特許第6798712号(P6798712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798712
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】床用目地プレート及び床用目地装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   E04B1/68 100A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-16734(P2019-16734)
(22)【出願日】2019年2月1日
(65)【公開番号】特開2020-125583(P2020-125583A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2019年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−188869(JP,A)
【文献】 特開2010−222892(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0032997(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
E03F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地プレート本体と、該目地プレート本体の一端部側に設けられた取付部と、該目地プレート本体に形成され、目地部の下部との通気性を確保することができる通気部とで構成され、前記通気部は、前記目地プレート本体を前記目地部に設置した際に、該目地部の上部に位置するように形成され、前記目地プレート本体の底面には、前記通気部が前記目地プレート本体を支持する躯体の床面に接触しないようにカバー部が設けられている床用目地プレート。
【請求項2】
前記目地プレート本体は、一端部側の底面の一部に開口部が形成された浅皿状の枠部材と、この枠部材の内部に設けられ、前記開口部と連通する連通孔が形成されたリブとからなり、このリブは、複数個のベアリングバーとクロスバーで形成され、前記通気部は前記開口部及びこの開口部に連通する前記連通孔とで形成されていることを特徴とする請求項1記載の床用目地プレート。
【請求項3】
前記目地プレート本体の底面にスペーサーを設けたことを特徴とする請求項2に記載の床用目地プレート。
【請求項4】
一方と他方の左右の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に設けられた取付手段と、該取付手段によって取付部が一方の躯体に取り付けられるとともに、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、かつ、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された床用目地プレートとからなり、前記床用目地プレートは、目地プレート本体と、該目地プレート本体の一端部側に設けられた取付部と、該目地プレート本体に形成され、目地部の下部との通気性を確保することができる通気部とで構成され、前記通気部は、前記目地プレート本体を前記目地部に設置した際に、該目地部の上部に位置するように形成され、前記目地プレート本体の底面には、前記通気部が前記目地プレート本体を支持する躯体の床面に接触しないようにカバー部が設けられている床用目地装置。
【請求項5】
前記目地プレート本体は、一端部側の底面の一部に開口部が形成された浅皿状の枠部材と、この枠部材の内部に設けられ、前記開口部と連通する連通孔が形成されたリブとからなり、このリブは、複数個のベアリングバーとクロスバーで形成され、前記通気部は前記開口部及びこの開口部に連通する前記連通孔とで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の床用目地装置。
【請求項6】
前記目地プレート本体の底面にスペーサーを設けたことを特徴とする請求項5に記載の床用目地装置。
【請求項7】
前記第2の目地プレート支持部には、支持プレートが設けられていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の床用目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた躯体の間の目地部を塞ぐ床用目地装置及び床用目地装置に用いられる床用目地プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床用目地プレートや床用目地プレートを用いた床用目地装置は多々存在するが、例えば、浅皿状の目地プレート本体にモルタル等を充填する床用目地プレートでは、目地部の下部の空気は目地プレートを通過することができず、通気性が確保できなかった。
一方、目地部の下部の部位の通気性を確保することが求められる場合があり、床用目地プレート自体に通気部となる格子状の透孔を形成したり(特許文献1)、グレーチングのように目地プレート本体を形成し、通気性を確保することが考えられる。
【0003】
しかしながら、目地プレートに透孔等を形成した場合やグレーチング状に形成した場合は、左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた場合に、目地プレートに形成した通気部の透孔等の端部(エッジ)が目地プレートを支持している目地プレート支持部をヤスリのように削ってしまうおそれがあり、目地プレート支持部又はこの目地プレート支持部に設けられた支持板や、目地プレート自体を損傷するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−188869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地プレート支持部や目地プレート支持板等の損傷を防止することができ、かつ、目地部下部の空気の通気性を確保することができる床用目地プレート及び床用目地装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の床用目地プレートは、目地プレート本体と、該目地プレート本体の一端部側に設けられた取付部と、該目地プレート本体に形成され、目地部の下部との通気性を確保することができる通気部とで構成され、前記通気部は、前記目地プレート本体を前記目地部に設置した際に、該目地部の上部に位置するように形成され、前記目地プレート本体の底面には、前記通気部が前記目地プレート本体を支持する躯体の床面に接触しないようにカバー部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の床用目地プレートの前記目地プレート本体は、一端部側の底面の一部に開口部が形成された浅皿状の枠部材と、この枠部材の内部に設けられ、前記開口部と連通する連通孔が形成されたリブとからなり、このリブは、複数個のベアリングバーとクロスバーで形成され、前記通気部は前記開口部及びこの開口部に連通する前記連通孔とで形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の床用目地プレートは、前記目地プレート本体の底面にスペーサーを設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に記載の床用目地装置は、一方と他方の左右の躯体間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、一方の躯体に設けられた第1の目地プレート支持部と、他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に設けられた取付手段と、該取付手段によって取付部が一方の躯体に取り付けられるとともに、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、かつ、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された床用目地プレートとからなり、前記床用目地プレートは、目地プレート本体と、該目地プレート本体の一端部側に設けられた取付部と、該目地プレート本体に形成され、目地部の下部との通気性を確保することができる通気部とで構成され、前記通気部は、前記目地プレート本体を前記目地部に設置した際に、該目地部の上部に位置するように形成され、前記目地プレート本体の底面には、前記通気部が前記目地プレート本体を支持する躯体の床面に接触しないようにカバー部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の床用目地装置の前記目地プレート本体は、一端部側の底面の一部に開口部が形成された浅皿状の枠部材と、この枠部材の内部に設けられ、前記開口部と連通する連通孔が形成されたリブとからなり、このリブは、複数個のベアリングバーとクロスバーで形成され、前記通気部は前記開口部及びこの開口部に連通する前記連通孔とで形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の床用目地装置は、前記目地プレート本体の底面にスペーサーを設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の床用目地装置の前記第2の目地プレート支持部には、支持プレートが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1及び請求項4に記載の各発明においては、目地プレート本体を支持する躯体の床面に前記通気部が接触しないようにカバー部を設けているので、通気部のエッジにより躯体の床面が損傷することを確実に防止することができる。
(2)また、通気部は、目地プレート本体を前記目地部に設置した際に、目地部の上部に位置するように形成されているので、目地部の下部の通気性を十分に確保することができる。
(3)請求項2及び請求項5に記載の各発明においても、前記(1)〜(2)と同様な効果が得られるとともに、軽量かつ高強度の目地プレート本体にすることができる。
(4)請求項3及び請求項6に記載の各発明においても、前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、目地プレート本体の底面と躯体の床面との間に隙間が形成されるため、地震によって目地部が狭くなるように左右の躯体が揺れ動いた際に、目地プレート本体の底面が躯体の床面等に接触することを確実に防止することができる。
(5)請求項7に記載の発明においても、前記(1)〜(4)と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1乃至図10は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図11乃至図16は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態を示す床用目地プレートの斜視説明図。
図2図1の2−2線に沿う断面図。
図3図1の3−3線に沿う断面図。
図4】枠部材の斜視説明図。
図5】目地プレート本体の斜視説明図。
図6】第1の実施形態を示す床用目地装置の平面図。
図7図6の7−7線に沿う断面図。
図8】地震で目地部が狭くなった正面視側からの動作説明図。
図9】地震で目地部が広くなった正面視側からの動作説明図。
図10】第2の実施形態を示す床用目地プレートの斜視説明図。
図11図10の11−11線に沿う断面図。
図12図10の12−12線に沿う断面図。
図13】目地プレート本体の斜視説明図。
図14】第2の実施形態を示す床用目地装置の斜視説明図。
図15図14の15−15線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた左右の躯体(一方の躯体3及び他方の躯体4)間に設置された床用目地装置5に用いられる床用目地プレートである。
【0017】
なお、左右方向とは図6(平面視)における左右方向であり、前後方向とは図6における上下方向、上下方向とは図7における上下方向をいう。
【0018】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の床用目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0019】
本実施形態の床用目地プレート1は、図1乃至図3に示すように、例えば、目地プレート本体6と、該目地プレート本体6の一端部側に設けられた取付部7と、前記目地プレート本体6に形成され、目地部2の下部との通気性を確保することができる通気部8と、目地プレート本体6の他端部側にヒンジ部材10を介して設けられたカバープレート11とを有している。
【0020】
目地プレート本体6は、図4に示すように、金属製で浅皿状に形成され、一端部側の一部に開口部9が形成された枠部材12と、目地プレート本体6の一端部側(例えば端部)の両側部に形成され、その底面にピン挿入孔13を有する取付部7としてのピンボックス7と、枠部材12の内部に多数のバーで構成された格子状(平面視方形状、矩形状、ひし形状、三角形状、ハニカム状等)のリブ14とで構成されており、このリブ14の間の隙間の連通孔21と開口部9が連通し通気部8となる。この通気部8は目地プレート本体6を目地部2に設置した際に、該目地部2の上部に位置するように形成されている。
また、この開口部9が形成されていない枠部材12の底面はカバー部22となり、通気部8が躯体4の床面に接触することを防止している。すなわち、カバー部22は目地プレート本体6の枠部材12に一体的に設けられている。
【0021】
ところで、このリブ14は、本実施形態では、左右方向に延在するように設けられたベアリングバー14aと、このベアリングバー14aに略直行するように溶接等により固定されたクロスバー14bとからなり、多数の連通孔21はそれぞれ平面視方形状又は矩形状であり、全体として外観上格子状となっている。
【0022】
付言すると、ベアリングバー14aを左右方向に延在するように設け、クロスバー14bをこのベアリングバー14aに直行するように設けてもよく、あるいはベアリングバー14aのような板材のみを格子状に組み合わせてリブ14を形成してもよい。
【0023】
このベアリングバー14aとクロスバー14bの両端部は、枠部材12の内壁面(又はピンボックス7)に溶接等により固定されている。
【0024】
なお、ベアリングバー14aは断面H鋼状のものを用いてもよく、クロスバー14bにはツイストバーを用いてもよい。
ところで、開口部9は、目地プレート本体6の一端部側から全長の1/3乃至約半分程度に設けられる。
【0025】
このように開口部9を設けることにより、目地プレート本体6の他端部側はカバー部22に覆われ、床用目地プレート1の他端部側を支持する躯体4の床面に通気部8が接触しないので、目地部2を塞ぐように床用目地プレート1を設けた(目地部2に設置した)場合に、床用目地プレート1の他端部側を支持する躯体4の床面(第2の目地プレート支持部16)を通気部8によって損傷させることがない。
【0026】
また、このカバー部22は、目地プレート本体6の他端部側から少なくとも全長の約半分程度を覆うように形成されている。通常、このような床用目地プレート1では、目地プレート本体6の他端部側から全長の約半分が躯体4に支持されるため、躯体4の上面が通気部8に接触することがなく、一端部側(取付部7を有する側)の端部から全長の約半分程度はカバー部22で覆われていないため、目地部2を塞ぐように床用目地プレート1を設けた(目地部2に設置した)場合に、目地部2の上部に位置する通気部8を通じて目地部2の下部の空気の通気性を十分に確保することができる。
【0027】
すなわち、目地プレート本体6を目地部2に設置した際に、通常時(図4の状態、一方と他方の躯体3、4間の目地部に設置された状態で、かつ、地震等により左右の躯体3、4が揺れ動いていない状態)において、床用目地プレート1の他端部側を支持する躯体4の床面(後述する第2の目地プレート支持部16)と接する部位にのみカバー部22を設けることにより、床面の損傷を防止することができ、かつ、目地部2の上部に通気部8が位置するので目地部2の下部の空気の通気性を十分に確保することができる。
【0028】
ところで、目地プレート本体6を設置した際に、目地部2の上部に位置する部位の一部をカバー部22で覆うような構成(目地プレート本体6の底面の他端部側から半分以上を覆うような構成)にしてもよい。このような場合であっても、目地プレート本体6の一端部側の一部分は目地部2と通気部8を介して通気性を確保できる。
【0029】
床用目地装置5は、図6及び図7に示すように、一方の躯体3に設けられた第1の目地プレート支持部15と、他方の躯体4に設けられた第2の目地プレート支持部16と、第1の目地プレート支持部15に設けられた取付手段17としての枢支ピン17と、該枢支ピン17が取付部7としてのピンボックス7に挿入されるとともに、前記第1の目地プレート支持部15に一端部が支持され、かつ、前記第2の目地プレート支持部16に他端部が支持された床用目地プレート1とで構成されている。
【0030】
第1の目地プレート支持部15は、例えば図7に示すように、一方の躯体3の端部に前後方向に延在する凹所状に形成されており、床用目地プレート1のピンボックス7に挿入される枢支ピン17が固定されている。
【0031】
なお、第1の目地プレート支持部15は、本実施形態のように一方の躯体3に一体的に形成してもよいが、アングル状又はクランク状の金具を一方の躯体3の壁面にボルト等で固定し、この金具を第1の目地プレート支持部15としてもよい。
【0032】
前記枢支ピン17の取り付け状態については、特に図示していないが、鉄板等に溶接により固定され、この鉄板をボルト等で第1の目地プレート支持部15に固定される。
【0033】
この第2の目地プレート支持部16は、例えば図7に示すように、他方の躯体4の目地部2側の端部に形成された前後方向に延在する凹所状の部位で、目地部2と反対側の端部には、地震によって目地部2が狭くなった場合に、床用目地プレート1が乗り上げる乗り上げ傾斜面18が形成されており、この第2の目地プレート支持部16の上面には、金属製の支持プレート19が設けられている。
【0034】
床用目地プレート1は、その一端部が第1の目地プレート支持部17に支持されると共に、その他端部が第2の目地プレート支持部16に直接又は本実施形態のように、すのこ状の支持プレート19を介して間接的に支持された状態で目地部2の前後方向に複数個、略隙間なく設けられている。
【0035】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、図8に示すように、床用目地プレート1は第2の目地プレート支持部16の乗り上げ傾斜面19を乗り上げて地震による揺れ動きを吸収する。
【0036】
このとき、目地プレート本体6は一端部側を支点に他端部側が上方へ回動し、目地プレート本体6の底面と他方の躯体4の第2の目地プレート支持部16とは接触しないため、第2の目地プレート支持部16が通気部8のエッジにより削られて損傷することはない。
【0037】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、図9に示すように、床用目地プレート1は第2の目地プレート支持部16上を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収することができる。このとき、目地プレート本体6はカバー部22を介して第2の目地プレート支持部16と接触しているため、第2の目地プレート支持部16が通気部8のエッジにより削られて損傷することはない。
【0038】
また、図示しないが、地震で躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合にも、床用目地プレート1は第2の目地プレート支持部16上を前後方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収し、このときも目地部2が広くなった場合と同様に、目地プレート本体6はカバー部22を介して第2の目地プレート支持部16と接触しているため、第2の目地プレート支持部16が通気部8のエッジにより削られて損傷することはない。
【0039】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図10乃至図15に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0040】
図10乃至図15に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、目地プレート本体6Aの底面にスペーサー20が設けられている点で、このような床用目地プレート1A及びこの床用目地プレート1Aを用いた床用目地装置5Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
本実施形態では、目地プレート本体6Aのカバー部22の底面に複数個の丸棒状のスペーサー20が溶接等により固定されている。スペーサー20の形状については特に限定するものではないが、他方の躯体4の第2の目地プレート支持部16等を傷つけないように、接触面が曲線状となる物がよい。
【0042】
このようにスペーサー20を用いることにより他方の躯体の第2の目地プレート支持部16の床面と通気部8が接触することを確実に防止することができる。
【0043】
なお、本発明の実施形態では、すのこ状の支持プレートを備えるものについて説明したが、必ずしも第2の目地プレート支持部に支持プレートを設けなくてもよいし、乗り上げ傾斜面等に金属製の補強プレート等を更に設けてもよい。
【0044】
また、目地プレート本体としては、枠部材にリブを用いて格子状に通気部を形成するものについて説明したが、板状の目地プレート本体の一端部側にのみ上下方向に透孔を穿孔して通気部を形成してもよい。
【0045】
第1の目地プレート支持部として、一方の躯体に一体的に凹所状に形成したものについて説明したが、例えばアングル状の金具等を一方の躯体に固定して第1の目地プレート支持部としてもよく、取付部もピンボックスを形成し、第1の目地プレート支持部に取付手段としての枢支ピンを固定するものについて説明したが、例えば目地プレートの一端部側の底面にピンを固定して取付部とし、第1の目地プレート支持部にこのピンを挿入できるピン挿入孔を取付手段として形成してもよい。
【0046】
本発明の実施形態においては、カバー部を枠部材と一体的に設けた(浅皿状の枠部材の底面の一部に開口部を設け開口していない部分をカバー部とした)が、上下が開口する枠部材を用いて、別体で形成した板状や箱状のカバー部を溶接等によりこの枠部材の底面側に固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は床用目地装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0048】
1、1A:床用目地プレート、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5:床用目地装置、 6、6A:目地プレート本体、
7:取付部、 8:通気部、
9:開口部、 10:ヒンジ部材、
11:カバープレート、 12:枠部材、
13:ピン挿入孔、 14:リブ、
15:第1の目地プレート支持部、 16:第2の目地プレート支持部、
17:取付手段、 18:乗り上げ傾斜面、
19:支持プレート、 20:スペーサー、
21:連通孔、 22:カバー部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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