(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上下方向レールが受ける鉛直方向下向きの荷重の少なくとも一部は、当該上下方向レールが取り付けられた前記橋脚を支持するフーチングの上面に伝達されて地盤に伝達されることを特徴とする請求項2に記載の上部工部材運搬設備。
前記上部工部材運搬設備は、上方から見て、運搬する前記上部工部材の端部に対して略橋軸直角方向の位置および運搬する前記上部工部材の端部と重なる位置のうちの少なくとも一方の位置に、後打ち杭を備えており、
前記上下方向レールが受ける鉛直方向下向きの荷重の少なくとも一部は、前記後打ち杭を介して地盤に伝達されることを特徴とする請求項2または3に記載の上部工部材運搬設備。
前記上部工部材運搬設備は、上方から見て、運搬する前記上部工部材の端部に対して略橋軸直角方向の位置および運搬する前記上部工部材の端部と重なる位置のうちの少なくとも一方の位置に、地盤に敷かれた敷き鋼板を備えており、
前記上下方向レールが受ける鉛直方向下向きの荷重の少なくとも一部は、前記敷き鋼板を介して地盤に伝達されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の上部工部材運搬設備。
前記昇降装置は、伸縮可能なジャッキと、前記ジャッキの両端部にそれぞれ取り付けられたクランプ装置と、を備え、前記クランプ装置によって前記上下方向レールに取り付けられており、前記クランプ装置は、前記上下方向レールへの固定とその固定の解除を繰り返し行うことができることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の上部工部材運搬設備。
前記上下方向レールは、該上下方向レールと略同一の方向に延びるレール保持用上下方向部材に取り付けられており、該レール保持用上下方向部材を介して前記橋脚に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の上部工部材運搬設備。
前記橋脚において前記径間とは前記橋梁の橋軸方向反対側に、橋軸直角方向に延びる反対側橋軸直角方向連結部材が配置され、かつ、前記橋脚の前記橋軸直角方向の側方に橋軸方向に延びる橋軸方向連結部材が配置されていて、前記橋軸直角方向連結部材、前記反対側橋軸直角方向連結部材および前記橋軸方向連結部材は、前記橋脚の周囲を一周巻き込むようにして該橋脚に取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載の上部工部材運搬設備。
さらに、前記橋脚それぞれにおいて、前記径間とは前記橋梁の橋軸方向反対側にも、上下方向に延びる反対側上下方向レールが取り付けられていて、該反対側上下方向レールそれぞれに、該反対側上下方向レールに沿って移動可能な昇降装置が取り付けられていることを特徴とする請求項9に記載の上部工部材運搬設備。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る上部工部材撤去設備および上部工部材架け替え設備ならびに上部工部材撤去方法および上部工部材架け替え方法について詳細に説明する。
【0051】
なお、以下の説明の中には、撤去対象の既設桁および新規に架設する新設桁が鋼製であることを念頭に置いた説明もあるが、本発明に係る上部工部材撤去設備および上部工部材架け替え設備ならびに上部工部材撤去方法および上部工部材架け替え方法においては、鋼以外の材料を主桁に用いた上部工部材(例えば、主桁としてコンクリート桁や合成桁等を備えた上部工部材)を対象とすることも可能である。
【0052】
(1)第1実施形態
(1−1)第1実施形態に係る上部工部材撤去設備の構成
図1〜
図3は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を用いて、隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す正面図(橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図)である。
図1は撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す正面図(
図7のI線矢視図)であり、
図2は撤去する既設上部工部材110を下降させた後の状態を示す正面図(
図8のII線矢視図)であり、
図3は下降させた既設上部工部材110を切断後にクレーン200で吊り上げて撤去する直前の状態を示す正面図(
図9のIII線矢視図)である。なお、橋脚102、104の間の径間106は、詳細には、橋脚102上の支点102Aと橋脚104上の支点104Aとの間の領域のことである。また、撤去する既設上部工部材110は、切断面110A、110Bで切断されて橋梁100から切り離されている。
【0053】
図4〜
図6は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を用いて、隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す断面図(橋梁100の橋軸方向と平行な鉛直面で、橋梁100の橋軸直直角方向の中央部付近を切断した断面図)である。
図4は撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す断面図(
図7のIV−IV線断面図)であり、
図5は撤去する既設上部工部材110を下降させた後の状態を示す断面図(
図8のV−V線断面図)であり、
図6は下降させた既設上部工部材110を切断後にクレーン200で吊り上げて撤去する直前の状態を示す断面図(
図9のVI−VI線断面図)である。
【0054】
図7〜
図9は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す断面図(橋梁100の橋軸直角方向と平行な鉛直面で、橋梁100を切断した断面図)である。
図7は撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す断面図(
図1および
図4のVII−VII線断面図)であり、
図8は撤去する既設上部工部材110を下降させた後の状態を示す断面図(
図2および
図5のVIII−VIII線断面図)であり、
図9は下降させた既設上部工部材110を切断後にクレーン200で吊り上げて撤去する直前の状態を示す断面図(
図3および
図6のIX−IX線断面図)である。
図1および
図4に
図7の断面図の切断位置を示し、
図2および
図5に
図8の断面図の切断位置を示し、
図3および
図6に
図9の断面図の切断位置を示すように、いずれの切断位置も橋脚102を切断する位置ではなく、
図7〜
図9において、既設上部工部材110以外の部位は、橋軸方向から見た側面図と同様の図となっている。なお、
図3、
図6および
図9において、クレーン200の本体は記載しておらず、吊り上げに用いるフック等のみ記載しており、このフック等に符号200を付している。
【0055】
図10は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す断面図(橋梁100の橋軸直角方向と平行な鉛直面で、橋梁100を切断した断面図)であり、撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す断面図(
図1および
図4のX−X線断面図)である。
図1および
図4に
図10の断面図の切断位置を示すように、
図10は、上下方向レール22のウェブの中央部付近を通る、橋梁100の橋軸直角方向と平行な鉛直面で切断して得られた断面を示す断面図である。
【0057】
図15は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の下部を橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図(
図11のXV−XV線矢視図)である。
【0058】
図16は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の上部を橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図(
図1のXVI部拡大図)であり、
図17は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の上部を橋梁100の橋軸方向から見た側面図である。
図18は、
図16のXVIII−XVIII線断面図である。ただし、
図18では、本体部20の部材のみを記している。
【0059】
なお、以下では、橋梁100の橋軸方向を単に「橋軸方向」と記し、橋梁100の橋軸直角方向を単に「橋軸直角方向」と記すことがある。
【0060】
本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10は、橋脚102に近接した左側設備10Aと、橋脚104に近接した右側設備10Bと、2つの架台10C、10Dと、からなる。上部工部材撤去設備10の左側設備10Aと右側設備10Bとは、撤去する既設上部工部材110の長さとほぼ同じ長さだけ橋軸方向に隔てられて対向して配置されている。架台10C、10Dは、橋軸直角方向から見て、撤去する既設上部工部材110をおおよそ3等分するような位置で、かつ、撤去する既設上部工部材110の下方に配置されている。
【0061】
上部工部材撤去設備10の左側設備10Aと右側設備10Bは同じ構成であり、どちらも、本体部20と、反力受け基礎部40と、を有してなり、本体部20の下方に反力受け基礎部40が配置されている。本体部20は撤去する既設上部工部材110の端部を直接的に支持しつつ、安全に下降させる機能を有する部位である。反力受け基礎部40は、本体部20が支持する既設上部工部材110の荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに安全に地盤500に伝達する機能を有する部位である。本第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10は、反力受け基礎部40を備えることにより、撤去する既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際に本体部20が受ける荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに地盤500に伝達することができるので、本体部20が既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際にも、橋脚102、104に伝達される荷重を、橋脚102、104の安全性を確保できる範囲内にすることができる。
【0062】
本体部20を構成する部材および反力受け基礎部40を構成する部材について説明する際に、左側設備10Aの部材または右側設備10Bの部材として取り上げて説明することがあるが、説明していない側の設備の対応する部材についても同様の説明が当てはまるので、左側設備10Aと右側設備10Bの対応する部材には同一の符号を付しており、左側設備10Aまたは右側設備10Bのうちの片方の部材のみを取り上げて説明して、他方の対応する部材についての説明は省略することがある。
【0063】
本体部20は、上下方向レール22と、昇降装置24と、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26と、レール保持用上下方向部材28と、橋軸直角方向連結部材30と、反対側橋軸直角方向連結部材32と、橋軸方向連結部材34と、残置部受け用橋軸直角方向部材36と、を有してなる。
【0064】
上下方向レール22は、橋梁100の橋軸方向に隣接する橋脚102、104それぞれに上下方向に取り付けられていて、橋脚102、104それぞれについて、橋梁100の橋軸直角方向に間隔を開けて4本ずつ配置されている。
【0065】
また、上下方向レール22は、橋梁100の橋軸直角方向から見て、橋脚102、104の間の径間106内に位置しており、かつ、その位置は、橋脚102、104の対向する側面に近傍の位置であり、径間106の端部付近である。
図1〜
図6に示すように、撤去する既設上部工部材110の両端面の位置は、切断面110A、110Bであるところ、上下方向レール22は、その全体が、切断面110A、110Bの位置よりもさらに橋脚102、104に近い位置に位置している。このため、上方から見て、撤去する既設上部工部材110は、橋脚102、104と重ならないだけでなく、上下方向レール22とも重ならない。
【0066】
上下方向レール22はH鋼であり、上下方向レール22に沿って上下に移動する昇降装置24と直接的に連結する部材であり、昇降装置24を支持するとともにその移動方向を案内する設備である。
【0067】
また、本第1実施形態では、上下方向レール22は、上下方向レール22よりも大きい断面形状のH鋼であるレール保持用上下方向部材28に取り付けられて、橋脚102、104に取り付けられている。
図19は、上下方向レール22がレール保持用上下方向部材28に取り付けられた状態をその長手方向から見た図である。上下方向レール22においては適宜の間隔で補強プレート22Cが設けられ、レール保持用上下方向部材28においては適宜の間隔で補強プレート28Cが設けられている。上下方向レール22の補強プレート22Cには、切り欠き22C1がフランジ22Aの近傍の部位に設けられており、上下に移動する昇降装置24と干渉しないようになっている。
【0068】
撤去する既設上部工部材110の重量と昇降装置24の出力から、必要な昇降装置24の数を算出し、必要な昇降装置24の数と同数以上の上下方向レール22を橋脚102、104に設置する。撤去する既設上部工部材110の両端部付近に位置する橋脚102、104の対向する側面の近傍にそれぞれ同数の昇降装置24を配置するので、算出した必要な昇降装置24の数の半数以上の数だけ、上下方向レール22および昇降装置24を、橋脚102、104それぞれに設置する。ここで、上下方向レール22および昇降装置24を設置する数を、計算で得られた必要数の「半数以上の数」としたのは、計算で得られた必要数の半数を橋脚102、104それぞれに設置するだけでも計算上は足りるが、必要数の半数よりも多い数だけを橋脚102、104それぞれに設置することにより、撤去する既設上部工部材110を支持する昇降装置24の合計の出力に余裕が得られるようにしてもよいという趣旨である。ただし、必要数よりも多く設置しすぎるとコスト増が大きくなるので、その点に留意する。
【0069】
また、出力の大きい昇降装置24を設置するためには、それに見合った断面性能を有する上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28を用いる必要があるので、上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28の断面性能と昇降装置24の出力とのバランスに配慮して、採用する上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28の断面性能および数と昇降装置24の数を決定することが好ましい。
【0070】
左側設備10Aの上下方向レール22と橋脚102との間および右側設備10Bの上下方向レール22と橋脚104との間には、
図1〜
図6、
図13、
図14に示すように、上下方向レール22と同一の方向に延びるレール保持用上下方向部材28が配置されている。前述したように、上下方向レール22はH鋼であり、レール保持用上下方向部材28もH鋼である。
図14に示すように、上下方向レール22の橋脚102に近い側のフランジ22Bは、レール保持用上下方向部材28の橋脚102から遠い側のフランジ28Aにボルト22B1によって取り付けられており、上下方向レール22は、長手方向が同一方向となるように、レール保持用上下方向部材28に連結されている。また、レール保持用上下方向部材28は、橋軸直角方向連結部材30に取り付けられているところ、
図18、
図1、
図11、
図13等に示すように、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34は、橋脚102、104それぞれの周囲を一周巻き込むようにして配置されており、橋脚102、104それぞれに隙間なく取り付けられていて、橋脚102、104に一体的に固定されるように取り付けられている。したがって、上下方向レール22は、レール保持用上下方向部材28、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34を介して、橋脚102、104に一体的に固定されるように橋脚102、104に取り付けられている。
【0071】
ただし、橋脚102、104それぞれの周囲を一周巻き込むようにして配置されている、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34は、後打ちアンカー等による接合で橋脚102、104に取り付けられているわけではなく、橋脚102、104それぞれの周囲を一周巻き込むようにして配置されていて、橋脚102、104の外周面と密着しているだけであるので、撤去する既設上部工部材110を橋梁100から切り離して下降させる際に上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28に加わる下向きの荷重は、橋脚102、104にはほとんど伝達されず、上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28に加わる下向きの荷重の大部分は、反力受け基礎部40を介して地盤500に伝達される。橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34は、上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28に加わる下向きの荷重を橋脚102、104に伝達する役割は有しておらず、既設上部工部材110を橋梁100から切り離して下降させる際に上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28に下向きの荷重が加わった際にも、上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28が上下方向に立設した状態を保持できるように補助することが、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34の役割である。
【0072】
橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34としては、具体的には例えばH鋼を用いることができる。
【0073】
昇降装置24は、上下方向レール22に沿って上下に移動する昇降装置である。撤去する既設上部工部材110の両端部に位置する橋脚102、104それぞれに4本の上下方向レール22が取り付けられていて、上下方向レール22それぞれに1つの昇降装置24が取り付けられており、径間106内において、橋脚102、104それぞれに昇降装置24が4台ずつ配置されている。
【0074】
図16、
図17、
図7等に示すように、1つの昇降装置24は、1つのクレビスジャッキ24A、2つのH鋼クランプ24B、1つのブラケット24Cを有してなり、クレビスジャッキ24Aの上下の両端部にH鋼クランプ24Bがそれぞれ取り付けられている。クレビスジャッキ24Aの上端(ロッド24A1の先端)に取り付けられたH鋼クランプ24Bには、ブラケット24Cが取り付けられている。そして、4つの昇降装置24の4つのブラケット24Cが、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26を下方から支持している。上部工部材受け用橋軸直角方向部材26は、既設上部工部材110の橋軸直角方向の長さに相当する長さ以上の長さを有する鋼製の長尺部材であり、橋軸直角方向に水平方向に配置されており、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26が、既設上部工部材110の橋軸方向両端部を下方から支持する。
【0075】
図20および
図21は、昇降装置24のクレビスジャッキ24AおよびH鋼クランプ24Bが上下方向レール22に沿って移動する機構を模式的に示す図であり、
図20は橋軸直角方向から見た図であり、
図21は橋軸方向から見た図である。
図20および
図21においては、ブラケット24Cおよび上部工部材受け用橋軸直角方向部材26の記載は省略している。
【0076】
図20(a)および
図21(a)は、クレビスジャッキ24Aのロッド24A1が収縮した状態であり、この状態において、クレビスジャッキ24Aの下端に取り付けられたH鋼クランプ24Bは解放されており、クレビスジャッキ24Aの上端(ロッド24A1の先端)に取り付けられたH鋼クランプ24Bは締め付けられている。次に、
図20(b)および
図21(b)に示すように、クレビスジャッキ24Aのロッド24A1を伸長させる。ロッド24A1の伸長完了後、クレビスジャッキ24Aの下端に取り付けられたH鋼クランプ24Bを締め付け、その後にロッド24A1の先端に取り付けられたH鋼クランプ24Bを解放し、ロッド24A1を収縮させて
図20(c)および
図21(c)に示す状態にする。
図20(c)および
図21(c)に示す状態において、クレビスジャッキ24Aの上端(ロッド24A1の先端)に取り付けられたH鋼クランプ24Bを締め付けた後、クレビスジャッキ24Aの下端に取り付けられたH鋼クランプ24Bを解放することで、昇降装置24は
図20(a)および
図21(a)と同様の状態にもどり、昇降装置24の移動の1サイクルが完了して、昇降装置24はクレビスジャッキ24Aのロッド24A1の1ストローク分の距離だけ下方に移動したことになる。
【0077】
図20(a)〜(c)および
図21(a)〜(c)に示す動作を繰り返すことで、昇降装置24は上下方向レール22に沿って下方に移動していくことができる。昇降装置24を上方に移動させる際には、クレビスジャッキ24Aの上下の両端部に取り付けられた2つのH鋼クランプ24Bの締め付けおよび解放の動作を、下方に移動させるときとは逆にすればよい。
【0078】
本第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10は、左側設備10Aおよび右側設備10Bのそれぞれにおいて4つの昇降装置24を用いており、合計で8つの昇降装置24(8つのクレビスジャッキ24A)を用いている。既設上部工部材110を下方向にスムーズに下降させるためには、合計で8つのクレビスジャッキ24Aの動作を同期同調させることが必要であるが、これは一般的に用いられているコンピュータ制御技術により行うことができる。
【0079】
上部工部材受け用橋軸直角方向部材26は、既設上部工部材110の橋軸直角方向の長さに相当する長さ以上の長さを有する鋼製の長尺部材であり、橋軸直角方向に水平方向に配置されており、既設上部工部材110の橋軸方向両端部を下方から支持する。また、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26は、4つの昇降装置24の4つのブラケット24Cによって下方から支持されており、昇降装置24が上下方向に移動することに伴って、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26も上下方向に移動できるようになっている。
【0080】
本第1実施形態では、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26として、長さ方向に適宜の間隔で補強用のプレートが溶接されたH鋼を用いている。
【0081】
レール保持用上下方向部材28は、
図1〜
図6、
図13、
図14に示すように、上下方向レール22と同一の方向に延びるH鋼であり、左側設備10Aの上下方向レール22と橋脚102との間および右側設備10Bの上下方向レール22と橋脚104との間に配置されており、前述したようにボルト22B1によって上下方向レール22に連結されている。
【0082】
レール保持用上下方向部材28は、上下方向レール22を補強および補剛するとともに、上下方向レール22同士をその長手方向に継ぎ合わせる際の連結部となる役割を有する。レール保持用上下方向部材28を備えることにより、上下方向レール22同士をその長手方向に継ぎ合わせる際にも、上下方向レール22に添わせる添え板等の部材を不要にすることができる。このため、レール保持用上下方向部材28を備えることにより、上下方向レール22は、その本来の役割(上下方向レール22に沿って上下に移動する昇降装置24と直接的に連結して支持するとともにその移動方向を案内する役割)を発揮しやすくなっている。
【0083】
ただし、取り付けられた昇降装置24から、1本当たりの上下方向レール22に伝達される荷重が大きくない場合などで、レール保持用上下方向部材28を設けなくても安全上問題が生じないことを確認できた場合には、レール保持用上下方向部材28の設置を省略してもよい。
【0084】
橋軸直角方向連結部材30は、
図1〜
図18に示すように、橋脚102、104の橋軸方向の側方に、橋軸直角方向に配置されたH鋼部材であり、上下方向に間隔を開けて合計で4本配置されている。また、左側設備10Aのレール保持用上下方向部材28と橋脚102との間および右側設備10Bのレール保持用上下方向部材28と橋脚104との間に配置されている。また、
図14に示すように、ボルト30A1によって、レール保持用上下方向部材28のフランジ28Bが橋軸直角方向連結部材30のフランジ30Aに連結されており、4本の橋軸直角方向連結部材30はそれぞれ4本のレール保持用上下方向部材28に井桁状に連結されている。
【0085】
このため、4本のレール保持用上下方向部材28は、橋軸直角方向連結部材30を介して相互に応力を伝達できるようになっており、4本のレール保持用上下方向部材28のうちの特定のレール保持用上下方向部材28に荷重が集中的に加わることを防止できるようになっている。また、同時に、橋軸直角方向連結部材30は、特定のレール保持用上下方向部材28のみの水平方向の変位が大きくなることを防止しており、レール保持用上下方向部材28が座屈することを防止している。
【0086】
さらに、
図18、
図1〜
図3、
図7〜
図10に示すように、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34は、橋脚102、104それぞれの周囲を一周巻き込むように配置されており、橋脚102、104それぞれに隙間なく取り付けられていて、橋脚102、104に一体的に固定されるように取り付けられている。このため、特定のレール保持用上下方向部材28へ応力が集中することや特定のレール保持用上下方向部材28のみの水平方向の変位が大きくなることを防止する効果がさらに大きくなっている。
【0087】
また、橋軸方向連結部材34は、
図18に示すように、4本のレール保持用上下方向部材28のうち、橋軸直角方向外側に位置する2本のレール保持用上下方向部材28に対応する位置(橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32の橋軸直角方向の両端部付近)にも配置されていて、橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32と連結しており、橋軸方向連結部材34は、1本の橋軸直角方向連結部材30および1本の反対側橋軸直角方向連結部材32あたり、橋軸直角方向に合計で4本配置されている。橋軸方向連結部材34を橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32の橋軸直角方向の両端部付近にも配置して、橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32に連結することにより、橋軸方向連結部材34は、橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32の両端部付近の剛性も向上させている。
【0088】
残置部受け用橋軸直角方向部材36は、既設上部工部材110を切断面110A、110Bで切断した後に、橋脚102、104の上方に残る既設上部工部材112、114を下方から支持する鋼製の長尺部材であり、既設上部工部材112、114の橋軸直角方向の長さに相当する長さ以上の長さを有する。残置部受け用橋軸直角方向部材36は、橋軸直角方向に水平方向に配置されていて、4本のレール保持用上下方向部材28によって下方から支持されており、橋脚102、104の上方に残る既設上部工部材112、114が橋脚102、104から落下しないように下方から支持する。具体的には、残置部受け用橋軸直角方向部材36は、残置部受け用橋軸直角方向部材36の下面に4本のレール保持用上下方向部材28の上端面が当接するように、4本のレール保持用上下方向部材28に取り付けられており、4本のレール保持用上下方向部材28が残置部受け用橋軸直角方向部材36を下方から支持している。
【0089】
本第1実施形態では、残置部受け用橋軸直角方向部材36として、長さ方向に適宜の間隔で補強用のプレートが溶接されたH鋼を用いており、残置部受け用橋軸直角方向部材36は、ボルト接合により、4本のレール保持用上下方向部材28と連結されている。
【0090】
以上、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20を構成する各部材について説明してきたが、次に、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の反力受け基礎部40を構成する各部材について説明する。
【0091】
反力受け基礎部40は、本体部20が支持する既設上部工部材110の荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに安全に地盤500に伝達する機能を有する部位である。本第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10は、反力受け基礎部40を備えることにより、撤去する既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際に本体部20が受ける荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに地盤500に伝達することができるので、本体部20が既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際にも、橋脚102、104に伝達される荷重を、橋脚102、104の安全性を確保できる範囲内にすることができる。
【0092】
反力受け基礎部40は、
図11および
図12等に示すように、フーチング上面固定架台42と、高さ調整架台44と、後打ち杭46と、受け梁48と、を有してなり、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20が受ける鉛直方向下向きの荷重を地盤500に伝達する役割を有する。前述したように、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34は、後打ちアンカー等による接合で橋脚102、104に取り付けられているわけではなく、橋脚102、104それぞれの周囲を一周巻き込むようにして配置されていて、橋脚102、104の外周面と密着しているだけであるので、撤去する既設上部工部材110を橋梁100から切り離して下降させる際に上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28に加わる下向きの荷重は、橋脚102、104にはほとんど伝達されず、上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28に加わる下向きの荷重の大部分は、反力受け基礎部40を介して地盤500に伝達される。
【0093】
フーチング上面固定架台42は、橋脚102、104の橋軸方向に対向する側面に平行に、フーチング150、152の上面にそれぞれ設置されたH鋼であり、フーチング150、152の上面に直接的に接するように配置されている。また、フーチング上面固定架台42の配置位置を、既設上部工部材110の位置との関係で言うと、フーチング上面固定架台42は、上方から見て、撤去する既設上部工部材110の端部に対して略橋軸直角方向の位置および撤去する既設上部工部材110の端部と重なる位置のうちの少なくとも一方の位置に配置されている。
【0094】
高さ調整架台44は、フーチング上面固定架台42の上に配置されており、調整プレート等で高さを調整できる部材であり、高さ調整架台44の上面は、後打ち杭46の上端面と同一の高さ位置となるように調整する。
【0095】
本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20から反力受け基礎部40に伝達される鉛直方向下向きの荷重の一部は、フーチング上面固定架台42および高さ調整架台44を介してフーチング150、152に伝達されて地盤500に伝達される。
【0096】
後打ち杭46は、橋脚102、104のフーチング150、152の上面に設置したフーチング上面固定架台42および高さ調整架台44の橋軸直角方向の側方(上方から見て、撤去する既設上部工部材110の端部に対して略橋軸直角方向の位置および撤去する既設上部工部材110の端部と重なる位置のうちの少なくとも一方の位置)において、地盤500に打設された後打ち杭である。本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20から反力受け基礎部40に伝達される鉛直方向下向きの荷重の一部は、後打ち杭46を介して地盤500に伝達される。
【0097】
本第1実施形態では、後打ち杭46として、H鋼を用いているが、H鋼以外の部材を後打ち杭46として用いてもよく、例えば、コンクリート杭等を用いてもよい。
【0098】
なお、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20から反力受け基礎部40に伝達される鉛直方向下向きの荷重を、フーチング上面固定架台42および高さ調整架台44を介してフーチング150、152へ伝達するのみで、安全に地盤500に伝達できることを確認できた場合には、後打ち杭46の打設は省略してもよい。
【0099】
また、逆に、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20から反力受け基礎部40に伝達される鉛直方向下向きの荷重を、後打ち杭46へ伝達するのみで、安全に地盤500に伝達できることを確認できた場合には、フーチング上面固定架台42および高さ調整架台44の設置は省略してもよい。
【0100】
受け梁48は、反力受け基礎部40の最上部に配置される部材で、レール保持用上下方向部材28の下方に配置されており、レール保持用上下方向部材28の下端面に連結されている。上部工部材撤去設備10の本体部20が受ける鉛直方向下向きの荷重の大部分は、本体部20のレール保持用上下方向部材28から受け梁48へと伝達される。
【0101】
受け梁48は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20が受ける鉛直方向下向きの荷重の大部分を直接的に受け止める部材であり、受け止めた荷重を、高さ調整架台44およびフーチング上面固定架台42を介してフーチング150、152に伝達して地盤500に伝達するとともに、後打ち杭46を介して地盤500に伝達する。受け梁48の長さは、橋軸直角方向連結部材30と同等程度の長さである。
【0102】
本第1実施形態では、受け梁48として、長さ方向に適宜の間隔で補強用のプレートが溶接されたH鋼を用いており、受け梁48は、高さ調整架台44の上面および後打ち杭46の上端面の上に設置されており、ボルト接合により、高さ調整架台44および後打ち杭46と連結されている。
【0103】
以上、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20および反力受け基礎部40を構成する各部材について説明してきた。その説明において、各部材に用いる具体例にH鋼を取り上げることが多かったが、各部材に要求される性能を有する部材であれば、H鋼以外の部材を用いてもよい。
【0104】
本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構成の説明の最後に、架台10C、10Dについて説明する。
【0105】
本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10は、前述したように、橋脚102に近接した左側設備10Aと、橋脚104に近接した右側設備10Bと、2つの架台10C、10Dと、からなるが、架台10C、10Dは、橋軸直角方向から見て、撤去する既設上部工部材110をおおよそ3等分するような位置に、撤去する既設上部工部材110の下方に配置されており、上部工部材撤去設備10によって下降させられた、撤去する既設上部工部材110は、架台10C、10Dの上に載置される。
【0106】
架台10C、10Dの上に載置された既設上部工部材110は、長手方向の長さが短くなるように、切断面110C、110Dで切断した後、クレーン200(
図3、
図6および
図9参照)で吊り上げて撤去する。
【0107】
架台10C、10Dを設けることにより、昇降装置24を下降させた際にも、昇降装置24が、橋脚102、104のフーチング150、152や地盤500と干渉しないようにすることができる。また、撤去する既設上部工部材110を地盤500の地表面の上ではなく、架台10C、10Dの上に載置することにより、既設上部工部材110を切断して解体する作業を行いやすくなる。昇降装置24を下降させた際にも、昇降装置24が、橋脚102、104のフーチング150、152や地盤500と干渉しないようにする観点、および既設上部工部材110の切断解体作業を行いやすくするという観点から、架台10C、10Dの地盤500の地表面からの高さは、1m以上3m以下にすることが好ましい。
【0108】
(1−2)第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成
本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10は、撤去する既設上部工部材110を支持しつつ下降させることができる能力を備えているが、本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12(
図43〜
図47参照)は、それに加えて、架設する新設橋桁を支持しつつ上昇させることができる能力を備えている。この能力の違いが、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10と本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12との相違点である。
【0109】
前記能力の違いは、昇降装置24の出力および数、ならびに上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28の断面性能および数を調整することによって対応することができる。
【0110】
したがって、本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12の基本的な構成は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構成と同様であるので、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構成についての説明をもって、本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12の構成についての説明に代えることとする。
【0111】
なお、通常の場合、撤去する既設上部工部材110には、主桁だけでなく、床版等も含まれており、既設主桁と既設床版等を同時に撤去することになるが、新たに架設する新設上部工部材160(
図45〜
図47参照)は、通常の場合、主桁のみであり、新たに設ける床版は、新設主桁を橋梁100の所定の位置に架設後に、橋梁100の上部工としての高さ位置で打設することになる。したがって、通常の場合、撤去する既設上部工部材110の重量の方が、新たに架設する新設上部工部材160の重量よりも大きいので、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を、そのまま、本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12として用いることができる場合が多い。
【0112】
(1−3)第1実施形態に係る上部工部材撤去設備の構築方法
本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構築方法について説明するが、橋脚102に近接した左側設備10Aを構築する場合を取り上げて説明する。橋脚104に近接した右側設備10Bを構築する場合も同様である。
【0113】
図22〜
図26、
図30、
図31、
図33、
図34は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を構築する際の各段階の状態を模式的に示す正面図または側面図であり、
図27は仮受けブラケット90を示す正面図であり、
図28は仮受けブラケット90を示す側面図(
図27のXXVIII線矢視図)であり、
図29、
図32、
図35は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を構築する際の各段階の状態において、橋脚102を水平面で切断して得られた切断面を上方から見た断面図である。ただし、
図29、
図32、
図35では、本体部20の部材のみを記載している。また、
図24、
図26、
図31、
図34では、図示の都合上、後打ち杭46の記載を省略している。
【0114】
以下、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構築方法を、ステップに分けて説明する。ただし、図面については、主要なステップにおける状態のみを模式的に示しており、1つの図面を複数のステップの説明に用いることがある。
【0115】
<ステップS1>
橋脚102のフーチング150の天端まで掘削し、橋脚102のフーチング150の上面を露出させる(
図22〜
図24参照)。
【0116】
<ステップS2>
フーチング150の上面に後打ちアンカー(図示せず)を設置し、設置した後打ちアンカーで、フーチング上面固定架台42をフーチング150の上面に設置する(
図22、
図24参照)。
【0117】
<ステップS3>
設置したフーチング上面固定架台42に高さ調整架台44をボルトで固定する(
図22、
図24参照)。
【0118】
<ステップS4>
設置したフーチング上面固定架台42および高さ調整架台44の橋軸直角方向外側で、かつ、撤去する既設上部工部材108の両外桁位置またはその外側の位置に対応する地盤500の位置にH鋼からなる後打ち杭46を打設する。後打ち杭46の打設は、例えば、クレーン202で吊り上げたバイブロハンマー250等を用いて行うことができる(
図22および
図23参照)。フーチング150が、撤去する既設上部工部材108の両外桁位置にまで達しているほど橋軸直角方向に長い場合、後打ち杭46は原則として不要である。
【0119】
<ステップS5>
高さ調整架台44の高さを調整プレート(図示せず)等で調整して、高さ調整架台44の天端高さと後打ち杭46の天端高さを同一にする(
図22参照)。
【0120】
<ステップS6>
高さ調整架台44の天端高さと後打ち杭46の天端高さを同一にした後、高さ調整架台44の上面と後打ち杭46の上端面に、受け梁48をクレーン204で吊り上げて設置し、高さ調整架台44および後打ち杭46にボルトで固定する(
図22および
図24参照)。なお、図示の都合上、
図24では後打ち杭46の記載を省略している。
【0121】
<ステップS7>
橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34を配置する位置に合せて、仮受けブラケット90を後打ちアンカー92で、橋脚102に取り付ける(
図25〜
図28参照)。後打ちアンカー92の橋脚102への取り付けは、高所作業車220の作業台に乗った作業員が行う。
【0122】
<ステップS8>
橋軸直角方向連結部材30をクレーン204で吊り上げて、橋脚102に取り付けた仮受けブラケット90上に設置する(
図25および
図26参照)。また、反対側橋軸直角方向連結部材32も、同様に、クレーン204で吊り上げて、橋脚102に取り付けた仮受けブラケット90上に設置する(
図26参照)。
【0123】
ここで、最上部の橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32は、桁下空間が狭いため、既設上部工部材108の外側から桁下へ橋軸直角方向に引き込む(
図25および
図26参照)。
【0124】
<ステップS9>
橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32を、仮受けブラケット90上に配置して、橋脚102の橋軸方向の両側面に沿って設置した後、橋軸方向連結部材34を橋脚102の橋軸直角方向の両側面に沿って設置して、橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32と連結し、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34を、橋脚102の周囲を一周巻き込むようにして配置して、橋脚102に隙間なく取り付け、橋脚102に一体的に固定されるように取り付ける(
図26および
図29参照)。この取り付けの際には、調整プレート(図示せず)やキリンジャッキ(図示せず)等により、橋軸方向連結部材34の長さを橋脚102の橋軸方向の幅に合うように調整し、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34を、橋脚102に隙間なく取り付け、橋脚102に一体的に固定されるように取り付けることに留意する。
【0125】
また、橋軸直角方向連結部材30および反対側橋軸直角方向連結部材32の両端部付近にも、橋軸方向連結部材34を取り付ける。
【0126】
この取り付けが終了した後の橋脚102を水平面で切断して得られた切断面を上方から見た断面図(
図26のXXIX−XXIX線断面図)を
図29に示す。
【0127】
また、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34を設置する高さ位置の橋脚102の表面にはクッション材等の養生材を配置し、橋軸直角方向連結部材30、反対側橋軸直角方向連結部材32および橋軸方向連結部材34と橋脚102の表面との間にはクッション材等の養生材を配置して、橋脚102に損傷を与えないようにすることが好ましい。
【0128】
<ステップS10>
上下方向レール22とレール保持用上下方向部材28とを、地上においてボルト22B1で連結して、一体化する(
図19参照)。
【0129】
<ステップS11>
一体化した上下方向レール22とレール保持用上下方向部材28とを、クレーン204で吊り上げて、受け梁48の上面にレール保持用上下方向部材28の下端面が配置されるように配置して、レール保持用上下方向部材28を受け梁48にボルトで連結するとともに、レール保持用上下方向部材28を橋軸直角方向連結部材30にボルトで連結して、1段目の上下方向レール22とレール保持用上下方向部材28を設置する(
図30および
図31参照)。
【0130】
<ステップS12>
1段目の上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28の設置完了後、必要な段数だけ、順次、一体化した上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28を、先に取り付けた上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28それぞれと一直線状に配置されるように所定の位置に配置して、レール保持用上下方向部材28を橋軸直角方向連結部材30にボルトで連結する(
図30および
図31参照)。また、上下に隣り合うレール保持用上下方向部材28(例えば、1段目のレール保持用上下方向部材28と2段目のレール保持用上下方向部材28)同士を添接板等で連結する。その際、上下方向レール22同士の間隔の精度管理、上下方向レール22の鉛直度の精度管理、および上下方向レール22同士の継手部のずれの精度管理に留意する。
【0131】
この取り付けが終了した後の橋脚102を水平面で切断して得られた切断面を上方から見た断面図(
図31のXXXII−XXXII線断面図)を
図32に示す。
【0132】
<ステップS13>
各上下方向レール22に昇降装置24を取り付け、さらに、連動操作盤(図示せず)と油圧ホース(図示せず)を連結した後、全ての昇降装置24のクレビスジャッキ24AとH鋼クランプ24Bを連動可能なようにする。
【0133】
<ステップS14>
連動操作盤(図示せず)により、各上下方向レール22に取り付けた昇降装置24のブラケット24Cの高さを揃えた状態にした後、クレーン204で上部工部材受け用橋軸直角方向部材26を吊り上げて、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26をブラケット24Cに取り付ける(
図33参照)。
【0134】
<ステップS15>
レール保持用上下方向部材28の上端面に、残置部受け用橋軸直角方向部材36を設置する(
図33参照)。残置部受け用橋軸直角方向部材36は、既設上部工部材108(
図36参照)の端部の下面直下近傍に設置されるため、既設上部工部材108の外側より、既設上部工部材108の下面直下近傍に引き込む。
【0135】
ステップS15の完了により、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構築は完了する。ステップS15が完了した状態の正面図(橋脚102を橋軸直角方向から見た正面図)を
図34に示し、
図34のXXXV−XXXV線断面図を
図35に示す。ただし、
図34では、図示の都合上、後打ち杭46の記載を省略し、
図35では、図示の都合上、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26の記載を省略している。
【0136】
(1−4)第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構築方法
「(1−2)第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成」で前述したように、本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12(
図43〜
図47参照)の基本的な構成は、本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構成と同様であるので、「(1−3)第1実施形態に係る上部工部材撤去設備の構築方法」で記載した本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構築方法についての説明をもって、本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12の構築方法についての説明に代えることとする。
【0137】
(1−5)第1実施形態に係る上部工部材撤去方法
本発明の第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去する撤去方法(本第1実施形態に係る上部工部材撤去方法)の各ステップにおける状態を
図36〜
図42に示す。
図36〜
図42は、前記各ステップにおける状態を橋軸直角方向から見た正面図である。
図36〜
図42を参照しつつ、本第1実施形態に係る上部工部材撤去方法を説明する。
【0138】
なお、橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114を撤去するステップS106は、本発明に係る上部工部材撤去方法における必須のステップではないが、通常は、橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114の撤去も行うので、このステップS106も本第1実施形態に係る上部工部材撤去方法に含めている。
【0139】
図36は、切断前の既設上部工部材108の荷重のうちの所定量を上部工部材受け用橋軸直角方向部材26が下方から支持している状態を示す正面図であり、
図37は、撤去する既設上部工部材110を橋梁100から切り離した直後の状態を示す正面図であり、
図38は、撤去する既設上部工部材110を下降させて架台10C、10Dに載置した状態を示す正面図であり、
図39は、撤去する既設上部工部材110を架台10C、10D上で切断した状態を示す正面図であり、
図40は、架台10C、10D上で切断した既設上部工部材110(110X、110Y、110Z)をクレーン200で吊り上げて撤去する直前の状態を示す正面図であり、
図41は、既設上部工部材110の撤去を行った後の状態を示す正面図であり、
図42は、橋脚102、104上に残った既設上部工部材112、114の撤去も完了した後の状態(橋脚102と橋脚104の間を架け渡していた既設上部工部材108の撤去が全て終わった後の状態)を示す正面図である。
【0140】
以下、
図36〜
図42を参照しつつ、本第1実施形態に係る上部工部材撤去方法をステップに分けて説明する。
【0141】
<ステップS101>
図36に示すように、昇降装置24を上下方向レール22に沿って扛上させ、切断前の既設上部工部材108の荷重を上部工部材受け用橋軸直角方向部材26に預けるとともに、残置部受け用橋軸直角方向部材36の上面にライナープレート(図示せず)を設置して、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26および残置部受け用橋軸直角方向部材36に等分に既設上部工部材108の荷重を負担させる(支持工程)。
【0142】
<ステップS102>
上部工部材受け用橋軸直角方向部材26および残置部受け用橋軸直角方向部材36に等分に既設上部工部材108の荷重を負担させた後、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26と残置部受け用橋軸直角方向部材36との間の位置(
図37の切断面110Aの位置および切断面110Bの位置)で、
図37に示すように、径間106内の既設上部工部材108を切断し、既設上部工部材110、112、114に切り分ける(切り離し工程)。
【0143】
切断面110A、110Bでの切断直後(昇降装置24の下降前の状態)においては、
図37に示すように、既設上部工部材110は、その両端部が上部工部材受け用橋軸直角方向部材26によって下方から支持されており、既設上部工部材112は、その両端部が残置部受け用橋軸直角方向部材36と橋脚102上の支点102Aとによって下方から支持されており、既設上部工部材114は、その両端部が残置部受け用橋軸直角方向部材36と橋脚104上の支点104Aとによって下方から支持されている。
【0144】
<ステップS103>
図38に示すように、昇降装置24を下降させて(下降工程)、撤去する既設上部工部材110を架台10C、10Dに載置する(下降載置工程)。詳細には、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26が支持する荷重と架台10C、10Dが支持する荷重が等分になるように、下降させた昇降装置24の高さ位置(上部工部材受け用橋軸直角方向部材26の高さ位置)を調整する。
【0145】
<ステップS104>
上部工部材受け用橋軸直角方向部材26が支持する荷重と架台10C、10Dが支持する荷重が等分になるように、下降させた昇降装置24の高さ位置(上部工部材受け用橋軸直角方向部材26の高さ位置)を調整した後、既設上部工部材110を架台10C、10D上で橋軸直角方向に切断する(
図39参照)。本第1実施形態では、架台10C、10Dは、橋軸直角方向から見て、撤去する既設上部工部材110をおおよそ3等分するような位置に、撤去する既設上部工部材110の下方に配置されている。このため、既設上部工部材110は、架台10C、10D上で橋軸直角方向に切断されると、長手方向におおよそ3等分される。おおよそ3等分に切断された既設上部工部材110の各部材を、既設上部工部材110X、110Y、110Zと称することとする。
【0146】
<ステップS105>
切断後の既設上部工部材110(既設上部工部材110X、110Y、110Z)を、
図40に示すように、地上に配置したクレーン200で吊り上げて搬出する(搬出工程)。ただし、
図40においては、クレーン200の部位のうち、吊り上げに用いるフック等のみを記載しており、このフック等に符号200を付している。
【0147】
切断後の既設上部工部材110(既設上部工部材110X、110Y、110Z)を架台10C、10D上から搬出、撤去した後の状態を
図41に示す。
【0148】
<ステップS106>
橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114を、地盤500上または橋梁100上に配置したクレーン(図示せず)で吊り上げて搬出、撤去する。
【0149】
橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114を搬出、撤去した後の状態(橋脚102と橋脚104の間を架け渡していた既設上部工部材108の撤去が全て終わった後の状態)を
図42に示す。
【0150】
なお、ステップS105とステップS106の順序は逆にしてもよい。
【0151】
(1−6)第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法
本第1実施形態に係る上部工部材撤去方法を実施した後、径間106内に新設上部工部材160を架設する上部工部材架け替え方法(本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12を用いて行う本第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法)について説明する。
【0152】
なお、橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114を撤去するステップS106、および橋脚102、104上に新たに新設上部工部材162、164(径間106の両端部に配置する短尺の新設上部工部材162、164)を設置するステップS107は、本発明に係る上部工部材架け替え方法における必須のステップではないが、上部工部材の架け替えでは、通常、ステップS106およびステップS107も行うので、これらのステップS106およびステップS107も本第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法に含めている。
【0153】
本第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法において、既設上部工部材108の撤去を完了するまでの方法は、「(1−5)上部工部材撤去方法」で説明した方法と同様であるので説明は省略し、既設上部工部材108の撤去を完了した後の状態から、新設上部工部材160の架設を完了するまでの方法について、ステップに分けて、
図43〜
図47を参照しつつ説明する。
図43〜
図47は、前記各ステップにおける状態を橋軸直角方向から見た正面図である。
【0154】
図43は、新設上部工部材162、164(径間106の両端部に配置する短尺の新設上部工部材162、164)を橋脚102、104上に新たに設置した状態を示す正面図であり、
図44は、新設上部工部材160を構成する新設上部工部材160X、160Y、160Zを、クレーン(図示せず)で上部工部材受け用橋軸直角方向部材26上および架台10C、10D上に配置した状態を示す正面図であり、
図45は、新設上部工部材160X、160Y、160Zを、添接板160Aで連結し、架設する新設上部工部材160を組み立てた状態を示す正面図であり、
図46は、新設上部工部材160を昇降装置24で上昇させて、橋梁100の上部工としての所定の高さ位置に新設上部工部材160を配置した状態を示す正面図であり、
図47は、新設上部工部材160の橋梁100への連結を終えた状態を示す正面図である。
【0155】
前述したように、本第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法において、既設上部工部材108を撤去するまでの方法は、「(1−5)上部工部材撤去方法」で説明した方法と同様であるので、「(1−5)上部工部材撤去方法」に記載したステップS101〜ステップS106についての説明をもって、本第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法における既設上部工部材108撤去までの各ステップについての説明に代えることとする。
【0156】
したがって、以下では、橋脚102と橋脚104の間を架け渡していた既設上部工部材108の撤去が全て終わった後の状態(
図42に示す状態)から、上部工部材架け替え設備12を用いて新設上部工部材160の架設を完了した状態までに関して、第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法について、ステップに分けて説明する(ステップS107〜ステップS113)。
【0157】
<ステップS107>
図42に示すように既設上部工部材108の撤去を終えた後、地盤500上または橋梁100上に配置したクレーン(図示せず)で、新設上部工部材162を橋脚102上に設置するとともに、新設上部工部材164を橋脚104上に設置する。新設上部工部材162、164を橋脚102、104上に設置した後の状態を
図43に示す。
図43に示すように、新設上部工部材162、164は、径間106(
図1参照)の両端部に配置される短尺の新設上部工部材である。
【0158】
<ステップS108>
昇降装置24の高さ位置を調整して、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26の高さ位置を、架台10C、10Dの高さに合わせた位置に合わせる。
【0159】
<ステップS109>
新設上部工部材160X、160Y、160Zを、地上に配置したクレーン(図示せず)で、
図44に示すように、上部工部材受け用橋軸直角方向部材26上および架台10C、10D上に配置する(新設上部工部材載置工程)。
【0160】
<ステップS110>
上部工部材受け用橋軸直角方向部材26上および架台10C、10D上に配置した新設上部工部材160X、160Y、160Zを、
図45に示すように、添接板160Aで連結し、架設する新設上部工部材160を組み立てる。
【0161】
<ステップS111>
組み立てた新設上部工部材160を昇降装置24で上昇させて、
図46に示すように、橋梁100の上部工としての所定の高さ位置に新設上部工部材160を配置する。
【0162】
<ステップS112>
橋梁100の上部工としての所定の高さ位置に配置された新設上部工部材160を、
図47に示すように、新設上部工部材162、164に添接板160B、160Cで連結する。
【0163】
<ステップS113>
新設上部工部材160を新設上部工部材162、164に添接板160B、160Cで連結した後、昇降装置24を下降させて、新設上部工部材160を支持していた荷重を開放し、上部工部材の架け替え作業を完了する。
【0164】
(1−7)第1実施形態の効果
本第1実施形態に係る上部工部材撤去設備および上部工部材架け替え設備ならびに上部工部材撤去方法および上部工部材架け替え方法によれば、橋脚102、104に上下方向に沿わせた上下方向レール22に沿って上下方向に昇降する昇降装置24を用いて既設上部工部材110の撤去および架け替えを行うことができるので、既設上部工部材110の高さ位置にまで届く重機を用いることを不要にすることができ、また、既設上部工部材110の高さ位置の近傍にまで到達するベントを構築することも不要にすることができる。
【0165】
このため、地上高が高い高架橋の既設上部工部材の撤去および架け替えを行う場合であっても、重機の小型化、ベント設備の簡素化、上部工部材の撤去・架設作業の効率化を図ることができる。
【0166】
(2)第2実施形態
(2−1)第2実施形態に係る上部工部材撤去設備の構成
図48〜
図50は、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す正面図(橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図)である。
図48は撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す正面図であり、
図49は撤去する既設上部工部材110を下降させた後の状態を示す正面図であり、
図50は下降させた既設上部工部材110を切断後にクレーン200で吊り上げて撤去する直前の状態を示す正面図である。なお、撤去する既設上部工部材110は、切断面110A、110Bで切断されて橋梁100から切り離されている。
【0167】
図51〜
図53は、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す断面図(橋梁100の橋軸方向と平行な鉛直面で、橋梁100の橋軸直直角方向の中央部付近を切断した断面図)である。
図51は撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す断面図(切断位置は
図7のIV−IV線に示す切断位置と同様の位置)であり、
図52は撤去する既設上部工部材110を下降させた後の状態を示す断面図(切断位置は
図8のV−V線に示す切断位置と同様の位置)であり、
図53は下降させた既設上部工部材110を切断後にクレーン200で吊り上げて撤去する直前の状態を示す断面図(切断位置は
図9のVI−VI線に示す切断位置と同様の位置)である。
【0168】
図54は、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の下部を橋軸方向に平行な鉛直面で切断した切断面を示す断面図(切断位置は
図11のXIII−XIII線に示す切断位置と同様の位置)である。
【0169】
図55は、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の下部を橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図である。
【0170】
図56は、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の上部を橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図(
図48のLVI部拡大図)であり、
図57は、
図56のLVII−LVII線断面図である。
【0171】
なお、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10についての
図7〜
図10に示す断面図は、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50についての同様の切断位置における断面図と同一であるので、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50についての以下の説明では、
図7〜
図10に示す断面図も援用して参照する。
【0172】
また、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の下部を橋軸方向から見た側面図は、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の下部を橋軸方向から見た側面図である
図11および
図12と同一である。また、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の下部の一部を拡大する拡大図である
図14に示す構成は、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50にも同様に当てはまる。また、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の上部を橋梁100の橋軸方向から見た側面図である
図17に示す構成は、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50にも同様に当てはまる。本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50についての以下の説明では、
図11、12に示す側面図、
図14に示す拡大図および
図17に示す側面図も援用して参照する。
【0173】
本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10と同様の構成を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも設けた構成となっているので、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50において、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の部材および装置に対応する部材および装置には、原則として同一の符号および名称を用い、説明は原則として省略する。
【0174】
本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、橋脚102に近接した左側設備50Aと、橋脚104に近接した右側設備50Bと、2つの架台10C、10Dと、からなる。上部工部材撤去設備50の左側設備50Aと右側設備50Bとは、撤去する既設上部工部材110の長さとほぼ同じ長さだけ橋軸方向に隔てられて対向して配置されている。架台10C、10Dは、橋軸直角方向から見て、撤去する既設上部工部材110をおおよそ3等分するような位置で、かつ、撤去する既設上部工部材110の下方に配置されている。
【0175】
上部工部材撤去設備50の左側設備50Aと右側設備50Bは同じ構成であり、どちらも、本体部52と、反力受け基礎部60と、を有してなり、本体部52の下方に反力受け基礎部60が配置されている。本体部52は撤去する既設上部工部材110の端部を直接的に支持しつつ、安全に下降させる機能を有する部位である。反力受け基礎部60は、本体部52が支持する既設上部工部材110の荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに安全に地盤500に伝達する機能を有する部位である。本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、反力受け基礎部60を備えることにより、撤去する既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際に本体部52が受ける荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに地盤500に伝達することができるので、既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際にも、橋脚102、104に伝達される荷重を、橋脚102、104の安全性を確保できる範囲内にすることができる。
【0176】
本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、前述したように、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10と同様の構成を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも設けた構成となっており、左側設備50Aおよび右側設備50Bのどちらにおいても、反対側橋軸直角方向連結部材32には、反対側レール保持用上下方向部材56が取り付けられ、反対側レール保持用上下方向部材56には反対側上下方向レール54が取り付けられている。そして、反対側上下方向レール54には昇降装置24が上下方向に移動可能なように取り付けられ、昇降装置24のブラケット24Cには上部工部材受け用橋軸直角方向部材26が取り付けられ、反対側レール保持用上下方向部材56の上端面には残置部受け用橋軸直角方向部材36が取り付けられている。
【0177】
また、反対側レール保持用上下方向部材56の下方には、第1実施形態の反力受け基礎部40と同様の構成の反力受け基礎部が設けられており、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の反力受け基礎部60は、橋脚102、104それぞれについて橋軸方向両側に反力受け基礎部40が設けられて構成されている。反対側レール保持用上下方向部材56および反対側上下方向レール54ならびに昇降装置24等の部材や装置は、径間126、136の橋脚102、104寄りの端部に設けられた反力受け基礎部40によって下方から支持されている。
【0178】
このため、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、橋脚102と橋脚104との間の径間106内の既設上部工部材110の撤去に用いることができるだけでなく、橋脚102、104において径間106と橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130の撤去にも用いることができる実施形態である。
【0179】
本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50について、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10と対比しつつ、さらに説明する。
【0180】
第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10では、上下方向レール22、レール保持用上下方向部材28および昇降装置24等の上下方向の移動に直接的に関与する部材や装置は、橋軸直角方向から見て、橋脚102と橋脚104との間の径間106の範囲内にしか設けられておらず、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136には設けられていなかったが、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50においては、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも、反対側上下方向レール54、反対側レール保持用上下方向部材56および昇降装置24等の上下方向の移動に直接的に関与する部材や装置が設けられている。
【0181】
また、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10では、後打ち杭46等からなる反力受け基礎部40は、橋軸直角方向から見て、橋脚102と橋脚104との間の径間106の範囲内にしか設けられていなかったが、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の反力受け基礎部60においては、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも、後打ち杭46等からなる反力受け基礎部40が設けられており、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の反力受け基礎部60は、橋脚102、104それぞれについて橋軸方向両側に反力受け基礎部40が設けられて構成されている。
【0182】
したがって、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、橋脚102と橋脚104との間の径間106内の既設上部工部材110の撤去に用いることができるだけでなく、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130の撤去にも用いることができるように構成されている。
【0183】
なお、径間126の他端側(径間126において橋脚102とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の橋脚102についての設備と同様の構成の設備が設けられ、径間136の他端側(径間136において橋脚104とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の橋脚104についての設備と同様の構成の設備が設けられているものとする。
【0184】
(2−2)第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成
本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備(図示せず)は、第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12と同様の構成を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも設けた構成からなる架け替え設備である。したがって、本発明の第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12の構成についての説明をもって、本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成についての説明に代えることとする。
【0185】
なお、径間126の他端側(径間126において橋脚102とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の橋脚102についての設備と同様の構成の設備が設けられ、径間136の他端側(径間136において橋脚104とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の橋脚104についての設備と同様の構成の設備が設けられているものとする。
【0186】
(2−3)第2実施形態に係る上部工部材撤去設備の構築方法
本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10と同様の構成を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも設けた構成となっているので、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構築方法を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも適用することで、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50を構築することができる。したがって、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の構築方法についての説明をもって、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の構築方法についての説明に代えることとする。
【0187】
(2−4)第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構築方法
本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備は、第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12と同様の構成を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも設けた構成となっているので、第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12の構築方法を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも適用することで、本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備を構築することができる。したがって、第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12の構築方法についての説明をもって、本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構築方法についての説明に代えることとする。
【0188】
(2−5)第2実施形態に係る上部工部材撤去方法
本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50は、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10と同様の構成を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも設けた構成となっており、橋脚102と橋脚104との間の径間106内の既設上部工部材110の撤去に用いることができるだけでなく、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130の撤去にも用いることができるように構成されている。本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50を用いて径間106内の既設上部工部材110を撤去する際の撤去方法は、第1実施形態に係る上部工部材撤去方法と同様であり、また、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130を撤去する際の撤去方法は、径間106内の既設上部工部材110を撤去する際の撤去方法と同様であるので、第1実施形態に係る上部工部材撤去方法についての説明をもって、本発明の第2実施形態に係る上部工部材撤去方法についての説明に代えることとする。
【0189】
なお、前述したように、径間126の他端側(径間126において橋脚102とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の橋脚102についての設備と同様の構成の設備が設けられ、径間136の他端側(径間136において橋脚104とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の橋脚104についての設備と同様の構成の設備が設けられているものとする。
【0190】
(2−6)第2実施形態に係る上部工部材架け替え方法
本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備は、第1実施形態に係る上部工部材架け替え設備12と同様の構成を、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)にも設けた構成となっており、橋脚102と橋脚104との間の径間106内の既設上部工部材110の架け替えに用いることができるだけでなく、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130の架け替えにも用いることができるように構成されている。本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備を用いて径間106内の既設上部工部材110を架け替える際の架け替え方法は、第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法と同様であり、また、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130を架け替える際の架け替え方法は、径間106内の既設上部工部材110を架け替える際の架け替え方法と同様であるので、第1実施形態に係る上部工部材架け替え方法についての説明をもって、本発明の第2実施形態に係る上部工部材架け替え方法についての説明に代えることとする。
【0191】
なお、前述したように、径間126の他端側(径間126において橋脚102とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の橋脚102についての設備と同様の構成の設備が設けられ、径間136の他端側(径間136において橋脚104とは反対の側)の橋脚にも、本第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の橋脚104についての設備と同様の構成の設備が設けられているものとする。
【0192】
(2−7)第2実施形態の効果
本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50および上部工部材架け替え設備ならびに上部工部材撤去方法および上部工部材架け替え方法によれば、橋脚102、104に上下方向に沿わせた上下方向レール22に沿って上下方向に昇降する昇降装置24を用いて既設上部工部材110の撤去および架け替えを行うことができるので、既設上部工部材110の高さ位置にまで届く重機を用いることを不要にすることができ、また、既設上部工部材110の高さ位置の近傍にまで到達するベントを構築することも不要にすることができる。
【0193】
このため、地上高が高い高架橋の既設上部工部材の撤去および架け替えを行う場合であっても、重機の小型化、ベント設備の簡素化、上部工部材の撤去・架設作業の効率化を図ることができる。
【0194】
また、本第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50および上部工部材架け替え設備ならびに上部工部材撤去方法および上部工部材架け替え方法によれば、橋脚102と橋脚104との間の径間106内の既設上部工部材110の撤去および架け替えに用いることができるだけでなく、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130の撤去および架け替えにも用いることができる。
【0195】
(3)第3実施形態
(3−1)第3実施形態に係る上部工部材撤去設備の構成
図58は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す正面図(橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図で、
図60のLVIII線矢視図)であり、撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す正面図である。撤去する既設上部工部材110は、切断面110A、110Bで切断されて橋梁100から切り離されている。
【0196】
図59は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す断面図(橋梁100の橋軸方向と平行な鉛直面で、橋梁100の橋軸直直角方向の中央部付近を切断した断面図)であり、撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す断面図(
図60のLIX−LIX線断面図)である。
【0197】
図60は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す断面図(橋梁100の橋軸直角方向と平行な鉛直面で、橋梁100を切断した断面図)であり、撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す断面図(
図58および
図59のLX−LX線断面図)である。
【0198】
図61は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70を用いて、橋梁100の隣接する橋脚102、104の間の径間106内の既設上部工部材110を撤去している状況を示す断面図(橋梁100の橋軸直角方向と平行な鉛直面で、橋梁100を切断した断面図)であり、撤去する既設上部工部材110を下降させる前の状態を示す断面図(
図58および
図59のLXI−LXI線断面図)である。
図58および
図59に
図61の断面図の切断位置を示すように、
図61は、上下方向レール22のウェブの中央部付近を通る、橋梁100の橋軸直角方向と平行な鉛直面で切断して得られた断面を示す断面図である。
【0200】
図66は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の下部を橋梁100の橋軸直角方向から見た正面図(
図62のLXVI−LXVI線矢視図)である。
【0201】
本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の反力受け基礎部60を、敷き鋼板82を用いた反力受け基礎部80に変更した実施形態であり、反力受け基礎部80に敷き鋼板82を用いたこと、およびそれに対応するための構成以外は、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構成は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の構成と同様であるので、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70において、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の部材および装置に対応する部材および装置には、原則として同一の符号および名称を用い、説明は原則として省略する。
【0202】
本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70は、橋脚102に近接した左側設備70Aと、橋脚104に近接した右側設備70Bと、2つの架台10C、10Dと、からなる。上部工部材撤去設備70の左側設備70Aと右側設備70Bとは、撤去する既設上部工部材110の長さとほぼ同じ長さだけ橋軸方向に隔てられて対向して配置されている。架台10C、10Dは、橋軸直角方向から見て、撤去する既設上部工部材110をおおよそ3等分するような位置で、かつ、撤去する既設上部工部材110の下方に配置されている。
【0203】
上部工部材撤去設備70の左側設備70Aと右側設備70Bは同じ構成であり、どちらも、本体部72と、反力受け基礎部80と、を有してなり、本体部72の下方に反力受け基礎部80が配置されている。本体部72は撤去する既設上部工部材110の端部を直接的に支持しつつ、安全に下降させる機能を有する部位であり、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の本体部72は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の本体部52と同様の構成である。反力受け基礎部80は、本体部72が支持する既設上部工部材110の荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに安全に地盤500に伝達する機能を有する部位である。本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70は、反力受け基礎部80を備えることにより、撤去する既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際に本体部72が受ける荷重の少なくとも一部を、橋脚102、104を経由させずに地盤500に伝達することができるので、既設上部工部材110を支持しつつ下降させる際にも、橋脚102、104に伝達される荷重を、橋脚102、104の安全性を確保できる範囲内にすることができる。
【0204】
本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70は、前述したように、反力受け基礎部80に敷き鋼板82を用いたことが、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50と相違する点であり、反力受け基礎部80に敷き鋼板82を用いたことおよびそれに対応するための構成以外は、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構成は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の構成と同様であるので、以下、反力受け基礎部80の構成について説明する。
【0205】
反力受け基礎部80は、敷き鋼板82と、サンドル84と、受け梁86と、を有してなる。
【0206】
敷き鋼板82は、本体部72(レール保持用上下方向部材28)下方に配置されて、地盤500上に敷かれる鋼板であり、厚さ22〜25mm程度の鋼板である。上部工部材撤去設備70の本体部72が受ける鉛直方向下向きの荷重の大部分は、敷き鋼板82から地盤500へと伝達される。敷き鋼板82の上にはサンドル84が適宜の間隔で配置され、サンドル84の上には受け梁86が配置されていて、受け梁86は、上部工部材撤去設備70の本体部72のレール保持用上下方向部材28の下端面に連結されている。
【0207】
サンドル84は、敷き鋼板82の上に配置される部材であり、受け梁86と敷き鋼板82との間の空間を埋める部材であり、上部工部材撤去設備70の本体部72から受け梁86が受けた荷重を、敷き鋼板82に伝達する役割を有する。本体部72から受け梁86が受けることが想定される荷重に応じて、配置するサンドルの形状および配置間隔を決定する。本第3実施形態では、サンドル84として、H鋼を井桁状に組んで重ねたものを用いているが、サンドル84として用いることができる部材はこれに限定されるわけではなく、必要な性能を有していれば材質や形状は特には限定されない。
【0208】
受け梁86は、反力受け基礎部80の最上部に配置される部材で、レール保持用上下方向部材28の下方に配置されており、レール保持用上下方向部材28の下端面に連結されている。上部工部材撤去設備70の本体部72が受ける鉛直方向下向きの荷重の大部分は、本体部72のレール保持用上下方向部材28から受け梁86へと伝達される。
【0209】
受け梁86は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の本体部72が受ける鉛直方向下向きの荷重の大部分を直接的に受け止める部材であり、受け止めた荷重を、サンドル84を介して敷き鋼板82に伝達して地盤500に伝達する。受け梁86の長さは、橋軸直角方向連結部材30と同等程度の長さである。
【0210】
本第3実施形態では、受け梁86として、長さ方向に適宜の間隔で補強用のプレートが溶接されたH鋼を用いており、受け梁86は、サンドル84とレール保持用上下方向部材28との間に配置されており、ボルト接合により、サンドル84およびレール保持用上下方向部材28と連結されている。
【0211】
本第3実施形態の反力受け基礎部80は、第1および第2実施形態の反力受け基礎部40および60と比べて簡易な構成であり、コスト的には安価である。ただし、本第3実施形態の反力受け基礎部80は、第1および第2実施形態の反力受け基礎部40および60と比べて荷重負担能力が劣る可能性があるので、この点には留意する。
【0212】
(3−2)第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成
本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70は、撤去する既設上部工部材110を支持しつつ下降させることができる能力を備えているが、本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備(図示せず)は、それに加えて、架設する新設橋桁を支持しつつ上昇させることができる能力を備えている。この能力の違いが、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70と本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備との相違点である。
【0213】
前記能力の違いは、昇降装置24の出力および数、ならびに上下方向レール22およびレール保持用上下方向部材28の断面性能および数を調整することによって対応することができる。
【0214】
したがって、本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の基本的な構成は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構成と同様であるので、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構成についての説明をもって、本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成についての説明に代えることとする。
【0215】
(3−3)第3実施形態に係る上部工部材撤去設備の構築方法
前述したように、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の反力受け基礎部60を、敷き鋼板82を用いた反力受け基礎部80に変更した実施形態であり、反力受け基礎部80に敷き鋼板82を用いたこと、およびそれに対応するための構成以外は、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構成は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の構成と同様であるので、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構築方法の説明では、反力受け基礎部80の構築方法を中心に説明する。本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の本体部72の構築方法の説明は、第1実施形態に係る上部工部材撤去設備10の本体部20の構築方法についての説明および第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の本体部52の構築方法についての説明をもって、代えることとする。
【0216】
以下、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構築方法について、反力受け基礎部80の構築方法を中心に、ステップに分けて説明する。
【0217】
<ステップS31>
本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の本体部72を構築する際には、撤去する既設上部工部材110の橋軸方向の両端部の位置に対応する地盤500の位置(撤去する既設上部工部材110の橋軸方向の両端部の鉛直方向下方の地盤500の位置)を中心にして、敷き鋼板82を地盤500上に敷く。敷き鋼板82に配置するサンドル84が、敷き鋼板82の外側にはみ出すことのないように、敷き鋼板82は十分に余裕を持った範囲に敷く。
【0218】
<ステップS32>
レール保持用上下方向部材28の鉛直方向下方の敷き鋼板82の上にサンドル84を設置する。サンドル84は、調整プレート等により適切な高さを調整する。
【0219】
<ステップS33>
敷き鋼板82の上に設置したサンドル84の上に受け梁86を配置して、受け梁86をサンドル84にボルトで連結する。
【0220】
<ステップS34>
一体化した上下方向レール22とレール保持用上下方向部材28とを、クレーンで吊り上げて、受け梁86の上面にレール保持用上下方向部材28の下端面が配置されるように配置して、レール保持用上下方向部材28を受け梁86にボルトで連結するとともに、レール保持用上下方向部材28を橋軸直角方向連結部材30にボルトで連結して、1段目の上下方向レール22とレール保持用上下方向部材28を設置する。
【0221】
以降のステップは、「(1−3)第1実施形態に係る上部工部材撤去設備の構築方法」に記載したステップS12〜S15と同様である。
【0222】
なお、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側(径間126、136の橋脚102、104寄りの端部で橋脚102、104の近傍領域)に設ける構成も同様に構築することができる。
【0223】
(3−4)第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構築方法
「(3−2)第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成」で前述したように、本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の基本的な構成は、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構成と同様であるので、「(3−3)第3実施形態に係る上部工部材撤去設備の構築方法」で記載した本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構築方法についての説明をもって、本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構築方法についての説明に代えることとする。
【0224】
(3−5)第3実施形態に係る上部工部材撤去方法
前述したように、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の反力受け基礎部60を、敷き鋼板82を用いた反力受け基礎部80に変更した実施形態であり、反力受け基礎部80に敷き鋼板82を用いたこと、およびそれに対応するための構成以外については、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70の構成は、第2実施形態に係る上部工部材撤去設備50の構成と同様であるので、本第3実施形態に係る上部工部材撤去方法は、第2実施形態に係る上部工部材撤去方法と同様である。したがって、第2実施形態に係る上部工部材撤去方法についての説明をもって、本発明の第3実施形態に係る上部工部材撤去方法についての説明に代えることとする。
【0225】
(3−6)第3実施形態に係る上部工部材架け替え方法
前述したように、本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備は、第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の反力受け基礎部60を、敷き鋼板82を用いた反力受け基礎部80に変更した実施形態であり、反力受け基礎部80に敷き鋼板82を用いたこと、およびそれに対応するための構成以外については、本第3実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成は、第2実施形態に係る上部工部材架け替え設備の構成と同様であるので、本第3実施形態に係る上部工部材架け替え方法は、第2実施形態に係る上部工部材架け替え方法と同様である。したがって、第2実施形態に係る上部工部材架け替え方法についての説明をもって、本発明の第3実施形態に係る上部工部材架け替え方法についての説明に代えることとする。
【0226】
(3−7)第3実施形態の効果
本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70および上部工部材架け替え設備ならびに上部工部材撤去方法および上部工部材架け替え方法によれば、橋脚102、104に上下方向に沿わせた上下方向レール22に沿って上下方向に昇降する昇降装置24を用いて既設上部工部材110の撤去および架け替えを行うことができるので、既設上部工部材110の高さ位置にまで届く重機を用いることを不要にすることができ、また、既設上部工部材110の高さ位置の近傍にまで到達するベントを構築することも不要にすることができる。
【0227】
このため、地上高が高い高架橋の既設上部工部材の撤去および架け替えを行う場合であっても、重機の小型化、ベント設備の簡素化、上部工部材の撤去・架設作業の効率化を図ることができる。
【0228】
また、本第3実施形態に係る上部工部材撤去設備70および上部工部材架け替え設備ならびに上部工部材撤去方法および上部工部材架け替え方法によれば、橋脚102と橋脚104との間の径間106内の既設上部工部材110の撤去および架け替えに用いることができるだけでなく、橋脚102、104において径間106とは橋軸方向反対側の径間126、136内の既設上部工部材120、130の撤去および架け替えにも用いることができる。
【0229】
また、本第3実施形態の反力受け基礎部80は、第1および第2実施形態の反力受け基礎部40および60と比べて簡易な構成であり、コスト的には安価である。ただし、本第3実施形態の反力受け基礎部80は、第1実施形態の反力受け基礎部40および第2実施形態の反力受け基礎部60と比べて荷重負担能力が劣る可能性があるので、この点には留意する。
【0230】
(4)橋脚上に残置した既設上部工部材112、114の撤去方法の変形例
第1〜第3実施形態の上部工部材撤去方法において、橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114を撤去する際に、地盤500上または橋梁100上に配置したクレーン(図示せず)で吊り上げて搬出、撤去するようにしたが、障害物や干渉物等があるために、クレーンが使えない場合も想定される。
【0231】
このような場合には、橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114を、撤去する既設上部工部材110上に引き込んで、仮置きして固定し、既設上部工部材110の下降とともに、既設上部工部材112、114も下降させて、既設上部工部材110の撤去に合わせて、既設上部工部材112、114を撤去してもよい。
【0232】
具体的には、以下のステップS201〜S208のように行うことができる。なお、以下のステップS201〜S208の説明では、
図67〜
図73を参照するが、
図67は、橋脚102、104上の所定の位置に軌条設備600を設けるとともに、既設上部工部材108上の所定の位置に軌条設備602を設けた状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)であり、
図68は、軌条設備600、602が連結できる位置まで、既設上部工部材110を下降させて、軌条設備600と軌条設備602とを連結して一体化させた後、軌条設備600上のチルタンク610に既設上部工部材112、114を搭載した状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)であり、
図69は
図68のLXIX部拡大図であり、
図70は、既設上部工部材112、114を、既設上部工部材110上の軌条設備602上に引き込んで固定した状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)であり、
図71は、既設上部工部材112、114を既設上部工部材110上に引き込んで固定した後に、既設上部工部材110を下降させて架台10C、10D上に載置した状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)であり、
図72は、撤去する既設上部工部材110を架台10C、10D上で切断した状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)であり、
図73は、架台10C、10D上で切断した既設上部工部材110(110X、110Y、110Z)および既設上部工部材112、114をクレーン200で吊り上げて撤去する直前の状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)である。ただし、図面については、主要なステップにおける状態のみを模式的に示しており、1つの図面を複数のステップの説明に用いることがある。
【0233】
以下のステップS201〜S208の説明では、橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114を撤去する際に、軌条設備600、602を用いる場合を、第1実施形態の上部工部材撤去方法の変形例として取り上げて、説明する。
【0234】
<ステップS201>
既設上部工部材108の両端部(既設上部工部材108の部位のうち、既設上部工部材112、114にそれぞれ対応する部位)の主桁下の位置に、橋脚102、104上に軌条設備600を橋軸方向に設けるとともに、既設上部工部材108の両端部以外の部位(既設上部工部材108の部位のうち、既設上部工部材110の両端部に対応する部位)上にも、軌条設備600に対応する位置に、軌条設備602を橋軸方向に設ける。上方から透視すると、軌条設備600と軌条設備602とは、一直線状になるような位置関係にある。第1〜第3実施形態の上部工部材撤去方法において、撤去対象の既設上部工部材の主桁は3本であるので、軌条設備600、602もそれぞれ3本設けることになる。軌条設備600、602の設置が終わった状態を
図67に模式的に示す。
【0235】
<ステップS202>
既設上部工部材108を切断面110A、110Bで切断して、既設上部工部材110、112、114に切り分ける。そして、軌条設備600と軌条設備602とを連結できる位置まで、既設上部工部材110を下降させる(
図68および
図69参照)。
【0236】
<ステップS203>
軌条設備600と軌条設備602とをボルト(図示せず)で連結して一体化する(
図68および
図69参照)。
【0237】
<ステップS204>
橋脚102、104上に残置した既設上部工部材112、114をジャッキアップして、軌条設備600上に設置したチルタンク610に搭載する(
図68および
図69参照)。なお、コロ台車として所定の機能を有するものであれば、チルタンク610に替えて用いてもよい。
【0238】
<ステップS205>
チルタンク610に搭載した既設上部工部材112、114を、チルホール(図示せず)等の引き込み装置で既設上部工部材110上の軌条設備602上に引き込んで固定する(
図70参照)。
【0239】
<ステップS206>
ステップS203で一体化した軌条設備600と軌条設備602とを解体して切り離した後、既設上部工部材110を上部工部材撤去設備10で下降させて、架台10C、10Dに載置する(
図71参照)。
【0240】
<ステップS207>
既設上部工部材110を架台10C、10D上で橋軸直角方向に切断して、長手方向におおよそ3等分して、既設上部工部材110X、110Y、110Zに切り分ける(
図72参照)。
【0241】
<ステップS208>
架台10C、10D上で切断した既設上部工部材110(110X、110Y、110Z)および既設上部工部材112、114をクレーン200で吊り上げて搬出、撤去する(
図73参照)。
【0242】
(5)橋脚上に新設上部工部材162、164を設置する方法の変形例
第1〜第3実施形態の上部工部材架け替え方法において、橋脚102、104上に新設上部工部材162、164を設置する際、地盤500上または橋梁100上に配置したクレーン(図示せず)で吊り上げて設置するようにしたが、障害物や干渉物等があるために、クレーンが使えない場合も想定される。
【0243】
このような場合には、新たに架設する新設上部工部材160上に新設上部工部材162、164を仮置き固定して、新設上部工部材160とともに新設上部工部材162、164を所定の高さ位置まで上昇させた後、軌条設備600、602を用いて橋脚102、104上の所定位置まで新設上部工部材162、164を橋軸方向に移動させて設置するようにしてもよい。
【0244】
具体的には、以下のステップS301〜S306のように行うことができる。なお、以下のステップS301〜S306の説明では、
図74および
図75を参照するが、
図74は、橋脚102、104上の所定の位置に軌条設備600を設けるとともに、新設上部工部材160上の所定の位置に軌条設備602を設け、軌条設備602上のチルタンク610に新設上部工部材162、164を搭載して固定した状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)であり、
図75は、新設上部工部材160を所定の高さ位置まで上昇させた後、軌条設備600と軌条設備602とを連結した状態を模式的に示す正面図(橋軸直角方向から見た図)である。ただし、図面については、主要なステップにおける状態のみを模式的に示しており、1つの図面を複数のステップの説明に用いることがある。
【0245】
以下のステップS301〜S306の説明では、橋脚102、104上に新たに新設上部工部材162、164を設置する際に、軌条設備600、602を用いる場合を、第1実施形態の上部工部材架け替え方法の変形例として取り上げて、説明する。
【0246】
<ステップS301>
新設上部工部材160X、160Y、160Zを上部工部材受け用橋軸直角方向部材26および架台10C、10D上に配置して、それら新設上部工部材160X、160Y、160Zを添接板160Aで連結して新設上部工部材160を組み立てた後、組み立てた新設上部工部材160上の所定の位置(新設上部工部材160の主桁位置と対応する位置)に軌条設備602を設ける(
図74参照)。そして、新設上部工部材160上の軌条設備602の上にチルタンク610を設置し、チルタンク610に新設上部工部材162、164を搭載して固定する(
図74参照)。
【0247】
また、橋脚102、104上においても、軌条設備602の位置と対応する位置に軌条設備600を橋軸方向に設置する。設置した軌条設備600と軌条設備602とは、上方から見ると、一直線状になる。架け替え対象の新設上部工部材の主桁は3本であるので、軌条設備600、602もそれぞれ3本設ける。
【0248】
<ステップS302>
新設上部工部材160を上部工部材架け替え設備12で上昇させて、橋脚102、104上の軌条設備600と、新設上部工部材160上の軌条設備602とが、同一の高さ位置になるようにする。
【0249】
<ステップS303>
軌条設備600と軌条設備602とをボルト(図示せず)で連結して一体化する(
図75参照)。
【0250】
<ステップS304>
新設上部工部材160上で固定した新設上部工部材162、164の固定を解除した後、チルホール(図示せず)等の引き込み装置で、新設上部工部材162、164を橋脚102、104上の正規の設置位置に引き込む。
【0251】
<ステップS305>
引き込んだ新設上部工部材162、164は、ジャッキアップして、橋脚102、104の支承(支点102A、104A)上に設置する。
【0252】
<ステップS306>
橋脚102、104の支承(支点102A、104A)上への新設上部工部材162、164の設置完了後、連結一体化していた軌条設備600と軌条設備602とを解体して切り離す。その後、新設上部工部材160を、上部工部材架け替え設備12で正規の設置高さ位置まで上昇させて、橋脚102、104の支承(支点102A、104A)上に設置した新設上部工部材162、164に、新設上部工部材160を添接板160B、160C(
図47参照)で連結する。