貫通孔54が周縁に沿って均等に設けられている。また、ランプホルダ50を構成する各部材51の外縁に、後述する冷却ガスを通過させるための切欠き58が設けられている。
ランプホルダ用貫通孔53は、具体的には、ランプホルダ50を構成する各部材51,51,51の対向する周縁に形成された、断面が円弧状の切欠きが、当該各部材51,51,51が組み立てられることによって、エキシマランプ11の金属キャップ13の外径に適合する内径を有する円形状の孔とされるものである。
冷却ガス送風管35を挿通する貫通孔54は、冷却ガス送風管35の外径に適合する内径を有するものである。
【0021】
ランプホルダ50においては、同形状の部材51,51,51がエキシマランプ11の金属キャップ13の周囲に配置された状態で隣接する部材51同士をネジ止めしてエキシマランプ11の金属キャップ13の外面とランプホルダ50の部材51の切欠きからなるランプホルダ用貫通孔53の内面とを圧着することにより、エキシマランプ11がランプホルダ50によって固定される。
また、冷却ガス送風管35は、ランプホルダ50の貫通孔54に挿入されることによって当該ランプホルダ50に固定される。
【0022】
また、ランプホルダ50においては、側周面から金属キャップ13まで貫通するアース用貫通孔(図示せず)が設けられており、当該アース用貫通孔に金属ネジが挿入されて金属キャップ13と部材51とが導通されている。さらに、当該金属ネジから、アース端子22に電気的に接続されたアース線(図示せず)が伸びている。
【0023】
ランプホルダ50は、ステンレスまたはアルミニウムなどの金属よりなる。
【0024】
〔中間ベース〕
中間ベース30は2つの半円盤状部材31A,31Bが組み合わせられた、全体が略円盤状のものであり、中央領域の片側に、後述する冷却ガスを通過させる通気口33と、リード線支持ロッド25が挿通される固定用孔39とがそれぞれ設けられると共に、当該固定用孔39と離間するよう、冷却ガス送風管35を挿通する切欠き34が周縁に沿って均等に設けられている。また、中間ベース30の外縁に、アース線を通すための切欠き38が設けられている。
固定用孔39は、具体的には、各半円盤状部材31A,31Bの対向する周縁に形成された切欠きが、当該半円盤状部材31A,31Bが組み立てられてネジによって固定されることによって、リード線支持ロッド25の周面に予め設けられた溝の外径に適合する短径を有する矩形状の孔とされるものである。
冷却ガス送風管35を挿通する切欠き34は、冷却ガス送風管35の外形形状に適合する内形形状を有する、断面が略半円弧状のものである。
【0025】
中間ベース30においては、冷却ガス送風管35およびリード線支持ロッド25が固定される。
具体的には、リード線支持ロッド25は、その下端部が固定用孔39に挿通されて挟持されることによって当該中間ベース30に固定されている。
また、冷却ガス送風管35は、中間ベース30の切欠き34に挿入または嵌入されることによって当該中間ベース30に固定されている。
リード線支持ロッド25が中間ベース30の固定用孔39によって固定されると共に、冷却ガス送風管35が中間ベース30の切欠き34によって固定されることにより、両者の間に確実に距離が確保される。
【0026】
中間ベース30は、ポリテトラフルオロエチレンなどの絶縁物よりなる。
【0027】
〔リード線支持ロッド〕
リード線支持ロッド25は、エキシマランプ11の一方のセラミックキャップ14から伸びるリード線を支持するものであり、具体的には、リード線支持ロッド25の外周にリード線を沿わせることにより、当該リード線を支持している。
リード線支持ロッド25は、ガラスエポキシなどの絶縁物よりなる。
【0028】
〔一端ベース〕
一端ベース20は略円盤状のものであり、中央領域の片側に後述する冷却ガスを排気させる排気口23と、当該排気口23に連通してリード線支持ロッド25が挿通される固定用孔29とが設けられると共に、冷却ガス送風管35を挿通する貫通孔24が外周に沿って均等に設けられている。また、一端ベース20の外縁に、アース線を通すための切欠き28が設けられている。
固定用孔29は、具体的には、その内部に、リード線支持ロッド25の周面に予め設けられた溝に適合するL字型の突起を有するものとされている。
【0029】
一端ベース20においては、冷却ガス送風管35の上端部(
図1(a)において上端部)およびリード線支持ロッド25の上端部(
図1(a)において上端部)が固定される。
具体的には、冷却ガス送風管35は、一端ベース20の側周面から貫通孔24に向かって開口されたネジ孔(図示せず)に止めネジ(図示せず)が入れられて圧接されることによって当該一端ベース20に固定されている。また、冷却ガス送風管35の上端部には、ナット32が装着されている。
また、リード線支持ロッド25は、固定用孔29のL字型の突起に引っ掛けられることによって当該一端ベース20に固定されている。
【0030】
一端ベース20は、ポリテトラフルオロエチレンなどの絶縁物よりなる。
【0031】
一端ベース20の上面から突出して固定されたリード線支持ロッド25の上端部には、エキシマランプ11の高圧側電極(内側電極)に接続される真鍮などの金属よりなる給電端子21がネジ止めにより固定されると共に、一端ベース20の上面には、低圧側電極(外側電極)に接続される真鍮などの金属よりなるアース端子22がネジ止めにより固定されている。
給電端子21においては、リード線支持ロッド25内に配設されてエキシマランプ11の内側電極から伸びたリード線が電気的に接続され、アース端子22においてはランプホルダ50から伸びたアース線が冷却ガス送風管35に沿って配設されて電気的に接続されている。
これにより、給電端子21を介してエキシマランプ11に給電が行われる。
【0032】
〔外套管〕
このエキシマランプユニット10は、一端のみが開口した外套管60、具体的には有底円筒状の外套管60内に、他端ベース40が外套管60の底部に近接するよう収容された状態においてエキシマランプ装置として使用される。具体的には、その全体が紫外線照射処理すべき被処理流体中に浸漬される。このエキシマランプ装置は、垂直姿勢で使用してもよく、水平姿勢で使用してもよい。
エキシマランプユニット10が外套管60内に収容されて使用されることによって、外套管60とエキシマランプ11との間の筒状空間に冷却ガスを流通させることができる。また、エキシマランプ11が直接、被処理流体と接触することを防止することができる。
【0033】
エキシマランプユニット10は、他端ベース40の凸部42が外套管60の底面に僅かな空間を介して対向するよう非接触状態に配置される。一方、一端ベース20の周側面の下部の全周に設けられた凹所20aが外套管60の上端に挿入されると共に、一端ベース20の周側面の上部の全周に設けられた顎部20bが当該外套管60の上端面上に載置される。
【0034】
〔冷却機構〕
そして、本発明のエキシマランプ装置においては、冷却機構が設けられている。
具体的には、冷却機構は、中間ベース30と他端ベース40とを連結する冷却ガス送風管35の、エキシマランプ11と対向する側周壁に貫通して設けられた冷却ガス送風口36から冷却ガスを送風するものである。
【0035】
〔冷却ガス送風管〕
冷却ガス送風管35は、例えばステンレス鋼(SUS)管よりなり、エキシマランプ11の軸方向と同じ方向に伸びるよう配置されたものである。
冷却ガス送風管35は、一端ベース20から他端ベース40まで一体的に伸びる長型のものであってもよく、また、一端ベース20から中間ベース30まで伸びる短型のものと、これとは別個の、中間ベース30から他端ベース40まで伸びる短型のものとを組み合わせたものであってもよく、これらを併用してもよい。
【0036】
中間ベース30と他端ベース40とを連結する冷却ガス送風管35は、複数有することが好ましい。また、当該複数の冷却ガス送風管35は、エキシマランプ11の外周に沿って均等に離間して配置されている、すなわち、エキシマランプ11の発光管12の管軸に垂直な断面において、隣接する2本の冷却ガス送風管35についての発光管12の軸中心からの角度が、いずれも略同等であるよう配置されていることが好ましい。
中間ベース30と他端ベース40とを連結する冷却ガス送風管35の数は、3本または4本であることが好ましい。冷却ガス送風管35の数が過度に多い場合は、エキシマランプ11から放射される紫外線が当該冷却ガス送風管35によって遮られてしまい、光の利用効率が低いものとなるおそれがある。また、冷却ガス送風管35の数が過度に少ない場合は、エキシマランプユニット10に十分な機械的強度が得られないおそれがある。
また、冷却ガス送風管35は、エキシマランプ11から放射される光の遮光率を低くして光の利用効率を確保する観点から、外套管60の内面に近接した位置に配置されることが好ましい。
【0037】
冷却ガス送風管35は、エキシマランプユニット10の保持機構としても機能する。すなわち、一端ベース20、中間ベース30および他端ベース40が互いに複数の冷却ガス送風管35によって連結されると共に、中間ベース30と他端ベース40との間にエキシマランプ11が保持されることにより、長尺なエキシマランプ11を備えながら全体が一体化されて高い機械的強度が得られる。
【0038】
〔冷却ガス送風口〕
冷却ガス送風口36は、中間ベース30と他端ベース40とを連結する冷却ガス送風管35の長手方向に沿って複数設けられている。そして、当該複数の冷却ガス送風口36の各々は、当該冷却ガス送風口36から吐出される冷却ガスがエキシマランプ11の同一の周方向に指向される位置に配置されている。具体的には、
図5に示されるように、冷却ガス送風口36から吐出される冷却ガスが、エキシマランプ11の管軸に垂直な断面における外周円の接線方向に向かう位置に冷却ガス送風口36が配置されている。
図5において、エキシマランプ11の管軸に垂直な断面における外周円の接線方向を黒塗り矢印で示した。
【0039】
また、複数の冷却ガス送風管35における冷却ガス送風口36の各々は、エキシマランプ11の外周に沿った一方向に順次の冷却ガス送風管35における長手方向のレベル位置が、外套管60の一端側方向に変位するよう、すなわちエキシマランプ11の管軸を中心としていわゆるらせん状に配置されていることが好ましい。
このように冷却ガス送風口36がらせん状に配置されることによって、1本の冷却ガス送風管35当たりに設ける冷却ガス送風口36の数を少なく抑制することができ、これにより、冷却ガスの供給側(エキシマランプユニット10の中間ベース30側)と末端側(エキシマランプユニット10の他端ベース40側)における冷却ガスの流量の変動を低減させることができる。
【0040】
冷却ガス送風管35における冷却ガス送風口36の径およびピッチは、1本の冷却ガス送風管35における冷却ガス送風口36の各々から略均等に吐出量が得られればよく、冷却ガス送風管35の本数、内径および冷却ガスの流量によって異なる。
例えば、冷却ガス送風管35の内径がφ4mmである場合に、1本の冷却ガス送風管35における冷却ガス送風口36は、径がφ0.7mm、ピッチが90mmとされる。すなわち、隣接する冷却ガス送風管35における最も近接した冷却ガス送風口36は、長手方向のレベル位置が30mmずれている。
また、1本の冷却ガス送風管35における冷却ガス送風口36は、一定のピッチで設けられていることに限定されず、他端ベース40側から、隣接する冷却ガス送風口36同士の間隔を50mm、60mm、70mm、・・・、130mmと10mmずつ大きくして傾斜分布させてもよい。
【0041】
冷却ガス送風管35における冷却ガス送風口36は、冷却ガス送風管35の管壁に垂直な方向に伸びる貫通孔であり、例えばドリル加工によって形成することができる。
【0042】
以上のようなエキシマランプ装置においては、一端ベース20の一方向の外方に位置される上端部(
図1(a)において上端部)から冷却ガスが冷却ガス送風管35中に供給されると、冷却ガス送風管35中を冷却ガスが他端ベース40の方向に向かって流通される。
各冷却ガス送風口36においては、エキシマランプ11の軸方向と垂直な面に沿って、当該エキシマランプ11の管軸に垂直な断面における外周円の接線方向に冷却ガスが吐出され、当該エキシマランプ11の周壁に送風される。
このとき、複数の冷却ガス送風口36において、各々、冷却ガスが、互いに同一の周方向に指向されて送風される。これにより、外套管60とエキシマランプ11との間の空間に、エキシマランプ11の周方向に移動する冷却ガスの流れが形成される。
さらに、複数の冷却ガス送風口36の各々がらせん状に配置されており、かつ、外套管60の一端(他端ベース40が収容される側)が閉塞されていることによって、冷却ガスが上方に向かい、その結果、
図6に示されるように、冷却ガスがらせん状に流通される。
【0043】
冷却ガスとしては、例えば窒素ガスやCDA(Clean Dry Air)を用いることが好ましい。
冷却ガスを供給する流量は、エキシマランプ11の温度は低ければ低いほど好ましいため、当該エキシマランプ11を確実に冷却する観点から30L/min以上であることが好ましく、具体的には30L/min〜200L/minとされる。
【0044】
上記のエキシマランプ装置の寸法の一例を挙げると、エキシマランプユニット10の全長が2m、一端ベース20の顎部20bの外径がφ60mm、凹所20aの外径がφ54mm、中間ベース30、ランプホルダ50、他端ベース40の最大外径がφ54mm、一端ベース20と中間ベース30との距離が735mm、中間ベース30とランプホルダ50との距離が100mm、ランプホルダ50と他端ベース40との距離が1000mmである。
冷却ガス送風管35は、外径がφ6mm、内径がφ4mm、長さが2m、本数は3本、冷却ガス送風口36の径がφ0.7mm、1本の冷却ガス送風管35における冷却ガス送風口36のピッチが90mmである。
また、エキシマランプ11のランプ長が1m、内側管の内径が14mm、外径が16mm、厚みが1mm、外側管の内径が24.5mm、外径が26.5mm、厚みが1mm、放電ガスの封入圧が33.3kPaである。
また、外套管60の内径はφ58mm、厚みが3mmである。
【0045】
以上のようなエキシマランプユニット10においては、エキシマランプ11の外周面と対向するように設けられた冷却ガス送風管35において、冷却ガス送風口36の複数が、当該冷却ガス送風口36から吐出される冷却ガスが当該エキシマランプ11の同一の周方向に指向される位置に設けられている。その結果、複数の冷却ガス送風口36から供給された冷却ガス同士が互いに衝突して分散されることなく、エキシマランプ11の同一の周方向に沿った一定方向に流通される。従って、長尺なエキシマランプ11を備えながら、当該エキシマランプ11の温度分布のバラツキを抑制することができて、光の照度分布に高い均一性が得られる。
【0046】
以上、本発明のエキシマランプ装置について具体的に説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、冷却ガス送風口36は、
図7に示されるように、エキシマランプ11の管軸に垂直な断面における外周円の接線方向に平行であって、エキシマランプ11の周壁に向かう方向に向かう位置に設けられていてもよい。具体的には、エキシマランプ11の管軸に垂直な断面における外周円の接線方向に冷却ガスが向かう位置よりも、エキシマランプ11に近接した位置であって、当該エキシマランプ11に最近接する位置よりも外方の位置に設けられていてもよい。
図7において、冷却ガス送風口を符号36Aで示す。
また、
図8に示されるように、エキシマランプ11の周壁よりも半径方向外方に向かう位置に設けられていてもよい。具体的には、エキシマランプ11の管軸に垂直な断面における外周円の接線方向に冷却ガスが向かう位置よりも、エキシマランプ11から離間する位置であって、当該エキシマランプ11から最も離間する位置よりも内方の位置に設けられていてもよい。
図8において、冷却ガス送風口を符号36Bで示す。
【実施例】
【0047】
以下、本発明のエキシマランプ装置の具体的な実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0048】
<実施例1>
図1〜
図6に従ったエキシマランプ装置〔1〕を作製した。具体的には、以下の通りである。
〔エキシマランプユニット〕
・全長:2m
・一端ベースと中間ベースとの距離:735mm
・中間ベースとランプホルダとの距離:100mm
・ランプホルダと他端ベースとの距離:1000mm
〔一端ベース〕
・顎部の外径:φ60mm
・凹所の外径:φ54mm
〔中間ベース〕
・最大外径:φ54mm
〔ランプホルダ〕
・最大外径:φ54mm
〔他端ベース〕
・最大外径:φ54mm
〔エキシマランプ〕
・ランプ長:1m
・内側管:内径14mm、外径16mm、厚み1mm
・外側管:内径24.5mm、外径26.5mm、厚み1mm
・放電ガス(キセノン):封入圧33.3kPa
・電力:190W
〔冷却ガス送風管〕
・長さ:2m
・本数:3本
・外径:φ6mm
・内径:φ4mm
〔冷却ガス送風口〕
・内径:φ0.7mm
・ピッチ:90mm
・らせん状に配置
〔外套管〕
・内径:φ58mm
・厚み:3mm
【0049】
<実施例2>
実施例1において、冷却ガス送風口をらせん状に配置せず、隣接する冷却ガス送風管の最も近接した冷却ガス送風口同士が、長手方向の同一のレベル位置に配置されるよう設けたこと以外は同様のエキシマランプ装置〔2〕を作製した。
【0050】
上記のエキシマランプ装置〔1〕およびエキシマランプ装置〔2〕の各々に、それぞれ、窒素ガスを0L/min、30L/min、90L/minの流量で供給した状態において、エキシマランプの軸方向の中心、および、軸方向外方にそれぞれ200mm、400mm離間した位置、合計5点の温度を測定した。それぞれの位置を、他端ベースに近接した位置からA〜Eとする。A〜Eにおいては、エキシマランプの周壁に接触して温度を測定した。
そして、A〜Eの温度から、下記式(1)に従って温度の均一度を算出した。
式(1):温度の均一度(%)=
{(A〜Eの中の最大温度)−(A〜Eの中の最小温度)}/(A〜Eの平均温度)×100
温度の均一度が小さいほど、最大温度と最小温度との差が小さいことになり、エキシマランプの温度分布のバラツキを抑制することができることを示す。
結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から明らかなように、エキシマランプ装置に冷却ガス(窒素ガス)を流通させることによって、流通させない場合よりもエキシマランプの温度を低下させることができることが確認された。
また、冷却ガス送風口がらせん状に設けられたエキシマランプ装置〔1〕は、隣接する冷却ガス送風管の冷却ガス送風口同士が同一のレベル位置に設けられたエキシマランプ装置〔2〕よりも、温度の均一度が1/3程度に小さくなっており、エキシマランプの温度分布のバラツキをより抑制することができることが示されている。