特許第6798801号(P6798801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 不二サッシ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798801
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】照明器具を備えた建材
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20201130BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20201130BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20201130BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20201130BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20201130BHJP
【FI】
   F21V33/00 200
   F21V21/00 300
   F21V9/08
   F21V13/02 400
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-125743(P2016-125743)
(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公開番号】特開2017-228499(P2017-228499A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083851
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 義勝
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 幸雄
(74)【復代理人】
【識別番号】100173657
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 國孝
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/023939(WO,A1)
【文献】 特開2016−058284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
F21V 9/08
F21V 13/02
F21V 21/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
このフレームに取付けられるリフレクタ材と、
このリフレクタ材に反射させる光を照射する照明器具を備えた建材において、
前記リフレクタ材に生じるグレアを低減することができるカバー材を設け
前記カバー材は、前記照明器具の照射面からその照射光の進行方向に沿った被せ高さを備えた被部と、この被部の端部に形成された開口部とを有し、
前記照明器具の照射光は、前記開口部から前記リフレクタ材の長手方向に向かって照射されることを特徴とする照明器具を備えた建材。
【請求項2】
前記被部は、前記照明器具が配置される高さ位置に応じ被せ高さを備えていることを特徴とする請求項に記載の照明器具を備えた建材。
【請求項3】
前記カバー材の開口部には、その開口部を覆うキャップが取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明器具を備えた建材。
【請求項4】
前記照明器具は、前記フレームに対して係脱自在に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の照明器具を備えた建材。
【請求項5】
前記照明器具は、取付材を介して前記フレームに配置されていることを特徴とする請求項1又は4に記載の照明器具を備えた建材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、建物の建材として使用される照明器具を備えた建材に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、LEDプレートをアルミ押出し形材のケースに取り付けて構成されている照明器具を開発すると共に、その照明器具の建材への適用例についても、その研究、開発を進めている。
例えば、特許文献1では、LEDプレートを形材本体に配置し、そのLEDプレートの上からコーティング材を充填して照明器具を構成し、その照明器具を内ケースとして、外ケースに組み込んでいる建材を提案している。
かかる建材は、建物の方立、無目、巾木、下枠等に取り付け、室内においては壁面の巾木等に取り付けられるもので、建物の出入り口、通路等での足元灯、誘導灯の照明として、通行者等に安全、安心感を与え、また建物のライトアップを図ることとしている(同文献の段落0041)。
【0003】
さらに、出願人は、建材と前記照明器具とのコラボレーションのみならず、広く、建材と照明とのコラボレーションを図ることができる建材の開発を進めている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−105611号公報
【特許文献2】特願2016−22625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる開発過程において、本願の発明者は、次のような技術的課題を見出した。
前記建材は、長尺状のフレームに、照明器具と前記照明器具の照明光を反射させるためにリフレクタ材を備えているが、そのリフレクタ材によって引き起こされる「グレア(glare)」という現象が生じる。
【0006】
この「グレア」は、ギラギラとまぶしい光という意味である。
適正な照明は、人の生活や活動に不可欠なものであるが、「グレア」は、照明器具の輝度が高すぎて、光の過剰である場合に、その光が目に入ることで不快感を生じる現象である。
この現象は、光源からの直接的な光のみならず、鏡面などからの反射光等の間接的な光からも引き起こされるもので、不快感が生じる原因は心理的なものとされている。
「グレア」は目の順応状態にも関係するものとされ、例えば同じ高い輝度の照明器具が屋外に設置されている場合に、夜間ではそのまぶしさから「不快感」を感じるが、昼間では「不快感」を感じない場合がある。
かかる「グレア」を低減することが、外装用の照明器具を備えた建材の照明設計にあたり、解決すべき技術的課題となる。
【0007】
そこで、本願では、主に外装材として使用される建材において、「グレア」を低減することができる照明器具を備えた建材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願発明に係る照明器具を備えた建材は、フレームと、このフレームに取付けられるリフレクタ材と、このリフレクタ材に反射させる光を照射する照明器具を備えた建材において、前記リフレクタ材に生じるグレアを低減することができるカバー材を設け、前記カバー材は、前記照明器具の照射面からその照射光の進行方向に沿った被せ高さを備えた被部と、この被部の端部に形成された開口部とを有し、前記照明器具の照射光は、前記開口部から前記リフレクタ材の長手方向に向かって照射されることを特徴とする建材とした(請求項1に記載の発明)。
【0009】
前記被部は、前記照明器具が配置される高さ位置に応じた被せ高さを備えていることを特徴とする照明器具を備えた建材とした(請求項2に記載の発明)。
【0010】
前記カバー材の開口部には、その開口部を覆うキャップが取付けられていることを特徴とする照明器具を備えた建材とした(請求項3に記載の発明)
【0011】
前記照明器具は、前記フレームに対して係脱自在に配置されていることを特徴とする照明器具を備えた建材とした(請求項4に記載の発明)。
【0012】
前記照明器具は、取付材を介して前記フレームに配置されていることを特徴とする照明器具を備えた建材とした(請求項5に記載の発明)。
【発明の効果】
【0013】
前記カバー材を備えた結果、前記照明器具の照射光により、前記リフレクタ材に輝度が高いグレアが生じたとしても、その箇所からの光は、前記カバー材によって所定の角度のビームを形成することとなる。そのビームの範囲の外では、グレアを認識することができず、グレアが低減される。また、前記ビームの範囲の外では、不快を感じさせるシャープな輝度の高い光が低減され、柔らかな光を認識することができる。
よって本願発明によれば、「グレア」を低減することができる照明器具を備えた建材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る照明器具を備えた建材の斜視図、
図2】同建具の要部を切欠いた斜視図、
図3】同建具の横断面図、
図4】同建具の照明器具の縦断面図、
図5】同建具の配置図、
図6】同建具の作用説明図、
図7】同建具の作用説明図、
図8】同建具の作用説明図、
図9】同建具の作用説明図、
図10】インテリア建材を構成するフレームの横断面図、
図11】インテリア建材を構成する取付材の横断面図、
図12】インテリア建材を構成するリフレクタ材の横断面図、
図13】インテリア建材を構成する別例のリフレクタ材の横断面図、
図14】インテリア建材を構成するフサギ材の横断面図、
図15A】(1)インテリア建材の正面図、(2)照明器具の内部機構を省略した同正面図の下方のC−C矢視断面図、(3)照明器具の内部機構を省略した同正面図の上方のC−C矢視断面図、(4)同正面図のD−D矢視断面図、
図15B】インテリア建材の要部斜視図、
図15C】インテリア建材が施工された室内の要部斜視図、
図16A】(1)インテリア建材の正面図、(2)照明器具の内部機構を省略した同正面図の下方のF−F矢視断面図、(3)照明器具の内部機構を省略した同正面図の上方のF−F矢視断面図、(4)同正面図のE−E矢視断面図、
図16B】インテリア建材の要部斜視図、
図16C】インテリア建材が施工された室内の要部斜視図、
図17A】(1)インテリア建材の正面図、(2)同正面図の下方のG−G矢視断面図、(3)同正面図の上方のG−G矢視断面図、(4)照明器具の内部機構を省略した同正面図のH−H矢視断面図、
図17B】インテリア建材が施工された室内の要部斜視図、
図18】ハズレ止めの横断面図及び同正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る照明器具を備えた建材(以下、単に建材とも称する)は、図1図3に図示したように、長尺状のフレーム1と、このフレーム1に固定されている取付材3に取り付けられている照明器具2と、この照明器具2から照射される光を反射させるリフレクタ材4と、このリフレクタ材4に生じる「グレア」を低減することができるカバー材6を備えている。
【0016】
前記フレーム1は、図3のように、形材の長尺方向に交差する面の断面形状が「コ」の字のように構成されて、照明器具2、取付材3、リフレクタ材4を取付けることができる第一の空間12と、照明器具2の配線等を納めることができる第二の空間14とからなる。
これらの空間12,14の境界には、起立片130、130からなる取付ヒレ13が形成されている。
【0017】
前記照明器具2は、図4に示すように、本体20にLEDモジュール24を搭載したもので、入力線25の端部に入力側コネクタ26を、出力線27の端部に出力側コネクタ28を備え、これらの入力線25、入力側コネクタ26、出力線27及び出力側コネクタ28は、前記第二の空間14に配置されている。
前記LEDモジュール24の照射面29は、その照射面29からの光が前記リフレクタ材4で反射されるように、前記リフレクタ材4側に傾斜して配置されている。
【0018】
前記取付材3は、前記フレーム1の起立片130,130に係止される共に固定される起立係止片32,32と、これらの起立係止片32,32の間に照明器具2の本体20の外形に沿うような湾曲状の配置片34を備えている。
【0019】
前記リフレクタ材4は、前記取付材3と同様に、前記フレーム1の取付ヒレ13に係合される起立係止片42,42と、これらの起立係合片42,42の間に、照明器具2の本体20の外形に沿うような湾曲状の反射面45を備えている。
なお、この実施形態では、リフレクタ材4と取付材3は同一形状である。
【0020】
前記カバー材6は、前記フレーム1の一方の取付ヒレ13の起立片130に当接される当接部60と、前記フレーム1の他方の取付ヒレ13の起立片130に固定される固定部61と、これらの当接部60及び固定部61の間に、照明器具2の本体20の円筒状の外形に沿うような、筒部62を備えている。
このように構成された前記カバー材6は、その長手方向において前記本体20を囲む基部63と、前記照明器具2の照射面29の上方に形成される被部64に区分されると共に、被部64の端部には開口部65が形成される。
【0021】
前記被部64による、前記照明器具2の照射面29の上方の被せ幅(被せ高さとも称する)Lは、後述のように前記照明器具2が配置される高さ位置(階高さ)に応じて調整される。
前記開口部65には、ゴミ溜まり等を防ぐために、その開口部65を覆う透光性を有するキャップ(図示せず)を取付けるようにしてもよい。
【0022】
上記のような照明器具2、取付材3、リフレクタ材4及びカバー材6は、前記フレーム1に対し、図5のように取付材3を介して照明器具2が固定され、その取付材3に連続させて、前記フレーム1の長手方向の前後に前記リフレクタ材4が固定され、複数の照明器具2を直列に配置できるようになっている。
また、前記照明器具2は前記フレーム1に対して取付材3を介して係脱自在に配置され、照明器具2のメンテナンスの便宜が図られている。つまり、照明器具2を交換する際には、取付材3を取外すだけでよく、長尺のリフレクタ材4を取外す必要がないため、作業が容易である。
【0023】
上記のように構成された建材においては、前記照明器具2の照射光により、前記リフレクタ材4に輝度が高いグレアが生じた場合、その箇所等からの光により、前記カバー材6の開口部65から、前記リフレクタ材4(或は前記フレーム1、以下同様)の長手方向に対し所定の角度でビームbが形成される。よって、そのビームの範囲の外では、グレアを認識することができずグレアが低減されると共に、柔らかな光を認識することができる。
【0024】
このような建材の作用効果を図6図9の図示に従って、説明すれば次の通りである。
図6及び図7は、それぞれ前記照明器具2の配置高さHが4メートルで、且つ、下方に照射される場合(以下、ダウンとも称する)で、図6は前記カバー材6の被部64の被せ幅Lを約20mmに設定した場合、図7は同被部64の被せ幅Lを約100mmに設定した場合を図示したものである。
図8及び図9は、それぞれ前記照明器具2の配置高さHが0.5メートルで、且つ、上方に照射される場合(以下、アッパーとも称する)で、図8は前記カバー材6の被部64の被せ幅Lを約20mmに設定した場合、図9は同被部64の被せ幅Lを約100mmに設定した場合を図示したものである。
即ち、図6及び図8に図示するように、前記カバー材6の被部64による被せ高さLが約20mmの場合には、前記カバー材6の開口部65からは、前記リフレクタ材4の長手方向に対して約45度のビームbが形成され、グレアを低減することができる角度として、約45度のグレアカット角度がえられる。
【0025】
一方、図7及び図9に図示するように、前記被せ高さLが、約100mmの場合には、前記カバー材6の開口部65からは、前記リフレクタ材4の長手方向に対して約10度のビームbが形成され、グレアを低減することができる角度として、約80度のグレアカット角度がえられる。
【0026】
図6及び図8の約45度のグレアカット角度の場合には、前記フレーム1から約0.5に離れる歩行者Pに対しグレアが意識されることとなる。
しかし、図7及び図9の約80度のグレアカット角度の場合には、それぞれ前記歩行者Pに共にグレアが意識されることはない。また,ビームbの範囲Rの外では、輝度が高いシャープな光ではなく、柔らかな光を認識することができる。
【0027】
グレアによる不快感は、前記照明器具2が配置される高さに比例するように薄まることも予測できることから、前記照明器具2が配置される高さ位置(階高さ)に応じて、前記カバー材6の被部64の被せ高さLを選択するようにしてもよい。
その際、人が近づく範囲に配置される場合(例えば、1階等のダウンとアッパー)は、被せ高さLを大きくし、そうでない場合(例えば、2階以上のアッパー)は、被せ高さLを小さくしてもよい。なお、図6図9のようにアッパーのみ、またはダウンのみを配置するだけでなく、アッパーとダウンの両方を配置してもよい。
【0028】
以下のような主に建物の室内で使用される建材としてのインテリア建材においても、「グレア」が生じやすい環境を考慮して、上記カバー材6を取り付けてもよく、同様な作用効果を奏することができる。
【0029】
前記インテリア建材は、図10図17Bに図示されているように、長尺状のコ字状の形材であるフレーム1と、照明器具2と、この照明器具2を前記フレーム1に取付けるための取付材3と、この照明器具2の照明光を反射させるために前記フレーム1に取付けられるリフレクタ材4と、前記フレーム1が備える開口10を塞ぐフサギ材5から構成される。
前記フレーム1の開口10は、前記照明器具2、前記取付材3、前記リフレクタ材4及び前記フサギ材5を取付るための取付空間11となっている。
前記取付空間11に、照明器具2を取付けた前記取付材3、前記リフレクタ材4及び前記フサギ材5を組合わせて、インテリア建材とすることができる。
なお、以下に詳述する本願発明のインテリア建材に共通する構成は、共通する用語を用いると共に、各図において略同一に図示して詳細な説明は省略し、且つ、必要に応じて同一の符号で示すことがある。
【0030】
前記フレーム1は、図10のように、形材の長尺方向に交差する面の断面形状が「コ」の字のように構成されて、開口10を備えている。
前記開口10は、取付空間11を構成し、照明器具2を収容することができる第一の空間12と、前記取付材3、リフレクタ材4又は前記フサギ材5を取付けることができる取付ヒレ13と、照明器具2の配線等を納めることができる第二の空間14とからなる。
前記取付空間11は、フレーム1の両側面15,16及び背面17の辺に囲まれて構成されている。
【0031】
前記第一の空間12は、照明器具2の全体を収容できるスペースに構成しても、その一部のみを収容するようにされていてもよい。
前記取付ヒレ13は、両側面15,16の内面18,18からそれぞれ起立する起立片130,130と、各起立片130,130の端部から略ハの字状に傾斜する傾斜部131,131を備えている。これらの傾斜部131,131は、前記取付材3の起立係止片32,32(後述)を係止する際に、その起立係止片32,32に加えられる押圧力により、起立係止片32,32と係合されるようになっている。
【0032】
以上のように構成されるフレーム1は、前記開口10が室内側に臨むように、前記背面17、側面15及び/又は側面16が壁面等に固定されている。
【0033】
前記照明器具2は、ブラケットライトが内ケーシングにセットされて構成されている照明器具が本書で記載されているが、これらに限定されるものではない。
これらの照明器具2は、取付材3の他、フサギ材5を介して前記取付空間11に配置される。
【0034】
前記取付材3は、図11のように、前記フレーム1の起立片130,130に当接しつつ、第一の空間12と第二の空間14の間において、前記開口10(この実施形態では第二の空間14)を塞ぐ薄板30と、その薄板30の裏面31から起立する起立係止片32,32と、前記薄板30の正面33に前記照明器具2を配置する配置片34を備えている。
前記起立係止片32,32の先端には、前記取付材3を押圧しつつ前記取付ヒレ13の傾斜部131,131に前記起立係止片32,32を係合する際に、その先端が傾斜部131,131に当接する滑面35,35が形成されている。また起立係止片32,32には、前記取付材3を前記フレーム1から取外す場合に、容易に取外すことができるように、前記滑面35,35に連続して、略半円状の係止部36,36が形成されている。
これによりインテリア建材のメンテナンスの容易性、趣向の変化に対応させる取付材3、後述のように同様に構成されているリフレクタ材4、フサギ材5等の交換の容易性が図られている。
なお、前記取付材3と前記フレーム1との係脱を更に自在に容易にするために、前記取付材3の薄板30の上下方向の端部に、治具を挿入できる切欠(図示せず)を設けてもよい。
【0035】
前記配置片34は、照明器具2の「カサ」部分等を安定的に載置できるようなカーブを備えており、そのような「カサ」を備えた照明器具2の専用材となっている。
なお、前記フサギ材5に、ブラケットライト等の照明器具2を固定して取付ることができるので、フサギ材5は取付材を兼用できるようになっている。
【0036】
以上のような構成の取付材3は、フレーム1と同様に長尺状に構成されていて、必要に応じて、その長さサイズを調整するため、切断して使用される。
【0037】
前記リフレクタ材4は、図12のように、前記取付材3の薄板30及び起立係止片32,32と同様の薄板40及び起立係止片42,42を備えると共に、前記薄板40の正面43に前記照明器具2からの照明光を反射させる反射片44を備えている。
【0038】
この反射片44は、円筒をその直径に沿って左右に2つに分割した半円筒状のもので、円筒の内面が反射面45となっている。その他の構成は、前記取付材3と同様である。
【0039】
図13は、別例のリフレクタ材4Aの構成例を示すもので、前記取付材3の薄板30及び起立係止片32,32と同様の薄板40及び起立片42,42を備えると共に、前記薄板40の正面43に前記照明器具2からの照明光を反射させる波板状の反射面46を備えている。その他の構成は、前記取付材3と同様である。
【0040】
前記フサギ材5は、図14に図示したように、前記取付材3の薄板30及び起立係止片32,32と同様の薄板50及び起立係止片52,52を備えると共に、前記薄板50の正面53は平面状に構成されている。
【0041】
このような構成のフサギ材5は、前記フレーム1の開口10に前記取付材3、リフレクタ材4を取付けない箇所において、その開口10を塞ぐものであると共に、前記薄板50の正面53に照明器具2を固定できるようになっている。その他の構成は、前記取付材3と同様である。
【0042】
次に、前記フレーム1の取付空間11に、前記照明器具2、前記取付材3、前記リフレクタ材4又は前記フサギ材5を組合わせる場合の実施形態を説明する。
【0043】
図15Aは、前記取付空間11に、下方から上方にかけて、順次、照明器具2としてのブラケットライト2Bを固定した取付材3、前記リフレクタ材4A、前記ブラケットライト2Bを固定した取付材3を組合わせた実施形態である。
【0044】
前記ブラケットライト2Bは、図15A及び図15Bのように、その照明光が前記リフレクタ材4Aに向けて放射される位置に固定されている。即ち、ブラケットライト2Bのカサ23の外周が前記取付材3の配置片34に密着して載置され、カサ23が薄板30の正裏面31,33間を貫通させた孔を介してネジ止めされていると共に、別の貫通孔を介して第二の空間14に配線を延在させている。
【0045】
図15Cは、図15Aに示した組合わせの実施形態において、ブラケットライト2Bとリフレクタ材4Aの正面43に形成された波型の反射面46による光の作用効果を示したもので、リフレクタ材4Aの反射面46の山と谷の差が照射光で強調されて、縦線の模様が表現されて、独特のインテリア建材となっている。
【0046】
図16Aは、前記フレーム1の取付空間11に、下方から上方にかけて、順次、照明器具2としてのブラケットライト2Bを固定した取付材3、前記リフレクタ材4、前記プラットライト2Bを固定した取付材3を組合わせた実施形態を示したものである。
前記ブラケットライト2Bは、図16Bのように、その照明光が前記リフレクタ材4に向けて放射される位置に固定されている。
【0047】
図16Cのように、前記フレーム1の上端から前記ブラケットライト2Bの照明光が前記リフレクタ材4の半円筒形の反射面45に反射されて生じる光の濃淡の段階的な変化、視線の方向による光の濃淡の段階的な変化を現したもので、独特のインテリア建材となっている。
【0048】
図17Aに示した組合わせ例は、図16Aの組合わせ例を変形させたもので、前記取付空間11に、下方から上方にかけて、順次、前記リフレクタ材4、前記ブラケットライト2Bを固定した取付材3、前記リフレクタ材4を組合わせた実施形態である。
【0049】
かかる組合わせ例では、図17Bのように、ブラケットライト2Bの照明光が上下方向に導かれて反射されるようになっている。さらに、図17Bのように、前記フレーム1の上端に進行した前記ブラケットライト2Bの照明光は、天井面で反射されて、リフレクタ材4の形状を反映させることができる間接照明となっている。
【0050】
上記インテリア建材の効果を纏めれば次の通りである。
(1) インテリア建材を構成する要素として、フレーム1と、ブラケットライト2B等の照明器具2と、これらの照明器具2を前記フレーム1に取り付けたるための取付材3と、これらの照明器具2の照明光を反射させるために前記フレーム1に取付けられるリフレクタ材4,4Aと、前記フレーム1が備える開口10を塞ぐフサギ材5を用いることで、インテリア建材のバリエーションを高めて建材と照明とのコラボレーションを図ることができる。
(2) また、フレーム1と、ブラケットライト2B等の照明器具2と、これらの照明器具2を前記フレーム1に取り付けたるための取付材3と、これらの照明器具2の照明光を反射させるために前記フレーム1に取付けられるリフレクタ材4,4Aと、前記フレーム1が備える開口10を塞ぐフサギ材5の組合わせを選択することで、変化に富んだ光の演出が可能となっている。
(3) 前記リフレクタ材4,4Aは、前記照明器具2の照明光の進行方向に沿って配置されているので、前記リフレクタ材4,4Aが備えている独自の反射面45,46の機能を発揮させることができ、変化に富んだ光の演出が可能となっている。
(4) 前記フサギ材5を用いて前記照明器具2を前記フレーム1に取り付けることとしたので、前記フサギ材5に、フレーム1の開口10を塞ぐことができる機能に加えて、取付材としての機能を付加することができ、各種の照明器具2の取付手段として、柔軟に対応することができる。
(5) 前記取付材3、前記リフレクタ材4,4A及び前記フサギ材5は、前記フレーム1に対して係脱自在に配置されているので、インテリア建材のメンテナンスが容易になり、また、趣向の変化に柔軟に対応することができる。
【0051】
上述のように、前記取付材3等の起立係止片32,32は、前記フレーム1の取付ヒレ13,13の傾斜部131,131に係止されて、前記フレーム1からハズレ難いようになっているが、両者の係合をより確実にするため、前記取付材3、リフレクタ材4,4A、フサギ材5にハズレ止め8を取付けてもよい。
前記ハズレ止め8は、図18のように、例えばフサギ材5を例示して説明すれば、その起立係止片52,52を支持する支持板80と,フサギ材5がフレーム1の室内側(図18の横断面図において紙面の下側)に係脱することを防止するフック片81からなる。
また、前記フレーム1の上下端に、開口10を塞ぐための端部フサギ(図示なし)を設けているので、フレーム1を壁面等に固定する前に、フレーム1の長手方向から前記取付材3、リフレクタ材4,4A、フサギ材5が抜け出すことを防止している。
【0052】
上記各実施形態では、インテリア建材は主としてたて建物のエントランス、廊下等のZの壁面等に配置されることが想定されているが、建物の開口部の窓枠等の方立に配置してもよいし、商業施設のショウウインドウに配置してもよい。
【0053】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 フレーム
10 開口
11 取付空間 12 第一の空間
13 取付ヒレ 14 第二の空間
15,16 両側面 17 背面
18,18 内面
130,130 起立片 131,131 傾斜部

2 照明器具
2B ブラケットライト
20 本体
21 アーム 22 配線
23 カサ
24 LEDモジュール 25 入力線
26 入力線コネクタ 27 出力線
28 出力線コネクタ 29 照射面

3 3A 取付材
30 薄板 31 裏面
32 32 起立係止片 33 正面
34 配置片

35,35 滑面 36,36 係止部
37,37 起立取付片
38,38 取付枠

4 4A リフレクタ材

40 薄板
42,42 起立係止片 43 正面
44 反射片 45,46 反射面
5 フサギ材
50 薄板 51 裏面
52,52 起立係止片 53 正面
54 孔

6 カバー材
60 当接部 61 固定部
62 筒部 63 基部
64 被部 65 開口部

8 ハズレ止め
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18