特許第6798310号(P6798310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798310
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】車両搭載用の電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-256138(P2016-256138)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-110048(P2018-110048A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】福岡 学
(72)【発明者】
【氏名】中井 昌之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 由衣
【審査官】 藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/125807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な単電池を積層した複数個の電池モジュールと、
複数個の前記電池モジュールを車両幅方向および車両前後方向の両方向に配列して収納するパックケースと、
隣り合う前記電池モジュールの相対的な移動を抑えるブラケットと、を有し、
前記ブラケットは、
車両前後方向に隣り合う前記電池モジュールのうち前方側に位置し車両幅方向に沿って配列された前記電池モジュールのそれぞれに連結される第1連結部と、
後方側に位置し車両幅方向に沿って配列された前記電池モジュールのそれぞれに連結される第2連結部と、
前記第1連結部および前記第2連結部のそれぞれに連続し、車両前後方向に隣り合う前記電池モジュール同士の間の空間部において伸びている延長部と、
車両幅方向に沿って配列された前記電池モジュールよりも車両幅方向の外側に位置し側突荷重が入力される荷重入力部と、を有する車両搭載用の電池パック。
【請求項2】
前記ブラケットにおける前記延長部は、前記第1連結部に連続した部分と前記第2連結部に連続した部分とが離間した状態において伸びている離間部を有する、請求項1に記載の車両搭載用の電池パック。
【請求項3】
前記延長部における前記離間部は、前記第1連結部および前記第2連結部に連続する側が開放した形状を有する、請求項2に記載の車両搭載用の電池パック。
【請求項4】
車両前後方向に隣り合う前記電池モジュールは、前記単電池の積層枚数の違いに起因して高さ寸法が異なり、
前記ブラケットにおける前記延長部は、前記第1連結部と前記第2連結部との高さ違い(Δh)に応じて前記空間部の外部を伸びている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両搭載用の電池パック。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記電池モジュールを前記パックケースに対して固定する締結ボルトによって共締めされた状態において、前記電池モジュールに連結されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両搭載用の電池パック。
【請求項6】
前記ブラケットは、単一の板材によって構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両搭載用の電池パック。
【請求項7】
前記ブラケットは、前記第1連結部を含む第1の板材と、前記第2連結部を含む第2の板材とを少なくとも含む複数の板材を接合することによって構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両搭載用の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両搭載用の電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などの車両に搭載される電池パックは、扁平な単電池を積層した複数個の電池モジュールと、複数個の電池モジュールを収納するパックケースと、を有している(特許文献1を参照)。車両搭載用の電池パックは、側方衝突(以下、単に「側突」ともいう)時に入力される側突荷重に対して電池モジュールを保護するために、車両幅方向に伸びるクロスメンバーを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−131486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックの小型化を図るために、複数個の電池モジュールは、隣り合う電池モジュール同士の間隔をできるだけ狭くしてパックケースに収納されている。
【0005】
しかしながら、側突荷重を受ける専用のクロスメンバーを設けるためには、車両前後方向に隣り合う電池モジュール同士の間に、比較的大きな間隔を空けなければならない。このため、電池パックの車両前後方向の長さが長くなり、電池パックの小型化が阻害されてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、電池パックの小型化を図りつつ側突荷重に対して電池モジュールを保護することが可能な車両搭載用の電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両搭載用の電池パックは、扁平な単電池を積層した複数個の電池モジュールと、複数個の前記電池モジュールを車両幅方向および車両前後方向の両方向に配列して収納するパックケースと、を有する。電池パックはさらに、隣り合う前記電池モジュールの相対的な移動を抑えるブラケットを有する。前記ブラケットは、第1連結部と、第2連結部と、延長部と、荷重入力部と、を有する。第1連結部は、車両前後方向に隣り合う前記電池モジュールのうち前方側に位置し車両幅方向に沿って配列された前記電池モジュールのそれぞれに連結される。第2連結部は、車両前後方向に隣り合う前記電池モジュールのうち後方側に位置し車両幅方向に沿って配列された前記電池モジュールのそれぞれに連結される。延長部は、前記第1連結部および前記第2連結部のそれぞれに連続し、車両前後方向に隣り合う前記電池モジュール同士の間の空間部において伸びている。荷重入力部は、車両幅方向に沿って配列された前記電池モジュールよりも車両幅方向の外側に位置し側突荷重が入力される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電池パックの小型化を図りつつ側突荷重に対して電池モジュールを保護することが可能な車両搭載用の電池パックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両搭載用の電池パックの要部を示す斜視図である。
図2】ブラケットを電池モジュールから取り外した状態において電池パックを示す斜視図である。
図3】電池パックを示す平面図である。
図4】電池モジュールを示す斜視図である。
図5図4に示される電池モジュールの一部を分解して示す斜視図である。
図6図3における6−6線に沿う断面図である。
図7図3における7−7線に沿う断面図である。
図8図3における8−8線に沿う断面図である。
図9】ブラケットの改変例1を示す、図7に相当する断面図である。
図10】ブラケットの改変例2を示す、図7に相当する断面図である。
図11】ブラケットの改変例3を示す、図7に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面において、同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面において、各部材の大きさや比率は、実施形態の理解を容易にするために誇張し、実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
【0011】
図に付したX−Y−Z軸は、車両搭載用の電池パックの方位を示している。X軸は車両前後方向を、Y軸は車両幅方向(左右方向)を、Z軸は上下方向をそれぞれ示している。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、車両搭載用の電池パック10の要部を示す斜視図、図2は、ブラケット300(301、302、303)を電池モジュール100から取り外した状態において電池パック10を示す斜視図、図3は、電池パック10を示す平面図である。図4は、電池モジュール100を示す斜視図、図5は、図4に示される電池モジュール100の一部を分解して示す斜視図である。図6は、図3における6−6線に沿う断面図、図7は、図3における7−7線に沿う断面図、図8は、図3における8−8線に沿う断面図である。
【0013】
図1図3を参照して、車両搭載用の電池パック10は、概説すると、扁平な単電池110(図5を参照)を積層した複数個の電池モジュール100と、複数個の電池モジュール100を車両幅方向(Y軸)および車両前後方向(X軸)の両方向に配列して収納するパックケース200とを有する。電池パック10はさらに、隣り合う電池モジュール100の相対的な移動を抑えるブラケット300を有する。ブラケット300は、第1連結部310と、第2連結部320と、延長部330と、荷重入力部340と、を有する。第1連結部310は、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100のうち前方側に位置し車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100のそれぞれに連結される。第2連結部320は、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100のうち後方側に位置し車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100のそれぞれに連結される。延長部330は、第1連結部310および第2連結部320のそれぞれに連続し、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100同士の間の空間部150において伸びている。荷重入力部340は、車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置し側突荷重が入力される。なお、車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100の列を、車両前方側から順に、第1列、第2列、第3列、および第4列という。以下、詳述する。
【0014】
図4および図5を参照して、電池モジュール100は、複数の単電池110を積層してなる積層体110Sを、加圧ユニット120によって加圧した状態において、バスバユニット130によって電気的に接続して構成している。
【0015】
単電池110は、例えばリチウムイオン二次電池である。単電池110は、電極タブを備えた側が一対の第1スペーサ114によって支持され、電極タブを備えていない側が一対の第2スペーサ115によって支持された状態において積層される。
【0016】
加圧ユニット120は、積層体110Sの各々の単電池110の発電要素(図示せず)を上下から加圧する上部加圧板121と下部加圧板122、および積層体110Sを加圧した状態の上部加圧板121および下部加圧板122を固定する一対の側板123を含んでいる。上部加圧板121は、電池モジュール100をパックケース200に対して固定する締結ボルト350を挿入するロケート孔121bを備えている。ロケート孔121bは、貫通孔からなり、上部加圧板121の四隅に開口している。下部加圧板122は、上部加圧板121と同様に、締結ボルト350を挿入するロケート孔122bを備えている。一対の側板123は、上部加圧板121および下部加圧板122に対して溶接している。
【0017】
バスバユニット130は、上下に並んだ単電池110の電極タブを電気的に接続するバスバ132と、複数のバスバ132を一体的に保持するバスバホルダ131と、バスバ132を保護する保護カバー135とを有する。バスバユニット130はさらに、電気的に接続された複数の単電池110のアノード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるアノード側ターミナル133と、カソード側の終端を外部の入出力端子に臨ませるカソード側ターミナル134とを有する。
【0018】
図1図3、および図6を参照して、パックケース200は、箱形状のロアケース210と、ロアケース210の上部開口を塞ぐアッパーケース220とを有する。ロアケース210は、図示しない車体底部にボルト締結される。アッパーケース220は、その周縁がロアケース210の周縁にボルト締結される。複数個の電池モジュール100は、車両幅方向および車両前後方向の両方向に配列してパックケース200に収納されている。ロアケース210の底部には、電池モジュール100を載置するベース230が設けられている。電池モジュール100は、締結ボルト350およびナット351によってベース230に締結される。
【0019】
図示する実施形態においては、合計16個の電池モジュール100が、車両幅方向に4個ずつ配列され、車両前後方向に4列に配列され、パックケース200に収納されている。第1列および第2列の電池モジュール100は、バスバユニット130側を向かい合わせて配列されている。第3列および第4列の電池モジュール100も同様に、バスバユニット130側を向かい合わせて配列されている。
【0020】
車両前後方向に隣り合う電池モジュール100は、単電池110の積層枚数の違いに起因して高さ寸法(Z軸)が異なっている。第1列および第4列の電池モジュール100は、第2列および第3列の電池モジュール100に比べて、単電池110の積層枚数が多い。このため、第1列および第4列の電池モジュール100は、第2列および第3列の電池モジュール100に比べて、高さ寸法が高い。第1列の電池モジュール100と第2列の電池モジュール100との間、および第3列の電池モジュール100と第4列の電池モジュール100との間には、段差が生じている。第2列および第3列の電池モジュール100は、単電池110の積層枚数が同じであり、高さ寸法が同じである。
【0021】
次に、図7および図8をも参照しつつ、ブラケット300について詳述する。
【0022】
図示する実施形態においては、ブラケット300は、第2列の4個の電池モジュール100と第3列の4個の電池モジュール100とを連結する第1ブラケット301、第3列の4個の電池モジュール100と第4列の4個の電池モジュール100とを連結する第2ブラケット302、および第1列の4個の電池モジュール100と第2列の4個の電池モジュール100とを連結する第3ブラケット303を含んでいる。第1、第2、第3のブラケット301、302、303は、単一の板材によって構成され、平板状の金属プレートを略Uの字形状に折り曲げ加工して形成されている。
【0023】
第1ブラケット301について説明すると、第1ブラケット301は、第1連結部310と、第2連結部320と、延長部330と、荷重入力部340と、を有する。
【0024】
第1連結部310は、フランジ形状を有し、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100のうち前方側に位置し車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100のそれぞれに連結される。すなわち、第1連結部310は、第2列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結される。
【0025】
第2連結部320は、フランジ形状を有し、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100のうち後方側に位置し車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100のそれぞれに連結される。すなわち、第2連結部320は、第3列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結される。
【0026】
延長部330は、Uの字形状を有し、第1連結部310および第2連結部320のそれぞれに連続し、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100同士の間の空間部150において伸びている。すなわち、延長部330は、第2列の電池モジュール100と第3列の電池モジュール100との間の空間部150において伸びている。
【0027】
延長部330は、第1連結部310に連続した部分331と第2連結部320に連続した部分332とが離間した状態において伸びている離間部333を有する(図7を参照)。
【0028】
この離間部333は、第1連結部310および第2連結部320に連続する側が開放した形状(Uの字形状)を有する(図7を参照)。
【0029】
荷重入力部340は、第1ブラケット301の車両幅方向の両端部から構成され、車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置し側突荷重が入力される。すなわち、荷重入力部340は、第2列および第3列の電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置している。
【0030】
第2ブラケット302も、第1ブラケット301と同様に、第1連結部310と、第2連結部320と、延長部330と、荷重入力部340と、を有する。
【0031】
第1連結部310は、第3列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結され、第2連結部320は、第4列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結される。延長部330は、第3列の電池モジュール100と第4列の電池モジュール100との間の空間部150において伸びている。延長部330は、第1連結部310に連続した部分331と第2連結部320に連続した部分332とが離間した状態において伸びている離間部333を有する(図8を参照)。この離間部333は、第1連結部310および第2連結部320に連続する側が開放した形状(Uの字形状)を有する(図8を参照)。また、荷重入力部340は、第3列および第4列の電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置している。
【0032】
ただし、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100(第3列の電池モジュール100および第4列の電池モジュール100)は、単電池110の積層枚数の違いに起因して高さ寸法が異なっている。このため、ブラケット300における延長部330は、第1連結部310と第2連結部320との高さ違い(Δh)に応じて空間部150の外部を伸びている。図2および図8に示すように、延長部330は、第2連結部320に連続した部分332が、空間部150の外部を伸びている。
【0033】
第3ブラケット303も、第1と第2のブラケット301、302と同様に、第1連結部310と、第2連結部320と、延長部330と、荷重入力部340と、を有する。
【0034】
第1連結部310は、第1列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結され、第2連結部320は、第2列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結される。延長部330は、第1列の電池モジュール100と第2列の電池モジュール100との間の空間部150において伸びている。延長部330は、第1連結部310に連続した部分331と第2連結部320に連続した部分332とが離間した状態において伸びている離間部333を有する。この離間部333は、第1連結部310および第2連結部320に連続する側が開放した形状(Uの字形状)を有する。また、荷重入力部340は、第1列および第2列の電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置している。
【0035】
ただし、第2のブラケット302と同様に、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100(第1列の電池モジュール100および第2列の電池モジュール100)は、単電池110の積層枚数の違いに起因して高さ寸法が異なっている。このため、ブラケット300における延長部330は、第1連結部310と第2連結部320との高さ違い(Δh)に応じて空間部150の外部を伸びている。図2に示すように、延長部330は、第1連結部310に連続した部分331が、空間部150の外部を伸びている。
【0036】
第1連結部310および第2連結部320には、電池モジュール100における上部加圧板121のロケート孔121bの位置に対応する位置に、貫通孔311、321が形成されている。ブラケット300は、電池モジュール100をパックケース200に対して固定する締結ボルト350によって共締めされた状態において、電池モジュール100に連結されている。図7および図8に示すように、電池モジュール100は、締結ボルト350およびナット351によってベース230に締結される。
【0037】
本実施形態の作用について説明する。
【0038】
第1ブラケット301に関して、第1連結部310は、第2列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結されている。このため、第2列の4個の電池モジュール100に関して、車両幅方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。第2連結部320は、第3列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結されている。このため、第3列の4個の電池モジュール100に関して、車両幅方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。さらに、延長部330が第1連結部310および第2連結部320のそれぞれに連続している。このため、第2列の4個の電池モジュール100および第3列の4個の電池モジュール100に関して、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。
【0039】
第2ブラケット302に関して、第1連結部310は、第3列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結されている。このため、第3列の4個の電池モジュール100に関して、車両幅方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。第2連結部320は、第4列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結されている。このため、第4列の4個の電池モジュール100に関して、車両幅方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。さらに、延長部330が第1連結部310および第2連結部320のそれぞれに連続している。このため、第3列の4個の電池モジュール100および第4列の4個の電池モジュール100に関して、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。
【0040】
第3ブラケット303に関して、第1連結部310は、第1列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結されている。このため、第1列の4個の電池モジュール100に関して、車両幅方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。第2連結部320は、第2列の4個の電池モジュール100のそれぞれに連結されている。このため、第2列の4個の電池モジュール100に関して、車両幅方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。さらに、延長部330が第1連結部310および第2連結部320のそれぞれに連続している。このため、第1列の4個の電池モジュール100および第2列の4個の電池モジュール100に関して、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。
【0041】
したがって、ブラケット300(第1、第2、第3のブラケット301、302、303)によって、パックケース200に収納された合計16個の電池モジュール100は、車両幅方向および車両前後方向の両方向に関して、隣り合う電池モジュール100の相対的な移動が抑えられる。
【0042】
第1ブラケット301に関して、荷重入力部340は、第2列および第3列の電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置している。第2ブラケット302に関して、荷重入力部340は、第3列および第4列の電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置している。第3ブラケット303に関して、荷重入力部340は、第1列および第2列の電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置している。
【0043】
したがって、ブラケット300(第1、第2、第3のブラケット301、302、303)によって、側突時に荷重入力部340に入力される側突荷重を吸収し、側突荷重から電池モジュール100を保護することができる。
【0044】
このように、隣り合う電池モジュール100間の相対移動を抑制するブラケット300を、側突時のエネルギーを吸収する部品として兼用することができる。側突に対する耐衝撃部品や部材の専用品を廃止したり、あるいは必要とする場合であっても最小限の構成としたりすることができる。その結果、ブラケット300の配置スペース、およびブラケット300を取り付けるときの作業スペースを小さくできる。配置スペースおよび作業スペースの省スペース化によって、電池モジュール100同士の間隔を狭くすることができ、電池パック10の小型化を図ることができる。さらに、パックケース200内における電池モジュール100のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0045】
よって、本実施形態によれば、電池パック10の小型化を図りつつ側突荷重に対して電池モジュール100を保護することが可能な車両搭載用の電池パック10を提供することが可能となる。
【0046】
ブラケット300における延長部330は離間部333を有することから、車両幅方向に直交する断面(車両前後方向に沿う断面)で見て、狭小な空間部150内においてブラケット300の断面積を大きくとることができ、側突時のエネルギー吸収を高めることができる。
【0047】
延長部330における離間部333は、第1連結部310および第2連結部320に連続する側が開放した形状を有することから、延長部330がバネ性を有し、多少の撓みや変形が許容される。このため、電池モジュール100に高さのバラツキがある場合であっても、空間部150内において延長部330が撓んだり変形したりすることによって、高さのバラツキを吸収しつつブラケット300を電池モジュール100に連結できる。
【0048】
第1列および第4列の電池モジュール100は、第2列および第3列の電池モジュール100に比べて、単電池110の積層枚数が多く、高さ寸法が高い。このような場合であっても、第2、第3のブラケット302、303にあっては、延長部330が第1連結部310と第2連結部320との高さ違い(Δh)に応じて空間部150の外部を伸びている。このため、電池モジュール100に単電池110の積層枚数の違いに起因した高さの違いがある場合であっても、高さのバラツキを吸収しつつ第2、第3のブラケット302、303を電池モジュール100に連結できる。
【0049】
ブラケット300は、電池モジュール100をパックケース200に対して固定する締結ボルト350によって共締めされた状態において、電池モジュール100に連結されている。締結ボルト350をブラケット300の連結用の部品として用いることによって、締結部品の総点数を削減でき、締結作業性が良好となり、コスト面においても有利なものとなる。
【0050】
ブラケット300を単一の板材によって構成したため、プレス加工による折り曲げ加工によって、比較的容易にブラケット300を作ることができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の電池パック10のブラケット300(第1、第2、第3のブラケット301、302、303)は、第1連結部310と、第2連結部320と、延長部330と、荷重入力部340と、を有する。第1連結部310は、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100のうち前方側に位置し車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100のそれぞれに連結される。第2連結部320は、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100のうち後方側に位置し車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100のそれぞれに連結される。延長部330は、第1連結部310および第2連結部320のそれぞれに連続し、車両前後方向に隣り合う電池モジュール100同士の間の空間部150において伸びている。荷重入力部340は、車両幅方向に沿って配列された電池モジュール100よりも車両幅方向の外側に位置し側突荷重が入力される。
【0052】
このように構成すれば、隣り合う電池モジュール100間の相対移動を抑制するブラケット300を、側突時のエネルギーを吸収する部品として兼用することができる。ブラケット300の配置スペース、およびブラケット300を取り付けるときの作業スペースを小さくできる結果、電池モジュール100同士の間隔を狭くすることができ、電池パック10の小型化を図ることができる。さらに、パックケース200内における電池モジュール100のレイアウトの自由度を高めることができる。よって、本実施形態によれば、電池パック10の小型化を図りつつ側突荷重に対して電池モジュール100を保護することが可能な車両搭載用の電池パック10を提供することが可能となる。
【0053】
ブラケット300における延長部330は、第1連結部310に連続した部分331と第2連結部320に連続した部分332とが離間した状態において伸びている離間部333を有することが好ましい。
【0054】
このように構成すれば、車両幅方向に直交する断面(車両前後方向に沿う断面)で見て、狭小な空間部150内においてブラケット300の断面積を大きくとることができ、側突時のエネルギー吸収を高めることができる。
【0055】
延長部330における離間部333は、第1連結部310および第2連結部320に連続する側が開放した形状を有することが好ましい。
【0056】
このように構成すれば、電池モジュール100に高さのバラツキがある場合であっても、空間部150内において延長部330が撓んだり変形したりすることによって、高さのバラツキを吸収しつつブラケット300を電池モジュール100に連結できる。
【0057】
車両前後方向に隣り合う電池モジュール100は、単電池110の積層枚数の違いに起因して高さ寸法が異なり、ブラケット300における延長部330は、第1連結部310と第2連結部320との高さ違い(Δh)に応じて空間部150の外部を伸びていることが好ましい。
【0058】
このように構成すれば、電池モジュール100に単電池110の積層枚数の違いに起因した高さの違いがある場合であっても、高さのバラツキを吸収しつつブラケット300を電池モジュール100に連結できる。
【0059】
ブラケット300は、電池モジュール100をパックケース200に対して固定する締結ボルト350によって共締めされた状態において、電池モジュール100に連結されていることが好ましい。
【0060】
このように、締結ボルト350をブラケット300連結用の部品として用いることによって、締結部品の総点数を削減でき、締結作業性が良好となり、コスト面においても有利なものとなる。
【0061】
ブラケット300は、単一の板材によって構成されていることが好ましい。
【0062】
このように構成すれば、プレス加工による折り曲げ加工などによって、比較的容易にブラケット300を作ることができる。
【0063】
(ブラケットの改変例1)
図9は、ブラケットの改変例1を示す、図7に相当する断面図である。
【0064】
改変例1のブラケット304は、複数の板材304a、304bを接合することによって構成されている点において、単一の板材によってブラケット300を構成した実施形態と相違している。
【0065】
図9に示すように、ブラケット304は、第1連結部310を含む第1の板材304aと、第2連結部320を含む第2の板材304bとを接合することによって構成されている。第1と第2の板材304a、304bの下方先端部が溶接接合されている。溶接接合のほか、空間部150の大きさに収まる範囲においてボルトやねじなどによって、第1と第2の板材304a、304bの下方先端部を接合することができる。
【0066】
このように、ブラケット304は、第1連結部310を含む第1の板材304aと、第2連結部320を含む第2の板材304bとの複数の板材304a、304bを接合することによって構成されてもよい。
【0067】
このように構成すれば、ブラケット304の形状や製造工程や製造方法に関して選択できる範囲を拡げることができる。
【0068】
改変例1のブラケット304においても、延長部330は、第1連結部310に連続した部分331と第2連結部320に連続した部分332とが離間した状態において伸びている離間部333を有する。また、延長部330における離間部333は、第1連結部310および第2連結部320に連続する側が開放した形状を有する。
【0069】
車両前後方向に隣り合う電池モジュール100が単電池110の積層枚数の違いに起因して高さ寸法が異なる場合には、第1の板材304aまたは第2の板材304bを、第1連結部310と第2連結部320との高さ違い(Δh)に応じて空間部150の外部を伸びるように長く形成すればよい。
【0070】
なお、第1と第2の2枚の板材304a、304bからブラケット304を構成する改変例1を示したが、第1連結部310を含む第1の板材304aと、第2連結部320を含む第2の板材304bとを少なくとも含んでいる限りにおいて、3枚以上の板材を接合することによって構成することができる。
【0071】
(ブラケットの改変例2)
図10は、ブラケットの改変例2を示す、図7に相当する断面図である。
【0072】
改変例2のブラケット305は、延長部330における離間部333が閉じた形状を有している点において、改変例2と相違している。
【0073】
延長部330における離間部333は、第1連結部310および第2連結部320に連続する側が開放した形状に限られず、改変例2のように、第1連結部310および第2連結部320に連続する側を閉じた形状にしてもよい。離間部333の上方部分において第1の板材304aと第2の板材304bとが重なった部分は、接合してもよいし、接合せずに滑りが生じ得るようにしてもよい。接合しない場合には、空間部150内において延長部330が撓んだり変形したりすることによって、高さのバラツキを吸収しつつブラケット305を電池モジュール100に連結できる。
【0074】
(ブラケットの改変例3)
図11は、ブラケットの改変例3を示す、図7に相当する断面図である。
【0075】
改変例3のブラケット306は、電池モジュール100の下面側に連結されている点において、電池モジュール100の上面側にブラケット300を連結した実施形態と相違している。
【0076】
改変例3のブラケット306は、第1連結部310および第2連結部320が電池モジュール100の下面側において電池モジュール100に連結され、延長部330が空間部150において上方に向けて伸びている。ブラケット306は、ベース230に予め取り付けるのではなく、電池モジュール100側に仮止めした状態としておくことが好ましい。ブラケット306をベース230に予め取り付けておくと、上方に向けて伸びる延長部330に当たらないように、電池モジュール100をベース230に組み付けなければならない。このため、電池パック10の組み立て作業性が阻害される。一方、電池モジュール100側に仮止めした状態としておけば、上記のような不具合が生じない。
【0077】
なお、改変例3の場合、電池モジュール100の上側に、実施形態と同様のブラケット300、あるいは二点鎖線によって示される平板状のブラケット307を連結することが好ましい。
【0078】
車両前後方向に隣り合う電池モジュール100が単電池110の積層枚数の違いに起因して高さ寸法が異なる場合には、ブラケット306を次のように構成する。つまり、ブラケット306の延長部330を、図示の2ターンから3ターンの折り返し形状とし、第1連結部310(または第2連結部320)を電池モジュール100の下面側に連結し、第2連結部320(または第1連結部310)を電池モジュール100の上面側に連結するように立ち上げればよい。
【0079】
(その他の改変例)
ブラケット300(301〜303)、304〜306が、電池モジュール100をパックケース200に対して固定する締結ボルト350によって共締めされた状態において、電池モジュール100に連結されている形態を示したが、本発明はこの場合に限定されない。ブラケット300を専用の部品(例えば、ボルトやねじ)によって電池モジュール100に連結することも可能である。
【0080】
また、ブラケット300(301〜303)、304〜306における延長部330の断面形状は図示例の形状に限定されるものではなく、側突時のエネルギーを吸収する効果の観点から適宜の断面形状を採用することができる。例えば、直線形状のほか、非直線形状として波形形状や屈曲形状とすることができる。第1連結部310と第2連結部320との高さ違い(Δh)に応じて空間部150の外部を伸びている部分についても、側突時のエネルギーを吸収する効果の観点から適宜の断面形状を採用することができる。例えば、直線形状のほか、非直線形状として波形形状や屈曲形状とすることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 電池パック、
100 電池モジュール、
110 単電池、
150 車両前後方向に隣り合う電池モジュール同士の間の空間部、
200 パックケース、
210 ロアケース、
220 アッパーケース、
230 ベース、
300 ブラケット、
301 第1ブラケット、
302 第2ブラケット、
303 第3ブラケット、
304 変形例1のブラケット、
305 変形例2のブラケット、
306 変形例3のブラケット、
304a、304b 複数の板材、
304a 第1の板材、
304b 第2の板材、
310 第1連結部、
311 貫通孔、
320 第2連結部、
321 貫通孔、
330 延長部、
331 第1連結部に連続した部分、
332 第2連結部に連続した部分、
333 離間部、
340 荷重入力部、
350 締結ボルト、
351 ナット、
Δh 第1連結部と第2連結部との高さ違い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11