(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記データ取得部は、前記対象者を撮像するカメラを有し、前記状態データは、前記カメラが撮像することによって取得した画像データである請求項1に記載のセンサ装置。
前記データ取得部は、前記対象者を撮像するカメラ及びドップラセンサを有し、前記状態データは、前記カメラが撮像することによって取得した画像データ及び前記ドップラセンサにより取得した前記対象者の微体動データである請求項3に記載のセンサ装置。
前記センサ装置は、前記通信部と有線又は無線で接続され且つ前記対象者が操作可能なナースコール入力部を有し、前記対象者が前記ナースコール入力部を操作した場合は、前記通信部を介して外部にナースコール信号を送信する請求項1〜4のいずれかに記載のセンサ装置。
前記センサ装置は、前記通信部と有線又は無線で接続され且つ周囲の音を取得して音信号に変換する音収集部を有し、前記通信部を介して外部に前記音信号を送信する請求項1〜5のいずれかに記載のセンサ装置。
前記センサ装置は、前記通信部と有線又は無線で接続された音出力部を有し、前記通信部を介して外部より音信号が送信された場合は、前記音出力部が音に変換して出力する請求項1〜6のいずれかに記載のセンサ装置。
前記センサ装置は、前記通信部と有線又は無線で接続された緊急報知部を有し、前記通信部を介して外部より緊急信号が送信された場合は、前記緊急報知部が前記対象者に報知する請求項1〜7のいずれかに記載のセンサ装置。
請求項1〜8に記載のセンサ装置と、前記センサ装置に通信可能に接続された管理サーバと、前記管理サーバに通信可能に接続された端末とを有する介護支援システムであって、
前記センサ装置は、前記判断部により前記対象者が所定の状態になったと判断された場合は、前記通信部を介して前記通知信号を前記管理サーバに送信する介護支援システム。
前記管理サーバは記憶部を有し、前記センサ装置が、前記一時退避バッファ部に記憶された前記状態データを、前記通信部を介して前記管理サーバに送信した場合は、前記状態データを前記記憶部に記憶する請求項10に記載の介護支援システム。
前記端末から前記管理サーバにリクエスト信号を送信した場合は、前記管理サーバは、前記記憶部に記憶された前記状態データを前記端末に送信する請求項11に記載の介護支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるセンサ装置を用いた介護支援システムの全体構成を示す図である。
図2は、本実施形態におけるセンサ装置であるセンサボックスの構成を示す図である。
図3は、本実施形態の介護支援システムにおける管理サーバの構成を示す図である。
図4は、本実施形態の介護支援システムにおける携帯端末の構成を示す図である。
図5は、本実施形態の介護支援システムにおける送信先情報テーブルの構成を示す図である。本明細書中、「介護」とは「看護」も含む概念である。
【0013】
本実施形態における介護支援システムは、見守り対象である被監視者(以下、対象者という)Obの状態を、それぞれ対応するセンサボックスSBにより検知することで対象者Obを見守って、介護を支援する機能を有するものである。
【0014】
このような介護支援システムMSは、例えば、
図1に示すように、対象者の居室にそれぞれ備えられたセンサボックスSB(SB−1〜SB−4)と、管理サーバSVと、固定端末装置SPと、介護士がそれぞれ所持する携帯端末TA(TA−1、TA−2)とを有し、これらは、有線や無線で、LAN(Local Area Network)、電話網およびデータ通信網等の網(ネットワーク、通信回線)NWを介して通信可能に接続されている。ネットワークNWには、通信信号を中継する例えばリピーター、ブリッジ、ルーターおよびクロスコネクト等の中継機が備えられても良い。
図1に示す例では、これら複数のセンサボックスSB−1〜SB−4、管理サーバSV、固定端末装置SPおよび複数の携帯端末TA−1、TA−2は、アクセスポイントAPを含む無線LAN(例えばIEEE802.11規格に従ったLAN等)NWによって互いに通信可能に接続されている。センサボックスSBは、センサ装置の一例に相当し、固定端末装置SPおよび携帯端末TAそれぞれは、端末の一例に相当する。
【0015】
対象者Obは、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする者や、身体能力の低下等によって介護を必要とする者や、一人暮らしの独居者等である。特に、早期発見と早期対処とを可能にする観点から、対象者Obは、例えば異常状態等の何らかの不都合な事象がその者に生じた場合にその発見を必要としている者であることが好ましい。このため、介護支援システムMSは、対象者Obの種類に応じて、病院、老人福祉施設および住戸等の建物に好適に配設される。
図1に示す例では、介護支援システムMSは、複数の対象者Obが入居する複数の居室RMや、ナースステーションST等の複数の部屋を備える介護施設の建物に配設されている。
【0016】
まず、センサボックスSBについて説明する。センサボックスSBは、対象者Obの居室RMの天井や壁等にそれぞれ配置され、ネットワークNWを介して管理サーバSV等と通信する通信機能を備えている。より具体的に、センサボックスSBは、
図2に示すように、センサ部11と、SB音入出力部12と、ナースコール入力部13と、SB制御処理部(CPU)14と、SB通信IF部15と、リングバッファ16と、一時退避バッファ17とを備える。
【0017】
データ取得部としてのセンサ部11は、SB制御処理部14に接続され、SB制御処理部14の制御に従って、対象者Obの状態を検知して、対応する状態データを出力する装置である。本実施形態では、対象者Obの状態としては、対象者Obの起床、離床、転倒、転落および微体動異常であり、これらを検知するために、センサ部11は、例えば、データ取得部としてドップラセンサ111とカメラ112とを備える。
【0018】
ドップラセンサ111は、送信波を送信し、物体で反射した前記送信波の反射波を受信し、前記送信波と前記反射波とに基づいてドップラ周波数成分のドップラ信号を出力する体動センサである。前記物体が動いている場合、いわゆるドップラ効果により前記物体の動いている速度に比例して反射波の周波数がシフトするため、送信波の周波数と反射波の周波数とに差(ドップラ周波数成分)が生じる。ドップラセンサ111は、このドップラ周波数成分の信号をドップラ信号として生成し、SB制御処理部14へ出力するものである。前記送信波は、超音波やマイクロ波等であって良いが、本実施形態では、マイクロ波である。マイクロ波は、着衣を透過して対象者Obの体表で反射できるため、対象者Obが衣服を着ていても体表の動きを検知でき、好ましい。
【0019】
カメラ112は、SB制御処理部14に接続され、SB制御処理部14の制御に従って、画像(画像データ)を生成する装置である。カメラ112は、監視すべき対象者Obが所在を予定している空間(
図1に示す例では居室RM内の空間)を監視可能に配置され、前記空間を撮像対象としてその上方から撮像し、前記撮像対象を俯瞰した画像(画像データ)を生成し、前記撮像対象の画像をSB制御処理部14へ出力する。好ましくは、対象者Ob全体を撮像できる蓋然性が高いことから、カメラ112は、対象者Obが横臥する寝具(例えばベッド等)における、対象者Obの頭部が位置すると予定されている予め設定された頭部予定位置(通常、枕の配設位置)の直上から撮像対象を撮像できるように配設される。センサボックスSBは、このセンサ部11のカメラ112によって、対象者Obを、対象者Obの上方から撮像した画像、好ましくは前記頭部予定位置の直上から撮像した画像を取得する。
【0020】
このようなカメラ112は、可視光の画像を生成する装置であって良いが、比較的暗がりでも対象者Obを監視できるように、本実施形態では、赤外線の画像を生成する機能を有する。このようなカメラ112は、例えば、本実施形態では、撮像対象における赤外の光学像を所定の結像面上に結像する結像光学系、前記結像面に受光面を一致させて配置され、前記撮像対象における赤外の光学像を電気的な信号に変換するイメージセンサ、および、イメージセンサの出力を画像処理することで前記撮像対象における赤外の画像を表すデータである画像データを生成する画像処理部等を備えるデジタル赤外線カメラである。カメラ112の結像光学系は、本実施形態では、対象者Obの居室RM全体を撮像できる画角を持つ広角な光学系(いわゆる広角レンズ(魚眼レンズを含む))であることが好ましい。また、前記空間を赤外線で照明する赤外線照明装置がさらに設けられても良い。尚、ドップラセンサ、カメラ以外のデータ取得部として、TOFセンサ、赤外線網点投影方法などの3次元センサを用いても良い。
【0021】
SB音入出力部12は、SB制御処理部14に接続され、外部の音を取得してセンサボックスSBに入力するための回路であって、SB制御処理部14の制御に従って音を表す電気信号に応じた音を生成して出力するものである。SB音入出力部12は、音の音響振動を電気信号に変換する音収集部としてのマイク121と、音の電気信号を音の音響振動に変換する音出力部としてのスピーカ122とを備えて構成される。SB音入出力部12は、マイク121にて収集した外部の音を表す電気信号をSB制御処理部14へ出力し、また、SB制御処理部14から入力された電気信号をスピーカ122で音の音響振動に変換して出力する。尚、SB音入出力部12はセンサボックスSB本体と分離でき、SB制御処理部14に無線もしくは有線で接続され、居室内の任意の場所に置かれるようになっていると好ましい。更に、SB音入出力部12をSB制御処理部14に無線で接続する場合、SB音入出力部12内の電池残量をモニタして操作者等に知らせる装置を設けるのが好ましい。又、SB音入出力部12をSB制御処理部14に有線で接続する場合、適切な接続が行われているか否かを操作者等に知らせる装置を設けるのが好ましい。かかる場合、配線は電源用を含めて1本とするのが好ましい。
【0022】
ナースコール入力部13は、SB制御処理部14に接続された押しボタン式スイッチ等である。居住者がナースコールしたい場合に、ナースコール入力部13が入力操作されると、ナースコールを受け付けた旨を示す電気信号がナースコール入力部13からSB制御処理部14へ出力され、これにより介護士等の携帯端末TAに信号が送信される。このとき、ナースコール入力部13に付随したランプが点灯するなどして、信号送信中であることが分かると好ましい。尚、ナースコール入力部13は、センサボックスSB本体と分離されており、SB制御処理部14に無線を介して接続されているが、有線接続でも良い。
【0023】
SB通信IF部15は、SB制御処理部14に接続され、SB制御処理部14の制御に従って通信を行うための通信回路である。SB通信IF部15は、SB制御処理部14から入力された転送すべきデータを収容した通信信号を、この介護支援システムMSのネットワークNWで用いられる通信プロトコルに従って生成し、この生成した通信信号をネットワークNWを介して管理サーバSV等へ送信する。又、SB通信IF部15は、ネットワークNWを介して管理サーバSV等から通信信号を受信し、この受信した通信信号からデータを取り出し、この取り出したデータをSB制御処理部14が処理可能な形式のデータに変換してSB制御処理部14へ出力する。なお、SB通信IF部15は、さらに、例えば、携帯電話通信網、WiFi規格、Bluetooth(登録商標)規格、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格およびUSB(Universal Serial Bus)規格等の規格を用い、外部機器との間でデータの入出力を行うインターフェース回路を備えても良い。
【0024】
SB制御処理部14は、ナースコールを受け付け、動画を生成し、対象者Obにおける予め設定された所定の行動を検知する機能を有する。SB制御処理部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。
【0025】
SB制御処理部14は、内部メモリを有し、かかる内部メモリに、各種のプログラムおよび各種のデータを記憶している。前記各種のプログラムには、例えば、対象者Obに対する監視に関する情報処理を実行する監視処理プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記監視処理プログラムには、所定のイベント(事象)が生じた場合に外部に通知する通知処理プログラム、カメラ112で撮像した画像(動画)を、その画像を要求した固定端末装置SPや携帯端末TAへ配信する処理プログラム、および、SB音入出力部12等を用いることで固定端末装置SPや携帯端末TAとの間で音声通話を行うナースコール処理プログラム等が含まれる。前記各種のデータには、各プログラムを実行する上で必要なデータや、対象者Obを監視する上で必要なデータ等が含まれる。内部メモリは、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等や、前記プログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆるSB制御処理部14のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0026】
SB制御処理部14は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、センサ制御、行動検知処理、通知処理、ストリーミング処理およびナースコール処理を実行することができる。SB制御処理部14を実現する手段としては、CPU以外にもFPGA/ASICなど専用LSIを利用しても良い。
【0027】
SB制御処理部14は、行動検知処理として、センサ部11の出力に基づいて対象者Obにおける、予め設定された所定のイベントを検知することができる。本実施形態では、上述したように、前記所定のイベントは、対象者Obの起床、離床、転倒、転落および微体動異常であり、SB制御処理部14は、センサ部11の出力に基づいて対象者Obにおける起床、離床、転倒、転落および微体動異常をイベントとして検知し、そのイベントの内、迅速な対処が必要なもの(特定の状態、ここでは転倒又は転落)について、特定のイベントが生じたと判断する。所定のイベントについてはデフォルトの設定とし、特定のイベントについては、不図示の設定部から対象者Obに応じて設定できるものとする。SB制御処理部14は、センサ部11の出力に基づいて対象者Obの起床、離床、転倒、転落および微体動異常を切り分けて検知できる。例えば、SB制御処理部14は、センサ部11のカメラ112によって取得した画像から対象者Obの人体領域として動体領域を抽出し、この抽出した動体領域の縦横比から対象者Obの姿勢(例えば立位、座位および横臥等)を判断し、この検出した動体領域の位置を検出し、これら判断、検出した対象者Obの姿勢および位置に基づいて前記起床、離床、転倒および転落の別を判断する。また、SB制御処理部14は、ベッド領域内で横臥姿勢から座位姿勢への移行を検知した場合、起床と判断し、起床のイベント(起床イベント)が発生したと判断する。更に、SB制御処理部14は、ベッド領域内からベッド領域外へ座位姿勢から立位姿勢への移行を検知した場合、離床と判断し、離床のイベント(離床イベント)が発生したと判断する。また、SB制御処理部14は、ベッド領域内からベッド領域外への移行であってベッド領域外での横臥姿勢を検知した場合、転落と判断し、転落のイベント(転落イベント)が発生したと判断する。また例えば、SB制御処理部14は、ベッド領域外で座位姿勢や立位姿勢から横臥姿勢への移行を検知した場合、転倒と判断し、転倒のイベント(転倒イベント)が発生したと判断する。また、SB制御処理部14は、センサ部11のドップラセンサ111によって対象者Obの呼吸動作に伴う胸部の体動(胸部の上下動)を検出し、その胸部の体動における周期の乱れや予め設定された閾値以下である前記胸部の体動における振幅を検知すると、前記微体動異常と判断し、微体動異常のイベント(微体動異常イベント)が発生したと判断する。尚、SB制御処理部14の判断基準(判断アルゴリズム)は、全てのセンサボックスSBで統一されていることが好ましい。これにより、居住者が変っても判断基準を変える必要がなくなり、手間がかからない。但し、センサボックスSB毎にSB制御処理部14の判断基準をカスタマイズできるようにしてもよい。
【0028】
SB制御処理部14は、ナースコール処理として、ナースコール入力部13で入力操作を受け付けた場合に、イベント、より具体的にはナースコールの操作(ナースコールイベント)が生じたと判断する機能を有する。そして、SB制御処理部14は、SB通信IF部15およびネットワークNWを介して、固定端末装置SPまたは携帯端末TAとの間で音声通話を可能にすることができる。
【0029】
SB制御処理部14は、通知処理として、センサ部11で対象者Obにおける所定の行動を検知した検知イベント(本実施形態では、起床、離床、転倒、転落、微体動異常の各イベント)がセンサボックスSBで生じた場合に、外部に通知するものである。より具体的には、SB制御処理部14は、生じたイベントの種別を表す情報(本実施形態では起床、離床、転倒、転落、微体動異常としての検知イベント)と、前記対象者Obを検知しているセンサボックスSBを特定し識別するための識別子情報とからなる通知信号を生成し、SB通信IF部15からネットワークNWを介して管理サーバSVへ送信する。又、外部よりリクエストがあれば、通知処理部143は、画像データ等を収容した通信信号を生成し、SB通信IF部15からネットワークNWを介して管理サーバSVへ送信する。
【0030】
尚、後述する梯子チャートの動作では用いないが、SB制御処理部14は、ストリーミング処理として、ネットワークNWおよびSB通信IF部15を介して固定端末装置SPまたは携帯端末TAからストリーミング動画の配信の要求があった場合に、この要求のあった固定端末装置SPまたは携帯端末TAへ、センサ部11のカメラ112で生成した動画(例えばライブの動画)をストリーミング再生でSB通信IF部15およびネットワークNWを介して配信することができる。
【0031】
リングバッファ16は、カメラ112で撮像した画像データや、ドップラセンサ111により取得した微体動データ等の連続的又は所定間隔で取得した状態データを、上書きしつつ一定期間記憶する機能を有する。又、一時退避バッファ17は、リングバッファ16に記憶された状態データの一部を切り出して保存する機能を有する。
【0032】
図1には、一例として、4個の第1ないし第4センサボックスSB−1〜SB−4が示されており、第1センサボックスSB−1は、対象者Obの一人であるAさんOb−1の居室RM−1に配設され、第2センサボックスSB−2は、対象者Obの一人であるBさんOb−2の居室RM−2に配設され、第3センサボックスSB−3は、対象者Obの一人であるCさんOb−3の居室RM−3に配設され、そして、第4センサボックスSB−4は、対象者Obの一人であるDさんOb−4の居室RM−4に配設されている。
【0033】
このようなセンサボックスSBでは、その稼働を始めると、センサ部11は、所定のフレームレートで所在空間を上方から撮像して生成した画像およびドップラ信号をSB制御処理部14へ出力する。SB制御処理部14は、所定の時間おきに、これら画像およびドップラ信号に基づいて対象者Obにおける所定の行動の有無を検知し、前記所定の行動を検知イベントとして検知すると、その検知イベントの種別を含めて検知イベントに対応する通知信号を作成し、かかる通知信号をSB通信IF部15から管理サーバSVへ送信する。
【0034】
尚、後述する梯子チャートの動作では用いないが、SB制御処理部14は、ナースコール入力部13で入力操作を受け付けると、ナースコールの受付イベントに対応した通知信号を作成し、かかる通知信号をSB通信IF部15から管理サーバSVへ送信する。管理サーバSVは、ナースコールが生じた居室を担当する介護士の持つ携帯端末TAに、ナースコールが生じたことを通知する。
【0035】
次に、管理サーバSVについて説明する。
図1において、管理サーバSVは、ネットワークNWを介して他のセンサボックスSBと、固定端末SPと、携帯端末TAとに独立して通信する通信機能を備えている。管理サーバSVは、センサボックスSBから通知を受けて、イベントが生じた居室を担当する介護士の持つ携帯端末TA、及び/又は固定端末装置SPに情報を提供する機能を有する。このような管理サーバSVは、例えば、
図3に示すように、SV制御処理部21と、SV記憶部22と、SV通信IF部23とを備える。
【0036】
SV通信IF部23は、SB通信IF部15と同様に、SV制御処理部21に接続され、SV制御処理部21の制御に従って通信を行うための通信デバイスである。SV通信IF部23は、SV制御処理部21から入力された転送すべきデータを収容した通信信号を、この介護支援システムMSのネットワークNWで用いられる通信プロトコルに従って生成し、この生成した通信信号をネットワークNWを介してセンサボックスSB等へ送信する。SV通信IF部23は、ネットワークNWを介してセンサボックスSB等から通信信号を受信し、この受信した通信信号からデータを取り出し、この取り出したデータをSV制御処理部21が処理可能な形式のデータに変換してSV制御処理部21へ出力する。
【0037】
SV記憶部22は、SV制御処理部21に接続され、SV制御処理部21の制御に従って、各種のプログラムおよび各種のデータを記憶する回路である。前記各種のプログラムには、例えば、クライアント(本実施形態では固定端末装置SPおよび携帯端末TA等)の要求に応じたデータを前記クライアントに提供するサーバプログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種のデータには、対象者Obに対する監視に関する監視情報、イベントの通知先に関する通知先情報等の、上述の各プログラムを実行する上で必要なデータや、対象者Obを監視する上で必要なデータ等が含まれる。SV記憶部22は、SB記憶部16と同様に、例えばROMやEEPROM等を備える。そして、SV記憶部22は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆるSV制御処理部21のワーキングメモリとなるRAM等を含む。
【0038】
SV記憶部22は、通知先情報を記憶する通知先情報記憶部221を備える。通知先情報記憶部221は、イベントの通知先に関する通知先情報を記憶する。前記通知先情報は、センサボックスSBから通知信号を受信した場合に、この受信した通知信号に収容されたイベントを通知する通知先を表す情報である。前記通知先情報は、例えば、本実施形態では、通知信号を送信した送信元のセンサボックスSBと、センサボックスSBから受信した通知信号を送信する携帯端末TAとの対応関係を表す情報であり、例えば、
図5に示すようにテーブル形式で通知先情報記憶部221に記憶されている。この
図5に示す通知先情報テーブル41は、通知信号の送信元であるセンサボックスSBの通信アドレスを登録する通知元アドレスフィールド411と、前記通知元アドレスフィールド411に登録されたセンサボックスSBの通信アドレスに対応付けられ前記通信アドレスを持つ前記センサボックスSBから受信した通知信号に収容されたイベントを通知する携帯端末TAの通信アドレスを登録する通知先アドレスフィールド412とを備え、センサボックスSBごとにレコードを持つ。なお、センサボックスSBの通信アドレスは、前記センサIDとされて良く、また、通知元アドレスフィールド411には、センサボックスSBを配設した部屋番号が登録されても良い。また、携帯端末TAの通信アドレスは、携帯端末TAを特定し識別するための端末識別子(端末ID)とされて良く、また、通知先アドレスフィールド412には、携帯端末TAを持つ例えば介護士名等の監視者の名前が登録されても良い。
【0039】
SV制御処理部21は、センサボックスSBから通知を受けて、受けた通知を固定端末装置SPおよび対応する携帯端末TAそれぞれへ転送する回路である。SV制御処理部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。
【0040】
SV制御処理部21のSV制御部211は、管理サーバSVの全体制御を司るものである。
【0041】
なお、管理サーバSVは、
図3に破線で示すように、必要に応じて、さらにSV制御処理部21に接続され例えば各種コマンドや各種データ等を入力するサーバ入力部(SV入力部)24、SV入力部24で入力された各種コマンドや各種データおよび対象者Obに対する監視に関する情報等を出力するサーバ出力部(SV出力部)25、および、外部機器との間でデータの入出力を行うサーバインターフェース部(SVIF部)26等を備えても良い。このような管理サーバSVは、例えば、通信機能付きのコンピュータによって構成可能である。
【0042】
固定端末装置SPは、ナースステーションSTに設置されており、ネットワークNWを介して管理サーバSV等と通信する通信機能、所定の情報を表示する表示機能、および、所定の指示やデータを入力する入力機能等を備え、管理サーバSVや携帯端末TAに与える所定の指示やデータを入力したり、センサボックスSBで得られた検知結果や画像を表示したりすることによって、介護支援システムMSのユーザインターフェース(UI)として機能する機器である。このような固定端末装置SPは、例えば、通信機能付きのコンピュータによって構成可能である。固定端末装置SPは、センサボックスSBが設置された全ての居室において、センサボックスSBの機能を通じて居室内の状態を把握できるようになっていると好ましい。
【0043】
次に、携帯端末TAについて説明する。携帯端末TAは、ネットワークNWを介して管理サーバSV等と通信する通信機能、所定の情報を表示する表示機能、所定の指示やデータを入力する入力機能、および、音声通話を行う通話機能等を備え、管理サーバSVやセンサボックスSBに与える所定の指示やデータを入力し、前記所定のイベントがセンサボックスSBで生じた場合に前記所定のイベントの通知を受け、センサボックスSBとの間で通話し、センサボックスSBで生成された動画を表示するための機器である。
【0044】
このような携帯端末TAは、本実施形態では、例えば、
図4に示すように、TA制御処理部31と、TA記憶部32と、TA通信IF部33と、TA音入出力部34と、TA入力部35と、TA表示部36と、TAIF部37とを備える。
【0045】
TA音入出力部34は、TA制御処理部31に接続され、外部の音を取得して携帯端末TAに入力するためのデバイスであって、TA制御処理部31の制御に従って音を表す電気信号に応じた音を生成して出力するものである。TA音入出力部34は、SB音入出力部12と同様に、例えば、音響振動を電気信号に変換するマイクロホン等と、音の電気信号を音の音響振動に変換するスピーカ等とを備えて構成される。TA音入出力部34は、外部の音を表す電気信号をTA制御処理部31へ出力し、また、TA制御処理部31から入力された電気信号を音の音響振動に変換して出力する。
【0046】
TA入力部35は、TA制御処理部31に接続され、例えば、所定の操作を受け付け、携帯端末TAに入力するデバイスであり、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。前記所定の操作には、例えば、ログインするためのIDの入力操作や、通知されたナースコールに対応する応答操作や、動画の要求操作や、通知された対象者Obに対する例えば救命、看護、介護および介助等の対応を実行する意思がある旨(復旧)の入力操作等の、監視する上で必要な各種操作等が含まれる。TA表示部36は、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って、TA入力部35から入力された所定の操作内容、および、介護支援システムMSによって監視されている対象者Obに対する監視に関する前記監視情報(例えばセンサボックスSBで生じたイベントや対象者Obの画像等)等を表示するデバイスであり、例えばLCDおよび有機ELディスプレイ等の表示装置である。そして、本実施形態では、TA入力部35およびTA表示部36をタッチパネルにより構成している。この場合において、TA入力部35は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力デバイスである。このタッチパネルでは、TA表示部36の表示面上に位置入力デバイスが設けられ、TA表示部36に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、例えば介護士等のユーザー(監視者)が、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、位置入力デバイスによってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザーの操作入力内容として携帯端末TAに入力される。
【0047】
TAIF部37は、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行うデバイスであり、例えば、携帯電話通信網、WiFi規格、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。
【0048】
TA通信IF部33は、SB通信IF部15と同様に、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って通信を行うための通信デバイスである。TA通信IF部33は、TA制御処理部31から入力された転送すべきデータを収容した通信信号を、この介護支援システムMSのネットワークNWで用いられる通信プロトコルに従って生成し、この生成した通信信号をネットワークNWを介して管理サーバSV等へ送信する。TA通信IF部33は、ネットワークNWを介して管理サーバSV等から通信信号を受信し、この受信した通信信号からデータを取り出し、この取り出したデータをTA制御処理部31が処理可能な形式のデータに変換してTA制御処理部31へ出力する。
【0049】
TA記憶部32は、SB記憶部16と同様に、TA制御処理部31に接続され、TA制御処理部31の制御に従って、各種のプログラムおよび各種のデータを記憶する回路である。前記各種のプログラムには、表示に関する動作を処理する表示処理プログラム等が含まれる。前記各種のデータでは、TA表示部36に表示される画面情報等の各データが含まれる。TA記憶部32は、例えばROMやEEPROM等を備える。TA記憶部32は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆるTA制御処理部31のワーキングメモリとなるRAM等を含む。そして、TA記憶部32は、上述の各情報を記憶するために、機能的に表示画面記憶部321を備えている。
【0050】
表示画面記憶部321は、TA制御処理部31における後述の表示処理部3121の制御に従って、TA表示部36に表示するための画面情報を記憶するものである。
【0051】
TA制御処理部31は、情報を処理するための回路である。TA制御処理部31は、SB制御処理部14と同様に、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成される。TA制御処理部31は、制御処理プログラムが実行されることによって、TA制御部311およびTA処理部312を機能的に備え、TA処理部312は、表示処理部3121を機能的に備える。
【0052】
TA制御部311は、携帯端末TAの全体制御を司るものである。
【0053】
表示処理部3121は、TA表示部36の表示に関する動作を処理するものである。より具体的には、表示処理部3121は、必要に応じてTA表示部36に動画を表示する。
【0054】
このような携帯端末TAは、例えば、いわゆるタブレット型コンピュータやスマートフォンや携帯電話機等の、持ち運び可能な通信端末装置によって構成可能である。
【0055】
次に、実施形態における介護支援システムの動作について説明する。
図6は、本実施形態の介護支援システムにおける動作を示す梯子チャート図である。
図7は、本実施形態の携帯端末の表示画面の例を示す図である。
図8は、リングバッファ内に時系列的に記憶された画像データの模式図である。
【0056】
介護支援システムMSの動作について説明するが、ナースコールイベントについては省略する。携帯端末TAでは、例えば介護士等のログイン操作を受け付けると、携帯端末TAは、TA処理部312によって、自機宛の通信信号を待ち受ける待受け画面をTA表示部36に表示する。この待受け画面は、例えば、
図7(a)に示すように、メニューバーを表示するメニューバー領域611と、待ち受け中であることを表すメッセージ(例えば「未対応通知はありません」)、日付や現在時刻、当該携帯端末TAにログインしているユーザー名(介護士)などを表示する待受けメイン領域612とを備える。このような待受け画面を表示すると、携帯端末TAは、TA制御部311によって、TA通信IF部33で通信信号の受信を待つ。
【0057】
センサボックスSBは、
図6のステップS101において、SB制御処理部14によって、所定のフレームレートに応じたサンプリング周期でセンサ部11のドップラセンサ111の出力データをサンプリングするとともにカメラ112で画像データを取得し、行動検知処理部142によって、このサンプリングおよび取得したドップラセンサ111の出力データおよびカメラ112の画像データを解析する。この解析により、ステップS102で、対象者Obに所定のイベント(本実施形態では転倒、転落,起床、離床、微体動異常のいずれか)が生じたか否かを判断し、生じなければフローをステップS101へと戻す。又、かかる解析と並行して、リングバッファ16に画像データを記憶する(
図8参照)。このときリングバッファ16内で一定時間(5分程度)記憶された画像データ(映像信号)は、古い順に上書きされて消去されるものとする。これによりリングバッファ16の容量増大を抑えることができ、センサボックスSBのコスト低減に貢献する。尚、マイク121から取得した音信号を画像データと同時に記憶しても良い。かかる場合、単一のセンサボックスSBに集約することで、例えばカメラ112とマイク121の出力の同期をとることが可能である。SB制御処理部14が、ステップS102で所定のイベントが発生したと判断した場合、所定のイベントが発生した旨のイベント情報と通信アドレスを含む通知信号を、ネットワークNWを介して管理サーバSVへ送信する(C11)。かかる通知信号に画像データを添付しないのは、ネットの渋滞を回避するためである。但し、通信許容量が大きい場合、SB制御処理部14は通知信号と共に画像データを送信しても良い。
【0058】
更に、続くステップS103で,SB制御処理部14が、生じた所定のイベントが特定のイベント(転倒又は転落)でないと判断すれば、フローをステップS101へと戻して処理を続行する。
【0059】
ここで、
図8に示す時刻t1にて、特定のイベント(転倒又は転落)が生じたものとする。かかる場合、ステップS103で、SB制御処理部14が、画像データの解析により、対象者Obに特定のイベント(転倒又は転落)が生じたと判断するので、更にステップS104で、
図8に示すように特定のイベントが生じた時刻t1から30秒間過去に遡及した時刻t2から60秒間経過した時刻t3までの画像データを切り出して、一時退避バッファ17に記憶する。時刻t2から時刻t3までの記憶時間(60秒)は任意に設定できる。
【0060】
一方、通知信号がセンサボックスSBから送信されると(C11)、管理サーバSVは、ステップS105で、通知信号に含まれている情報に基づいて、送信元の通信アドレスに対応する送信先の通信アドレスを、SV記憶部22の通知先情報記憶部221から読み出して、送信先の携帯端末TAを選定する。より具体的には、通知先情報記憶部221に記憶されている通知先情報テーブル41において、通知元アドレスフィールド411に、前記受信した通知信号の送信元の通信アドレスを登録しているレコードにおける通知先アドレスフィールド412に登録されている通知先の通信アドレスを取り出す。例えば、RM−2号室に配設された通信アドレス「192.168.10.121」を持つセンサボックスSB−2からの通知信号を受信した場合には、この通知信号の送信元の通信アドレス「192.168.10.121」を登録している2行目のレコードにおける通知先アドレスフィールド412に登録されている通知先の3個の通信アドレス「192.168.10.25」、「192.168.10.26」、「192.168.10.27」が取り出される。なお、この例では、通信アドレス「192.168.10.25」は、介護士NAさんが持つ携帯端末TA−1に付与された通信アドレスであり、通信アドレス「192.168.10.26」は、介護士NBさんが持つ携帯端末TA−2に付与された通信アドレスであり、そして、通信アドレス「192.168.10.27」は、図略の介護士NCさんが持つ携帯端末TA−3に付与された通信アドレスである。
【0061】
そして、管理サーバSVは、RM−2号室で転倒又は転落が生じた情報を含む通知信号(固有の識別情報:イベント#102を含む)を、ステップS105で選定した携帯端末TA−1〜TA−3及び固定端末SPへ送信する(C12)。これと並行して、管理サーバSVは、通知信号を送信したセンサボックスSBに、画像データの要求信号を送信する。これに応じて、センサボックスSBのSB制御処理部14は、一時退避バッファ17から記憶された画像データを管理サーバSVに転送する(C14)。その後、一時退避バッファ17の画像データは消去され、次の特定のイベントに備えて、リングバッファ16からの画像データの切り出しを待つ。
【0062】
管理サーバSVは、センサボックスSBから送信された通信記録や画像データを、固有の識別情報(イベント#102)、センサボックスSBの端末識別子、受信した日付、時刻等と共に、ログファイルとしてSV記憶部22に自動的に記憶する(ステップS108)。ログファイルとして記録される項目は、必要に応じて固定端末SPから設定可能であり、また記憶されたログファイルは、必要に応じて固定端末SPから読み出し可能であると好ましい。
【0063】
一方、管理サーバSVから送信された通知信号が携帯端末TAで受信されると、携帯端末TAは、TA処理部312によってTA表示部36の画面表示を、例えば
図7(b)に示すものに切り替える。このとき、提示部としてのTA音入出力部34を介して、音や音声などの出力(例えば「RM−2号室で転落発生」などの音声メッセージ)を行ったり、或いは振動等により介護士に通知信号の受信を知らせても良い。
【0064】
図7(b)に示す例では、メイン領域612に、イベントが生じた居室名(RM−2号室、すなわち通知を送信したセンサボックスに関する情報)と,当該居室の居住者の氏名(B様)と、ここでは転倒又は転落を示すアイコンIC1(イベントに応じて異なる形態をとる)と、通知時間と現在との時間差(0分)が表示される(ステップS106)。同時に、メイン領域612に、ボタンB1(対応する),B2(話す),B3(記憶映像を見る)、B4(ライブ映像を見る)が表示される。
【0065】
ここで、介護士がボタンB3にタッチすると、携帯端末TAのTA入力部35が反応し、ステップS107で、TA制御部311が画像のリクエストがなされたと判断して、TA通信IF部からネットワークNWを介して管理サーバSVにリクエスト信号(固有の識別情報:イベント#102を含む)が送信される(C15)。管理サーバSVは、SV記憶部22のログファイルから、固有の識別情報(イベント#102)に対応する画像データを読み出して、ネットワークNWを介して携帯端末TAに送信する(C16)。
【0066】
画像データを受信した携帯端末TAは、TA処理部312によってTA表示部36の画面表示を、例えば
図7(c)に示すものに切り替える。
図7(c)に示す例では、メイン領域612に、RM−2号室で転倒した前後のBさんの画像(映像)IMGが表示される(ステップS109)ので、かかる画像IMGを見た介護士は、どのように対処すべきか迅速に判断することができる。又、画像IMGを見ただけでは判断できない場合、介護士がボタンB2をタッチすることで、センサボックスSBのSB音入出力部12を介して、Bさんと介護士とが直接会話できるため、状況を正確に判断することができる。尚、介護士がボタンB4をタッチすることで、現在の居室RM−2のストリーミング画像を見ることもできる。又、センサボックスSBがナースコール入力部13からの信号を受信したことに応じて、管理サーバSVを介して携帯端末TAに通知信号を送信した場合、
図7(b)に示すような画面表示を行うこともできる。かかる場合、介護士がボタンB4をタッチすることで、現在の居室RM−2のストリーミング画像を見ることができる。上記の例では、携帯端末TAに通知信号を送信するようにしているが、及び/又は固定端末SPに通知信号を送信するようにしても良い。尚、携帯端末TAから画像データのリクエストがない場合、フローはステップS109を通らず、携帯端末TAで画像表示は行われない。
【0067】
又、ステップS106で表示されたアイコンIC1を見た介護士が、イベントが生じたRM−2号室に近い場所にいるときは、画像を見ることなく直ちに駆けつけることができる。従って、そのような場合、ボタンB1をタッチすることで、固定端末SPに、介護士が直接対応する旨の情報が送信されることとなる。ボタンB1をタッチすることで、通知信号を送信されたその他の携帯端末TA及び/又は固定端末SPにおいて、通知信号に応じた表示が解除されるか、或いは「担当介護士、対応中」の表示がなされると好ましい。尚、特定のイベント以外の所定のイベント(例えば起床)を示す通知信号がセンサボックスSBから送信され、管理サーバSVを介して携帯端末TAに通知信号が送信された場合、
図7(d)に示すような画面表示を行うこともできる。このとき、メイン領域612に起床を示すアイコンIC2が表示されるので、これを見た介護士は対象者(Bさん)が起床したことがわかる。しかし、このイベントに対応した記憶画像は管理サーバSVに記憶されていないので、ボタンB3は表示されない。
【0068】
本実施形態によれば、センサボックスSB自ら、対象者の状態に応じた画像データに基づいて対象者が転倒又は転落したと判断するので、例えば管理サーバSVが転倒又は転落したと判断する場合に比べ、画像データを大量に転送する必要がなく、通信量を抑えてネット渋滞を回避できる。更にリングバッファ16が、カメラ112の取得した画像データを上書きしながら一定期間記憶し、SB制御処理部14が、かかる画像データに基づいて、対象者Obに特定のイベント(転倒や転落)が生じたと判断したら、リングバッファ16が記憶している画像データの一部を切り出して一時退避バッファ17に保存するので、イベント後に、一時退避バッファ17に保存された画像データを取り出して見ることで、どのような状況下で特定のイベントが発生したかを正確に判断でき、適切な処置や再発防止を図ることができる。又、特定のイベントが発生したときに、画像データを含まない通知信号がセンサボックスSBから管理サーバSVを介して携帯端末TAに送信されるので、通信量を抑えてネット渋滞を回避することができ、ほぼリアルタイムで対応する介護士に通知が届くようになるので、迅速な対処を実現できる。
【0069】
以上の実施形態では、カメラ112により取得した画像データリングバッファ16に上書きしながら記憶し、対象者が転倒又は転落したことを検出して、その前後の画像データをリングバッファ16から切り出して、一時退避バッファ17に保存するようにしているが、例えばドップラセンサ111で取得した状態データとしての微体動のデータ(及び/又は音声データ)をリングバッファ16に上書きしながら記憶し、特定のイベントとして微体動の異常を検出したときに、その前後の微体動のデータをリングバッファ16から切り出して、一時退避バッファ17に保存するようにしても良い。かかる場合、SB制御処理部14が、微体動の異常を検出して、管理サーバSVに通知信号を送信するので、管理サーバSVから選定した携帯端末TAへ、微体動異常であることを示す通知信号を送信し、受信した携帯端末TAにて、微体動異常であることを示すアイコンを表示することができる。カメラで撮像した画像の解析と、ドップラセンサにより検知した微体動の状態とを総合して、イベント判断に用いても良い。
【0070】
更に本実施の携帯によれば、複数のセンシング手段(データ取得部)や通信手段を点在させ、これらを組み合わせて構築していた従来のシステムの機能を、1つのセンサボックスSBに集約させ、さらに判断機能を持たせることによって、点在する手段の配置制約を最小限に抑えることができるとともに、リアルタイム性の高い複数のセンシング手段の情報処理を可能とするセンサ装置を提供することができる。又、1つのセンサボックスSBに機能を集約することにより、特別な手段(点在するセンシング情報にタイムスタンプを付与するなど)を講じなくても、複数のセンシング手段の同期を取ることができる。
【0071】
図9は、変形例にかかるセンサボックスの構成を示す図である。
図9に示す例は、上述した実施形態に対して、SB制御処理部14を構成するCPU内に、リングバッファ16と一時退避バッファ17を設けている点が異なる。これにより処理速度の向上が図られる。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0072】
図10は、別な変形例にかかるセンサボックスの構成を示す図である。
図10に示す例は、上述した実施形態に対して、センサ部11とSB制御処理部14との間に、センサ情報処理部113を設けて、ドップラセンサ111とカメラ112から出力されるデータを独立して処理するようにしている。又、SB音入出力部12とSB制御処理部14との間に、音声処理部123を設けて、マイク121とスピーカ122の音声信号を独立して処理するようにしている。更に、ナースコール入力部13とSB制御処理部14との間に、無線通信処理部131を設けて、ナースコール入力部13から出力される無線信号を独立して処理するようにしている。これにより処理の高速化を実現できる。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0073】
図11は、別な変形例にかかるセンサボックスの構成を示す図である。
図11に示す例は、上述した実施形態に対して、緊急報知部としての緊急通報装置18をSB制御処理部14に接続している点が異なる。例えば地震や火事などの緊急事態が発生した場合など、固定端末SPや携帯端末TAから緊急信号を管理サーバSVに送信すると、管理サーバSVがネットワークNWを介して各センサボックスSBに緊急信号を送信する。これに応じて、SB制御処理部14は、緊急通報装置18を介して居住者に緊急事態である旨を知らせることができる。特に、高齢者の場合、視力や聴力が低下している場合があるので、緊急通報はストロボの点滅やサイレン等を併用するほか、振動や匂いなどを利用して知らせることが好ましい。なお、リングバッファに記録される時間の長さは、その記憶容量、映像の品質(解像度・ビットレート・フレームレートなどによって決定される)、さらに一時退避バッファ部の記憶容量などを参酌して、自在に設定可能である。介護スタッフ等の都合、運営形態にあわせて、適宜好適な時間を設定すればよく、例えば、1分〜10分でもよい。
【0074】
本発明は、明細書に記載の実施形態・変形例に限定されるものではなく、他の実施形態・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施形態や技術思想から本分野の当業者にとって明らかである。明細書の記載及び実施形態は、あくまでも例証を目的としており、本発明の範囲は後述するクレームによって示されている。